【解決手段】入力された不動産の所在地に対応する登記情報を登記情報サーバから取得する(S404)。取得された登記情報から不動産の境界点の座標を取得する(S406)。取得された座標を緯度経度に変換する(S410)。記憶手段に記憶された地図情報に基づいて表示される地図上に、変換された緯度経度に対応する位置の標示を描画する(S412)。本発明の一態様では、入力された不動産の所在地に対応する平面直角座標系の系番号を取得し(S408)、系番号に関連付けられた座標系の原点に基づき、境界点の座標を緯度経度に変換する。
前記変換手段は、入力された不動産の所在地に対応する平面直角座標系の原点を取得し、前記取得された原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換する、請求項1または2に記載の情報提供装置。
前記変換手段は、前記登記情報から平面直角座標系の系番号を取得し、前記取得された系番号に関連付けられた原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換する、請求項1または2に記載の情報提供装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように提供される登記情報を確認しても、登記されている不動産と、その不動産の周辺にある土地や建物等の環境との関係を把握することができない。登記されている不動産を含む地図の情報を提供する方法に関し、引用文献1には、地番文字データを含む地番地図データと住宅地図データとを記憶する地図データベースを設ける手法が記載されている。この手法によれば、地域の地図要求に応じて、地番地図と住宅地図とを合成して提供する。しかしながら、この手法では、地番地図データおよび住宅地図データを独自に構成しなければならず、煩雑な作業による多大な労力を伴う。また、地番地図データの生成に関して正確性を保証するものではない。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、登記されている不動産を地図上で視覚的に把握可能な情報提供装置および情報提供方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
入力された不動産の所在地に対応する登記情報を取得する登記情報取得手段と、
前記取得された登記情報から前記不動産の境界点の座標を取得する座標取得手段と、
前記取得された座標を緯度経度に変換する変換手段と、
地図情報を記憶した記憶手段と、
前記記憶された地図情報に基づいて表示される地図上に、前記変換された緯度経度に対応する位置の標示を描画する表示手段と
を備えた情報提供装置が提供される。
【0009】
ここで、前記座標取得手段は前記座標を前記登記情報に含まれる求積表から取得するものとしてもよい。
【0010】
ここで、前記変換手段は、入力された不動産の所在地に対応する平面直角座標系の原点を取得し、前記取得された原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換するものとしてもよい。
【0011】
また、前記変換手段は、前記登記情報から平面直角座標系の系番号を取得し、前記取得された系番号に関連付けられた原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換するものとしてもよい。
【0012】
また、前記記憶手段は前記地図情報を外部から取得して記憶するものとしてもよい。
【0013】
本発明の他の態様によれば、コンピュータにより実行される情報提供方法であって、
入力された不動産の所在地に対応する登記情報を登記情報サーバから取得するステップと、
前記取得された登記情報から前記不動産の境界点の座標を取得するステップと、
前記取得された座標を緯度経度に変換するステップと、
記憶手段に記憶された地図情報に基づいて表示される地図上に、前記変換された緯度経度に対応する位置の標示を描画するステップと
を含む情報提供方法が提供される。
【0014】
ここで、前記座標を取得するステップにおいて、前記座標を前記登記情報に含まれる求積表から取得するものとしてもよい。
【0015】
また、前記変換するステップは、
入力された不動産の所在地に対応する平面直角座標系の原点を取得するステップと、
前記取得された原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換するステップと
を含むものとしてもよい。
【0016】
また、前記変換するステップは、
前記登記情報から平面直角座標系の系番号を取得するステップと、
