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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-163328(P2021-163328A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】情報処理装置及び温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20210913BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20210913BHJP
   G05D 23/19 20060101ALI20210913BHJP
【FI】
   G06F1/20 D
   G06F1/20 B
   H05K7/20 J
   G05D23/19 J
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-66132(P2020-66132)
(22)【出願日】2020年4月1日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】平良 優介
(72)【発明者】
【氏名】大山 敦史
(72)【発明者】
【氏名】菅原 隆
【テーマコード(参考)】
5E322
5H323
【Fターム(参考)】
5E322AB10
5E322BB03
5E322BB06
5H323AA05
5H323AA35
5H323BB01
5H323CA09
5H323CB25
5H323DA04
5H323DB11
5H323EE01
5H323FF01
5H323GG01
5H323HH02
5H323KK01
5H323LL16
5H323QQ10
5H323SS02
(57)【要約】
【課題】情報処理装置の温度抑制の制御を行うにあたり、制御に用いる温度の正確さの向上が図られるようにする。
【解決手段】情報処理装置における所定のデバイスに備えられるコンポーネントごとに対応して前記デバイスにおける所定位置に設けられた1または複数の温度センサにより検出された温度を入力する温度入力部と、前記温度入力部により入力された温度に基づいて、前記コンポーネントごとの表面温度を算出する表面温度算出部と、前記表面温度算出部により算出された表面温度のうちで最も高い表面温度に基づいて、温度抑制に関する制御を実行する温度抑制制御部とを備えて情報処理装置を構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置における所定のデバイスに備えられるコンポーネントごとに対応して前記デバイスにおける所定位置に設けられた1または複数の温度センサにより検出された温度を入力する温度入力部と、
前記温度入力部により入力された温度に基づいて、前記コンポーネントごとの表面温度を算出する表面温度算出部と、
前記表面温度算出部により算出された表面温度のうちで最も高い表面温度に基づいて、温度抑制に関する制御を実行する温度抑制制御部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記温度抑制制御部は、前記最も高い表面温度が閾値以上である場合に、情報処理装置に備えられる放熱装置に放熱動作を実行させる
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表面温度算出部により算出された表面温度のうちで最も高い表面温度を温度抑制に関する制御に利用する温度の情報として保存する保存部を備え、
前記温度抑制制御部は、前記保存部に保存されている温度の情報に基づいて、温度抑制に関する制御を実行する
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の温度センサのうちの少なくとも1つは、前記デバイスに備えられるコントローラとしてのコンポーネントにおいて備えられるものである
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複数の温度センサのうちの少なくとも1つは、前記デバイスに備えられるメモリチップとしてのコンポーネントに対応して備えられるものである
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記温度抑制制御部は、前記デバイスから所定のバスのサイドバンドによる経路を介して前記表面温度を取得する
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の温度センサは、デバイスドライバ経由で出力可能な温度の情報の基となる温度を検出するための温度センサ、または前記コンポーネントが自己保護のために監視する温度を検出するための温度センサと共用される
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置における所定のデバイスに備えられるコンポーネントごとに対応して前記デバイスにおける所定位置に設けられた1または複数の温度センサにより検出された温度を入力するステップと、
入力された前記温度に基づいて、前記コンポーネントごとの表面温度を算出するステップと、
算出された前記表面温度のうちで最も高い表面温度に基づいて、温度抑制に関する制御を実行するステップと
