【解決手段】半導体装置の製造方法は、パッシベーション層が形成される前に、上部電極層の第1の端部に、パッシベーション層の対応する端部を支持するように犠牲部が形成され、パッシベーション層が全く浮遊しないようにするS200。このようにして、パッシベーション層の浮遊部は、コンタクトパッドの形成中に損傷を受けることはない。さらに、コンタクトパッドの形成S400後に、犠牲部が除去され、パッシベーション層の端部の下の空間を開放し、端部自体を浮遊部とするS500。
前記パッシベーション層が前記犠牲部の前記上面を完全に覆い、前記パッシベーション層の側面が前記犠牲部の側面と整列されるか、又は前記パッシベーション層が前記犠牲部の前記上面を部分的に覆い、前記犠牲部の前記側面が前記パッシベーション層の前記側面を超えて突出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記引き出し電極は、前記上部電極層を電気的に引き出すように構成され、前記パッシベーション層の前記形成の後に、前記引き出し電極に近接して位置する前記上部電極層の第2の端部が露出され、導電性材料を用いて前記引き出し電極に電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
逆圧電効果を示す圧電材料から形成される半導体装置は、水晶発振器及びフィルタの重要な構成要素であり、バルク弾性波(BAW)フィルタに頻繁に使用されている。
図1a〜1bは、従来の半導体装置の製造方法におけるステップにより得られる構造を概略的に示す。
図1a及び1bに示すように、この方法は、以下に詳述するステップを含む。
【0003】
ステップ1において、特に
図1aを参照すると、基板10が設けられ、基板10上に下部電極層21及び圧電材料層30が順次形成される。また、下部電極層21及び圧電材料層30上には、上部電極材料層40a及びパターニングされたパッシベーション層50が形成される。
【0004】
ステップ2において、特に
図1bを参照すると、エッチング処理を用いて上部電極材料層40aをエッチングすることによって、上部電極層40が形成される。
【0005】
具体的には、上部電極材料層40aのエッチング中に、エッチング処理で使用されるエッチング液が横方向にもエッチングし、パッシベーション層50の下の上部電極材料層40aの一部を除去し、得られる上部電極層40の各縁部がパッシベーション層50の対応する縁部よりも短くなるようにする。すなわち、パッシベーション層50の外縁は、上部電極層40を越えて延在している。その結果、圧電材料層30の上方に少なくとも部分的に浮遊(suspend)し、浮遊部51(suspended portion)が形成される。
【0006】
ステップ3において、リフトオフプロセスが実行され、上部電極層又は下部電極層を電気的に引き出すためのコンタクトパッドが形成される。
【0007】
具体的には、リフトオフプロセスは、まず、コンタクトパッドが形成される位置が露出されるように、パッシベーション層50を覆い、開口部が形成されたフォトレジスト層を基板10上に形成することと、次に、フォトレジスト層を部分的に覆い、開口部内に部分的に存在する導電性材料層を形成することと、続いて、開口部内に残存する導電性材料がコンタクトパッドを形成するように、フォトレジスト層をリフトオフして、フォトレジスト層を覆う導電性材料の一部を除去することと、を含むことができる。
【0008】
リフトオフプロセスでは、フォトレジストは、通常、フォトレジスト層上に高圧で液体を噴霧することによってリフトオフされることに留意されたい。しかしながら、パッシベーション層50に作用する場合、このような高い噴霧圧力は、浮遊部51に損傷を生じさせる可能性がある。これは通常、より低い噴霧圧力を使用することによって回避されるが、これはフォトレジスト層を完全に除去することができない場合がある。また、フォトレジストは、浮遊部51の下の空間に充填されやすく、フォトレジストの除去が不完全となる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、半導体装置の製造方法を提供することにより、従来の方法における上記問題、すなわち、パッシベーション層の浮遊部が容易に損傷することを解決することにある。
【0010】
この目的のために、本発明は、半導体装置の製造方法を提供する。本方法は、
