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特開2021-162378臭気検出装置、臭気検出方法、臭気検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-162378(P2021-162378A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】臭気検出装置、臭気検出方法、臭気検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/00 20060101AFI20210913BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   G01N33/00 C
   A61L9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-61869(P2020-61869)
(22)【出願日】2020年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼上 斉
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180BB11
4C180KK01
4C180MM07
(57)【要約】
【課題】車室内空間における臭気強度の増大を予測する技術を提供する。
【解決手段】空間内の臭気物質による臭気の程度を示す臭気強度を出力する臭気センサから前記臭気強度を取得する取得部と、前記取得部から前記臭気強度を取得し、前記臭気強度の変化に基づいて、前記臭気強度が第1閾値を超える時刻である第1時刻を予測する制御部と、を備える臭気検出装置とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間内の臭気物質による臭気の程度を示す臭気強度を出力する臭気センサから前記臭気強度を取得する取得部と、
前記取得部から前記臭気強度を取得し、前記臭気強度の変化に基づいて、前記臭気強度が第1閾値を超える時刻である第1時刻を予測する制御部と、
を備える臭気検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記臭気強度が前記第1閾値よりも小さい第2閾値を超えた場合、前記臭気強度が前記第2閾値を超えた時刻において取得した第1臭気強度と、前記第2閾値を超えた時刻から所定時間経過後に、前記取得部より取得した第2臭気強度とを比較し、前記第2臭気強度が前記第1臭気強度より所定値以上増加している場合、前記第1臭気強度及び前記第2臭気強度に基づいて、前記第1時刻を予測する、
請求項1に記載の臭気検出装置。
【請求項3】
取得部及び制御部を備える臭気検出装置が、
前記取得部に、空間内の臭気物質による臭気の程度を示す臭気強度を取得させ、
前記制御部に、前記取得部により取得された前記臭気強度の変化に基づいて、前記臭気強度が第1閾値を超える時刻である第1時刻を予測させる、
ことを実行する臭気検出方法。
【請求項4】
臭気検出装置と、サーバとを含む臭気検出システムであって、
前記臭気検出装置は、
空間内の臭気物質による臭気の程度を示す臭気強度を出力する臭気センサから前記臭気強度を取得する取得部と、
前記取得が取得する前記臭気強度を前記サーバに送信する通信部と、を備え、
前記サーバは、
前記臭気検出装置から前記臭気強度を受信する通信部と、
前記臭気強度の変化に基づいて、前記臭気強度が第1閾値を超える時刻である第1時刻を予測する制御部と、を備える、
臭気検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭気検出装置、臭気検出方法、臭気検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臭気を検出する臭気センサの開発が行われている。臭気センサは、臭気の原因となる物質を検出することで、臭気を検出する。臭気の原因は複数の成分に依存することが知られている。臭気センサは、例えば、臭気の原因となる複数の成分を検出して、臭気の程度を示す臭気強度を出力する。
【0003】
臭気センサの開発が進むにつれて、臭気センサを使用する用途が拡大しており、乗用車等の車両の車室内の臭いを検出するニーズが高まっている。ニーズが高まる背景として、車両の所有形態や使用形態が影響している。特に、タクシー、ハイヤー、レンタカー、シェアカーといった不特定多数の者が利用する車両は、臭気の原因となる様々な物質が集まりやすい環境である。このため、これらの車両では、臭気の発生により、車両の利用者が不快に感じる確率が高くなる。このような利用者の不快感は、苦情の原因となり得る。
【0004】
このため、タクシー等で商用利用している車両の臭気を抑制または消臭するために、定期的に車内清掃(消臭作業)が行われている。しかし、定期的な車内清掃では、例えば、空間の臭気の程度である臭気強度が低い場合でも、清掃が行われることになり、非効率である。特許文献1、2に開示された構成では、空間の臭気の程度を数値化し、数値化された臭気が閾値を超えた場合に清掃作業を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019−97933号公報
【特許文献2】特開2019−17445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
