【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(独立行政法人情報処理推進機構2019年度未踏アドバンスト事業(インセンティブ設計とスマートロックを活用した自転車シェアの最適化「Incentivizing bike sharing」)に関する委託契約、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
【解決手段】本発明の一実施形態に係る自転車管理装置1は、管理者端末から、自転車に取り付けられた遠隔制御可能な錠を識別するための錠識別情報と、自転車の返却位置とを含む貸出条件を受け付ける条件受付部111と、自転車の貸出条件と、自転車の利用状況を示す状態情報とを関連付けて記憶する記憶部12と、利用者端末から、錠識別情報を含む借入要求を受け付ける要求受付部113と、要求受付部113が借入要求を受け付けた場合に、自転車が利用中でないことを状態情報が示すことを条件として、借入要求が含む錠識別情報に対応する錠を開錠するとともに、自転車が利用中であることを示す状態情報を借入要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる貸出制御部114と、を有する。
自転車の管理者が使用する管理者端末から、前記自転車に取り付けられた遠隔制御可能な錠を識別するための錠識別情報と、前記自転車の返却位置とを含む貸出条件を受け付ける条件受付部と、
前記自転車の前記貸出条件と、前記自転車の利用状況を示す状態情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記自転車の利用者が使用する利用者端末から、前記利用者が前記自転車の借り入れをすることを示す、前記錠識別情報を含む借入要求を受け付ける要求受付部と、
前記要求受付部が前記借入要求を受け付けた場合に、前記自転車が利用中でないことを前記状態情報が示すことを条件として、前記借入要求が含む前記錠識別情報に対応する前記錠を開錠するとともに、前記自転車が利用中であることを示す前記状態情報を前記借入要求が含む前記錠識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる貸出制御部と、
を有する、自転車管理装置。
前記貸出制御部は、前記要求受付部が前記返却要求を受け付けた場合であって、前記錠の位置が前記所定範囲外である場合に、前記利用者端末から前記自転車の撮像画像を受け付けたことを条件として、前記自転車が利用中でないことを示す前記状態情報を前記返却要求が含む前記錠識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項3に記載の自転車管理装置。
前記条件受付部は、前記管理者端末から、前記利用者が前記自転車を借り入れた第1の前記返却位置とは異なる第2の前記返却位置に前記自転車が返却された際に前記利用者から徴収する料金を含む前記貸出条件を受け付ける、
請求項5に記載の自転車管理装置。
前記条件受付部が前記貸出条件を受け付ける前に、前記返却位置に基づいて前記自転車を貸し出す際に前記利用者から徴収する提案料金を決定し、決定した前記提案料金を前記管理者端末に表示させる表示制御部をさらに有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の自転車管理装置。
前記貸出制御部は、前記錠が鍵によって開錠された場合に、前記自転車が利用中であることを示す前記状態情報を、前記錠に対応する前記錠識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の自転車管理装置。
前記要求受付部は、前記利用者が第1の前記自転車を利用している間に、前記利用者端末から、第2の前記自転車に取り付けられた錠の前記錠識別情報を含む同時借入要求を受け付け、
前記貸出制御部は、前記要求受付部が前記同時借入要求を受け付けた場合に、第2の前記自転車が利用中でないことを前記状態情報が示すことを条件として、前記同時借入要求が含む前記錠識別情報に対応する前記錠を開錠するとともに、第2の前記自転車が利用中であることを示す前記状態情報を前記同時借入要求が含む前記錠識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる、
請求項1から10のいずれか一項に記載の自転車管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[自転車管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る自転車管理システムSの模式図である。自転車管理システムSは、自転車貸し出しサービスを提供するためのシステムであり、自転車管理装置1と、錠2と、管理者端末3と、利用者端末4とを含む。自転車管理システムSは、複数の錠2、複数の管理者端末3及び複数の利用者端末4を含んでもよい。自転車管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0025】
自転車管理装置1は、自転車の貸し出しを管理するためのコンピュータ(例えば、サーバ)である。自転車管理装置1は、自転車管理システムSを用いた自転車貸し出しサービスを提供する事業者によって管理される。自転車管理装置1は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して、錠2、管理者端末3及び利用者端末4と通信可能である。
【0026】
錠2は、自転車管理システムSを用いて貸し出される自転車に取り付けられる、遠隔制御可能な錠(スマートロックともいう)である。錠2は、自転車管理装置1から受信した制御情報に従って開錠される。また、錠2は、鍵が挿入されることによって開錠される。錠2の構造については
図3、
図4を用いて後述する。
【0027】
