特開2021-164426(P2021-164426A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 サン・フローラの特許一覧

<>
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000003
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000004
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000005
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000006
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000007
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000008
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000009
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000010
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000011
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000012
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000013
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000014
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000015
  • 特開2021164426-シート用防虫止め具 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-164426(P2021-164426A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】シート用防虫止め具
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/14 20060101AFI20210917BHJP
   A01M 29/08 20110101ALI20210917BHJP
   A01G 13/02 20060101ALI20210917BHJP
【FI】
   A01G9/14 P
   A01M29/08
   A01G9/14 H
   A01G13/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-69151(P2020-69151)
(22)【出願日】2020年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】313009464
【氏名又は名称】株式会社 サン・フローラ
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 日登詩
【テーマコード(参考)】
2B024
2B029
2B121
【Fターム(参考)】
2B024EC05
2B029BE02
2B029CA12
2B029CA16
2B121AA11
2B121DA27
2B121EA30
2B121FA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ネットやシートを支柱などに固定する固定具に防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供する。
【解決手段】シート状部材を挟んで支柱部材に嵌着させることによって、シート状部材を支柱部材に固定するシート用防虫止め具1Aであって、外側表面部の少なくとも一部に、光を反射する光輝材2を含む反射部が形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材を挟んで支柱部材に嵌着させることによって、前記シート状部材を支柱部材に固定するシート用防虫止め具であって、
外側表面部の少なくとも一部に、光を反射する光輝材を含む反射部が形成されていることを特徴とするシート用防虫止め具。
【請求項2】
前記光輝材は、粉末状の雲母粉末、粉末状の金属膜および金属を蒸着させた粉末状の薄膜の少なくとも何れか1つが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のシート用防虫止め具。
【請求項3】
