【解決手段】対話装置を介して被介護者と対話を行う対話手段と、対話手段による被介護者との対話の内容を解析する解析手段と、解析手段による解析の結果に応じて、被介護者を担当する介護者に対して対話に関する情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする介護支援システム。
前記対話手段は、予め定められた状況において、前記対話装置を介して前記被介護者に発話を行い、当該発話に基づく対話を行うことを特徴とする請求項1に記載の介護支援システム。
前記出力手段は、前記解析手段による解析の結果を付加して、前記介護者に対して前記対話に関する情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の介護支援システム。
前記出力手段は、前記解析手段による解析により報告が必要とされる場合に、前記介護者に対して前記対話に関する情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の介護支援システム。
前記対話手段は、前記被介護者の状態に応じたタイミングで、前記対話の中に前記記憶手段から読み出した前記質問の音声情報を含めて対話することを特徴とする請求項6に記載の介護支援システム。
対話装置により、被介護者と対話を行うと共に、当該対話の中に、当該被介護者をケアする介護者及び/又は介護施設の介護状況を把握するための質問の音声情報を含めて対話するステップと、
前記質問の前記音声情報に対する前記被介護者からの回答に関する情報を出力するステップと、
出力された前記回答に関する情報に基づいて、前記介護状況の評価情報を出力するステップと
を含むことを特徴とする介護支援方法。
対話装置を介して被診療者と対話を行うと共に、当該対話の中に、当該被診療者をケアする診療者及び/又は診療施設の診療状況を把握するための質問の音声情報を含めて対話するステップと、
前記質問の前記音声情報に対する前記被診療者からの回答に関する情報を出力するステップと、
出力された前記回答に関する情報に基づいて、前記診療状況の評価情報を出力するステップと
を含むことを特徴とする診療支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、被介護者が著しく増加する一方で、介護を施す介護者の数の急速な増加は見込めない状況にある。更に、介護者は、多様化する被介護者に対する数々の介護や、被介護者との頻繁なコミュケーションの増加により、業務の量も増えており、介護者の負担を軽減することが強く望まれている。
【0005】
ここで、例えば、在宅の被介護者と介護者との、電話やスマートフォン等を使ったコミュニケーションでは、一対一の対話となり、介護者は、その被介護者に時間を固定化されてしまう。例えば、一人の介護者が26人の被介護者を担当しているとすると、被介護者との応答に介護者は忙殺されてしまい、一般的な介護業務を効率的に行うことが困難となる。
【0006】
また、在宅の被介護者と介護者とのコミュニケーションとしては、被介護者をケアする介護者及び/又は介護施設の介護状況を把握するための質問もある。これを介護者が被介護者に直接行ったのでは、被介護者との応答に介護者は忙殺されてしまい、一般的な介護業務を効率的に行うことが困難となる。
【0007】
また、同様の課題は、介護分野だけでなく診療分野にも存在する。
【0008】
本発明は、被介護者又は被診療者との間のコミュニケーションに要する介護者又は診療者の負担を、本技術を採用しない場合に比べて、より軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明は、対話装置を介して被介護者と対話を行う対話手段と、対話手段による被介護者との対話の内容を解析する解析手段と、解析手段による解析の結果に応じて、被介護者を担当する介護者に対して対話に関する情報を出力する出力手段とを備えた介護支援システムを提供する。
【0010】
対話手段は、予め定められた状況において、対話装置を介して被介護者に発話を行い、発話に基づく対話を行う、ものであってよい。その場合、予め定められた状況は、介護者からの要求があった状況又は被介護者からの要求があった状況であってよい。
【0011】
出力手段は、解析手段による解析の結果を付加して、介護者に対して対話に関する情報を出力する、ものであってよい。
【0012】
出力手段は、解析手段による解析により報告が必要とされる場合に、介護者に対して対話に関する情報を出力する、ものであってもよい。
【0013】
本発明は、被介護者をケアする介護者及び/又は介護施設の介護状況を把握するための質問を記憶する記憶手段と、対話装置を介して被介護者と対話を行うと共に、対話の中に記憶手段から読み出した質問の音声情報を含めて対話する対話手段と、質問の音声情報に対する被介護者からの回答に関する情報を出力する回答出力手段と、出力された回答に関する情報に基づいて、介護状況の評価情報を出力する評価情報出力手段とを備えた介護支援システムも提供する。
【0014】
対話手段は、被介護者の状態に応じたタイミングで、対話の中に記憶手段から読み出した質問の音声情報を含めて対話する、ものであってよい。
