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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-162438(P2021-162438A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】位置算出システム及び位置算出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20210913BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20210913BHJP
   H04W 4/02 20180101ALI20210913BHJP
【FI】
   G01S5/02 Z
   H04W64/00 110
   H04W4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-63168(P2020-63168)
(22)【出願日】2020年3月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】山下 正義
(72)【発明者】
【氏名】下島 晃
(72)【発明者】
【氏名】神谷 謙治
(72)【発明者】
【氏名】丸山 英之
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB05
5J062CC15
5J062CC18
5K067AA21
5K067DD20
5K067DD28
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE12
5K067EE16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】個別の住戸に3つの固定通信装置を設けなくとも三点測位の原理を利用して測位対象の位置を算出する。
【解決手段】第1住戸の予め定められた位置に設置された第1固定通信装置と、第2住戸の予め定められた位置に設置された第2固定通信装置と、予め定められた位置に配置された第3固定通信装置と、移動通信装置13A,13Bの位置を算出する位置算出部と、を備える。当該位置算出部は、移動通信装置と前記第1固定通信装置との間で無線通信される第1基準信号の受信強度を示す第1受信強度、前記移動通信装置と前記第2固定通信装置との間で無線通信される第2基準信号の受信強度を示す第2受信強度、及び前記移動通信装置と前記第3固定通信装置との間で無線通信される第3基準信号の受信強度を示す第3受信強度に基づいて、前記移動通信装置の位置を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1住戸の予め定められた位置に設置された第1固定通信装置と、
第2住戸の予め定められた位置に設置された第2固定通信装置と、
予め定められた位置に配置された第3固定通信装置と、
移動通信装置と前記第1固定通信装置との間で無線通信される第1基準信号の受信強度を示す第1受信強度、前記移動通信装置と前記第2固定通信装置との間で無線通信される第2基準信号の受信強度を示す第2受信強度、及び前記移動通信装置と前記第3固定通信装置との間で無線通信される第3基準信号の受信強度を示す第3受信強度に基づいて、前記移動通信装置の位置を算出する位置算出部と、
を備える位置算出システム。
【請求項2】
前記移動通信装置の位置を示す位置情報の送信先として、前記位置算出部により算出された前記移動通信装置の位置が前記第1住戸内である場合には前記第1住戸に対応付けられた第1ユーザを選択し、前記移動通信装置の位置が前記第2住戸内である場合に前記第2住戸に対応付けられた第2ユーザを選択する選択部と、
前記選択部の選択に応じて前記第1ユーザ又は前記第2ユーザに前記位置情報を送信する送信部と、
を備える、請求項1に記載の位置算出システム。
【請求項3】
前記第3固定通信装置は第3住戸に配置されており、
前記第2固定通信装置は、前記第1固定通信装置及び前記第3固定通信装置を通る仮想的な直線から離間した位置に設置されている、
請求項1又は2に記載の位置算出システム。
【請求項4】
前記第1住戸の外部から内部への入室を検知するセンサと、
前記センサにより前記第1住戸への入室が検知された後に前記移動通信装置の位置が前記第1住戸内であることが検出されない場合に、前記第1ユーザに対して異常の発生を通知する異常通知部と、
を備える請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
移動通信装置と第1住戸の予め定められた位置に設置された第1固定通信装置との間で無線通信される第1基準信号の受信強度を示す第1受信強度を収集する第1収集工程と、
前記移動通信装置と第2住戸の予め定められた位置に設置された第2固定通信装置との間で無線通信される第2基準信号の受信強度を示す第2受信強度を収集する第2収集工程と、
前記移動通信装置と予め定められた位置に配置された第3固定通信装置との間で無線通信される第3基準信号の受信強度を示す第3受信強度を収集する第3収集工程と、
