【解決手段】ボイラシステム1は、蒸気を生成して負荷機器70に供給するボイラ20と、ボイラ20に給水W1を供給する給水ラインL3と、ボイラ20から缶水W8を採水する採水ラインL9と、採水ラインL9に設置され、缶水W8の水質を分析する水質分析装置65と、ボイラシステム1の運転を制御する制御部10と、を備え、制御部10は、互いに所定時間内に取得されたボイラ20に係るボイラ情報と缶水W8の水質分析情報とを比較する比較部101と、比較部101による比較結果と水質分析情報とに基づいて、ボイラ20の水管理状況を判定する判定部103と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るボイラシステム1について説明する。
【0020】
〔1 実施形態の構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るボイラシステム1の構成の概略を示す構成図である。
図2は、ボイラシステム1に備わる制御部の機能ブロック図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のボイラシステム1は、主として、ボイラ20と、硬水軟化装置3と、給水タンク5と、制御部10と、腐食抑制剤投入装置51と、分散剤投入装置53と、復水処理剤投入装置55と、流量調整弁61と、冷却器63と、水質分析装置65と、を備え、負荷機器70に蒸気を供給する。
【0022】
また、ボイラシステム1は、給水ラインL1と、燃料供給ラインL2と、排出部としてのブロー水ラインL3と、蒸気取出ラインL4と、蒸気管91としての蒸気送出ラインL5と、負荷機器70からの蒸気ドレンを回収する回収ラインL6と、未回収分の蒸気ドレンを排出するドレン排出ラインL7と、降水ラインL8と、分析対象とするボイラ水を採取するための採水ラインL9と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。また、本明細書における「ボイラ給水」とは、後述のボイラ本体21に供給される水(軟水・純水等の補給水、復水回収のある場合は復水と補給水が混合された水)を意味する。「ボイラ水」とはボイラ本体21内に貯留された水(非濃縮状態と濃縮状態の両方を含む)を意味し、以降では「缶水」とも呼称する。
【0023】
ボイラ20は、負荷機器70に供給する蒸気を生成する装置である。ボイラ20は、ボイラ本体21と、バーナ25と、燃焼室26と、ボイラ水電気伝導率センサ27と、気水分離器28と、ボイラ水供給手段としての給水ポンプ7と、制御部10と、ブロー弁93と、主蒸気弁94と、蒸気逆止弁95と、を備える。ボイラ本体21は、複数の水管22と、上部ヘッダ23と、下部ヘッダ24と、を備える圧力容器を形成している。ボイラ20の詳細については後述する。
【0024】
本実施形態に係るボイラ20は、例として、多管式貫流ボイラの構造を有する。しかし、本実施形態に係るボイラ20は、多管式貫流ボイラに限定されない。
【0025】
給水ラインL1は、補給水(ボイラ給水)W1をボイラ本体21に供給するラインである。給水ラインL1の上流側の端部は、補給水W1の供給源(不図示)に接続されている。給水ラインL1の下流側の端部は、ボイラ本体21の下部ヘッダ24(後述)に接続されている。給水ラインL1には、供給源からボイラ20に向けて順に、硬水軟化装置3、給水タンク5、及び給水ポンプ7が設けられている。
【0026】
硬水軟化装置3は、水道水、地下水、工業用水等の原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオン(又はカリウムイオン)へ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置3は、陽イオン交換樹脂床を有する。陽イオン交換樹脂床は、ボイラ本体21に供給される補給水W1の軟水化処理を行う。硬水軟化装置3は、原水W0を陽イオン交換樹脂床で軟水化して得られた処理水(軟水)を補給水(ボイラ給水)W1としてボイラ20に向けて供給する。
【0027】
また、硬水軟化装置3には、水処理機器情報取得装置31が設けられる。水処理機器情報取得装置31は、例えば硬水軟化装置3によって処理された処理水量等の硬水軟化装置3に係る情報を、制御部10に出力する。
【0028】
給水タンク5は、硬水軟化装置3により軟水化された処理水を、補給水W1として貯留する。給水タンク5に貯留された補給水W1は、後述の給水ポンプ7によりボイラ本体21に供給される。
【0029】
また、給水タンク5には、腐食抑制剤投入装置51から、腐食抑制剤が投入される。腐食抑制剤投入装置51は、制御部10と電気的に接続されている。腐食抑制剤投入装置51から給水タンク5へ腐食抑制剤を投入するタイミング及び投入量は、制御部10の腐食抑制剤投入制御部105A(後述)から送信される駆動信号により制御される。