下部電極層及び引き出し電極が上に形成された基板であって、下部電極層及び引き出し電極上に形成された圧電材料層をさらに有する基板を設けることと、
圧電材料層上に上部電極層及び犠牲部を形成することであって、犠牲部の側面は上部電極層の第1の端部の側面に隣接する、形成することと、
上部電極層の上面及び犠牲部の上面を覆い、犠牲部の少なくとも1つの側面が露出されるパッシベーション層を形成することと、
圧電材料層をエッチングして、引き出し電極が露出したコンタクトウィンドウを形成することと、引き出し電極上にコンタクトパッドを形成することであって、コンタクトパッドが引き出し電極に電気的に接続され、上部電極層又は下部電極層を電気的に引き出すように構成される、形成することと、
犠牲部を除去することであって、パッシベーション層の下にギャップを形成することにより、ギャップの上方のパッシベーション層の一部が浮遊部を画定する、除去することと、を含む。
【0011】
任意選択で、犠牲部は上部電極層の形成後に形成されてもよく、犠牲部を形成することは、
犠牲材料層を形成することと、
上部電極層の第1の端部の側面上の犠牲材料層の一部が残り、犠牲部を形成するように、犠牲材料層を部分的に除去することと、を含む。
【0012】
任意選択で、パッシベーション層によって覆われる犠牲部の一部は、0.7μm〜3μmの幅を有していてもよい。
【0013】
任意選択で、犠牲部を除去することは、湿式エッチング処理によって犠牲部をエッチング除去することを含んでいてもよい。
【0014】
任意選択で、パッシベーション層は犠牲部の上面を完全に覆ってもよく、パッシベーション層の側面が犠牲部の側面と整列される、又は、パッシベーション層が犠牲部の上面を部分的に覆い、犠牲部の側面がパッシベーション層の側面を超えて突出する。
【0015】
任意選択で、引き出し電極は、上部電極層を電気的に引き出すように構成されてもよく、パッシベーション層の形成後に、引き出し電極に近接して位置する上部電極層の第2の端部が露出され、導電性材料を用いて引き出し電極に電気的に接続される。
【0016】
任意選択で、コンタクトパッドの形成は、
圧電材料層及びパッシベーション層を覆い、開口部が形成されたフォトレジスト層を形成することであって、フォトレジスト層の開口部がコンタクトウィンドウを露出させる、形成することと、
引き出し電極に接続されるように、開口部において露出されたフォトレジスト層及びコンタクトウィンドウの内面を覆う導電性材料層を形成することと、
フォトレジスト層の上にある導電性材料層の一部が除去されるように、フォトレジスト層をリフトオフすることであって、開口部において導電性材料層の残りの部分がコンタクトパッドを形成する、リフトオフすることと、を含んでいてもよい。
【0017】
任意選択で、パッシベーション層の形成後に、引き出し電極に近い方の上部電極層の第2の端部を露出させてもよく、フォトレジスト層の形成中に、上部電極層の第2の端部及びコンタクトウィンドウの両方を開口部内に露出させ、導電性材料層は第2の端部をコンタクトパッドに電気的に接続するように、上部電極層の第2の端部も覆うように形成される。
【0018】
任意選択で、下部電極層の下の基板内に充填層を形成してもよく、本方法は、圧電材料層又は基板内に、充填層まで延在するスルーホールを形成することと、犠牲部を除去しながらスルーホールを介して充填層を除去することによって基板内にキャビティを形成することと、をさらに含む。
【0019】
任意選択で、半導体装置は、バルク音波フィルタを含んでいてもよい。
【0020】
上記に定義された方法に基づいて、本発明はまた、
基板と、
基板上の引き出し電極と、
基板上の下部電極層と、
基板上の圧電材料層であって、下部電極層及び引き出し電極の両方を覆い、コンタクトウィンドウが形成され、コンタクトウィンドウが引き出し電極に対して下方に延在する、圧電材料層と、
圧電材料層上の上部電極層であって、コンタクトウィンドウから遠い方の第1の端部を有する上部電極層と、
上部電極層上のパッシベーション層であって、上部電極層の第1の端部を越えて突出し、かつ、浮遊部を画定する端部を有するパッシベーション層と、
少なくともコンタクトウィンドウ内に形成されたコンタクトパッドであって、リードアウト引き出し電極と電気的に接続し、上部電極層又は下部電極層を電気的に引き出すように構成されたコンタクトパッドと、を備える半導体装置を提供する。