管理者端末3は、自転車の管理者によって利用されるコンピュータ(例えば、情報端末)である。管理者は、自転車管理システムSを用いた自転車貸し出しサービスによって貸し出される自転車を管理する人間又は事業者である。管理者端末3は、管理者による入力を受け付けるとともに、管理者に対して情報を表示する。管理者端末3は、入力を受け付け可能なタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、撮像可能なカメラ等の撮像部とを有する。
【0028】
利用者端末4は、自転車の利用者によって利用されるコンピュータ(例えば、情報端末)である。利用者は、自転車管理システムSを用いた自転車貸し出しサービスによって自転車を借り入れる人間又は事業者である。利用者端末4は、利用者による入力を受け付けるとともに、利用者に対して情報を表示する。利用者端末4は、入力を受け付け可能なタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部と、撮像可能なカメラ等の撮像部とを有する。
【0029】
本実施形態に係る自転車管理システムSが行う処理の概要を以下に説明する。管理者端末3は、管理者から、自転車を貸し出すための貸出条件の入力を受け付ける。貸出条件は、自転車に取り付けられた錠2を識別するための錠識別情報と、自転車の返却位置とを含む。管理者端末3は、入力された貸出条件を、自転車管理装置1に送信する(a)。自転車管理装置1は、管理者端末3から受け付けた貸出条件と、自転車の利用状況を示す状態情報とを、関連付けて記憶する(b)。自転車が利用中でないことを状態情報が示す場合に、自転車は貸し出し可能であり、自転車が利用中であることを状態情報が示す場合に、自転車は貸し出し不可能である。
【0030】
利用者端末4は、利用者が借り入れを希望する自転車の錠2の錠識別情報の入力を受け付ける。利用者端末4は、例えば、撮像部を用いて錠2に付されたコードを撮像することによって、コードが示す錠識別情報を取得する。利用者端末4は、利用者が自転車の借り入れをすることを示す借入要求を、自転車管理装置1に送信する(c)。借入要求は、利用者が借り入れを希望する自転車の錠識別情報を含む。
【0031】
自転車管理装置1は、利用者端末4から借入要求を受け付けた場合に、自転車が利用中でないことを状態情報が示すことを条件として、借入要求が含む錠識別情報に対応する錠2に、錠2を開錠する制御情報を送信する(d)。それとともに、自転車管理装置1は、自転車が利用中であることを示す状態情報を借入要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶する。錠2は、自転車管理装置1が送信した制御情報に基づいて、施錠状態から開錠状態に切り替わる。自転車管理装置1は、利用者が自転車を返却した場合に、自転車が利用中でないことを示す状態情報を借入要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶する。
【0032】
このように本実施形態に係る自転車管理システムSにおいて、自転車管理装置1は、管理者端末3から管理者が管理する自転車の貸出条件を受け付け、利用者端末4から利用者が借り入れを希望する自転車の借入要求を受け付けることによって、自転車の錠2を遠隔制御し、管理者から利用者へ自動的に自転車を貸し出すことを可能にする。したがって、自転車貸し出しサービスを提供する事業者とは異なる管理者が、自転車貸し出しサービスを利用して容易に自転車を貸し出すことができる。
【0033】
[自転車管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る自転車管理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0034】
自転車管理装置1は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、条件受付部111と、表示制御部112と、要求受付部113と、貸出制御部114とを有する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、条件受付部111、表示制御部112、要求受付部113及び貸出制御部114として機能する。
【0035】
条件受付部111は、管理者端末3から貸出条件を受け付ける。表示制御部112は、自転車の貸し出しに係る情報を管理者端末3及び利用者端末4に表示させる制御をする。要求受付部113は、利用者端末4から借入要求を受け付ける。貸出制御部114は、自転車の錠2を開錠するとともに、自転車の利用状況を更新する制御をする。
【0036】
制御部11の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、制御部11がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0037】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、自転車管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0038】
錠2は、制御部21と、記憶部22と、駆動部23とを有する。制御部21は、受信部211と、検出部212と、送信部213とを有する。制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部211、検出部212及び送信部213として機能する。
【0039】
受信部211は、自転車管理装置1が送信した制御情報を受信する。検出部212は、錠2の開錠状況を検出する。送信部213は、錠2の開錠状況を示す開錠情報を自転車管理装置1へ送信する。制御部21の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部は、制御部21がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0040】
記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、錠2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。駆動部23は、モータやアクチュエータ等の駆動機構を含み、錠2の閂を施錠位置から開錠位置に移動させる。