を含む温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置では、放熱ファンを設け、放熱ファンを駆動することにより内部のデバイスを冷却することが行われている。放熱ファンの駆動は、情報処理装置の内部について検出された温度に基づいてオンオフが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−41739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、情報処理装置の放熱ファンの動作のオンオフ等のように温度抑制の制御を行うにあたっては、制御に用いる温度についてできるだけ正確な値が得られるようにすることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、情報処理装置の温度抑制の制御を行うにあたり、制御に用いる温度の正確さの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、情報処理装置における所定のデバイスに備えられるコンポーネントごとに対応して前記デバイスにおける所定位置に設けられた1または複数の温度センサにより検出された温度を入力する温度入力部と、前記温度入力部により入力された温度に基づいて、前記コンポーネントごとの表面温度を算出する表面温度算出部と、前記表面温度算出部により算出された表面温度のうちで最も高い表面温度に基づいて、温度抑制に関する制御を実行する温度抑制制御部とを備える情報処理装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、情報処理装置における所定のデバイスに備えられるコンポーネントごとに対応して前記デバイスにおける所定位置に設けられた1または複数の温度センサにより検出された温度を入力する温度入力ステップと、前記温度入力ステップにより入力された温度に基づいて、前記コンポーネントごとの表面温度を算出する表面温度算出ステップと、前記表面温度算出ステップにより算出された表面温度のうちで最も高い表面温度に基づいて、温度抑制に関する制御を実行する温度抑制制御ステップとを含む温度制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、情報処理装置の温度抑制の制御を行うにあたり、制御に用いる温度の正確さの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における情報処理装置のハードウェアの構成例を示す図である。
図2】本実施形態において、基板上に配置されるエンベデッドコントローラとSSDと放熱ファンとの位置関係例を側面方向から模式的に示す図である。
図3】本実施形態におけるSSDとしてのデバイスのコンポーネント構成例を示す図である。
図4】本実施形態におけるSSDコントローラとエンベデッドコントローラの機能構成例を示す図である。
図5】本実施形態における表面温度の算出手法例を模式的に示す図である。
図6】本実施形態におけるSSDコントローラとエンベデッドコントローラとが温度抑制制御に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態における情報処理装置1のハードウェアの構成例を示している。以下の説明にあたり、本実施形態の情報処理装置1が主にノートPC(Personal Computer)である場合を例に挙げるが、これには限られない。情報処理装置1は、デスクトップ型PC、タブレット端末装置、スマートフォンなど、いずれの形態で実現されてもよい。
【0011】
同図の情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、メインメモリ12と、ビデオサブシステム13と、ディスプレイ14と、チップセット21と、BIOS(Basic Input Output System)メモリ22と、SSD(Solid State Drive)30と、USB(Universal Serial Bus)コネクタ24と、オーディオシステム25と、ネットワークカード26と、エンベデッドコントローラ40と、入力インターフェース27と、放熱ファン28と、電源回路29とを備える。
【0012】
CPU11は、例えばメインメモリ12に格納されたプログラムを実行することで、種々の演算処理を実行し、情報処理装置1の各部を制御する。CPU11は、処理部の一例である。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップを含む。メインメモリ12は、CPU11により実行されるプログラムの読み込み領域として機能する。また、メインメモリ12は、CPU11により実行されるプログラムの処理データを書き込む作業領域として機能する。CPU11により実行されるプログラムには、例えば、OS(オペレーティングシステム、Operating System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム等が含まれる。
【0013】
ビデオサブシステム13は、例えば、ビデオコントローラと、ビデオメモリとを含む。
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムである。ビデオコントローラは、CPU11から出力された描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込む。また、ビデオコントローラは、ビデオメモリから描画情報を読み出して、読み出した描画情報を、ディスプレイ14に描画データ(表示データ)として出力する。ディスプレイ14は、例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ14は、ビデオサブシステム13から出力された描画データ(表示データ)に基づいて、表示画面を表示する。
