【解決手段】一実施形態に係るコンピュータシステムは、配布物を配布するターゲットを少なくとも示す配布条件を満たす対象数を行政区画ごとに算出する機能と、対象数に対応する表現を行政区画ごとに示す地図を表示装置上の特定の領域に表示させる機能とを有する。
前記プロセッサが、前記最大検索範囲内の前記行政区画のそれぞれについてスコアを算出し、前記スコアに基づいて、前記行政区画から少なくとも一つの前記行政区画を選択する、請求項2に記載のコンピュータシステム。
前記プロセッサが、前記最大検索範囲内の前記行政区画のそれぞれについて、前記検索基準点から該行政区画までの距離を算出し、該距離に基づいて前記スコアを算出する、請求項3に記載のコンピュータシステム。
前記プロセッサが、前記最大検索範囲内の前記行政区画のそれぞれについて、該行政区画と、新聞の販売店の販売エリアとの重複部分を特定し、前記販売エリアにおける前記重複部分の割合にさらに基づいて、前記少なくとも一つの行政区画を選択する、請求項3〜5のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0008】
[システムの概要]
本実施形態では、本開示に係るコンピュータシステムを販促支援システム1に適用する。実施形態に係る販促支援システム1は、配布物の効果的な配布を支援するコンピュータシステムである。配布物とは、商品またはサービスの販売促進(販促)に用いられる任意の物品であり、例えばチラシ、新聞折込の広告、ノベルティグッズなどが含まれ得る。効果的な配布の支援とは、どの地域に配布物を配布すれば、より多くのターゲットに配布できるかに関する情報をユーザに提供することである。ユーザとは、配布物を配布する側の者のことであり、例えば商品またはサービスの供給者(店舗、企業など)である。ターゲットとは、配布物の宛先であり、ユーザが潜在的顧客として期待する人またはグループである。例えば、ターゲットは一般家庭(世帯)でもよいし、家庭内の特定の個人でもよい。
【0009】
一例では、販促支援システム1は、ターゲットの数(本開示ではこれを「対象数」という)を算出し、その対象数に対応する表現を、行政区画ごとに区切られた地図として表示させる。「対象数に対応する表現」とは、対象数に関する情報を人に視認させるための表示をいう。本開示では、対象数に対応する表現を表示するために用いられる情報を「支援情報」ともいう。行政区画とは、行政機関の権限が及ぶ範囲として定められた区画をいい、例えば、市町村、町名、街区などによって規定される。
【0010】
[システムの構成]
図1は販促支援システム1の適用および機能構成の一例を示す図である。一例では、販促支援システム1は通信ネットワークを介してユーザ端末20およびデータベース30と接続される。通信ネットワークの構成は限定されず、例えばインターネットを含んで構成されてもよいし、イントラネットを含んで構成されてもよい。
図1ではユーザ端末20を一つのみ示すが、ユーザ端末20の個数は何ら限定されない。例えば複数のユーザ端末20が販促支援システム1にアクセスしてもよい。
【0011】
販促支援システム1は、機能要素としてページ管理部10および算出部11を備える。ページ管理部10は、ユーザ端末20に表示されるウェブページの各種情報を管理する機能モジュールである。算出部11は、ウェブページに表示するための支援情報を算出する機能モジュールである。
【0012】
ページ管理部10は、ユーザ端末20から配布条件を含むページ要求を受信すると、その配布条件を算出部11に送信する。算出部11はその配布条件を満たすデータをデータベース30から取得する。データの詳細については後述する。算出部11は、取得したデータに基づいて支援情報を行政区画ごとに算出する。例えば、支援情報は、個々の行政区画の対象数に応じて個々のポリゴンの色を指定するための情報を含む。算出部11は、支援情報をページ管理部10に送信する。ページ管理部10は、その支援情報を含むページ応答をユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20はそのページ応答を処理して、対象数に対応する表現を行政区画ごとに示す地図を表示する。このように、算出部11は、配布物を配布するターゲットを少なくとも示す配布条件を満たす対象数を行政区画ごとに算出する。また、ページ管理部10は、対象数に対応する表現を行政区画ごとに示す地図を表示装置としてのユーザ端末20上の特定の領域に表示させる。
【0013】
