特開2021-163733(P2021-163733A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-163733一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-163733(P2021-163733A)
(43)【公開日】2021年10月11日
(54)【発明の名称】一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0247 20160101AFI20210913BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20210913BHJP
   H01M 8/0271 20160101ALI20210913BHJP
   H01M 8/2484 20160101ALI20210913BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20210913BHJP
   H01M 8/0286 20160101ALI20210913BHJP
   H01M 8/124 20160101ALI20210913BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20210913BHJP
【FI】
   H01M8/0247
   H01M8/12 101
   H01M8/0271
   H01M8/2484
   H01M8/2483
   H01M8/0286
   H01M8/124
   H01M8/02
   H01M8/12 102Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-67949(P2020-67949)
(22)【出願日】2020年4月3日
(71)【出願人】
【識別番号】509284037
【氏名又は名称】コリア インスティテゥート オブ エナジー リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ ウ
(72)【発明者】
【氏名】ウ,サン クク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ド ウォン
(72)【発明者】
【氏名】バン,ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,イン ソブ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ス ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨン フン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン,セ ギ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ユン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヒョ ジョン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA08
5H126AA13
5H126AA14
5H126AA26
5H126BB06
5H126HH04
5H126JJ03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スタック積層による自体荷重によって発生し得る揺れ及びずれ現象を防止するための、一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池100は、燃料極、電解質膜、及び空気極を含む少なくとも一つの単位セル、前記少なくとも一つの単位セルの両面に設けられ、ボディ体の両末端に充填部が一体に形成された第1集電板122及び第2集電板124、及び前記充填部の両面に形成された密封部を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極、電解質膜、及び空気極を含む少なくとも一つの単位セル;
前記少なくとも一つの単位セルの両面に設けられ、ボディ体の両末端に充填部が一体に形成された第1集電板及び第2集電板;及び
前記充填部の両面に形成された密封部
を含むことを特徴とする、一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池。
【請求項2】
前記少なくとも一つの単位セルを支持するために、前記第1集電板の他面に形成される第1ハウジング及び前記第2集電板の一面に形成される第2ハウジングをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池。
【請求項3】
前記充填部及び前記密封部には、厚さ方向に貫通形成され、前記少なくとも一つの単位セルに流れる燃料ガスが移動されるためのホールが備えられ、
前記充填部に備えられたホール及び前記密封部に備えられたホールは、互いに連通されることを特徴とする、請求項1に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池。
【請求項4】