前記反射部の少なくとも一部の色が、透明または半透明の略灰色であることを特徴とする請求項1または2項に記載のシート用防虫止め具。
【請求項4】
前記略灰色が、32ビットのRGBカラーモデルにおいて、(R,G,B)=(Y±α,Y±β,Y±γ)の関係式が成り立つことを特徴とする請求項3に記載のシート用防虫止め具。
(ただし、Yは2以上227以下の整数であり、α、β、γは、それぞれ1〜50の範囲の整数である。
【請求項5】
前記光輝材は、パール顔料であり、
前記反射部は、少なくとも表面に形成された前記パール顔料を含む膜であることを特徴とする請求項1に記載のシート用防虫止め具。
【請求項6】
前記反射部は、前記シート状部材側の反対側の外側表面部に形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のシート用防虫止め具。
【請求項7】
前記シート用防虫止め具は、
前記シート状部材を挟んで前記支柱部材を挟持する挟持部を有し、
前記挟持部は、軸線方向に開口した開口部と、前記シート状部材を挟んで前記支柱部材の表面と嵌合する内周面とを有し、
前記挟持部の両端部には係止部が形成され、当該係止部の軸線方向端部の少なくともいずれか一方の開口方向の幅が小さいことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のシート用防虫止め具。
【請求項8】
前記シート用防虫止め具は、
前記シート状部材を支柱部材に固定する筒状の第1嵌着部と、
前記シート状部材を挟んで前記支柱部材に嵌着し、または前記支柱部材に直接嵌着することができる筒状の第2嵌着部と、
前記第1嵌着部と前記第2嵌着部とに接続され、前記支柱部材に対して凹部を有する連結部とを具備し、
前記第1嵌着部は、前記シート状部材を挟んで挟持する第1挟持部を有し、
前記第1挟持部は、軸線方向に開口した第1開口部と、前記シート状部材を挟んで前記支柱部材の表面と嵌合する第1内周面とを有し、
前記第2嵌着部は、前記シート状部材を挟んで挟持する第1挟持部を有し、
前記第2挟持部は、軸線方向に開口した第2開口部と、直接または前記シート状部材を挟んで前記支柱部材の表面と嵌合する第2内周面と、第2開口部の左右両側部に前記第2開口部の反対側方向に突出する2つの摘み片とを有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のシート用防虫止め具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状部材を支柱部材に対して固定するための止め具に関するものであり、特にビニールハウス等の設備において、害虫等を寄せ付けない防虫機能を有するシート用止め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
園芸用のビニールハウス等はパイプ状の骨組みと、その骨組みを覆うように設置されるビニールシート等のシート状部材とで構成されている。そして、シート状部材は、シート用止め具等によってその骨組みに固定されている。
【0003】
シート用止め具としては、例えば、特許文献1に開示されている農園芸用のシート止着具等が挙げられる。このシート止着具は、上下一対の止着部材の内端相互が、後方向に突に屈曲されて凹部を有する可撓性の突状連結片で連結されてなり、該止着部材は、前記樹脂シートを介在させて前記支柱を弾性的に挾持し得る筒状挾持部を具え、該筒状挾持部は、その前端周面部が、該筒状挾持部の中心を通る軸線方向に開口し且つ開口部が弾性的に拡開し得る筒状を呈し、該筒状挾持部の該開口部の左右両側部に、後方に向けて摘み片が突設されており、両摘み片を内向きに摘むことにより前記開口部を弾性的に拡開でき、又、上下の筒状挾持部が前記支柱を挾持した状態で前記突状連結片の前記凹部と前記支柱との間に形成される収容空間部に、前記たくし上げシート部分を収容状態に保持可能となるように構成されており、前記筒状挾持部の開閉をより容易且つ確実に行い得るという効果を奏するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3167867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、防虫機能を有するネットやシートが販売されている。そして、これらを用いることによって、ビニールハウス等に防虫機能を持たせることが可能となる。
【0006】
しかしながら、このようなネットやシートは固定具によって支柱などに固定されるが、防虫機能を有する固定具が存在しないという問題点があった。
【0007】
