【解決手段】送信部1は、立体形状を有する試料10の内部に向けて電波を送信する。複数の受信部2は、送信部1との間に試料10を挟む位置に配置されて、試料10を透過した電波を受信する。複数の受信部2は、試料10の周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されている。処理部3は、複数の受信部2により受信された測定データと、測定データを得たときと同じ送信部1及び受信部2の位置関係において試料10の誘電率を仮定して得られる算出データとの類似度を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る誘電率推定装置の概略的な構成を示すための説明図である。
【
図2】
図1の装置における要部の概略的な外観を示す説明図である。
【
図3】
図1の装置を用いた誘電率推定方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図4A】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図4B】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図4C】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図4D】
図4A〜
図4Cの測定データごとに得られた類似度を示すグラフであって、横軸は比誘電率、縦軸はセンブランスである。
【
図5】想定される複数の誘電率に対応する走時曲線を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は算出された走時である。
【
図6A】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図6B】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図6C】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図6D】
図6A〜
図6Cの測定データごとに得られた類似度を示すグラフであって、横軸は比誘電率、縦軸はセンブランスである。
【
図7A】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図7B】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図7C】第1実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図7D】
図7A〜
図7Cの測定データごとに得られた類似度を示すグラフであって、横軸は比誘電率、縦軸はセンブランスである。
【
図8】具体的な試料の例を示す説明図であって、
図8(a)は、試料の組成を説明するための概略的な説明図、
図8(b)は、試料の位置に対する誘電率の変化を示す説明図である。
【
図9】地盤の複数位置において取得される試料と、試料毎の誘電率変化とを例示的に示す概略的な説明図である。
【
図10】周上に等間隔に受信部を配置した状態を比較のために説明する説明図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る誘電率推定装置における受信部の配置状態を説明するための説明図である。
【
図12A】
図10の例における測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図12B】
図10の例における測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図12C】
図10の例における測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図12D】
図12A〜
図12Cの測定データごとに得られた類似度を示すグラフであって、横軸は比誘電率、縦軸はセンブランスである。
【
図13A】第2実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図13B】第2実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図13C】第2実施形態の推定方法に用いる測定データの一例を示す図であって、横軸は試料の周方向における位置、縦軸は走時である。
【
図13D】
図13A〜
図13Cの測定データごとに得られた類似度を示すグラフであって、横軸は比誘電率、縦軸はセンブランスである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る誘電率推定装置(以下「推定装置」又は単に「装置」と略称することがある)について説明する。
【0014】
(本実施形態の構成)
本実施形態の推定装置は、送信部1と、複数の受信部2と、処理部3とを備えている(
図1参照)。この装置は、出力部4とスイッチ5とハウジング6と筒体7(後述の
図2参照)とを追加的要素として備えている。
【0015】
(送信部)
送信部1は、立体形状を有する試料10(
図1において二点鎖線で示す)の内部に向けて電波を送信する構成となっている。送信部1は、送信用アンテナ(図示せず)を備えており、所定の周波数帯域及びパワーを持つ電波を所定のタイミングで送信できるようになっている。また、本実施形態の送信部1は、円筒状のハウジング6(後述)に取り付けられている。
図1においては、ハウジング6を模式的に一つの円で表している。送信部1は、配線11により処理部3に電気的に接続されている。
