【解決手段】表示装置(10)は、複数の鋳型又は複数の模型を検査対象として検査結果を表示する。表示装置(10)は、複数の検査対象を複数のグループに分類する処理と、前記複数のグループの各々について、そのグループに分類された検査対象の欠陥検査の結果から、欠陥発生頻度の空間分布を表すヒートマップ画像を生成する処理と、前記生成する処理にて生成されたヒートマップ画像のうち、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する処理とを実行する。
前記分類する処理において、前記コントローラは、前記複数の鋳型の各々を、その鋳型の造型に関する造型条件、及び前記欠陥検査の結果の少なくともいずれか一方に応じて分類する、
ことを特徴とする請求項2〜4までのいずれか1項に記載の検査結果表示装置。
請求項1〜11までの何れか1項に記載の検査結果表示装置を制御する制御プログラムであって、前記コントローラに前記各処理を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、機械加工後の検査で判明した粗形材の欠陥を、粗形材の生成工程にフィードバックすることができるものの、鋳型又は鋳型を製造するための模型(パターン)において発生している欠陥の傾向を作業者等が把握することはできなかった。鋳型又は模型において発生する欠陥は模型の種類又は造型条件によって様々である。それらの欠陥の傾向を作業者等が把握できれば好適である。
【0006】
本発明の一態様は、鋳型又は模型において発生している欠陥の傾向を作業者等が把握し易い技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る検査結果表示装置は、複数の鋳型又は複数の模型を検査対象とする検査結果表示装置であって、コントローラを備え、前記コントローラは、前記検査対象を複数のグループに分類する処理と、前記複数のグループの各々について、そのグループに分類された検査対象の欠陥検査の結果から、欠陥発生頻度の空間分布を表すヒートマップ画像を生成する処理と、前記生成する処理にて生成されたヒートマップ画像のうち、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する処理と、を実行する、ことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、複数の鋳型又は複数の模型を検査対象として、検査対象を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、作業者のユーザは、検査対象において発生している欠陥の傾向を把握し易い。
【0009】
本発明の態様2に係る検査結果表示装置は、前記態様1において、前記検査対象は、鋳型であってもよい。
【0010】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型において発生している欠陥の傾向を把握し易い。
【0011】
本発明の態様3に係る検査結果表示装置は、前記態様2において、前記分類する処理において、前記コントローラは、前記複数の鋳型の各々を、その鋳型の造型に用いた模型に応じて分類してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型の造型に用いた模型に応じて鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型の欠陥の模型毎の傾向を把握し易い。
【0013】
本発明の態様4に係る検査結果表示装置は、前記態様2又は3において、前記分類する処理において、前記コントローラは、複数の前記鋳型の各々を、その鋳型を検査した単位期間毎に分類してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型を検査した単位期間毎に鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型の欠陥の傾向及び推移を把握し易い。
【0015】
本発明の態様5に係る検査結果表示装置は、前記態様2〜4において、前記分類する処理において、前記コントローラは、前記複数の鋳型の各々を、その鋳型を造型する際の造型条件、及び前記欠陥検査の結果の少なくともいずれか一方に応じて分類してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型を造型する際の造型条件及び欠陥検査の結果の少なくともいずれか一方に応じて鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型の欠陥の造型条件毎及び/又は欠陥検査の結果毎の傾向を把握し易い。
【0017】
本発明の態様6に係る検査結果表示装置は、前記態様5において、前記造型条件は、前記鋳型の砂性状、前記鋳型を製造する造型機の制御パラメータ、気象条件、及び欠陥の重要度の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0018】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型の砂性状、鋳型を製造する造型機の制御パラメータ、気象条件、及び欠陥の重要度の少なくともいずれかを含む造型条件に応じて鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型において発生している欠陥の造型条件毎の傾向を把握し易い。
【0019】
本発明の態様7に係る検査結果表示装置は、前記態様5又は6において、前記欠陥検査の結果は、欠陥の重要度を含んでもよい。
【0020】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、欠陥の重要度に応じて鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型において発生している欠陥の重要度毎の傾向を把握し易い。
【0021】
本発明の態様8に係る検査結果表示装置は、前記態様2〜7において、前記分類する処理において、前記コントローラは、複数の前記鋳型の各々を、その鋳型が上型か下型かに応じて分類してもよい。
【0022】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型が上型か下型かに応じて鋳型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、鋳型が上型である場合の欠陥の傾向及び鋳型が下型である場合の欠陥の傾向を把握し易い。
【0023】