【0021】
本発明で提供される方法において、上部電極層が形成された後、犠牲部が上部電極層の第1の端部に形成され、パッシベーション層は、パッシベーション層が犠牲部によって対応する端部で支持され、全く浮遊されないように、上部電極層及び犠牲部の両方を覆う。その結果、パッシベーション層はより大きな圧力に耐えることができ、その後のプロセスにおいて端部で損傷を受けることがない。
【0022】
例えば、パッシベーション層は、コンタクトパッドを形成するためのリフトオフプロセスの間、破損することなく高い液体噴霧圧力に耐えることができ、フォトレジストの除去の間、さらに高いリフトオフ噴霧圧力を可能にする。これにより、フォトレジストのリフトオフ効率を高めることができ、不完全なフォトレジスト除去の問題を軽減する。さらに、リフトオフプロセスの間、パッシベーション層が全く浮遊していないので、パッシベーション層の下にフォトレジストは充填されない。これは、さらに、不完全なフォトレジスト除去の問題を軽減する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
背景技術の欄で説明したように、従来の半導体装置の製造中、パッシベーション層の浮遊部は後続のプロセスにおいて損傷を生じやすく、得られる半導体装置の性能に悪影響を及ぼす。この問題を克服するために、本明細書では、半導体装置の製造方法を提供する。例えば、
図2を参照すると、本方法は、
ステップS100において、下部電極層及び引き出し電極が上に形成された基板をであって、下部電極層及び引き出し電極上に形成された圧電材料層をさらに有する基板を設けることと、
ステップS200において、圧電材料層上に上部電極層及び犠牲部を形成することであって、犠牲部の側面は、上部電極層の第1の端部における側面に隣接する、形成することと、
ステップS300において、上部電極層の上面及び犠牲部の上面を覆い、犠牲部の少なくとも1つの側面が露出されるパッシベーション層を形成することと、
ステップS400において、圧電材料層をエッチングすることにより、引き出し電極が露出するコンタクトウィンドウを形成することと、引き出し電極上にコンタクトパッドを形成することであって、コンタクトパッドが引き出し電極に電気的に接続され、上部又は下部電極層を電気的に引き出すように構成される、形成することと、
ステップS500において、犠牲部を除去することによってパッシベーション層の下にギャップを形成することであって、これによって、ギャップの上方のパッシベーション層の一部が浮遊部を画定する、形成することと、を含む。
【0026】
したがって、本明細書に提供される方法では、コンタクトパッドの製造中の損傷から保護されることが求められるパッシベーション層の端部が、上部電極層の第1の端部に形成された犠牲部によって支持され、保護される。さらに、コンタクトパッドの形成後に、犠牲部が除去され、パッシベーション層の端部の下の空間を開放し、したがって、この端部を浮遊部にする。このようにして、得られる半導体装置の性能を確保することができる。
【0027】
提案された半導体装置及び方法は、特定の実施形態によって、及び添付の図面を参照して、以下においてより詳細に説明される。本発明の特徴及び利点は、以下の詳細な説明からより明らかにされる。図面は、必ずしも縮尺通りに提示されているわけではなく、実施形態を説明する際の便宜及び明確さを容易にすることのみを意図して、非常に簡略化された形態で提供されていることに留意されたい。
【0028】
図3a〜
図3gは、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法により得られる構造を概略的に示す図である。
【0029】
ステップS100において、特に
図3aを参照すると、基板100が設けられ、その上に下部電極層210及び引き出し電極220が順次形成される。さらに、圧電材料層300が、下部電極層210及び引き出し電極220の上に形成される。
【0030】
基板100は、半導体装置の実際の使用に応じて選択することができる。例えば、半導体装置は、バルク音波(BAW)フィルタであってもよい。この場合、基板は、ソリッドマウント共振器(SMR:solid mounted resonator)を形成するための複数のブラッグ(Bragg)反射層を含んでいてもよい。あるいは、基板は、フィルムバルク音響共振器(FBAR)を形成するためのキャビティを含んでいてもよい。