【0016】
(受信部)
複数の受信部2は、送信部1との間に試料10を挟む位置に配置されている。これらの受信部2はいずれも、受信用アンテナ(図示せず)を備えており、送信部1から送信されて試料10を透過した電波を受信する構成となっている。この明細書においては、複数の受信部を参照するときは符号2を用い、個別の受信部を参照するときは符号2a〜2gのように添え字を付す。
【0017】
本実施形態における複数の受信部2は、試料10の周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されている。具体的には、本実施形態の受信部2は全部で8個となっており、各受信部2の間は等間隔となっている。
【0018】
各受信部2には、スイッチ5を介して各受信部2と処理部3とを電気的に接続する配線21が接続されている。
【0019】
また、本実施形態の受信部2は、送信部1と同様にハウジング6に取り付けられており、これによって、各受信部2a〜2gと送信部1との位置関係が固定されている。
【0020】
(処理部)
処理部3は、複数の受信部2により受信された測定データと、この測定データを得たときと同じ送信部1及び受信部2の位置関係において試料10の誘電率を仮定して得られる算出データとの類似度を算出する構成となっている。
【0021】
さらに、本実施形態の処理部3は、類似度が最も高い値となる算出データに対応する誘電率を試料10の誘電率と推定する構成となっている。
【0022】
また処理部3は、所定のタイミングで、あるいは操作者からの適宜な入力により、所定の波形及び強度の電波を送信部1から送信させるようになっている。
【0023】
このような処理部3としては、コンピュータハードウェア若しくはコンピュータソフトウエア又はこれらの適宜な組み合わせにより構成することができる。
【0024】
処理部3における動作の具体例は後述する。
【0025】
(出力部)
出力部4は、処理部3で算出された類似度あるいは推定された誘電率を出力する構成となっている。出力部4としては、例えば、ユーザにそのような情報を提示するためのディスプレイであるが、それには制約されず、例えば、情報を記録するための各種のメモリや、ネットワークを介して情報を外部に転送するためのインタフェースであってもよい。
【0026】
(スイッチ)
本実施形態のスイッチ5としては、複数の受信部2からの配線21のうち、処理部3に接続されるべきものを、例えばトランジスタやダイオードを用いて電子的に順次切り替える素子が用いられている。
【0027】
(ハウジング)
本実施形態のハウジング6は、円筒状に形成されており、その内部には、送信部1及び複数の受信部2が収納されている。ハウジング6は、管体7の外側に嵌合するように配置されており、図示しない駆動手段により、管体7に対して、つまり試料10に対して、その長手方向に沿って移動可能とされている。
図1においては、管体7の記載を省略している。また
図2においては、ハウジング6から外部に引き出される配線21の記載を省略している。
【0028】
(試料)
本実施形態において用いられる試料10としては、誘電率の測定が必要な立体形状の有体物が用いられる。そのような試料10としては、例えば地盤調査のための円柱状の供試体(いわゆるコア)であるが、これらには制約されない。また、試料10の形状としては、円柱状には制約されず、例えば惰円柱状、角柱状、立方体状など、適宜の形状とすることができる。本実施形態の説明においては、試料が長尺の柱状に形成されていることを仮定する。試料10の寸法は特に制約されないが、試料10がコアである場合、通常は、直径数センチメートル〜数十センチメートル、長さ数十センチメートル〜1メートル程度である。
【0029】
(本実施形態における誘電率推定方法)
次に、
図3をさらに参照して、本実施形態における誘電率推定方法について説明する。
【0030】
(
図3のステップSA−1)
まず、試料10を管体7の内部に収納する。この作業に前後して、あるいはそれと同時に、ハウジング6を管体7の外側に嵌合させる(
図2参照)。これにより、送信部1と受信部2と試料10との位置関係を、
図1に示すような所定の位置関係とすることができる。またこれにより、送信部1と受信部2との間に試料10を挟む状態とすることができる。この状態において、処理部3から送信部1への指令に基づき、立体形状を有する試料10の内部方向に向けて送信部1から電波が送信される。
【0031】
(
図3のステップSA−2)
この状態では、試料10の内部を透過した電波を、各受信部2により受信することが可能になる。ついで、処理部3に接続する受信部2を、スイッチ5により切り替える。本実施形態では、
図1における反時計方向に配列された順で、受信部2を処理部3に接続し、受信データを処理部3に送る。
【0032】
本実施形態では、受信部2自体を走査させることなく、試料10の周方向での離散的位置における受信データをスイッチ5により順次処理部3に送ることができる。このため、本実施形態によれば、受信部そのものを走査させる手法に比べて、機械的構成を簡略化することができ、装置コストや保守コストを低減させることができる。また、実際に受信部を走査させる時間に比較して、一周分の受信データを取得する時間を大幅に短縮することが可能になる。なお、スイッチ5としては機械的なスイッチを用いることも可能であるが、電子的なスイッチ5を用いることにより、機械的なスイッチに比較して、高速かつ安定した動作が可能になる。
【0033】
(
図3のステップSA−3)
