【解決手段】実施形態に係る車載装置は、取得部と、検出部と、依頼部と、記録部とを備える。取得部は、車両の状況を取得する。検出部は、取得部によって取得された状況に基づいて、煽り運転を受けていることを検出する。依頼部は、検出部によって煽り運転を受けていることが検出された場合に、所定の通信範囲に存在する機器に撮影依頼を送信する。記録部は、撮影依頼に基づいて機器により撮影された画像を受信して記録する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置および煽り運転記録方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、実施形態に係る煽り運転記録方法の概要について、
図1A〜
図1Fを用いて説明する。
図1A〜
図1Fは、実施形態に係る煽り運転記録方法の概要説明図(その1)〜(その6)である。
【0011】
なお、以下では、説明の便宜上、煽り運転を受けている車両を「依頼車両V−S」と記載する。また、依頼車両V−Sに対し、煽り運転を行っている車両を「煽り車両V−t」と記載する。また、煽り車両V−tのすぐ後ろの車両を「後続車両V−l」と記載する。また、依頼車両V−S、煽り車両V−tおよび後続車両V−lの対向車線上の車両を「対向車両V−o」と記載する。また、煽り車両V−t、後続車両V−lおよび対向車両V−oを含む周辺車両を総称する場合、「周辺車両V−O」と記載する。
【0012】
また、依頼車両V−Sに搭載された車載装置を「車載装置100−S」と記載し、周辺車両V−Oに搭載された車載装置を「車載装置100−O」と記載する。また、これら車載装置を総称する場合、「車載装置100」と記載する。
【0013】
実施形態に係る煽り運転記録方法では、依頼車両V−Sが煽り運転を検出した場合に、依頼車両V−Sは周辺車両V−Oへ画像提供を依頼し、かかる依頼を受けた各周辺車両V−Oは依頼車両V−Sが置かれている状況を示す画像を撮影し、依頼車両V−Sへ送信する。依頼車両V−Sは、周辺車両V−Oから送信された各画像を受信し、煽り運転を受けた状況を示す記録データとして記録する。
【0014】
図1Aに示すように、依頼車両V−Sが、煽り運転を検出するものとする(ステップS1)。たとえば依頼車両V−Sの車載装置100−Sは、車載カメラや、レーダ等の各種センサを用いて、車間距離や煽り車両V−tの加速度、パッシングの有無、蛇行の有無等を検出し、これらに基づいて煽り運転を検出する。
【0015】
そして、煽り運転を検出した場合、
図1Bに示すように、車載装置100−Sは、所定の通信範囲Rに存在する周辺車両V−O(たとえば、煽り車両V−t、後続車両V−lおよび対向車両V−o)へ撮影依頼を一斉に送信する(ステップS2)。かかる通信は、たとえばV2V(Vehicle-to-Vehicle)通信によって行われる。
【0016】
そして、
図1Cに示すように、撮影依頼を受けた各車両V−t,V−l,V−oの各車載装置100−t,100−l,100−oは、カメラを有している場合、依頼車両V−Sが置かれている状況を示す画像を撮影する(ステップS3)。
【0017】
そして、
図1Dに示すように、各車載装置100−t,100−l,100−oは、撮影画像を依頼車両V−Sへ送信する(ステップS4)。すると、
図1Eに示すように、依頼車両V−Sの車載装置100−Sは、周辺車両V−Oから送信された各画像を受信し、煽り運転を受けた状況を示す記録データとして画像を記録する(ステップS5)。
【0018】
なお、このとき、車載装置100−Sは、再生時に、煽り運転を受けた状況が詳細に把握できるように画像を記録する。たとえば車載装置100−Sは、再生時に、各周辺車両V−Oの位置、撮影方向、煽り運転を受けた状況を示す付帯情報等が含まれる記録データが再生できるように画像を記録する。
【0019】
たとえば、かかる記録データを表示装置Dに表示させた場合の一例を
図1Fに示す。
図1Fに示すように、車載装置100−Sは、依頼車両V−S、煽り車両V−t、後続車両V−lおよび対向車両V−oの各撮影画像が、たとえば表示装置Dの分割された各表示領域に、各車両の位置関係に応じて表示されるように記録データを生成する。
【0020】
また、車載装置100−Sは、同図に示すように、たとえば依頼車両V−Sおよび煽り車両V−tの位置推移や車間距離推移、速度推移等が含まれる付帯情報があわせて表示されるように記録データを生成する。
