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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-162423(P2021-162423A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】ガスセンサの組立方法および筒状体
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20210913BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-62794(P2020-62794)
(22)【出願日】2020年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】中根 雄隆
(72)【発明者】
【氏名】江川 浩二
(72)【発明者】
【氏名】牧 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BC02
2G004BM07
(57)【要約】
【課題】筒状体内部における部材の固定と気密封止が好適に実現されるガスセンサの組立方法を提供する。
【解決手段】筒状体が、最奥部が縮径された円筒状の内空間を有する主部と、主部の一方端部から主部の軸線方向に沿って延在する主部よりも薄肉の延在部と、を備え、延在部が、主部の内空間を形成している面と主部の軸線方向において連続する内面と、先端に向かうほど延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす外面と、内面から連続し、先端に向かうほど延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす傾斜面と、を有することにより、先端ほど先細となるようにし、屈曲工程においては、延在部の先端が所定の屈曲手段に備わる曲面状の窪みに当接させられた状態でさらに屈曲手段から押圧されることによって、窪みをなす曲面に倣って変形されることにより、延在部が屈曲させられる、ようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス製のセンサ素子を備えるガスセンサの組立方法であって、
2つのセラミックサポータとセラミックス粒子の成型体とを少なくとも含む複数の環装部品を、前記2つのセラミックサポータが両端に位置するように前記センサ素子に環装し、環装体を得る環装体準備工程と、
最奥部が縮径された円筒状の内空間を有する主部と、前記主部の一方端部から前記主部の軸線方向に沿って延在する前記主部よりも薄肉の延在部と、を備える筒状体を、前記環装体に対し環装することにより、前記センサ素子を前記筒状体の軸中心位置において軸方向に貫通させつつ前記筒状体の内空間に前記複数の環装部品を収容する収容工程と、
前記2つのセラミックサポータの一方を所定の押圧手段で押圧することにより、前記成型体を圧縮し、前記内空間において前記センサ素子の第1の端部側と第2の端部側との間を前記セラミックス粒子からなる圧粉体にて気密に封止する封止工程と、
前記筒状体の前記延在部を軸中心に向けて屈曲させることによりかしめ部を形成し、前記かしめ部にて前記複数の環装部品を押圧することにより前記複数の環装部品を前記内空間にて固定する屈曲工程と、
を備え、
前記延在部は、
前記主部の内空間を形成している面と前記主部の軸線方向において連続する内面と、
先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす外面と、
前記内面から連続し、前記先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす傾斜面と、
を有することにより、前記先端ほど先細となっており、
前記屈曲工程においては、前記延在部の前記先端が所定の屈曲手段に備わる曲面状の窪みに当接させられた状態でさらに前記屈曲手段から押圧されることによって、前記窪みをなす曲面に倣って変形されることにより、前記延在部が屈曲させられる、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項2】
請求項1に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記延在部が、曲率半径が0.2mm〜0.4mmの曲面である最先端部を有してなり、前記外面と前記傾斜面とがそれぞれ、前記最先端部と接続してなる、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記傾斜面の開き角が26°〜38°である、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のガスセンサの組立方法であって、
前記外面の開き角が2°〜8°である、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項5】
請求項4に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記筒状体の前記一方端部の位置における前記延在部の厚みが0.5mm以上0.8mm以下である、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項6】
請求項5に記載のガスセンサの組立方法であって、
前記封止工程後の前記延在部と前記2つのセラミックサポータの一方との高さの差が、0.5mm以上2mm以下である、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のガスセンサの組立方法であって、
前記屈曲工程においては、前記屈曲手段における前記延在部の被当接部が、前記延在部の前記先端側からみて上に凸の曲面をなしている、
ことを特徴とする、ガスセンサの組立方法。
【請求項8】
セラミックス製のセンサ素子を備えるガスセンサにおいて、前記センサ素子に環装された複数の環装部品の固定と前記センサ素子の第1の端部側と第2の端部側との間の気密封止とに用いられる筒状体であって、
最奥部が縮径された円筒状の内空間を有する主部と、
前記主部の一方端部から前記主部の軸線方向に沿って延在する前記主部よりも薄肉の延在部と、