本発明の態様9に係る検査結果表示装置は、前記態様1〜8において、前記表示する処理において、前記コントローラは、前記複数のグループの各々に対応するヒートマップ画像を、順に切り替えてアニメーション表示してもよい。
【0024】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、複数のヒートマップ画像を造型条件に応じた順序でディスプレイに表示させる。したがって、ユーザは、造型条件に応じた欠陥の傾向及び推移を把握し易い。
【0025】
本発明の態様10に係る検査結果表示装置は、前記態様1において、前記検査対象は、複数の模型であってもよい。
【0026】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、模型を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、模型において発生している欠陥の傾向を把握し易い。
【0027】
本発明の態様11に係る検査結果表示装置は、前記態様1〜10において、前記コントローラは、予め定められたプログラムに従って前記各処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記プログラムを格納した少なくとも1つのメモリと、を備えていてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、検査結果表示装置は、鋳型又は模型を検査対象として、検査対象を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイに表示する。したがって、ユーザは、検査対象において発生している欠陥の傾向を把握し易い。
【0029】
本発明の態様12に係る制御プログラムは、前記態様1〜11までの何れかに記載の検査結果表示装置を制御する制御プログラムであって、前記コントローラに前記各処理を実行させることを特徴とする。
【0030】
本発明の範疇には、態様12に係る制御プログラム及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、鋳型又は模型において発生している欠陥の傾向をユーザが容易に把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔実施形態1〕
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10を含む鋳造システム1を概略的に示す構成図である。鋳造システム1は、搬送路にそって搬送される複数の鋳型2に注湯することによって鋳物を製造するシステムの一部である。鋳造システム1は、表示装置10、検査装置20、入出力装置30、造型機40、ラインコントローラ50、注湯機60、及び搬送装置70を備える。
【0034】
図1の表示装置10(検査結果表示装置、及びコントローラの一例)は、検査対象の欠陥検査の結果をディスプレイに表示する装置である。本実施形態において、検査対象は、複数の鋳型2の製品面(キャビティ面)である。鋳型2の製品面の欠陥とは、例えば、鋳型2の型落ちまたは砂付着である。型落ちとは、鋳型2の一部が欠けた状態であることをいう。また砂付着とは、鋳型2の一部に砂が付着した状態であることをいう。欠陥検査の結果は例えば、鋳型2の型落ちまたは砂付着の位置、大きさ、形を含む。本実施形態1では、型落ちの検査結果を表示する場合について説明する。表示装置10は例えば、ラップトップ型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータである。表示装置10は、作業者等のユーザにより携帯されるスマートフォン又はタブレット端末であってもよい。
【0035】
検査装置20は、搬送路に沿って搬送される複数の鋳型2の各々を撮影する。検査装置20は例えばカメラを含む。また、検査装置20は、鋳型2を被写体として含む画像データを用いて鋳型2の欠陥を特定する。
【0036】
入出力装置30は、ユーザが各種の操作を行うための装置である。入出力装置30は、ユーザにより操作される操作部(図示略)、及び、鋳型2の検査結果を表示するディスプレイ31(
図2参照)を備える。入出力装置30は、検査装置20が撮影を行う場所よりも後の工程に対応する場所に設置される。
図1の例では、入出力装置30は中子セット場A1に設置されている。
【0037】
ディスプレイ31は例えば液晶ディスプレイであり、表示装置10から供給されるデータに従い画面を表示する。本実施形態では特に、ディスプレイ31は、表示装置10から供給されるデータに従い、鋳型2の欠陥検査の結果を表示する。なお、ディスプレイ31は、入出力装置30以外の他の装置に設けられていてもよい。また、表示装置10がディスプレイ31を備える構成であってもよい。
【0038】
造型機40は、模型を用いて鋳型2を製造する装置である。造型機40は、鋳型2に関する情報(以下「鋳型情報」という)をラインコントローラ50から受信し、受信した鋳型情報に含まれるパターンコードで示される鋳型2を製造する。パターンコードは、造型パターンを一意に示す情報である。造型機40は、模型(図示略)とともにセットされた鋳枠(図示略)内に砂を投入し、鋳枠内の砂を加圧して固める。造型機40は、固められた砂から模型を取り出すことにより鋳型2を形成する。
【0039】
ラインコントローラ50は、鋳造システム1を統括制御するコントローラである。この実施形態では、ラインコントローラ50は特に、造型機40、注湯機60、及び搬送装置70を制御する。注湯機60は、鋳型2に溶湯を流し込む装置である。注湯機60は、ラインコントローラ50から送信される制御信号に従い、注湯エリアに位置する鋳型2を注湯対象として、鋳型2に溶湯を流し込む(注湯を行う)。
【0040】
搬送装置70は、造型機40から注湯機60の前に鋳型2を搬送する装置である。搬送装置70は、例えばローラコンベヤ(図示略)又はレール(図示略)を有し、ローラコンベヤ又はレール上の搬送路に沿って複数の鋳型2を順次搬送する。搬送装置70は、ラインコントローラ50から送信される制御信号に従い、鋳型2を搬送する。
【0041】
検査装置20と注湯機60の間には、中子セット場A1が設けられている。中子セット場A1には、作業者が駐留しており、鋳型2に中子をセットする作業を行う。
【0042】
図2は、表示装置10の構成を概略的に示すブロック図である。表示装置10は、