前記第1集電板または前記第2集電板の厚さは、
前記第1集電板または前記第2集電板の厚さ=前記充填部の厚さ+(前記密封部の厚さ×2)
を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池。
【請求項5】
前記密封部は、接着工程、スクリーン印刷工程、ディスペンサ工程のうち一つを利用して前記充填部の両面に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池。
【請求項6】
前記固体酸化物燃料電池は、平管型であることを特徴とする、請求項1に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池。
【請求項7】
燃料極、電解質膜、及び空気極が積層された少なくとも一つの単位セルを含む固体酸化物燃料電池の製造方法において、
ボディ体の両末端に充填部が一体に形成された第1集電板及び第2集電板を準備するステップ;
前記充填部の両面に密封部を結合するステップ;及び
前記少なくとも一つの単位セルの両面に前記第1集電板及び前記第2集電板を結合して前記固体酸化物燃料電池を製造するステップ
を含むことを特徴とする、一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの単位セルを支持するために、前記第1集電板の他面に第1ハウジングを結合し、前記第2集電板の一面に第2ハウジングを結合するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法。
【請求項9】
前記充填部の両面に密封部を結合するステップは、
接着工程、スクリーン印刷工程、ディスペンサ工程のうち一つを利用することを特徴とする、請求項7に記載の一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法。
【請求項10】
前記第1集電板または前記第2集電板の厚さは、
前記第1集電板または前記第2集電板の厚さ=前記充填部の厚さ+(前記密封部の厚さ×2)
を満たすことを特徴とする、請求項7に記載の一体型集電板を用いた 固体酸化物燃料電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物燃料電池に関し、さらに詳細には、一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)は、酸素または水素イオン伝導性を帯びる固体酸化物を電解質として使用する燃料電池であって、現存する燃料電池のうち最も高い温度(600−1000℃)で作動し、全ての構成要素が固体からなるため、他の燃料電池に比べて構造が簡単で、電解質の損失及び補充と腐食の問題がなく、貴金属触媒が不要で直接内部改質を通した燃料供給が容易である。固体酸化物燃料電池は、電気化学反応を逆に進行させて高温水電解装置(Solid Oxide Electrolyzer Cell、SOEC)として利用できる。
【0003】
固体酸化物燃料電池と高温水電解装置等の電気化学反応装置は、その形態によって平板型と円筒型に大きく分類されるが、平板型は、電力密度(出力)が高い長所があるが、ガス密封面積が広く、積層時に材料間の熱膨張係数差による熱的ショックが発生し、大面積化が難しいという短所があり、円筒型は、熱応力に対する抵抗及び機械的強度が相対的に高く、押出成形で製造して大面積化が可能であるという長所があるが、電力密度(出力)が低いという限界点がある。
【0004】
このような平板型と円筒型の電気化学反応装置が有している長所を導入した平管型電気化学反応装置(平管型固体酸化物燃料電池)の場合、電力密度を高めるために単位セル(シングルセル、ユニットセル)を多数積層して所望の出力性能を実現できる。
【0005】
しかし、多数のセル積層による荷重分配問題でセルスタック密封部位に形成された密封材の滑り現象が発生する可能性があり、これによりガス漏れ、発熱等のスタック安定性が崩壊することでセルの性能が低減する問題点が存在する。
【0006】
これにより、単位セル間の電気的接触及び燃料極と空気極間のガス密封を遂行するための技術の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1503458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、密封部に備えられる充填材が一体に形成された集電板を実現して固体酸化物燃料電池のセルスタックを積層することで、スタック積層による自体荷重によって発生し得る揺れ及びずれ現象を防止するための一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、密封部の結合工程を短縮させてセルスタック作製に対する便宜性及び構造的安定性を高めるための一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、以上において言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池は、燃料極、電解質膜、及び空気極を含む少なくとも一つの単位セル、前記少なくとも一つの単位セルの両面に設けられ、ボディ体の両末端に充填部が一体に形成された第1集電板及び第2集電板、及び前記充填部の両面に形成された密封部を含む。