を備え、
前記センサ素子を前記筒状体の軸中心位置において軸方向に貫通させつつ前記筒状体の内空間に前記複数の環装部品が収容可能とされており、
前記延在部が、
前記主部の内空間を形成している面と前記主部の軸線方向において連続する内面と、
先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす外面と、
前記内面から連続し、前記先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす傾斜面と、
を有することにより、前記先端ほど先細となっている、
ことを特徴とする、筒状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス製のセンサ素子を備えるガスセンサの組み立てに関し、特に組み立てに用いる筒状体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のエンジン等の内燃機関における燃焼ガスや排気ガス等の被測定ガス中の所定のガス成分の濃度を測定する装置として、ジルコニア(ZrO)等の酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスを用いてセンサ素子を形成したガスセンサが公知である。
【0003】
係るガスセンサにおいては、通常、セラミックス製の長尺板状のセンサ素子(検出素子)が、いずれも金属製であり溶接により一体化されてなるハウジングと内筒とからなる筒状体の内部(中空部)において、複数のセラミック製の碍子であるセラミックサポータと、これらセラミックサポータの間にそれぞれ充填されたタルク等のセラミックスの圧粉体とによって固定され、圧粉体によって素子両端部の間を気密封止されてなる構成を有する。このようなガスセンサを好適に組み立てることが出来る方法および装置が既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、筒状体内に配置され、センサ素子の固定に用いられていたセラミックサポータの一部を省略することにより、特許文献1に開示された(従来の)ガスセンサ(以下、従来品)よりも短尺化が図られたガスセンサ(以下、短尺化品)も、すでに公知である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−173360号公報
【特許文献2】特許第6317145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来品では、センサ素子を固定する部材として、3つのセラミックサポータと2つの圧粉体とが用いられ、それらが筒状体の内部において交互に配置されていた。また、センサ素子やセラミックサポータ、圧粉体を内部に配置する際に挿入口となる内筒の一方端部側には、内部に配置されたそれらの部材の固定のために、側方からのかしめ(押圧)にて凹部を形成することができる程度の領域が確保されていた。
【0007】
これに対し、特許文献2に開示された短尺品においては、係る従来品からの短尺化を実現するために、2つの圧粉体の間に配置されていたセラミックサポータを1つ省略し、圧粉体が連続する一の範囲に配置されてなる。係る短尺化は、コストダウンや組み立てプロセスの簡略化のほか、セラミックサポータや圧粉体などの環装部品のセンサ素子への環装や、環装部品の外周への筒状体への環装に際し、部品が引っかかってしまうというリスクの低減にも、有効と考えられる。
【0008】
また、側方からかしめを行う態様に代えて、筒状体の上端部に設けた薄肉のかしめ部を屈曲させることで、筒状体内部においてセンサ素子その他を固定する態様も採用されている。係るかしめ部の軸方向の長さは内筒の軸方向の長さよりも短縮されている。
【0009】
しかしながら、係る短尺品を実際に実現するべく、筒状体のかしめ部を内側に屈曲させるには、大きな荷重が必要である。しかも、該かしめ部を均一に折り曲げないと、内部におけるセンサ素子等の固定が不十分となるおそれがある。加えて、均一に荷重を印加しないと、応力集中が生じて、センサ素子の位置ずれなどが生じてしまうという問題もある。
【0010】
特許文献2には、これらの点に具体的に対処する手法につき、何ら具体的な言及はなされていない。
【0011】
また、従来と同様、センサ素子の両端部の間における気密封止も、十分である必要がある。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、筒状体内部におけるセンサ素子などの部材の固定および気密封止が好適に実現される、ガスセンサの組立方法を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、セラミックス製のセンサ素子を備えるガスセンサの組立方法であって、2つのセラミックサポータとセラミックス粒子の成型体とを少なくとも含む複数の環装部品を、前記2つのセラミックサポータが両端に位置するように前記センサ素子に環装し、環装体を得る環装体準備工程と、最奥部が縮径された円筒状の内空間を有する主部と、前記主部の一方端部から前記主部の軸線方向に沿って延在する前記主部よりも薄肉の延在部と、を備える筒状体を、前記環装体に対し環装することにより、前記センサ素子を前記筒状体の軸中心位置において軸方向に貫通させつつ前記筒状体の内空間に前記複数の環装部品を収容する収容工程と、前記2つのセラミックサポータの一方を所定の押圧手段で押圧することにより、前記成型体を圧縮し、前記内空間において前記センサ素子の第1の端部側と第2の端部側との間を前記セラミックス粒子からなる圧粉体にて気密に封止する封止工程と、前記筒状体の前記延在部を軸中心に向けて屈曲させることによりかしめ部を形成し、前記かしめ部にて前記複数の環装部品を押圧することにより前記複数の環装部品を前記内空間にて固定する屈曲工程と、を備え、前記延在部は、前記主部の内空間を形成している面と前記主部の軸線方向において連続する内面と、先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす外面と、前記内面から連続し、前記先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす傾斜面と、を有することにより、前記先端ほど先細となっており、前記屈曲工程においては、前記延在部の前記先端が所定の屈曲手段に備わる曲面状の窪みに当接させられた状態でさらに前記屈曲手段から押圧されることによって、前記窪みをなす曲面に倣って変形されることにより、前記延在部が屈曲させられる、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係るガスセンサの組立方法であって、前記延在部が、曲率半径が0.2mm〜0.4mmの曲面である最先端部を有してなり、前記外面と前記傾斜面とがそれぞれ、前記最先端部と接続してなる、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に係るガスセンサの組立方法であって、前記傾斜面の開き角が26°〜38°である、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の態様は、第1ないし第3の態様のいずれかに係るガスセンサの組立方法であって、前記外面の開き角が2°〜8°である、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の態様は、第4の態様に係るガスセンサの組立方法であって、前記筒状体の前記一方端部の位置における前記延在部の厚みが0.5mm以上0.8mm以下である、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第6の態様は、第5の態様に係るガスセンサの組立方法であって、前記封止工程後の前記延在部と前記2つのセラミックサポータの一方との高さの差が、0.5mm以上2mm以下である、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第7の態様は、第1ないし第6の態様のいずれかに係るガスセンサの組立方法であって、前記屈曲工程においては、前記屈曲手段における前記延在部の被当接部が、前記延在部の前記先端側からみて上に凸の曲面をなしている、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の第8の態様は、セラミックス製のセンサ素子を備えるガスセンサにおいて、前記センサ素子に環装された複数の環装部品の固定と前記センサ素子の第1の端部側と第2の端部側との間の気密封止とに用いられる筒状体であって、最奥部が縮径された円筒状の内空間を有する主部と、前記主部の一方端部から前記主部の軸線方向に沿って延在する前記主部よりも薄肉の延在部と、を備え、前記センサ素子を前記筒状体の軸中心位置において軸方向に貫通させつつ前記筒状体の内空間に前記複数の環装部品が収容可能とされており、前記延在部が、前記主部の内空間を形成している面と前記主部の軸線方向において連続する内面と、先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす外面と、前記内面から連続し、前記先端に向かうほど前記延在部の厚みが小さくなるようなテーパー状をなす傾斜面と、を有することにより、前記先端ほど先細となっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1ないし第8の態様によれば、筒状体の延在部が確実に屈曲させられることにより、筒状体に収容された環装部品の確実な固定と、センサ素子の両端部の間における気密封止とが、実現される。
【0022】
特に、本発明の第2の態様によれば、センサ素子の両端部の間における気密性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態において組立の対象となるガスセンサ100の長手方向に沿った要部断面図である。
図2】素子封止体1の組立途中の様子を示す、z軸方向に沿った断面図である。
図3】素子封止体1の組立途中の様子を示す、z軸方向に沿った断面図である。
図4】素子封止体1の組立途中の様子を示す、z軸方向に沿った断面図である。
図5】かしめ処理の実行前の、筒状体30の延在部32Zとかしめ治具103とのz軸方向に沿った詳細断面図である。
図6】表1に示した各水準の関係を示すグラフである。
図7】最先端部32cの曲率半径Rと気密性試験におけるリーク量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<ガスセンサの構成>
図1は、本発明の実施の形態において組立の対象となるガスセンサ100の(より詳細にはその本体部の)、長手方向に沿った要部断面図である。本実施の形態において、ガスセンサ100とは、その内部に備わるセンサ素子10によって所定のガス成分(例えば、NOx等)を検出するためのものである。なお、図1においては、鉛直方向をz軸方向として示しており、ガスセンサ100の長手方向はz軸方向と一致している(以降の図においても同様)。
【0025】
ガスセンサ100は、主として、センサ素子10と、その周囲に環装されてなる環装部品20と、環装部品20の周囲にさらに環装され、該環装部品20を収容してなる筒状体30とから構成される素子封止体(組立体)1が、保護カバー2と、固定ボルト3と、外筒4とによって被覆された構成を有する。換言すれば、素子封止体1においては、概略、センサ素子10が筒状体30の内部の軸中心位置において軸方向に貫通し、環装部品20が、筒状体30の内部においてセンサ素子10に環装された構成を有する。
【0026】
センサ素子10は、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスからなる素子体を主たる構成材料とする長尺の柱状あるいは薄板状の部材である。センサ素子10は、筒状体30の長手方向に沿った中心軸上に配置されてなる。以降、筒状体30の長手方向と一致する中心軸の延在方向を軸線方向とも称する。図1および以降の図において、軸線方向はz軸方向と一致している。
【0027】
センサ素子10は、第1先端部10aの側にガス導入口や内部空所などを備えるとともに、素子体表面および内部に種々の電極や配線パターンを備えた構成を有する。センサ素子10においては、内部空所に導入された被検ガスが内部空所内で還元ないしは分解されて酸素イオンが発生する。ガスセンサ100においては、素子内部を流れる酸素イオンの量が被検ガス中における当該ガス成分の濃度に比例することに基づいて、係るガス成分の濃度が求められる。