前記第1受信強度、前記第2受信強度、及び前記第3受信強度に基づいて、前記移動通信装置の位置を算出する位置算出工程と、
前記移動通信装置の位置を示す位置情報の送信先として、前記位置算出部により算出された前記移動通信装置の位置が前記第1住戸内である場合には前記第1住戸に対応付けられた第1ユーザを選択し、前記移動通信装置の位置が前記第2住戸内である場合に前記第2住戸に対応付けられた第2ユーザを選択する選択工程と、
前記選択工程における選択に応じて前記第1ユーザ又は前記第2ユーザに前記位置情報を送信する送信工程と、
を備える位置算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、住戸内における移動通信装置の位置を算出する位置算出システム及び位置算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−238165号公報には、居住者が携行する送信機が発する電波の受信強度を測定する固定通信装置及び居住者の動きを検知する人感センサを住戸内に設置し、この固定通信装置により測定される電波の受信強度及び人感センサの検出信号に基づいて住戸内における居住者の位置や動きを推定し、この推定結果に基づいて居住者に異常があったことを通報する住宅監視システムが開示されている。
【0003】
屋内での測位対象の位置の算出を精度良く行うことが検討されている。住戸等の屋内で探索対象の位置を精度良く算出するための方式として、三点測位方式が知られている。三点測位方式を利用した屋内における探索対象の位置の算出については、特開2017−201240号公報に開示されている。三点測位方式では、屋内に設置された3つの固定通信装置と測位対象が携帯する移動通信装置との間で無線通信される基準信号の受信強度を測定し、この測定された受信強度から移動通信装置と各固定通信装置との間の距離を推定する。固定通信装置の位置は既知であるため、移動通信装置と各固定通信装置との間の推定距離に基づいて移動通信装置の位置を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−238165号公報
【特許文献2】特開2017−201240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三点測位方式を利用して屋内における測位対象の位置を算出するには、少なくとも3つの固定通信装置が必要である。住戸等の小規模なプライベートスペースに個別に3つの固定通信装置を設置すると設置費用が高額になってしまう。
【0006】
本明細書に開示される発明の目的の一つは、個別の住戸に3つの固定通信装置を設けなくとも三点測位の原理を利用して測位対象の位置を算出できる位置算出システム及び位置算出方法を提供することである。本明細書に開示される発明の前記以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかになる。本明細書に開示される発明は、前記の課題に代えて又は前記の課題に加えて、本明細書の記載から把握される課題を解決するものであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一又は複数の態様による位置算出システムは、第1住戸の予め定められた位置に設置された第1固定通信装置と、第2住戸の予め定められた位置に設置された第2固定通信装置と、予め定められた位置に配置された第3固定通信装置と、前記移動通信装置の位置を算出する位置算出部と、を備える。当該位置算出部は、移動通信装置と前記第1固定通信装置との間で無線通信される第1基準信号の受信強度を示す第1受信強度、前記移動通信装置と前記第2固定通信装置との間で無線通信される第2基準信号の受信強度を示す第2受信強度、及び前記移動通信装置と前記第3固定通信装置との間で無線通信される第3基準信号の受信強度を示す第3受信強度に基づいて、前記移動通信装置の位置を算出する。
【0008】
本発明の一又は複数の態様による位置算出システムは、前記移動通信装置の位置を示す位置情報の送信先として、前記位置算出部により算出された前記移動通信装置の位置が前記第1住戸内である場合には前記第1住戸に対応付けられた第1ユーザを選択し、前記移動通信装置の位置が前記第2住戸内である場合に前記第2住戸に対応付けられた第2ユーザを選択する選択部と、前記選択部の選択に応じて前記第1ユーザ又は前記第2ユーザに前記位置情報を送信する送信部と、を備える。
【0009】
本発明の一又は複数の態様において、前記第3固定通信装置は第3住戸に配置されており、前記第2固定通信装置は、前記第1固定通信装置及び前記第3固定通信装置を通る仮想的な直線から離間した位置に設置されている。
【0010】
本発明の一又は複数の態様による位置算出システムは、前記第1住戸の外部から内部への入室を検知するセンサと、前記センサにより前記第1住戸への入室が検知された後に前記移動通信装置の位置が前記第1住戸内であることが検出されない場合に、前記第1ユーザに対して異常の発生を通知する異常通知部と、を備える。
【0011】
