【解決手段】4個のサブキャリアデータを使用して求めたSSSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとからSIRを算出する第1SSSSIR算出部105と、16個のサブキャリアデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めたSSSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとからSIRを計算する第2SSSSIR算出部106と、を備え、第1SSSSIR算出部105の算出結果と、第2SSSSIR算出部106の算出結果と、を比較し、受信品質の良い方のデータを採用する。
前記第1受信品質算出部は、4個の前記サブキャリアのデータを使用して求めた前記信号のパワーと、前記信号の期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、前記受信品質を示す値を算出する請求項1に記載の信号処理装置。
前記第2受信品質算出部は、16個の前記サブキャリアのデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めた前記信号のパワーと、前記信号の期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、前記受信品質を示す値を算出する請求項1または請求項2に記載の信号処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NRの同期信号は、SSB(Synchronization Signal Block)に含まれる。SSBには、PSS(Primary Synchronization Signal)と、SSS(Secondary Synchronization Signal)と、PBCH(Physical Broadcast CHannel)とが含まれている。PBCHには、参照信号としてのDMRS(DeModulation Reference Signal)が含まれている。
【0007】
NRの無線信号は、LTEに比べて高周波であり、広帯域化しているため、電波伝播測定装置では、フロアノイズの影響を受け、干渉が発生したり、弱電界の状態になったりして安定した測定ができないおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、異なる計算方法で算出した受信品質を示す値の、受信品質の良い方を採用して測定することにより、安定して信号を測定することができる信号処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の信号処理装置は、複数のサブキャリアからなる信号を測定する信号処理装置であって、所定の数の前記サブキャリアから前記信号の受信品質を示す値を算出する第1受信品質算出部と、前記所定の数より多い数の前記サブキャリアから前記信号の受信品質を示す値を算出する第2受信品質算出部と、を備え、前記第1受信品質算出部の算出結果と、前記第2受信品質算出部の算出結果との受信品質が良い方を採用するものである。
【0010】
この構成により、所定の数のサブキャリアから信号の受信品質を示す値を算出する第1受信品質算出部の計算結果と、所定の数より多い数のサブキャリアから信号の受信品質を示す値を算出する第2受信品質算出部の計算結果とが比較され、受信品質が良い方が採用される。このため、環境に左右されずに最適な測定結果を取得することができる。
【0011】
また、本発明の信号処理装置において、前記第1受信品質算出部は、4個の前記サブキャリアのデータを使用して求めた前記信号のパワーと、前記信号の期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、前記受信品質を示す値を算出するものである。
【0012】
この構成により、4個のサブキャリアのデータを使用して求められた信号のパワーと、信号の期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、受信品質を示す値が計算される。このため、マルチパスやフェージングの影響を受けにくい測定結果を取得することができる。
【0013】
また、本発明の信号処理装置において、前記第2受信品質算出部は、16個の前記サブキャリアのデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めた前記信号のパワーと、前記信号の期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、前記受信品質を示す値を算出するものである。
【0014】
この構成により、16個のサブキャリアのデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求められた信号のパワーと、信号の期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、受信品質を示す値が算出される。このため、干渉や弱電界において安定した測定結果を取得することができる。
【0015】
また、本発明の信号測定方法は、複数のサブキャリアからなる信号を測定する信号処理装置の信号測定方法であって、所定の数の前記サブキャリアから前記信号の受信品質を示す第1の値を算出するステップと、前記所定の数より多い数の前記サブキャリアから前記信号の受信品質を示す第2の値を算出するステップと、前記第1の値と、前記第2の値との受信品質が良い方を採用するステップと、を備えるものである。
【0016】
この構成により、所定の数のサブキャリアから信号の受信品質を示す第1の値が算出され、所定の数より多い数のサブキャリアから信号の受信品質を示す第2の値が算出され、第1の値と第2の値とが比較され、受信品質が良い方が採用される。このため、環境に左右されずに最適な測定結果を取得することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、異なる計算方法で算出した受信品質を示す値の、受信品質の良い方を採用して測定することにより、安定して信号を測定することができる信号処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る信号処理装置について詳細に説明する。
【0020】