【0028】
センサ素子10の表面の、第1先端部10aから長手方向における所定の範囲は、保護膜11で被覆されてなる。保護膜11は、内部空所や電極等が設けられてなるセンサ素子10の第1先端部10a近傍を被水などによる熱的な衝撃から保護するために設けられ、耐熱衝撃保護層とも称される。保護膜11、例えばAlなどからなる厚みが10μm〜2000μm程度の多孔質膜である。保護膜11は、その目的に照らして、50N程度までの力に耐え得るように形成されるのが好ましい。ただし、図1および以降の各図における保護膜11の形成範囲はあくまで例示であって、実際の形成範囲は、センサ素子10の具体的構造に応じて適宜に定められる。
【0029】
保護カバー2は、センサ素子10のうち、使用時に被検ガスに直接に接触する部分である第1先端部10aを保護する、略円筒状の外装部材である。保護カバー2は、筒状体30の図面視下側(z軸方向負側)の外周端部(後述する縮径部31の外周)に、溶接固定されてなる。
【0030】
図1に示す場合においては、保護カバー2は、外側カバー2aと内側カバー2bとの2層構造となっている。外側カバー2aと内側カバー2bは、それぞれ、気体が通過可能な複数の貫通孔H1およびH2と、H3およびH4が設けられてなる。なお、図1に示す貫通孔の種類、配置個数、配置位置、形状などあくまで例示であって、保護カバー2の内部への被測定ガスの流入態様を考慮して適宜に定められてよい。
【0031】
固定ボルト3は、ガスセンサ100を測定位置に固定する際に用いられる環状の部材である。固定ボルト3は、ねじ切りがされたボルト部3aと、ボルト部3aを螺合する際に保持される保持部3bとを備えている。ボルト部3aは、ガスセンサ100の取り付け位置に設けられたナットと螺合する。例えば、自動車の排気管に設けられたナット部にボルト部3aが螺合されることで、ガスセンサ100は、保護カバー2の側が排気管内に露出する態様にて該排気管に固定される。
【0032】
外筒4は、その一方端部(図面視下端部)が筒状体30の図面視上側(z軸方向正側)の外周端部に溶接固定されてなる、円筒状部材である。外筒4の内部にはコネクタ5が配されている。また、外筒4の他方端部(図面視上端部)にはゴム製のグロメット6が環装されてなる。
【0033】
コネクタ5には、センサ素子10の第2先端部10bに備わる複数の端子電極と接する複数の接点部材51が備わっている。接点部材51は、グロメット6に挿通されたリード線7と接続されてなる。リード線7は、ガスセンサ100外部の図示しないコントローラや各種電源に接続されてなる。
【0034】
なお、図1には、接点部材51とリード線7とをそれぞれ2つずつのみ示しているが、これは例示である。
【0035】
筒状体30は、主体金具とも称される金属製の筒状部材である。筒状体30の内部には、センサ素子10と環装部品20とが収容されてなる。換言すれば、筒状体30は、センサ素子10の周りに環装された環装部品20の周囲に、さらに環装されてなる。
【0036】
筒状体30は、軸線方向に平行な円筒状の内面30aによって円筒状の内空間(貫通孔)30h(図2参照)をなしている厚肉の主部30Mと、図面視で軸線方向下端部(z軸方向負側)に備わり、主部30Mよりもさらに厚肉の縮径部31と、図面視で軸線方向の上端に位置する主部30Mの端面30cからさらに上方に延在しつつ、軸中心へ向かう向きへと屈曲させられてなる薄肉のかしめ部32と、周方向外側へと突出してなる係止部33とを主として備える。
【0037】
縮径部31においては、内面30aに対し傾斜してなる断面視テーパー状のテーパー面30bを経て内空間30hが縮径されてなる。
【0038】
かしめ部32は、屈曲させられてなることで、内部に配置された環装部品20を(直接的には第2セラミックサポータ23を)図面視上方から押圧しつつ固定(拘束)してなる。なお、かしめ部32は、後述するように、センサ素子10および環装部品20の乾燥後に屈曲させられてなる。
【0039】
環装部品20は、第1セラミックサポータ21と、圧粉体22と、第2セラミックサポータ23とからなる。
【0040】
第1セラミックサポータ21および第2セラミックサポータ23は、セラミックス製の碍子である。より詳細には、第1セラミックサポータ21および第2セラミックサポータ23の軸中心位置には、センサ素子10の断面形状に応じた矩形状の貫通孔(図示省略)が設けられており、当該貫通孔にセンサ素子10が挿通されることによって、第1セラミックサポータ21および第2セラミックサポータ23はセンサ素子10に環装されてなる。なお、第1セラミックサポータ21は、図面視下方において筒状体30のテーパー面30bに係止されてなる。
【0041】
一方、圧粉体22は、タルクなどのセラミックス粉末を成型してなり、かつ、第1セラミックサポータ21および第2セラミックサポータ23と同様、貫通孔にセンサ素子10が挿通されることによって、センサ素子10に環装されていた2つの成型体22a、22b(図2参照)が、センサ素子10の周囲に環装された状態で筒状体30の内部に配置された後、さらに圧縮されて一体となったものである。より詳細には、圧粉体22をなすセラミックス粒子は、第1セラミックサポータ21および第2セラミックサポータ23と筒状体30とに囲繞され、かつ、センサ素子10が貫通する空間に、密に充填されてなる。
【0042】
気密性の確保や組立精度などを鑑み、第1セラミックサポータ21および第2セラミックサポータ23の貫通孔および成型体22a、22bの貫通孔は、センサ素子10の設計上の断面サイズとの差が0.25mm〜0.35mmであるように、そして、寸法公差が0.1mmであるように構成されるのが好ましい。また、圧粉体22をなすセラミックス粉末粒子の平均粒径は、150μm〜300μmであることが好ましい。
【0043】
なお、2つの成型体22a、22bを用いることは必須ではなく、単一の成型体が用いられる態様であってもよい。あるいは、2つの成型体22a、22bの間に別個のセラミックサポータあるいは成型体が介在する態様であってもよい。
【0044】