定期的な車内清掃や、数値化された臭気が閾値を超えた場合に清掃作業を行わせた場合、例えば、急激に臭気強度が増加した場合に、臭気強度が高いまま車両を運行することが生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、車室内空間における臭気強度の増大を予測する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
空間内の臭気物質による臭気の程度を示す臭気強度を出力する臭気センサから前記臭気強度を取得する取得部と、
前記取得部から前記臭気強度を取得し、前記臭気強度の変化に基づいて、前記臭気強度が第1閾値を超える時刻である第1時刻を予測する制御部と、
を備える臭気検出装置とする。
【0009】
開示の態様は、プログラムが情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理
装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車室内空間における臭気強度の増大を予測する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態のシステム構成例を示す図である。
図2図2は、車載装置10における臭気検出、臭気予測の動作フロー例を示す図である。
図3図3は、変形例のシステム構成を示す図である。
図4図4は、変形例のサーバ20の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0013】
〔実施形態〕
(構成例)
図1は、本実施形態の車載装置10の構成例を示す図である。車載装置10は、臭気センサ30によって測定された空間内における臭気強度を取得する。
【0014】
臭気センサ30は、例えば、ガス検出センサであって、人や物質等から発生する臭気の原因となる物質(臭気物質)に反応し、当該臭気物質を検出する。臭気センサ30は、車載装置10が搭載される車両の車室内に設けられ、車両内の設備や車両の搭乗者等から発生する臭気の原因となる臭気物質を検出する。つまり、臭気センサ30が臭気を検出する空間は、車載装置が搭載される車両の車室内の空間である。臭気センサ30は、検出した臭気物質の量に基づく臭気の度合いを示す臭気強度を出力する。臭気強度は、数値で表される。臭気センサ30が出力する臭気強度は、値が大きいほど臭気の度合いが強い(より不快な臭いであること)を示す。臭気強度は、例えば、0以上の値で示される。臭気センサ30は、車載装置10の内部に配置してもよい。臭気センサ30は、臭気強度を、車載装置10に出力する。
【0015】
車載装置10は、臭気センサ30から取得した臭気強度に基づいて、臭気強度が所定の閾値を超える時刻を予測する。車載装置10は、制御部102、メモリ104、取得部106、出力部108、格納部110、通信部112を含む。車載装置10は、それぞれ、乗用車などの車両に搭載される。車両は、例えば、タクシー、ハイヤー、レンタカー、シェアカーなどの商用車両である。車両は、自家用車等であってもよい。車載装置10は、臭気センサ30により出力される車両の車室内の臭気の程度を示す臭気強度に基づいて、臭気強度が所定閾値(人が不快に感じる値)を超える時刻を予測し、出力する。車載装置10は、車両に搭載されるカーナビゲーション装置、PC(Personal Computer)、タブ
レット端末のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。車載装置10は、臭気検出装置の一例である。ここでは、臭気を検出する空間が車両の車室内であるとしているが、臭気を検出する空間は建物内の部屋の1室などの空間等であってもよい。この場合、車載装置10と同様の構成を
有する装置が、当該空間に設置される。
【0016】
制御部102は、車載装置10全体の制御を行うプロセッサである。車載装置10における各処理、各動作は、制御部102によって制御される。制御部102は、格納部110に記憶されたプログラムをメモリ104の作業領域に実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。車載装置10においては、制御部102のプログラムの実行により、臭気検出機能、臭気予測機能等が提供される。なお、制御部102は、単一のプロセッサであっても、マルチプロセッサであってもよい。制御部102は、取得部106が出力した臭気強度を取得し、取得した臭気強度に基づいて、臭気強度が所定の閾値を超える時刻を予測する。
【0017】
メモリ104は、制御部102がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりする記憶媒体である。メモリ104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリである。メモリ104に格納される情報は、格納部110に格納されてもよい。
【0018】
取得部106は、臭気センサ30によって測定された車室内における臭気強度を取得する。取得部106は、取得した臭気強度を、制御部102に出力する。
【0019】
出力部108は、画像データを記憶するメモリ、画像データを演算処理する演算回路等を備え、制御部102等の制御信号に基づいて、画像信号に対して輝度、色調、コントラストなどを調整する。出力部108は、画像信号に基づく表示画像を車載装置10が備えるLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)等の表示装置に出力する。なお、表示装置には、車載装置10を搭載する車両のフロントガラスに映像を投影するHUD(Head Up Display)等が含まれてもよい。また、出力部108は、音