【0012】
また、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池は、前記少なくとも一つの単位セルを支持するために、前記第1集電板の他面に形成される第1ハウジング及び前記第2集電板の一面に形成される第2ハウジングをさらに含むことができる。
【0013】
また、本発明の一実施例に係る前記充填部及び前記密封部には、厚さ方向に貫通形成され、前記少なくとも一つの単位セルに流れる燃料ガスが移動されるためのホールが備えられ、前記充填部に備えられたホール及び前記密封部に備えられたホールは、互いに連通できる。
【0014】
また、本発明の一実施例に係る前記第1集電板または前記第2集電板の厚さは、下記式1を満たすことができる。
【0015】
式1
前記第1集電板または前記第2集電板の厚さ=前記充填部の厚さ+(前記密封部の厚さ×2)
【0016】
また、本発明の一実施例に係る前記密封部は、接着工程、スクリーン印刷工程、ディスペンサ工程のうち一つを利用して前記充填部の両面に形成できる。
【0017】
また、本発明の一実施例に係る前記固体酸化物燃料電池は、平管型であってよい。
【0018】
また、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法は、燃料極、電解質膜、及び空気極が積層された少なくとも一つの単位セルを含む固体酸化物燃料電池の製造方法において、ボディ体の両末端に充填部が一体に形成された第1集電板及び第2集電板を準備するステップ、前記充填部の両面に密封部を結合するステップ、及び前記少なくとも一つの単位セルの両面に前記第1集電板及び前記第2集電板を結合して前記固体酸化物燃料電池を製造するステップを含む。
【0019】
また、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法は、前記少なくとも一つの単位セルを支持するために、前記第1集電板の他面に第1ハウジングを結合し、前記第2集電板の一面に第2ハウジングを結合するステップをさらに含むことができる。
【0020】
また、本発明の一実施例に係る前記充填部の両面に密封部を結合するステップは、接着工程、スクリーン印刷工程、ディスペンサ工程のうち一つを利用できる。
【0021】
また、本発明の一実施例に係る前記第1集電板または前記第2集電板の厚さは、下記式2を満たすことができる。
【0022】
式2
前記第1集電板または前記第2集電板の厚さ=前記充填部の厚さ+(前記密封部の厚さ×2)
【0023】
その他の実施例の具体的な事項は、詳細な説明及び添付の図面に含まれている。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施例によれば、密封部に備えられる充填材が一体に形成された集電板を実現して固体酸化物燃料電池のセルスタックを積層することで、スタック積層による自体荷重によって発生し得る揺れ及びずれ現象を防止できる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、密封部の結合工程を短縮させてセルスタック作製に対する便宜性及び構造的安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来に使用されるセルスタックの組立部品を説明するために示した図である。
図2】本発明の一実施例に係る一体型集電板を説明するために示した平面図である。
図3】従来に使用される分離型集電板が備えられた固体酸化物燃料電池を説明するために示した分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る一体型集電板が備えられた固体酸化物燃料電池を説明するために示した分解斜視図である。
図5A】本発明の一実施例において、一体型集電板の両末端に形成された充填部及び密封部の構造を説明するために示した断面図である。
図5B】本発明の一実施例において、一体型集電板の両末端に形成された充填部及び密封部の構造を説明するために示した断面図である。
図5C】本発明の一実施例において、一体型集電板の両末端に形成された充填部及び密封部の構造を説明するために示した断面図である。
図6】本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法を説明するために示したフローチャートである。
図7図6の固体酸化物燃料電池の製造方法を具体的に説明するために示したフローチャートである。
図8図6の固体酸化物燃料電池の製造方法を具体的に説明するために示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の利点および/または特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下において開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態で実現され、単に本実施例は、本発明の開示が完全なものとなるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇により定義されるだけである。明細書全体にわたって、同じ参照符号は、同じ構成要素を指す。
【0028】