本発明の一又は複数の態様による位置算出方法は、移動通信装置と第1住戸の予め定められた位置に設置された第1固定通信装置との間で無線通信される第1基準信号の受信強度を示す第1受信強度を収集する第1収集工程と、前記移動通信装置と第2住戸の予め定められた位置に設置された第2固定通信装置との間で無線通信される第2基準信号の受信強度を示す第2受信強度を収集する第2収集工程と、前記移動通信装置と予め定められた位置に配置された第3固定通信装置との間で無線通信される第3基準信号の受信強度を示す第3受信強度を収集する第3収集工程と、前記第1受信強度、前記第2受信強度、及び前記第3受信強度に基づいて、前記移動通信装置の位置を算出する位置算出工程と、前記移動通信装置の位置を示す位置情報の送信先として、前記位置算出部により算出された前記移動通信装置の位置が前記第1住戸内である場合には前記第1住戸に対応付けられた第1ユーザを選択し、前記移動通信装置の位置が前記第2住戸内である場合に前記第2住戸に対応付けられた第2ユーザを選択する選択工程と、前記選択工程における選択に応じて前記第1ユーザ又は前記第2ユーザに前記位置情報を送信する送信工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、個別の住戸に3つの固定通信装置を設けなくとも三点測位の原理を利用して測位対象の位置を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一の実施形態による位置算出システムが適用される住戸における固定通信装置の配置例を模式的に示す模式図である。
図2】本発明の一の実施形態による位置算出システムの機能を説明する図である。
図3】住戸ごとの管理者を示す管理者データを模式的に示す図である。
図4】移動通信装置の位置を算出する位置算出方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の一の実施形態による位置算出システムを用いて異常の発生を通知する異常通知方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の別の実施形態による位置算出システムが適用される住戸における固定通信装置の配置例を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0015】
図1から図4を参照して本発明の一又は複数の実施形態による位置検出システム1について説明する。位置検出システム1は、移動通信装置と3つの固定通信装置との間で無線通信される基準信号の受信強度に基づいて移動通信装置の位置を算出する。図1は、位置算出システム1が適用される住戸における固定通信装置の配置例を模式的に示す模式図であり、図2は、位置算出システム1の機能を説明する図であり、図3は、位置算出システム1において用いられる管理者データを模式的に示す図であり、図4は、移動通信装置の位置を算出する位置算出方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0016】
図示の実施形態では、複数の住戸を有する建物に複数の固定通信装置を配置することを想定している。具体的には、図1に示されているように、住戸A〜Dの4つの区分所有される住戸を含む区分所有建物に固定通信装置が配置される。本発明は、4つより多い又は少ない数の住戸を有する区分所有建物にも適用可能である。本明細書においては、説明を簡潔にするために、区分所有建物の専有部分をその用途を問わずに住戸と呼ぶ。区分所有建物の専有部分は、住戸以外に、店舗、事務所、倉庫及びこれら以外の用途で使用されてもよい。本明細書における「住戸」という用語は、用途によらず区分所有建物の専有部分を示すものであり、住戸、店舗、事務所、倉庫及びこれら以外の用途で使用される専有部分を含む。
【0017】
まず、図1を参照して、位置算出システム1が適用される住戸及び当該住戸における固定通信装置の配置について説明する。図示されている区分所有建物においては、X軸方向に沿って、住戸A、住戸B、住戸C、住戸Dがこの順に並んでいる。隣接する住戸の間には、壁が設けられている。具体的には、住戸Aと住戸Bとの間には壁W11が設けられ、住戸Bと住戸Cとの間には壁W12が設けられ、住戸Cと住戸Dとの間には壁W13が設けられている。この壁W11〜W13により、住戸A〜Dはそれぞれ構造上の独立性を有している。
【0018】
図示の実施形態では、住戸Aに居住者10Aが在室し、住戸Bに居住者10Bが在室しており、住戸C及び住戸Dには居住者が在室していないことが想定されている。また、居住者10Aは、移動通信装置13Aを携帯しており、居住者10Bは、移動通信装置13Bを携帯していることが想定されている。
【0019】
