【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 2019年7月12日 刊行物 カウンター無煙排気装置SALT0708パンフレット、第4頁 公開者 サンタ株式会社
【課題】空力騒音発生の抑制、排気装置稼働時のエネルギー消費の抑制、及び、加熱調理器具に近い位置にある排気装置の高温化の抑制を実現することができる吸い込みヘッドを提供すること。
垂下管11の先端に取り付けられる取付部2と、取付部2から加熱調理器具に向かって伸びる延伸部3とを有し、延伸部3の下端には、第一吸引口4が設けられ、この第一吸引口4の上方に第二吸引口5が設けられ、垂下管11の横断面積に比べて、第一吸引口4の横断面積が小さくなっている。
取付部の下端の横断面積は、延伸部の筒体部分の横断面積よりも大きくなっており、取付部の下端と延伸部の筒状部分との間に生じる隙間が第二吸引口となっていることを特徴とする請求項3に記載の吸い込みヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、一人又は少人数で焼き肉を楽しみたいという需要がある。この需要に合わせて焼き面が従来に比べて小さい加熱調理器具が開発されている。この焼き面が従来に比べて小さい加熱調理器具に対応する排気装置も開発が進んでいる。
【0006】
局所排気理論上、加熱調理器具の焼き面が小さいため、排気装置の吸引口の横断面積を小さくしても煙を排気できる。排気装置の吸引口の横断面積を小さくできれば、加熱調理器具を囲んで座る人々の視界が必要以上に遮られることがない排気装置を実現することができる。
【0007】
しかし、排気装置の吸引口の横断面積を小さくすると、吸引口を通過する空気の流速が上がり、空力騒音が発生するという問題がある。
【0008】
また、排気装置の吸引口の横断面積を小さくすると、排気用のダクトから出る空気に対して、排気用のダクトに入る空気が極端に少なくなり、排気用のダクト内で負圧が発生する。この負圧によってファンに負荷がかかってしまう場合や、負圧が発生しても十分な排気能力を有するファンが必要になる場合がある。そのため、排気装置稼働時のエネルギー消費が大きくなるという問題もある。
【0009】
さらに、加熱調理器具から発生する熱も吸引することになるため、加熱調理器具に近い位置にある排気装置が高温となり、その高温となった部分に人体が触れた場合にやけどする可能性があるという問題もある。特に焼肉店等の飲食店で加熱調理器具の近くで配膳等を行う店員にとっては、排気装置が高温となることは危険である。
【0010】
そこで、上記問題を解決すべく、本発明は、空力騒音発生の抑制、排気装置稼働時のエネルギー消費の抑制、及び、加熱調理器具に近い位置にある排気装置の高温化の抑制を実現することができる吸い込みヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の吸い込みヘッドは、加熱調理器具の上方に配設され、排気用のダクトに接続されている垂下管の先端に着脱可能となっている吸い込みヘッドであって、垂下管の先端に取り付けられる取付部と、取付部から加熱調理器具に向かって伸びる延伸部とを有し、延伸部の下端には、第一吸引口が設けられ、この第一吸引口の上方に第二吸引口が設けられ、垂下管の横断面積に比べて、第一吸引口の横断面積が小さくなっている。
【0012】
請求項1の吸い込みヘッドによれば、垂下管の横断面積に比べて、第一吸引口の横断面積が小さくなっている。しかしながら、第二吸引口も設けられていることによって、第一吸引口を通過する空気の流速が上がることを抑制することができ、空力騒音発生の抑制することができる。
【0013】
請求項1の吸い込みヘッドによれば、垂下管の横断面積に比べて、第一吸引口の横断面積が小さくなっている。しかしながら、第一吸引口と第二吸引口の両方が設けられていることによって、排気用のダクトにから出る空気に対して、排気用のダクトに入る空気をある程度確保することができる。そのため、排気用のダクト内で負圧発生を抑制することができ、ファンを省力化して、排気装置稼働時のエネルギー消費を抑制することができる。
【0014】