【0030】
なお、「腐食抑制剤」とは、鉄及び銅の腐食を抑制するための薬剤のことである。より詳細には、「腐食抑制剤」とは、水系流路内の水による鉄及び銅の腐食を抑制するための薬剤であって、鉄防食剤と、銅防食剤と、ケイ酸及びケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ成分と、を含む。
【0031】
また、給水タンク5には、分散剤投入装置53から、スケール分散剤が投入される。分散剤投入装置53は、制御部10と電気的に接続されている。分散剤投入装置53から給水タンク5へスケール分散剤を投入するタイミング及び投入量は、制御部10の分散剤投入制御部105C(後述)から送信される駆動信号により制御される。
【0032】
なお、「スケール分散剤」とは、ボイラシステム1におけるスケールの析出を抑制するための薬剤のことである。スケール分散剤は、水溶性のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー及びマレイン酸系ポリマー等のポリカルボン酸、ポリスルホン酸並びにホスホン酸等であってもよい。これらのスケール分散剤は、二種以上のものが併用されてもよい。また、スケール分散剤は、通常、水溶液として用いられるものであってもよい。
【0033】
また、給水タンク5には、復水処理剤投入装置55から、復水処理剤が投入される。復水処理剤投入装置55は、制御部10と電気的に接続されている。復水処理剤投入装置55から給水タンク5へ復水処理剤を投入するタイミング及び投入量は、制御部10の処理剤投入制御部105B(後述)から送信される駆動信号により制御される。
【0034】
なお、「復水処理剤」とは、蒸気の凝縮水に起因する配管(蒸気・復水配管)の腐食を防止するための薬剤である。
復水処理剤は、皮膜型の復水処理剤、例えば、オクタデシルアミン(ODA)であってもよい。あるいは、復水処理剤は、アンモニア及び/又は揮発性の復水処理剤、例えば、1−アミノ−2−プロパノール(MIPA)、2−アミノエタノール(DEA)、ジエチルアミノエタノール(DEAE)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、モルホリン若しくはジイソプロパノールアミン(DIPA)、又はこれらの混合物であってもよい。あるいは、復水処理剤は、中和型アミン、例えば、シクロヘキシルアミン等であってもよい。
【0035】
なお、皮膜系の復水処理剤の場合、水管への皮膜形成や、電極の汚れ等のボイラ20への悪影響を防ぐため、負荷機器70の一次側に投入してもよい。また、腐食抑制剤、分散剤、復水処理剤は、給水タンク5からボイラ20までの配管中に投入してもよい。
【0036】
給水ポンプ7は、給水タンク5から補給水W1を吸入し、補給水ラインL1を流通する補給水W1をボイラ本体21に向けて送出する。給水ポンプ7は、制御部10と電気的に接続されている。給水ポンプ7が補給水W1をボイラ本体21に送り出すタイミングは、制御部10から送信される駆動信号により制御される。
【0037】
ここで、ボイラ20の構成について説明する。
ボイラ本体21は、上下のヘッダ間に鉛直方向に立設された水管群より構成され、ボイラ20の外形の主要部を構成する。ボイラ本体21には、補給水ラインL1により供給された補給水W1が内部にボイラ水W2として貯留される。なお、ボイラ水W2には、ボイラ本体21に一旦ボイラ水W2として溜まった後に蒸気として取り出されて、ボイラ本体21に戻ってくる水が含まれる。例えば、ボイラ水W2には、気水分離器28(後述)により分離されてボイラ本体21に返送される分離水W4も含まれる。
【0038】
複数の水管22は、ボイラ本体21の上下方向に延びて配置される。
後述するように、加熱された水管22内のボイラ水W2からは、湿り蒸気SM1が生成され、気水分離器28において乾き蒸気SM2となる。この乾き蒸気SM2は、蒸気送出ラインL5を通じて負荷機器70に送られる。
【0039】
上部ヘッダ23は、ボイラ本体21の上部に配置される。上部ヘッダ23は、例えば、環状の容器により構成される。上部ヘッダ23には、複数の水管22の上端部が連結されて接続されている。上部ヘッダ23には、後述する蒸気取出ラインL4の一方側の端部が接続される。
【0040】
下部ヘッダ24は、ボイラ本体21の下部に配置される。下部ヘッダ24は、例えば、環状の容器により構成される。下部ヘッダ24には、複数の水管22の下端部が連結されて接続されている。下部ヘッダ24の側壁の一方には、補給水ラインL1の端部が接続される。下部ヘッダ24の側壁の他方には、降水ラインL8の端部が接続される。燃焼室26は、複数の水管22に囲まれた空間により構成される。
【0041】