図2に示すように、プロセッサ101、主メモリ102、補助メモリ103、入力インタフェース104、及び出力インタフェース105を備える。プロセッサ101は、表示装置10を制御するプロセッサであり、例えば、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、又はこれらの組み合わせ等である。主メモリ102は、例えば半導体RAM(Random Access Memory)である。補助メモリ103は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせ等である。補助メモリ103には、表示装置10の動作をプロセッサ101に実行させるためのプログラムが格納されている。プロセッサ101は、補助メモリ103に格納された制御プログラムを主メモリ102上に展開し、展開した制御プログラムに含まれる各命令を実行する。補助メモリ103は本発明に係るメモリの一例である。
【0043】
検査装置20の補助メモリには、基準画像テーブル及び検査結果テーブルが記憶されている。基準画像テーブルは、鋳型2の検査を行う際に用いられる基準画像が模型毎に記憶されたテーブルである。検査結果テーブルは、鋳型2の欠陥検査の結果を、鋳型2を識別する識別情報と対応付けて記憶するテーブルである。
【0044】
図3は、基準画像テーブルの内容を例示する図である。
図3の例では、基準画像テーブルは、「パターンコード」及び「基準画像フォルダNo」の各項目を互いに関連付けて記憶する。これらの項目のうち、「パターンコード」の項目には、模型を識別する識別情報が格納される。「基準画像フォルダNo」の項目には、その模型に対応する基準画像のデータの格納場所を示す情報が格納される。なお、基準画像テーブルに含まれる項目は上述したものに限定されず、他の項目が基準画像テーブルに含まれていてもよい。
【0045】
図4は、基準画像G0を例示した図である。
図4の例では、基準画像G0は、欠陥のない鋳型2を検査装置20が撮影した画像である。
【0046】
図5は、検査結果テーブルの内容を例示する図である。
図5の例では、検査結果テーブルは、「鋳型ID」、「パターンコード」、「検査日時」及び「検査結果」の各項目を互いに関連付けて記憶する。これらの項目のうち、「鋳型ID」の項目には、鋳型2を識別する識別情報が格納される。「パターンコード」の項目には、模型を識別する識別情報(パターンコード)が格納される。「検査日時」の項目には、欠陥検査が行われた日時を示す情報が格納される。「検査結果」の項目には、欠陥検査の結果を示す情報が格納される。
【0047】
「検査結果」の項目は、「判定」及び「検査画像フォルダNo」の項目を含む。「判定」の項目には、欠陥検査の判定結果を示す情報が格納される。判定結果を示す情報は例えば、「OK」、「NG」、又は「Fail」である。「OK」は、鋳型2が正常であることを示す。「NG」は、鋳型2が異常である(欠陥を有する)ことを示す。「Fail」は、検査自体に失敗したことを示す。「検査画像フォルダNo」の項目には、鋳型2の欠陥検査の結果を示す画像(以下「検査画像」という)の格納場所を示す情報が格納される。なお、検査結果テーブルに含まれる項目は上述したものに限定されず、他の項目が検査結果テーブルに含まれていてもよい。
【0048】
図2の説明に戻る。入力インタフェース104は、検査装置20から検査結果を示すデータを取得する。出力インタフェース105は、ディスプレイ31に画像を表すデータを出力する。なお、
図1にはひとつの入力インタフェース104及びひとつの出力インタフェース105が図示されているが、表示装置10が複数の入力インタフェース及び/又は複数の出力インタフェースを備えていてもよい。この例で、プロセッサ101が補助メモリ103に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、分類部12、生成部13、及び表示部14が実現される。
【0049】
本実施形態では、鋳型2の欠陥検査は検査装置20により行われる。検査装置20は、検査装置20が撮影した撮影画像と、基準画像テーブルに登録されている基準画像とを用いて、搬送路上を搬送される複数の鋳型2の欠陥検査を行う。検査装置20は例えば、検査装置20が撮影した撮影画像と予め登録された基準画像との差分を表す差分画像を生成し、生成した差分画像を粒子解析し、差分画像内の塊(ブロブ)を検出することにより、欠陥部分を特定する処理を行う。
【0050】
検査装置20は、検査結果を示すデータ(以下「検査結果データ」という)を、鋳型2の識別情報と紐付けて検査結果テーブルに格納する。複数の鋳型2のそれぞれについて欠陥検査が行われることにより、検査結果テーブルには、複数の鋳型2の検査結果が蓄積される。
【0051】
分類部12は、複数の鋳型2を複数のグループに分類する。生成部13は、複数のグループの各々について、そのグループに分類された鋳型2の欠陥検査の結果から、欠陥発生頻度の空間分布を表すヒートマップ画像を生成する。本実施形態では、生成部13は、型落ちの位置、大きさ、形をヒートマップ形式で表示する。生成部13は、生成したヒートマップ画像を示すデータを補助メモリ103に記憶する。
【0052】
表示部14は、生成部13にて生成されたヒートマップ画像のうち、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。
【0053】
ラインコントローラ50は、鋳型情報を管理する鋳型管理テーブルを備えている。鋳型管理テーブルは例えば、ラインコントローラ50の補助メモリに記憶されている。鋳型情報は、鋳型2に関する情報であり、例えば、鋳型2を識別する識別情報、及び鋳型2の搬送路における位置を示す位置情報を含む。すなわち、鋳型管理テーブルには、鋳型2の識別情報が鋳型2の位置情報と対応付けて記憶される。
【0054】
図6は、鋳型管理テーブルの内容を例示する図である。鋳型管理テーブルは、「鋳型ID」、「パターンコード」、「位置」、及び「鋳型検査結果」等の各項目を互いに関連付けて記憶する。これらの項目のうち、「鋳型ID」の項目には、鋳型2を識別する識別情報が格納される。「パターンコード」の項目には、対応する鋳型IDによって識別される鋳型2を製造するために用いられる模型を識別する識別情報(パターンコード)が格納される。
【0055】
「位置」の項目には、対応する鋳型IDによって識別される鋳型2の搬送路上の位置を示す情報(以下「位置情報」という)が格納される。この実施形態では、搬送路上における鋳型2の位置として、位置P1〜P19が設定されている。位置P1が搬送装置70の搬送方向の最上流に位置し、下流にいくに従って、位置P2、位置P3、…と位置情報が割り振られている。位置P1は、造型機40による造型が行われる位置である。位置P2〜P4は、造型機40と検査装置20との間の位置である。位置P5は、検査装置20による撮影が行われる位置である。位置P6〜P17は、検査装置20と注湯機60との間の位置である。位置P9は、ディスプレイ31の正面の位置である。位置P18は、注湯機60による注湯が行われる位置である。位置P19は、注湯された鋳型2を含む鋳枠が搬出される位置である。