【0015】
また、本発明は、対話装置により被介護者と対話を行うステップと、被介護者との対話の内容を解析するステップと、対話の内容の解析の結果に応じて、被介護者を担当する介護者に対して対話に関する情報を出力するステップとを含む介護支援方法も提供する。
【0016】
また、本発明は、対話装置により、被介護者と対話を行うと共に、対話の中に、被介護者をケアする介護者及び/又は介護施設の介護状況を把握するための質問の音声情報を含めて対話するステップと、質問の音声情報に対する被介護者からの回答に関する情報を出力するステップと、出力された回答に関する情報に基づいて、介護状況の評価情報を出力するステップとを含む介護支援方法も提供する。
【0017】
更に、本発明は、コンピュータに、対話装置を介して被介護者と対話を行う機能と、被介護者との対話の内容を解析する機能と、対話の内容の解析の結果に応じて、被介護者を担当する介護者に対して対話に関する情報を出力する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【0018】
更に、本発明は、コンピュータに、対話装置を介して被介護者と対話を行うと共に、対話の中に、被介護者をケアする介護者及び/又は介護施設の介護状況を把握するための質問の音声情報を含めて対話する機能と、質問の音声情報に対する被介護者からの回答に関する情報を出力する機能と、出力された回答に関する情報に基づいて、介護状況の評価情報を出力する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【0019】
或いは、本発明は、対話装置を介して被診療者と対話を行う対話手段と、対話手段による被診療者との対話の内容を解析する解析手段と、解析手段による解析の結果に応じて、被診療者を担当する診療者に対して対話に関する情報を出力する出力手段とを備えた診療支援システムを提供する。
【0020】
本発明は、被診療者をケアする診療者及び/又は診療施設の診療状況を把握するための質問を記憶する記憶手段と、対話装置を介して被診療者と対話を行うと共に、対話の中に記憶手段から読み出した質問の音声情報を含めて対話する対話手段と、質問の音声情報に対する被診療者からの回答に関する情報を出力する回答出力手段と、出力された回答に関する情報に基づいて、診療状況の評価情報を出力する評価情報出力手段とを備えた診療支援システムも提供する。
【0021】
また、本発明は、対話装置を介して被診療者と対話を行うステップと、被診療者との対話の内容を解析するステップと、対話の内容の解析の結果に応じて、被診療者を担当する診療者に対して対話に関する情報を出力するステップとを含む診療支援方法も提供する。
【0022】
また、本発明は、対話装置を介して被診療者と対話を行うと共に、対話の中に、被診療者をケアする診療者及び/又は診療施設の診療状況を把握するための質問の音声情報を含めて対話するステップと、質問の音声情報に対する被診療者からの回答に関する情報を出力するステップと、出力された回答に関する情報に基づいて、診療状況の評価情報を出力するステップとを含む診療支援方法も提供する。
【0023】
更に、本発明は、コンピュータに、対話装置を介して被診療者と対話を行う機能と、被診療者との対話の内容を解析する機能と、対話の内容の解析の結果に応じて、被診療者を担当する診療者に対して対話に関する情報を出力する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【0024】
更に、本発明は、コンピュータに、対話装置を介して被診療者と対話を行うと共に、対話の中に、被診療者をケアする診療者及び/又は診療施設の診療状況を把握するための質問の音声情報を含めて対話する機能と、質問の音声情報に対する被診療者からの回答に関する情報を出力する機能と、出力された回答に関する情報に基づいて、診療状況の評価情報を出力する機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被介護者又は被診療者との間のコミュニケーションに要する介護者又は診療者の負担を、本技術を採用しない場合に比べて、より軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
[介護支援システムの全体構成]
図1は、本実施の形態における介護支援システム1の全体構成例を示した図である。図示するように、この介護支援システム1は、センサ10a,10b,10cと、ロボット20と、端末装置30と、介護支援サーバ40とが通信回線80に接続されることにより構成されている。尚、図では、センサ10a,10b,10cを示したが、これらを区別しない場合はセンサ10と称することもある。センサ10は3つ示したが、2つ以下しか存在しなくても4つ以上存在してもよい。ロボット20及び端末装置30は、1つずつしか示していないが、複数存在してもよい。また、通信回線80は、例えばインターネットとすればよい。
【0029】