前記したステップSA−2の手順により、処理部3は、試料10の内部における電波の伝搬時間と電波の受信振幅とを、各受信部2の位置ごとに取得することができる。つまり、処理部3は、受信部2で取得された電波(透過波)の走時(送信から受信までに要した時間)に対する振幅の変化(時間波形)を、各受信部2の位置に応じて取得することができる。ここで、本実施形態における送信部1及び各受信部2はハウジング6に取り付けられているので、これらの位置関係は既知として扱うことができる。したがって、周方向における各受信部2の位置は既知とすることができる。
【0034】
試料10の誘電率を仮定してシミュレーションを行った場合の受信波形(測定データ)の例を
図4Aに示す。この図は、それぞれの受信位置(
図4Aの横軸で示される位置)において得られた受信波形(
図4Aの縦軸で示される時間に沿って表される波形)を、受信位置に対応して配置することで得られたものである。ここで受信位置は、試料10の周方向での角度として表されている。またここで、
図4Aは、受信部2での受信間隔を5°、受信部2の個数を61個、比誘電率をε
r=5とした条件下で得られたものである。またここで、比誘電率のみをε
r=10、ε
r=20のように変更した場合の受信データの例を
図4B及び
図4Cに示す。
【0035】
図4A〜
図4Cの例では、受信波形の振幅の変化により表される明確な透過波を観察することができる。この透過波で表される曲線(
図4A〜
図4C中において下向き凸の円弧状をなしている)を、走時曲線と呼ぶことがある。すなわち、この明細書において、走時曲線は、信号が観察され始める受信時間を走査方向につないだ曲線であるということができる。
図4A〜
図4Cの例では、透過波の走時曲線が、円柱状試料の断面形状にほぼ対応した円弧状をなしており、このことは、電波の伝搬距離の変化に応じて受信時間(走時)が変化していることを示している。
【0036】
(
図3のステップSA−4)
前記したステップSA−1〜3の動作と前後して、あるいは同時に、試料10において推定される誘電率を処理部3において設定する。設定される誘電率としては、同様の試料について予測される値(例えば過去に同様の試料において実測された値又はその近傍の値)を用いることが好ましい。
【0037】
(
図3のステップSA−5)
前記のステップと前後して、あるいは同時に、送信部1の位置(つまり送信位置)と受信部2の位置(つまり受信位置)との間の距離データを取得する。ここで、本実施形態では、送信部1と複数の受信部2との位置関係が固定されているので、距離データは既知とすることができ、既定値を用いることができる。
【0038】
ここで、送信位置を(x
t,y
t)、試料10の周方向に沿うi番目の受信位置を(x
r,i,y
r,i)とすると、送受信位置の間の距離d
iは下記式で表される。
【0040】
(
図3のステップSA−6)
ついで、処理部3は、設定された誘電率と、送受信位置間の距離とを用いて、走時曲線を算出する。算出された走時曲線のデータは、本発明における「測定データを得たときと同じ送信位置及び受信位置の位置関係において試料の誘電率を仮定して得られる算出データ」の一例に相当する。
【0041】
試料内部の比誘電率をε
rとしたとき、電波の受信時間(travel time)τ
iは下記式で表される。
【0043】
ここで、
v:電波の伝搬速度
c:真空中の光速
である。
【0044】
誘電率ε
rごとに算出された走時曲線の一例を
図5に示す。
【0045】
(
図2のステップSA−7)
ついで、処理部3は、受信された測定データと、得られた算出データとの類似度を算出する。本実施形態においては、類似度として、センブランス(Semblance)を用いる。誘電率ε
rにおけるセンブランスS(ε
r)は下記式により算出できる。
【0048】
(
図2のステップSA−8)
得られたセンブランスを
図4Dに示す。いずれの誘電率の場合(
図4A〜
図4C参照)であっても、若干の誤差はあるが、センブランスのピーク値を用いて、試料の誘電率を推定できる。この推定は、得られたセンブランスのデータを見たユーザにより行うこともできるし、処理部3により自動的にピーク値を検出して行うこともできる。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、比較的に簡便な手法により、試料の誘電率を推定することができるという利点がある。
【0050】
図4A〜
図4Dの例に対して異なる受信間隔及び受信点数を設定した例を、
図6A〜
図6D及び
図7A〜
図7Dに同様に示す。いずれの例においても、試料の誘電率を推定できることが分かる。
【0051】
(測定の実施例)
ここで、本実施形態により長尺試料を測定する具体的な実施例について説明する。まず、
図8を参照して、この実施例において用いられる試料10について説明する。この試料10は、全体として長尺の円柱状に形成されたボーリングコア(単に「コア」と略称する)である(
図8(a)参照)。このようなコアは、例えば地中の性状を調べるために、地中にボーリングを行うことにより採取される。この試料10は、例えば、異なる構成材料や状態の部分10a〜10dを有している。
【0052】
測定においては、まず、試料10を管体7に収納することにより、ハウジング6(
図2参照)を試料10に対する所定の位置(例えば試料10の一端側近傍)に配置する。これにより、送信部1と複数の受信部2とを試料10に対する所定の位置に配置することができる。ついで、前記したステップSA−2〜SA−8を行い、試料10の誘電率を推定することができる。
【0053】