【0056】
搬送装置70は、複数の鋳型2を搬送路上で順次移動させ、鋳型2を移動させる毎に、移動が完了した旨を示す信号(以下、「枠送り完了信号」という)を出力する。ラインコントローラ50は、搬送路において複数の鋳型2が移動される度に、鋳型2の識別情報に対応付ける位置情報を更新する。この実施形態では、搬送装置70から枠送り完了信号を受信するたびに、鋳型管理テーブルに記憶されている鋳型情報に含まれる「位置情報」を1つ進めるとともに、新たな鋳型情報を鋳型管理テーブルに追加する。追加された鋳型情報には「位置」に位置P1を示す位置情報が格納される。なお、位置P19にある鋳枠が枠送りされると、鋳造システム1から搬出されることになる。
【0057】
「鋳型検査結果」の項目は、「判定」及び「注湯可否」の項目を含む。「判定」の項目には、欠陥検査の判定結果を示す情報が格納される。「判定」の項目に格納される情報は、表示装置10の検査結果テーブルの「判定」の項目に格納される情報と同様である。
【0058】
「注湯可否」の項目には、注湯を行うか否かを示す情報(以下「注湯可否情報」という)が格納される。本実施形態では、中子をセットする作業者が、ディスプレイ31に表示される検査結果、及び実際の鋳型を視認することにより、鋳型2が注湯可能であるかを判断し、入出力装置30を用いて判断結果を入力する。入出力装置30は、作業者の操作に応じて注湯可否情報をラインコントローラ50に送信する。ラインコントローラ50は、入出力装置30から受信した注湯可否情報を鋳型管理テーブルの「注湯可否」の項目に記憶する。なお、鋳型管理テーブルに含まれる項目は上述したものに限定されず、他の項目が鋳型管理テーブルに含まれていてもよい。
【0059】
(動作)
図7は、表示装置10が行う検査結果の表示処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、又は、順序を替えて実行されてもよい。
【0060】
ステップS100において、分類部12は、複数の鋳型2を複数のグループに分類する。本実施形態では、分類部12は、複数の鋳型2の各々を、その鋳型の造型に用いた模型に応じて分類する。より具体的には、分類部12は、検査装置20の検査結果テーブルにおいて各鋳型2の鋳型IDに対応付けられているパターンコードにより鋳型2を分類する。
【0061】
ステップS101において、生成部13は、検査結果テーブルに記憶された検査結果を入出力装置30を介して参照し、複数のグループの各々について、そのグループに分類された検査対象の欠陥検査の結果から、欠陥発生頻度の空間分布を示すヒートマップ画像を生成する。生成部13は例えば、複数の模型のそれぞれについて、各模型に対応する基準画像における単位領域毎(例えば、画素毎)に欠陥の発生頻度を集計し、集計結果が示す単位領域毎の欠陥の発生頻度をヒートマップ形式で表すヒートマップ画像を生成する。集計処理は例えば、表示装置10が、検査画像に含まれる各画素に、欠陥がある場合は「1」、欠陥がない場合は「0」を割り振り、複数の検査画像について画素毎に合計値を算出することにより行う。表示装置10は、算出した合計値に応じて画素毎に色分けを行ったヒートマップ画像を生成する。表示装置10は、欠陥発生頻度の空間分布を表す画像(以下「空間分布画像」という)をヒートマップ画像として生成してもよく、また、空間分布画像を基準画像又は検査画像に重ね合わせる画像を、ヒートマップ画像として生成してもよい。
【0062】
このように、型落ちに対応する位置毎に検査結果を示す情報が表示装置10に蓄積されていき、蓄積結果がヒートマップ画像として表示される。このとき、例えば、欠陥の発生頻度をRGB空間により表される色で色分けする場合、最も発生頻度が高い範囲の色を(r,g,b)=(255,0,0)とし、最も発生頻度が低い範囲の色を(r,g,b)=(0,0,255)とし、これら2つの色の間でグラデーションとなる色を生成部13が各範囲に割り当ててもよい。なお、表示装置10は、砂付着の検査結果を表示する場合も同様に、砂付着の発生頻度によりヒートマップ画像として色分け表示をしてもよい。
【0063】
図8及び
図9は、生成部13が生成するヒートマップ画像を例示する図である。
図8及び
図9の例では、基準画像と空間分布画像とが重ね合わされた画像がヒートマップ画像として生成される。図において、ヒートマップ画像G10及びG11は、欠陥の発生頻度を画素単位で集計した結果をヒートマップ形式で表す画像である。生成部13は、模型毎に生成したヒートマップ画像を、模型を識別するパターンコードに対応付けて補助メモリ103に記憶する。補助メモリ103には、模型毎のヒートマップ画像が蓄積される。
【0064】
生成部13は例えば、ヒートマップ画像において欠陥の発生頻度を複数の範囲に区分し、区分した範囲毎に色を異ならせることにより、ヒートマップ画像における欠陥の発生頻度を表現する。例えば、欠陥の発生頻度をRGB空間により表される色で色分けする場合、最も発生頻度が高い範囲の色を(r,g,b)=(255,0,0)とし、最も発生頻度が低い範囲の色を(r,g,b)=(0,0,255)とし、これら2つの色の間でグラデーションとなる色を生成部13が各範囲に割り当ててもよい。
【0065】
さて、作業者等のユーザは、検査結果の傾向を把握したい場合、入出力装置30を用いて、1又は複数の模型を指定する操作を行う。入出力装置30は、ユーザ操作に基づき、ユーザにより指定された1又は複数のグループを示す情報(以下「指定情報」という)を表示装置10に送信する。表示装置10は、入出力装置30から指定情報を受信すると、
図7のステップS102の処理を実行する。
【0066】
図7の説明に戻る。ステップS102において、表示装置10は、ステップS101において生成されたヒートマップ画像のうち、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像を入出力装置30に送信し、ディスプレイ31に表示する。ステップS102の処理により、
図8及び
図9に例示されるヒートマップがディスプレイ31に表示される。
【0067】
上記の構成によれば、表示装置10は、鋳型2を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。したがって、ユーザは、鋳型2において発生している欠陥の発生傾向(発生箇所の傾向、等)を把握し易い。これにより、ユーザは、鋳型2の欠陥の発生原因を分析し易い。
【0068】
〔変形例1〕