住戸A〜Dの各々には、固定通信装置が1つずつ設置されている。具体的には、住戸Aには固定通信装置11Aが設置され、住戸Bには固定通信装置11Bが設置され、住戸Cには固定通信装置11Cが設置され、住戸Dには固定通信装置11Dが設置されている。固定通信装置11A〜11Dはそれぞれ、移動通信装置13A、13Bと基準信号を無線通信することができる。固定通信装置11A〜11Dは、各住戸内の予め定められた位置に配置される。一又は複数の実施形態において、X軸方向において隣接する固定通信装置は、Y軸方向において互いと異なる位置に配置される。例えば、固定通信装置11AとX軸方向において隣接する固定通信装置11Bは、Y軸方向において、固定通信装置11Aと異なる位置に配置されている。同様に、固定通信装置11BとX軸方向において隣接する固定通信装置11Cは、Y軸方向において、固定通信装置11Bと異なる位置に配置されている。このように、固定通信装置11Bは、固定通信装置11A及び固定通信装置11Cを通る仮想的な直線LからY軸方向に離間した位置に配置されている。このような配置により、X軸方向において隣接する固定通信装置11A〜11Cを利用して移動通信装置13Bの位置を三点測位の原理により算出することが可能となる。固定通信装置11A〜11Dの各住戸内での位置は例示であり、固定通信装置11A〜11Dは、図示されている位置とは異なる位置に配置され得る。
【0020】
各住戸は、外部と出入りするための入り口を有する。図示の実施形態では、住戸A〜Dはそれぞれ入り口E1〜E4を有する。居住者や来訪者は、入り口E1〜E4を通って住戸A〜D内に入る。住戸A〜Dの入り口E1〜E4の近傍には、人感センサ12A〜12Dがそれぞれ設置されている。人感センサ12A〜12Dは、検知範囲内に存在している人や動物を検知するセンサである。人感センサ12A〜12Dとして公知の人感センサを用いることができる。人感センサ12A〜12Dは、人や動物が放出する赤外線を検出する赤外線センサであってもよい。人感センサ12A〜12Dの設置場所は、入り口E1〜E4の近傍には限られない。例えば、住戸A〜Dに、窓W1〜W4がそれぞれ設けられている場合には、人感センサ12A〜12Dは、この窓W1〜W4の近傍に設けられてもよい。人感センサ12A〜12Dを入り口E1〜E4や窓W1〜W4の近傍に設置することにより、住戸A〜Dの外部から内部へ人や動物が入出したことを検知することができる。人感センサ12A〜12Dは、検出範囲内に人や動物が存在することを検知すると検知信号を算出装置50に送信するように構成される。
【0021】
次に、図2を参照して、位置算出システム1の機能について説明する。図示のように、位置算出システム1は、固定通信装置11と、人感センサ12と、移動通信装置13と、算出装置50と、複数の管理者装置60と、を備える。位置算出システム1は、図示されていない構成要素を備えてもよいし、図示されている構成要素のうち一部を備えなくともよい。図1の固定通信装置11A〜11Dはそれぞれ固定通信装置11の例であり、図1の人感センサ12A〜12Dは、人感センサ12の例であり、図1の移動通信装置13A、13Bはそれぞれ移動通信装置13の例である。固定通信装置11、人感センサ12、算出装置50、及び管理者装置60は、例えばネットワーク40を介して相互に通信可能に接続されている。移動通信装置13は、固定通信装置11を介して又は直接にネットワーク40に接続され得る。
【0022】
移動通信装置13は、住戸の居住者又はそれ以外の測位対象によって携帯される通信機器である。移動通信装置13は、例えばBLEビーコン、Wi−Fi送信器、又はこれら以外の電子機器である。一又は複数の実施形態において、移動通信装置13は、所定の送信電力で間欠的に基準信号を無線送信するように構成される。移動通信装置13から無線送信される基準信号には、当該移動通信装置13を識別する移動通信装置IDが含まれていてもよい。移動通信装置13から無線送信された基準信号は、複数の固定通信装置11の各々によって受信される。移動通信装置11から発せられる基準信号を伝送するための電波は、住戸を区画する壁を透過できる。
【0023】
本発明の一又は複数の実施形態において、複数の固定通信装置11はそれぞれ、移動通信装置13から送信された基準信号の受信強度を測定し、測定された基準信号の受信強度を示す受信強度情報を生成する。基準信号の受信強度は、例えば、アンテナにより受信した基準信号を伝送する電波の電圧値の対数値を所定の整数値の範囲で表した値である。基準信号の受信強度は、例えば、LQI値(Link Quality Indicator)またはRSSI値(Received Signal Strength Indication)である。複数の固定通信装置11はそれぞれ、測定した基準信号の受信強度を示す受信強度情報を算出装置50に送信する。固定通信装置11は、移動通信装置13との間で無線送信された基準信号の受信強度を表す受信強度情報とともに又は当該受信強度情報と対応付けて、自装置(固定通信装置11)を識別する固定通信装置ID及び通信相手の移動通信装置13を識別する移動通信装置IDを算出装置50に送信しても良い。
【0024】
