【解決手段】基板上10のスクライブラインとなる領域に絶縁膜12を形成する工程と、前記絶縁膜の上に空洞16aを残した状態で、前記絶縁膜を埋め込む第1半導体層14を形成する工程と、前記第1半導体層の上に、活性層を含む第2半導体層を形成する工程と、前記基板の前記第1半導体層が形成された面とは反対側の面のうち、前記スクライブラインとなる領域に対応する位置において前記基板を押圧することで、前記基板、前記第1半導体層および前記第2半導体層を分割する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
本開示の一形態は、(1)基板上のスクライブラインとなる領域に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上に空洞を残した状態で、前記絶縁膜を埋め込む第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層の上に、活性層を含む第2半導体層を形成する工程と、前記基板の前記第1半導体層が形成された面とは反対側の面のうち、前記スクライブラインとなる領域に対応する位置において前記基板を押圧することで、前記基板、前記第1半導体層および前記第2半導体層を分割する工程と、を有する半導体装置の製造方法である。第1半導体層は、絶縁膜の上に張り出すように成長する。第1半導体層の当該部分は、他の部分に比べて割れやすい。スクライブラインに沿って基板を分離することができ、分離による異物の発生を抑制することができる。
(2)前記第1半導体層を形成する前に、前記絶縁膜をマスクとして、前記基板をエッチングし、メサを形成する工程を含んでもよい。第1半導体層は、絶縁膜の上に張り出すように成長する。第1半導体層の当該部分は、他の部分に比べて割れやすい。スクライブラインに沿って基板を分離することができ、分離による異物の発生を抑制することができる。
(3)スクライブラインとなる領域に沿って空洞が埋め込まれた半導体基板である。スクライブラインとなる領域に沿って半導体基板を分離することができ、分離による異物の発生を抑制することができる。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る半導体装置の製造方法、半導体基板の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
<第1実施形態>
(半導体装置)
図1Aは第1実施形態に係る半導体装置100を例示する断面図であり、
図1Bの線A−Aに沿った断面を図示する。
図1Bは半導体装置100を例示する平面図であり、後述のように模式的な図である。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交する。X軸方向およびY軸方向は、半導体装置100の互いに直交する2つの辺の方向である。Z軸方向は半導体装置100における半導体層の積層方向である。
【0013】
図1Aおよび
図1Bに示すように、半導体装置100はメサ11(第2メサ)、およびメサ15を有する。
図1Bは半導体装置100のうちメサ11および15、反射膜19のみを示す。
図1Bに示すように、半導体装置100の外周を囲むようにメサ15が設けられている。メサ15はX軸方向およびY軸方向に延伸する。半導体装置100の中央部にメサ11が設けられている。メサ11はX軸方向に延伸する。半導体装置100のY軸方向に延伸する2つの辺(X軸側の端面)には例えば窒化シリコン(SiN)の反射膜19が設けられている。X軸方向の辺の長さL1およびY軸方向の辺の長さL2はそれぞれ例えば300μmである。
【0014】
図1Aに示すように、半導体装置100は、基板10、絶縁膜12および25、半導体層14(第1半導体層)、半導体層22、活性層18、クラッド層17および20(以上の3つは第2半導体層に対応する)、コンタクト層24、電極26および28を備える発光素子である。
【0015】
メサ11は半導体層14、クラッド層17、活性層18、クラッド層20を含む。メサ11において、半導体層22の上面にクラッド層17が設けられ、クラッド層17の上面に活性層18が設けられ、活性層18の上面にクラッド層20が設けられている。
【0016】