【0041】
本実施形態に係る自転車管理システムSは、
図2に示す具体的な構成に限定されない。自転車管理装置1、錠2、管理者端末3及び利用者端末4は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、自転車管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0042】
[錠2の説明]
以下、本実施形態に係る自転車管理システムSが含む錠2の構造を詳細に説明する。
図3(a)、
図3(b)は、本実施形態に係る錠2の正面図である。
図3(a)、
図3(b)において、正面側から見えない部分は破線で表されている。
図3(a)は開錠状態の錠2を表しており、
図3(b)は施錠状態の錠2を表している。
図3(a)、
図3(b)に示した錠2の構造は一例であり、錠2及び錠2が含む各部の形状及び配置は変更されてもよい。
【0043】
錠2は、ケーシング24と、閂25(カンヌキ)と、シリンダ26と、係止部材27と、を有する。ケーシング24は、自転車に固定される部材であり、閂25の少なくとも一部を収容する。閂25は、自転車が走行可能になる開錠位置と、自転車が走行不能になる施錠位置との間で移動可能である。開錠位置にある閂25は、例えば、ケーシング24の内部に収容され、自転車の車輪から離間することによって、自転車を走行可能にする。施錠位置にある閂25は、例えば、ケーシング24の外部に突出して自転車の車輪のスポークに接触することによって、自転車を走行不能にする。
【0044】
シリンダ26は、鍵が挿入されることによって、閂25を施錠位置から開錠位置に移動させる部材である。係止部材27は、閂25を施錠位置に係止する部材である。閂25が人間の力によって開錠位置から施錠位置に移動された場合に、係止部材27は、閂25を施錠位置に係止することによって錠2を施錠する。
【0045】
錠2には、錠2に予め関連付けられたコード28が付されている。コード28は、コード28と関連付けられた錠2を識別するための錠識別情報(錠ID)を示すコードである。コード28は、例えば、錠識別情報に対して既知の符号化処理を行うことによって生成された、一次元コードや二次元コード等のコードである。また、コード28は、錠識別情報を表す文字列であってもよい。コード28は、錠2に直接付されてもよく、錠2とともに提供される物体(シール、ラベル等)に付されてもよい。
【0046】
図4は、係止部材27によって閂25の移動を制御する方法を説明するための模式図である。
図4は、閂25が施錠位置に移動し、錠2が施錠された状態を表している。閂25は、不図示のバネ等の付勢部材によって、施錠位置から開錠位置に移動する向き(すなわち、
図4の上向き)に付勢されている。閂25には、切り欠き251が設けられている。
【0047】
係止部材27は、閂25の切り欠き251に向かって突出する係止部271を有する。閂25が施錠位置にある場合に、係止部271が切り欠き251に咬合することによって、係止部材27は閂25を施錠位置に係止する。係止部材27には、開口部272が設けられている。
【0048】
図4において、シリンダ26は係止部材27よりも奥側にあるため破線で表されている。シリンダ26は、係止部材27の開口部272に向かって(すなわち、
図4の手前側に)突出する突出部261を有する。突出部261は、シリンダ26から鍵が抜去された状態においてα位置にある。突出部261がα位置にある場合に、シリンダ26から鍵を抜去可能である。
【0049】
駆動部23は、モータやアクチュエータの動力を伝達するための不図示の軸(シャフト)を含んでおり、当該軸が係止部材27に接触することによって、係止部材27を移動させることができる。制御部21が自転車管理装置1から錠2を開錠する制御情報を受信した場合に、駆動部23は、係止部271が閂25から離れる向き(すなわち、
図4の右向き)に係止部材27を移動させるように駆動する。これにより、係止部271は切り欠き251に咬合しなくなるため、閂25は付勢部材の力によって施錠位置から開錠位置に移動する。
【0050】
また、シリンダ26に鍵が挿入されて錠2を開錠する向き(すなわち、
図4の反時計回り)に回転すると、突出部261はα位置からβ位置に移動する。突出部261は、β位置に移動する際に開口部272内で係止部材27に接触することによって、係止部271が閂25から離れる向き(すなわち、
図4の右向き)に係止部材27を移動させる。これにより、係止部271は切り欠き251に咬合しなくなるため、閂25は付勢部材の力によって施錠位置から開錠位置に移動する。
【0051】
このような構成により、錠2は、駆動部23が駆動すること、又はシリンダ26に鍵が挿入されることによって、開錠される。これにより自転車の管理者は、管理者端末3を用いなくとも、鍵を用いて錠2を開錠できる。そのため、自転車管理システムSは、自転車に遠隔制御可能な錠2を取り付けることにより自転車の管理者が自身の自転車を利用することが不便にならないようにできる。
【0052】
突出部261がβ位置にあるとシリンダ26から鍵を抜去できない。一方、突出部261がα位置にあるとシリンダ26から鍵を抜去できる。鍵で錠2を開錠した後に鍵を抜去するために、突出部261は、錠2が開錠された状態であっても、再度α位置に移動可能である。すなわち、シリンダ26は、閂25が施錠位置にある状態と、閂25が開錠位置にある状態との両方において、シリンダ26に挿入されている鍵を抜去可能に保持する。これにより、錠2が開錠された状態であっても、錠2から鍵を引き抜くことができる。
【0053】
[自転車管理方法の説明]
以下、本実施形態に係る自転車管理システムSが実行する自転車管理方法を詳細に説明する。まず管理者端末3及び利用者端末4は、自転車管理システムを利用するためのアプリケーション(プログラム)を実行することにより、操作選択画面を表示部上に表示する。
【0054】
図5は、管理者端末3が表示する選択画面31の模式図である。利用者端末4が同様に選択画面31を表示してもよい。選択画面31は、利用者として自転車を借り入れるための乗車ボタン311、管理者として自転車を貸し出すための貸し出しボタン312とを含む。