【0031】
また、下部電極層210を形成することができる材料としては、例えば、モリブデン(Mo)を含む金属材料を挙げることができる。圧電材料層300を形成することができる材料は、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)及びチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0032】
本実施形態では、引き出し電極220は、下部電極層210又はその後に形成される上部電極層を電気的に接続して、下部電極層210又は上部電極層を電気的に引き出すように構成されている。なお、引き出し電極220が下部電極層210を電気的に引き出すように構成されている場合には、下部電極層210の一部が引き出し電極220を構成しているものと考えることができる。あるいは、引き出し電極220が続いて形成される上部電極層を電気的に引き出すように構成される場合には、後続のプロセスにおいて、上部電極層を導電性材料によって引き出し電極220と電気的に接続させてもよい。
【0033】
引き出し電極220と下部電極層210とを同時に形成してもよい。このような形成は、例えば、基板100上に電極材料層を形成することと、その後、電極材料層をパターニングして引き出し電極220及び下部電極層210を形成することと、を含んでいてもよい。下部電極層210を電気的に引き出すように構成された引き出し電極220の場合には、引き出し電極220と下部電極層210とが互いに接続されるように形成されていてもよい。引き出し電極220が上部電極層を電気的に引き出すように構成されている場合には、引き出し電極220と下部電極層210とが互いに離間するように形成されていてもよい。
【0034】
ステップS200において、特に
図3bを参照すると、上部電極層410及び犠牲部420が圧電材料層300上に形成される。犠牲部420の側面は、上部電極層の第1の端部において上部電極層410の側面に隣接している。犠牲部420は、犠牲部420が占めていた空間を開放するために、その後除去される。
【0035】
また、単一の水平面上における下部電極層210の突出部と上部電極層410の突出部は少なくとも部分的に重なり合ってもよく、一方、単一の水平面上における上部電極層410の突出部と引き出し電極220の突出部は、少なくとも部分的に重なり合わなくてもよい。この実施形態では、引き出し電極220が上部電極層410の片側に位置する。上部電極層410の引き出し電極220に近い方の端部は、その第2の端部として画定され、一方、上部電極層410の引き出し電極220から遠い方の端部はその第1の端部として画定される。
【0036】
上部電極層410は、下部電極層210と同一の材料で形成することができる。犠牲部420を形成することができる材料は、絶縁材料を含んでいてもよい。より具体的には、絶縁材料としては酸化シリコン、窒化シリコン等を挙げることができる。
【0037】
引き続き
図3bを参照すると、犠牲部420の上面は、上部電極層410の上面と整列される。また、犠牲部420は例えば、上部電極層410の形成に続いて、犠牲材料層を形成することと、その後、犠牲材料層の一部を除去することであって、犠牲材料層の残りの部分がその第1の端部において上部電極層410の側面に隣接し、犠牲部420を形成する(すなわち、その第1の端部において上部電極層410の側面に隣接する犠牲材料層の残りの部分が犠牲部を構成する)ように、犠牲材料層の一部を除去することと、を含む方法によって形成されてもよい。
【0038】
ステップS300において、特に
図3cを参照すると、上部電極層410の上面及び犠牲部420の上面を覆うパッシベーション層500が形成され、犠牲部420の少なくとも1つの側面が露出したままである。すなわち、パッシベーション層500は、犠牲部420のいかなる側面も覆わない。パッシベーション層500は例えば、圧電材料層300と同じ材料で形成されていてもよい。この材料の例としては、窒化アルミニウム(AlN)等が挙げられる。
【0039】
具体的には、犠牲部420を上部電極層410の第1の端部における側面に形成した状態で、パッシベーション層500は、上部電極層410から遠い方のパッシベーション層500の側面が上部電極層410から遠い方の犠牲部420の側面を越えて延在しないように、上部電極層410及び犠牲部420の両方を覆うように延在することができる。