センサ10は、被介護者が入所している老人福祉施設や病院等の施設や、被介護者が訪問介護を受けている自宅に設置され、被介護者の行動又は状態を感知する。例えば、マイクセンサ、カメラセンサ、ベッドセンサ、ドアセンサ、人感センサ等がこれに該当する。また、センサ10は、被介護者の周囲の状態を感知するものであってもよい。例えば、温度センサ、湿度センサ等がこれに該当する。センサ10は、施設内や自宅内の複数の場所に設置されていてよい。また、センサ10のうち、マイクセンサ、カメラセンサ、温度センサ等は、ロボット20の中に設置されることもあるが、以下では、センサ10がロボット20の中に設置されているかロボット20の外に設置されているかを限定せずに説明する。センサ10は、被介護者の行動又は状態や被介護者の周囲の状態のセンシングの結果を示す情報(以下、「センシング情報」という)を、通信回線80を介して介護支援サーバ40へ送信する。以下では、こうすることにより介護支援サーバ40がセンシング情報を処理する場合を例にとって説明するが、センサ10内でセンシング情報を処理するエッジ処理を行うようにしてもよい。
【0030】
ロボット20は、被介護者が入所している老人福祉施設や病院等の施設や、被介護者が訪問介護を受けている自宅において、被介護者との対話を行う。具体的には、ロボット20は、被介護者又は介護支援サーバ40からの指示により発話を行ったり、周囲の状況に応じて自律的に発話を行ったりして、この発話に基づき被介護者との対話を行う。この意味で、ロボット20は、被介護者との対話を行う対話装置の一例である。また、ロボット20は、介護支援サーバ40からの指示により又は周囲の状況に応じて、被介護者の介護をサポートする動作を行ってもよい。尚、ロボット20は、例えば、ぬいぐるみのような外観を有していることが、被介護者にとって親しみがわくという観点からは好ましい。
【0031】
端末装置30は、介護従事者によって使用される。具体的には、端末装置30は、介護支援サーバ40から受信した情報を介護従事者に対して表示したり、介護従事者が入力した情報を介護支援サーバ40へ送信したりする。ここで、介護従事者とは、被介護者の状況に応じたケアプランを作成するケアマネージャや、被介護者に実際に接してケアプランに従い介護サービスを提供する介護職員である。介護職員とは、老人福祉施設等の施設で介護サービスを提供する福祉施設介護員や、被介護者の自宅等を訪問して介護サービスを提供する訪問介護員である。また、介護従事者には、被介護者の介護に従事する家族等を含めてもよい。本明細書では、介護従事者を介護者と表記することもある。尚、端末装置30は、例えば、PC(Personal Computer)であってよい。
【0032】
介護支援サーバ40は、センサ10から受信したセンシング情報に基づいて、介護従事者が被介護者に介護サービスを提供する際の様々な支援を行う。介護支援サーバ40の機能及び動作の詳細については、後述する。
【0033】
[ロボットのハードウェア構成]
図2は、ロボット20のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、ロボット20は、装置全体の動作を制御する制御ユニット21と、データ等を記憶する外部記憶媒体装置22と、無線通信の規格に準拠する各種の通信インターフェース23と、音が入力される音入力デバイス24と、音が出力される音出力デバイス25とを備えている。
【0034】
制御ユニット21は、CPU(Central Processing Unit)211と、ファームウェアやBIOS(Basic Input Output System)等が記憶されたROM(Read Only Memory)212と、ワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)213とを有している。CPU211はマルチコアでもよい。また、ROM212は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。
【0035】
外部記憶媒体装置22は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリ等でもよい。通信インターフェース23は、例えば介護支援サーバ40との接続に使用されるインターフェースである。音入力デバイス24は、例えばマイクロフォンであり、音出力デバイス25は、例えばスピーカである。
【0036】
制御ユニット21と、外部記憶媒体装置22と、通信インターフェース23と、音入力デバイス24と、音出力デバイス25とは、バス29や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0037】
[介護支援サーバ及び端末装置のハードウェア構成]
図3は、介護支援サーバ40のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、介護支援サーバ40は、装置全体の動作を制御する制御ユニット41と、データ等を記憶する外部記憶媒体装置42と、LAN(Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現する通信インターフェース43と、情報が入力される入力デバイス44と、情報が表示される表示デバイス45とを備えている。
【0038】