【0055】
乗車ボタン311が選択された場合に、管理者端末3又は利用者端末4は、
図8(a)〜
図8(d)を用いて後述する借入要求画面に遷移する。貸し出しボタン312が選択された場合に、管理者端末3又は利用者端末4は、
図6(a)〜
図6(d)、
図7(a)〜
図7(d)を用いて後述する貸出条件設定画面に遷移する。すなわち、一の人間又は事業者は、自転車管理システムSを利用する際に、管理者及び利用者の両方になり得る。
【0056】
図6(a)〜
図6(d)、
図7(a)〜
図7(d)は、管理者端末3が表示する貸出条件設定画面32の模式図である。まず管理者端末3は、
図6(a)の貸出条件設定画面32を表示部上に表示する。
図6(b)の貸出条件設定画面32は、自転車名欄321と、種類選択欄322とを含む。自転車名欄321は、管理者が貸し出す自転車を区別するための名称の入力を受け付ける。種類選択欄322は、自転車の種類の選択を受け付ける、種類選択欄322は、例えば、自転車が電動アシスト自転車であること、自転車がチャイルドシート(子供用座席)を備える自転車であることの少なくとも一方の選択を受け付ける。
図6(a)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図6(b)の貸出条件設定画面32に遷移する。
【0057】
図6(b)の貸出条件設定画面32は、自転車写真欄323を含む。自転車写真欄323は、管理者が貸し出す自転車の撮像画像の入力を受け付ける。自転車写真欄323が選択された場合に、管理者端末3は、例えば、カメラの起動及び記憶済の撮像画像の指定のどちらかの選択を受け付ける。そして管理者端末3は、カメラを用いて撮像された撮像画像、又は指定された記憶済の撮像画像を、自転車の撮像画像として受け付ける。また、自転車写真欄323は、管理者が貸し出す自転車の複数の撮像画像を受け付けてもよい。
図6(b)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図6(c)の貸出条件設定画面32に遷移する。
【0058】
図6(c)の貸出条件設定画面32は、返却位置指定欄324と、ポート名欄325とを含む。返却位置指定欄324は、自転車の返却位置の指定を受け付ける。返却位置指定欄324は、例えば、地図上で選択された位置を、返却位置として受け付ける。返却位置指定欄324は、複数の返却位置の指定を受け付けてもよい。以下、指定された返却位置をポートともいう。ポート名欄325は、ポートを区別するための名称の入力を受け付ける。
図6(c)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図6(d)の貸出条件設定画面32に遷移する。
【0059】
図6(d)の貸出条件設定画面32は、ポート写真欄326を含む。ポート写真欄326は、返却位置(ポート)の撮像画像の入力を受け付ける。ポート写真欄326が選択された場合に、管理者端末3は、例えば、カメラの起動及び記憶済の撮像画像の指定のどちらかの選択を受け付ける。そして管理者端末3は、カメラを用いて撮像された撮像画像、又は指定された記憶済の撮像画像を、返却位置の撮像画像として受け付ける。複数の返却位置が指定された場合に、ポート写真欄326は、複数の返却位置それぞれの撮像画像を受け付けてもよい。
図6(d)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図7(a)の貸出条件設定画面32に遷移する。
【0060】
図7(a)の貸出条件設定画面32は、貸出料金欄327を含む。貸出料金欄327は、管理者が自転車を貸し出す際に利用者から徴収する乗車料金の入力を受け付ける。貸出料金欄327は、例えば、第1時間ごとの料金と、第1時間よりも長い第2時間の最大料金との入力を受け付ける。
【0061】
さらに、管理者端末3は、貸出料金欄327の近傍に、自転車管理装置1が送信した提案料金を表示してもよい。この場合に、自転車管理装置1において、表示制御部112は、指定された返却位置に基づいて、管理者が自転車を貸し出す際に利用者から徴収する提案料金を決定する。表示制御部112は、例えば、指定された返却位置から所定距離以内にある他の返却位置において過去に貸し出された自転車の料金の平均値を、提案料金として決定する。そして表示制御部112は、決定した提案料金を管理者端末3の貸出条件設定画面32に表示させる。これにより、自転車管理装置1は、返却位置周辺において乗車料金の相場を管理者に通知し、管理者の意思決定を容易にすることができる。
【0062】
図7(a)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図7(b)の貸出条件設定画面32に遷移する。
図7(b)の貸出条件設定画面32は、乗り捨て料金欄328を含む。乗り捨て料金欄328は、利用者が自転車を借り入れた第1の返却位置とは異なる第2の返却位置に自転車が返却された際に利用者から徴収する乗り捨て料金の入力を受け付ける。複数の返却位置が指定された場合に、乗り捨て料金欄328は、複数の返却位置それぞれの乗り捨て料金を受け付けてもよい。
図7(b)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図7(c)の貸出条件設定画面32に遷移する。
【0063】
図7(c)の貸出条件設定画面32は、コード読み取り欄329を含む。コード読み取り欄329は、貸し出す自転車に取り付けられた錠2に付されたコード28の撮像画像の入力を受け付ける。コード読み取り欄329が選択された場合に、管理者端末3は、カメラを起動する。そして管理者端末3は、カメラを用いて撮像された撮像画像を、コード28の撮像画像として受け付ける。管理者端末3は、撮像画像に対して既知の復号処理を行うことによってコード28が示す錠識別情報を取得する。また、コード読み取り欄329は、キーボードを用いて錠識別情報の入力を受け付けてもよい。
図7(c)の貸出条件設定画面32において情報が入力された場合に、管理者端末3は、