素子封止体1においては、概略、第1セラミックサポータ21のテーパー面30bによる係止と、第2セラミックサポータ23の図面視上側からのかしめ部32による押圧とによって、筒状体30の内部におけるセンサ素子10と環装部品20との固定が、実現されてなる。加えて、圧粉体22の圧縮充填により、センサ素子10の第1先端部10a側と、第2先端部10b側との間の気密封止が、実現されてなる。
【0045】
<素子封止体の組み立て>
次に、素子封止体1の組み立ての手順について説明する。図2ないし図4は、係る素子封止体1の組立途中の様子を示す、z軸方向に沿った断面図である。なお、図2ないし図4における保護カバー2の図示はあくまで概略的である。
【0046】
まず、あらかじめ、図2(a)に示すような、センサ素子10に第1セラミックサポータ21と、2つの成型体22a、22bと、第2セラミックサポータ23が順次に環装された環装体1aを用意する。換言すれば、環装体1aにおいては、第1セラミックサポータ21と第2セラミックサポータ23とが両端に位置するように、各部品の環装がなされている。
【0047】
より具体的には、環装体1aにおいては、第1セラミックサポータ21、成型体22a、22b、第2セラミックサポータ23のそれぞれに設けられてなる、矩形状の図示しない貫通孔が、センサ素子10と嵌め合わされることで、各部品がセンサ素子10に環装されてなる。係る環装体1aの形成には、公知の技術が適宜に適用される。好ましくは、第1先端部10a側に設けられた保護膜11が、環装される各部品の貫通孔と接触しない態様にて、環装がなされる。
【0048】
そして、用意した環装体1aを、矢印AR1にて示すように筒状体30へと挿入することにより、環装体1aに筒状体30が環装される。ただし、図2(a)に示すように、かしめ部32はこの時点では屈曲させられてはおらず、端面30cから鉛直上方(z軸正方向)に向けて延在する薄肉円筒状の延在部32Zとなっている。係る場合において、延在部32Zの内面は、筒状体30において(あるいは主部30Mにおいて)内空間30hを形成している円筒状の内面30aと軸線方向において連続している。それゆえ、以降においては、この延在部32Zの内面も含め、内面30aと称する。
【0049】
なお、延在部32Zは、図2ないし図4においては詳細な図示を省略するが、その形状に(特に最先端部近傍の形状に)特徴を有している。概略的にいえば、延在部32Zは、かしめ部32をなすための屈曲が好適に行われることを意図した構成を有する。その詳細については後述する。
【0050】
図2(a)においては、所定の筒状体支持手段101によって係止部33が下方支持されることにより、延在部32Z側が上方となりかつ軸線方向を鉛直方向(z軸方向)一致する態様にて固定されてなる筒状体30に対し、環装体1aが第1先端部10aを下方とする姿勢にて鉛直上方から挿入される場合を、例示している。係る挿入がなされることにより、図2(b)に示すような、センサ素子10が筒状体30の軸中心位置において軸方向に貫通しつつ筒状体30の内空間30hに環装部品20が収容された状態が実現される。係る場合においては、環装部品20は内空間30hの最奥部においてテーパー面30bに係止される一方、センサ素子10の第1先端部10aは縮径部31を通じて筒状体30の外部へと貫通している。第2先端部10bはもともと、環装部品20から突出している。
【0051】
なお、図2(a)に示す態様に代わり、環装体1aと筒状体30とがともに上下反転された姿勢とされ、環装体1aに対し鉛直上方から筒状体30を乾燥する態様であってもよい。
【0052】
図2(b)に示すように、環装体1aの挿入がなされた時点では、成型体22a、22bはそれぞれ別体に存在し、また、閉曲線E1にて示すように、第2セラミックサポータ23は延在部32Zから突出している。なお、環装体1aの挿入は、筒状体30を環装体1aの外周にさらに環装しているともいえる。
【0053】
筒状体30に対する環装体1aの挿入がなされると、次に、図3(a)に示すように、所定の押圧手段102が、環装体1aにおいて最上位置にあり延在部32Zから突出している第2セラミックサポータ23の上端に当接させられ、さらに下降させられる。係る押圧手段102の下降により第2セラミックサポータ23は所定の荷重f1にて鉛直下方(z軸負方向)に押圧される。係る荷重f1による圧縮を仮圧縮(一次圧縮)と称する。
【0054】
仮圧縮の結果、第2セラミックサポータ23を介してその直下の2つの成型体22a、22bが圧縮され、図3(b)に示すように、一の圧粉体22となる。さらには、閉曲線E2にて示すように、第2セラミックサポータ23は押圧前に比して下降する。また、係る仮圧縮により、センサ素子10はあらかじめ設定された所定の配置範囲に配置される。
【0055】
なお、荷重f1は、圧力値にて235N〜295Nなる範囲にて印加するのが好適である。
【0056】
以上のような仮圧縮がなされると、図3(b)に示すように、押圧手段102は再び第2セラミックサポータ23の上端に当接させられ、さらに下降させられる。その際に押圧手段102が第2セラミックサポータ23に対し作用させる荷重f2は通常、仮圧縮における荷重f1よりも大きな値とされる。係る荷重f2による圧縮を本圧縮(二次圧縮)と称する。
【0057】
図4(a)において閉曲線E3にて示すように、本圧縮後においては、第2セラミックサポータ23の上端は筒状体30の延在部32Zの先端から所定の距離(以下、かしめ高さ)hだけ下方にまで下降している。
【0058】
本圧縮により、一の圧粉体22は第2セラミックサポータ23を介してさらに圧縮される。これにより、センサ素子10が完全に固定されるとともに、センサ素子10の第1先端部10a側と、第2先端部10b側との間が、気密に封止される。
【0059】
なお、本圧縮によりセンサ素子10は仮圧縮にて配置された位置から多少ずれ得るが、仮圧縮時のセンサ素子10の配置位置を、本圧縮時の位置ずれを想定して設定することにより、本圧縮後のセンサ素子10の固定位置は、あらかじめ設定された公差範囲内となる。
【0060】
なお、荷重f2は、圧力値にて4.98kN〜5.82kNなる範囲にて印加するのが好適である。
【0061】
本圧縮がなされると、続いて、筒状体30の延在部32Zが軸中心方向へと屈曲させられるかしめ処理が行われて、かしめ部32が形成される。
【0062】