本発明の一又は複数の実施形態において、複数の固定通信装置11はそれぞれ、所定の送信電力で間欠的に基準信号を無線送信するように構成されてもよい。固定通信装置11から送信される基準信号を伝送するための電波は、住戸を区画する壁を透過できる。複数の固定通信装置11によって基準信号が無線送信される場合には、移動通信装置13は基準信号を無線送信しなくともよい。すなわち、基準信号は、移動通信装置13及び複数の固定通信装置11の少なくとも一方により無線送信される。複数の固定通信装置11から基準信号が無線送信される場合には、移動通信装置13は、複数の固定通信装置11から送信された基準信号の各々の受信強度を測定し、測定された基準信号の受信強度を示す受信強度情報を生成する。移動通信装置13は、測定した基準信号の受信強度を示す受信強度情報を算出装置50に送信する。移動通信装置13は、固定通信装置11との間で無線送信された基準信号の受信強度を表す受信強度情報とともに又は当該受信強度情報と対応付けて、自装置(移動通信装置13)を識別する移動通信装置ID及び通信相手の固定通信装置11を識別する移動通信装置IDを算出装置50に送信しても良い。
【0025】
人感センサ12は、検出範囲内に人や動物が存在することを検知すると検知信号を算出装置50に送信するように構成される。
【0026】
算出装置50は、プロセッサ51と、通信I/F52と、ストレージ53と、を備えている。
【0027】
本発明の一又は複数の実施形態において、プロセッサ51は、ストレージ53又はそれ以外のストレージからオペレーティングシステムや様々な機能を実現する様々なプログラムをメモリにロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する演算装置である。プロセッサ51は、例えば、CPU、MPU、DSP、GPU、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせである。プロセッサ51は、ASIC、PLD、FPGA、MCU等の集積回路により実現されてもよい。図1においては、プロセッサ51が単一の構成要素として図示されているが、プロセッサ51は複数の物理的に別体のコンピュータプロセッサの集合であってもよい。本明細書において、プロセッサ51によって実行されるとして説明されるプログラム又は当該プログラムに含まれる命令は、単一のコンピュータプロセッサで実行されてもよいし、複数のコンピュータプロセッサにより分散して実行されてもよい。また、プロセッサ51によって実行されるプログラム又は当該プログラムに含まれる命令は、複数の仮想コンピュータプロセッサにより実行されてもよい。
【0028】
本発明の一又は複数の実施形態において、通信I/F52は、ハードウェア、ファームウェア、又はTCP/IPドライバやPPPドライバ等の通信用ソフトウェア又はこれらの組み合わせとして実装される。算出装置50は、通信I/F52を介して、他の装置(例えば固定通信装置11や管理者装置60)とデータを送受信することができる。
【0029】
本発明の一又は複数の実施形態において、ストレージ53は、プロセッサ51によりアクセスされる記憶装置である。ストレージ53は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、又はデータを記憶可能な前記以外の各種記憶装置である。ストレージ53には、様々なプログラムが記憶され得る。ストレージ53に記憶され得るプログラム及び各種データの少なくとも一部は、算出装置50とは物理的に別体のストレージに格納されてもよい。
【0030】
ストレージ53に格納されるデータの例について説明する。本発明の一又は複数の実施形態において、ストレージ53は、例えば固定通信装置11の各々の位置を示す位置データ53a、及び固定通信装置11が設置されている住戸の各々の管理者を管理する管理者データ53b、及びこれら以外の位置算出システム1によって使用される様々なデータを格納する。
【0031】
位置データ53aは、所定の位置を基準とした固定通信装置11の位置を3次元座標により表す。固定通信装置11の位置は、当該固定通信装置11を設置する際に、設置者によって測定され、この測定された固定通信装置11の位置が、位置データ53aとしてストレージ53に格納されてもよい。
【0032】
本発明の一又は複数の実施形態による位置算出システム1においては、住戸ごとに管理者を定めておくことを想定している。ある住戸についての管理者は、例えば、当該住戸の居住者の見守りや当該住戸に異常が発生していないかを管理する。管理者データ53bは、この住戸ごとに定められている管理者を管理するデータである。図3に管理者データ53bの例を示す。図示の例において、管理者データ53bは、住戸を識別する住戸識別子と対応付けて管理者を識別する管理者識別子を記憶する。住戸識別子は、住戸を識別することができる任意の識別子である。例えば、各住戸に固有に割り当てられた住戸番号を住戸識別子とすることができる。管理者識別子は、管理者又は当該管理者が使用する管理者装置60を識別することができる任意の識別子である。一つの住戸に複数の管理人が設定される場合には、当該住戸の住戸識別子と対応付けて複数の管理者の管理者識別子が記憶され得る。以下の説明では、図1の例において、住戸Aの管理者として管理者Aが定められ、住戸Bの管理者として管理者Bが定められ、住戸Cの管理者として管理者Cが定められ、住戸Dの管理者として管理者Dが定められているとことを想定する。
【0033】