前記取得された系番号に関連付けられた原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換するステップと
を含むものとしてもよい。
【0017】
また、前記地図情報を外部から取得して前記記憶手段に記憶するステップをさらに含むものとしてもよい。
【0018】
本発明の他の態様によれば、コンピュータに、
入力された不動産の所在地に対応する登記情報を登記情報サーバから取得するステップと、
前記取得された登記情報から前記不動産の境界点の座標を取得するステップと、
前記取得された座標を緯度経度に変換するステップと、
記憶手段に記憶された地図情報に基づいて表示される地図上に、前記変換された緯度経度に対応する位置の標示を描画するステップと
を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【0019】
ここで、前記座標を取得するステップにおいて、前記座標を前記登記情報に含まれる求積表から取得するものとしてもよい。
【0020】
また、前記変換するステップは、
入力された不動産の所在地に対応する平面直角座標系の原点を取得するステップと、
前記取得された原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換するステップと
を含むものとしてもよい。
【0021】
また、前記変換するステップは、
前記登記情報から平面直角座標系の系番号を取得するステップと、
前記取得された系番号に関連付けられた原点に基づき、前記不動産の境界点の座標を緯度経度に変換するステップと
を含むものとしてもよい。
【0022】
また、前記地図情報を外部から取得して前記記憶手段に記憶するステップをさらに含むものとしてもよい。
【0023】
本発明の他の態様によれば、上記のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0024】
本発明の他の態様によれば、地図情報を提供する地図情報サーバと、
登記情報を提供する登記情報サーバと、
端末装置であって、
入力された不動産の所在地に対応する登記情報を前記登記情報サーバから取得する登記情報取得手段と、
前記取得された登記情報から前記不動産の境界点の座標を取得する座標取得手段と、
前記取得された座標を緯度経度に変換する変換手段と、
前記地図情報サーバから取得した地図情報に基づいて表示される地図上に、前記変換された緯度経度に対応する位置の標示を描画する表示手段と
を含む端末装置と
を備えた情報提供システムが提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、入力された不動産の所在地に対応する登記情報を取得し、取得された登記情報から不動産の境界点の座標を取得し、取得された座標を緯度経度に変換する。また、記憶された地図情報に基づいて表示される地図上に、変換された緯度経度に対応する位置をプロットする。したがって、登記されている不動産を地図上で視覚的に把握可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報提供システム100の構成を概略的に示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム100は、地図情報サーバ102、登記情報サーバ104、および端末装置108がインターネット106を介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
地図情報サーバ102は、インターネット106を介して地図データをクライアントコンピュータに提供して表示させる機能を有するものである。地図情報サーバ102は、地図データを記憶するための地図データベース103を有する。地図データベース103に記憶される地図データは緯度経度の情報を有する地図の画像を表現するものであり、所在地情報に基づいて対応する画像を読み出し可能に記憶されている。地図データは、例えば所定の縮尺に従ってメッシュ化された地図データ等の屋外地図データとすることができる。所定の縮尺のメッシュデータとして、例えば、JIS規格の第1次〜第3次地域区画メッシュデータが採用され得る。また、地図データベース103は、全国および地方の道路地図や路線図等の屋外地図データを記憶し得る。また、地図データベース103は、例えば、建築物のフロア案内図や施設の内部の案内地図等の屋内地図データを記憶することとしてもよい。屋内地図データの場合、地図データは施設内の経路のデータを含み得る。ここで、経路のデータは経路を移動するための誘導メッセージ、標識および警告のデータを含み得る。また、屋外地図データおよび屋内地図データは、ラスタ形式またはベクタ形式の地図描画用の画像データであってもよい。