上述の実施形態では、鋳型2が枠付で造型される場合について説明した。鋳型2の造型方法は上述した実施形態で示したものに限られない。鋳型2は例えば、抜枠で造型されるものであってもよい。抜枠の場合、造型機40は、上鋳枠と下鋳枠がマッチプレートを挟み付けた状態で砂を充填して鋳型を造型する。鋳型の造型後、マッチプレートが退避した段階で、小型の検査装置20’を上鋳型と下鋳型の間に挿入し、上鋳型と下鋳型の製品面をそれぞれ撮像する。撮像後、小型の検査装置20’を退避させる。そして、上鋳型と下鋳型を合わせた後、抜枠を行い、搬送装置70’によって上下鋳型を搬送する。上下鋳型は、搬送装置70’による搬送中に、ジャケット、及び重錘が装着され、注湯位置で注湯が行われる。小型の検査装置20’は、撮像された画像と基準画像とを比較することにより、鋳型の欠陥の検査を行い、検査結果を検査結果テーブルに蓄積する。
【0069】
表示装置10は、検査結果テーブルに蓄積された検査結果を入出力装置30を介して参照し、これらの検査結果に基づいて、グループ毎のヒートマップ画像を生成する。ヒートマップ画像の生成処理については、上述の実施形態と同様である。グループに分類する際に、表示装置10は、複数の鋳型2の各々を、鋳型が上型か下型かに応じて分類してもよい。
【0070】
本態様においても、上述の実施形態と同様に、鋳型2において発生している欠陥の発生傾向を、ヒートマップ画像によりユーザに提示することができる。これにより、ユーザは、鋳型2の欠陥の発生原因を分析し易くなる。
【0071】
〔変形例2〕
上述の実施形態では、欠陥検査の検査対象が複数の鋳型2である場合を説明した。検査対象は鋳型2に限られない。検査対象は、鋳型2の造型に用いる複数の模型であってもよい。すなわち、欠陥検査の検査対象は、複数の鋳型2、又は複数の鋳型2の造型に用いる複数の模型である。検査対象が模型である場合、欠陥とは、例えば、模型への砂残り、模型の欠け、又は模型の摩耗であり、欠陥検査の結果は例えば、模型への砂残り、模型の欠け、又は模型の摩耗の位置を含む。
【0072】
この場合、表示装置10は、模型の検査結果を複数のグループに分類し、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。したがって、ユーザは、模型において発生している欠陥の傾向を把握し易い。これにより、ユーザは、模型において発生している欠陥の発生原因を分析し易い。
【0073】
〔変形例3〕
上述の実施形態では、検査装置20が、鋳型2を被写体として含む画像データを用いて鋳型2の欠陥を特定する処理を行った。欠陥の特定処理を、検査装置20以外の装置が行ってもよい。例えば、表示装置10が、鋳型2を被写体として含む画像データを用いて鋳型2の欠陥を特定する処理を行ってもよい。
【0074】
〔変形例4〕
上述の実施形態において、型落ちの大きさが鋳型2の表面積に対して小さい場合がある。そのため、表示装置10が、ユーザが拡大して見たい部分を拡大して表示できるようにしてもよい。この場合、ディスプレイ31に表示されているヒートマップ画像に含まれる部分を指定する操作をユーザが行うと、表示装置10は、指定された部分のヒートマップ画像を拡大して表示してもよい。
【0075】
〔変形例5〕
上述の実施形態において、鋳型を反転する時、又は枠送りを行う時、鋳型製品面の金枠外周部と鋳型の境に付着した砂が鋳型製品面に落下する場合がある。鋳型2の表面に落下した砂が、上鋳型と下鋳型を合わせる際、上鋳型と下鋳型の間に介在し、不良の原因となる可能性がある。そのため、表示装置10が、鋳型2の表面に落下した砂を欠陥として検出しても良い。
【0076】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態を説明する。実施形態2は、分類部12が行う分類処理の内容が、実施形態1のそれと異なる。実施形態2では、表示装置10は、分類処理において、複数の鋳型2の各々を、模型の種類、鋳型2の造型に関する造型条件、及び欠陥検査の結果の少なくともいずれか一方に応じて複数のグループに分類する。造型条件は例えば、鋳型2が検査された期間、鋳型2の砂性状、造型機40の制御パラメータ、及び気象条件の少なくともいずれかを含む。欠陥検査の結果は例えば、欠陥の重要度を含む。鋳型2の砂性状は例えば、CB値(コンパクタビリティ)、水分、通気度、圧縮強度、及び砂温を含む。また、造型条件には、鋳物の製品品質への鋳型2の欠陥の影響の有無、が含まれてもよい。
【0077】
制御パラメータは、鋳型2の品質に影響を及ぼすパラメータを指す。主な例として例えば、以下のものが挙げられる。
・鋳枠内へ砂を充填するためのエアレーションエアー圧力
・サンドタンク内のエアー圧力
・エアレーションエアー圧力とサンドタンク内のエアー圧力の差
・スクイズ圧力
・レベリングフレーム用シリンダの作動圧力
・セグメント方式のスクイズフット用シリンダの作動タイミング
・セグメント方式のスクイズフット用シリンダの下降圧力
気象条件は例えば、気温や湿度である。
【0078】
欠陥の重要度は、注湯の可否を判定する際に参照される。欠陥の重要度が高い場合、注湯しない、といった制御が行われる。一方、欠陥の重要度が低い場合、例えば、グラインダ等で欠陥箇所を削れば修復可能で注湯可能となる。欠陥の重要度は、例えば中子をセットする作業者が判断する。そして作業者が手作業で判断結果を入力する。また、発生箇所(例えば、模型の凹凸近くにあると重要性大)や欠陥の大きさにより、重要度の高さが異なってくる。
【0079】
鋳型2の造型条件は、例えば鋳型管理テーブルに格納されている鋳型情報に含まれている。すなわち、鋳型管理テーブルには、鋳型2の造型条件が鋳型2を識別する識別情報に対応付けて記憶される。また、鋳型2が検査された日時を示す日時情報は、上述したように検査結果テーブルに格納されている。
【0080】
(動作例1)
ユーザは、入出力装置30を用いて造型条件に応じたグループを選択するための操作を行う。入出力装置30は、ユーザの操作に応じて、造型条件に応じたグループを選択するための画面をディスプレイ31に表示する。
【0081】
図10は、ヒートマップ画像の表示画面を例示する図である。画面G60は、表示領域G61及びG62を含む。表示領域G61及びG62にはそれぞれ、ヒートマップ画像G611及びG612が表示される。また、表示領域G61及びG62にはそれぞれ、表示要素b11〜b16が表示される。表示要素b11は、補助メモリ103に記憶されたヒートマップ画像のデータを読み出すためのボタンである。ユーザにより表示要素b11が選択されると、表示装置10は、ユーザの操作に応じてヒートマップ画像のデータを補助メモリ103から読み出し、読み出したデータの表すヒートマップ画像を表示領域G61又はG62に表示させる。