ユーザ端末20はユーザによって操作されるコンピュータである。ユーザ端末20は固定端末でもよいし携帯端末でもよい。ユーザ端末20の例として、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、またはパーソナルコンピュータが挙げられるが、端末の種類はこれらに限定されない。ユーザ端末20には、ウェブページを表示するためのウェブブラウザ機能が搭載されている。
【0014】
データベース30は、販促支援システム1において必要なデータを永続的に記憶する非一時的な記憶媒体または記憶装置である。データベース30は、販促支援システム1の一部として構築されてもよいし、販促支援システム1とは別のコンピュータシステムに設けられてもよい。
【0015】
一例では、データベース30は人口・世帯データ、単価データおよび販売エリアデータを記憶する。
【0016】
人口・世帯データは、行政区画ごとに集計されたターゲットの候補になる世帯(一般家庭)に関するデータであり、例えば行政機関により公開されたデータ(例えば国勢調査データ)に基づいて構築され得る。一例では、人口・世帯データの各レコードは、行政区画を一意に特定する識別子である行政区画IDと、行政区画の名称と、行政区画の地理的位置と、家族構成と、世帯の年収と、世帯数と、人口とを含む。地理的位置は、例えば代表住所、緯度経度などによって表されてもよい。家族構成は、例えば世帯の人数と、各構成員の属性(年齢、性別など)とに関する集計値によって表されてもよい。年収は、例えば金額、ランク(低、中、高)などに関する集計値によって表されてもよい。
【0017】
単価データは、配布物の単価を算出するために用いられるデータである。例えば、単価データは、用紙サイズ、用紙の加工種別、印刷種別などの、配布物の特性に関するデータ項目を含んでもよい。
【0018】
販売エリアデータは、個々の新聞販売店の販売エリアに関するデータである。例えば、販売エリアデータは個々の販売エリアの地理的範囲を示す。販売エリアデータは例えば、各新聞社から提供されるデータに基づいて構築され得る。
【0019】
データベース30に記憶される各データのデータ構造は限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、データが任意の方針で正規化または非正規化されて、一または複数のデータテーブル上に記憶されてもよい。データベース30内の少なくとも一部のデータは販促支援システム1の運営者とは異なる少なくとも一つの事業者によって提供されてもよい。あるいは、少なくとも一つの事業者のデータベースがデータベース30の役割の少なくとも一部を担ってもよい。
【0020】
販促支援システム1を構成する個々のコンピュータのハードウェア構成は限定されず、任意の方針で設計されてよい。販促支援システム1を構成する個々のコンピュータの間で具体的なハードウェア構成が異なってもよい。
【0021】
図2は販促支援システム1で用いられるコンピュータ110のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ110は、販促支援システム1を構成する一つまたは複数のコンピュータの一例である。コンピュータ110は制御回路100を有する。制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。一例では、プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、上記の各機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、図示しないキーボード、マウス、モニタなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
【0022】
販促支援システム1は一つまたは複数のコンピュータ110により構成され得る。複数のコンピュータで構成される場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで論理的に一つの販促支援システム1が構成される。例えば、販促支援システム1は、ページ管理部10として機能するウェブサーバと、算出部11として機能するアプリケーションサーバとを備えてもよい。
【0023】
図3はエリア分析画面の一例を示す図である。エリア分析画面200は、販促支援システム1にアクセスするユーザの表示装置(例えば、ユーザ端末20)上に表示される画面である。このエリア分析画面200は、算出される対象数に対応する表現を、行政区画ごとに区切られた地図として表示する画面である。エリア分析画面200は、例えば地図表示領域、各種条件の入力欄などにより構成される。
【0024】