【0030】
また、地図データは、地図上に表示される施設の形状に関する形状データを含み得る。形状データとして、店舗、駅、住宅等の建築物の他、道路、線路、トンネル、等高線、河川、橋、海岸線、海、および公園等の屋外施設、街や県境等の区画の情報を含み得る。また、地図データは、地図上に表示すべき文字情報を含み得る。このような情報として、例えば地名、住所、店舗、駅、公園等の施設の名称、施設の電話番号、地域や場所の名称、道路、路線等の名称、口コミ情報等の付記的情報を含み得る。
【0031】
また、地図データは、地図上に表示すべき記号の画像データを含み得る。記号の画像データとして、例えば、病院、学校、工場、田畑および墓地等の地図記号、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、レストラン等の店舗の記号、道路標識、有料道路の出入口、サービスエリア、パーキングエリア等の記号、駐車場、ホテルの記号データ等のデータを含み得る。
【0032】
登記情報サーバ104は、不動産の登記情報データを所在地情報に対応させて記憶した登記情報データベース105を備え、インターネット106を介して地図データをクライアントコンピュータに提供して表示させる機能を有するものである。登記情報データの詳細については後述する。
【0033】
端末装置108は、スマートフォン、タブレットPC、ノート型パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)等のインターネットまたはモバイルネットワークにアクセス可能なインターフェースを有するコンピュータ装置から選択することができる。
【0034】
地図情報サーバ102、登記情報サーバ104および端末装置108は、情報処理、データベースおよび通信機能を提供することができるコンピュータ機器により構成され、単一の機器に限らず、ネットワーク化またはクラスタ化された複数の機器として構成することができる。
【0035】
図2は、地図情報サーバ102、登記情報サーバ104および端末装置108を構成するコンピュータ機器200の例を示す。
【0036】
コンピュータ機器200は、バス212に接続された中央処理ユニット(CPU)202と、同様にバス212に接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)216とを備える。コンピュータ機器200は、バス212に接続された、ビデオランダムアクセスメモリ(VRAM)218と関連付けられた、グラフィカル処理ユニット(GPU)220をさらに備えている。VRAM218はフレームバッファとしても知られている。デバイスコントローラ210は、ハードドライブ(HD)204等のメモリデバイスへのアクセスを管理する。コンピュータプログラムおよびデータを記憶するメモリデバイスは、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの、半導体メモリデバイス、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの、磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMディスク206を含む、種々の形式の不揮発性メモリを含み得る。上記のいずれもが、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)によって補完され、またはその中に組み込まれてよい。ネットワークアダプタ208は、インターネット等のネットワークへのアクセスを制御する。
【0037】
入力インターフェース(IF)222はユーザからの入力操作を受け付けるためのものであり、キーボード、マウスおよびタッチパッド等として構成され得る。ディスプレイ214は画像情報や文字情報を出力するためのものであり、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ、プロジェクタ等として構成され得る。
【0038】
コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行可能な命令を含んでよく、命令は、上述の情報提供システムに本実施形態の方法の一部または全部を実行させるための手段を含む。コンピュータプログラムは、コンピュータ機器200の任意のデータ記憶媒体上に記録可能であってよい。コンピュータプログラムは、例えば、デジタル電子回路で、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実施されてもよい。コンピュータプログラムは、装置として、例えば、プログラム読み取り可能な記憶媒体として実装され得る。本実施形態に係る方法のステップは、入力データを操作し、出力を生成することによって、方法の機能を実行するために、命令からなるコンピュータプログラムを実行する、プログラム可能なプロセッサによって実行されてよい。したがって、プロセッサは、プログラミング可能であり、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスから、データおよび命令を受信し、それらにデータおよび命令を送信するように結合されてよい。コンピュータプログラムがアプリケーションプログラムである場合、そのアプリケーションプログラムは、高水準手続き型もしくはオブジェクト指向プログラミング言語で、またはアセンブリもしくは機械語で記述され得る。いずれの場合においても、プログラミング言語は、コンパイル型言語、またはインタープリタ言語であり得る。コンピュータプログラムは、フルインストールプログラム、またはアップデートプログラムとすることができる。コンピュータ機器200にプログラムの命令を適用することにより、コンピュータ機器200に本実施形態に係る方法を実行させることができる。このコンピュータプログラムは、具体的には後述するOCR(Optical character recognition)解析ソフトウェア、ウェブサイトを閲覧するためのブラウザソフトウェア、および画面のスクリーンショットをキャプチャするためのスクリーンショットソフトウェアを含み得る。
【0039】
次に、
図3を参照し、端末装置108に実装される情報提供装置300の機能構成について説明する。情報提供装置300は、インターネット106を介して地図データや登記情報を取得するためのデータ取得部304、プログラムやデータを記憶するための記憶部306、地図データや登記情報データに基づいて種々の画像や文字情報を表示する表示部308、地図データや登記情報データに対する種々の情報処理を行う情報処理部310、およびユーザからの入力を受け付ける入力部312を含む。このような構成により、情報提供装置300は入力部312から入力された情報や命令に基づいて地図データや登記情報データを取得して記憶部306に記憶するとともに、情報処理部310はこの記憶された情報に基づいて情報処理を行って表示部308に出力する処理を行う。
【0040】
次に、
図4に示すフローチャートを参照し、土地登記情報を提供する場合を例として、上記のように構成された情報提供装置300により実行される情報提供方法の手順について説明する。
【0041】
ステップS402において、ユーザは情報提供装置300を操作して、インターネット106から所望の土地に関する所在地情報を取得する。所在地情報は登記情報サーバ104に登記情報を要求するために、また地図情報サーバ102に地図データを要求するために必要な情報であり、例えば住所とすることができる。例えば、登記情報の提供を希望する土地が企業によって所有される土地である場合、情報提供装置300上でブラウザソフトウェアを実行してインターネット106上のサービスプロバイダにより提供される当該企業のウェブサイトにアクセスする。そして、情報提供装置300に表示された企業のウェブサイトに含まれる住所の情報を取得する。
【0042】
ステップS404において、ユーザは情報提供装置300を操作して登記情報サーバ104にアクセスする。登記情報サーバ104は情報提供装置300の表示部308に、登記情報を提供するために必要な情報を入力するための入力エリアを含む画面を表示させる。ユーザは表示された画面内の入力エリアに、ステップS402で取得した土地の所在地情報を入力する。入力された土地の所在地情報は情報提供装置300から登記情報サーバ104に送信される。登記情報サーバ104は、受信した所在地情報に対応する登記情報を登記情報データベース105から読み出して、情報提供装置300に送信する。このようにして、情報提供装置300は登記情報を取得する。
【0043】
次に、ステップS406において、取得された登記情報データから所定のデータを抽出する。情報提供装置300の情報処理部310は、取得された登記情報から抽出されたデータに基づいて土地の境界点の座標を取得する。次いで、ステップS408において、情報提供装置300は取得された登記情報に基づいて、平面直角座標系の原点を取得する。平面直角座標系は、平成14年国土交通省告示第9号で定義されている座標系であり、以下で詳述する。
【0044】