一般に、燃料電池は、天然ガス、石炭ガス、メタノール等、炭化水素系列の物質内に含有されている水素と空気中の酸素を電気化学反応によって直接電気エネルギーに変換させる高効率の清浄発電技術であって、使用される電解質の種類によって大きくアルカリ型、リン酸型、溶融炭酸塩、固体酸化物及び高分子燃料電池に分類される。
【0029】
固体酸化物燃料電池(SOFC、Solid Oxide Fuel Cell)は、酸素または水素イオン伝導性を帯びる固体酸化物を電解質として使用する燃料電池であり、現存する燃料電池のうち最も高い温度(600−1000℃)で作動し、全ての構成要素が固体からなるため、他の燃料電池に比べて構造が簡単で、電解質の損失及び補充と腐食の問題がなく、貴金属触媒が不要で直接内部改質を通した燃料供給が容易である。固体酸化物燃料電池は、電気化学反応を逆に進行させて高温水電解装置(Solid Oxide Electrolyzer Cell、SOEC)として利用できる。
【0030】
固体酸化物燃料電池と高温水電解装置等の電気化学反応装置は、その形態によって平板型と円筒型に大きく分類されるが、平板型は、電力密度(出力)が高い長所があるが、ガス密封面積が広く、積層時に材料間の熱膨張係数差による熱的ショックが発生し、大面積化が難しいという短所があり、円筒型は、熱応力に対する抵抗及び機械的強度が相対的に高く、押出成形で製造して大面積化が可能であるという長所があるが、電力密度(出力)が低いという限界点がある。
【0031】
このような平板型と円筒型の電気化学反応装置が有している長所を導入した平管型電気化学反応装置(平管型固体酸化物燃料電池)の場合、電力密度を高めるために単位セル(シングルセル、ユニットセル)を多数積層して所望の出力性能を実現できる。
【0032】
図1を参照すると、従来の平管型燃料電池の場合、単位セル間の電気的接触及び燃料極と空気極間の燃料ガス密封のために別個の集電板122、124と密封材126bをそれぞれ単位セル130に接合してセルスタックを実現する。
【0033】
このとき、集電板122、124の厚さに該当する高さの密封材126bを使用する場合、燃料電池の作動による温度上昇により密封材126bが変形されることを防止するために、高さの差を埋めるための充填材126aが使用される。
【0034】
しかし、積層される単位セル130が少ない場合は問題ないが、kW級の大容量のセルスタックを作製するために数十枚の単位セル130を積層する場合は、密封材126b及び充填材126aがずれて動く現象が発生し得る。これにより、セルスタックの安定性が崩壊され、燃料電池の性能を低減させる原因となり得る。
【0035】
これにより、本発明においては、図2に示されたように、集電板122、124の一部を充填材126aとして実現し、密封材126bの溶融後に発生し得る揺れ及びずれ現象を防止するようにした。即ち、既存に分離されて使用されていた集電板と充填材を一体化して作製した。
【0036】
図3は、従来に使用される分離型集電板が備えられた固体酸化物燃料電池を説明するために示した分解斜視図であり、図4は、本発明の一実施例に係る一体型集電板が備えられた固体酸化物燃料電池を説明するために示した分解斜視図であり、図5A―Cは、本発明の一実施例において、一体型集電板の両末端に形成された充填部及び密封部の構造を説明するために示した断面図である。
【0037】
図3を参照すると、従来に使用される分離型集電板が備えられた固体酸化物燃料電池は、少なくとも一つの単位セル130、集電板122、124、密封部126b、ガス流入部20a、ガス出入部20b、及びハウジング112、114を含んで構成できる。
【0038】
平管型固体酸化物燃料電池は、空気極(または正極)を燃料電池の支持体として使用する空気極支持体式燃料電池と、燃料極(または負極)を支持体として使用する燃料極支持体式燃料電池の2種類に区分されるが、空気極支持体式燃料電池と燃料極支持体式燃料電池の中では燃料極支持体式が進歩した形態であり、現在の固体酸化物燃料電池は、燃料極支持体式を中心として研究開発されている。
【0039】
以下においては、燃料極支持体式燃料電池を基準に説明する。
【0040】
少なくとも一つの単位セル130は、内側(または下側)から燃料極、電解質膜、空気極が順次に積層されて構成できる。
【0041】
空気極は、外部から供給された電子と空気中の酸素または酸素ガスが反応して酸素イオンが形成され、電解質膜は、空気極で形成された酸素イオンの移動通路であって、空気と燃料の直接接触を防ぎ、電子の移動を遮断するための層であり、燃料極は、電解質膜を通して伝達される酸素イオンと燃料が電気化学反応を起こし、この時に発生した電子を外部に送る役割を果たす。
【0042】
具体的に、燃料極は、空気中の酸素あるいは酸素ガスの供給を受けて燃料極から供給される電子を受けて酸素イオンとなり、酸素イオンは電解質膜を通して移動し、燃料極に達すると燃料である水素ガスと反応して水を生成し、電子を放出するようになる。結果的に、燃料極に生成された電子を外部回路に流れるようにすることで電流を発生させる発電をするようになる。
【0043】
参考までに、単位セル130の両端には、燃料ガスを流入及び流出させるために、厚さ方向に貫通形成されたホールを備えることができる。
【0044】
集電板122、124は、電気を集結する端子を含み、少なくとも一つの単位セル130で形成される電気を集電する装置である。