制御ユニット41は、CPU411と、基本ソフトウェアやBIOS等が記憶されたROM412と、ワークエリアとして用いられるRAM413とを有している。CPU411はマルチコアでもよい。また、ROM412は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御ユニット41は、所謂コンピュータである。
【0039】
外部記憶媒体装置42は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリ等でもよい。通信インターフェース43は、他の装置との接続に使用されるインターフェースである。入力デバイス44は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルであり、表示デバイス45は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0040】
制御ユニット41と、外部記憶媒体装置42と、通信インターフェース43と、入力デバイス44と、表示デバイス45とは、バス49や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0041】
また、
図3に示したハードウェア構成例は、端末装置30のハードウェア構成例として捉えることもできる。但し、端末装置30について述べるときは、
図3の制御ユニット41、CPU411、ROM412、ROM413、外部記憶媒体装置42、通信インターフェース43、入力デバイス44、表示デバイス45をそれぞれ、制御ユニット31、CPU311、ROM312、ROM313、外部記憶媒体装置32、通信インターフェース33、入力デバイス34、表示デバイス35と表記するものとする。
【0042】
[第1の実施の形態]
(介護支援サーバの機能構成)
図4は、第1の実施の形態における介護支援システムの一例としての介護支援サーバ40の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第1の実施の形態における介護支援サーバ40は、センシング情報取得部51と、センシング情報記憶部52と、生成規則記憶部53と、状態情報生成部54と、受信部55と、送信部56とを備えている。
【0043】
センシング情報取得部51は、各センサ10から、センシング情報と、センシング情報が得られた時刻とを取得する。特に、ロボット20が被介護者に身体の状態を確認する発話を行い、被介護者がこれに応答すると、センサ10の1つであるマイクセンサがこの応答の音声を検知するので、センシング情報取得部51は、マイクセンサから音声と時刻とを取得する。本実施の形態では、対話装置を介して被介護者と対話を行う対話手段の応答を受ける機能の一例として、センシング情報取得部51を設けている。
【0044】
センシング情報記憶部52は、センシング情報取得部51が取得したセンシング情報と時刻とを記憶する。このセンシング情報には、センシング情報取得部51がマイクセンサから取得した音声が含まれる。
【0045】
生成規則記憶部53は、センシング情報記憶部52に記憶された音声を用いて被介護者の身体の状態を示す情報(以下、「状態情報」という)を生成するための生成規則を記憶する。
【0046】
状態情報生成部54は、センシング情報記憶部52に記憶された音声を音声認識することにより、被介護者の身体の状態を示すテキストである状態テキストを生成する。また、センシング情報記憶部52に記憶された音声を、生成規則記憶部53に記憶された生成規則に基づいて、被介護者の身体の状態の異常のレベルを示す異常レベルに変換する。そして、状態テキストと異常レベルとを対応付けることにより、状態情報を生成する。本実施の形態では、被介護者との対話の内容を解析する解析手段の一例として、状態情報生成部54を設けている。また、解析手段による解析結果の一例として、異常レベルを用いている。
【0047】
受信部55は、状態情報の送信要求をケアマネージャの端末装置30から受信する。ここで、状態情報の送信要求は、ケアマネージャが状態情報の送信を要求していることをロボット20が理解可能なデータであってもよいし、ケアマネージャが状態情報の送信を要求していることを人間が判読可能なメール等のデータであってもよい。尚、受信部55は、状態情報の送信要求を、ケアマネージャ以外の介護職員が使用する端末装置30から受信してもよいが、以下では、ケアマネージャが使用する端末装置30から受信するものとして説明する。
【0048】
送信部56は、受信部55が状態情報の送信要求を受信すると、状態確認要求をロボット20へ送信する。ここで、状態情報の送信要求が前者のデータである場合、送信部56はこのデータをそのままロボット20へ送信すればよく、状態情報の送信要求が後者のデータである場合、送信部56はこのデータを前者のデータに変換してロボット20へ送信すればよい。そして、この状態確認要求を受信したロボット20は、例えば、「体調はどうですか?」等の発話を行う。本実施の形態では、対話装置を介して被介護者と対話を行う対話手段の発話内容を出力する機能の一例として、送信部56を設けている。
【0049】