声データを記憶するメモリ、音声データを演算処理する演算回路、増幅回路、減衰回路、共振回路等を備え、制御部102等の制御信号に基づいて音声信号に対し、音量、音声を調整する。出力部108は、所定の処理が施された音声信号をスピーカに出力する。スピーカは、出力部108から出力された音声信号を音声として出力する。
【0020】
格納部110は、制御部102等により実行されるプログラム、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。格納部110は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)、SS
D(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等である。格納部110に格納される情報は、メモリ104に格納されてもよい。格納部110は、臭気センサ30から出力される臭気強度、臭気強度の閾値(人が不快に感じる値)等を格納する。
【0021】
通信部112は、外部通信ネットワークとの間の無線通信のための通信インタフェースである。通信部112は、セルラ網、無線LAN、又は、LPWA(Low Power
Wide Area)等の通信規格に準拠する通信モジュールを含む。車載装置10は、通信部112を介して接続された外部装置等と通信し得る。通信部112は、車載装置10に通信可能に接続される外部装置であってもよい。
【0022】
(動作例)
図2は、車載装置10における臭気検出、臭気予測の動作フロー例を示す図である。図2の動作フローは、車載装置10が搭載される車両が起動した後に、開始される。図2の動作フローは、車載装置10が搭載される車両が起動している間、繰り返し実行される。車載装置10は、臭気センサ30による臭気強度が所定閾値を超える時刻を予測する。
【0023】
S101では、車載装置10の制御部102は、臭気強度の第1閾値(人が不快に感じ
る値)を設定する。制御部102は、格納部110に格納される臭気強度の第1閾値を取得し、第1閾値を設定する。第1閾値は、固定値であってもよいし、車両の形式、日付(月日、車両が清掃された後の稼働日数等)、天候(気温、湿度等)等に依存して変化する値であってもよい。臭気強度の人が不快に感じる値は、様々な条件によって変化しうるからである。また、制御部102は、第1閾値に基づいて、第1閾値を超える時刻を予測するトリガーとなる臭気強度の値(第2閾値)を設定する。第2閾値は、第1閾値よりも低い値である。第2閾値は、例えば、第1閾値の70%の値として設定される。制御部102は、第1閾値、第2閾値を通信部112を介して、他の情報処理装置等から取得してもよい。
【0024】
S102では、制御部102は、取得部106から車両内の臭気物質に基づく臭気強度を取得する。制御部102は、臭気センサ30に臭気物質の検出をさせる。臭気センサ30は、車両内の臭気物質を検出し、検出した臭気物質の量に基づく臭気強度を取得部106に出力する。制御部102は、臭気センサ30が出力した臭気強度を、取得部106を介して取得し、格納部110に格納する。制御部102(または取得部106)は、臭気強度を現在時刻に対応付けて格納部110に格納してもよい。S102の処理は、所定周期ごと(例えば、1分ごと)に行われる。当該所定周期は1分に限定されるものではない。
【0025】
S103では、制御部102は、S102で取得した臭気強度が第1閾値以上であるか否かを判定する。臭気強度が第1閾値以上である場合(S103;YES)、処理がS104に進む。臭気強度が第1閾値未満である場合(S103;NO)、処理がS103に進む。
【0026】
S104では、制御部102は、制御部102は、車両内の臭気強度が第1閾値を超える時刻(予測時刻)を、現在の時刻とする。制御部102は、出力部108により、予測時刻を出力する。具体的な予測時刻の出力方法は、後述する。その後、制御部102は、処理をS109に進める。
【0027】
例えば、車室内に放置された食物が腐敗した場合のように、車両の起動直後に臭気強度が第1閾値以上であることも考えられる。この場合、制御部102は、予測時刻を現在時刻として出力する。このため、車両の起動直後に臭気強度が第1閾値以上である場合、直ちに予測時刻を出力することができる。
【0028】
S105では、制御部102は、S102で取得した臭気強度が第2閾値以上であるか否かを判定する。臭気強度が第2閾値以上である場合(S105;YES)、処理がS106に進む。臭気強度が第2閾値未満である場合(S105;NO)、処理がS109に進む。
【0029】
S106では、制御部102は、S102における臭気物質の検出から所定時間経過後に、臭気センサ30から車両内の臭気物質に基づく臭気強度を、取得部106を介して、取得する。当該所定時間は、例えば、10秒である。当該所定周期は10秒に限定されるものではない。制御部102は、臭気センサ30に臭気物質の検出をさせる。臭気センサ30は、車両内の臭気物質を検出し、検出した臭気物質の量に基づく臭気強度を取得部106に出力する。取得部106は、臭気センサ30から出力される臭気強度を取得する。制御部102は、臭気センサ30から取得部106を介して取得した臭気強度を、格納部110に格納する。制御部102は、臭気強度を現在時刻に対応付けて格納部110に格納してもよい。S102における所定周期とS106における所定時間とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0030】