【0045】
集電板122、124は、少なくとも一つの単位セル130の最下部に位置する第1集電板122、及び少なくとも一つの単位セル130の最上部に位置する第2集電板124を含んで構成できる。
【0046】
このとき、内側(または下側)から燃料極、電解質膜、空気極が順次に積層される単位セル130の構造によって、第1集電板122は、燃料極層集電板であってよく、第2集電板124は、空気極層集電板であってよい。
【0047】
図面においては、一つの単位セル130で構成された燃料電池の構造を示し、単位セル130の両面に第1集電板122及び第2集電板124を結合することができる。
【0048】
これに対して、多数の単位セル130が積層される場合、最下部に位置した単位セル130の下部に第1集電板122が結合され、最上部に位置した単位セル130の上部に第2集電板124を結合することができる。
【0049】
密封部126bは、単位セル130の両端に形成され、集電板122、124から所定の間隔離れた位置に備えることができる。即ち、密封部126bは、単位セル130の両端上部及び下部にそれぞれ形成されることができ、集電板122、124と分離された状態で単位セル130に備えることができる。
【0050】
密封部126bは、燃料電池の作動による温度上昇により密封材が変形されることを防止するために、高さの差を埋めるための充填部126aを含むことができる。
【0051】
即ち、充填部126aを基準に両面に密封部材が結合されて密封部126bを実現できる。参考までに、密封部材は、ガラス系列のシーラント(Glass selant)を使用することができ、充填部126aは、クロファー(crofer)またはイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を使用することができる。
【0052】
ハウジング112、114は、少なくとも一つの単位セル130を支持するために使用される枠であって、集電板122、124の外側に形成できる。
【0053】
例えば、ハウジング112、114は、第1集電板122の他面、即ち、下部に結合される第1ハウジング112、及び、第2集電板124の一面、即ち、上部に結合される第2ハウジング114を含むことができる。
【0054】
ハウジング112、114は、高温上で変形を最小化できる金属材質で実現されることが好ましい。
【0055】
ハウジング112、114には、単位セル130に流れる燃料ガスを流入させるためのガス流入部及び排出させるためのガス排出部を備えることができる。
【0056】
例えば、第1ハウジング112にガス流入部を連結でき、第2ハウジング114にガス排出部を連結でき、単位セル130を構成する燃料極、電解質膜、空気極の積層順序によってガス流入部及びガス排出部の位置は変更できる。
【0057】
参考までに、第1ハウジング112及び第2ハウジング114には、外部と接続された電気端子10をさらに備えることができる。
【0058】
前述した構造による従来の固体酸化物燃料電池は、互いに分離された状態で形成された集電板122、124及び密封部126bで構成されるため、次のような問題点が発生し得る。
【0059】
燃料電池内に積層される単位セル130が少ない場合は問題ないが、kW級の大容量のセルスタックを作製するために数十枚の単位セル130を積層する場合は、密封部126b及び充填部126aがずれて動く現象が発生し得る。これにより、セルスタックの安定性が崩壊され、燃料電池の性能を低減させる原因となり得る。
【0060】
図4を参照すると、本発明の一実施例に係る一体型集電板が備えられた固体酸化物燃料電池100は、少なくとも一つの単位セル130、集電板122、124、密封部126b、ガス流入部、ガス出入部、及びハウジングを含んで構成できる。
【0061】
本発明の一実施例に係る固体酸化物燃料電池100に関する少なくとも一つの単位セル130、ガス流入部、ガス出入部、及びハウジングは、従来の固体酸化物燃料電池に関する少なくとも一つの単位セル130、ガス流入部20a、ガス出入部20b、及びハウジング112、114と同じ機能を果たすので、以下においては、集電板122、124及び密封部126bに関してのみ説明する。
【0062】
集電板122、124は、電気を集結する端子を含み、少なくとも一つの単位セル130で形成される電気を集電する装置である。
【0063】
集電板122、124は、少なくとも一つの単位セル130の最下部に位置する第1集電板122、及び少なくとも一つの単位セル130の最上部に位置する第2集電板124を含んで構成できる。
【0064】
このとき、内側(または下側)から燃料極、電解質膜、空気極が順次に積層される単位セル130の構造によって、第1集電板122は、燃料極層集電板であってよく、第2集電板124は、空気極層集電板であってよい。
【0065】
図面においては、一つの単位セル130で構成された燃料電池の構造を示し、単位セル130の両面に第1集電板122及び第2集電板124を結合することができる。
【0066】
これに対して、多数の単位セル130が積層される場合、最下部に位置した単位セル130の下部に第1集電板122が結合され、最上部に位置した単位セル130の上部に第2集電板124を結合することができる。
【0067】
集電板122、124は、ボディ体の両末端に充填部126aが一体に形成できる。