図7(d)の貸出条件設定画面32に遷移する。
【0064】
図7(d)の貸出条件設定画面32は、コード読み取り欄329において入力された情報に基づいて取得された、貸し出す自転車に取り付けられた錠2を識別するための錠識別情報を含む。
図7(d)の貸出条件設定画面32において所定の操作(例えば、完了ボタンの選択)が行われた場合に、管理者端末3は、
図6(a)〜
図6(d)、
図7(a)〜
図7(d)の貸出条件設定画面において入力された各情報を、貸出条件として自転車管理装置1に送信する。
図6(a)〜
図6(d)、
図7(a)〜
図7(d)に示した貸出条件設定画面32は一例であり、表示及び入力される情報の内容、順序及びレイアウトは変更されてもよい。
【0065】
自転車管理装置1において、条件受付部111は、管理者端末から貸出条件を受け付ける。貸出条件は、錠識別情報と、一又は複数の返却位置とを含む。また、貸出条件は、自転車の種類と、自転車の名称と、自転車の撮像画像と、返却位置の名称と、返却位置の撮像画像と、乗車料金と、乗り捨て料金とのうち少なくとも一部を含んでもよい。条件受付部111は、受け付けた貸出条件と、自転車の利用状況を示す状態情報とを関連付けて記憶部12に記憶させる。すなわち、記憶部12において、自転車に取り付けられた錠2の錠識別情報と、自転車の状態情報とが関連付けられる。初期状態の状態情報は、自転車が利用中でないことを示す。これにより、管理者の自転車が利用者に対して貸し出し可能になる。
【0066】
図8(a)〜
図8(d)は、利用者端末4が表示する借入要求画面41の模式図である。利用者端末4が借入要求画面41を表示する際に、自転車管理装置1において、表示制御部112は、記憶部12に記憶された、利用情報が利用中でないことを示す一又は複数の自転車(すなわち、貸し出し可能な自転車)の貸出条件を利用者端末4に送信する。利用者端末4は、
図8(a)の借入要求画面41を表示部上に表示する。
【0067】
図8(a)の借入要求画面41は、地
図411と、自転車情報412と、開錠ボタン413とを含む。地
図411は、例えば利用者端末4の現在位置周辺の地図であり、地図の表示範囲は利用者の操作によって変更可能である。自転車情報412は、利用中でない自転車の貸出条件の少なくとも一部を表す情報であり、地
図411内で自転車が現在ある返却位置に対応する位置に表示される。自転車情報412は、例えば、自転車の種類(電動アシスト自転車、及びチャイルドシートを備える自転車の少なくとも一方)を表すアイコンと、乗車料金を表す文字列とを含む。1つの返却位置に複数の自転車がある場合に、借入要求画面41は、当該返却位置に複数の自転車があることを表すアイコンを表示してもよい。借入要求画面41は、複数の自転車があることを表すアイコンが選択された場合に、さらに複数の自転車のうちいずれか1つの自転車の選択を受け付け、選択された自転車について以降の処理を行う。
【0068】
図8(a)の借入要求画面41においていずれかの自転車情報412が選択された場合に、利用者端末4は、
図8(b)の借入要求画面41に遷移する。
図8(b)の借入要求画面41は、選択された自転車情報412に対応する自転車の返却位置414(ポートの位置)と、選択された自転車情報412に対応する自転車の詳細情報415を含む。返却位置414は、地
図411内で、選択された自転車の貸出条件が含む一又は複数の返却位置それぞれに対応する位置に表示される。詳細情報415は、選択された自転車の貸出条件の少なくとも一部を表す情報である。また、詳細情報415は、選択された自転車に対する利用者の評価を示すアイコンを含む。
【0069】
図8(a)又は
図8(b)の借入要求画面41において開錠ボタン413が選択された場合に、利用者端末4は、
図8(c)の借入要求画面41に遷移する。
図8(c)の借入要求画面41は、コード読み取り欄416を含む。コード読み取り欄416は、利用者が借り入れを希望する自転車に取り付けられた錠2に付されたコード28の撮像画像の入力を受け付ける。コード28は、錠2そのものに付されてもよいし、錠2が取り付けられた自転車の他の部分に取り付けられてもよい。コード読み取り欄416が選択された場合に、利用者端末4は、例えば、カメラを起動する。そして利用者端末4は、カメラを用いて撮像された撮像画像を、コード28の撮像画像として受け付ける。利用者端末4は、撮像画像に対して既知の復号処理を行うことによってコード28が示す錠識別情報を取得する。また、コード読み取り欄416は、キーボードを用いて錠識別情報の入力を受け付けてもよい。
図8(c)の借入要求画面41において情報が入力された場合に、利用者端末4は、
図8(d)の借入要求画面41に遷移する。
【0070】
図8(d)の借入要求画面41は、コード読み取り欄416において入力された情報に基づいて取得された錠識別情報に関連付けられた自転車の貸出条件の少なくとも一部を含む。
図8(d)の借入要求画面41において所定の操作(例えば、確定ボタンの選択)が行われた場合に、利用者端末4は、利用者が自転車の借り入れをすることを示す、コード読み取り欄416において入力された情報に基づいて取得された錠識別情報を含む借入要求を自転車管理装置1に送信する。
図8(a)〜
図8(d)に示した借入要求画面41は一例であり、表示及び入力される情報の内容、順序及びレイアウトは変更されてもよい。
【0071】
自転車管理装置1において、要求受付部113は、利用者端末4から借入要求を受け付ける。貸出制御部114は、要求受付部113が借入要求を受け付けた場合に、記憶部12に記憶された、借入要求が含む錠識別情報に関連付けられた状態情報を取得する。そして貸出制御部114は、自転車が利用中でないことを取得した状態情報が示すことを条件として、借入要求が含む錠識別情報に対応する錠2に、錠2を開錠する制御情報を送信する。それとともに、貸出制御部114は、自転車が利用中であることを示す状態情報を、借入要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0072】