S107では、制御部102は、S106で取得した臭気強度とS102で取得した臭気強度とを比較して、S106で取得した臭気強度がS102で取得した臭気強度に対して所定値以上増加したか否かを判定する。所定値は、例えば、第1閾値の3%の値である。所定値は、この値に限定されるものではない。所定値以上増加することは、臭気強度が急激に増大しており、まもなく臭気強度が第1閾値に達する可能性があることを示す。所定値以上増加した場合(S107;YES)、処理がS108に進む。所定値以上増加していない場合(S107;NO)、処理がS109に進む。
【0031】
S108では、制御部102は、車両内の臭気強度が第1閾値を超える時刻(予測時刻)を算出する。制御部102は、例えば、臭気強度が一定の割合で増加すると仮定して、予測時刻を算出する。ここで、S102における臭気強度をA、S106における臭気強度をB、S106における所定時間をΔt(S102において臭気強度を検出した時刻とS106において臭気強度を検出した時刻との差)、S102において第2閾値以上の臭気強度を検出した時刻をt0、第1閾値をCとする。このとき、制御部102は、臭気強度が第1閾値を超える時刻(予測時刻)を、t0+(C−A)/((B−A)/Δt)と算出する。(B−A)/Δtは、単位時間あたりの臭気強度の増加量を示す値(傾き、増大割合)である。ここでは、第2閾値をD、S107における所定値をEとすると、制御部102は、臭気強度が第2閾値以上になったときから(C−D)/(E/Δt)の時間を経過する前に第1閾値を超えると予想される場合に、第1閾値を超える時刻を算出する。即ち、制御部102は、臭気強度が第2閾値以上になり、臭気強度の増大割合が(E/Δt)以上である場合に、第1閾値を超える時刻を算出する。制御部102は、臭気強度が第2閾値以上になり臭気強度の増大割合が(E/Δt)以上である場合に、近いうちに(臭気強度が第2閾値以上になったときから(C−D)/(E/Δt)の時間を経過する前に)臭気強度が第1閾値を超えると判断している。
【0032】
制御部102は、出力部108により、算出した予測時刻を出力する。出力部108は、表示装置に予測時刻を表示させたり、予測時刻を音声によりスピーカから出力させたりする。車両の運転者等は、臭気強度が第1閾値を超える時刻を、臭気強度が第1閾値を超える前に、認識することができる。また、制御部102は、通信部112を介して、車両の車載装置10や車両を管理する事業者(例えば、タクシー会社)の情報処理装置等に、予測時刻を送信してもよい。これにより、車両の運転者や車両を管理する事業者は、車両の清掃の手配等を車両内の臭気強度が第1閾値を超える前に行うことができる。
【0033】
S109では、制御部102は、図2の動作フローにおける処理が終了するか否かを判定する。制御部102は、車載装置10が搭載される車両のイグニッションスイッチが切られること等により車両の運転操作の停止を検知した場合、図2の動作フローにおける処理が終了すると判断する(S109;YES)。車両の運転操作等が継続しており終了しない場合(S109;NO)、処理がS102に戻る。
【0034】
(実施形態の作用、効果)
車載装置10は、臭気センサ30により、車両内の臭気強度を取得部106を介して取得する。車載装置10は、車両内における臭気強度が人が臭いと感じる第1閾値よりも低い第2閾値を超え、さらに臭気強度の増大割合(傾き)が所定値以上である場合に、臭気強度が第1閾値を超える時刻を予測し出力する。これにより、車載装置10は、近いうちに臭気強度が第1閾値を超えると予測される場合に、第1閾値を超える時刻を算出することができる。車載装置10が搭載される車両の運転者等は、臭気強度が第1閾値を超える前に、超える予測時刻を認識することができる。車両の運転者等は、車両の清掃作業や車両内の空気の入れ替え等を行うことにより、臭気強度が第1閾値を超えることを回避したり先延ばししたりすることができる。また、車両の運転者等は、臭気強度が第1閾値を超える時期を認識できることで、車両内の臭気を除去するための清掃作業を効率的に実施す
ることができる。
【0035】
〔変形例〕
上記の実施形態の変形例を説明する。変形例は、上記の実施形態と共通点を有する。ここでは、主として、上記の実施形態と相違点について説明し、共通点については説明を省略する。
【0036】
(変形例の構成例)
図3は、変形例のシステム構成を示す図である。本実施形態のシステムは、車載装置10、サーバ20、臭気センサ30を含む。サーバ20と、車載装置10とは、通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。車載装置10は、1つに限定されるものではなく、複数の車載装置が存在してもよい。サーバ20は、例えば、車両を管理する事業者(例えば、車両がタクシーである場合にタクシー会社)に設置される。
【0037】
図4は、変形例のサーバ20の構成例を示す図である。サーバ20は、制御部202、メモリ204、出力部206、格納部208、通信部210を含む。サーバ20は、臭気強度の所定閾値を車載装置10に送信し、車載装置10が予測した車載装置10の車両内で臭気強度を超える時刻を受信する。サーバ20は、PC(Personal Computer)、ワー