固定具に防虫剤等を塗布することで、固定具に防虫機能を付加することも考えられるが、防虫剤を塗布する手間や費用、さらには塗布する防虫剤の量によっては環境に影響を与える可能性があるという問題点があった。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑み、防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究開発を続けた結果、以下のような画期的な防虫機能を有するシート用防虫止め具を見出した。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、シート状部材を挟んで支柱部材に嵌着させることによって、シート状部材を支柱部材に固定するシート用防虫止め具であって、外側表面部の少なくとも一部に、光を反射する光輝材を含む反射部が形成されていることを特徴とするシート用防虫止め具にある。
【0011】
ここで、「シート状部材」とは、シート状のものだけではなく、ネット状のもの(防虫ネットや鳥よけネット等)や寒冷紗のような被覆部材を含む概念である。また、「光輝材」とは、金属片、金属のような光沢を示す金属顔料、光の多重反射によって真珠のような光沢を示すパール顔料、玉虫色のような光沢を示す顔料を含む概念である。
【0012】
かかる第1の態様では、反射部には光輝材が含まれているので、光輝材によって反射された光によって虫(害虫)がシート用防虫止め具に近づくのを防止することができる。その結果、高い防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供することができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、光輝材は、粉末状の雲母粉末、粉末状の金属膜および金属を蒸着させた粉末状の薄膜の少なくとも何れか1つであることを特徴とする第1の態様に記載のシート用防虫止め具にある。
【0014】
ここで、「粉末状」とは、粉末状であれば形状は特に限定されないが、例えば、形状が粒状の場合は、1辺の長さが0.1mm〜1.0mmの範囲にある形状(立方体、直方体、球、回転楕円体等)が好ましく、1辺の長さが0.1mm〜0.5mmの範囲にある形状がより好ましく、1辺の長さが0.1mm〜0.25mmの範囲にある形状が特に好ましい。また、形状が薄膜状の場合は、1辺の長さが0.1mm〜1.0mmの範囲にある形状(正方形、長方形、円、楕円等)が好ましく、1辺の長さが0.1mm〜0.5mmの範囲にある形状がより好ましく、1辺の長さが0.1mm〜0.25mmの範囲にある形状が特に好ましい。
【0015】
かかる第2の態様では、光輝材として、粉末状の雲母粉末、粉末状の金属膜および金属を蒸着させた粉末状の薄膜が含まれているので、それらによってランダムな方向に光が反射される。その結果、より容易にかつ安価にシート用防虫止め具を提供することができる。
【0016】
本発明の第3の態様は、反射部の色の少なくとも一部が、透明または半透明の略灰色であることを特徴とする第1または第2の態様の何れか1つに記載のシート用防虫止め具にある。
【0017】
ここで、「半透明」とは、完全に透明ではなく、ある程度透き通っており、反射部に含まれる光輝材が見えるような状態を含む概念である。
【0018】
また、「略灰色」とは、通常の健常者が見て灰色と認識できる色をいい、例えばRGBカラーモデル(32ビット)において、(R,G,B)=(Y±α,Y±β,Y±γ)の関係式が成り立つ色およびその近傍に位置する色が挙げられる。なお、Yは2以上227以下の整数であり、α、β、γは、それぞれ1〜50の範囲の整数を示す。
【0019】
かかる第3の態様では、外側表面部の色の少なくとも一部が、透明または半透明の略灰色であることから、虫(害虫を含む)がシート用防虫止め具に近づくのを防止することができる。その結果、より高い防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供することができる。
【0020】
本発明の第4の態様は、略灰色が、32ビットのRGBカラーモデルにおいて、(R,G,B)=(Y±α,Y±β,Y±γ)の関係式が成り立つことを特徴とする第3の態様に記載のシート用防虫止め具にある。(ただし、Yは2以上227以下の整数であり、α、β、γは、それぞれ1〜50の範囲の整数である。)
【0021】
かかる第4の態様では、反射部との相乗効果が得られ、さらに高い防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供することができる。
【0022】
本発明に係る第5の態様は、光輝材は、パール顔料であり、前記反射部は、少なくとも表面に形成された前記パール顔料を含む膜であることを特徴とする第1の態様に記載のシート用防虫止め具にある。
【0023】
ここで「パール顔料」とは、真珠のような光沢を再現できる顔料をいい、例えば、白雲母を二酸化チタンでコーティングした雲母チタン顔料等が挙げられる。
【0024】