エリア分析画面200は、ユーザから配布条件の入力を受け付けるための、テキストボックス、スライドバー、ボタン、ドロップダウンリストなどの入力インタフェースを有する。配布条件とは、配布物を配布する地域(配布地域)を決定するために使用される情報であり、例えばターゲット条件、配布物条件、予算、検索基準点、および優先条件を含み得る。配布地域は少なくとも一つの行政区画の集合によって表される。ターゲット条件とは、配布物を配布するターゲットに関する条件である。配布物条件とは、配布物の特性に関する条件である。予算とは、配布物を配布するために使用可能な金額に関する条件である。検索基準点とは、配布地域を検索する基準となる位置を示す条件である。優先条件とは、配布地域を決定する方法に関する条件である。
【0025】
図3に示すエリア分析画面200は、ターゲット条件のための入力インタフェース210と、配布物条件のための入力インタフェース220と、予算および優先条件のための入力インタフェース230と、検索基準点のための入力インタフェース240と、対象数に対応する表現を示す地図表示領域250とを含む。
【0026】
入力インタフェース210はターゲット条件を変更する条件変更ボタンを有する。条件変更ボタンが押下されてターゲット条件が変更された場合、ページ管理部10は、エリア分析画面200に表示されているターゲット条件を変更後の情報に更新して表示する。ターゲット条件は、例えば年代、性別、家族構成、年収などのターゲットの属性、来店方法、および配布方法を含み得る。来店方法は検索基準点までのアクセス手段を示す条件であり、例えば徒歩30分、車で20分などのように、移動手段および時間によって決定され得る。配布方法は配布物をどのように配布するかを示す条件であり、例えば、ポスティングおよび新聞折込が選択肢として設定される。
【0027】
入力インタフェース220は、配布物条件を変更する条件変更ボタンを有する。条件変更ボタンが押下されて配布物条件が変更された場合、ページ管理部10は、エリア分析画面200に表示されている配布物条件を変更後の情報に更新して表示する。配布物条件は、例えば用紙サイズ、用紙の加工種別、および印刷種別を含み得る。
【0028】
入力インタフェース230は、予算を入力するためのテキストボックスと、その予算を変更するためのスライドバーとを有する。ページ管理部10は、そのテキストボックスによって予算の入力を受け付ける。また、ページ管理部10は、スライドバーが左側にまたは右側に動かされることによって予算の金額を変更する処理を実行するとともにテキストボックスに変更後の金額を表示する。
【0029】
入力インタフェース230は、優先条件を入力するためのラジオボタンをさらに有する。優先条件については、複数の条件の中から何れか一つが選択される。優先条件として「ターゲット」が選択された場合、配布地域を決定する際に、対象者の多い行政区画が優先して選択される。優先条件として「距離」が選択された場合、配布地域を決定する際に、検索基準点に近い行政区画が優先して選択される。優先条件がいずれの場合も、費用(配布部数×配布物の単価)が予算内である限り、少しでも多くの行政区画が選択される。
【0030】
入力インタフェース230は、配布完了日を入力するためのドロップダウンリストと、見積ボタンと、発注ボタンとをさらに有する。配布完了日は配布物の配布期限である。配布完了日が設定されると、例えば、配布物の準備に要する日数が営業日の数に基づいて計算され、発注期限が定まる。具体的には、発注期限は、予め定められた配布物の準備に要する営業日の日数分を配布完了日から逆算することにより定まる。ユーザは、設定された配布完了日から算出された発注期限を確認することができる。見積ボタンは、配布物の配布に関する見積書の作成を依頼するためのボタンである。見積ボタンが押下された場合、ページ管理部10は、例えば押下された時点での配布条件にて見積書の作成を依頼するための画面を表示させてもよい。発注ボタンは、配布物の配布に関する発注を依頼するためのボタンである。発注ボタンが押下された場合、ページ管理部10は、例えば押下された時点での配布条件にて発注を依頼するための画面を表示させてもよい。入力インタフェース230内には見積金額および配布部数が表示される。見積金額は、その時点での配布条件にて配布物を配布した場合の概算金額を示す。配布部数は、その時点での配布条件にて配布物を配布した場合の配布物の数を示す。
【0031】
入力インタフェース240は、検索基準点となる住所を入力するためのテキストボックスである。ページ管理部10は、そのテキストボックスに入力された住所(例えば集客させようとする店舗の住所)に対応する地点を検索基準点として設定する。エリア分析画面200では、検索基準点が星印260によって示されている。ページ管理部10は、地図表示領域250上で星印260の移動操作を受け付け、移動後の星印260の位置を検索基準点として設定してもよい。この場合、ページ管理部10は星印260の位置(緯度・経度)を認識して、当該位置に対応する住所情報を特定する処理(リバースジオコーディング処理)を実行する。そしてページ管理部10は、当該処理によって特定された住所をテキストボックス内に表示する。