ファンが省力化できれば、ファンの排気量を減少させることができる。このファンの排気量の減少によって、排気装置に取り付けられるグリスフィルターを小さくすることができる。これにより、排気装置全体を小さくすることができる。さらに、ファンが省力化できれば、排気装置のイニシャルコスト・ランニングコスト等を削減することができる。
【0015】
請求項1の吸い込みヘッドによれば、加熱調理器具に近い位置に第一吸引口があり、その第一吸引口の上方の垂下管の先端に近い位置に第二吸引口がある。第一吸引口で吸引しきれなかった煙は第二吸引口で吸引される。
【0016】
加熱調理器具で発生した熱は、空気とともに第一吸引口から吸引される。吸引された空気が延伸部の内部を上昇中に熱伝導によって延伸部に熱が移動する。排気温度を低下させることができる。
【0017】
さらに、第二吸引口での吸引によって、延伸部の周囲の空間において、延伸部に沿って上昇する空気の流れも生じる。この空気の流れによって、延伸部も効果的に放熱することができる。
【0018】
第二吸引口は、第一吸引口に比べて、加熱調理器具から離れた位置にある。そのため、第二吸引口の周囲の空間にある温度の低い空気も併せて吸引し、排気温度の低下を促進させることができる。
【0019】
請求項2の吸い込みヘッドは、請求項1の吸い込みヘッドにおいて、取付部と延伸部とは、分離可能となっている。
【0020】
請求項2の吸い込みヘッドによれば、請求項1の吸い込みヘッドと同様の作用に加えて、吸い込みヘッドが垂下管の先端に着脱可能で、さらに、吸い込みヘッドの取付部と延伸部とが分離可能となっている。これにより、分離した取付部と延伸部とをそれぞれ洗浄することができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
【0021】
請求項3の吸い込みヘッドは、請求項1又は2の記載の発明に吸い込みヘッドにおいて、延伸部は筒体部分を有し、この延伸部の筒体部分の側周面に第三吸引口が設けられている。
【0022】
請求項3の吸い込みヘッドによれば、請求項1又は2の吸い込みヘッドと同様の作用に加えて、第一吸引口で吸引しきれなかった煙を、第三吸引口で吸引するとともに、第三吸引口でも吸引しきれなかった煙を延伸部に沿って上昇するように近づけて、第二吸引口へ誘導する流れを形成する。
【0023】
請求項4の吸い込みヘッドは、取付部の下端の横断面積は、延伸部の筒体部分の横断面積よりも大きくなっており、取付部の下端と延伸部の筒状部分との間に生じる隙間が第二吸引口となっている。
【0024】
請求項4の吸い込みヘッドによれば、請求項3の吸い込みヘッドと同様の作用に加えて、延伸部の筒体部分に沿って上昇する空気の流れに乗った煙を、確実に捕捉し吸引することができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1から4の吸い込みヘッドは、空力騒音発生の抑制、排気装置稼働時のエネルギー消費の抑制、及び、加熱調理器具に近い位置にある排気装置の高温化の抑制を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態の吸い込みヘッド1を各図面に基づいて説明する。
【0028】
図1に示すように、排気装置10は、排気用のダクト(図示せず)と、この排気用のダクトに接続されている垂下管11と、垂下管11の先端に着脱可能となっている吸い込みヘッド1を有する。
【0029】
本実施形態の吸い込みヘッド1を有する排気装置10の排気量は150m
3/hであり、静圧は100Paである。
【0030】
垂下管11は、横断面が円形の筒体である。垂下管11の途中には内部にグリスフィルターが設けられている。
【0031】
吸い込みヘッド1は、卓上の加熱調理器具12の上方に配設されている。
【0032】
吸い込みヘッド1は、垂下管11の先端に取り付けられる取付部2と、取付部2から加熱調理器具12に向かって伸びる延伸部3とを有する。
【0033】
図2に示すように、取付部2と延伸部3とは、分離可能となっている。
【0034】