かかる第5の態様では、反射部の表面にパール顔料を含む膜が形成されているので、光沢のある反射光が反射される。その結果、虫(害虫を含む)がシート用防虫止め具に近づくのを防止することができる。
【0025】
本発明の第6の態様は、反射部は、シート状部材の反対側の外側表面部に形成されていることを特徴とする第1〜第5の態様の何れか1つに記載のシート用防虫止め具にある。
【0026】
かかる第6の態様では、シート状部材の反対側の外側表面部に光輝材が含まれているので、光輝材によって反射された光によって害虫を含む虫がシート用防虫止め具に近づくのをより防止することができる。その結果、より高い防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供することができる。
【0027】
本発明の第7の態様は、シート用防虫止め具は、シート状部材を挟んで支柱部材を挟持する挟持部を有し、挟持部は、軸線方向に開口した開口部と、シート状部材を挟んで支柱部材の表面と嵌合する内周面とを有し、挟持部の両端部には係止部が形成され、係止部の軸線方向端部の少なくともいずれか一方の開口方向の幅が小さいことを特徴とする第1〜第6の態様の何れか1つに記載のシート用防虫止め具にある。
【0028】
かかる第7の態様では、構造が単純で破損し難く、製造コストが低い、防虫機能を有するシート用防虫止め具を提供することができる。また、本態様のシート用防虫止め具は、係止部の軸線方向端部の少なくともいずれか一方の開口方向の幅が小さいので、支柱部材に取り付け易く、かつ支柱部材から取り外しやすいという効果を奏する。
【0029】
本発明の第8の態様は、シート用防虫止め具は、シート状部材を支柱部材に固定する筒状の第1嵌着部と、シート状部材を挟んで支柱部材に嵌着し、または支柱部材に直接嵌着することができる筒状の第2嵌着部と、第1嵌着部と第2嵌着部とに接続され、支柱部材に対して凹部を有する連結部とを具備し、第1嵌着部は、シート状部材を挟んで挟持する第1挟持部を有し、第1挟持部は、軸線方向に開口した第1開口部と、シート状部材を挟んで支柱部材の表面と嵌合する第1内周面とを有し、第2嵌着部は、シート状部材を挟んで挟持する第1挟持部を有し、第2挟持部は、軸線方向に開口した第2開口部と、直接またはシート状部材を挟んで支柱部材の表面と嵌合する第2内周面と、第2開口部の左右両側部に第2開口部の反対側方向に突出する2つの摘み片とを有することを特徴とする第1〜第6の態様の何れか1つに記載のシート用防虫止め具にある。
【0030】
ここで、「筒状」とは、断面が円状のものだけでなく、U字状やC字状のものおよびそれらに近似する形状を含む概念である。
【0031】
かかる第8の態様では、第2嵌着部の2つの摘み片を2つの摘み片が成す角の角度が小さくなる方向(内向き)に掴むことにより、第2開口部を容易に開口させることができるので、第2嵌着部を支柱部に容易に脱着させることができる。さらに、連結部を有するので、シート状部材をたくし上げた際に形成される、たくし上げシート部を連結部の凹部に収容できる。その結果、第2嵌着部を脱着した後、シート状部材をたくし上げて、たくし上げシート部を連結部の凹部に収容して第2嵌着部を支柱部に嵌着させることができると共に、再度第2嵌着部を支柱部から脱着させた後、たくし上げシート部を元の状態(単なるシート状)に戻した上で、シート状部材を挟んで支柱部に嵌着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は実施形態1に係るシート用防虫止め具の使用形態を示す概略図である。
図2図2は実施形態1に係るシート用防虫止め具の概略斜視図である。
図3図3は実施形態1に係るシート用防虫止め具の概略上面図である。
図4図4は実施形態1に係るシート用防虫止め具の概略正面図である。
図5図5は実施形態1に係るシート用防虫止め具の概略底面図である。
図6図6は実施形態1に係るシート用防虫止め具の概略側面図である。
図7図7は実施形態2に係るシート用防虫止め具の概略斜視図である。
図8図8は実施形態2に係るシート用防虫止め具の概略正面図である。
図9図9は実施形態2に係るシート用防虫止め具の概略背面図である。
図10図10は実施形態2に係るシート用防虫止め具の概略側面図である。
図11図11はX−X’面におけるシート用防虫止め具の概略断面図である。
図12図12はY−Y’面におけるシート用防虫止め具の概略断面図である。
図13図13は実施形態2に係るシート用防虫止め具の使用態様(シートを固定)の一例を示す図である。
図14図14は実施形態2に係るシート用防虫止め具の使用態様(シートたくし上げ部を固定)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るシート用防虫止め具の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係るシート用防虫止め具1は、ビニールハウス等の設備において、その骨組みであるパイプ状の支柱部材300にシート状部材500を固定するためのものである。