メサ15は基板10に形成されている。メサ15において、基板10の上面に絶縁膜12が設けられている。基板10の内側(メサ11側)の側面から絶縁膜12の上側まで、半導体層14が設けられている。絶縁膜12の上面と半導体層14との間には窪み16が形成される。つまり、半導体装置100の側面の一部は内側に窪んでおり、当該窪み16に絶縁膜12が埋め込まれる。半導体層14の上にクラッド層17、活性層18およびクラッド層20が順に積層されている。
【0017】
メサ11とメサ15との間に基板10の面10aが広がる。面10aから、メサ15の高さH1は例えば2μm以上である。窪み16の大きさ(高さ)H2は例えば0.5μmである。窪み16上における半導体層14の厚さT1は例えば2μmである。絶縁膜12および窪み16の幅W1は例えば1μm以上、2μm以下である。基板10の下面から面10aまでの厚さT2は例えば100μmである。
【0018】
半導体層22は基板10の面10aの上に設けられ、メサ11および15を埋め込む埋込層である。半導体層22およびメサ11の上にコンタクト層24が設けられている。コンタクト層24および半導体層22の上に絶縁膜25が設けられ、絶縁膜25の上に電極26が設けられている。電極26は絶縁膜25の開口部を通じてコンタクト層24に接触し、コンタクト層24と電気的に接続される。電極28は基板10の下面に設けられ、基板10と電気的に接続される。
【0019】
基板10は例えばn型インジウムリン(n−InP)で形成された半導体基板である。半導体層14は例えばInPで形成されている。半導体層22は例えば鉄(Fe)をドープしたInPなどで形成されており、他の半導体層に比べて高抵抗の層である。基板10、半導体層14および22はInPとともにInP以外の半導体を含んでもよい。
【0020】
活性層18は例えば複数のインジウムガリウムヒ素(InGaAs)層とインジウムガリウムリン(InGaAsP)層とを積層したものであり、多重量子井戸構造(MQW:Multi Quantum Well)を有する。クラッド層17は例えば厚さ0.3μmのn−InPで形成されている。クラッド層20は例えば厚さ0.3μmのp−InPで形成されている。コンタクト層24は例えば厚さ1.5μmのp−InGaAsPなどで形成されている。活性層18、クラッド層17および20、コンタクト層24は上記以外の半導体で形成されてもよい。
【0021】
絶縁膜12は、例えば厚さ200nm以上、300nm以下の窒化シリコン(SiN)または酸化シリコン(SiO
2)などの絶縁体で形成される。絶縁膜25は例えばSiNまたはSiO
2などの絶縁体で形成されるパッシベーション膜である。電極26および28は例えば金(Au)などの金属で形成されている。電極26は例えばp電極であり、電極28は例えばn電極である。
【0022】
電極26および28に電圧を印加し、活性層18にキャリアを注入することで、光学利得を得る。活性層18から出射される光はメサ11に沿ってX軸方向を伝搬する。
図1Bに示した反射膜19は活性層18から出射される光の一部を反射し、一部を透過させる。
【0023】
(製造方法)
図2は半導体装置100の製造方法を例示する平面図である。
図3Aから
図8Bは半導体装置100の製造方法を例示する断面図であり、
図1Aに対応する断面を図示する。
【0024】
図2に示すようなウェハ状態の基板10に半導体装置100の製造工程を行う。基板10の上面はInPの(001)面である。基板10の実線で示す複数の領域13aおよび13bはスクライブラインとなる領域である。複数の領域13aのそれぞれはX軸方向(基板10の〔01−1〕方向、オリエンテーションフラットの方向)に、ウェハの一方の端から他方の端まで延伸する。複数の領域13bのそれぞれはY軸方向(基板10の〔01−1−〕方向、インデックスフラットの方向)に、ウェハの一方の端から他方の端まで延伸する。領域13aと領域13bとは直交する。製造工程の途中では、複数の領域10bが連結されたアレイ10cが形成される。最終的に領域13aおよび13bで囲まれた領域10bが1つのチップ、すなわち半導体装置100となる。
【0025】
図3Aから
図8Bは
図2の1つの領域10bを図示する。