取付部2は、横断面が円形でスリーブ状となっている。取付部2は、垂下管11の先端が挿入された状態で垂下管11に対して固定可能となっている。
【0035】
垂下管11の下端には、
図2に示すように、上下反転させた略J字の切り欠き13が複数個所に設けられれている。取付部2の内周面には、
図4に示すように、内側に向かって突出する突起22が設けられている。突起22は、切り欠き13に対応する位置及び個数となっている。
【0036】
取付部2の突起22が、垂下管11の上下反転させた略J字の切り欠き13の開口から奥に到達するように取付部2を動かすことで、取付部2は、垂下管11の先端が挿入された状態で垂下管11に対して固定できるようになっている。取付部2を取り外す際には、垂下管11の上下反転させた略J字の切り欠き13に沿って奥から開口に向かうように、取付部2を動かせばよい。
【0037】
図5に示すように、取付部2の下端は内側に折り返された油受け21が設けられている。垂下管11の内周面及び取付部2の内周面に付着して垂れてきた油は、この油受け21に溜めることができるようになっている。
【0038】
延伸部3は、横断面が円形の筒体部分31と、筒体部分31の上端から筒体部分31の軸線を中心に放射方向に突出する突出片32とを有する。本実施形態では、3方向に突出片32が突出している。
【0039】
延伸部3の筒体部分31の下端は、第一吸引口4となっている。垂下管11の横断面積に比べて、第一吸引口4の横断面積が小さくなっている。
【0040】
図1、
図4及び
図5に示すように取付部2の下端の横断面積は、延伸部3の筒体部分31の横断面積よりも大きくなっている。取付部2の下端と延伸部3の筒体部分31との間に生じる隙間が第二吸引口5となっている。
【0041】
第一吸引口4と第二吸引口5とは、上下に異なる位置に設けられている。具体的には、第一吸引口4と第二吸引口5との距離は、取付部2から延出する延伸部3の筒体部分31の軸線方向の長さ分となっている。
【0042】
図1に示すように、取付部2から延出する延伸部3の筒体部分31の軸線方向の長さをLとし、垂下管11の内径をDとした場合、このLをDで割った比率が0.75以上から4以下の範囲となっている。LをDで割った比率が上記範囲であれば、第一吸引口4で吸引しきれなかった煙のほとんどを第二吸引口5で吸引できる。
【0043】
延伸部3の筒体部分31の側周面に第三吸引口6が設けられている。
【0044】
延伸部3の筒体部分31は、上端側から下端側に向かっていくに従って、横断面積が減少している部分を有している。延伸部3の筒体部分31は、側面視で先細りしている形状となっている。
【0045】
取付部2と延伸部3とを組み立てて、垂下管11の先端に取り付ける場合について、以下に説明する。
【0046】
延伸部3の筒体部分31は、油受け21が設けられている取付部2の下端を通過可能な横断面積となっている。
【0047】
延伸部3を取付部2の上端側から挿入すると、延伸部3の筒体部分31は下端から順に油受け21が設けられている取付部2の下端を通過していく。
【0048】
延伸部3の筒体部分31の上端は、突出片32が取付部2の油受け21に引っかかって、延伸部3が取付部2から抜けないようになっている。換言すると、延伸部3の筒体部分31の上端及び突出片32が取付部2の油受け21に架け渡された状態となる。突出片32は、前述のように3方向に突出しているため、突出片32が存在しない隙間が第二吸引口5として気体等が通過することができるようになっている。
【0049】
延伸部3が引っかかった取付部2を垂下管11の先端に取り付けると、
図1に示すように、延伸部3の筒体部分31が取付部2から加熱調理器具12に向かって延びていることとなる。
【0050】
垂下管11の先端から取り外して、取付部2と延伸部3とを分離する場合について、以下に説明する。
【0051】
垂下管11の先端から延伸部3が引っかかった取付部2を取り外す。
【0052】
取り外した取付部2から延びている延伸部3の下端が、取付部2の下端に近づくように延伸部3を取付部2に対して上昇させていく。
【0053】
延伸部3の筒体部分31は上端から順に取付部2の上端を通過していく。
【0054】