【0035】
図2図6に示すように、シート用防虫止め具1は筒状(断面略U字状)の形状を成している。図2は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略斜視図であり、図3は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略上面図であり、図4は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略正面図であり、図5は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略底面図であり、図6は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略側面図である。
【0036】
そして、シート用防虫止め具1は、粉末状の光輝材2が多数含まれた透明または半透明の樹脂で一体的に形成されている。したがって、シート用防虫止め具1に入射した光は、光輝材2によって反射され、虫を寄せ付け難くする。その結果、シート用防虫止め具1は、虫が近づかなくなるという防虫効果を有することになる。なお、本実施形態では、防虫シート1の全体に光輝材2が含まれているので、シート用防虫止め具1全体が反射部に相当する。
【0037】
また、本発明に関係する虫は特に限定されないが、例えば、蝶々、蛾、毛虫、青虫、等が挙げられる。
【0038】
ここで、本実施形態の光輝材2は、光を反射することができるものであれば特に限定されない。光輝材2としては、例えば、形状が粒状の場合は、1辺の長さが0.1mm〜1.0mmの範囲にある形状(立方体、直方体、球、回転楕円体等)の雲母粉末、金属膜および金属を蒸着させた粉末状の薄膜等が挙げられる。なお、光輝材2に用いられる金属としては、光を反射する金属であれば特に限定されないが、例えば表面が着色されたアルミニウム等が挙げられる。
【0039】
また、光輝材2以外のシート用防虫止め具1を構成する材質としては、透明または半透明で弾力性を有するものであれば特に限定されない。光輝材2以外のシート用防虫止め具1を構成する材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール、ABS樹脂、アクリル、ナイロン、ポリスチレン、ポリカーボネイトおよびポリウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0040】
さらに、シート用防虫止め具1の色は、特に限定されないが、略灰色が好ましい。ここで、略灰色とは、通常の健常者が見て灰色と認識できる色をいい、例えばRGBカラーモデル(32ビット)において、(R,G,B)=(Y±α,Y±β,Y±γ)の関係式が成り立つ色およびその近傍に位置する色が挙げられる。なお、Yは2以上225以下の整数であり、α、β、γは、それぞれ1〜50の範囲の整数が好ましいが、Yは2以上218以下の整数がより好ましく、Yは2以上215以下の整数がさらに好ましく、2以上212以下の整数が特に好ましい。
【0041】
シート用防虫止め具1の色を略灰色とすることにより、光輝材2との相乗効果が得られ、虫がより近づかなくなるという、より高い防虫効果を有する。
【0042】
次に、シート用防虫止め具1の形状について詳述する。シート用防虫止め具1は、図2に示すように、パイプ状の支柱部材を挟んで挟持する挟持部5と、軸線方向(図3に示すA方向)に開口した開口部80と、支柱部材と嵌合する内周面(断面U字状)60が設けられている。開口部80の開口方向(図6に示すB方向)の両端部には係止部50がそれぞれ形成されている。
【0043】
係止部50の開口方向の幅は、軸線方向の端部51に向かうに連れて小さくなっている。その結果、開口部80の開口幅は軸線方向の端部側に向かって広がっているので、係止部50の軸線方向の端部51から支柱部材にシート用防虫止め具1を嵌合させると、シート用防虫止め具1を支柱部材にスムーズに嵌着させることができると共に、逆の操作を行うことによって、支柱部材からシート用防虫止め具1をスムーズに脱着させることができるようになっている。
【0044】
また、図3に示すように、シート用防虫止め具1の軸線方向中央部の外周面70には、外周面70の周方向に沿って、突出する断面凹状の凸部10が設けられており、その凸部10の凹部内には、金属製の剛性強化部20が嵌合されている。
【0045】
この凸部10を設けることにより、シート用防虫止め具の凸部が形成された部分の剛性が高くなるので、シート用防虫止め具1を支柱部材により強固に嵌着させることができる。
【0046】