また、送信部56は、状態情報生成部54がある被介護者について状態情報を生成すると、その被介護者を担当するケアマネージャが使用する端末装置30へ状態情報を送信する。尚、送信部56は、その被介護者を実際に介護する介護職員が使用する端末装置30へ状態情報を送信してもよいが、以下では、ケアマネージャが使用する端末装置30へ状態情報を送信するものとして説明する。また、送信部56は、センシング情報記憶部52に記憶された音声から得られた如何なる情報を端末装置30へ送信してもよいが、以下では、状態情報を端末装置30へ送信するものとして説明する。本実施の形態では、対話に関する情報の一例として、状態情報を用いており、被介護者を担当する介護者に対して対話に関する情報を出力する出力手段の一例として、送信部56を設けている。
【0050】
図5は、生成規則記憶部53に記憶された生成規則の一例を示した図である。図示するように、生成規則は、生成規則IDと、音声特徴情報と、異常レベルとを対応付けたものとなっている。
【0051】
生成規則IDは、生成規則を一意に識別する情報である。図では、生成規則IDを数字としたが、アルファベット等の文字を含んでいてもよい。
【0052】
音声特徴情報は、センサ10の1つであるマイクセンサから得られる音声に関する特徴情報である。そして、音声が音声特徴情報を満足するかどうかは、音声が音声特徴情報に類似するかどうかによって判定される。
【0053】
異常レベルは、センサ10の1つであるマイクセンサから得られた音声が、対応する音声特徴情報を満足する場合に、ケアマネージャに知らせるべき被介護者の身体の状態の異常のレベルを示す。
【0054】
ここで、
図5に示した個々の生成規則の意味について説明する。
【0055】
生成規則ID「1」の生成規則は、マイクセンサから得られた音声が音声特徴情報A1に類似するものであった場合に、異常レベルをL1とすべきことを示している。
【0056】
生成規則ID「2」の生成規則は、マイクセンサから得られた音声が音声特徴情報A2に類似するものであった場合に、異常レベルをL2とすべきことを示している。
【0057】
(介護支援サーバの動作)
第1の実施の形態における介護支援サーバ40では、まず、受信部55が、ケアマネージャが使用する端末装置30から状態情報の送信要求を受信する。ここで、端末装置30を使用するケアマネージャは、例えば、端末装置30へのログインID等により識別すればよい。
【0058】
すると、送信部56が、ケアマネージャが担当する被介護者との対話を行うロボット20へ状態確認要求を送信する。ここで、送信先のロボット20としては、例えば、ケアマネージャに予め関連付けられた被介護者と対話を行うものとして登録された全てのロボット20を選択すればよい。
【0059】
これにより、ロボット20が被介護者と対話を行う。具体的には、ロボット20が状態確認要求に応じて発話を行い、これに対して被介護者がロボット20に音声で回答すると、マイクセンサが音声をセンスする。そして、センシング情報取得部51がマイクセンサから音声を取得し、音声とこれを取得した時刻とをセンシング情報記憶部52に記憶する。
【0060】
次に、状態情報生成部54が、センシング情報記憶部52に記憶された音声を用いて状態情報を生成する。
【0061】
図6は、このときの状態情報生成部54の動作例を示したフローチャートである。
【0062】
図示するように、状態情報生成部54は、まず、センシング情報記憶部52から音声を読み出す(ステップ501)。例えば、状態情報生成部54は、送信部56が状態確認要求をロボット20へ送信した後の一定時間内に取得された音声をこれに対応付けられた時刻に基づいて読み出すとよい。
【0063】
次に、状態情報生成部54は、ステップ501で読み出した音声を音声認識することにより、状態テキストを生成する(ステップ502)。
【0064】
次いで、状態情報生成部54は、生成規則記憶部53に記憶された生成規則における音声特徴情報の中に、ステップ501で読み出した音声が満足する音声特徴情報があるかどうかを判定する(ステップ503)。
【0065】
ステップ503で音声が満足する音声特徴情報があると判定すれば、状態情報生成部54は、その音声特徴情報に対して設定された異常レベルを取得する(ステップ504)。そして、ステップ502で生成された状態テキストとこの異常レベルとを対応付けて状態情報とし(ステップ505)、処理をステップ507へ進める。
【0066】
一方、ステップ503で音声が満足する音声特徴情報があると判定しなければ、状態情報生成部54は、異常レベルを取得することなく、ステップ502で生成された状態テキストを状態情報とし(ステップ506)、処理をステップ507へ進める。
【0067】
これにより、状態情報生成部54は、ステップ505又はステップ506で生成された状態情報を、送信部56に出力する(ステップ507)。
【0068】
その後、状態情報生成部54は、処理を終了するための条件が満たされたかどうかを判定する(ステップ508)。ここで、処理を終了するための条件としては、例えば、全ての被介護者のロボット20からセンシング情報として音声を受信した、という条件がある。その結果、処理を終了するための条件が満たされたと判定しなければ、状態情報生成部54は、処理をステップ501へ戻す。一方、処理を終了するための条件が満たされたと判定すれば、状態情報生成部54は、処理を終了する。