【0014】
チップセット21は、USB、シリアルATA(AT Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI−Expressバス、及びLPC(Low Pin Count)バスなどのコントローラを備える。チップセット21には、複数のデバイスが接続される。本実施形態において、チップセット21には、デバイスとして、BIOSメモリ22と、SSD30と、USBコネクタ24と、オーディオシステム25と、ネットワークカード26と、エンベデッドコントローラ40とが、接続される。
【0015】
BIOSメモリ22は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュROMなどの電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを含む。BIOSメモリ22は、パラメータ、BIOS及びエンベデッドコントローラ40などを制御するためのシステムファームウェアなどを記憶する。
【0016】
SSD30は、記憶デバイスである。SSD30は、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム、及び各種データを記憶する。
USBコネクタ24は、USBを利用した周辺機器類を情報処理装置1に接続するためのコネクタである。オーディオシステム25は、音データの記録、再生、及び入出力を行う。ネットワークカード26は、ネットワークに接続し、データ通信を行う。ネットワークカード26は、例えば、ワイヤレス(無線)LANを介してネットワークに接続するものであってよい。
【0017】
エンベデッドコントローラ40は、情報処理装置1の動作モードに関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)を監視し、制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。ワンチップマイコンは、エンベデッドコントローラ40は、不図示のCPU、ROM、RAM、複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、及びデジタル入出力端子を備える。エンベデッドコントローラ40のデジタル入出力端子には、例えば、入力インターフェース27、放熱ファン28、及び電源回路29が接続される。
【0018】
エンベデッドコントローラ40は、電源回路29を制御する電源管理機能を有する。エンベデッドコントローラ40は、電源回路29を制御することにより、例えば、CPU11に供給する駆動電力の値を制御する。
【0019】
本実施形態において、エンベデッドコントローラ40とSSD30とは、SMBus50により接続されている。エンベデッドコントローラ40は、SMBus50のサイドバンドを介して、SSD30がアドレスに保存したデバイス温度の情報を取得する。なお、エンベデッドコントローラ40とSSD30を接続するインターフェース50は、SMBus以外であってもよい。
【0020】
入力インターフェース27は、例えば、キーボード、ポインティング・デバイス、タッチパッドなどの入力デバイスである。
【0021】
電源回路29は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニット、電池ユニット、及びAC/DCアダプタなどを含む。電源回路29は、電力供給部の一例である。電源回路29は、エンベデッドコントローラ40からの制御に基づいて動作する。電源回路29は、AC/DCアダプタ、または電池ユニットから供給された直流電圧を、情報処理装置1を動作させるために電圧に変換する。電源回路29は、変換した電圧の電力を情報処理装置1の各部に供給する。
【0022】
放熱ファン28(放熱装置の一例)は、ファンやモータなどを含む。放熱ファン28は、冷却ファンの一例である。放熱ファン28は、エンベデッドコントローラ40の制御に従って動作する。放熱ファン28は、CPU11の発熱が情報処理装置1の筐体表面に伝達することを抑制する。
【0023】
図2は、基板CB1上に配置されるエンベデッドコントローラ40と、SSD30と、放熱ファン28との位置関係例を側面方向から模式的に示した図である。
同図に示されるように、基板CB1上で、エンベデッドコントローラ40とSSD30と放熱ファン28とは、或る距離を隔てて所定の位置に配置されている。このような配置のもとで、エンベデッドコントローラ40とSSD30とがSMBus50により接続されるようにして配線が行われている。また、エンベデッドコントローラ40と放熱ファン28との間では、エンベデッドコントローラ40が放熱ファン28の動作を制御可能なように配線が行われている。
【0024】
図3は、SSD30としてのデバイスのコンポーネント構成例を示している。同図の上側に図3(A)は、SSD30を平面方向からみた図であり、図3(B)は、SSD30を側面方向からみた図である。
図3(A)、図3(B)に示されるSSD30は、基板CB2上に、1つのSSDコントローラ31−1と、2つのメモリチップ31−2、31−3との、3つのコンポーネントが配置されている。
【0025】