錠2において、受信部211は、自転車管理装置1が送信した制御情報を受信し、受信した制御情報に従って、
図4のように閂25を施錠位置から開錠位置に移動させるように駆動部23を駆動させる。閂25が開錠位置に移動すると、錠2は開錠される。これにより、自転車管理システムSは、利用者への自転車の貸し出しを開始する。
【0073】
利用者への自転車の貸し出しが開始されると、利用者端末4は、乗車中画面を表示部上に表示する。
図9(a)は、利用者端末4が表示する乗車中画面42の模式図である。乗車中画面42は、地
図421と、現在位置422と、返却ボタン423と、同時借入ボタン424と、再開錠ボタン425とを含む。地
図421は、例えば利用者端末4の現在位置周辺の地図であり、地図の表示範囲は利用者の操作によって変更可能である。現在位置422は、地
図421内で利用者端末4の現在位置に対応する位置を表すアイコンである。
【0074】
利用者は、第1の自転車を利用している間に第2の自転車を利用したい場合に、乗車中画面42の同時借入ボタン424を選択する。同時借入ボタン424が選択された場合に、利用者端末4は、
図8(a)〜
図8(d)の借入要求画面41を表示部上に再度表示する。
【0075】
図8(d)の借入要求画面41において所定の操作(例えば、確定ボタンの選択)が行われた場合に、利用者端末4は、利用者が第2自転車に取り付けられた錠2の錠識別情報を含む同時借入要求を自転車管理装置1に送信する。
【0076】
自転車管理装置1において、要求受付部113は、利用者が第1の自転車を利用している間に、利用者端末4から同時借入要求を受け付ける。貸出制御部114は、要求受付部113が同時借入要求を受け付けた場合に、記憶部12に記憶された、同時借入要求が含む錠識別情報に関連付けられた状態情報を取得する。そして貸出制御部114は、第2の自転車が利用中でないことを取得した状態情報が示すことを条件として、同時借入要求が含む錠識別情報に対応する錠2に、錠2を開錠する制御情報を送信する。それとともに、貸出制御部114は、第2の自転車が利用中であることを示す状態情報を、同時借入要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0077】
第2の自転車に取り付けられた錠2において、受信部211は、自転車管理装置1が送信した制御情報を受信し、受信した制御情報に従って、
図4のように閂25を施錠位置から開錠位置に移動させるように駆動部23を駆動させる。閂25が開錠位置に移動すると、錠2は開錠される。これにより、自転車管理システムSは、利用者に複数の自転車を同時に貸し出すことができる。利用者は、1つのアカウントで複数の自転車を利用できるため、家族やグループで自転車を借りたいときに便利である。
【0078】
利用者への第2の自転車(複数の自転車)の貸し出しが開始されると、利用者端末4は、
図9(b)の乗車中画面を表示部上に表示する。
図9(b)は、利用者が複数台の自転車を借りている場合に利用者端末4が表示する乗車中画面42の模式図である。
図9(b)の乗車中画面42は、利用者が利用している複数の自転車それぞれに関連付けて返却ボタン423及び再開錠ボタン425を表示している。これにより、利用者は、複数の自転車を利用している際に、各自転車に対して独立して再開錠や返却の手続きをすることができる。また、利用者は同時借入ボタン424を再び選択することによって、3台以上の自転車を借り入れてもよい。
【0079】
利用者は、錠2を施錠してから再度開錠したい場合に、
図9(a)又は
図9(b)の乗車中画面42の再開錠ボタン425を選択する。再開錠ボタン425が選択された場合に、自転車管理装置1の貸出制御部114は、錠2に、錠2を開錠する制御情報を送信することによって、錠2を再度開錠する。これにより、利用者は、自転車を返却することなく、一時的に錠2を施錠することができる。
【0080】
利用者は、自転車を返却する際に、錠2を施錠してから(すなわち、閂25を開錠位置から施錠位置に移動させてから)、
図9(a)又は
図9(b)の乗車中画面42の返却ボタン423を選択する。返却ボタン423が選択された場合に、利用者端末4は、利用者が自転車の返却をすることを示す、利用者が借り入れている自転車の錠の錠識別情報を含む返却要求を自転車管理装置1に送信する。
【0081】
自転車管理装置1において、要求受付部113は、利用者端末4から返却要求を受け付ける。貸出制御部114は、要求受付部113が返却要求を受け付けた場合に、返却要求が含む錠識別情報に対応する錠2の位置を取得する。錠2の位置は、錠2が備えるGPS(Global Positioning System)受信機が受信した信号に基づいて決定されてもよく、錠2が通信をする通信基地局の位置に基づいて決定されてもよい。錠2の位置が識別情報に関連付けられた返却位置を含む所定範囲内にない場合に、貸出制御部114は、
図9(c)に示す返却画面を利用者端末4に表示させる。一方、錠2の位置が錠識別情報に関連付けられた返却位置を含む所定範囲内にあることを条件として、貸出制御部114は、
図9(d)に示す返却画面を利用者端末4に表示させる。
【0082】
また、錠識別情報が複数の返却位置に関連付けられている場合に、錠2の位置が複数の返却位置それぞれを含む複数の所定範囲いずれかの中にあることを条件として、貸出制御部114は、
図9(d)に示す返却画面を利用者端末4に表示させる。これにより、利用者は、自転車を複数の返却位置のいずれにも返却できる。
【0083】
図9(c)は、利用者端末4が表示する返却画面43の模式図である。返却画面43は、自転車写真欄431を含む。自転車写真欄431は、貸し出す自転車の撮像画像の入力を受け付ける。自転車写真欄431が選択された場合に、利用者端末4は、カメラを起動する。そして利用者端末4は、カメラを用いて撮像された撮像画像を、自転車の撮像画像として受け付ける。利用者端末4は、自転車の撮像画像を自転車管理装置1に送信する。
【0084】
自転車管理装置1において、貸出制御部114は、利用者端末4から自転車の撮像画像を受け付けて記憶部12に記憶させたことを条件として、