バーナ25は、燃焼することによりボイラ本体21の内部を加熱する。バーナ25は、ボイラ本体21の上部側の中央部に配置される。バーナ25は、燃料噴射ノズル及び空気供給ノズル(いずれも図示せず)を含んで構成される。バーナ25は、燃料噴射ノズルから燃料をボイラ本体21の燃焼室26に向けて噴射すると共に、空気供給ノズルから空気をボイラ本体21の内部に供給して、燃料を燃焼させる。
【0042】
燃料供給ラインL2は、バーナ25により燃焼される燃料Fをバーナ25に供給するラインである。燃料供給ラインL2の上流側の端部は、燃料Fの供給源(不図示)に接続されている。燃料供給ラインL2の下流側の端部は、バーナ25に接続されている。燃料供給ラインL2には、燃料供給弁92が設けられている。燃料供給弁92は、バーナ25に供給される燃料の量を調整する弁である。燃料供給弁92は、燃料供給ラインL2を開閉することができる。燃料供給弁92の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。
【0043】
蒸気取出ラインL4は、水管22においてボイラ水W2から生成された湿り蒸気SM1を、上部ヘッダ23から取り出して、気水分離器28に導入させるラインである。蒸気取出ラインL4の上流側の端部は、ボイラ本体21の上部ヘッダ23の上面部に接続されている。蒸気取出ラインL4の下流側の端部は、気水分離器28の側部の上方側に接続されている。
【0044】
気水分離器28は、上部ヘッダ23から蒸気取出ラインL4を介して導入された湿り蒸気SM1を、乾き蒸気SM2と水分(以下「分離水W4」ともいう)とに分離する装置である。なお、前述のとおり、気水分離器28により分離される分離水W4は、ボイラ水W2の一部でもある。
【0045】
蒸気送出ラインL5は、気水分離器28により分離された乾き蒸気SM2を、負荷機器70に向けて送り出すラインである。蒸気送出ラインL5の上流側の端部は、気水分離器28の上面に接続されている。蒸気送出ラインL5の下流側の端部は、負荷機器70に接続されている。
【0046】
蒸気送出ラインL5には、気水分離器28から負荷機器70に向けて順に、主蒸気弁94、蒸気逆止弁95が設けられている。主蒸気弁94は、手動により蒸気送出ラインL5の開閉状態を切り替え可能な弁である。蒸気逆止弁95は、負荷機器70からの蒸気SM2の逆流を防止する弁である。
【0047】
負荷機器70は、蒸気送出ラインL5から受け取った蒸気SM2を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行う。
【0048】
回収ラインL6は、負荷機器70からのドレンを回収し、回収したドレンSM3を給水タンク5に供給するラインである。回収ラインL6には、上流から順に、接続部J1と、復水処理剤投入装置55が設けられる。
【0049】
接続部J1において、回収ラインL6にドレン排出ラインL7が接続される。また、接続点J1において、ドレンSM3は、給水タンク5に回収されるドレンSM4と、ドレン排出ラインL7に流入する未回収ドレンSM5に分離される。
【0050】
降水ラインL8は、気水分離器28により分離された分離水W4を、ボイラ本体21の下部ヘッダ24に向けて流下させるラインである。降水ラインL8の上流側の端部は、気水分離器28の下部に接続されている。降水ラインL8の下流側の端部は、下部ヘッダ24に接続されている。降水ラインL8には、上流から順に、接続部J2、及びボイラ水電気伝導率センサ27が取り付けられている。
【0051】
接続部J2には、採水ラインL9が接続される。採水ラインL9は、ボイラ水W2(分離水W4)の一部を水質分析のために採水するラインである。採水ラインL9の構成については後述する。なお、採水ラインL9への、ボイラ水W2(分離水W4)の一部の、水質分析のための採水は、ボイラ20の燃焼中に実行されると好適である。
【0052】
ボイラ水電気伝導率センサ27は、ボイラ水W2(分離水W4)の電気伝導率を測定するセンサである。ボイラ水電気伝導率センサ27の電極部は、水管22のボイラ水W2の水面よりも低い高さに位置している。ボイラ水電気伝導率センサ27は、制御部10と電気的に接続されている。ボイラ水電気伝導率センサ27の検出値は、制御部10へ検出信号として送信される。
【0053】
採水ラインL9には、上流から順に、接続部J3、流量調整弁61、冷却器63、水質分析装置65が設けられる。
【0054】
接続部J3には、ブロー水ラインL3の上流側の端部が接続されている。ブロー水ラインL3は、採水ラインL9を流通するボイラ水W6の一部を、ボイラ20の外部に排出するラインである。ブロー水ラインL3には、ブロー弁93が設けられている。ブロー弁93は、ブロー水ラインL3を開閉することができる。ブロー弁93の開閉は、制御部10からの駆動信号により制御される。ブロー弁93を開状態にすることにより、採水ラインL9を流通するボイラ水W6の一部であるブロー水W7を外部に排出する。なお、ボイラ水W6中、ブロー水W7以外のボイラ水W8は、引き続き採水ラインL9を流通する。