図3Aに示すように、基板10の上面のうち領域13aに絶縁膜12を形成し、図示しないが同時に領域13bにも絶縁膜12を形成する。具体的には、例えば化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)などで絶縁膜12を形成し、フォトリソグラフィによってレジストパターニングを行い、HF(フッ化水素)によるウェットエッチングで領域13aおよび13bに絶縁膜12を形成する。レジストは除去する。
【0026】
図3Bに示すように、絶縁膜12をマスクとして、例えば四塩化ケイ素ガス(SiCl
4)/アルゴン(Ar)を用いたドライエッチングにより、基板10にメサ15を形成する。ドライエッチングの条件の例は以下のものである。
アンテナパワー:200〜250W
バイアスパワー:100〜200W
SiCl
4の流量:5〜10sccm(8.335×10
−8〜16.67×10
−8m
3/s)
Arの流量:40〜50sccm(66.68×10
−8〜83.35×10
−8m
3/s)
圧力:0.5〜1.0Pa
基板10の温度:180〜220℃
メサ15は
図2に示した領域13aおよび13bに形成される。メサ15の高さH1は例えば2μm以上である。Z軸方向に対するメサ15の側面の傾斜角度θは例えば10°である。メサ15の形成後、絶縁膜12は除去せず、メサ15上に残存させる。
【0027】
図4Aおよび
図4Bに示すように、例えばホスフィン(PH
3)/トリメチルインジウム(TMI)を原料ガスとする有機金属化学気相成長法(MOVPE:Metalorganic Vapor Phase Epitaxy)によりInPの半導体層14をエピタキシャル成長する。成長の条件の例を以下に示す。
PH
3の流量>TMIの流量
成長温度:650℃
成長圧力:100mbar
半導体層14の成長速度:2μm/h
【0028】
図4Aに示すように、半導体層14は基板10の上面から上方向に成長し、メサ15を埋め込む。
図4Bに示すように、半導体層14は絶縁膜12よりも上側に達し、絶縁膜12の外側から内側に向けて横に張り出して成長する。
図5Aに示すように、メサ15を埋め込み、かつ絶縁膜12の上を覆う半導体層14が形成される。半導体層14のうち、厚さ方向(Z軸方向)に絶縁膜12と重なる部分14aは、後述のように、横方向への成長が促進された部分である。絶縁膜12は半導体層14の内側に埋め込まれる。絶縁膜12と半導体層14との間には空洞16aが形成される。
【0029】
図4Aに示す上方向への結晶成長では、半導体層14は主に(100)方向に成長する。一方、
図4Bに示すように、半導体層14はメサ15および絶縁膜12の上に張り出すように、横方向にも成長する。こうした成長は、上方向への結晶成長とは異なり、縦方向よりも横方向に促進された成長である。メサ15上においては、面方位依存性が弱い成長が行われているものと推測される。弱い面方位依存性の結果、半導体層14が横方向へも成長するため、空洞16aが形成されやすくなる。
図5Aに示すように、半導体層14のうち、横方向に促進された成長部分を部分14aと記載する。半導体層14の部分14aは、半導体層14の他の部分とは異なる結晶構造を有する。部分14aは
図2に示した領域13aおよび13bに形成される。
【0030】
図5Bに示すように、例えばMOVPEによりクラッド層17、活性層18およびクラッド層20を順にエピタキシャル成長する。
図5Bまでの工程によって半導体基板110が形成される。
【0031】
図6Aに示すように、例えばCVD法およびレジストパターニングなどによりクラッド層20の上面に絶縁膜27(第3絶縁膜)を形成する。絶縁膜27は、スクライブラインとなる領域13aおよび領域13b(
図6Aでは領域13bは不図示)、並びに領域13aおよび13bそれぞれに囲まれた領域に設けられる。
【0032】
図6Bに示すように、絶縁膜27をマスクとして、例えばSiCl
4/Arを用いたドライエッチングを行う。ドライエッチングの条件は例えばメサ15を形成する工程と同じである。半導体層14、クラッド層17および20、活性層18のうち絶縁膜27で保護される部分は残存し、保護されない部分は除去される。メサ15で挟まれる位置にメサ11が形成される。メサ15の側面から上側までは半導体層14で覆われる。半導体層14の内側に絶縁膜12および空洞16aが埋め込まれる。絶縁膜12および空洞16aを被覆するように半導体層14が成長される。半導体層14の上にクラッド層17、活性層18およびクラッド層20が順に積層されている。