【0021】
これにより、煽り運転の状況を詳細に把握することが可能となり、たとえば煽り車両V−tの検挙等に役立てることができる。
【0022】
なお、車載装置100−Sは、記録した記録データを上位装置であるセンタサーバ10(
図2参照)へアップロードするようにしてもよい。センタサーバ10は、たとえば交通管制センタ等のサーバ装置であって、携帯電話回線網等のネットワークを通じて各車両から逐次情報を収集し、情報解析およびその結果に基づく交通管制や、各機関への情報提供等を行う。
【0023】
したがって、車載装置100−Sが記録データをセンタサーバ10へアップロードすることによって、必要に応じて警察等の各機関へ煽り運転に関する詳細な情報提供を行うことが可能となる。
【0024】
また、車載装置100−Sは、周辺車両V−Oから受信した撮影画像および車載装置100−S側の撮影画像をセンタサーバ10へアップロードし、センタサーバ10側でこれらを合成して記録データを生成するようにしてもよい。
【0025】
また、この場合、各周辺車両V−Oはそれぞれ、撮影画像を車載装置100−Sを経由することなくセンタサーバ10へ直接アップロードするようにしてもよい。
【0026】
以下、実施形態に係る煽り運転記録方法を適用した煽り運転記録システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0027】
図2は、実施形態に係る煽り運転記録システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0028】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0029】
また、
図2を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0030】
また、
図2は、依頼車両V−Sに搭載された車載装置100−Sの構成例を中心とした図としているが、各周辺車両V−Oに搭載された各車載装置100−Oについても同様の構成であるものとする。
【0031】
図2に示すように、実施形態に係る煽り運転記録システム1は、センタサーバ10と、車載装置100−Sと、各車載装置100−Oとを含む。
【0032】
センタサーバ10については上述したため、ここでの説明は省略する。車載装置100−Sは、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。また、車載装置100−Sは、カメラや、レーダ、加速度センサ、GPSセンサなどの各種センサ150が接続される。
【0033】
通信部101は、各種センサ150と車載装置100−Sとの間で通信を行う。たとえば通信部101は、各種センサ150との通信を、CAN(Controller Area Network)バスによって実現する。なお、通信部101は、各種センサ150との通信を、CAN以外の他のプロトコルで行ってもよい。また、無線で行ってもよい。また、各種センサ150のうち、少なくとも1つ以上のセンサは車載装置100−Sの内部にあってもよい。
【0034】
また、通信部101は、車載装置100−Oと車載装置100−Sとの間で通信を行う。たとえば通信部101は、車載装置100−Oとの通信を、上述したV2V通信によって実現する。なお、通信部101は、車載装置100−Oとの通信を、V2V通信以外の他のプロトコルで行ってもよい。たとえばインターネットや携帯電話回線網等であるネットワークNを介して行ってもよい。
【0035】
また、通信部101は、センタサーバ10と車載装置100−Sとの間で、ネットワークNを介して通信を行う。通信部101は、ネットワークNとの通信を、無線通信インターフェースによって実現する。無線通信インターフェースには、たとえばWiFi(Wireless Fidelity)や、Bluetooth(登録商標)を用いるとよい。また、ネットワークNとは、たとえばスマートフォンのテザリング機能を利用して無線接続されてもよい。
【0036】
記憶部102は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等によって実現され、
図2の例では、記録データ102aを記憶する。記録データ102aは、上述した煽り運転を受けた状況を示す記録データである。