【0055】
流量調整弁61は、採水ラインL9を流れるボイラ水W8の流量を調整するものである。流量調整弁61は、開度を調整可能に構成される。流量調整弁61は、制御部10に電気的に接続されており、制御部10が流量調整弁61の開度を調節可能になっている。
【0056】
冷却器63は、ボイラ水W8を冷却する。冷却器63は、後述の水質分析装置65による水質分析に適した温度まで、ボイラ水W8を冷却する。
【0057】
水質分析装置65は、採水ラインL9を流通するボイラ水(缶水)W8の水質を分析する装置である。より具体的には、水質分析装置65は、「水質分析情報」として、ボイラ20から取得したボイラ水W8の、pH、電気伝導率、シリカ濃度、塩化物イオン濃度、硫酸イオン濃度、硬度、鉄含有量等の水質に係る特性値を、略リアルタイムで実測する。これらの実測値は、制御部10に出力される。水質分析装置65は、適時に自動採水をすることが可能である。
【0058】
また、ボイラ20には、ボイラ情報取得装置201が備わる。ボイラ情報取得装置201は、ボイラ20が有する「ボイラ情報」として、具体的には、ボイラ水電気伝導率センサ27によって測定された電気伝導率の履歴、更には電気伝導率の最大値、平均値、最頻値、ブロー弁93の開時間、燃焼室26での燃焼時間、ボイラ20への補給水(ボイラ給水)W1の給水量、ボイラ20への補給水(ボイラ給水)W1の温度等に係る情報の履歴を、制御部10に出力する。
【0059】
次に、
図2A及び
図2Bを参照して、本実施形態のボイラシステム1の制御に係る機能について説明する。
図2A及び
図2Bは、制御部10の機能を示す機能ブロック図である。
【0060】
制御部10は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
【0061】
CPUはボイラシステム1を全体的に制御するプロセッサである。該CPUは、ROMに格納された各種プログラムを、バスを介して読み出し、該各種プログラムに従ってボイラシステム1全体を制御することで、
図2Aに示す、比較部101、補正部102、判定部103、回収率算出部104、薬注制御部105、ブロー制御部106の機能を実現するように、構成される。また、
図2Bに示すように、薬注制御部105は、腐食抑制剤投入制御部105A、処理剤投入制御部105B、及び分散剤投入制御部105Cを備える。
【0062】
比較部101は、互いに所定時間内に取得された、ボイラ20に係る上記のボイラ情報と、水質分析装置65により分析された、採水ラインL9を流通するボイラ水(缶水)W8の水質分析情報とを比較する。
【0063】
より詳細には、比較部101は、ボイラ情報に含まれる電気伝導率の最大値、平均値、最頻値等の数値と、水質分析装置65によって分析された水質分析情報に含まれるボイラ水(缶水)W8の電気伝導率と、を比較する。この際、水質分析情報に含まれるボイラ水(缶水)W8の電気伝導率は、ボイラ情報の取得時、より正確には、ボイラ情報の取得時から所定範囲内の時間(例として、1時間)に、略リアルタイムで取得される。
【0064】
補正部102は、水質分析情報に含まれるボイラ水(缶水)W8の電気伝導率と、ボイラ情報に含まれる電気伝導率の平均値、最大値、最頻値等の数値との差分に基づいて、水質分析情報に含まれるpH値及びシリカ濃度を補正する。
【0065】
これは、電気伝導率と、pH値と、シリカ濃度とが互い連動していることに基づくものである。水質分析情報に含まれる電気伝導率が、ボイラ情報に含まれる電気伝導率の平均値、最大値、最小値、最頻値等の数値よりも所定量以上離れていた場合、例えば、缶体内の缶水の水質分布にむらがあり、水質分析対象となった缶水として、たまたま電気伝導率の低い缶水を採水した可能性が想定される。あるいは、缶水中の電気伝導率は短期的なスパンで細かく変動するが、このため、水質分析対象となった缶水として、たまたま電気伝導率が標準的な数値範囲よりも離れたタイミングにおける缶水を採水した可能性も想定される。このため、水質分析情報に含まれる電気伝導率と、ボイラ情報に含まれる電気伝導率の平均値、最大値、最頻値等との差分に基づく値を、pH値やシリカ濃度に加算又は減算することで、pH値やシリカ濃度を補正する。
なお、その後、水質分析情報に含まれるボイラ水(缶水)W8の電気伝導率を、ボイラ情報に含まれる電気伝導率の平均値、最大値、最頻値等の数値で上書きすることにより、補正してもよい。
【0066】
判定部103は、比較部101による比較結果と、水質分析情報とに基づいて、ボイラ20の水管理状況を判定する。より詳細には、判定部103は、比較部101による比較結果と、補正部102により補正された水質分析情報とに基づいて、例えばボイラ20における腐食度等の水管理状況を判定する。