【0032】
地図表示領域250には、配布条件を満たす対象数に対応する表現が行政区画ごとに表示される。対象数に対応する表現は、例えば地図表示領域250上の行政区画の形に対応する複数のポリゴン251であってもよい。一例では、個々のポリゴン251は、行政区画ごとのターゲットの絶対数に応じて色付けされてもよい。あるいは、個々のポリゴン251は、行政区画間のターゲットの相対的な大小関係に応じて色付けされてもよい。このように個々のポリゴン251を対象数に応じて色分けすることで、ユーザはどの行政区画に配布物を配布するのが効率的であるかを把握することができる。個々のポリゴン251の色も、対象数に対応する表現の一例である。ページ管理部10は、個々のポリゴン251の選択操作または選択解除操作を受け付けてもよい。
【0033】
図4は、エリア分析画面の他の一例を示す図である。
図4のエリア分析画面200では、入力インタフェース210内で新聞折込が配布方法としてユーザにより選択され、この選択に応答して、入力インタフェース230は、配布物の折込として採用される媒体(新聞、回覧板、地域情報誌など)を選択するためのチェックボックスをさらに有する。
図4では、例えばA,B,C,D,E,およびFの媒体が表示されている。
図3および
図4に例示されるように、配布条件に応じて地図表示領域250上のポリゴン251の表示態様は異なる。
【0034】
上述したように、優先条件が「ターゲット」である場合には、配布地域を決定する際に、検索基準点からの距離ではなく、対象数の多い行政区画が優先して選択される。したがって、
図3および
図4に示すように、配布地域として選択された行政区画(色付けされた行政区画)に挟まれるように、選択されなかった行政区画(色付けされない行政区画)が存在する可能性がある。すなわち、選択されなかった行政区画が配布地域の外縁内に点在し得る。ここで、「色付けされない」とは、対応するポリゴン251の色が初期値(デフォルト値)であることを意味する。一方、優先条件が「距離」である場合には、配布地域を決定する際に、検索基準点に近い行政区画が優先して選択される。したがって、配布地域の外縁内はすべて、選択された行政区画である。
【0035】
[システムでの処理手順]
図5は販促支援システム1の動作の一例を処理フローS1として示すシーケンス図である。処理フローS1は販促支援システム1の全体における処理の流れを大まかに示す。
【0036】
ステップS11では、ユーザ端末20がページ要求を販促支援システム1に送信する。このページ要求は、例えばエリア分析画面200を表示するための情報を要求するHTTPリクエストである。
【0037】
ステップS12では、販促支援システム1がページ要求に応答して、ページ応答をユーザ端末20に送信する。このページ応答は、例えばエリア分析画面200を表示するための情報を含むHTTPレスポンスである。
【0038】
ステップS13では、ユーザ端末20がページ応答に含まれる情報に基づいて、ウェブページを表示する。ここでは、ユーザ端末20に搭載されているウェブブラウザ機能によってページ応答が処理されて、エリア分析画面200が表示されるものとする。
【0039】
ステップS14では、ユーザがユーザ端末20を操作して、エリア分析画面200から配布条件を入力する。配布条件は、例えばターゲット条件、配布物条件、予算、検索条件、および優先条件のうち少なくとも一つを含む。
【0040】
ステップS15では、ユーザ端末20が配布条件を含むページ要求を販促支援システム1に送信する。
【0041】
ステップS16では、販促支援システム1がページ要求を受信し、ページ要求に含まれる配布条件に基づいて支援情報を生成する。例えば、販促支援システム1は配布条件を満たすデータをデータベース30から取得し、支援情報を生成する。
【0042】
ステップS17では、販促支援システム1がその支援情報を含むページ応答をユーザ端末20に送信する。
【0043】
ステップS18では、ユーザ端末20がその支援情報に基づくウェブページ、すなわちエリア分析画面200を表示する。エリア分析画面200では、その支援情報に基づいて、色分けされたポリゴン251を含む地図表示領域250が表現される。
【0044】
図6は販促支援システム1の処理の詳細を処理フローS2として示すフローチャートである。処理フローS2は販促支援システム1により行われる処理の流れを示す。