SSDコントローラ31−1は、SSD30における制御を実行する。例えば、SSDコントローラ31−1は、メモリチップに対するデータのリード、ライトに関する制御を実行する。また、SSDコントローラ31−1は、後述するようにして、SSD30としてのデバイスの温度を示すデバイス温度を検出する。SSDコントローラ31−1としてのパッケージ(筐体)には、集積回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)311と、温度センサ312とが内蔵される。
【0026】
メモリチップ31−2、31−3は、それぞれ、例えばNAND型フラッシュメモリとしてのコンポーネントであり、データを記憶する。なお、SSD30に設けられるメモリチップの数は、例えば1つ、あるいは3以上であってよい。
【0027】
メモリチップ31−2、31−3としてのパッケージには温度センサは内蔵されない場合がある。そこで、SSD30の基板CB2上には、メモリチップ31−2、31−3のそれぞれの温度を検出するために、メモリチップ31−2、31−3の近傍の所定位置に対して、それぞれ温度センサ32−2、32−3が設けられる。温度センサ32−2は、メモリチップ31−2の温度を検出するように設けられる。温度センサ32−3は、メモリチップ31−3の温度を検出するように設けられる。なお、温度センサ32−2、32−3は、メモリチップ31−2、31−3に内蔵されてもよい。
【0028】
温度センサ312、32−2、32−3は、本来的には、例えばSSD30に対応するSMART(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)等の機能により出力する温度を検出したり、SSD30が温度上昇に対して自己保護を行ったりするために設けられたものであってよい。SSD30の自己保護機能としては、例えばメモリチップ31−2、31−3の温度上昇による電荷の消滅を防止するために、SSDコントローラ31−1によるメモリチップ31−2、31−3へのリード、ライトの速度を低下させることなどが行われる。
この場合、情報処理装置1は、SMARTの機能や自己保護機能に対応して設けられた温度センサ312、32−2、32−3を、本実施形態の温度抑制制御に共用するようにされる。これにより、温度抑制制御のためにSSD30に温度センサを追加して設ける必要が無くなる。
【0029】
図4を参照して、SSDコントローラ31−1とエンベデッドコントローラ40の機能構成例について説明する。同図においては、SSDコントローラ31−1及びエンベデッドコントローラ40とともに、温度センサ312、32−2、32−3、放熱ファン28が示されている。同図のSSDコントローラ31−1の機能は、例えばSSDコントローラ31−1が実装するファームウェアにより、あるいはASIC311により実現される。また、SSDコントローラ31−1の機能は、ファームウェアとASIC311とが協働することにより実現されてもよい。また、エンベデッドコントローラ40の機能は、例えばエンベデッドコントローラ40としてのハードウェアがプログラムを実行することにより実現される。
【0030】
同図のSSDコントローラ31−1は、温度入力部301、表面温度算出部302、及びデバイス温度管理部303を備える。
温度入力部301は、温度センサ312、32−2、32−3のそれぞれが検出する温度を入力する。
【0031】
温度入力部301が入力した温度として、温度センサ312から入力した温度は、SSDコントローラ31−1内部の温度であり、同じSSDコントローラ31−1に内蔵されるASIC311の温度に相当する。
本実施形態では、例えば、情報処理装置1の温度抑制制御として、ユーザが情報処理装置1を使用しているときに体感する温度を抑制することを主たる目的としている。このような温度抑制制御の場合、制御に利用する温度としては、SSDコントローラ31−1の内部にて検出された温度よりも、SSDコントローラ31−1としてのコンポーネントのパッケージの表面温度のほうが正確であるといえる。そこで、本実施形態のSSDコントローラ31−1において、表面温度算出部302は、温度センサ312から入力した温度を利用して、SSDコントローラ31−1としてのパッケージの表面温度を算出する。
【0032】
図5は、表面温度算出部302によるSSDコントローラ31−1としてのパッケージの表面温度の算出手法例を模式的に示している。ここでの表面温度としては、同図に示される直方体のパッケージにおける上面部の温度である場合を例に挙げる。
【0033】
一例として、表面温度算出部302は、SSDコントローラ31−1としてのパッケージの表面温度Tsfを以下の式1によって求めることができる。式1において、Tは、温度センサ312により検出されたASIC311の温度、θは、SSDコントローラ31−1のシリコンパッケージの熱抵抗、PはSSDコントローラ31−1における消費電力である。
また、θは、以下の式2によって表される。式2において、ksiはシリコンの熱伝導率、wはパッケージの上面部分の長手方向の長さ、dはパッケージの上面部分の短手方向の長さ、lは、温度センサ312からパッケージの上面部分までの距離である。
【0034】
【数1】
【0035】
【数2】
【0036】
なお、SSDコントローラ31−1としてのパッケージの情報処理装置1内での配置等に応じて、SSDコントローラ31−1としてのパッケージにおいて表面温度の算出対象となる面は、例えば特定の側面、底面といったように適宜変更されてよい。
【0037】