かしめ処理は、概略、延在部32Zの上方に配置した金属製のかしめ治具(屈曲手段)103を下降させ、延在部32Zに当接させることによって行われる。かしめ処理の詳細については、延在部32Zの先端部の詳細構成ともども、後で詳述する。
【0063】
かしめ処理が実行されると、図4(b)に示すように、延在部32Zが屈曲させられて、かしめ部32が形成される。かしめ部32は、第2セラミックサポータ23と当接する態様にて設けられる。
【0064】
係るかしめ処理がなされることで、筒状体30の内部におけるセンサ素子10と環装部品20との固定が、実現される。これにより、素子封止体1が得られたことになる。
【0065】
なお、かしめ処理によって延在部32Zが屈曲される際に、延在部32Zが第2セラミックサポータ23と接触することに起因して、第2セラミックサポータ23が破損することを防ぐべく、第2セラミックサポータ23の上に金属製の環状の薄板であるワッシャーが配置されたうえで、かしめ処理が行われる態様であってもよい。
【0066】
<かしめ処理の詳細>
次に、かしめ治具103によりなされるかしめ処理について、その対象たる筒状体30の延在部32Zの形状と、かしめ治具103の形状とを含め、より具体的に説明する。
【0067】
図5は、上述したかしめ処理の実行前の、筒状体30の延在部32Zとかしめ治具103とのz軸方向に沿った詳細断面図である。ただし、第2セラミックサポータ23その他の環装部品20については図示を省略している。
【0068】
図2ないし図4においては詳細な図示を省略していたが、かしめ処理により屈曲させられてかしめ部32となる延在部32Zは、実際には、主部30Mに比して薄肉であることに加えて、先端に向かうほどより厚みが小さくなる形状を有してなる。そして、かしめ治具103において延在部32Zに当接する被当接部103aが、係る延在部32Zの形状に応じた形状を有してなる。
【0069】
より詳細には、延在部32Zにおいては、筒状体30の主部30Mから連続するその内面30aこそ軸線方向(筒状体30が図2ないし図5に示すような姿勢にあるときはz軸方向)と平行となっているが、外面32aは、一見すると内面30aと平行であるようにも見られるものの、実際にはわずかに、延在部32Zの先端に(z軸正方向)に向かうほど薄肉化された断面視テーパー状をなしている。外面32aの開き角αは、2°〜8°であるのが好適である。
【0070】
また、内面30aについても、延在部32Zの先端まで軸線方向と平行となっているのではなく、その先端近傍には、筒状体30の径方向外側に向けて傾斜した断面視テーパー状の傾斜面32bが接続されている。傾斜面32bの開き角βは、26°〜38°であるのが好適である。換言すれば、傾斜面32bは、内面30aの延在方向からβ/2だけ傾斜している。
【0071】
好ましくは、外面32aと傾斜面32bとは最先端部32cにおいてそのまま交わるのではなく、図5に示すように、延在部32Zの最先端部32cは、軸線方向に沿った断面が所定の曲率半径Rを有する曲線である曲面となっており、外面32aと傾斜面32bとはそれぞれに、係る最先端部32cと接続されてなる。曲率半径Rの値は、0.2mm〜0.4mmであるのが好適であり、0.3mm〜0.35mmであるのがより好適である。
【0072】
また、延在部32Zの基端(付け根)となっている主部30Mの端面30cの位置における延在部32Zの厚み(以下、かしめ部板厚とも称する)tは0.47mm〜0.64mmであるのが好適である。なお、厚みtの値が異なれば外面32aの開き角αが異なることになるので、厚みtの値を当該範囲とすることは、開き角αを上述した2°〜8°なる範囲に設定することと、実質的に等価である。
【0073】
なお、図5に示すような形状の延在部32Zを含む筒状体30は例えば、材料金属からの鍛造によりその概略形状を得た後、切削や研磨などを行うことにより、得ることができる。
【0074】
一方、かしめ治具103は、図4(a)および図5に示すように、かしめ処理に際し、筒状体30の上方位置に、その一方端面103sが筒状体30と対向する向きにて、該筒状体30の軸中心cと同軸にかつ矢印AR2にて示すような筒状体30への接近動作とその反対動作とが可能に、配置される。
【0075】
かしめ治具103は、筒状体30へと接近した際に延在部32Zと直接に当接し延在部32Zを屈曲させる部位である被当接部103aと、係る接近に際してセンサ素子10の第2先端部10bの退避スペースとなる筒状(例えば円筒状)の孔部103hとを備える。
【0076】
被当接部103aは、一方端面103s側において孔部103hの周囲に孔部103hと連続する態様にて設けられた、孔部103hよりも浅い環状の窪みである。
【0077】
かしめ治具103が図4(a)および図5に示すように配置された状態においては、孔部103hが中央部に軸線方向に沿って延在し、その下端部側の周囲に、被当接部103aが位置する。これにより、被当接部103aは、筒状体30の側から該被当接部103aに向かう向きに凸の曲面となっている。
【0078】
より詳細には、被当接部103aは、その断面をなす曲線において、被当接部103aと孔部103hとの交線に相当する点103bよりも一方端面103sからの(垂直)距離が大きい当該曲線の頂点103cが存在するように、設けられてなる。加えて、被当接部103aの一方端面103sにおける開口径(最大開口径)D1が、延在部32Zの最先端部32cにおける開口径D2よりも大きくなるように、設けられてなる。後者は、換言すれば、延在部32Zの最先端部32cが必ず被当接部103aと当接するように、その形成範囲が設定されてなるということを意味する。
【0079】
延在部32Zおよびかしめ治具103が以上のような形態を有することで、かしめ処理は、概略、以下のように進行することになる。
【0080】
まず、かしめ治具103が下降して延在部32Zに接近し、やがて、延在部32Zの最先端部32cが被当接部103aに当接する。
【0081】
かしめ治具103は係る当接の後も引き続きが下降させられる。これにより、延在部32Zは被当接部103aのなす窪みに拘束されつつ、上方から押圧されることになる。ただし、被当接部103aの窪みは上に凸の曲面をなしており、最先端部32cの当接位置からみれば図面視で上方かつ軸方向に向かって傾斜しているので、かしめ治具103の下降が進むにつれて、被当接部103aから延在部32Zに作用する力の向きは、被当接部103aの奥に向かうほど鉛直方向から軸中心方向へシフトしていく。延在部32Zは先端側ほど先細となっているため、結果として、延在部32Zは、被当接部103aが下降するほど、その曲面形状に倣って(案内されつつ)変形され、徐々に屈曲させられていくことになる。