取付部2の上端から通過した部分を把持して、さらに、延伸部3を取付部2に対して上昇させていく。
【0055】
取付部2の上端を延伸部3の下端が抜けることによって、取付部2と延伸部3とを容易に分離することができる。
【0056】
加熱調理器具12で発生する熱及び煙の吸引について、以下に説明する。
【0057】
加熱調理器具12で発生する熱及び煙は、加熱調理器具12から上昇する過程で、第一吸引口4に吸引によって生じる気体の流れの速度分布の影響を受ける。
【0058】
熱及び煙は、第一吸引口4に吸引によって生じる気体の流れの速度分布において、第一吸引口4に吸引するために必要な気体の速度以上の範囲に達すると、第一吸引口4に強制的に吸引されることとなる。
【0059】
第一吸引口4に吸引しきれなかった熱及び煙があったとしても、第一吸引口4による吸引によって延伸部3に引き寄せられ、拡散が抑制されながら上昇することとなる。
【0060】
第一吸引口4に吸引しきれなかった熱及び煙は、さらに上昇する過程で、第三吸引口6の吸引によって生じる気体の流れの速度分布の影響を受ける。
【0061】
熱及び煙は、第三吸引口6に吸引によって生じる気体の流れの速度分布において、第三吸引口6に吸引するために必要な気体の速度以上の範囲に達すると、第三吸引口6に強制的に吸引されることとなる。
【0062】
第三吸引口6に吸引しきれなかった熱及び煙があったとしても、第三吸引口6による吸引によって延伸部3に引き寄せられ、拡散が抑制されながら上昇することとなる。
【0063】
第三吸引口6に吸引しきれなかった熱及び煙は、さらに上昇する過程で、第二吸引口5の吸引によって生じる気体の流れの速度分布の影響を受ける。
【0064】
熱及び煙は、第二吸引口5に吸引によって生じる気体の流れの速度分布において、第二吸引口5に吸引するために必要な気体の速度以上の範囲に達すると、第二吸引口5に強制的に吸引されることとなる。
【0065】
排気装置を一定時間連続稼働している状態では、加熱調理器具12上において、第一吸引口4、第二吸引口5及び第三吸引口6の吸引の影響で、それぞれの吸引口に吸引される気体の流れが生じ続けるため、熱及び煙が拡散することをより効果的に抑制することができる。
【0066】
上記実施形態では、吸い込みヘッド1を有する排気装置10の排気量は150m
3/hであり、静圧は100Paである場合について説明したが、これに限定されることはない。本発明の吸い込みヘッドを有する排気装置の排気量及び静圧は、当然設置環境等によって自由に設定できる。
【0067】
上記実施形態では、吸い込みヘッド1は、卓上の加熱調理器具12の上方に配設されている場合について説明したが、これに限定されることはない。吸い込みヘッドは埋め込み式の加熱調理器具の上方に配設されていてもよい。
【0068】
上記実施形態では、垂下管11、取付部2、延伸部3の横断面が円形の場合について説明したが、これに限定されることはない。垂下管、取付部、延伸部の横断面、例えば、三角形、四角形等の多角形であってもよい。
【0069】
上記実施形態では、取付部2と延伸部3とは、分離可能となっている場合について説明したが、これに限定されることはない。取付部と延伸部とが一体となっていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、延伸部3の筒体部分31の側周面に第三吸引口6が設けられている場合について説明したが、これに限定されることはない。吸い込みヘッドには、第一吸引口と第二吸引口のみが設けられていてもよい。
【0071】
上記実施形態では、取付部2の下端と延伸部3の筒体部分31との間に生じる隙間が第二吸引口5となっている場合について説明したが、これに限定されることはない。第二吸引口は、第一吸引口より上方の延伸部の側周面又は取付部の側周面に設けられていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、延伸部3の下端の構成について詳細に説明しなかったが、延伸部の下端の内周面には、油受けがさらに設けられていてもよい。延伸部の内周面に付着して垂れてきた油は、この油受けに溜めることができる。