【0040】
なお、上部電極層410から遠い方のパッシベーション層500の側面が、上部電極層410から遠い方の犠牲部420の側面を越えて延在しない配置は、パッシベーション層500が犠牲部420の上面全体を覆い、その側面が犠牲部420の側面と整列するようにするか、又はパッシベーション層500が犠牲部420の上面の一部のみを覆い、犠牲部420の側面がパッシベーション層500の側面を越えて延在するようにする。これにより、上部電極層410及び犠牲部420は、上部のパッシベーション層500を良好に支持することができる。すなわち、パッシベーション層500は、浮遊部を有していない。その結果、パッシベーション層500は、後続のプロセスにおいて損傷を受けることなく、より大きな力に耐えることができる。
【0041】
後続のプロセスでは、犠牲部420が除去され、パッシベーション層500によって以前に覆われた犠牲部420の部分の幅Dに等しい幅を有するパッシベーション層500の浮遊部が形成される。パッシベーション層500によって覆われる犠牲部420の部分の幅Dは例えば、0.7μm〜3μmの範囲とすることができる。したがって、パッシベーション層500の浮遊部の幅も、例えば、0.7μm〜3μmの範囲とすることができる。本実施形態では、上部電極層410から遠い方のパッシベーション層500の側面が、上部電極層410から遠い方の犠牲部420の側面と整列される。したがって、犠牲部420の結果として得られる浮遊部の幅は、犠牲部420の幅に等しい。
【0042】
なお、パッシベーション層500は、その端部が犠牲部420に支持されているため、破損(クラック)しにくい。このため、犠牲部420の幅を広げることにより、浮遊部の幅をさらに広げることができる。
【0043】
本実施形態は、引き出し電極220が上部電極層410を電気的に引き出すように構成されている、上述の例示的な文脈でさらに説明される。したがって、さらなる実装態様では、本方法はまた、以下のステップを含む。
【0044】
特に
図3dを参照すると、パッシベーション層500の引き出し電極220に近い方の端部は、上部電極層410の引き出し電極220に近い方の第2の端部の部分が露出するように除去される。これにより、上部電極層410は、導電性材料を使用して、第2の端部において、引き出し電極220により良好に電気的に接続することが可能になる。
【0045】
なお、本実施形態では、パッシベーション層500がパッシベーション材料に対して2つのエッチング処理を行うことによって形成され、第2のエッチング処理において上部電極層410の第2の端部が露出される。しかしながら、他の実施形態では、パッシベーション層500の形成がパッシベーション材料に対して単一のエッチング処理を実行することによって達成されてもよく、これは上部電極層410の第2の端部の露出につながる。
【0046】
ステップS400において、特に
図3e及び3fを参照すると、圧電材料層300は、その中にコンタクトウィンドウ310が形成されるようにエッチングされ、コンタクトウィンドウ310中に引き出し電極220が露出される。次いで、コンタクトパッド600が引き出し電極220上に形成され、コンタクトパッド600は、引き出し電極220に電気的に接続され、上部電極層410又は下部電極層210を電気的に引き出すように構成される。
【0047】
上述したように、本実施形態では、引き出し電極220が上部電極層410に電気的に接続されている場合を例に挙げて説明した。したがって、コンタクトウィンドウ310は、上部電極層410の第2の端部にコンタクトウィンドウ310が近接し、引き出し電極220がコンタクトウィンドウ310に露出されるように、上部電極層410の第2の端部の周囲に形成されてもよい。このようにして、コンタクトウィンドウ310は、コンタクトパッド600の引き出し電極220への電気的接続と、上部電極層410の引き出し電極220及びコンタクトパッド600の両方への電気的接続とをいずれも可能にする。
【0048】
さらに、コンタクトパッド600は、リフトオフプロセスによって形成されてもよい。具体的には、コンタクトパッド600を形成するためのリフトオフプロセスは、以下に詳述されるステップを含むことができる。
【0049】