【0082】
しかも、頂点103cが設けられてなることで、延在部32Zに作用する力の向きが、該頂点103cを境にすでに屈曲した部分をさらに内側に曲げるような向きに変わるので、屈曲の度合いがより十分となり、環装部品20が確実に固定されるようになっている。
【0083】
加えて、延在部32Zの最先端部32cが曲率半径Rの曲面である場合は、該最先端部32cが被当接部103aに最初に当接し、該被当接部103aの曲面形状に沿って案内されることになるため、延在部32Zの変形さらには屈曲が、より滑らかにかつ確実に実現される。これにより、環装部品20の固定がさらに確実化されるともに、センサ素子10の両端部の間における気密性がより向上する。
【0084】
最終的には、図1および図4(b)に示したように、第2セラミックサポータ23に上方から接触して環装部品20を押圧固定する屈曲部である、かしめ部32が形成されることになる。
【0085】
係るかしめ部32による押圧固定が好適になされるには、かしめ部板厚tが0.5mm以上0.8mmであり、かしめ処理直前の本圧縮がなされた時点における、かしめ高さhが0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。
【0086】
かしめ部板厚tが上記の範囲を上回る場合、延在部32Zが好適に屈曲されないため、好ましくない。また、かしめ高さhが上記の範囲を上回る場合、屈曲させられた延在部32Zがセンサ素子10と接触するかあるいはその恐れがあるため、好ましくない。
【0087】
また、かしめ部板厚tが上記の範囲を下回る延在部32Zについては、強度を十分に確保出来るように作成することが困難である。また、本圧縮後のかしめ高さhが上記の範囲を下回る程度である場合、圧粉体22の圧縮が十分ではなく、センサ素子10の固定や気密封止が好適に実現されないため、好ましくない。
【0088】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、ガスセンサの主たる構成要素である素子封止体を組み立てるプロセスの一工程である、センサ素子に環装されてなる環装部品を筒状体の内部に固定する工程として、筒状体の一方端部からの延在部を屈曲させるかしめ処理を採用するに際して、延在部を先細のテーパー状とするとともに、係る延在部に当接させられて該延在部を屈曲させるかしめ治具の被当接部を、筒状体からかしめ治具に向かう向きに凸状の曲面とすることで、延在部が確実に屈曲させられ、これによって、環装部品の確実な固定が実現される。
【0089】
また、延在部がかしめ治具の被当接部に倣って屈曲されるので、かしめ治具の磨耗が低減され、かしめ治具の高寿命化が図られる。
【0090】
特に、延在部の最先端部を、所定の曲率半径を有する曲面とすることで、センサ素子の両端部の間における気密性がより向上する。
【実施例】
【0091】
(実施例1)
筒状体30として延在部32Zがテーパー状をなしているものを用いた点では共通しつつも、それぞれの筒状体30におけるかしめ高さhとかしめ部板厚tとの組み合わせを種々に違えた10通りの素子封止体1(水準1〜水準10)を作成し、その結果を評価した(評価1および評価2)。また、それぞれの素子封止体1について、気密性の評価も行った(評価3)。
【0092】
なお、延在部32Zの傾斜面32bの開き角βは、32°とし、最先端部32cの曲率半径Rは0.2mmとした。それゆえ、かしめ部板厚tを違えることは、延在部32Zの開き角αを違えることに相当する。
【0093】
表1に、かしめ処理前の素子封止体1におけるかしめ高さhとかしめ部板厚tとを一覧にして示す。また、図6は、表1に示した各水準の関係を示すグラフである。
【0094】
【表1】
【0095】
かしめ処理の評価は、評価1と評価2の2通りにて行った。評価1としては、かしめ部32の状態についての評価を行い、評価2としては、かしめ部32とセンサ素子10との接触状態についての評価を行った。
【0096】
一方、評価3として行った気密性の評価には、特許文献2に開示されている気密性試験と同一の評価手法を採用した。それゆえ、試験の詳細な説明は省略する。なお、特許文献2に開示されている条件と同一条件のもとで評価が行えるよう、必要な部品の追加組付け等は適宜に行っている。
【0097】
表2に、評価1〜評価3のそれぞれにおける評価結果と、それら3つの評価結果を踏まえた総合評価の結果とを一覧にして示す。
【0098】
【表2】
【0099】
なお、評価基準は、以下のようにした。
【0100】
(評価1)
「○」(丸印):目視にてかしめ部32と第2セラミックサポータ23との間に隙間などの不良が確認されないか、隙間はわずかに確認されるが、環装部品20のがたつきはなし;
「×」(バツ印):目視にて隙間が確認され、かつ、環装部品20のがたつきあり。
【0101】
(評価2)
「○」(丸印):目視にてかしめ部32とセンサ素子10との接触は確認されず;
「×」(バツ印):目視にてかしめ部32とセンサ素子10との接触が確認される。
【0102】
(評価3)
「○」(丸印):リーク量0.15cc/mm以下であり気密性は良好;
「△」(△印):リーク量0.30cc/mm以下であり気密性は許容範囲;
「×」(バツ印):リーク量0.30cc/mm超であり気密性は不十分。
【0103】
(総合評価)
「○」(丸印):評価1〜評価3のいずれにも「×」なし;
「×」(バツ印):評価1〜評価3の少なくとも1つに「×」あり。
【0104】
表2によると、評価1の結果からは、少なくともかしめ部板厚tを0.5mm以上0.8mm以下とした場合には、テーパー状をなしている延在部32Zをかしめ治具103により屈曲させることによる環装部品20の固定が、好適に行えることがわかる。ただし、評価2の結果を併せ考えると、センサ素子10とかしめ部32との接触のおそれを生じさせないという点からは、かしめ部高さhが2mm以下となるようにすることが、好適であるといえる。
【0105】