【0067】
回収率算出部104は、ボイラ情報に含まれる給水量、すなわち供給水W1の流量と、と、硬水軟化装置3による処理水量(通水量)との差分に基づいて、ドレン回収率を算出する。ここで、「ドレン回収率」は、「ドレン戻り量」、すなわち、給水タンク5に供給される蒸気ドレンSM4の量と、大気に放出されたフラッシュ蒸気量とを用いて、
ドレン回収率=(ドレン戻り量−フラッシュ蒸気量)/ドレン戻り量
で定義される。
【0068】
薬注制御部105は、判定部103による判定結果、回収率算出部104によって算出されたドレン回収率、又はボイラ情報に含まれる、水管22の水管温度に基づいて、薬注装置、すなわち、腐食抑制剤投入装置51、分散剤投入装置53、及び復水処理剤投入装置55による薬剤の投入(薬注)を制御する。
【0069】
図2Bに示すように、薬注制御部105は、腐食抑制剤投入制御部105Aと、処理剤投入制御部105Bと、分散剤投入制御部105Cとを備える。
【0070】
腐食抑制剤投入制御部105Aは、判定部103によって判定された腐食度に基づいて、腐食抑制剤の投入量、及び/又は投入タイミングを調整する。
【0071】
より具体的には、腐食抑制剤投入制御部105Aは、判定部103によって腐食度が低いと判定された場合、すなわち、補正部102による補正後のpH、シリカ濃度が所定範囲を超えた場合に、腐食抑制剤の投入量を減らす。なお、「pHが所定範囲を超える」とは、pHがアルカリ側に超えるという意味であり、pHの数値自体としては、所定値を超えることを示す。
【0072】
一方で、腐食抑制剤投入制御部105Aは、判定部103によって腐食度が高いと判定された場合のうち、pH、シリカ濃度が所定範囲未満の場合に、腐食抑制剤の投入量を増やす。より具体的には、pHが所定値以上の場合には、濃縮倍率よりアルカリ不足分を算出し、算出されたアルカリ不足分に応じて、腐食抑制剤の追加量を算出し、算出した追加量分だけ、腐食抑制剤の投入量を増やす。また、シリカ濃度が、pH、電気伝導率に応じて設定されるシリカ下限値を下回る場合には、濃縮倍率よりシリカ不足分を算出し、算出されたシリカ不足分に応じて、腐食抑制剤の追加量を算出し、算出した追加量分だけ、腐食抑制剤の投入量を増やす。
【0073】
処理剤投入制御部105Bは、回収率算出部104によって算出されたドレン回収率に基づいて、復水処理剤投入装置55による復水処理剤の投入量、及び/又は投入タイミングを調整する。より具体的には、ドレン回収率が上がると、回収されるドレンの量が増えることで、復水処理剤の投入量が減少し、投入タイミングの頻度は低くなる。
【0074】
分散剤投入制御部105Cは、ボイラ情報に含まれる、水管22の水管温度に基づいて、分散剤投入装置53によって投入されるスケール分散剤の投入量、及び/又は投入タイミングを調整する。より具体的には、水管温度が上昇した際は、スケール分散剤の投入量が増加し、投入タイミングの頻度は、高くなる。
【0075】
なお、腐食抑制剤投入制御部105A、処理剤投入制御部105B、及び分散剤投入制御部105Cは、各々、腐食抑制剤投入装置51、復水処理剤投入装置55、及び分散剤投入装置53に設置されたレベルセンサの検出値を用いて、各薬剤の投入量を調整する。
【0076】
ブロー制御部106は、判定部103による判定結果に基づいて、ブロー弁93の開度を調整することで、ブロー水ラインL3からのブロー水の排出を制御する。より具体的には、ブロー制御部106は、判定部103によって腐食度が低いと判定された場合、すなわち、補正部102による補正後のpH、シリカ濃度が所定範囲を超えた場合に、ブロー率を上昇させるよう、ブロー水W7の排水量を調整する。
【0077】
〔2 実施形態の動作〕
図3及び
図4は、本実施形態に係るボイラシステム1の動作を示すフローチャートである。以下、
図3及び
図4を参照することにより、ボイラシステム1の動作について説明する。
【0078】
ステップS1において、水質分析装置65が、採水ラインL9から自動でボイラ水(缶水)W8を採水する。なお、水質分析装置65による自動採水は、ボイラシステム1の定常運転中に実行される。例として、前回の採水から燃焼継続が所定時間(例えば、24時間)以上経過をしている等、ボイラ20における燃焼中に自動採水することが好ましい。ただし、燃焼中に採水をする場合は、現状の採水位置を変更しないことが前提であると共に、蒸気凝縮水の影響を受ける運転停止中は、採水しない。
【0079】
この点、従来技術においては、手動で採水をしていた。とりわけ、小型貫流ボイラの場合、ボイラ水の循環がないため、水質が均一でなく、水質に分布が生じる。また運転停止時は、蒸気凝縮水によって、採水したボイラ水が希釈される場合があった。また、採水タイミングによる水質差も大きかった。
【0080】