そして、剛性強化部20は線状部材を屈曲させてU字状を成している。そのU字状の内周面の径は、シート用防虫止め具1の外周面の径よりも小さくなっており、凸部10が形成されている効果と合わさって、開口部80を開口する方向に対する剛性をより向上させることができるようになっている。ここで、剛性強化部20の材質は、金属製のものであれば特に限定されない。
【0047】
さらに、シート用防虫止め具1の軸線方向の外周面70には、凸部10を挟んで対称となるように外周面70の周方向に沿って、突出する断面凸状の凸部30が2つ設けられている。これらの凸部30を設けることにより、シート用防虫止め具の凸部が形成された部分の開口方向の剛性が高くなるので、シート用防虫止め具を支柱部材により強固に嵌着させることができる。
【0048】
また、シート用防虫止め具1の軸線方向の両端部には、半径方向にコ字状に延出した延出部40がそれぞれ設けられている。この延出部40は、シート用防虫止め具が支柱部材と嵌着した際に、支柱部材との間に空間41を形成することができるようになっている。
【0049】
このような延出部40を設けることにより、支柱部材と嵌着した際に、支柱部材との間に形成された空間41内に棒状部材を挿入し、その棒状部材を支柱部材の半径方向に回動させることにより、支柱部材からシート用防虫止め具を容易に取り外すことができる。
【0050】
なお、シート用防虫止め具1の厚みは、十分な強度と弾性を有するのであれば特に限定されない。
【0051】
以上説明したようにシート用防虫止め具1を構成することにより、構造が単純で破損し難く、製造コストが低く、さらには防虫効果を有するシート用防虫止め具1を提供することができる。
(実施形態2)
【0052】
実施形態1では、上述したようなシート用防虫止め具を構成したが、本発明はこれに限定されない。
【0053】
例えば、図7図12に示すような形状のシート用防虫止め具を構成してもよい。図7は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略斜視図であり、図8は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略正面図であり、図9は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略背面図であり、図10は本実施形態に係るシート用防虫止め具の概略側面図であり、図11は本実施形態に係るシート用防虫止め具のXX’における概略側面図であり、図12は、本実施形態に係るシート用防虫止め具のYY’における概略断面図である。
【0054】
これらの図に示すように、シート用防虫止め具1Aは、筒状の第1嵌着部110と、その下方に位置する筒状の第2嵌着部120と、それらの内側端部に取り付けられた半円弧状の連結部130とで構成されている。
【0055】
ここで、第1嵌着部110、第2嵌着部120および連結部130は、実施形態1と同様に、粉末状の光輝材2が多数含まれた透明または半透明の樹脂で形成されている。なお、第1嵌着部110、第2嵌着部120および連結部130は、同一材料で一体成型されてもよいし、同一材料または異なる材料で別個に作成し、それらを接着等を用いて接続して形成してもよい。また、光輝材2および樹脂は、実施形態1のシート用防虫止め具と同様のものを用いることができる。その結果、実施形態1と同様に、シート用防虫止め具1Aは防虫機能を有することになる。
【0056】
まず、第1嵌着部110について説明する。図7に示すように、第1嵌着部110は、断面U字状を成し、パイプ状の支柱部材を挟んで挟持する第1挟持部111と、軸線方向に開口した第1開口部112と、支柱部材と嵌合する第1内周面(断面U字状)113が形成されている。第1開口部112の開口方向(図9に示すC方向)の両端部には第1係止部114がそれぞれ形成されている。
【0057】
第1内周面113の第1開口部112の対向する位置(第1底部)には、図11に示すように、軸線方向(図9に示すD方向)に所定の長さを有する付勢部1131が設けられていると共に、第1内周面113の第1底部と第1開口部112との間の対向する位置にも、付勢部1132が2つ設けられている。このような付勢部1131、1132を第1内周面113上に設けることによって、異なる3方向から支柱部材が固定される(付勢される)ことになるので、支柱部材と、第1嵌着部110との嵌着がさらに強くなる。その結果、支柱部材と、第1嵌着部110との嵌着がさらに外れ難くなる。
【0058】
また、第1嵌着部110の軸線方向(D方向)の略中央部の外周面には、図8に示すように、外周面に沿って突出する断面凹状の突部115が形成されており、その突部の凹部内には、金属製の剛性強化部116が嵌合されている。
【0059】