表面温度算出部302は、温度センサ32−2から入力した温度に基づいて、メモリチップ31−2のパッケージの表面温度を算出する。この場合にもパッケージの上面の温度を表面温度とする場合を例に挙げると、表面温度算出部302は、温度センサ32−2から入力した温度、メモリチップ31−2のシリコンパッケージの熱抵抗、メモリチップ31−2における消費電力、シリコンの熱伝導率、パッケージの上面部分の長手方向及び短手方向の長さ、温度センサ312からパッケージの上面部分までの距離、温度センサ312からメモリチップ31−2までの空間熱伝導率等を用いて、表面温度を算出してよい。
同様に、表面温度算出部302は、温度センサ32−3から入力した温度に基づいて、メモリチップ31−3の表面温度を算出する。
【0038】
デバイス温度管理部303は、デバイス温度を管理する。デバイス温度は、SSD30としてのデバイスの温度である。
デバイス温度の管理として、デバイス温度管理部303は、表面温度算出部302により算出されたコンポーネント(SSDコントローラ31−1、メモリチップ31−2、31−3)ごとの表面温度のうちから最も高い表面温度をデバイス温度として決定する。デバイス温度管理部303は、このように決定したデバイス温度を、SSDコントローラ31−1のサイドバンドアドレスに保存させる。
【0039】
次に、エンベデッドコントローラ40の機能構成例について説明する。同図のエンベデッドコントローラ40は、温度抑制制御部401を備える。温度抑制制御部401は、デバイス温度に基づいて温度抑制に関する制御を実行する。
具体的に、温度抑制制御部401は、SSDコントローラ31−1のサイドバンドアドレスに記憶されているデバイス温度をSMBus50経由で取得する。温度抑制制御部401は、取得したデバイス温度を所定の閾値と比較する。温度抑制制御部401は、デバイス温度が閾値以上であれば、放熱ファンを回転させる。温度抑制制御部401は、デバイス温度が閾値未満であれば、放熱ファンの回転が停止されるようにする。
【0040】
図6のフローチャートを参照して、本実施形態のSSDコントローラ31−1とエンベデッドコントローラ40とが温度抑制制御に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0041】
まず、SSDコントローラ31−1の処理手順例について説明する。
ステップS101:SSDコントローラ31−1において、温度入力部301は、一定時間ごとに、温度センサ312、32−1、32−2のそれぞれが検出した温度を入力する。
【0042】
ステップS102:表面温度算出部302は、ステップS101により入力した温度のそれぞれを利用して、表面温度を算出する。これにより、ステップS102によっては、SSD30における、SSDコントローラ31−1、メモリチップ31−2、31−3それぞれのパッケージの表面温度が得られる。
【0043】
ステップS103:デバイス温度管理部303は、ステップS102により算出されたSSDコントローラ31−1、メモリチップ31−2、31−3それぞれのパッケージの表面温度のうちで最も高い表面温度を特定する。デバイス温度管理部303は、特定された最も高い表面温度をデバイス温度として、サイドバンドアドレスに保存させる。サイドバンドアドレスに保存されるデバイス温度は、一定時間ごとにステップS101〜S103の処理が実行されることに応じて更新される。
【0044】
次に、エンベデッドコントローラ40の処理手順例について説明する。
ステップS201:まず、エンベデッドコントローラ40における温度抑制制御部401は、閾値Kを設定する。温度抑制制御部401は、予め定められた一定値を閾値Kとして設定してもよいし、例えば周囲温度や現在の情報処理装置1の動作状態(例えば実行中のアプリケーション数)等の所定条件に応じた値を設定してもよい。
【0045】
ステップS202:温度抑制制御部401は、例えば一定時間ごとのポーリングにより、SMBus50のサイドバンドを介して、SSDコントローラ31−1のサイドバンドアドレスに保存されているデバイス温度を読み取る。
【0046】
ステップS203:温度抑制制御部401は、ステップS202により読み取ったデバイス温度が閾値K以上であるか否かを判定する。
【0047】
ステップS204:デバイス温度が閾値K以上であると判定された場合、温度抑制制御部401は、現在において放熱ファン28の動作が停止中の状態であるか否かについて判定する。
現在において放熱ファン28がファンを回転させている場合、温度抑制制御部401は、当該ステップS204にて放熱ファン28の動作が停止中の状態ではないと判定する。この場合には、ステップS202に処理が戻される。
【0048】
ステップS205:放熱ファン28の動作が停止中の状態である場合、温度抑制制御部401は、放熱ファン28に動作開始を指示し、放熱ファン28に動作を開始させる。これにより、放熱ファン28は、ファンの回転を開始させる。ステップS205の処理の後は、ステップS202に処理が戻される。
【0049】
ステップS206:ステップS203にてデバイス温度が閾値未満であると判定された場合、温度抑制制御部401は、現在において放熱ファン28が動作中であるか否かについて判定する。現在において放熱ファン28が停止中であると判定された場合にはステップS202に処理が戻される。
【0050】
ステップS207:ステップS206にて放熱ファン28が動作中であると判定された場合、温度抑制制御部401は、放熱ファン28に動作停止を指示する。これにより、放熱ファン28は、ファンの回転を停止させる。ステップS207の処理の後は、ステップS202に処理が戻される。
【0051】