ステップ1では、圧電材料層300及びパッシベーション層500を覆うフォトレジスト層が形成され、フォトレジスト層に開口部が形成され、この開口部内にはコンタクトウィンドウ310があり、したがって、コンタクトウィンドウ310の中の引き出し電極220が露出される。
【0050】
本実施形態では、引き出し電極220が上部電極層410の電気的接続のために構成される。したがって、上部電極層410の第2の端部及び引き出し電極220は、いずれもフォトレジスト層の開口部において露出されてもよい。そのように、電気的接続は、続いて、上部電極層410の第2の端部と引き出し電極220との間の導電性材料によって確立することができる。
【0051】
フォトレジスト層の開口部の幅は、開口部の側面が傾斜するように、底部から上方に向かって徐々に減少してもよい。具体的には、フォトレジスト層内の開口部は、例えば台形状の断面を有していてもよい。これは、フォトレジスト層の開口部の側面上の導電性材料のその後の堆積を効果的に低減することができ、フォトレジスト層のリフトオフをより容易にする。
【0052】
ステップ2では、導電性材料層が形成され、導電性材料層は、フォトレジスト層の上面を部分的に覆い、開口部内に露出したコンタクトウィンドウ310内に部分的に存在し、したがって、引き出し電極220を接続する。本実施形態では、導電性材料層は、部分的に、コンタクトウィンドウ310内及び引き出し電極220上に存在する。導電性材料層は、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つを含む材料から、蒸着プロセスによって形成されてもよい。
【0053】
また、上部電極層410の第2の端部及びコンタクトウィンドウ310内の引き出し電極220は、いずれもフォトレジスト層内の開口部において露出されているので、開口部内に堆積された導電性材料層の部分は上部電極層410の第2の端部と引き出し電極220とに接続される。
【0054】
上述したように、本実施形態では、フォトレジスト層の開口部の側面が傾斜するにつれて、蒸着による導電性材料層の形成時に、フォトレジスト層の開口部の側面上への導電性材料の堆積が効果的に回避され、開口部内に存在する導電性材料層の部分と、フォトレジスト層の上面上に存在する導電性材料層の部分とを分離するのに役立つ。これは、フォトレジスト層のその後の除去をより容易にすることができる。
【0055】
ステップ3では、フォトレジスト層をリフトオフして、フォトレジスト層を覆う導電性材料層の部分を除去し、その結果、開口部に残留する導電性材料層の部分が、上部又は下部電極層に電気的に接続されるコンタクトパッド600を構成する。本実施形態では、コンタクトパッド600は、上部電極層410に電気的に接続される。
【0056】
具体的には、フォトレジスト層のリフトオフは、通常、かなりの圧力でフォトレジスト層上に液体を噴霧することによって達成される。なお、従来、フォトレジスト層が形成される前に、パッシベーション層500は部分的に浮遊されており、フォトレジスト層のリフトオフ中に大きな噴霧圧力によって応力が加えられると、パッシベーション層の浮遊部は破損しやすい。
【0057】
これとは対照的に、本実施形態では、フォトレジスト層のリフトオフ中、パッシベーション層500は犠牲部420の存在のためにまったく浮遊せず、したがって、より高い噴霧圧力でさえ崩壊しない。したがって、任意選択で、フォトレジスト層のより高い除去効率を達成するために、噴霧圧力を増大させることができる。
【0058】
さらに、フォトレジスト層は、しばしばコーティングプロセスによって形成されることにも留意されたい。このため、例えば、従来では、コーティングプロセス中に浮遊部の下の隙間にもフォトレジストが充填される傾向にある。例えば、
図1bに示すように、パッシベーション層上にフォトレジスト層を直接形成する間に、フォトレジストの一部が、浮遊部の下の空間に充填されることが起こりやすい。これは、その後のフォトレジスト層のリフトオフ中に除去することが困難である。これとは対照的に、本実施形態では、フォトレジスト層を形成する前に、犠牲部420が存在するために、パッシベーション層の端部の下に、フォトレジストを充填することができる空間がない。したがって、残留するフォトレジストの問題が効果的に軽減される。
【0059】
ステップS500において、特に