一方で、本実施形態に係るボイラシステム1においては、採水タイミングを最適化することが可能であると共に、平均的なボイラ水を採水できる。このような効果は、できるだけ平均的なボイラ水質で処方を検討するにあたって、好適である。
【0081】
ステップS2において、水質分析装置65が、ボイラ水(缶水)W8の自動分析をする。具体的には、水質分析装置65は、主としてボイラ水(缶水)W8の電気伝導率、pH、シリカ濃度を測定し、分析する。なお、腐食性イオン濃度が高い水質の缶水は、電気伝導率が高い。更に、このステップS2では、制御部10が、測定されたpH、電気伝導率の値に応じて、後述のステップS4で用いるシリカ濃度の下限値を設定する。
【0082】
この点、従来技術においては、缶水のサンプルを採水し、採水したサンプルを、ボイラシステムの製造業者等の事業会社に輸送し、分析していた。一方で、本実施形態に係るボイラシステム1においては、リアルタイムで缶水の水質を分析し、後述のように分析結果に基づいて、水質を判定し対策となる処理を実行するため、人的コストと経済的コストを低減することが可能になると共に、対応に要する時間を短縮することが可能となる。
【0083】
ステップS3において、制御部10が、ボイラ情報取得装置201からボイラ情報を取り込む。上記のように、「ボイラ情報」には、ボイラ水電気伝導率センサ27によって測定された電気伝導率の履歴、更には電気伝導率の最大値、平均値、及び最頻値、ブロー弁93の開時間、燃焼室26での燃焼時間、ボイラ20への補給水(ボイラ給水)W1の給水量、ボイラ20への補給水(ボイラ給水)W1の温度等に係る情報の履歴が含まれ、制御部10は、これらの情報を、過去に遡って把握することが可能である。
【0084】
なお、ボイラ水電気伝導率の最大値は、キャリーオーバー、すなわちボイラ内の水が、蒸気と分離されずに混入し、送りだされる現象を抑制するための管理に用いたり、ブロー率や薬品の投入量の調整余地があるか否かの判断に用いたりすることが可能である。また、ブロー弁93の開時間や、燃焼室26での燃焼時間は、濃縮倍率(ブロー率)を算出するために用いることが可能である。更に、ボイラ20への補給水(ボイラ給水)W1の給水量や、ドレン回収率を算出するために用いることが可能である。更に、ボイラ20への補給水(ボイラ給水)W1の温度は、ボイラシステム1に投入する薬剤の選定が誤っていないか否かの判定に用いることが可能である。
【0085】
この点、従来技術においては、ボイラの水質がドレン回収率によって変動するため、一回の採水分析では、ボイラの状態を捉えきれず、薬品の投入量やブロー設定等の処方を検討する上で、正確な検討が困難であった。一方で、本実施形態においては、ボイラ情報を取り込むことにより、処方精度を向上させることが可能となる。
【0086】
ステップS4において、判定部103が水質を判定すると共に、薬注制御部105及びブロー制御部106が、水質の判定結果とボイラ情報に基づいて、自動対策を行う。
【0087】
図4は、ステップS4を構成するサブステップであるステップS41〜ステップS46のフローを示すフローチャートである。また、
図5は、ステップS4で用いる基準範囲の数値の例である。以下、
図4及び
図5を参照することにより、ステップS4での実行内容の例について説明する。
【0088】
ステップS41において、比較部101が、水質分析情報に含まれる補正後のボイラ水pHと基準範囲を比較する。なお、
図5に示す例においては、ボイラ水pHの基準範囲は、11.5以上、12.4未満である。ただしこれはあくまで一例であって、ボイラシステム1が設置される国・地域や、ボイラ20の機種により異なる数値となることがある。
【0089】
ボイラ水(缶水)のpHが基準範囲未満にある場合(S41:基準範囲未満)には、判定部103によって、缶水の腐食度が許容範囲よりも高いと判定され、処理はステップS45に移行する。
【0090】
ボイラ水(缶水)のpHが基準範囲にある場合(S41:基準範囲内)には、判定部103によって、缶水の腐食度が許容範囲にあると判定され、処理はステップS44に移行する。
【0091】
ボイラ水(缶水)の電気伝導率が基準範囲を超えている場合(S41:基準範囲超)には、判定部103によって、缶水がキャリーオーバーすると判定され、処理はステップS43に移行する。
【0092】
ステップS42において、腐食抑制剤投入制御部105Aは、腐食抑制剤の投入量を増加させるように、腐食抑制剤投入装置51を制御する。
【0093】
ステップS43において、ブロー制御部106は、ブロー率を上昇させるように、ブロー弁93の開度を制御する。なお、この際、及び、後述のようにブロー制御部106が、ブロー弁93の開度を調整する際、ブロー制御部106は、ボイラ情報に含まれるブロー弁93の開時間やブロー率等の情報を参照することにより、ブロー弁93の開度を段階的に調整してもよい。
【0094】