【0037】
制御部103は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、車載装置100−S内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0038】
制御部103は、取得部103aと、検出部103bと、依頼部103cと、記録部103dと、送信部103eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0039】
(依頼車両V−Sの車載装置100−Sとして機能する場合)
取得部103aは、通信部101を介して各種センサ150からの出力データを受信し、これに基づいて依頼車両V−Sの状況を取得する。かかる状況は、各種センサ150に含まれる依頼車両V−Sの車載カメラによって撮影された画像を含む。
【0040】
また、取得部103aは、車載装置100−Sの撮影依頼電文に応じて各車載装置100−Oから送信された撮影応答電文を、通信部101を介して受信する。撮影依頼電文については、
図3を用いた説明で後述する。撮影応答電文については、
図9を用いた説明で後述する。
【0041】
検出部103bは、取得部103aによって取得された状況に基づいて、依頼車両V−Sに対する煽り運転を検出する。煽り運転を検出した場合、煽り車両V−tの位置も検出する。煽り車両V−tの位置は、自車の位置を基に、レーダやカメラの撮影画像等から検出した煽り車両V−tの方向、距離に基づき検出することができる。
【0042】
依頼部103cは、検出部103bによって依頼車両V−Sに対する煽り運転が検出された場合に、撮影依頼電文を生成し、生成した撮影依頼電文を周辺車両V−Oの車載装置100−Oへ、通信部101を介して一斉に送信する。
【0043】
ここで、依頼部103cが生成し送信する撮影依頼電文の一例について説明する。
図3は、撮影依頼電文の一例を示す図である。
図3に示すように、撮影依頼電文は、たとえば「依頼ID」と、「依頼日時」と、「車両ID」と、「自車位置」と、「煽り車両位置」と、「進行方向」と、「速度」とを含む。
【0044】
「依頼ID」は、撮影依頼電文を一意に特定する識別情報である。「依頼日時」は、撮影依頼電文の送信日時である。「車両ID」は、依頼車両V−Sを一意に特定する識別情報であり、たとえばナンバーや車載装置100−Sのユニーク番号等である。一意に外観を識別可能な画像等を含んでもよい。
【0045】
「自車位置」は、依頼車両V−Sの位置情報である。「煽り車両位置」は、煽り車両V−tの位置情報である。「進行方向」は、依頼車両V−Sの進行方向である。「速度」は、依頼車両V−Sの速度である。なお、他にも依頼車両V−Sの走行予定経路等を含んでもよい。
【0046】
図2の説明に戻る。記録部103dは、取得部103aによって受信された撮影応答電文に基づいて、煽り運転を受けた状況が詳細に把握可能な記録データ102aを生成し、記憶部102へ記憶させる。
【0047】
送信部103eは、必要に応じ、記録データ102aを通信部101およびネットワークNを介してセンタサーバ10へアップロードする。
【0048】
なお、これまで
図2を用いては、車載装置100が依頼車両V−Sの車載装置100−Sとして機能する場合について説明したが、ここで車載装置100が周辺車両V−Oの車載装置100−Oとして機能する場合についても説明しておく。かかる場合、同図の符号「100−S」と符号「100−O」を置き換えて考えればよい。
【0049】
(周辺車両V−Oの車載装置100−Oとして機能する場合)
取得部103aは、通信部101を介して各種センサ150からの出力データを受信し、これに基づいて周辺車両V−Oの状況を取得する。かかる状況は、各種センサ150に含まれる周辺車両V−Oの車載カメラによって撮影された画像を含む。
【0050】
また、取得部103aは、車載装置100−Sから送信された撮影依頼電文を通信部101を介して受信する。
【0051】