図3gを参照すると、犠牲部420が除去され、パッシベーション層500の下にギャップが形成され、ギャップの上のパッシベーション層500の一部が浮遊部510を画定する。具体的には、犠牲部は、横方向湿式エッチング処理によって除去されてもよい。
【0060】
なお、BAWフィルタに使用される半導体装置の場合、パッシベーション層500の浮遊部510は、その中に励起された横方向音波が装置から散乱されることを容易にし、その中に留まって有害な横モードを励起しないので、BAWフィルタに改善された品質係数(Q値)を付与することができる。加えて、パッシベーション層500の浮遊部510は、半導体装置の寄生容量を効果的に減少させることもできる。
【0061】
さらに、特定の実施形態では、本方法は、下部電極層210の下の基板100にキャビティを形成することをさらに含んでいてもよい。具体的には、キャビティの形成は、
まず、下部電極層を形成する前に、基板100に凹部を形成することと、凹部に充填層を充填することであって、充填層は後に形成される犠牲部と同じ材料、例えば酸化シリコンから形成されてもよく、その結果、充填層は後に犠牲部に沿って除去されてもよい、充填することと、
次いで、上述のようにステップS100〜S400を連続的に実行することと、ステップS100〜S400の実行中にスルーホールを形成することであって、スルーホールは圧電材料層300を通って充填層まで延在する、形成することと、
その後、ステップS500において、キャビティが基板100内に形成されるように、スルーホールを介して充填層を除去することと、を含んでいてもよい。このため、本実施形態では、犠牲部420の除去と同じ工程で充填層を除去することができる。これにより、プロセス全体を簡略化し、工程数を削減することができる。
【0062】
もちろん、代替的な実施形態では、スルーホールを充填層の下の基板100に形成して、その上部が充填層に位置するようにしてもよい。この場合、キャビティは、基板100の裏面から充填層を除去することによって形成することができる。
【0063】
以上の方法に基づいて、本実施形態では、
図3gに示すように、半導体装置も提供され、半導体装置は、
基板100と、
基板100上の引き出し電極220と、
基板100上の下部電極層210と、
下部電極層210及び引き出し電極220の両方を覆う基板100上の圧電材料層300であって、圧電材料層300内には引き出し電極220まで下方に延在するコンタクトウィンドウが形成される、圧電材料層300と、
圧電材料層300上の上部電極層410であって、コンタクトウィンドウから遠い方の端部が第1の端部として画定される上部電極層410と、
上部電極層410上のパッシベーション層500であって、浮遊部510を画定するように上部電極層410の第1の端部を越えて延設され、パッシベーション層500の浮遊部510が例えば0.7μm〜3μmの範囲の幅を有する、パッシベーション層500と、
引き出し電極220を電気的に接続するように少なくともコンタクトウィンドウ内に形成されたコンタクトパッド600であって、上部又は下部電極層を電気的に導出するように構成されたコンタクトパッド600と、を備える。
【0064】
本実施形態では、引き出し電極220が上部電極層410を電気的に接続するように構成される。したがって、引き出し電極220と下部電極層210とは、基板100上で互いに離間していてもよい。さらに、上部電極層410は、パッシベーション層500から露出されるように、コンタクトウィンドウの第2の端部に近接して形成されてもよい。また、引き出し電極220を電気的に接続するようにコンタクトウィンドウを充填することに加えて、コンタクトパッド600は、上部電極層410の第2の端部を覆ってもよく、したがって、上部電極層410をさらに電気的に接続してもよい。
【0065】
もちろん、代替的な実施形態では、引き出し電極220が下部電極層210を電気的に接続することができる。これらの実施形態では、引き出し電極220と下部電極層210とは基板100上で互いに接続されていてもよい。
【0066】