【0045】
ステップS21では、ページ管理部10がユーザ端末20から配布条件を受け付ける。ページ管理部10は、配布条件を含むページ要求をユーザ端末20から受信すると、その配布条件を算出部11に送信する。
【0046】
ステップS22では、算出部11が配布物の単価を算出する。例えば、算出部11は配布条件の配布物条件(用紙サイズ、用紙の加工種別、および印刷種別)に対応する単価データをデータベース30から抽出し、その単価データに基づいて配布物の単価を算出する。算出部11は、例えば配布物条件が「用紙サイズ:A4」、「用紙の加工種別:コート」、「印刷種別:カラー」である場合、該条件に合致する単価データに基づいて配布物の単価を算出する。配布物の単価の具体的な算出方法は限定されず、算出部11は任意のアルゴリズムに従って単価を算出してよい。
【0047】
ステップS23では、算出部11が最大検索範囲を決定する。最大検索範囲とは、検索基準位置まで指定の来店方法で来ることができる地域の最大範囲である。算出部11は、配布条件の来店方法(移動手段および時間)に基づいて検索距離を算出する。一例では、移動手段に対応する速さが予め定められ、算出部11はその速さと時間とに基づいて検索距離を算出する。続いて、算出部11は検索基準点から検索距離の範囲内にある地域を最大検索範囲として決定する。この処理によって、算出部11はその最大検索範囲内に位置する少なくとも一つの行政区画を特定する。或る行政区画の一部が最大検索範囲内に位置する場合、算出部11は該行政区画を最大検索範囲に含めてもよい。例えば移動手段が徒歩の場合、時速4kmという速さが予め定められる。これを前提として、例えばターゲット条件が「来店方法:徒歩30分」を示す場合、算出部11は検索距離として2km(=4×0.5)を算出する。そして、算出部11は検索基準点から2kmの範囲内にある地域を最大検索範囲として決定する。
【0048】
ステップS24では、算出部11が最大検索範囲内の個々の行政区画についてスコアを算出する。スコアの算出方法は優先条件(「ターゲット」または「距離」のいずれか)によって異なる。
【0049】
優先条件が「ターゲット」である場合、算出部11はそれぞれの行政区画について以下の処理を実行する。すなわち、算出部11は、ターゲット条件のうちのターゲットの属性(年代、性別、家族構成、および年収)とその行政区画とに基づいて、データベース30内の人口・世帯データを検索し、そのターゲット属性および行政区画に対応するターゲットの数を対象数として集計する。続いて、算出部11は、該行政区画の世帯数または人口に対する対象数の割合を算出する。本開示ではその割合を「対象割合」ともいう。個々の行政区画について対象割合を求めた後に、算出部11はその対象割合の大きい順に、個々の行政区画に対してターゲット点数Tを付与する。例えば、算出部11は、対象割合が大きいほどターゲット点数Tを高く設定する。ターゲット点数Tはスコアの一例である。ターゲット点数Tの具体的な値は任意に決定されてよい。
【0050】
優先条件が「距離」である場合、算出部11は上述のターゲット点数Tの付与に加えて、以下の処理を実行する。算出部11は検索基準点から個々の行政区画までの距離を算出する。例えば、算出部11は、個々の行政区画において予め定められた算出用の座標と、検索基準点との間の距離を算出する。しかし、検索基準点から行政区画までの距離の算出方法はこれに限られない。算出部11は、検索基準点からの距離が短い順に、個々の行政区画に対して距離点数Dを付与する。例えば、算出部11は、距離が短いほど距離点数Dを高く設定する。距離点数Dはスコアの一例である。距離点数Dの具体的な値は任意に決定されてよい。
【0051】
ステップS25では、算出部11が最大検索範囲内の個々の行政区画のスコアと予算とに基づいて、配布地域として設定する行政区画を選択する。行政区画の選択は、個々の行政区画のスコアに基づいて、予算の範囲内で配布地域を設定するために行われる。優先条件が「ターゲット」である場合、算出部11は、スコア(ターゲット点数T)の降順に少なくとも一つの行政区画を配布地域として選択する。優先条件が「距離」である場合、算出部11は、スコア(距離点数D)の降順に少なくとも一つの行政区画を配布地域として選択する。選択した行政区画ごとに、算出部11は、該行政区画の世帯数を配布部数として設定し、配布物の単価と該配布部数との積を、該行政区画での配布の見積金額として算出する。算出部11は、個々の行政区画の見積金額の合計が予算を越えない限り、行政区画の選択、見積金額の加算、および配布部数の加算を繰り返す。
【0052】