【0082】
表示要素b12は、模型の種類(グループの一例)を選択するためのリストボックスである。ユーザは、表示要素b12を用いて模型の種類を選択する。ユーザの表示要素b12に対する操作に応じて、表示装置10は複数の模型の種類の中からいずれかを選択する。
【0083】
表示要素b13は、鋳型2の検査期間(グループの一例)を指定するためのボタンである。ユーザは、表示要素b13を用いて、鋳型2の検査期間を選択する。ユーザによる表示要素b13に対する操作に応じて、表示装置10は検査期間を選択する。
【0084】
表示要素b14は、鋳型2の造型条件に応じたグループを1又は複数選択するためのリストボックス群である。ユーザは、表示要素b14を用いて、ヒートマップ画像の作成に用いるグループを選択する。ユーザによる表示要素b14に対する操作に応じて、表示装置10は造型条件に応じたグループを選択する。鋳型2の造型条件に応じたグループは例えば、期間(午前、午後、等)、CB値(20〜30、等)、及び、スクイズ圧(中、等)により分類されるグループである。このように、画面G60において、ユーザは、表示要素b12、b13、及びb14を用いて、鋳型2を分類するためのグループを選択する。
【0085】
ユーザによりグループが選択されると、表示装置10は、ユーザにより選択されたグループを示す指定情報を、入出力装置30から受信する。表示装置10は、受信した指定情報に含まれる、ユーザにより指定された期間を示す情報(以下「期間情報」という)に基づき、この期間情報の示す期間に検査された鋳型2を、入出力装置30を介して検査結果テーブルから検索する。表示装置10は、検索された鋳型2を識別する識別情報を含むリクエストを、ラインコントローラ50に送信する。ラインコントローラ50は、表示装置10から受信したリクエストに含まれる識別情報を、鋳型管理テーブルから検索する。ラインコントローラ50は、検索された識別情報に対応付けられた鋳型2の造型条件(CB値、等)を含むレスポンスを、表示装置10に送信する。表示装置10は、ユーザにより指定された期間に検査された複数の鋳型2を、ラインコントローラ50から受信したレスポンスに含まれる造型条件に応じて複数のグループに分類する。
【0086】
例えば、「期間」が「午前中」であり、「CB値」が「20〜30」であるグループがユーザにより選択された場合、表示装置10は、検査日時が午前中であり、かつ、CB値が20〜30%である複数の鋳型2の検査結果を用いて、欠陥発生頻度の空間分布を示すヒートマップ画像を生成する。ヒートマップ画像の生成処理については、上述の実施形態1と同様である。生成されたヒートマップ画像はディスプレイ31に表示され、また、ユーザの操作に応じて補助メモリ103に蓄積される。補助メモリ103に蓄積されたヒートマップ画像のデータは、ユーザの所望するタイミングにおいて読み出され、ディスプレイ31に表示される。
【0087】
このように、表示装置10は、ユーザにより選択された造型条件に応じたグループに基づき、ユーザにより選択された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像を示す画像データを生成する。表示装置10は、生成した画像データを入出力装置30に送信し、ディスプレイ31に表示させる。入出力装置30は、表示装置10から画像データを受信し、受信した画像データの表すヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。これにより、
図10に例示するヒートマップ画像がディスプレイ31に表示される。
【0088】
表示領域G61と表示領域G62のそれぞれについて、ユーザによりグループの選択が行われることにより、表示領域G61と表示領域G62とのそれぞれにおいて、選択されたグループに対応するヒートマップ画像が表示される。
【0089】
図10に示すように、表示装置10は、造型条件に応じて生成した複数のヒートマップ画像G611及びG612を、ひとつの画面G60に並べて表示させる。表示される複数のヒートマップ画像は、それぞれ異なるグループに対応するヒートマップ画像である。例えば、ヒートマップ画像G611は、CB値が「37〜43%」である鋳型2のヒートマップ画像であり、ヒートマップ画像G612は、CB値が「44〜50%」である鋳型2のヒートマップ画像であってもよい。
【0090】
なお、ひとつの画面に表示されるヒートマップ画像の数は2に限らず、これより多くても少なくてもよい。また、表示装置10は、複数のヒートマップ画像を並べて表示するのに限らず、複数のヒートマップ画像を重畳してディスプレイ31に表示してもよい。重畳する場合、表示装置10は、複数のヒートマップ画像の少なくとも一部を半透明にして表示させてもよい。
【0091】
図10の表示要素b15は、表示されているヒートマップ画像のデータを保存するためのボタンである。ユーザにより表示要素b15が選択されると、表示装置10は、ディスプレイ31に表示されているヒートマップ画像のデータを補助メモリ103に記憶する。補助メモリ103に記憶されたデータは、ユーザが表示要素b11を選択することにより、読み出し可能である。
【0092】
表示要素b16は、コマ送り表示(アニメーション表示)を行うためのボタンである。ユーザは、表示要素b16を用いて、コマ送り表示を行う際の、1コマ毎の区切りとなる単位期間を選択する。単位期間は、鋳型2の検査期間を複数のグループに分類するための単位である。なお、コマ送り表示を行わない場合、ユーザは表示要素b16において「選択なし」を選択する。ユーザが表示要素b16を用いてコマ送り表示のための単位期間を指定すると、表示装置10は、複数の鋳型2の各々を、鋳型2を検査した単位期間毎に分類し、指定された単位期間毎(グループ毎)のヒートマップ画像を生成する。表示装置10は、複数のグループの各々に対応するヒートマップ画像を、順に切り替えてアニメーション表示する。
【0093】
例えば、
図10において、表示要素b13で「12/1〜12/30」が選択され、表示要素b16で「1week毎」が選択されている場合、表示装置10は、「12/1〜12/30」に検査された鋳型2の検査結果を1週間毎に分類し、1週間毎のヒートマップ画像を生成する。表示装置10は、「12/1〜12/30」までの期間における1週間毎のヒートマップ画像を、昇順又は降順に切り替えてアニメーション表示する。
【0094】
以上説明したように、ユーザは、画面G60の表示要素b11〜b16を用いて、画面G60に表示するヒートマップ画像を切り替えることができる。
【0095】
ヒートマップ画像を表示するためのグループを選択するための表示要素(表示要素b12、b13、b14、等)は、上述したものに限られず、種々のものが採用され得る。グループを選択する画面の他の例について、