図1において、本発明の一実施形態に係る信号処理装置を搭載した電波伝播測定装置1は、信号処理装置としての無線信号処理部10と、無線信号測定部11と、ユーザインターフェース部12と、制御部13とを含んで構成されている。
【0021】
無線信号処理部10は、アンテナ16を介して基地局2から受信した無線信号を、増幅や周波数変換などして無線信号測定部11に出力する。
【0022】
無線信号測定部11は、無線信号処理部10と接続され、無線信号処理部10の出力する無線信号の復調、復号を行なうとともに、SS−RSRP(Synchronization Signal-Reference Signal Received Power)、SS−SIR(Synchronization Signal-Signal to Interference Ratio)、SS−RSRQ(Synchronization Signal-Reference Signal Received Quality)、RSSI(Received Signal Strength Indicator)、遅延プロファイルなどを測定し、測定結果を制御部13に出力するようになっている。制御部13は、無線信号測定部11からの測定結果を時刻情報などと関連付けてハードディスク等に記憶しておき、ユーザの要求によりユーザインターフェース部12に表示出力させたり、ログとしてファイルに出力したりするようになっている。
【0023】
無線信号測定部11は、GPS(Global Positioning System)受信部14や内部クロック15からクロック信号を入力されるようになっている。無線信号測定部11は、GPS受信部14からのPPS(Pulse Per Second:1秒周期の信号)または内部クロック15からのクロック信号に基づいて無線信号の受信タイミングを測定するようになっている。なお、外部からGPS信号を入力するようにしてもよい。
【0024】
ユーザインターフェース部12は、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部121と、測定のパラメータの設定画面や無線信号測定部11の測定結果などを表示する表示部122とを備えている。入力部121は、タッチパッドやキーボードやプッシュボタンやロータリーノブなどによって構成される。表示部122は、液晶表示装置などによって構成される。
【0025】
制御部13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0026】
このコンピュータユニットのROM及びハードディスク装置には、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部13として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROM及びハードディスク装置に記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部13として機能する。なお、ハードディスク装置は、フラッシュメモリによるCF(Compact Flash)カード等であっても良い。
【0027】
制御部13の入出力ポートには、無線信号測定部11、ユーザインターフェース部12が接続され、制御部13と各部は信号の送受信をできるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態において、無線信号測定部11は、各処理を実行するようにプログラミングされたDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって構成されている。また、無線信号処理部10は、通信モジュールによって構成されている。
【0029】
このような電波伝播測定装置1において、制御部13は、例えば、表示部122に表示させた設定画面に対する入力部121への操作入力で設定された周波数の無線信号の測定を無線信号測定部11に行なわせる。
【0030】
制御部13は、表示部122に表示させた設定画面により、測定する無線信号の中心周波数や周波数帯域幅や測定する信号数などを入力部121から入力させる。測定する無線信号の中心周波数は、複数設定可能になっている。
【0031】
制御部13は、入力部121により入力された設定情報を無線信号測定部11に通知して、無線信号の測定を行わせる。
【0032】
無線信号測定部11は、制御部13から設定情報を通知されると、通知された中心周波数や周波数帯域幅を無線信号処理部10に通知して、その中心周波数や周波数帯域幅の無線信号を受信させる。
【0033】
無線信号処理部10は、無線信号測定部11から中心周波数や周波数帯域幅を通知されると、その中心周波数や周波数帯域幅の無線信号を受信し、増幅や周波数変換などして無線信号測定部11に出力する。
【0034】
無線信号測定部11は、無線信号処理部10の出力する無線信号の復調、復号を行なうとともに、SS−RSRP、SS−SIR、SS−RSRQ、RSSI、遅延プロファイルなどを測定し、測定結果を制御部13に出力する。
【0035】
制御部13は、無線信号測定部11の出力する測定結果に基づいて、入力部121の操作入力により選択された測定結果表示種別に応じて表示部122に表示させる画像を作成して表示部122に表示させる。
【0036】
本実施形態において、NRの無線信号を測定する場合、無線信号処理部10は、同期信号であるSSSを検出し、測定する。
【0037】
無線信号処理部10は、
図2に示すような機能ブロックによりSSSの検出と測定を行なう。
【0038】
図2において、無線信号処理部10は、BRAM(Block Random Access Memory)101と、BRAM102と、ミキサ103と、BRAM104と、第1受信品質算出部としての第1SSSSIR算出部105と、第2受信品質算出部としての第2SSSSIR算出部106と、DPRAM(Dual Port Random Access Memory)107と、BRAM108と、BRAM109と、ミキサ110と、BRAM111と、第1受信品質算出部としての第1DMRSSIR算出部112と、第2受信品質算出部としての第2DMRSSIR算出部113と、DPRAM114とを含んで構成されている。
【0039】
BRAM101は、受信信号のSSSのデータを保存する。SSSは127個のサブキャリアによって送信される。BRAM101には、127個のサブキャリアのデータが保存される。
【0040】