配布条件の配布方法がポスティングである場合、算出部11は選択された行政区画、見積金額の合計、および配布部数の合計を確定する。一方、配布条件の配布方法が新聞折込の場合、算出部11は選択された行政区画と販売エリアとの関係に基づくさらなる処理を実行する。具体的には、算出部11はさらに、配布条件として指定された媒体に対応する販売エリアデータをデータベース30から抽出する。算出部11は、選択された1以上の行政区画のそれぞれについて、該行政区画と、抽出された販売エリアデータで示される販売店の販売エリアとの重複部分を特定する。算出部11は、販売エリアにおける重複部分の割合(すなわち、(重複部分の面積)/(販売エリアの面積))を算出して、重複部分の割合が所定の閾値以上であるかどうかを判定する。所定の閾値は任意で決定されてよい。重複部分の割合がその閾値未満である場合、算出部11は行政区画の選択を解除して、該行政区画の見積金額を見積金額の合計から減算し、該行政区画の配布部数を配布部数の合計から減算する。一方、重複部分の割合がその閾値以上である場合、算出部11は行政区画の選択を解除しない。したがって、算出部11は、重複部分の割合が閾値以上である行政区画のみを最終的に選択し、その選択された行政区画に対応する見積金額の合計および配布部数の合計を確定する。
【0053】
ステップS26では、算出部11が選択された行政区画に関する支援情報を生成する。一例では、算出部11は、選択されたそれぞれの行政区画について、ポリゴンの表示に関する情報(例えば、ポリゴンの色)を該行政区画のスコアに基づいて設定する。算出部11は、ターゲット点数Tに基づいて個々のポリゴンの色を設定する。色の設定方法は限定されない。例えば、算出部11はスコア(ターゲット点数T)が高いほどポリゴンの色が濃くなるように各ポリゴンの色を設定してもよい。
【0054】
ステップS27では、販促支援システム1が支援情報をユーザ端末20に送信する。具体的には、算出部11が生成した支援情報をページ管理部10に送信して、ページ管理部10が支援情報を含むページ応答をユーザ端末20に送信する。ページ管理部10はこの送信処理によって、対象数に対応する表現を行政区画ごとに示す地図を、エリア分析画面200における特定の領域(地図表示領域250)に表示させる。
【0055】
[プログラム]
コンピュータを販促支援システム1として機能させるためのプログラムは、該コンピュータをページ管理部10および算出部11として機能させるためのプログラムコードを含む。プログラムの少なくとも一部は、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどの非一時的な記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、プログラムの少なくとも一部は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。提供されたプログラムはストレージ103に記憶され、プロセッサ101がメモリ102と協働してそのプログラムを実行することで、該プログラムに対応する機能モジュールが実現する。
【0056】
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係るコンピュータシステムはプロセッサを備える。プロセッサは、配布物を配布するターゲットを少なくとも示す配布条件を満たす対象数を行政区画ごとに算出する機能と、対象数に対応する表現を行政区画ごとに示す地図を表示装置上の特定の領域に表示させる機能とを有する。
【0057】
本開示の一側面に係るプログラムは、配布物を配布するターゲットを少なくとも示す配布条件を満たす対象数を行政区画ごとに算出するステップと、対象数に対応する表現を行政区画ごとに示す地図を表示装置上の特定の領域に表示させるステップとをコンピュータに実行させる。
【0058】
このような側面においては、配布条件を満たす対象数が行政区画ごとに地図に示されるので、この地図を通じてターゲットの分布を行政区画ごとに把握することが可能になる。したがって、この仕組みによって、配布物のより効果的な配布を支援することができる。
【0059】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、配布条件が、配布地域を検索する基準となる位置を示す検索基準点、および検索基準点までのアクセス手段を示す来店方法を含み、プロセッサが、検索基準点および来店方法に基づいて最大検索範囲を算出し、最大検索範囲内の行政区画のそれぞれについて対象数を算出してもよい。この場合には、来店方法に対応する最大検索範囲内の行政区画について対象数を算出すれば十分なので、計算時間を短縮することができる。