図9(d)に示す返却画面を利用者端末4に表示させる。このような構成により、自転車管理システムSは、例えばGPS信号の受信状況の悪化等によって錠2の位置が正確に取得できない等の事情により錠2が返却位置から離れていると判定される場合であっても、自転車の撮像画像を証跡として受け付けることによって、利用者が自転車を返却することを可能にする。これにより、自転車管理システムSは、利用者が自転車を返却したくてもできない不便を解消できるとともに、証跡の撮像画像を求めることで返却位置から離れた位置に自転車が無断で返却されることを抑制できる。
【0085】
図9(d)は、利用者端末4が表示する返却画面43の模式図である。返却画面43は、乗車情報432と、評価欄433とを含む。乗車情報432は、利用者が自転車を借り入れた結果に関する情報である。乗車情報432は、例えば、乗車時間、走行距離、乗車料金、乗り捨て料金、及び合計料金を含む。乗車情報432は、自転車管理装置1によって特定されてもよく、利用者端末4によって特定されてもよい。評価欄433は、利用者が借り入れた自転車に対する評価の入力を受け付ける。評価欄433は、例えば、星マークの数によって評価を表す。
図9(a)〜
図9(d)に示した乗車中画面42及び返却画面43は一例であり、表示及び入力される情報の内容、順序及びレイアウトは変更されてもよい。
【0086】
図9(d)の返却画面43において所定の操作(例えば、送信ボタンの選択)が行われた場合に、貸出制御部114は、利用者から徴収する料金に関する料金情報と、自転車が利用中でないことを示す状態情報とを、返却要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる。これにより、自転車管理システムSは、管理者が設定した貸出条件に応じて利用者から自動的に料金を徴収できるとともに、自転車を再び貸し出し可能にできる。
【0087】
また、貸出制御部114は、利用者による自転車に対する評価を示す情報を、返却要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる。これにより、自転車を過去に利用した利用者による自転車に対する評価を、他の利用者に提供できる。
【0088】
利用者が自転車を借り入れた第1の返却位置とは異なる第2の返却位置に自転車を返却した後、第2の返却位置において借り入れた自転車を第1の返却位置に返却した場合に、利用者に対して特典を提供してもよい。特典は、例えば、利用者に対して金銭や商品に交換可能なポイントを付与することや、利用者から徴収する料金を割り引くことである。貸出制御部114は、利用者に対して提供した特典を示す情報を、記憶部12に記憶させる。これにより、自転車管理システムSは、利用者に対して、別の返却位置に乗り捨てた自転車を元の返却位置に戻す動機付けをすることができる。
【0089】
管理者が鍵を用いて錠2を開錠することによって、管理者自身が自転車を利用する場合がある。このような場合に、錠2において、検出部212は、錠2が鍵によって開錠されたことを検出する。検出部212は、例えば、シリンダ26に設けられたセンサによって、鍵によって開錠されたか否かを検出する。送信部213は、錠2が鍵によって開錠されたことを検出部212が検出した場合に、錠2が鍵によって開錠されたことを示す、錠識別情報を含む開錠情報を自転車管理装置1に送信する。
【0090】
自転車管理装置1において、貸出制御部114は、錠2から開錠情報を受信した場合に、自転車が利用中であることを示す状態情報を、開錠情報が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる。これにより、自転車管理システムSは、錠2が鍵によって開錠されたことに応じて自動的に自転車を利用中の状態(すなわち、貸し出しできない状態)に設定するため、自転車の管理者が自身の自転車を利用する際の利便性を向上できる。
【0091】
利用者が自転車を借りたい場所に自転車がないことも考えられる。そこで、自転車管理システムSは、管理者が利用者のニーズを効率的に把握するための手段として、ポート追加要求機能(自転車リクエスト機能)を有してもよい。
図10(a)〜
図10(c)は、利用者端末4が表示する借入要求画面41の模式図である。
【0092】
図10(a)の借入要求画面41は、
図8(a)の借入要求画面41の情報に加えて、ポート追加要求ボタン417を含む。利用者は、ポートの追加を希望する場合に、
図10(a)の借入要求画面41のポート追加要求ボタン417を選択する。ポート追加要求ボタン417が選択された場合に、利用者端末4は、
図10(b)の借入要求画面41を表示部上に表示する。
【0093】
図10(b)の借入要求画面41は、候補返却位置指定欄418を含む。候補返却位置指定欄418は、利用者が追加を希望する候補返却位置の指定を受け付ける。候補返却位置指定欄418は、例えば、地図上で選択された位置を、候補返却位置として受け付ける。さらに、候補返却位置指定欄418は、候補返却位置に対するコメントの入力を受け付けてもよい。また、候補返却位置の指定とコメントの入力とは別々の画面で行われてもよい。
【0094】
図10(b)の借入要求画面41において所定の操作(例えば、確定ボタンの選択)が行われた場合に、利用者端末4は、利用者が追加を希望する候補返却位置を含む追加要求を自転車管理装置1に送信する。
【0095】
自転車管理装置1において、要求受付部113は、利用者端末4から、候補返却位置を含む追加要求を受け付ける。要求受付部113は、追加要求が含む候補返却位置を、記憶部12に記憶させる。
【0096】
候補返却位置が指定された場合に、利用者端末4は、
図10(c)の借入要求画面41を表示部上に表示する。
図10(c)の借入要求画面41は、
図10(a)の借入要求画面41の情報に加えて、候補返却位置419を含む。候補返却位置419は、地図内で、候補返却位置を指定した利用者又は他の利用者が指定した一又は複数の候補返却位置それぞれに対応する位置に表示される。また、利用者端末4は、候補返却位置を指定した利用者以外の利用者から、同意を示す情報の入力を受け付けたり、コメントの入力を受け付けてもよい。利用者端末4は、候補返却位置419のアイコン上にコメントや同意の数を表示し、アイコンが選択された場合にコメントの内容を表示する。