【0033】
図7Aに示すように、例えばMOVPEによりメサ11および15を埋め込む半導体層22をエピタキシャル成長する。半導体層22の成長条件のうち成長温度および成長速度は半導体層14と同じである。原料ガスは、PH
3/TMIガスである。PH
3の流量は例えば600sccmであり、TMIの流量は例えば500sccmである。半導体層22の上面はクラッド層20の上面と同じ高さに位置する。半導体層22の成長後、絶縁膜27はフッ化水素(HF)等を用いたエッチングにより除去する。
【0034】
図7Bに示すように、MOVPEなどによりクラッド層20の上面および半導体層22の上面にコンタクト層24をエピタキシャル成長する。
図8Aに示すように、例えばエッチングなどでコンタクト層24のうちメサ15上の部分を除去し、メサ11上の部分は残存させる。絶縁膜25をコンタクト層24の上に設ける。このとき、スクライブラインとなる領域13aの絶縁膜25は除去され、不図示の領域13bにおいても絶縁膜25は除去される。領域13aおよび13bにスクライブラインが形成される。例えば真空蒸着などにより、コンタクト層24および絶縁膜25の上に電極26を形成し、基板10の下面に電極28を形成する。
【0035】
図2に示した領域13bをスクライブラインとして、
図8Bで説明するものと同じ方法で基板10を分離し、複数のアレイ10cを形成する。アレイ10cの端面に
図1Bに示した反射膜19を設ける。
【0036】
図8Bに示すように、アレイ10cをさらに分離し、複数のチップ(半導体装置100)を形成する。基板10の下面にブレード29を接触させ、ブレード29で基板10の下面から上方向に向けて基板10を押圧する。ブレード29を接触させる位置は、基板10のうち領域13aである。領域13aにおける半導体層14は部分14aであり、部分14aは部分14a以外の部分に比べて割れやすい。領域13aをスクライブラインとして、領域13aに沿って、基板10半導体層14、クラッド層17および20、活性層18を含むウェハが劈開され、チップ状態の半導体装置100が形成される。
【0037】
第1実施形態によれば、
図3Bに示すように絶縁膜12をマスクとしたエッチングにより、スクライブラインとなる領域13aおよび13bにメサ15を形成する。
図5Aに示すように、メサ15を埋め込む半導体層14を形成する。半導体層14は、絶縁膜12の上に張り出すように成長し、スクライブラインとなる領域13aおよび13bに部分14aを形成する。部分14aは、半導体層14の他の部分とは異なる結晶構造を有し、割れやすい。したがって領域13aおよび13bに沿って、基板10を容易に劈開することができる。この結果、異物の発生を抑制することができる。
【0038】
スクライブラインとなる領域13aおよび13bにあらかじめ傷をつけることで、半導体層14を横方向に成長させずに基板10を劈開することも可能である。しかし劈開によって異物が発生し、異物が半導体装置に付着することで、外観不良および特性上の不良が発生する恐れがある。第1実施形態によれば、部分14aを形成した領域13aおよび13bに沿って劈開することで、異物の発生を抑制する。この結果、歩留まりが向上する。
【0039】
PH
3およびTMIを含むガスを原料ガスとして半導体層14および22を成長させる。成長条件を調整することで、結晶成長の面方位依存性が高くなり、例えば(001)面への成長が早くなる。
【0040】
半導体層14の成長後、絶縁膜12と半導体層14との間に空洞16aが形成されやすい。空洞16aがあるため、他の部分に比べて領域13aおよび13bにおける強度が低下すると考えられる。したがって領域13aおよび13bに沿って劈開しやすくなり、異物の発生を抑制することができる。空洞16aから窪み16が形成される。
【0041】
図3Bに示すメサ15の高さH1は例えば2μm以上であり、傾斜角度θは例えば5°以上、45°以下であることが好ましい。半導体層14は、メサ15上の絶縁膜12の上面に達するまでは主に上方向に成長し、絶縁膜12の上面より上側では絶縁膜12の上に張り出すように成長する。この結果、半導体層14に部分14aが形成される。