【0069】
次に、送信部56が、
図6のフローチャートで示された動作例により出力された状態情報を、ケアマネージャが使用する端末装置30へ送信する。
【0070】
(変形例)
上記では、介護者が状態情報の送信要求を端末装置30から送信することにより、ロボット20に状態確認要求が送信され、ロボット20が被介護者との対話を開始したが、これには限らない。被介護者がロボット20に話しかけることにより、ロボット20が被介護者との対話を開始してもよい。或いは、介護者が要求した場合及び被介護者が要求した場合を含めて、何らかの予め定められた状況になった場合に、ロボット20が対話を開始してもよい。
【0071】
また、上記では、介護支援サーバ40は、全ての被介護者の状態情報を介護者の端末装置30へ送信することを前提としつつ、特に注意すべき状態情報には異常レベルを対応付けるようにしたが、これには限らない。介護者への報告が必要とされた状態情報のみを介護者の端末装置30へ送信するようにしてもよい。
【0072】
更に、上記では、介護支援サーバ40は、マイクセンサから入力された被介護者の音声のみを用いて状態情報を生成したが、これには限らない。その他のセンサ10から入力されたセンシング情報を更に用いて状態情報を生成してもよい。
【0073】
(第1の実施の形態の効果)
以上述べたように、第1の実施の形態では、ロボットを通じた被介護者とのコミュニケーション内容から被介護者の状態情報を生成して介護者に出力するようにした。これにより、被介護者がスマートフォン等を使えない場合に、被介護者の家を巡回することなくその状態を把握できるようになり、介護者の負担が軽減されるようになった。
【0074】
また、第1の実施の形態では、ロボットを通じて被介護者とコミュニケーションを行うようにしたことにより、家族に対しても話しづらい内容や本心を被介護者から聞き出すことも可能となった。
【0075】
[第2の実施の形態]
(介護支援サーバの機能構成)
図7は、第2の実施の形態における介護支援システムの一例としての介護支援サーバ40の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、第2の実施の形態における介護支援サーバ40は、センシング情報取得部61と、センシング情報記憶部62と、取得規則記憶部63と、日常会話用質問記憶部64と、質問取得部65と、回答抽出部66と、評価情報生成部67と、送信部68とを備えている。
【0076】
センシング情報取得部61は、各センサ10から、センシング情報と、センシング情報が得られた時刻とを取得する。特に、ロボット20が被介護者にアンケートのための質問(以下、「アンケート用質問」という)をする発話を行い、被介護者がこれに応答すると、センサ10の1つであるマイクセンサがこの応答の音声を検知するので、センシング情報取得部61は、マイクセンサから音声と時刻とを取得する。ここで、アンケート用質問としては、被介護者を介護する介護職員や介護施設の介護状況を把握するための質問が例示される。本実施の形態では、被介護者をケアする介護者及び/又は介護施設の介護状況を把握するための質問の一例として、アンケート用質問を用いている。
【0077】
センシング情報記憶部62は、センシング情報取得部61が取得したセンシング情報と時刻とを記憶する。このセンシング情報には、センシング情報取得部61がマイクセンサから取得した音声が含まれる。
【0078】
取得規則記憶部63は、センシング情報記憶部62に記憶された音声を用いてアンケート用質問を取得するための取得規則を記憶する。本実施の形態では、介護状況を把握するための質問を記憶する記憶手段の一例として、取得規則記憶部63を設けている。
【0079】
日常会話用質問記憶部64は、日常会話で行われる質問(以下、「日常会話用質問」という)を記憶する。
【0080】
質問取得部65は、センシング情報記憶部62に記憶された音声から取得規則記憶部63に記憶された取得規則に基づいてアンケート用質問が決定された場合に、そのアンケート用質問を取得する。また、センシング情報記憶部62に記憶された音声から取得規則記憶部63に記憶された取得規則に基づいてアンケート用質問が決定されなかった場合には、日常会話用質問記憶部64から日常会話用質問を取得する。そして、取得された日常会話用質問又はアンケート用質問を送信部68に出力する。これにより、ロボット20が日常会話を行いながらその中にアンケート用質問を含めて対話を行うようになる。本実施の形態では、対話装置を介して被介護者と対話を行うと共に、対話の中に記憶手段から読み出した質問の音声情報を含めて対話する対話手段の一例として、質問取得部65を設けている。或いは、質問取得部65は、センシング情報記憶部62に記憶された音声から取得規則記憶部63に記憶された取得規則に基づいてアンケート用質問が決定された場合に、被介護者の状態が予め定められた状態にあれば、そのアンケート用質問を取得することとしてもよい。ここで、予め定められた条件としては、例えば、被介護者が余裕のある表情をしている、という条件が考えられる。アンケートは急を要するものではないので、被介護者が余裕のある時に行った方がよいからである。尚、以下では、被介護者の状態が予め定められた状態にあるかどうかを、センシング情報記憶部62に記憶された音声以外のセンシング情報が予め定められた条件を満たすかどうかによって判定するものとする。この場合、質問取得部65は、被介護者の状態に応じたタイミングで対話の中に記憶手段から読み出した質問の音声情報を含めて対話する対話手段の一例である。