記録部103dは、取得部103aによって受信された撮影依頼電文に応じ、車載カメラに画像を撮影させる。このとき、記録部103dは、撮影依頼電文に基づいて、たとえば依頼車両V−Sと自車両との相対位置関係を把握し、撮影方向を特定する。なお、記録部103dは、依頼車両V−Sと自車両の位置だけでなく、煽り車両V−tの位置も考慮に入れて相対位置関係を把握することで、撮影方向をより正確に特定することができる。以下の説明では、記録部103dは、依頼車両V−Sの位置、自車両の位置、および、煽り車両V−tの位置に基づき相対位置関係を把握することとする。
【0052】
また、記録部103dは、たとえば画像の撮影に際し位置の特定がしやすくなるように、位置情報の更新頻度を上げる。
【0053】
また、記録部103dは、把握した依頼車両V−Sおよび煽り車両V−tとの相対位置関係に応じて車載カメラの撮影条件を設定し、かかる撮影条件によって画像を撮影させる。また、記録部103dは、撮影された画像を取得部103aを介して受け取り、記録データ102aとして記憶部102へ記憶させる。
【0054】
送信部103eは、記録データ102aに基づいて撮影応答電文を生成し、通信部101を介して車載装置100−Sへ送信する。
【0055】
ここで、車載装置100−Oとして機能する場合の動作の一例について、
図4〜
図9を用いて説明する。
図4は、相対位置関係把握方法の一例を示す図である。また、
図5は、位置情報更新頻度の推移の一例を示す図である。
【0056】
また、
図6は、後続車両V−lの撮影条件の設定方法の一例を示す図である。また、
図7は、対向車両V−oの撮影条件の設定方法の一例を示す図である。また、
図8は、煽り車両V−tの撮影条件の設定方法の一例を示す図である。また、
図9は、撮影応答電文の一例を示す図である。
【0057】
図4に示すように、記録部103dは、たとえば撮影依頼電文に応じ、依頼車両V−Sを原点位置とするベクトル空間を想定し、そのベクトル空間に煽り車両V−tの位置をプロットし、かかるベクトル空間における自車両のベクトル特徴量を算出することによって依頼車両V−Sおよび煽り車両V−tとの相対位置関係を把握する。
【0058】
また、
図5に示すように、記録部103dは、たとえば撮影依頼電文の送受信タイミングから位置情報の更新頻度を上げる。
【0059】
また、
図6に示すように、たとえば把握した相対位置関係から自車両が依頼車両V−Sの後方にあり、かつ、煽り車両V−tの後続車両V−lと判定される場合、かかる後続車両V−lに搭載された車載装置100−lの記録部103dは、撮影方向を前方と特定する。
【0060】
そして、車載装置100−lの記録部103dは、同図にM1部として示す前方のカメラの解像度を上げて撮影を行わせる。これにより、前方に位置する煽り車両V−tのナンバープレートを識別しやすく撮影させることができる。そして、車載装置100−lの送信部103eは、かかる前方のカメラの撮影した画像のみを依頼車両V−Sへ提供する。
【0061】
また、
図7に示すように、たとえば把握した相対位置関係から自車両が、依頼車両V−Sと煽り車両V−tに対して対向車両V−oであると判定される場合、かかる対向車両V−oに搭載された車載装置100−oの記録部103dは、撮影方向を前方および右側方と特定する。
【0062】
そして、車載装置100−oの記録部103dは、同図にM2部として示す前方のカメラ、および、M3部として示す右側方のカメラのフレームレートを上げて撮影を行わせる。これにより、対向車両V−oのように相対速度が速い場合であっても、煽り運転を示す状況を写りやすくすることができる。
【0063】
そして、車載装置100−oの送信部103eは、かかる前方および右側方のカメラの撮影した画像のみを依頼車両V−Sへ提供する。
【0064】
また、
図8に示すように、たとえば把握した相対位置関係から自車両が煽り車両V−tと判定される場合、かかる煽り車両V−tに搭載された車載装置100−tの記録部103dは、撮影方向をたとえば前方と特定する。そして、図示略の前方のカメラにより撮影した画像を依頼車両V−Sへ提供する。
【0065】
また、これにあわせて、車載装置100−tの記録部103dは、同図にM4部として示す車内のカメラまたは図示略のマイクによって、車外画像だけでなく車内画像および/または車内音声を記録する。そして、車載装置100−tの記録部103dは、かかる車内画像および/または車内音声も依頼車両V−Sへ提供する。
【0066】
これにより、煽り車両V−tの車内の状況や、運転者の状態等を容易に把握することが可能となる。
【0067】