図11〜
図13を参照しつつ説明する。
【0096】
(動作例2)
図11は、造型条件に応じたグループを選択するための画面遷移を例示する図である。入出力装置30は、ユーザ操作に応じて、画面G21をディスプレイ31に表示する。画面G21は、
図10の画面G60における表示要素b14に対応するものである。画面G21は、「パターン」、「期間」、「CB値」、「水分」、及び「スクイズ圧」のいずれかの項目を選択するための画面である。これらの項目はスクロールにより画面G21に表示される。画面G21において、ユーザが「CB値」を選択した場合、入出力装置30は、ディスプレイ31の表示を画面G22に遷移させる。
【0097】
画面G22は、CB値の範囲(グループ)を指定するための画面である。画面G22は、「〜29%」、「30〜36%」、「37〜43%(閾値範囲内)」、「44〜50%」、及び「51%〜」のいずれかのグループを選択するための画面である。これらのグループはスクロールにより画面G22に表示される。画面G22において、ユーザが「37〜43%(閾値範囲内)」を選択した場合、入出力装置30は、ディスプレイ31の表示を画面G23に遷移させる。なお、CB値の範囲の指定方法は画面G22を用いる方法に限られない。例えば、入出力装置30が、任意の数字を入力する画面を表示し、ユーザが任意の数字を入力することにより、CB値の範囲を指定してもよい。なお、ユーザは、1つのグループを選択してもよく、また、複数のグループを選択してもよい。
【0098】
画面G23は、期間を指定するための画面である。画面G23は、「時間」、「日」、「週」、「1ヵ月」、「年」のいずれかを選択するとともに、数値(0、1、2、…)を指定するための画面である。画面G23において、期間(グループ)を指定する操作が行われると、入出力装置30は、ユーザにより指定されたグループを示す指定情報を、表示装置10に送信する。なお、期間の指定方法は画面G23を用いる方法に限られない。例えば、入出力装置30が、カレンダーの画像を表示し、ユーザが表示されたカレンダーにおいて期間を選択する操作を行ってもよい。
【0099】
なお、造型条件に応じたグループを指定するための画面は、
図11に例示した画面G21〜G23に限られない。例えば、プルダウンリストにより複数の項目が表示され、表示された複数の項目のうちのいずれかをユーザが選択する構成であってもよい。
【0100】
表示装置10は、入出力装置30から指定情報を受信すると、受信した指定情報に従い、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイ31に表示させる。なお、各鋳型2の造型条件は、上述の動作例1と同様に、ラインコントローラ50から取得される。
【0101】
ユーザにより選択された造型条件が
図11に例示したものである場合、表示装置10は、検査結果テーブルに記憶された鋳型2をCB値に応じて複数のグループに分類する。表示装置10は、CB値が37〜43%であるグループに含まれる複数の鋳型2の検査結果から、欠陥発生頻度の空間分布を示すヒートマップ画像を生成する。ヒートマップ画像の生成処理については、上述の実施形態1と同様である。生成されたヒートマップ画像を表すデータは、ユーザの操作に応じて補助メモリ103に蓄積される。補助メモリ103に蓄積されたヒートマップ画像のデータは、ユーザの所望するタイミングにおいて読み出され、ディスプレイ31に表示される。
【0102】
以上のように、表示装置10は、ユーザにより選択された造型条件に応じたグループに基づき、ユーザにより選択された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像を示す画像データを生成する。表示装置10は、生成した画像データを入出力装置30に送信する。入出力装置30は、表示装置10から画像データを受信し、受信した画像データの表すヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。
【0103】
(動作例3)
図12は、造型条件に応じたグループを選択するための画面遷移の他の例を示す図である。まず、入出力装置30は、ユーザ操作に応じて、画面G21をディスプレイ31に表示する。画面G21は、
図11の画面G21をスクロールしたものである。画面G21において、ユーザが「パターン」を選択した場合、入出力装置30は、ディスプレイ31の表示を画面G32に遷移させる。
【0104】
画面G32は、模型の種類(パターン)を指定するための画面である。画面G32は、「NO.1」、「NO.2」、「NO.3」「NO.4」及び「NO.5」等の模型の種類(グループ)を指定するための画面である。画面G32において、ユーザが「NO.3」を選択した場合、入出力装置30は、ディスプレイ31の表示を画面G23に遷移させる。なお、模型の種類の指定方法は画面G32を用いる方法に限られない。例えば、入出力装置30が、任意の数字を入力する画面を表示し、ユーザが任意の数字を入力することにより、模型の種類を指定してもよい。
【0105】
画面G23は、期間を指定するための画面であり、
図11の画面G23と同様である。G23において、期間(グループ)を指定する操作が行われると、入出力装置30は、ユーザにより指定されたグループを示す指定情報を、表示装置10に送信する。
【0106】
表示装置10は、入出力装置30から指定情報を受信すると、受信した指定情報に従い、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイ31に表示させる。各鋳型2の造型条件は、上述の動作例1と同様に、ラインコントローラ50から取得される。
【0107】
ユーザにより選択された造型条件が
図12に例示したものである場合、表示装置10は、検査結果テーブルに記憶された鋳型2をパターン(模型)に応じて複数のグループに分類する。表示装置10は、パターンの種類が「NO.3」であるグループに含まれる複数の鋳型2の検査結果から、欠陥発生頻度の空間分布を示すヒートマップ画像を生成する。表示装置10は、生成した画像データを入出力装置30に送信する。入出力装置30は、表示装置10から画像データを受信し、受信した画像の表すヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。
【0108】
(動作例4)
図13は、造型条件に応じたグループを選択するための画面遷移の他の例を示す図である。まず、入出力装置30は、ユーザ操作に応じて、画面G21をディスプレイ31に表示する。画面G21は、