次に、プロセッサ51により実現される機能についてより具体的に説明する。プロセッサ51は、コンピュータ読み取り可能な命令を実行することにより、収集部51a、装置選択部51b、位置算出部51c、管理者選択部51d、送信部51e、及び異常通知部51fとして機能することができる。プロセッサ51により実現される機能の少なくとも一部は、プロセッサ51以外のプロセッサにより実現されてもよい。
【0034】
本発明の一又は複数の実施形態において、収集部51aは、複数の固定通信装置11と移動通信装置13との間で無線通信された、複数の基準信号のそれぞれの受信強度(例えば、LQI値またはRSSI値)を収集する。上記のように、受信強度を示す受信強度情報は、固定通信装置11又は移動通信装置13から算出装置50に対して送信される。収集部51aは、固定通信装置11又は移動通信装置13からの受信強度情報を収集する。
【0035】
本発明の一又は複数の実施形態において、装置選択部51bは、複数の固定通信装置11の中から移動通信装置13の測位に使用する3つの固定通信装置11を選択する。例えば、装置選択部51bは、収集部51aによって収集された受信強度情報に基づいて、移動通信装置13との間で無線送信された基準信号の受信強度が強い方から順に3つの固定通信装置11を選択する。
【0036】
本発明の一又は複数の実施形態において、位置算出部51cは、ストレージ53から、装置選択部51bにより選択された3つの固定通信装置11のそれぞれの位置を読み出す。また、位置算出部51cは、装置選択部51bにより選択された3つの固定通信装置11と移動通信装置13との間で無線通信された3つの基準信号のそれぞれの受信強度情報を収集部51aから取得する。そして、位置算出部51cは、選択された3つの固定通信装置11の位置、および、選択された3つの固定通信装置11と移動通信装置13との間で無線通信された3つの基準信号のそれぞれの受信強度に基づいて、三点測位の原理に従って移動通信装置13の位置を算出する。三点測位の原理及び計算アルゴリズムは公知であるため、その詳細な説明は省略する。本明細書では、移動通信装置13と装置選択部51bによって選択された3つの固定通信装置11との間で無線送信される基準信号をそれぞれ第1基準信号、第2基準信号、及び第3基準信号と呼ぶ。また、第1基準信号、第2基準信号、及び第3基準信号の受信強度をそれぞれ、第1受信強度、第2受信強度、及び第3受信強度と呼ぶ。この用法に従えば、位置算出部51cは、第1受信強度、第2受信強度、及び第3受信強度に基づいて移動通信装置13の位置を算出することができる。
【0037】
より具体的に、図1の例において、収集部51aは、移動通信装置13Bと固定通信装置11A〜11Dとの間で無線通信される基準信号の受信強度を収集することができる。装置選択部51bによって、固定通信装置11A〜11Cが選択された場合には、位置算出部51cは、移動通信装置13Bと固定通信装置11A〜11Cのそれぞれとの間で無線通信される3つの基準信号の各々の受信強度を示す受信強度情報と、固定通信装置11A〜11Cの各々の位置に基づいて移動通信装置13Bの位置を算出することができる。
【0038】
本発明の一又は複数の実施形態において、管理者選択部51dは、例えば、位置算出部51cにより算出された移動通信装置13の位置に基づいて、当該移動通信装置13がどの住戸内に存在しているかを判断し、当該移動通信装置13が存在する住戸の管理者を位置情報の送信先として選択する。例えば、図1に示されている例において位置算出部51cによって移動通信装置13Bの位置が算出された場合、管理者選択部51dは、移動通信装置13Bが住戸B内に存在していると判断することができる。位置算出部51cによって算出される移動通信装置13Bの位置は、図1のXY座標を含む3次元座標で表され得るので、住戸Bの専有部分がXY座標において占める範囲を予め測定しておくことにより、管理者選択部51dは、算出された移動通信装置13BのXY座標における位置が住戸Bの専有部分内にある場合に移動通信装置13Bが住戸B内にあると判断することができる。住戸Bの専有部分もXY座標の一定の領域として表現され得る。本発明の一又は複数の実施形態において、管理者選択部51dは、管理者データ53bを参照して、移動通信装置13Bが存在している住戸Bの管理者Bを移動通信装置13Bの位置を示す位置情報の送信先として選択する。図1の例において、位置算出部51cが移動通信装置13Aの位置を算出した場合には、管理者選択部51dは、管理者データ53bを参照して、移動通信装置13Aが存在する住戸Aの管理者Aを移動通信装置13Aの位置を示す位置情報の送信先として選択する。
【0039】