要約すれば、本実施形態に係る半導体装置では、保護しようとするパッシベーション層の端部が犠牲部によって支持されて浮遊されず、したがって、大きな圧力に耐えることができる。したがって、パッシベーション層の端部は、その後のコンタクトパッドの形成中に損傷を受けない。さらに、コンタクトパッドの形成に続いて、犠牲部が除去され、パッシベーション層の端部の下の空間を解放し、この部分を浮遊部にする。これにより、半導体装置の良好な性能を確保することができる。特に、リフトオフプロセスを用いて製造されるコンタクトパッドの場合、パッシベーション層は破損することなく高い液体噴霧圧力に耐えることができ、フォトレジスト除去においてさらに高い液体噴霧圧力を使用することができる。その結果、フォトレジストのリフトオフ効率の改善が得られ、不完全なフォトレジスト除去の問題を軽減できる。
【0067】
したがって、コンタクトパッドの形成前にパッシベーション層の浮遊部を形成する従来の方式と比較して、本実施形態に係る方法は、後に形成される浮遊部への以前のプロセスのいかなる影響も無害にし、従来の方式でしばしば見られるようなパッシベーション層の浮遊部が容易に破損するという問題に対処する。
【0068】
さらに、従来、パッシベーション層の浮遊部は、リフトオフプロセスを使用してコンタクトパッドを形成する前に既に存在しているので、リフトオフプロセス中に、フォトレジストが浮遊部の間のギャップに部分的に充填され、除去されにくくなる傾向がある。従来の方式と比較すると、本実施形態では、リフトオフプロセスの間、パッシベーション層は全く浮遊されず、あらゆるリフトオフプロセスでパッシベーション層の下に充填される可能性がなくなる。これにより、残留するフォトレジストの問題を効果的に軽減することができる。
【0069】
いくつかの好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの実施形態に限定されることは決して意図されていないことに留意されたい。上記の教示に鑑みて、当業者は本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の主題に様々な可能な変形及び変更を加えることができ、又は本発明の主題を同等の代替形態に修正することができる。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく行われる、このような単純な変形例、同等の代替形態、及び修正形態のいずれか及びすべては、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0070】
また、本明細書で使用される用語「第1」、「第2」、「第3」などは、別段の指定又は指示がない限り、様々な構成要素、要素、ステップなどを区別することのみを意図しており、それらの間の任意の論理的又は順序的関係を暗示するものではないことに留意されたい。
【0071】
また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけに使用され、本発明の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」及び「an」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。したがって、たとえば、「ステップ」又は「手段」への言及は、1つ又は複数のステップ又は手段への言及であり、サブステップ及び従属手段を含むことができる。使用されるすべての組み合わせはできるだけ包括的な意味で理解されるべきであり、したがって、文脈上明らかにそうでない場合を除き、単語「又は」は、論理的な「排他的又は」の定義ではなく、論理的な「又は」の定義を有すると理解されるべきである。本発明の実施形態に係る方法及び/又は装置の実施は、特定の選択されたタスク又はステップを手動で、自動的に、又はそれらの組み合わせで実行又は完了することを含む。
【0072】
説明を容易にするために、「上」、「下」、「上部」、及び「下部」などの相対的な空間用語は、実施形態を示す添付の図面のように、1つの要素若しくは構成要素が別の要素若しくは構成要素に、又は、他の複数の要素若しくは複数の構成要素にどのように関連するかを説明するために、本明細書で開示するいくつかの実施形態の説明において使用されてもよい。図示されたものとは別に、そのような相対的な空間用語は、図示された装置の使用又は動作において想定され得る様々な向きを説明することも意図されていることを理解されたい。例えば、装置が上下逆になった場合、他の要素又は構成要素の「下方」又は「下」にあると記載された要素又は構成要素は、他の要素又は構成要素の「上方」又は「上」にあると記載される。