図11の画面G21をスクロールしたものである。画面G21において、ユーザが「期間」を選択した場合、入出力装置30は、ディスプレイ31の表示を画面G42に遷移させる。
【0109】
画面G42は、期間(グループ)を指定するための画面である。画面G42は、「8〜12時」、「12〜16時」、「16〜20時」、「20〜24時」、及び「24〜4時」等の期間(グループ)を指定するための項目を含む。画面G42において、ユーザが「16〜20時」を選択した場合、入出力装置30は、ディスプレイ31の表示を画面G23に遷移させる。なお、期間の指定方法は画面G42を用いる方法に限られない。例えば、入出力装置30が、任意の数字を入力する画面を表示し、ユーザが任意の数字を入力することにより、期間を指定してもよい。
【0110】
表示装置10は、入出力装置30から指定情報を受信すると、受信した指定情報に従い、ユーザにより指定された1又は複数のグループに対応するヒートマップ画像をディスプレイ31に表示させる。ユーザにより選択された造型条件に応じたグループが
図13に例示したものである場合、表示装置10は、検査結果テーブルに記憶された鋳型2を検査日時に応じて複数のグループに分類する。表示装置10は、検査日時が「16〜20時」であるグループに含まれる複数の鋳型2の検査結果から、欠陥発生頻度の空間分布を示すヒートマップ画像を生成する。
【0111】
表示装置10は、生成した画像データを入出力装置30に送信する。入出力装置30は、表示装置10から画像データを受信し、受信した画像の表すヒートマップ画像をディスプレイ31に表示する。
【0112】
本実施形態によれば、鋳型2において発生している欠陥と造型条件との相関関係を可視化することができ、鋳型2において発生している欠陥の傾向をユーザが把握し易い。例えば、製品品質への影響の有無ごとにヒートマップ画像を表示することで、鋳型2の欠陥に対する対策の優先順位を立てやすくなる。これにより、ユーザが鋳型2の欠陥に対する対策を効率よく行い易い。
【0113】
また、本実施形態では、複数のヒートマップ画像がひとつの画面に表示されることにより、ユーザは、複数のヒートマップ画像を見比べることができ、造型条件毎の欠陥の発生傾向を把握し易い。また、複数のヒートマップ画像を重畳して表示する場合、複数のヒートマップ画像の少なくとも一部を半透明にすることで、ユーザがヒートマップ画像の内容を認識し易くなる。
【0114】
また、本実施形態では、グループ毎のヒートマップ画像をアニメーション表示することにより、鋳型2の欠陥の傾向の推移(例えば、経時的変化)を可視化することができる。これにより、ユーザは、より詳細な欠陥の発生原因の分析を行い易い。また、ユーザは、造型条件毎のアニメーション表示を視認し、複数のパラメータについて欠陥の発生傾向の推移を照らし合わせることにより、欠陥の発生原因を特定し易い。
【0115】
〔変形例1〕
上述の実施形態2の動作例1では、ユーザは表示要素b16を用いてアニメーション表示の単位期間を設定し、設定された単位期間毎のヒートマップ画像をアニメーション表示させた。アニメーション表示に係る表示条件の設定方法は上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、ユーザは、
図13の画面G42によりアニメーション表示の単位期間を設定し、アニメーション表示する全体の期間を、
図14に例示する画面G51により指定してもよい。ユーザは、画面G51を用いて、ヒートマップ画像を表示する全体の期間(例えば、直近の「1ヵ月」)を選択する。表示装置10は、ユーザの選択に応じて、選択された期間に含まれる、単位期間毎のヒートマップ画像を、順に切り替えてアニメーション表示する。具体的には、例えば、表示装置10は、1週間毎のヒートマップ画像を、順に切り替えて一か月分表示する。
【0116】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態を説明する。実施形態3は、分類部12が行う分類処理の内容が、実施形態1のそれと異なる。実施形態3では、表示装置10は、ヒートマップ画像の表示処理において、複数のグループの各々に対応するヒートマップ画像を、順に切り替えてアニメーション表示する。
【0117】
複数のグループは、造型条件に応じて分類されたグループであり、例えば、検査期間、CB値、スクイズ圧により分類される。CB値により分類される場合、例えば、CB値が「0〜29%」、「30〜36%」、「37〜43%」、「44〜50%」、「51〜」の5つのグループに鋳型2が分類される。表示装置10は、5つのグループのそれぞれについてヒートマップ画像を生成する。表示装置10は、生成した5つのヒートマップ画像を、順に切り替えてアニメーション表示させる。表示装置10は例えば、CB値が「0〜29%」のヒートマップ画像、CB値が「30〜36%」のヒートマップ画像、CB値が「37〜43%」のヒートマップ画像、CB値が「44〜50%」のヒートマップ画像、CB値が「51〜」ヒートマップ画像、の順に、表示するヒートマップ画像を単位時間毎に切り替える。
【0118】
また、他の例として、例えば、鋳型2のスクイズ圧により複数のグループに分類する場合、表示装置10は、複数の鋳型2をスクイズ圧に応じて複数のグループに分類し、分類した複数のグループのそれぞれについてヒートマップ画像を生成する。表示装置10は、生成した複数のヒートマップ画像を、順に切り替えてアニメーション表示させる。
【0119】
本実施形態によれば、鋳型2の欠陥の傾向の推移を可視化することができる。例えば、CB値が高くなるにつれて、欠陥の傾向がどのように推移するかが、ディスプレイ31に表示されるアニメーション画像により表される。ユーザは、造型条件に応じたグループ毎のヒートマップ画像のアニメーション表示を視認し、複数の造型条件について欠陥の発生傾向の推移を照らし合わせることにより、欠陥の発生原因を特定し易い。
【0120】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示装置10の制御ブロック(特に欠陥検査部11、分類部12、生成部13、及び表示部14)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0121】
後者の場合、表示装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0122】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。上述した実施形態に含まれる個々の技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。