【0081】
回答抽出部66は、センシング情報記憶部62に記憶された音声から、アンケート用質問に対する回答を抽出する。例えば、送信部68がアンケート用質問をロボット20へ送信してから一定時間内にセンスされた音声を読み出して音声認識することにより、回答を抽出するとよい。そして、回答抽出部66は、アンケート用質問の対象となっている介護職員や介護施設の情報と、そのアンケート用質問に対する回答とを評価情報生成部67に出力する。本実施の形態では、質問の音声情報に対する被介護者からの回答に関する情報を出力する回答出力手段の一例として、回答抽出部66を設けている。
【0082】
評価情報生成部67は、回答抽出部66が出力した介護職員や介護施設の情報とアンケート用質問に対する回答とに基づいて、介護職員や介護施設の介護状況に関する評価情報を生成する。例えば、回答から予め定められた対応が良いこと又は悪いことを表すキーワードを抽出し、対応が良いことを表すキーワードにはプラスポイントを、対応が悪いことを表すキーワードにはマイナスポイントを与えてポイントを合算することにより、評価情報を生成するとよい。そして、評価情報生成部67は、生成した評価情報を送信部68に出力する。本実施の形態では、介護状況の評価情報を出力する評価情報出力手段の一例として、評価情報生成部67を設けている。
【0083】
送信部68は、質問取得部65が出力した日常会話用質問又はアンケート用質問をロボット20へ送信する。また、評価情報生成部67が出力した評価情報を端末装置30へ送信する。
【0084】
図8は、取得規則記憶部63に記憶された取得規則の一例を示した図である。図示するように、取得規則は、取得規則IDと、トリガーキーワードと、アンケート用質問とを対応付けたものとなっている。
【0085】
取得規則IDは、取得規則を一意に識別する情報である。図では、取得規則IDを数字としたが、アルファベット等の文字を含んでいてもよい。
【0086】
トリガーキーワードは、センサ10の1つであるマイクセンサから得られる音声を音声認識して得られるキーワードのうち、アンケート用質問を行うトリガーとなるキーワードである。
【0087】
アンケート用質問は、センサ10の1つであるマイクセンサから得られる音声を音声認識した結果が、対応するトリガーキーワードを含む場合に、次に行うべきアンケート用の質問である。
【0088】
ここで、
図8に示した取得規則の意味について説明する。
【0089】
取得規則ID「1」の取得規則は、マイクセンサから得られる音声を音声認識した結果がトリガーキーワードとして「昨日」を含む場合に、「Xの対応はどうでしたか?」というアンケート用質問を行うべきことを示している。これは、対象の被介護者を昨日介護した介護職員がXさんである場合に、Xさんの対応がどうだったかを被介護者に質問することを想定したものである。この例では、システムが動作する日によって、対象の被介護者を昨日介護した介護職員が異なるので、介護支援サーバ40が起動時に介護職員の最新のスケジュール情報を参照して、対象の被介護者を昨日介護した介護職員を更新することが必要となる。
【0090】
尚、ここでは、「昨日」という日に関するキーワードをトリガーキーワードとして例示したが、これには限らない。例えば、介護内容に関するキーワードをトリガーキーワードとしてもよい。
【0091】
(介護支援サーバの動作)
第2の実施の形態における介護支援サーバ40では、まず、質問取得部65が、日常会話用質問記憶部64から日常会話用質問を取得する。
【0092】
すると、送信部68が、この日常会話用質問を被介護者との対話を行うロボット20へ送信する。
【0093】
これにより、ロボット20が被介護者にこの日常会話用質問の発話を行い、これに対して被介護者がロボット20に音声で回答すると、マイクセンサが音声をセンスする。そして、センシング情報取得部61がマイクセンサから音声を取得し、音声とこれを取得した時刻とをセンシング情報記憶部62に記憶する。
【0094】
次に、質問取得部65が、センシング情報記憶部62に記憶された音声を用いて、次にロボット20を介して行うべき質問を取得する。
【0095】
図9は、このときの質問取得部65の動作例を示したフローチャートである。
【0096】
図示するように、質問取得部65は、まず、センシング情報記憶部62から音声を読み出す(ステップ601)。例えば、質問取得部65は、送信部68が日常会話用質問を送信した後の一定時間内に取得された音声をこれに対応付けられた時刻に基づいて読み出すとよい。
【0097】
次に、質問取得部65は、ステップ601で読み出した音声を音声認識する(ステップ602)。