【0042】
図2に示した複数の領域13aおよび複数の領域13bの少なくとも一部にメサ15および部分14aが形成されればよく、特に複数の領域13aおよび複数の領域13bの全体にメサ15および部分14aが形成されることが好ましい。複数の領域13aおよび複数の領域13bの全体にメサ15を設け、メサ15の上に部分14aが形成されることで、領域13aおよび13bに沿ってウェハを劈開することができ、異物の発生を抑制することができる。
【0043】
メサ15に囲まれる位置にメサ11を形成する。メサ11は発光部として機能する。すなわち、半導体装置100は、活性層18が発生させる光をメサ11に沿って伝搬し、外側に出射する発光素子である。異物の発生が抑制されることで、半導体装置100の出射面(
図1BのX軸側の面)に異物が付着しにくくなる。光が異物で遮られずに出射される。
【0044】
<第2実施形態>
(半導体装置)
図9は第2実施形態に係る半導体装置200を例示する断面図である。第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
図9に示すように、半導体装置200は、基板10、絶縁膜12および36、パッシベーション膜34、半導体層14(第1半導体層)、半導体層22、半導体層30(第2半導体層)、コンタクト層32、電極38および40、メッキ層42および44を備える受光素子である。
【0045】
半導体装置200はメサ15を有する。メサ15は基板10で形成され、
図1Bの例と同様に半導体装置200の外周を囲む。
図9に示すように、半導体層14は、基板10の面10aの上に設けられ、メサ15を埋め込み、メサ15の上に張り出す。メサ15において、基板10の上面に絶縁膜12が設けられている。絶縁膜12の上面と半導体層14との間には窪み16が形成される。メサ11は設けられていない。
【0046】
半導体層14の上に例えば3つの半導体層30が設けられている。3つの半導体層30のうち、中央のものを半導体層30a、半導体層30aの両側に位置するものを半導体層30bと記載することがある。半導体層30bは半導体層30aから離間し、半導体層30aとメサ15との間に位置する。
【0047】
半導体層30それぞれを囲むパッシベーション膜34が設けられている。半導体層30bおよびパッシベーション膜34の上に絶縁膜36が設けられている。絶縁膜36は半導体層30aと半導体層30bとの間に開口部を有し、当該開口部に電極40が設けられている。電極40は半導体層14と電気的に接続される。メッキ層44は絶縁膜36および電極40の上に設けられ、電極40と電気的に接続される。
【0048】
半導体層30aの上面にコンタクト層32が設けられ、コンタクト層32の上面に電極38が設けられている。電極38はコンタクト層32と電気的に接続される。メッキ層42は電極38の上面に設けられ、電極38と電気的に接続される。メッキ層42はメッキ層44から離間しており、メッキ層44と電気的に接続されない。
【0049】
半導体層30は、例えば半導体層14側から上側にかけて積層された、n+−InP層、ノンドープのインジウムリン(i−InP)層、i−InGaAsで形成された光吸収層、i−InGaAsPで形成されたグレーデッド層、n+−InPで形成された電界降下層、i−InPで形成された増倍層、p−InP層などを含み、これら以外の半導体層を含んでもよい。コンタクト層32は例えばp+−InGaAsで形成されている。
【0050】
パッシベーション膜34は例えばInPなどの半導体で形成されている。絶縁膜36は例えばSiNまたはSiO
2などの絶縁体で形成されている。電極38および40は例えばAuなどの金属で形成されている。メッキ層42および44は例えば厚さ2〜3μmのAuなど金属で形成されている。電極38およびメッキ層42はp電極として機能し、電極40およびメッキ層44はn電極として機能する。
【0051】
半導体装置200に光が入射すると半導体層30の光吸収層はキャリアを生成し、電極38と40との間に電流が流れる。
【0052】
(製造方法)
次に半導体装置200の製造方法について説明する。製造方法は
図2に示したウェハ状態の基板10に施される。
図10Aから
図13は半導体装置200の製造方法を例示する断面図である。