なお、車載装置100−O(すなわち、車載装置100−l,100−o,100−t)の送信部103eは、
図9に示すような撮影応答電文を生成し、送信する。
図9に示すように、撮影応答電文は、たとえば「車両ID」と、「依頼ID」と、「位置」と、「進行方向」と、「速度」と、「撮影日時」と、「撮影方向」と、「撮影画像」と、「音声記録」とを含む。
【0068】
「車両ID」は、周辺車両V−Oを一意に特定する識別情報であり、たとえばナンバーや車載装置100−Oのユニーク番号等である。「依頼ID」は、撮影依頼電文の依頼IDに対応する。
【0069】
「位置」は、周辺車両V−Oの位置情報である。「進行方向」は、周辺車両V−Oの進行方向である。「速度」は、周辺車両V−Oの速度である。
【0070】
「撮影日時」は、画像の撮影日時である。「撮影方向」は、画像の撮影方向である。「撮影画像」は、撮影された画像である。「撮影日時」、「撮影方向」、「撮影画像」の組は、カメラごとに含まれてもよい。また、「音声記録」は、録音された音声である。
【0071】
次に、実施形態に係る車載装置100が実行する処理手順について、
図10〜
図12を用いて説明する。
図10〜
図12は、実施形態に係る車載装置100が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)〜(その3)である。
【0072】
図10に示すように、まず、取得部103aが、車両の状況を取得する(ステップS101)。そして、取得された状況に基づいてトリップ終了か否かが判定される(ステップS102)。
【0073】
ここで、トリップ終了でない場合(ステップS102,No)、煽り運転記録処理が実行され(ステップS103)、その後ステップS101からの処理を繰り返す。トリップ終了である場合(ステップS102,Yes)、処理を終了する。煽り運転記録処理の処理手順については
図11および
図12を用いて説明する。
【0074】
なお、
図11では、依頼車両V−S側の煽り運転記録処理について説明する。また、
図12では、周辺車両V−O側の煽り運転記録処理について説明する。
【0075】
図11に示すように、依頼車両V−S側の煽り運転記録処理では、まず煽り運転が検出されたか否かが判定される(ステップS201)。ここで、煽り運転が検出されていない場合(ステップS201,No)、処理を終了する。
【0076】
一方、煽り運転が検出された場合(ステップS201,Yes)、車載装置100−Sの依頼部103cが、周辺車両V−Oへ撮影依頼電文を送信する(ステップS202)。
【0077】
そして、取得部103aが、周辺車両V−Oから撮影応答電文を受信する(ステップS203)。そして、記録部103dが、受信した画像を記録し(ステップS204)、処理を終了する。
【0078】
次に、
図12に示すように、周辺車両V−O側の煽り運転記録処理では、まず撮影依頼があったか否かが判定される(ステップS301)。ここで、撮影依頼がなかった場合(ステップS301,No)、処理を終了する。
【0079】
一方、撮影依頼があった場合(ステップS301,Yes)、車載装置100−Oの記録部103dは、撮影依頼電文に基づいて、依頼車両V−Sおよび煽り車両V−tとの相対位置関係を把握して撮影方向を特定する(ステップS302)。
【0080】
また、記録部103dは、位置情報の更新頻度を上げるとともに(ステップS303)、把握した相対位置関係に応じて撮影条件を設定する(ステップS304)。そして、記録部103dは、設定した撮影条件によって画像を撮影させる(ステップS305)。
【0081】
そして、送信部103eが、依頼車両V−Sへ撮影応答電文を送信して(ステップS306)、処理を終了する。
【0082】
(変形例)
なお、これまでは、依頼車両V−Sの車載装置100−Sが煽り運転を自動的に検出することとしたが、搭乗者のたとえばスイッチ操作をトリガとして撮影依頼電文を生成し、周辺車両V−Oへ一斉に送信することとしてもよい。
【0083】
また、これまでは、所定の通信範囲Rに存在する周辺車両V−Oへ撮影依頼電文を送信することとしたが、車両に限らず、同範囲Rに存在する路側機等に撮影依頼電文を送信してもよい。かかる場合、たとえばV2I(Vehicle-to-roadside-Infrastructure)通信によって、情報の送受信を行うこととなる。