その後、ハウジング6を管体7の、つまり試料10の長手方向に沿って移動させる。これにより、送信部1と複数の受信部2とを試料10の長手方向に沿って移動させることができる。そして再度、前記の手順を行うことにより、移動後の位置における試料10の誘電率を推定することができる。ただし、この場合、ステップSA−4〜SA−6を再び行う必要はなく、得られた算出データを異なる位置においても用いることができる。
【0054】
この実施例によれば、このようにしてハウジング6を移動させることにより、試料10の長手方向における誘電率の変化(
図8(b)参照)を測定することができる。例えば本実施形態によれば、地盤Gの深さ方向における誘電率変化を、ボーリング地点ごとに調べることができる(
図9参照)。
【0055】
また、本実施例では、ハウジング6を管体10に対して移動させることにより、試料10の長手方向に沿う誘電率変化を測定することができる。これに対して、試料10をハウジング6(つまり送信部1及び受信部2)に対して移動させる手段も考えられる。しかしながらその場合は、試料10を移動させるための機械的構成が複雑化するだけでなく、長尺の試料10を移動させるための空間が必要になる。これに対して本実施例では、ハウジング6を移動させているので、装置の機械的構成を簡略化できるだけでなく、装置の動作に必要な空間を少なくすることができるという利点がある。
【0056】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る推定装置を、
図10〜
図13に基づいて説明する。この第2実施形態の説明においては、前記した第1実施形態の装置と基本的に共通する要素については、同一符号を用いることにより、説明の煩雑を避ける。
【0057】
前記した第1実施形態では、
図10に示すように、複数の受信部2が試料10の周方向に等間隔に配置されていることを前提にしていた。これに対して、第2実施形態の装置では、試料10を横断し、かつ試料10の中心部(軸心)を通る仮想線101を中心として、複数の受信部2が非対称となる位置に配置されている(
図11参照)。
図11の例では、
図10の例から受信部2b、2d、2g、2i、2kが減らされたものとなっている。あるいは、第2実施形態は、等間隔に配置された受信部2の一部が間引かれた構成ということもできる。したがって、
図11の例では、6個の受信部2a、2c、2e、2f、2h、2jが配置されている。
【0058】
図10の配置状態における受信部2の受信データと、得られたセンブランスを
図12A〜
図12Dに示す。さらに、
図11の配置状態における受信部2の受信データとセンブランスを
図13〜
図13Dに示す。これらの図におけるデータ取得条件は基本的に
図4と同様である。
図12Dと
図13Dを比較して明らかなように、
図11の例(つまり第2実施形態)においても、
図10の例(つまり第1実施形態)と同様の精度で誘電率を推定することができる。
【0059】
この理由は以下のように説明できる。すなわち、試料10内部の、半径方向での誘電率がほぼ一定とすれば、
図10の例では、左右で対称となる位置における受信データは同等であると考えられる。なお、試料10の径が短いとき(例えばコアのとき)は、試料の径方向の誘電率を一定と仮定しても実際上支障がない。すると、
図10における11個の受信点のうち、独立なものは6点となる。
【0060】
これに対して、
図11の例では、いずれの受信点も非対称の位置なので、独立な受信点の個数はやはり6点である。このため、同じ精度で誘電率を測定することが可能になったと考えられる。
【0061】
したがって、第2実施形態では、受信部2の個数を減らすことができ、その分、製造コストや保守コストの低減を図ることができる。また、受信部2の個数が一定とすれば、第2実施形態の構造を用いることにより、実質的な受信部2の配置密度を増やすことができ、誘電率をより精密に測定することが可能になる。
【0062】
第2実施形態における前記以外の構成及び利点は、前記した第1実施形態と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0063】
なお、前記実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【0064】
例えば、前記した実施形態では、類似度を示す指標としてセンブランスを用いたが、相互相関やStacked amplitude, normalised stacked amplitude, normalised/unnormalised/energy-normalised cross-correlation sumなどの手法を用いることができる。
【0065】
また、前記実施形態では、誘電率を推定するものとしたが、比誘電率ε
rと電波の伝搬速度vとは、下記式によって変換可能なので、電波の伝搬速度を推定することは、誘電率の測定と等価である。すなわち、本発明は、電波の伝搬速度を推定する場合を含む。
【0067】
また、本実施形態では、試料10を長尺状としたが、これには限らず、短尺状のものを用いることも可能である。
【0068】
前記した各構成要素は、機能ブロックとして存在していればよく、独立したハードウエアとして存在しなくても良い。また、実装方法としては、ハードウエアを用いてもコンピュータソフトウエアを用いても良い。さらに、本発明における一つの機能要素が複数の機能要素の集合によって実現されても良く、本発明における複数の機能要素が一つの機能要素により実現されても良い。さらに、機能要素は、物理的に離間した位置に配置されていてもよい。この場合、機能要素どうしがネットワークにより接続されていても良い。グリッドコンピューティング又はクラウドコンピューティングにより機能を実現し、あるいは機能要素を構成することも可能である。