BRAM102には、3GPP(3rd Generation Partnership Project)による規格に規定されている3種類の理想のSSSの時間領域データが記憶されている。
【0041】
ミキサ103は、BRAM101に保存された受信したSSSと、BRAM102に記憶されている理想のSSSと、を複素乗算して、BRAM104に保存する。ミキサ103は、受信したSSSと、BRAM102に記憶されている理想のSSSと、を複素乗算することによりPCI(Physical Cell Identity)と無線フレームの先頭とを検出する。
【0042】
BRAM104は、ミキサ103において複素乗算された、127個のサブキャリアの複素乗算結果を保存する。
【0043】
第1SSSSIR算出部105は、BRAM104に保存された複素乗算結果に基づいてSSSの受信品質を示す値であるSIR(Signal to Interference Ratio)を算出する。
【0044】
第1SSSSIR算出部105は、例えば、4個のサブキャリアデータを使用して求めたSSSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算する。
【0045】
第2SSSSIR算出部106は、BRAM104に保存された複素乗算結果に基づいてSSSのSIRを算出する。
【0046】
第2SSSSIR算出部106は、例えば、16個のサブキャリアデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めたSSSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算する。
【0047】
DPRAM107は、第1SSSSIR算出部105の算出結果と、第2SSSSIR算出部106の算出結果と、を保存する。
【0048】
無線信号測定部11は、DPRAM107に保存された、第1SSSSIR算出部105の算出結果と、第2SSSSIR算出部106の算出結果と、を比較し、受信品質の良い方のデータを採用する。
【0049】
BRAM108は、受信信号のDMRSのデータを保存する。BRAM108には、120個のサブキャリアのDMRSのデータが保存される。
【0050】
BRAM109には、3GPPによる規格に規定されている8種類の理想のDMRSの時間領域データが記憶されている。
【0051】
ミキサ110は、BRAM108に保存された受信したDMRSと、BRAM109に記憶されている理想のDMRSと、を複素乗算して、BRAM111に保存する。ミキサ110は、受信したDMRSと、BRAM109に記憶されている理想のDMRSと、を複素乗算することによりSS Block Indexと無線フレームの先頭とを検出する。
【0052】
BRAM111は、ミキサ110において複素乗算された、120個のサブキャリアの複素乗算結果を保存する。
【0053】
第1DMRSSIR算出部112は、BRAM111に保存された複素乗算結果に基づいてDMRSのSIRを算出する。
【0054】
第1DMRSSIR算出部112は、例えば、4個のサブキャリアデータを使用して求めたDMRSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算する。
【0055】
第2DMRSSIR算出部113は、BRAM111に保存された複素乗算結果に基づいてDMRSのSIRを算出する。
【0056】
第2DMRSSIR算出部113は、例えば、16個のサブキャリアデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めたDMRSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算する。
【0057】
DPRAM114は、第1DMRSSIR算出部112の算出結果と、第2DMRSSIR算出部113の算出結果と、を保存する。
【0058】
無線信号測定部11は、DPRAM114に保存された、第1DMRSSIR算出部112の算出結果と、第2DMRSSIR算出部113の算出結果と、を比較し、受信品質の良い方のデータを採用する。
【0059】
このように、本実施形態では、第1SSSSIR算出部105では、4個のサブキャリアデータを使用して求めたSSSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算し、第2SSSSIR算出部106では、16個のサブキャリアデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めたSSSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算し、第1SSSSIR算出部105の算出結果と、第2SSSSIR算出部106の算出結果と、を比較し、受信品質の良い方のデータを採用する。
【0060】
これにより、2種類の方法でSIRが計算され、その計算結果が比較され、受信品質の良い方のデータが採用される。このため、環境に左右されずに最適な測定結果を取得することができる。
【0061】
また、第1DMRSSIR算出部112では、4個のサブキャリアデータを使用して求めたDMRSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算し、第2DMRSSIR算出部113では、16個のサブキャリアデータを使用し、さらに移動平均フィルタを用いて求めたDMRSのリソースエレメントのパワーと、リソースエレメントの期待値に対する誤差の干渉のパワーとから、SIRを計算し、第1DMRSSIR算出部112の算出結果と、第2DMRSSIR算出部113の算出結果と、を比較し、良い方のデータを採用する。
【0062】
これにより、2種類の方法でSIRが計算され、その計算結果が比較され、受信品質の良い方のデータが採用される。このため、環境に左右されずに最適な測定結果を取得することができる。
【0063】
サブキャリアデータのサンプル数を増やすことで、ノイズ抑圧を行なうことができる。しかし、サンプル数を増やすことによって、マルチパス、フェージングなどの影響により受信品質が悪くなることもある。このため、本実施形態では、サブキャリアデータのサンプル数の異なる計算方法で受信品質を示す値を算出し、受信品質の良い方のデータを採用している。このため、環境に左右されずに最適な測定結果を取得することができる。
【0064】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。