図3Aから
図5Aまでの工程は第2実施形態にも適用される。
【0053】
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、
図4A〜
図5Aの工程により、半導体層14をエピタキシャル成長する。半導体層14は基板10の上面から上方向に成長し、絶縁膜12の上に張り出すように成長する。半導体層14を形成した後、
図10Aに示すように、例えばMOVPEによって、半導体層14の上面に、半導体層30およびコンタクト層32を順にエピタキシャル成長する。これにより半導体基板210が形成される。
【0054】
図10Bに示すように、SiNまたはSiO
2の絶縁膜50をコンタクト層32の上に形成する。絶縁膜50をマスクとして、SiCl
4/Arを用いてコンタクト層32のドライエッチングを行い、コンタクト層32のうちメサ15近傍の部分は除去する。コンタクト層32のうちメサ15に囲まれる部分は残存する。後述のように、残存したコンタクト層32には電極40が設けられる。
【0055】
図11Aに示すように、半導体層30の上面であって、コンタクト層32とメサ15に挟まれる位置に、SiNまたはSiO
2の絶縁膜52を形成する。絶縁膜50および52をマスクとして半導体層30のドライエッチングを行う。半導体層30のうち絶縁膜50で保護される部分、および絶縁膜52で保護される部分は残存し、保護されない部分は除去される。例えばMOVPEにより、半導体層14の上面であって半導体層30を囲む位置にパッシベーション膜34を選択的に成長させる。パッシベーション膜34を成長しない位置では半導体層14の上面が露出する。
【0056】
図11Bに示すように、絶縁膜50および52を除去した後、例えばCVD法などにより、半導体層14および30、コンタクト層32、およびパッシベーション膜34の上面に絶縁膜36を形成する。エッチングにより絶縁膜36のうちコンタクト層32上の部分に開口を設ける。当該開口部から露出するコンタクト層32の上面に、例えば真空蒸着などにより電極38を形成する。
【0057】
図12Aに示すように、エッチングにより、絶縁膜36のうち半導体層30aと半導体層30bとの間の位置に開口部を形成する。当該開口部から露出するコンタクト層32の上面に、例えば真空蒸着などにより電極40を形成する。
図12Bに示すように、メッキ処理を行い電極38の上面にメッキ層42を形成し、電極40の上面にメッキ層44を形成する。
【0058】
図13に示すように、基板10の下面に粘着シート54を張り付ける。粘着シート54越しに、基板10の下面にブレード29を接触させ、ブレード29によって、基板10の下面から上方向に向けて基板10を押圧し、ウェハを劈開する。ブレード29を接触させる位置は、基板10のうちスクライブラインとなる領域13aおよび13bである。ウェハをアレイ化しなくてよく、かつ反射膜19を設けない。劈開の後、粘着シート54を拡張し、隣り合う半導体装置200同士の間隔を大きくする。ピンセットまたは吸着装置などで半導体装置200を粘着シート54から取り外す。以上の工程で半導体装置200が形成される。
【0059】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、半導体層14はメサ15の上に部分14aを有する。部分14aは領域13aおよび13bに形成される。したがって領域13aおよび13bに沿って基板10を劈開することで、異物の発生を抑制することができる。異物の付着による光の損失も抑制され、半導体装置200の受光感度が向上する。
【0060】
第1実施形態に係る半導体装置100は発光素子であり、第2実施形態に係る半導体装置200は受光素子である。本開示は発光素子および受光素子などの光学装置以外の半導体装置にも適用することができる。
【0061】
また、本開示の実施形態では、スクライブラインとなる領域にメサ15を形成し、メサ15の上に横方向に促進された成長を実施する。この形態以外に、基板10上のスクライブラインとなる領域に絶縁膜を形成し、絶縁膜の上に横方向に促進された成長を行うことでも、メサ15を形成することと同様の効果が得られる。
【0062】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。