本発明の一又は複数の実施形態において、送信部51eは、管理者選択部51dによって選択された位置情報の送信先へ、位置算出部51cにおいて算出された移動通信装置13の位置情報を送信する。例えば、位置算出部51cにおいて移動通信装置13Bの位置が算出され、管理者選択部51dにおいて位置情報の送信先として管理者Bが選択された場合には、送信部51eは、移動通信装置13Bの位置情報を管理者Bに送信する。移動通信装置13Bの位置を示す位置情報は、例えば、管理者Bが利用する管理者装置60に送信される。管理者装置60は、受信した移動通信装置13Bの位置情報を表示する表示部を有していてもよい。管理者Bは、この表示部に表示された位置情報に基づいて、自らが管理する住戸Bにおいて移動通信装置13Bを携帯する居住者に異変が生じていないか監視することができる。管理者装置60は、移動通信装置13の位置を示す位置情報に基づいて、異常が発生していることを検知する機能を備えていてもよい。例えば、管理者装置60は、居住者Bが活動していることが想定される時間帯において移動通信装置13Bが所定時間以上移動していないときに居住者Bに異変が生じていると判断し、異常が生じていることを警告音や警告表示により管理者Bに伝達することができる。
【0040】
本発明の一又は複数の実施形態において、異常通知部51fは、人感センサ12からの検知信号及び位置算出部51cにより算出された移動通信装置13の位置に基づいて住戸に異常が派生しているか否かを検知し、異常の発生が検知された場合に異常の発生を示す異常検知信号を管理者Bに通知するように構成される。例えば、図1に示されている例において人感センサ12Bからの検知信号に基づいて住戸Bへの入室が検知された後所定時間(例えば、5秒、10秒、15秒、又はこれら以外の時間)内に位置算出部51cによって住戸Bの居住者10Bが携帯する移動通信装置13Bの位置が住戸B内であることが検出されない場合に住戸Bに異常が発生していると判断し、この異常の発生を示す異常検知信号を住戸Bの管理者Bに対して送信する。人感センサ12Bによって住戸Bへの入室が確認された場合、入室者が居住者であれば、人感センサ12Bによる入室検知後に位置算出部51cによって移動通信装置13Bの位置が住戸B内にあることが検出される。人感センサ12Bによって入室が検知された後に移動通信装置13Bの位置が住戸B内にあることが検出されない場合には、移動通信装置13Bを携帯していない者が入室したことになるので、不審者が住戸Bに入室している可能性がある。そこで、この場合に、異常通知部51fにおいて、住戸Bに異常が発生したと判断し、異常の発生を示す異常検知信号を住戸Bの管理者Bに対して送信する。
【0041】
次に、図4を参照して、本発明の一又は複数の実施形態による位置算出システム1を利用した測位対象の位置の算出方法について説明する。ここでは、図1に示されているように、住戸Bに移動通信装置13Bを携帯している居住者Bが在室していることを想定する。
【0042】
まず、ステップS11において、移動通信装置13Bと固定通信装置11A〜11Dを含む複数の固定通信装置との間で無線通信される基準信号の受信強度が測定され、測定された受信強度を示す受信強度情報が収集される。この受信強度情報の収集は、例えば、上記の収集部51aによって行われる。
【0043】
次に、ステップS12において、複数の固定通信装置11の中から3つの固定通信装置11が選択される。3つの固定通信装置11の選択は、例えば、収集部51aによって収集された受信強度情報に基づいて行われる。より具体的には、移動通信装置13Bとの間で無線送信された基準信号の受信強度が強い方から順に3つの固定通信装置11が選択される。例えば、住戸Aに設置されている固定通信装置11A、住戸Bに設置されている固定通信装置11B、及び住戸Cに設置されている固定通信装置11Cが位置の算出に使用される3つの固定通信装置として選択される。3つの固定通信装置の選択は、例えば、上記の装置選択部51bによって行われる。
【0044】
次に、ステップS13において、選択された3つの固定通信装置11の位置、および、選択された3つの固定通信装置11と移動通信装置13との間で無線通信された3つの基準信号のそれぞれの受信強度に基づいて、三点測位の原理に従って移動通信装置13Bの位置が算出される。この位置の算出は、例えば、上記の位置算出部51cによって行われる。
【0045】
次に、ステップS14において、ステップS13で算出された移動通信装置13Bの位置を示す位置情報の送信先となる管理者が選択される。移動通信装置13Bは、住戸Bに在室しているから、ステップS13で算出された移動通信装置13Bの位置は、住戸B内にある。この場合、管理者データ53bを参照して、住戸Bに対応付けられている管理者Bが移動通信装置13Bの位置を示す位置情報の送信先として選択される。
【0046】
次に、ステップS15において、ステップS14において選択された管理者Bに対して移動通信装置13Bの位置を示す位置情報が送信される。
【0047】
以上のようにして、移動通信装置13Bの位置が、住戸Bに設置された固定通信装置11Bと住戸B外に設置された固定通信装置(固定通信装置11A、11C)を利用して算出され、この算出された移動通信装置13Bの位置を示す位置情報が住戸Bの管理者として登録されている管理者Bに対して送信される。移動通信装置13B以外の移動通信装置13の位置についても同様の手順で算出可能である。
【0048】
続いて、図5を参照して、本発明の一又は複数の実施形態による位置算出システム1を利用した居室における異常発生の検知方法について説明する。ここでは、図1に示されている例において、居住者Bが不在にしているときに不審者が住戸Bに侵入したことを検知する方法について説明する。