剛性強化部116は線状部材を屈曲させてU字状を成している。そして、そのU字状の内周面の径は、第1嵌着部110の外周面の径よりも小さくなっており、突部115が形成されている効果と合わさって、第1嵌着部110の開口部112を開口する方向に対する剛性をより向上させることができるようになっている。
【0060】
さらに、第1係止部114の開口方向の幅は、軸線方向の端部に向かうにつれて小さくなっている。その結果、第1開口部112の開口幅は、軸線方向の端部側に向かって広がっているので、第1係止部114の軸線方向の端部から支柱部に第1嵌着部110を嵌合させると、第1嵌着部110を支柱部にスムーズに嵌着させることができると共に、逆の操作を行うことによって、支柱部から第1嵌着部110をスムーズに脱着させることができるようになっている。
【0061】
なお、第1嵌着部110の厚みは、十分な強度と弾性を有するのであれば特に限定されない。
【0062】
次に、第2嵌着部120について説明する。第2嵌着部120は、図7図11に示すように、第1嵌着部110と同様に、断面U字状を成し、支柱部材を挟んで挟持する第2挟持部121と、軸線方向に開口した第2開口部122と、支柱部材と嵌合する第2内周面(断面U字状)123が形成されている。第2開口部122の開口方向(C方向)の両端部には第2係止部124がそれぞれ形成されている。
【0063】
第2内周面123の第2開口部122の対向する位置(第2底部)には、図9に示すように、軸線方向(D方向)に所定の長さを有する付勢部1231が設けられていると共に、第2内周面123の第1底部と第2開口部122との間の対向する位置にも、付勢部1232が2つ設けられている。このような付勢部1231、1232を第2内周面123上に設けることによって、異なる3方向から支柱部材が固定される(付勢される)ことになるので、支柱部材と、第2嵌着部120との嵌着がさらに強くなる。その結果、支柱部材と、第2嵌着部120との嵌着がさらに外れ難くなる。
【0064】
また、第2嵌着部120の第2開口部122の左右両側部に第2開口部122の反対側方向に突出する2つの摘み片125がそれぞれ設けられている。各摘み片125の対向する表面126には、図8に示すように、第2開口部122の反対側方向に伸びる線状の凸部127が3つ(両端部近傍に2つ、中央部に1つ)それぞれ形成されている。これらの凸部127を形成することによって、摘み片125の剛性(強度)が高くなるので、摘み片125を内向きに綴じる際に摘み片125自体が屈曲することがない。その結果、スムーズに開口部122を開拡することができる。なお、各摘み片125の対向する表面の逆側の表面128には、図10に示すように、軸線方向に伸びる複数の凸部で構成される摩擦部129が形成されており、摘み片125を把持する際に、指が滑らないようになっている。
【0065】
さらに、第2係止部124の開口方向の幅は、軸線方向の端部に向かうにつれて小さくなっている。その結果、第2開口部122の開口幅は、軸線方向の端部側に向かって広がっているので、第2係止部124の軸線方向の端部から支柱部に第2嵌着部120を嵌合させると、第2嵌着部120を支柱部にスムーズに嵌着させることができると共に、逆の操作を行うことによって、支柱部から第2嵌着部120をスムーズに脱着させることができるようになっている。
【0066】
ここで、第1内周面113の径は、第2内周面123の径よりも小さくなっており、第2嵌着部120と比較して、第1嵌着部110を支柱部材に強固に嵌着させることができるようになっている。
【0067】
なお、第2嵌着部120の厚みも、第1嵌着部110と同様に、十分な強度と弾性を有するのであれば特に限定されない。
【0068】
さらに、連結部130について説明する。連結部130は、第1嵌着部110の第1開口部112や第2嵌着部120の第2開口部122に対して凹部を有する半円弧状を成している。そして、連結部130は、第1嵌着部110の第2嵌着部120側の端部と、第2嵌着部120の第1嵌着部110側の端部とに接続されており、第2嵌着部120の脱着に応じて容易に屈曲できるようになっている。
【0069】
なお、連結部130の厚みも特に限定されず、弾力性を有し、かつ第1嵌着部110と第2嵌着部120とを接続することができるものであればよい。
【0070】
次に、ビニールハウスを例に、シート用防虫止め具1Aの使用方法について説明する。図13は、シート用防虫止め具1Aを用いて、シート状部材であるビニールシート500を支柱部材であるビニールハウスの骨組み300に固定した状態の概略図である。
【0071】
この図に示すように、ビニールシート300を挟んで、第1嵌着部110の第1内周面113と骨組み300とが嵌合すると共に、第2嵌着部120の第2内周面123と骨組み300とが嵌合することによって、ビニールシート500がビニールハウスの骨組み300に固定されることになる。
【0072】