一方、評価3からは、いずれの素子封止体1においても、許容範囲内の気密性は確保されることが確認された。
【0106】
結果として、水準1、水準2、水準5、および水準6の素子封止体1においてのみ、評価1〜評価3のいずれにおいても良好な結果が得られた。
【0107】
係る結果は、少なくともかしめ部板厚tを0.5mm以上0.8mm以下の範囲とすることで、延在部32Zをかしめ治具103により屈曲させることによる環装部品20の固定が、好適に行えること、これに加え、かしめ高さhが0.5mm以上2mm以下となるようにすることで、かしめ部32とセンサ素子10との接触もなく、気密性も確保された品質の優れた素子封止体1が得られることを、示している。
【0108】
(実施例2)
筒状体30として延在部32Zがテーパー状をなしているものを用いた点では共通しつつも、最先端部32cの曲率半径Rが異なる5通りの素子封止体1(水準a〜水準e)を作成し、それぞれの素子封止体1について、実施例1と同様に気密性の評価を行った。なお、最先端部32cの曲率半径Rが0である水準eの筒状体30は、最先端部32cを曲面とする加工を省略することにより作製している。
【0109】
表3に、それぞれの筒状体30における最先端部32cの曲率半径Rの値と、気密性試験におけるリーク量と、係るリーク量に基づく気密性の評価の結果とを一覧にして示す。なお、気密性の評価の基準は、実施例1と同様とした。
【0110】
【表3】
【0111】
また、図7は、最先端部32cの曲率半径Rと気密性試験におけるリーク量との関係を示すグラフである。
【0112】
表3および図7に示す結果からは、延在部32Zの最先端部32cを、曲率半径Rが0.2mm〜0.4mmである曲面とすることで、曲率半径Rが0の場合よりもさらに、気密性が向上することがわかる。さらには、曲率半径Rを0.3mm〜0.35mmとするのがより好ましいといえる。
【符号の説明】
【0113】
1 素子封止体
1a 環装体
2 保護カバー
3 固定ボルト
4 外筒
5 コネクタ
6 グロメット
7 リード線
10 センサ素子
10a (センサ素子の)第1先端部
10b (センサ素子の)第2先端部
11 保護膜
20 環装部品
21 セラミックサポータ
22 圧粉体
22a、22b 成型体
23 セラミックサポータ
30 筒状体
30M (筒状体の)主部
30a (筒状体の)内面
30b (筒状体の)テーパー面
30c (筒状体の)端面
30h (筒状体の)内空間
31 (筒状体の)縮径部
32 (筒状体の)かしめ部
32Z (筒状体の)延在部
32a (延在部の)外面
32b (延在部の)傾斜面
32c (延在部の)最先端部
33 (筒状体の)係止部
51 接点部材
100 ガスセンサ
101 筒状体支持手段
102 押圧手段
103 かしめ治具
103a 被当接部
103c (被当接部の)頂点
103s 一方端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
これに対し、特許文献2に開示された短尺品においては、係る従来品からの短尺化を実現するために、2つの圧粉体の間に配置されていたセラミックサポータを1つ省略し、圧粉体が連続する一の範囲に配置されてなる。係る短尺化は、コストダウンや組み立てプロセスの簡略化のほか、セラミックサポータや圧粉体などの環装部品のセンサ素子への環装や、環装部品の外周への筒状体の環装に際し、部品が引っかかってしまうというリスクの低減にも、有効と考えられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
センサ素子10の表面の、第1先端部10aから長手方向における所定の範囲は、保護膜11で被覆されてなる。保護膜11は、内部空所や電極等が設けられてなるセンサ素子10の第1先端部10a近傍を被水などによる熱的な衝撃から保護するために設けられ、耐熱衝撃保護層とも称される。保護膜11、例えばAlなどからなる厚みが10μm〜2000μm程度の多孔質膜である。保護膜11は、その目的に照らして、50N程度までの力に耐え得るように形成されるのが好ましい。ただし、図1および以降の各図における保護膜11の形成範囲はあくまで例示であって、実際の形成範囲は、センサ素子10の具体的構造に応じて適宜に定められる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
かしめ部32は、屈曲させられてなることで、内部に配置された環装部品20を(直接的には第2セラミックサポータ23を)図面視上方から押圧しつつ固定(拘束)してなる。なお、かしめ部32は、後述するように、センサ素子10および環装部品20の環装後に屈曲させられてなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
なお、図2(a)に示す態様に代わり、環装体1aと筒状体30とがともに上下反転された姿勢とされ、環装体1aに対し鉛直上方から筒状体30を環装する態様であってもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
なお、荷重f1は、235N〜295Nなる範囲にて印加するのが好適である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
なお、荷重f2は、4.98kN〜5.82kNなる範囲にて印加するのが好適である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
係るかしめ部32による押圧固定が好適になされるには、かしめ部板厚tが0.5mm以上0.8mm以下であり、かしめ処理直前の本圧縮がなされた時点における、かしめ高さhが0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0104】
表2によると、評価1の結果からは、少なくともかしめ部板厚tを0.5mm以上0.8mm以下とした場合には、テーパー状をなしている延在部32Zをかしめ治具103により屈曲させることによる環装部品20の固定が、好適に行えることがわかる。ただし、評価2の結果を併せ考えると、センサ素子10とかしめ部32との接触のおそれを生じさせないという点からは、かしめ高さhが2mm以下となるようにすることが、好適であるといえる。