ステップS44において、比較部101が、水質分析情報に含まれる補正後のボイラ水シリカ濃度と基準範囲を比較する。なお、
図5に示す例においては、ボイラ水の電気伝導率の範囲が400mS/m未満のときは、補正後のボイラ水シリカ濃度の基準範囲が、200mg/l以上600mg/l未満となる。一方で、ボイラ水の電気伝導率の範囲が400mS/m以上600mS/m未満のときは、補正後のボイラ水シリカ濃度の基準範囲が300mg/l以上600mg/l未満となる。
【0095】
ボイラ水(缶水)のシリカ濃度が基準範囲未満にある場合(S44:基準範囲未満)には、判定部103によって、缶水の腐食度が許容範囲よりも高いと判定され、処理はステップS45に移行する。
【0096】
ボイラ水(缶水)のシリカ濃度が基準範囲にある場合(S44:基準範囲内)には、判定部103によって、缶水の腐食度が許容範囲にあると判定され、処理は終了する。
【0097】
ボイラ水(缶水)のシリカ濃度が基準範囲を超えている場合(S44:基準範囲超)には、判定部103によって、缶水の腐食度が許容範囲よりも低いと判定され、処理はステップS46に移行する。
【0098】
ステップS45において、腐食抑制剤投入制御部105Aは、腐食抑制剤の投入量を増加させるように、腐食抑制剤投入装置51を制御する。
【0099】
ステップS46において、ブロー制御部106は、ブロー率を上昇させるように、ブロー弁93の開度を調整する。その後、処理は終了する。
【0100】
この点、従来技術においては、ボイラシステムが設置されている現場に出向した後、缶水のサンプルを採水し、事業会社に送付後、事業会社で分析し、分析結果を確認後、再度現場に出向し、ボイラシステムで発生した異常への対策処理を実施していた。このため、対策の実施には時間を要していた。とりわけ、ボイラシステムが設置されている現場が海外にある場合、時間的コスト、人的コストのみならず、比較的高い経済的コストも要していた。また、対策の実行時点は、サンプルの採水時とタイムラグがあるため、ボイラ負荷、原水の水質、ドレン回収率等の点で、採水時と同じ状況とは限らない。更に、異常状態が1か月以上継続することにより、缶体がパンクすることがあった。
【0101】
一方、本実施形態においては、自動採水してから、ボイラシステム1で発生する異常への対策処理を実行するまでの時間が、従来技術に比較して著しく短いため、異常状態が長期間継続することを防ぐことが可能となる。これにより、ボイラシステム1における腐食、スケール付着、及びキャリーオーバーを抑制することが可能となる。
【0102】
〔3 実施形態が奏する効果〕
上述した本実施形態に係るボイラシステム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
【0103】
本実施形態に係るボイラシステム1は、蒸気を生成して負荷機器に供給するボイラ20と、ボイラ20に給水を供給する給水ラインL1と、ボイラ20から缶水W8を採水する採水ラインL9と、採水ラインL9に設置され、缶水W8の水質を分析する、適時自動採水可能な水質分析装置65と、ボイラシステム1の運転を制御する制御部10と、を備え、制御部10は、互いに所定時間内に取得されたボイラ20に係るボイラ情報と缶水W8の水質分析情報とを比較する比較部101と、比較部101による比較結果と、水質分析情報とに基づいて、ボイラ20の水管理状況を判定する判定部103と、を備える。
【0104】
従来は、ボイラから缶水を取得し、缶水の水質情報を分析し、分析結果を元にボイラシステムのメンテナンスをするまでに、多くの時間を必要としていた。一方、本発明においては、ボイラシステムをメンテナンスする際、ボイラシステムに係るリアルタイムのボイラ情報と、リアルタイムで採水した缶水の水質情報とを突き合わせることが可能となったため、従来よりも高い精度でボイラの状態、例えば、ボイラの腐食度を取得することが可能となる。
【0105】
また、ボイラシステム1において、水質分析情報には、缶水W8の電気伝導率が含まれ、ボイラ情報には、缶水W8の電気伝導率に係る数値が含まれ、比較部101は、水質分析装置65によって分析された缶水W8の電気伝導率が、上記の数値から所定範囲にある際の、ボイラ情報と、ボイラ情報の取得時から所定範囲内の時間に取得された水質分析情報とを比較してもよい。
【0106】
缶水の電気伝導率は、短期的なスパンの中で大きく変動し得る。そのため、採取した缶水の電気伝導率が、例えば、たまたま変動幅の天井又は底にあった場合、判定部は、腐食度を正しく判定できない。このため、缶水の電気伝導率がボイラ情報に含まれる平均値と大きな違いがない状況下で腐食度を判定する。これにより、腐食度をより正確に判定できる。
【0107】