【0097】
さらに管理者端末3は、
図10(c)の借入要求画面41と同様に、候補返却位置を、表示部上(例えば、
図6(c)の貸出条件設定画面32上)に表示する。管理者端末3は、候補返却位置の中から選択された返却位置を含む貸出条件を、自転車管理装置1に送信する。自転車管理装置1において、条件受付部111は、管理者端末から貸出条件を受け付ける。これにより、管理者は、利用者が追加を希望している候補返却位置から自転車の貸し出しを行う返却位置を選択することができ、利用者の意向を容易に反映できる。
【0098】
このように、自転車管理システムSは、自転車を貸そうと考えている管理者に、自転車シェアリングのニーズを知らしめることができ、意思決定を容易にすることができる。さらに、自転車管理システムSは、候補返却位置419に対して他の利用者から同意やコメントを受け付けることによって、候補返却位置419を指定した利用者の承認欲求を満たすことができ、利用者が自転車管理システムSを利用する動機付けを高めることができる。
【0099】
[自転車管理方法のシーケンス]
図11は、本実施形態に係る自転車管理システムSが実行する自転車管理方法のシーケンス図である。管理者端末3は、管理者により入力された情報を、貸出条件として自転車管理装置1に送信する(S11)。自転車管理装置1において、条件受付部111は、管理者端末から貸出条件を受け付ける。貸出条件は、錠識別情報と、一又は複数の返却位置とを含む。また、貸出条件は、自転車の種類と、自転車の名称と、自転車の撮像画像と、返却位置の名称と、返却位置の撮像画像と、乗車料金と、乗り捨て料金とのうち少なくとも一部を含んでもよい。条件受付部111は、受け付けた貸出条件と、自転車の利用状況を示す状態情報とを関連付けて記憶部12に記憶させる(S12)。初期状態の状態情報は、自転車が利用中でないことを示す。
【0100】
利用者端末4は、利用者が自転車の借り入れをすることを示す、錠識別情報を含む借入要求を自転車管理装置1に送信する(S13)。錠識別情報は、例えば、利用者端末4が錠2に付されたコード28を撮像することによって取得される。自転車管理装置1において、要求受付部113は、利用者端末4から借入要求を受け付ける。貸出制御部114は、要求受付部113が借入要求を受け付けた場合に、記憶部12に記憶された、借入要求が含む錠識別情報に関連付けられた状態情報を取得する。
【0101】
そして貸出制御部114は、自転車が利用中でないことを状態情報が示すことを条件として、借入要求が含む錠識別情報に対応する錠2に、錠2を開錠する制御情報を送信する(S14)。それとともに、貸出制御部114は、自転車が利用中であることを示す状態情報を、借入要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる(S15)。
【0102】
錠2において、受信部211は、自転車管理装置1が送信した制御情報を受信し、受信した制御情報に従って、
図4のように閂25を施錠位置から開錠位置に移動させるように駆動部23を駆動させる。閂25が開錠位置に移動すると、錠2は開錠される(S16)。
【0103】
利用者は、自転車を返却する際に、錠2を施錠してから利用者端末4において所定の操作(例えば、返却ボタンの選択)を行う。所定の操作が行われた場合に、利用者端末4は、利用者が自転車の返却をすることを示す、利用者が借り入れている自転車の錠の錠識別情報を含む返却要求を自転車管理装置1に送信する(S17)。
【0104】
自転車管理装置1において、要求受付部113は、利用者端末4から返却要求を受け付ける。貸出制御部114は、要求受付部113が返却要求を受け付けた場合に、返却要求が含む錠識別情報に対応する錠2の位置を取得する。錠2の位置が錠識別情報に関連付けられた返却位置を含む所定範囲内にあることを条件として、貸出制御部114は、自転車が利用中でないことを示す状態情報を、返却要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させる(S18)。ここで貸出制御部114は、錠2の位置が識別情報に関連付けられた返却位置を含む所定範囲内にない場合に、利用者端末4から自転車の撮像画像を受け付けて記憶部12に記憶させたことを条件として、自転車が利用中でないことを示す状態情報を、返却要求が含む錠識別情報と関連付けて記憶部12に記憶させてもよい。
【0105】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る自転車管理システムSによれば、自転車管理装置1は、管理者端末3から管理者が管理する自転車の貸出条件を受け付け、利用者端末4から利用者が借り入れを希望する自転車の借入要求を受け付けることによって、自転車の錠2を遠隔制御し、管理者から利用者へ自動的に自転車を貸し出すことを可能にする。したがって、自転車貸し出しサービスを提供する事業者とは異なる管理者が、自転車貸し出しサービスを利用して容易に自転車を貸し出すことができる。また、自転車管理システムSは、自転車貸し出しサービスを提供する事業者が貸し出しに必要な拠点及び自転車を確保する負担を軽減できる。
【0106】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0107】
自転車管理装置1、錠2、管理者端末3及び利用者端末4のプロセッサは、
図11に示す自転車管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、自転車管理装置1、錠2、管理者端末3及び利用者端末4のプロセッサは、
図11に示す自転車管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して自転車管理システムSの各部を制御することによって、
図11に示す自転車管理方法を実行する。
図11に示す自転車管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。