【0068】
即ち、従来の集電板122、124が密封部126bに含まれた充填部126aと分離された状態で実現されることとは異なり、本発明の集電板122、124は、ボディ体の両末端を充填部126aとして実現できる。
【0069】
密封部126bは、充填部126aの両面に形成できる。言い換えれば、密封部126bは、充填部126aを基準に両面に密封部材126bが結合されて形成できる。
【0070】
充填部126a及び密封部126bには、厚さ方向に貫通形成され、少なくとも一つの単位セル130に流れる燃料ガスが移動されるためのホールを備えることができる。
【0071】
このとき、充填部126aに備えられたホール及び密封部126bに備えられたホールは、互いに連通できる。
【0072】
集電板122、124の厚さhは、密封部126bの厚さh1及び充填部126aの厚さh2に関する下記式3を満たすことができる。
【0073】
式3
第1集電板122または第2集電板124の厚さh=充填部126aの厚さh2+(密封部126bの厚さh1×2)
【0074】
図5A及び図5Bに示されたように、第1集電板122または第2集電板124の厚さは、充填部126aの上面に形成された密封部126bの厚さと充填部126aの下面に形成された密封部126bの厚さ及び充填部126aの厚さを全て合算した厚さと同一であることが好ましい。図5A及び図5Bは、A−type集電板構造で形成された例示である。A−type集電板は、第1集電板及び第2集電板と充填部(Spacer)が一体型集電板に形成され、第1集電板または第2集電板と一体に形成される充填部が矩形の形態でない場合を意味する。このとき、図5Aのように、密封部126bが形成される充填部領域だけを含む一体型集電板に形成されてもよく、図5Bのように、密封部126bが形成される充填部領域と集電フォーム(metallic foam)が形成される充填部領域とに区分されて一体型集電板が形成できる。
【0075】
図5Cは、B−type集電板であり、B−type集電板は、第1集電板及び第2集電板と充填部(Spacer)が一体型集電板に形成され、一体型集電板が矩形の形態である場合を意味する。図5Cを参照すると、密封部126bの厚さと集電フォーム(metallic form)の厚さが同一の構造で形成できる。
【0076】
集電フォームは、高い伝導度と十分な気孔を有し、密封素材の圧着等によりその厚さが変わっても伝導及びガス透過が容易であり得る。好ましくは、集電フォームは、銀(Ag)集電フォームで形成できる。このとき、第1集電板122または第2集電板124の厚さhは、充填部126aの厚さh2に密封部126bの厚さh1を2倍した値の和と同様であり、集電フォームの厚さは、A−typeであるかB−typeであるかによってh1より大きいかまたは小さくてよい。
【0077】
これにより、集電板122、124の中央部分と両端の厚さが一様に形成されることで単位セル130をより安定的に支持できる。それだけではなく、多数の単位セル130の積層時に発生し得る揺れ及びずれ現象を防止できる。
【0078】
密封部126bは、ステッカー形態または粘着材質の密封部材を使用してスクリーン印刷工程を遂行することで充填部126aの両面に形成できる。
【0079】
また、密封部126bは、注射器またはチューブに注入された弾性材質の密封部材を絞り出す方式のディスペンサ工程を遂行することで充填部126aの両面に形成できる。
【0080】
また、密封部126bは、ロールまたは転写板等を使用したコーティング工程を遂行することで充填部126aの両面に形成できる。
【0081】
また、密封部126bは、接着剤を使用して接着工程を遂行することで充填部126aの両面に形成できる。
【0082】
これにより、本実施例によれば、密封部126bの結合工程を短縮させてセルスタック作製に対する便宜性及び構造的安定性を高めることができる。
【0083】
図6は、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造方法を説明するために示したフローチャートであり、図7及び図8は、図6の固体酸化物燃料電池の製造方法を具体的に説明するために示したフローチャートである。
【0084】
図4及び図6を参照すると、ステップ(S610)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、ボディ体の両末端に充填部126aが一体に形成された第1集電板122及び第2集電板124を準備することができる。
【0085】
このとき、第1集電板122及び第2集電板124と結合させるための燃料極、電解質膜、及び空気極が積層された少なくとも一つの単位セル130をさらに準備することができる。
【0086】
第1集電板122及び第2集電板124は、少なくとも一つの単位セル130で形成される電気を集電する装置であり、ボディ体の両末端に充填部126aが一体に形成できる。
【0087】
次に、ステップ(S620)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、充填部126aの両面に密封部126bを結合することができる。
【0088】
ここで、接着工程、スクリーン印刷工程、ディスペンサ工程のうち一つを利用して充填部126aの両面に密封部126bを結合することができる。