次いで、ステップS410において、情報提供装置300の情報処理部310は、系番号にて定義されている情報に基づき、境界点の情報を緯度経度の情報に変換する。
【0045】
次いで、ステップS412において、情報提供装置300のデータ取得部304は、地図情報サーバ102にアクセスする。そして、ステップS402において取得された土地の所在地情報を送信し、当該所在地情報に対応する地図データを要求する。地図情報サーバ102は受信した要求に応答して、当該要求に含まれる所在地情報に対応する地図データを地図データベース103から読み出し、情報提供装置300に送信する。情報提供装置300は、取得された地図データを表示部308に表示するとともに、ステップS410において変換された緯度経度の位置の標示を地図上に描画する処理を行う。
【0046】
ステップS406以降の各ステップにおいて実行される情報処理は、取得された登記情報データから所定のデータを抽出することにより行う。以下、これらの情報処理について詳細に説明する。
【0047】
[データの抽出処理]
登記情報データは紙媒体に記載された情報を画像データとしたものであり、以下のファイルを含む。
【0048】
(1)地図
地図は、不動産登記法によって公示が要求される不動産登記事項のうち、「地図又は地図に準ずる図面」に対応する情報を含む。すなわち、地図は、不動産登記法第14条第1項の地図または同条第4項の地図に準ずる図面(いわゆる公図)の情報である。
(2)所有者事項
所有者事項は、不動産の登記事項のうち、現在の所有者の氏名または名称および住所の情報を含む。
(3)土地図面
土地図面は、不動産の登記事項のうち,地積測量図を含む。地積測量図は、一筆の土地の地積に関する測量の結果を明らかにする図面である。登記情報提供サービスにより提供される登記情報は、住所に対応付けられた所有者の情報、および地積測量図を含む。地積測量図は不動産登記法で定められた公的な測量図であり、住所に対応付けられた地番、境界標の種類や基準点などの凡例および座標求積表を含んでいる。地番は、法務局によって土地の区画ごとに設定される管理番号であり、登記簿上、一筆の土地ごとに付与される番号である。また、座標求積表は面積の計算方法とその計算結果を示す。
(4)土地全部事項
土地全部事項は、不動産の登記事項の全部に関する情報を含む。
【0049】
ステップS406におけるデータの抽出では、(3)土地図面に含まれる地積測量図の画像からOCR(Optical character recognition)解析を行うことにより所定のデータを抽出する。
【0050】
図5は、地積測量図の例を示す。同図に示すように、登記情報の地積測量図には、複数の座標求積表502a〜502cが含まれている。各テーブルは、図面右上の「地番」に関連付けられている。特定の「地番」の座標求積表は複数のページにまたがることがある。土地の境界点の抽出対象は、これらの座標求積表の「X
n」列および「Y
n」列に含まれている数値である。情報提供装置300は、座標求積表に含まれる「X
n」および「Y
n」の文字列を特定し、この文字列より下に位置する文字列を認識することにより、各座標(X
n、Y
n)の情報を取得する。各座標(X
n、Y
n)は、「測点」に関連付けられており、地理的位置を一意に識別する。
【0051】
[座標求積表の画像の取得]
座標求積表のOCR解析を行うために、先ずすべての座標求積表を画像として抽出する必要がある。座標求積表を適切に抽出するには、抽出するテーブル領域を拡大し、スクリーンショットソフトウェアを実行することにより領域の画像をキャプチャする。そして、OCR解析ソフトウェアを実行することにより、座標求積表の画像を抽出することができる。
【0052】
座標求積表の領域を特定し画像を抽出する際には、以下の基準を用いて適切な領域か否かを判定する。
・画像の最初の行には、「測点」、「X
n」、「Y
n」、「(X
n+1−X
n-1)Y
n」および「距離」という文字列が含まれている。
・画像の最初の行は、「地番」という文字列で始まる行にしない。
・画像の最後の行には、「測点」、「X
n」、「Y
n」、「(X
n+1−X
n-1)Y
n」、「距離」のすべてのフィールドの情報が含まれている。
・画像の最後の行には、「倍面積」、「面積」、または「地積」という文字列を含む行を含めない。
【0053】
図6は、上記の手順で画像から抽出した座標求積表のうち、座標求積表502aの画像を抽出した例を示す。座標求積表502b、502cも同様に抽出される。
【0054】
[座標求積表のOCR解析]
次に、OCR解析ソフトウェアを実行することにより、上記で取得した座標求積表の画像に対してテキストベースのテーブルを生成する。以下、このテーブルを境界点データテーブルと呼ぶ。