例えば、SSD30のデバイス温度を検出するための温度センサ(デバイス温度検出用温度センサ)は、SSD30に対して別途、基板上等に設けることができる。しかしながら、基板にデバイス温度検出用温度センサを設ける場合、SSD30の温度が基板を伝達してデバイス温度検出用温度センサにより検出されるまでにある程度の時間を要するため、デバイス温度検出用温度センサが検出する温度にはタイムラグ(遅延)が生じる。
また、基板上でのデバイスの配置の都合上、SSD30の近傍にデバイス温度検出用温度センサを設けることができない場合がある。具体的に、SSD30がマザーボード上に配置されている場合には、マザーボード上のデバイスの配置によっては、マザーボード上でSSD30の近傍にデバイス温度検出用温度センサを設ける余地がない場合がある。また、SSD30がマザーボード上に配置されない場合には、SSD30の近傍にデバイス温度検出用温度センサを設けることが困難となる場合がある。このような状況で、デバイス温度検出用温度センサを、配置可能な位置に設けたとしても、SSD30との距離が長いため、検出される温度には誤差が生じる。
このように、デバイス温度検出用温度センサを、SSD30に対して別途設けるようにした場合には、正確なデバイス温度を得ることが難しい。これに対して、本実施形態では、情報処理装置1は、SSD30に設けられた温度センサ(312、32−1、32−2)を利用して温度抑制制御を行うことができることから、デバイス温度として正確な値を得ることができる。
【0052】
また、SMARTの機能のもとでは、例えばSSDコントローラ31−1のファームウェアが、温度センサ(312、32−1、32−2)から入力した温度を平均化するなどの計算を行って求められた温度の情報が出力される。このように求められた温度は、デバイス温度として用いた場合に正確さを欠くという面がある。これに対して、本実施形態では、SSD30におけるコンポーネントの表面温度のうちで最も温度が高いものをデバイス温度としていることから、デバイス温度として正確な値を得ることができる。
【0053】
また、SMARTの機能は、ホストがデバイスドライバを介してSMARTの機能により得られた温度の情報を読み込むことから、OS上で動作するデバイスドライバまたはアプリケーションが必要となる。このため、デバイスドライバまたはアプリケーションが何らかの理由により導入されないこととなると、SMART機能を使用した温度抑制制御を行えなくなる。
本実施形態の構成であれば、コンポーネントのパッケージの表面温度がデバイス温度として出力されることから、温度抑制制御に応じて正確な温度を得ることができる。また、本実施形態の構成では、SMBus50のサイドバンドを介してエンベデッドコントローラ40がSSDコントローラ31−1からデバイス温度を読み取ることから、OS上のデバイスドライバあるいはアプリケーションは必要ない。また、本実施形態では、SSD30のデバイス温度を検出するための温度センサ(デバイス温度検出用温度センサ)を、SSD30以外の箇所に別途設ける必要が無い。
【0054】
また、本実施形態では、エンベデッドコントローラ40がSSDコントローラ31−1にて保存された1つのデバイス温度を読み取り、読み取ったデバイス温度を閾値と比較して温度抑制制御を行うようにされている。つまり、本実施形態のエンベデッドコントローラ40は、SSD30のモデルに関わらず、SSD30から1つのデバイス温度を読み取って温度抑制制御を行うという共通の制御を実行することができる。例えばSSD30のモデルごとに出力する温度の検出や計算の仕方などが異なっている場合には、エンベデッドコントローラ40は、読み取った温度を管理するテーブルがモデルごとに複数必要になる。これに対して、本実施形態の場合には、エンベデッドコントローラ40は、共通のデバイス温度に対応する1つのテーブルを有すればよい。
【0055】
なお、SSDコントローラ31−1からエンベデッドコントローラ40がシステム温度を読み取る経路は、SMBus50以外であってもよい。
【0056】
なお、エンベデッドコントローラ40が、SSDコントローラ31−1から温度センサ312、32−2、32−3のそれぞれにて検出された温度を入力して、それぞれに対応する表面温度を算出し、算出された表面温度のうちで最も高い温度を、デバイス温度として取得してもよい。
【0057】
なお、本実施形態の温度抑制制御は、例えば放熱ファン28の動作の開始、停止の制御に限定されない。例えば温度抑制制御は、バッテリーへの充電の速度(即ち、充電電流量)を変更する制御であってもよい。
【0058】
なお、本実施形態の温度抑制制御となるデバイスは、例えばビデオカード、ネットワークカード等のSSD以外のデバイスであってもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上記の実施形態において説明した各構成は、矛盾しない限り任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 情報処理装置、11 CPU、12 メインメモリ、13 ビデオサブシステム、14 ディスプレイ、21 チップセット、22 BIOSメモリ、24 USBコネクタ、25 オーディオシステム、26 ネットワークカード、27 入力インターフェース、28 放熱ファン、29 電源回路、31−1 SSDコントローラ、31−2 メモリチップ、31−3 メモリチップ、32−1、32−2、32−3 温度センサ、40 エンベデッドコントローラ、301 温度入力部、302 表面温度算出部、303 デバイス温度管理部、311 ASIC、312 温度センサ、401 温度抑制制御部
図1
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図6