【0084】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置100は、取得部103aと、検出部103bと、依頼部103cと、記録部103dとを備える。取得部103aは、車両の状況を取得する。検出部103bは、取得部103aによって取得された状況に基づいて、煽り運転を受けていることを検出する。依頼部103cは、検出部103bによって煽り運転を受けていることが検出された場合に、所定の通信範囲Rに存在する機器(たとえば、車載装置100−Oや路側機)に撮影依頼電文(「撮影依頼」の一例に相当)を送信する。記録部103dは、撮影依頼電文に基づいて機器により撮影された画像を受信して記録する。
【0085】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、煽り運転の状況を詳細に把握することができる。
【0086】
また、記録部103dは、上記機器との位置関係、撮影方向、煽り運転の状況を示す付帯情報を含む記録データが再生可能となるように画像を記録する。
【0087】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、煽り運転の状況を詳細に解析することが可能となる。
【0088】
また、上記機器は、撮影依頼電文を送信した依頼車両V−Sの周辺車両V−Oに搭載された他の車載装置100である。
【0089】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、路側機の存在しないエリアであっても、車載カメラを有して周辺を走行中の周辺車両V−Oによって撮影された画像に基づき、煽り運転の状況を詳細に把握することが可能となる。
【0090】
また、記録部103dは、撮影依頼電文の送受信タイミングから位置情報の更新頻度を上げる。
【0091】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、画像の記録に際しての位置情報を特定しやすくすることができる。
【0092】
また、記録部103dは、撮影依頼電文を受信して画像を撮影する場合に、撮影依頼電文に基づいて把握される、撮影依頼電文を送信した車両と撮影依頼電文を受信した車両との相対位置関係に基づいて撮影方向を特定し、かかる撮影方向に限定して画像を撮影する。
【0093】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、煽り運転の状況の把握に有用な画像のみを記録することができる。また、データの送受信容量を減らすことができる。
【0094】
また、記録部103dは、撮影依頼電文を受信して画像を撮影する場合に、上記相対位置関係に基づいて煽り運転を行っている煽り車両V−tに搭載されていると判定されるならば、車外画像に併せて車内画像および/または車内音声を記録する。
【0095】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、煽り車両V−tの車内の状況や、運転者の状態等を容易に把握することが可能となる。
【0096】
また、記録部103dは、撮影依頼電文を受信して画像を撮影する場合に、上記相対位置関係に基づいて煽り運転を行っている煽り車両の後続車両V−lに搭載されていると判定されるならば、撮影方向を前方に特定するとともに解像度を上げる。
【0097】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、後続車両V−lに、前方に位置する煽り車両V−tのナンバープレートを識別しやすく撮影させることができる。
【0098】
また、記録部103dは、撮影依頼電文を受信して画像を撮影する場合に、上記相対位置関係に基づいて煽り運転を受けている依頼車両V−Sの対向車両V−oに搭載されていると判定されるならば、撮影方向を前方および/または側方に特定するとともにフレームレートを上げる。
【0099】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、対向車両V−oのように相対速度が速い場合であっても、煽り運転を示す状況を写りやすくすることができる。
【0100】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。