【0049】
まず、ステップS21において、人感センサ12からの検知信号に基づいて、住戸Bに入室があったことが検出される。次に、ステップS22において、住戸Bの居住者Bが携帯する移動通信装置13Bの位置の算出を行う。この位置の算出は、例えば、位置算出部51cによって行われる。
【0050】
次に、ステップS22で算出された移動通信装置13Bの位置に基づいて居住者Bが住戸Bに在室しているか否かが判断される。この居住者Bが住戸Bに在室しているか否かの判断は、例えば、異常通知部51fにおいて実行される。在室しているか否かは位置検出部51cで検出してもよい。移動通信装置13Bの位置が住戸B内であることが検出されない場合(例えば、移動通信装置13Bの位置が全く検出されない場合や移動通信装置13Bが住戸B以外の住戸に在室していることが検出された場合)には、処理はステップS24に進む。ステップS24では、住戸Bに不審者が侵入した可能性があると判断され、異常の発生を示す異常検知信号が住戸Bの管理者Bに対して送信される。
【0051】
以上のようにして、人感センサ12の検知信号及び移動通信装置13Bの位置を示す位置情報に基づいて、住戸に異常が発生したことが検知され、異常の発生を示す異常検知信号が住戸Bの管理者Bに対して送信される。
【0052】
続いて、図6を参照して、固定通信装置の別の配置例について説明する。図6に示されている例では、各住戸に2つの固定通信装置が配置されている点で、各住戸に1つの固定通信装置が配置されている図1の例と異なっている。より具体的には、住戸Aには、固定通信装置11A1、11A2が設置され、住戸Bには、固定通信装置11B1、11B2が設置され、住戸Cには、固定通信装置11C1、11C2が設置され、住戸Dには、固定通信装置11D1、11D2が設置されている。
【0053】
このように配置されている固定通信装置11A1〜11D2を用いて移動通信装置13の位置が算出される。例えば、住戸Bに在室している居住者Bの移動通信装置13Bの位置情報は、住戸Bに設置されている固定通信装置11B1、11B2及び住戸Aに配置されている固定通信装置11Aの各々と移動通信装置13Bとの間で無線通信される基準信号の受信強度に基づいて、三点測位の原理に従って算出される。
【0054】
図6に示されている例によれば、図1に示されている例よりも固定通信装置がより密に配置されているので、移動通信装置13の位置の測定精度を向上させることができる。図6に示されている場合であっても、各住戸に配置される固定通信装置の数は3よりも少ない。
【0055】
次に、上記の実施形態による作用効果について説明する。上記の本発明の一又は複数の実施形態によれば、ある住戸に設置されている固定通信装置11の他に別の住戸に設置されている固定通信装置11を用いて移動通信装置13の位置を算出することができる。例えば、住戸Bに設置されている固定通信装置11B及び、住戸Bの外に設置されている固定通信装置11A、11Cを用いて移動通信装置13Bの位置を算出することができる。したがって、移動通信装置13との間で基準信号を無線通信する固定通信装置を各住戸に3つ設けなくても三点測位の原理により移動通信装置13の位置を精度良く算出することができる。
【0056】
上記の本発明の一又は複数の実施形態によれば、移動通信装置13Bが住戸B内にある場合には、移動通信装置13Bの位置情報を、他の住戸に対応付けられている管理者(例えば、住戸Aに対応付けられている管理者A)には送信せずに、住戸Bに対応付けられている管理者Bに対してのみ送信することができる。これにより、複数の住戸に設置されている固定通信装置11を利用して移動通信装置13Bの位置を算出する場合でも当該移動通信装置Bを携帯している居住者Bのプライバシーを守ることができる。例えば、住戸Bの居住者Bが移動通信装置13Bを携帯しており、この住戸Bの管理者として登録された管理者Bが居住者Bの見守りや住戸Bの異常の監視を行っている場合、居住者Bの位置情報は管理者Bにのみ通知されるので、居住者Bの見守りや住戸Bの監視を行っていないユーザへの位置情報の通知を防止できる。
【0057】
上記の本発明の一又は複数の実施形態によれば、各住戸に移動通信装置13と基準信号を無線通信する固定通信装置11を一つずつ設置するだけで移動通信装置の位置を三点測位の原理により算出することができる。
【0058】
上記の本発明の一又は複数の実施形態によれば、移動通信装置13を携帯していない不審者が住戸に侵入した場合に異常が発生したことを検知することができる。
【0059】
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 位置算出システム
11 固定通信装置
12 人感センサ
13 移動通信装置
50 算出装置
51a 収集部
51b 装置選択部
51c 位置算出部
51d 管理者選択部
51e 送信部
51f 異常通知部
60 管理者装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6