【0060】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、プロセッサが、最大検索範囲内の行政区画のそれぞれについてスコアを算出し、スコアに基づいて、行政区画から少なくとも一つの行政区画を選択してもよい。この場合には、行政区画ごとに算出されたスコアに基づいて行政区画が選択されるので、行政区画の絞り込みが可能となる。
【0061】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、配布条件がターゲットの属性を示すターゲット条件を含み、プロセッサが、最大検索範囲内の行政区画のそれぞれについて、ターゲット条件を満たす対象数を集計し、該行政区画の世帯数または人口に対する対象数の割合に基づいてスコアを算出してもよい。この場合には、それぞれの行政区画について、世帯数または人口における対象数の割合に基づいてスコアが算出されるので、ターゲットの密度による配布地域の絞り込みが可能となる。
【0062】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、プロセッサが、最大検索範囲内の行政区画のそれぞれについて、検索基準点から該行政区画までの距離を算出し、該距離に基づいてスコアを算出してもよい。この場合には、検索基準点から個々の行政区画までの距離に基づいて各行政区画のスコアが算出されるので、その距離による配布地域の絞り込みが可能となる。
【0063】
他の側面に係るコンピュータシステムでは、プロセッサが、最大検索範囲内の行政区画のそれぞれについて、該行政区画と、新聞の販売店の販売エリアとの重複部分を特定し、販売エリアにおける重複部分の割合にさらに基づいて、少なくとも一つの行政区画を選択してもよい。この場合には、行政区画と新聞の販売店の販売エリアとの重なりを考慮して、配布地域を絞り込むことができる。
【0064】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0065】
対象数に対応する表現を表示するための支援情報は、例えば行政区画ごとに算出されたスコアの表示を指定するための情報を含んでもよい。この場合には、ユーザ端末20は、地図上の行政区画ごとにスコアの値を示す画面を表示してもよい。このスコアは、対象数に対応する表現の一例である。
【0066】
人口・世帯データによって示されるターゲットの候補は、配布物を配布する対象となり得る主体である限り限定されず、したがって、世帯または一般家庭に限られない。例えば、人口・世帯データはターゲットの候補として企業を示してもよい。
【0067】
上記実施形態では配布条件がターゲット条件、配布物条件、予算、検索基準点、および優先条件を含むが、配布条件はこれらの5要素の少なくとも一部を含まなくてもよい。あるいは、配布条件はその5要素とは異なる他の条件を含んでもよい。
【0068】
上記実施形態では算出部11が個々の行政区画についてスコアを算出するが、このスコア計算は必須の処理ではない。本開示に係るコンピュータシステムは、そのスコアを用いることなく少なくとも一つの行政区画を配布地域として選択してよい。
【0069】
上記実施形態では本開示に係るコンピュータシステムをクライアントサーバシステムに適用するが、本開示に係るコンピュータシステムはスタンドアロンのコンピュータに適用されてもよい。
【0070】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念を示す。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念を示す。
【0071】
コンピュータシステム内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」の二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。
【0072】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0073】
以上の実施形態の全部または一部に記載された態様は、配布物の支援の向上、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上または適切な機能の提供その他の機能向上または適切な機能の提供、データおよび/またはプログラムの容量の削減、装置および/またはシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置またはシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。