また、ボイラシステム1において、水質分析情報には、缶水W8の電気伝導率、pH値、及びシリカ濃度が含まれ、ボイラ情報には、缶水W8の電気伝導率の平均値が含まれ、制御部10は、水質分析装置65によって分析された缶水W8の電気伝導率と上記の平均値との差分に基づいて、上記のpH値、及び上記のシリカ濃度を補正する補正部を、更に備え、判定部103は、比較部101による比較結果と、補正部102により補正された前記水質分析情報とに基づいて、ボイラ20の水管理状況を判定してもよい。
【0108】
電気伝導率と、pH値と、シリカ濃度とは互いに相関関係にあるため、たまたま電気伝導率が低い缶水を採水した場合、それに伴って、pH値とシリカ濃度も、実際の缶水のpH値とシリカ濃度よりも低くなってしまう。これら実際よりも低い電気伝導率、pH値、シリカ濃度に基づいて腐食度を判定しても、正しく判定できない。そこで、採水した缶水の電気伝導率と、ボイラ情報としての電気伝導率の平均値との差分を用いて、pH値とシリカ濃度とを補正することにより、腐食度を正しく判定することが可能となる。
【0109】
また、ボイラシステム1において、缶水W8の採水は、ボイラ20の燃焼中に実行されてもよい。
【0110】
ボイラ20の燃焼中に採水した缶水W8、いわば「平均的」な状態での缶水W8の水質を分析し、当該分析の結果に基づいてボイラシステム1をメンテナンスすることにより、ボイラシステム1の定常運転時の状態に合わせて、メンテナンスをすることが可能となる。また、ボイラ20の停止中は、缶水W8が希釈される場合があり、実際の缶水W8の水質とは大きく異なった水質分析結果を取得することとなってしまう。ボイラ20の燃焼中に採水することにより、より精度の高い水質分析結果を取得することが可能となる。
【0111】
また、ボイラシステム1は、給水W1に薬注を行う薬注装置を更に備え、制御部10は、判定部103による判定結果に基づいて、薬注装置による薬注を制御する薬注制御部105を更に備えてもよい。
【0112】
これにより、薬注を制御する際に、リアルタイムで測定した実際の缶水の水質分析結果をベースに、薬注量を調整することが可能となるため、より高い精度で薬注を制御することが可能となる。
【0113】
また、ボイラシステム1は、ボイラ20からブロー水W7を排出するブロー水ラインL3を更に備え、制御部10は、判定部103による判定結果に基づいて、ブロー水ラインL3からのブロー水W7の排出を制御するブロー制御部106を更に備えてもよい。
【0114】
これにより、ブローを制御する際に、リアルタイムで測定した実際の缶水の水質分析結果をベースに、ブロー率を調整することが可能となるため、より高い精度でブローを制御することが可能となる。
【0115】
また、ボイラシステム1は、ボイラ20に設置され、ボイラ情報を取得するボイラ情報取得装置201を更に備え、比較部101は、ボイラ情報取得装置201によって取得されたボイラ情報と水質分析情報とを比較してもよい。
【0116】
これにより、ボイラ情報取得装置201がボイラ20に設置されることで、ボイラ20自身からダイレクトでボイラ情報を取得することが可能となる。
【0117】
また、ボイラシステム1は、負荷機器70が蒸気SM2を使用することによって凝縮して生じたドレンSM4を、ボイラ20への給水として回収する給水タンク5と、ドレンSM4を給水タンク5に回収する回収ラインL6と、通水量を含む水処理機器情報を取得する水処理機器情報取得装置31と、給水に復水処理剤を投入する復水処理剤投入装置55と、を備え、制御部10は、ボイラ情報に含まれる給水量と通水量との差分に基づいて、ドレン回収率を算出する回収率算出部104と、ドレン回収率に基づいて、前記復水処理剤投入装置による復水処理剤の投入量を調整する処理剤投入制御部105Bと、を備えてもよい。
【0118】
これにより、ボイラ20への給水量と硬水軟化装置3の通水量の差からドレン回収率を把握することができ、復水処理剤の投入量を適切に調整できる。
【0119】
また、ボイラシステム1は、給水にスケール分散剤を投入する分散剤投入装置53を更に備え、ボイラ情報は、水管温度を含み、制御部10は、水管温度に基づいて、分散剤投入装置53によって投入されるスケール分散剤の投入を調整する分散剤投入制御部105Cを備えてもよい。
【0120】
これにより、水管温度が規定値に達した場合、給水W1にスケール分散剤を投入し、水管へのスケール付着を防止することが可能となる。
【0121】
〔4 変形例〕
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0122】
上述した実施形態において、ボイラシステム1は、硬水軟化装置3を備えるとしたが、これには限定されない。例えば、ボイラシステム1は、硬水軟化装置3を備えない構成としてもよく、硬水軟化装置3の代わりに、除鉄除マンガン装置や、ろ過装置などの水処理機器を備えてもよい。
【0123】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。