【0089】
このとき、充填部126aの両面に密封部126bが形成されて実現された第1集電板122または第2集電板124の厚さは、下記式4を満たすことができる。
【0090】
式4
前記第1集電板122または前記第2集電板124の厚さ=前記充填部126aの厚さ+(前記密封部126bの厚さ×2)
【0091】
即ち、第1集電板122または第2集電板124の厚さは、充填部126aの上面に形成された密封部126bの厚さと充填部126aの下面に形成された密封部126bの厚さ及び充填部126aの厚さを全て合算した厚さと同一であることが好ましい。
【0092】
次に、ステップ(S630)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、少なくとも一つの単位セル130の両面に第1集電板122及び第2集電板124を結合して固体酸化物燃料電池を製造できる。
【0093】
一方、本実施例においては、少なくとも一つの単位セル130を支持するために、第1集電板122の他面に第1ハウジング112を結合し、前記第2集電板124の一面に第2ハウジング114を結合するステップをさらに含むことができる。
【0094】
ハウジング112、114は、少なくとも一つの単位セル130を支持するために使用される枠であり、第1集電板122の他面、即ち、下部に第1ハウジング112が結合され、第2集電板124の一面、即ち、上部に第2ハウジング114を結合することができる。
【0095】
第1ハウジング112及び第2ハウジング114を結合するステップを反映して、ステップ(S630)をより詳細に説明すると、次のとおりである。
【0096】
一実施例として、図4及び図7を参照すると、ステップ(S632a)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、第1ハウジング112の一面、即ち、上面に第1集電板122を結合することができる。
【0097】
次に、ステップ(S634a)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、第1集電板122の一面、即ち、上面に単位セル130を結合することができる。
【0098】
次に、ステップ(S636a)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、単位セル130の一面に第2集電板124を結合することができる。
【0099】
次に、ステップ(S638a)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、第2集電板124の一面に第2ハウジング114を結合して固体酸化物燃料電池を製造できる。
【0100】
即ち、本実施例においては、第1ハウジング112及び第2ハウジング114の間に第1集電板122、単位セル130、及び第2集電板124を順に結合して固体酸化物燃料電池を製造できる。
【0101】
他の実施例として、図4及び図8を参照すると、ステップ(S632b)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、単位セル130の両面にそれぞれ第1集電板122及び第2集電板124を結合することができる。
【0102】
次に、ステップ(S634b)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、第1ハウジング112の一面、即ち、上面に単位セル130を結合することができる。
【0103】
次に、ステップ(S636b)で、本発明の一実施例に係る一体型集電板を用いた固体酸化物燃料電池の製造装置は、単位セル130の一面に第2ハウジング114を結合して固体酸化物燃料電池を製造できる。
【0104】
即ち、本実施例においては、単位セル130の両面に第1集電板122及び第2集電板124を先に結合した後、第1ハウジング112及び第2ハウジング114の間に結合させることができる。
【0105】
今まで本発明に係る具体的な実施例について説明したが、本発明の範囲から外れない限度内では様々な変形が可能であることはもちろんである。それゆえ、本発明の範囲は、説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求の範囲と均等なものにより定められるべきである。
【0106】
以上のように、本発明は、限定された実施例と図面により説明されたが、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、これは、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正及び変形が可能である。従って、本発明思想は、下記に記載の特許請求の範囲によってのみ把握されるべきであり、その均等または等価的変形はいずれも本発明思想の範疇に属するといえるだろう。
【符号の説明】
【0107】
10 電気端子
20a ガス流入部
20b ガス排出部
112 第1ハウジング
114 第2ハウジング
122 第1集電板
124 第2集電板
126a 充填部
126b 密封部
130 単位セル
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8