【0055】
境界データテーブルには常に以下のフィールドが含まれている必要があり、これらのフィールドのみでなければならない。
【0057】
本実施形態において、座標求積表から抽出されたテーブルが適切な境界点データテーブルであるかどうかを判定する際に、以下の基準を用いる。
・各行に5つの列があり、「測点」、「X
n」、「Y
n」、「(X
n+1−X
n-1)Y
n」、「距離」の5つのヘッダがある。
・すべての行には5つの要素があり、空の要素はない。
・各列の値は、左揃えまたは右揃えのいずれかである。
・列「1」には、大文字(「[A〜Z]」)、ハイフン「−」、および数字([[0〜9]+])を含めることができる。
・列「1」において、ハイフン「−」が存在する場合、その直前の文字は大文字([A〜Z])でなければならず、その直後に数字が存在しなければならない。
・列「2,3」にはオプションで先頭に「−」が含まれ、「.」およびその後に3つの数字が必要である。
・列「5」は正である。「−」が含まれていてはならず、「.」およびその後に3つの数字が必要である。
・列「4」にはオプションで先頭に「−」が含まれ、「.」およびその後に6つの数字が必要である。
【0058】
一実施形態において、境界点データテーブルを生成する際に、この構造データとして、JavaScript構造データオブジェクトの表記法をベースとした標準的なテキストベースの構造データ表現フォーマットであるJavaScript Object Notation (JSON)データを使用することとしてよい。
【0059】
一実施形態において、OCR解析を行って取得されたデータは、さらに誤認識された文字を修正する等のクリーニングを行うこととしてよい。このクリーニングにおいて、例えば、Xnが誤ってχ(カイ)nと認識された場合にはXに修正する等の処理を行う。次いで、クリーニングが施されたデータに対して、上述した基準に照らしてエラーがチェックされる。結果として、
図7に示すように座標求積表の画像から再構築された境界点テーブルが生成される。このようにして、座標求積表から検出されたフレーズ、単語、およびそれらの境界ボックスを含むJSONデータを取得することが可能となる。
【0060】
[平面直角座標系の原点の取得]
座標求積表は、境界点および基準点等を世界共通の座標系を基準として表示した表である。平成14年の測量法改正以降、地積測量図の座標系は世界測地系が利用されている。ここで、土地の測量における平面直角座標系の原点の位置は、測量の適用区域ごとに異なる。そして、それぞれの適用区域には系番号が付与されている。測量法に基づく系番号と平面直角座標系との関係は、例えば国土地理院のサイトにおいて規定されている。例として、系番号IおよびIIに関する平面直角座標系の情報を以下の表に示す。
【0062】
ステップS408において、情報提供装置300は、国土地理院のサイトにアクセスし、平面直角座標系の表から、対象となる住所に対応する適用区域を判定し、当該適用区域に対応する座標系原点の緯度経度の情報を取得する。具体的には、対象となる住所に含まれる文字列と、平面直角座標系の表の適用区域の文字列とを突き合わせ、合致した文字列を含む適用区域に対応する緯度経度の情報を取得する。
【0063】
他の実施形態において、情報提供装置300は、平面直角座標系の表を予め記憶部306に記憶しておき、記憶部306に記憶された表から、対象となる住所に対応する適用区域を判定し、当該適用区域に対応する原点の緯度経度の情報を取得する。
また、
図5に示す例とは異なり、地積測量図の右下に「世界測地系(II)」のように系番号が記載されている場合がある。したがって、ステップS408において、情報提供装置300は地積測量図の右下に記載された標準手法の情報を解析することにより系番号を取得し、平面直角座標系の表から、取得された系番号に対応する原点の座標を特定することとしてもよい。
【0064】
また、ステップS408において、情報提供装置300は地積測量図の右下に記載された標準手法の情報を解析して系番号の取得を試み、系番号を取得することができない場合に、対象となる住所に基づき原点の緯度経度の情報を取得するように構成してもよい。
【0065】
なお、原点の位置を定義する標準手法には、「日本測地系」および「世界測地系」が存在する。
図5に示す例では、地積測量図の標準手法が世界測地系であることが右下に記載されている。したがって、ステップS410において、情報提供装置300は地積測量図の右下に記載された標準手法の情報を解析することにより「日本測地系」および「世界測地系」のいずれであるかを判定し、国土地理院のサイトから標準手法に応じた原点の情報を取得するように構成してもよい。