【0098】
次いで、質問取得部65は、取得規則記憶部63に記憶された取得規則におけるトリガーキーワードの中に、ステップ602における音声認識の結果に含まれるトリガーキーワードがあるかどうかを判定する(ステップ603)。
【0099】
ステップ603で音声認識の結果に含まれるトリガーキーワードがあると判定すれば、質問取得部65は、センシング情報記憶部62に記憶された音声以外のセンシング情報が予め定められた条件を満たすかどうかを判定する(ステップ604)。
【0100】
ステップ604で音声以外のセンシング情報が予め定められた条件を満たすと判定すれば、質問取得部65は、取得規則記憶部63から、ステップ603で特定したトリガーキーワードに対して設定されたアンケート用質問を取得する(ステップ605)。
【0101】
一方、ステップ603で音声認識の結果に含まれるトリガーキーワードがあると判定しなかった場合、又は、ステップ604で音声以外のセンシング情報が予め定められた条件を満たすと判定しなかった場合、質問取得部65は、日常会話用質問記憶部64から日常会話用質問を取得する(ステップ606)。
【0102】
そして、質問取得部65は、ステップ605で取得したアンケート用質問又はステップ606で取得した日常会話用質問を送信部68に出力する(ステップ607)。
【0103】
すると、送信部68が、ステップ607で出力されたアンケート用質問又は日常会話用質問を被介護者との対話を行うロボット20へ送信する。
【0104】
これにより、ロボット20が被介護者にアンケート用質問又は日常会話用質問の発話を行い、これに対して被介護者がロボット20に音声で回答すると、マイクセンサが音声をセンスする。そして、センシング情報取得部61がマイクセンサから音声を取得し、音声とこれを取得した時刻とをセンシング情報記憶部62に記憶する。
【0105】
そこで、質問取得部65は、処理を終了するための条件が満たされたかどうかを判定する(ステップ608)。ここで、処理を終了するための条件としては、例えば、センシング情報記憶部62に記憶された音声が、アンケート用質問に応答して入力された音声である、という条件がある。その結果、処理を終了するための条件が満たされたと判定しなければ、質問取得部65は、処理をステップ601へ戻す。一方、処理を終了するための条件が満たされたと判定すれば、質問取得部65は、処理を終了する。
【0106】
次に、回答抽出部66が、
図9のフローチャートで示された動作例によりセンシング情報記憶部62に記憶された音声から、アンケート用質問に対する回答を抽出する。
【0107】
これにより、評価情報生成部67が、回答抽出部66が抽出したアンケート用質問に対する回答に基づいて、介護職員や介護施設の介護状況に関する評価情報を生成する。
【0108】
その後、送信部68が、評価情報生成部67が生成した評価情報を端末装置30へ送信する。
【0109】
(変形例)
上記では、質問取得部65は、センシング情報記憶部62に記憶された音声がトリガーキーワードを含む場合にアンケート用質問を取得したが、これには限らない。センシング情報記憶部62に記憶された音声がトリガーキーワードを含まない場合にもランダムにアンケート用質問を取得してよい。
【0110】
上記では、介護支援サーバ40は、介護職員の介護状況に関する評価情報を端末装置30へ送信することとしたが、これには限らない。例えば、介護職員の介護状況に関する評価情報を介護職員間で共有可能な共有領域に書き込むこととしてもよい。具体的には、ある介護職員の介護状況に関する評価情報が一定の基準を超えた場合に、その評価情報で良いとされた介護内容を共有領域に自動的に書き込む処理を行うとよい。このような処理を行うことにより、介護施設全体の質の向上を図ることができる。
【0111】
また、上記では、介護施設に関する評価情報を生成する際の処理について詳しく述べなかったが、介護施設に関する評価情報を生成する際には、例えば、評価情報を生成するための評価指標を標準化して、介護施設間で評価情報を比較できるようにするとよい。
【0112】
(第2の実施の形態の効果)
以上述べたように、第2の実施の形態では、ロボットから被介護者に対してアンケートを取る仕組みを構築し、その結果を用いて介護職員や介護施設の評価を実施するようにした。これにより、被介護者の生の声を把握することができ、被介護者の苦情も吸い上げることができるようになり、介護職員や介護施設の改善につながることとなった。
【0113】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、外国人の介護職員がロボット20に外国語で話しかけた場合に、ロボット20がその外国語を日本語に翻訳して被介護者に伝える、というものである。そのためには、例えば、ロボット20が介護に関する用語の辞書を備え、この辞書を参照して翻訳を行うとよい。
【0114】
[他の適用例]
本発明は診療分野にも適用可能である。この場合、上記実施の形態において、介護者は診療者(医師等)、被介護者は被診療者(患者等)、介護記録は診療記録、介護支援は診療支援のように、介護を診療と読み替えればよい。