そして、ビニールハウス内の空気と外気との入れ替えを行う際に次のような動作を行う。まず、骨組み300から第2嵌着部120を取り外す。次に、ビニールシート500をたくし上げ、そのたくし上げた部分(たくし上げシート部505)を連結部130の凹部内に収容する。その後、図14に示すように、再度第2嵌着部120を直接骨組み300に嵌着する。このようにシート用防虫止め具1Aを用いることによって、ビニールシート500の一部をたくし上げた状態を保持することができる。この時、ビニールシート500をたくし上げた際に外部環境と連通する開口部が形成されるが、シート用防虫止め具は防虫機能を有するので、虫がビニールハウス内部に侵入することを防止することができる。
【0073】
なお、再度第2嵌着部120を骨組み300から脱着させた後、ビニールシート500のたくし上げた部分(たくし上げシート部505)を元の状態(単なるシート状)に戻した上で、ビニールシート500を挟んで第2嵌着部120を支柱部に嵌着させると、図13に示す状態に戻すことができる。
【0074】
以上説明したように、シート用防虫止め具1Aを構成することによって、第2内周面123の径が第1内周面113の径よりも小さいので、第1嵌着部110と比較して、第2嵌着部120を骨組み300から容易に脱着させることができる。
【0075】
また、第2嵌着部120の2つの摘み片125を2つの摘み片125が成す角の角度が小さくなる方向(内向き)に掴むことにより、第2開口部122を容易に開口させることができるので、第2嵌着部120を骨組みに容易に脱着させることができる。
【0076】
さらに、連結部130を有するので、ビニールシート500をたくし上げた際に形成される、たくし上げシート部505を連結部130の凹部に収容できる。その結果、第2嵌着部120を骨組み300から取り外した後、ビニールシート500をたくし上げて、そのたくし上げシート部505を連結部130の凹部に収容して第2嵌着部120を骨組み300に嵌着させることができると共に、再度第2嵌着部120を支柱部300から脱着させた後、たくし上げシート部505を元の状態(単なるシート状)に戻した上で、ビニールシート500を挟んで骨組み300に再度嵌着させることができる。
(その他の実施形態)
【0077】
上述した実施形態では、シート用防虫止め具を構成する樹脂に光輝材を含むようにしたが、本発明はこれに限定されない。
【0078】
例えば、シート用防虫止め具の外表面にのみ光輝材を含む反射部を設けたシート用防虫止め具を構成してもよい。このようにしても、上述した実施形態のシート用防虫止め具と同様の効果が得られる。
【0079】
また、シート用防虫止め具の外表面の一部(例えば、開口部の反対側から見える部分のみ)に光輝材を含むように構成してもよい。このようにシート用防虫止め具を構成すると、上述した実施形態のシート用防虫止め具と比較して防虫効果は低くなるかもしれないが、同様の防虫効果が得られる。
【0080】
さらに、例えば、外表面に、光輝材を含む膜(反射部)を形成するようにシート用防虫止め具を構成してもよい。この場合の光輝材は、特に限定されないが、パール顔料が好ましい。パール顔料としては、光の多重反射や干渉現象を利用した真珠のような深みのある光沢を再現できる顔料であれば特に限定されず、例えば雲母の薄片粒子を基材として、表面に酸化チタンの微細結晶を被覆した酸化チタン被覆雲母等が挙げられる。このようにシート用防虫止め具を構成することにより、上述した実施形態と同様の防虫効果が得られる。
【0081】
また、シート用防虫止め具の外表面の一部(例えば、開口部の反対側から見える部分のみ)にパール顔料を含む膜(反射部)を形成してもよい。このようにシート用防虫止め具を構成すると、上述した実施形態のシート用防虫止め具と比較して防虫効果は低くなるかもしれないが、外表面の全体に膜(反射部)を形成した場合と同様の防虫効果が得られる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A シート用防虫止め具
2 光輝材
5 挟持部
10、30 凸部
20 剛性強化部
40 延出部
41 空間
50 係止部
51 端部
60 内周面
70 外周面
80 開口部
110 第1嵌着部
111 第1挟持部
112 第1開口部
113 第1内周面
1131、1132 第1付勢部
114 第1係止部
115 突部
116 剛性強化部
120 第2嵌着部
121 第2挟持部
122 第2開口部
123 第2内周面
1231、1232 第2付勢部
124 第2係止部
125 摘み片
126 摘み片の内側表面
127 線状の凸部
128 摘み片の外側表面
129 摩擦部
130 連結部
300 骨組み
500 ビニールシート
505 たくし上げシート部
A、D 軸線方向
B、C 開口方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14