【0066】
あるいは、地積測量図に記載されている時期に該当する標準手法を判定することとしてもよい。例えば、地積測量図には、「作成日」と、「座標系番号」または「番号」とが記載されているので、この文字情報を認識することにより、「作成日」の時点で採用されている標準手法を判定し、判定された標準手法に応じた原点の情報(平面直角座標の表)を、「座標系番号」または「番号」を用いて取得するように構成してもよい。
【0067】
また、原点の情報を取得する際に、「日本測地系」および「世界測地系」のいずれか一方の情報にアクセスして原点の情報を取得した後、一方の標準手法から他方の標準手法への座標変換処理を行って、認識された標準手法に応じた原点の情報を取得することとしてもよい。また、「日本測地系」および「世界測地系」に対応する原点の情報を情報提供装置300に予め記憶しておき、認識された標準手法に応じた原点の情報を取得するように構成してもよい。さらに、「日本測地系」および「世界測地系」のいずれか一方の情報を予め情報提供装置300に記憶しておき、認識された標準手法に応じた原点の情報取得した後、一方の標準手法から他方の標準手法への座標変換処理を行って、認識された標準手法に応じた原点の情報を取得することとしてもよい。
【0068】
[緯度経度情報のプロット]
図7に示すように生成された境界点テーブルは、各行において、左から順に、測点、X
n、Y
n、(X
n+1−X
n-1)Y
n、距離の情報が含まれている。情報提供装置300の情報処理部310は、境界点テーブルの各行から座標(X
n、Y
n)の情報を取得する。次いで、ステップS410で取得された原点の情報に基づいて、この座標を緯度経度の情報に変換する。次いで、変換された緯度経度の集合の情報に基づいて、地図画像表示用のデータを生成する。本実施形態では、地図画像表示用のデータとして、アプリケーションプログラムにおける三次元地理空間情報の表示の管理などを目的とした情報をXMLで記述したKML(Keyhole Markup Language)データが生成される。
【0069】
ステップS412において、情報提供装置300のデータ取得部304は、地図情報サーバ102にアクセスする。次いで、ステップS402において取得された土地の所在地情報を送信し、当該所在地情報に対応する地図データを地図情報サーバ102に要求する。地図情報サーバ102は受信した要求に応答して、当該要求に含まれる所在地情報に対応する地図データを地図データベース103から読み出し、情報提供装置300に送信する。情報提供装置300は、取得された地図データを表示部308に表示するとともに、ステップS410において変換されたKMLデータに基づき、測点の緯度経度に対応する位置の標示を地図上の該当する緯度経度の位置にプロットする処理を行う。
【0070】
図8に、地図上に緯度経度に対応する位置をプロットした画像の例を示す。
図8において整列する複数の点802が緯度経度情報を示している。なお、同図に示す例では標示として丸い点を用いているが、標示は丸い点に限らず三角形や四角形等の多角形その他の種々の図形を用いてもよい。これらの種々の標示はユーザにより選択することができるように情報提供装置300を構成してもよい。
【0071】
一実施形態において、表示される複数の測点を通る線を地図上に表示することとしてもよい。この場合、線の種類として点線や矢印等の種々の線種を用いてもよい。
【0072】
一実施形態において、地図上で測点により囲まれる領域をハッチングで表現することとしてもよい。代替として、測点により囲まれる領域を半透明の色で彩色した図形を地図上に重ねて表示することにより、図形の背後にある地図の画像が透過して表示されるようにしてもよい。
【0073】
一実施形態において、登記情報に記載されている土地が複数に分割されている場合、分割された土地ごとに標示の種類やその表示態様を変更してもよい。例えば、分割された土地ごとに異なる色の標示を用いることとしてもよい。
【0074】
以上説明した本実施形態に係る情報提供方法によれば、登記されている土地の測点を地図上で視覚的に把握可能となる。また、登記情報に含まれる地積測量図の情報を直接用いて測点を描画することにより、より正確な土地の情報、および土地周辺の情報を把握することが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、他の種々の変形および修正が可能である。また、以上説明した複数の実施形態は、適宜それぞれの形態を二つ以上組み合わせて使用することが可能であることはいうまでもない。