クステーション(WS、Work Station)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。
【0038】
制御部202は、サーバ20全体の制御を行うプロセッサである。サーバ20における各処理、各動作は、制御部202によって制御される。制御部202は、格納部208に記憶されたプログラムをメモリ204の作業領域に実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。サーバ20においては、制御部202のプログラムの実行により、所定の機能等が提供される。なお、制御部202は、単一のプロセッサであっても、マルチプロセッサであってもよい。
【0039】
メモリ204は、制御部202がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりする記憶媒体である。メモリ204は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリである。メモリ204に格納される情報は、格納部208に格納されてもよい。
【0040】
出力部206は、画像データを記憶するメモリ、画像データを演算処理する演算回路等を備え、制御部202等の制御信号に基づいて、画像信号に対して輝度、色調、コントラストなどを調整する。出力部206は、画像信号に基づく表示画像を、出力部206に接続されるLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)等の表示装置に出力する。また、出力部206は、音声データを記憶するメモリ、音声データを演算処理する演算回路、増幅回路、減衰回路、共振回路等を備え、制御部202等の制御信号に基づいて音声信号に対し、音量、音声を調整する。出力部206は、所定の処理が施された音声信号をスピーカに出力する。スピーカは、出力部206から出力された音声信号を音声として出力する。
【0041】
格納部208は、制御部202等により実行されるプログラム、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。格納部110は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)、SS
D(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等である。格納部208に格納される情報は、メモリ204に格納されてもよい。格納部208は、車載装置10から取得される臭気強度等を格納する。
【0042】
通信部210は、外部通信ネットワークとの間の無線通信のための通信インタフェースである。通信部210は、セルラ網、無線LAN等の通信規格に準拠する通信モジュールを含む。サーバ20は、通信部210を介して接続された車載装置10等の外部装置と通信し得る。
【0043】
(変形例の動作例)
上記の実施形態では、車載装置10は、格納部110に格納される第1閾値を取得し、第1閾値を超える予測時刻を算出していたが、変形例では、車載装置10の代わりにサーバ20が、格納部208に格納される第1閾値を取得し、車載装置10が搭載される車両において第1閾値を超える時刻を算出する。サーバ20は、車載装置10に、臭気物質の検出をさせ、臭気強度を送信させる。車載装置10は、サーバ20からの要求に応じて、車両内の臭気強度を、サーバ20に送信する。車載装置10は、サーバ20に臭気強度を定期的に送信してもよい。サーバ20は、車載装置10から送信される臭気強度に基づいて、第1閾値を超える予測時刻を算出する。サーバ20は、算出した予測時刻を格納部208に格納する。サーバ20は、通信部210を介して、算出された予測時刻を車両の車載装置10や車両を管理する事業者(例えば、タクシー会社)の情報処理装置等に送信する。サーバ20は、車両を管理する事業者に設置されてもよい。これにより、車両の運転者や車両を管理する事業者は、車両の清掃の手配等を車両内の臭気強度が第1閾値を超える前に行うことができる。また、車両を管理する事業者が、車両の運転者等に、車両内の臭気強度が第1閾値を超える前に、臭気強度が第1閾値を超えそうであることを通知することができる。
【0044】
〈コンピュータ読み取り可能な記録媒体〉
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0045】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体内には、CPU、メモリ等のコンピュータを構成する要素を設け、そのCPUにプログラムを実行させてもよい。
【0046】
また、このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0047】
また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0048】
(その他)
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、各構成の組み合わせなど、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 : 車載装置
102: 制御部
104: メモリ
106: 臭気センサ
108: 出力部
110: 格納部
112: 通信部
20 : サーバ
202: 制御部
204: メモリ
206: 出力部
208: 格納部
30 : 臭気センサ
図1
図2
図3
図4