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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-164486(P2021-164486A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】水性液体飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20210917BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20210917BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20210917BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 31/732 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20210917BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20210917BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   A23L2/00 F
   A23L2/52
   A23L33/21
   A61P3/04
   A61K31/732
   A61K9/08
   A61K47/46
   A61K47/26
   A61K47/22
   A61K47/06
   A61K47/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2021-118553(P2021-118553)
(22)【出願日】2021年7月19日
(62)【分割の表示】特願2020-81040(P2020-81040)の分割
【原出願日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-239457(P2014-239457)
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-261519(P2014-261519)
(32)【優先日】2014年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-70873(P2015-70873)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】堂本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴則
(72)【発明者】
【氏名】坂田 茜
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB08
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(57)【要約】
【課題】経時的に増強することもあるLMペクチンの不快な臭いや不快な味が抑制された水性液体飲料を提供する。
【解決手段】 0.01質量%以上のLMペクチン、並びに
(A)特定のポリフェノール、又は香辛料・生薬抽出物、
(B)ピリミジン誘導体、マグネシウム、カロテノイド、クルクミノイド、コチニール色素、ベニバナ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、ベニコウジ色素、プシコース、エリスリトール、アラビノース、及びパラチノースからなる群から選ばれる一種以上、又は
(C)多糖類、不飽和脂肪酸、イソプレン構造を有する成分、及びピリジン構造を有する成分から選ばれる一種以上、
を含有する水性液体飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01質量%以上のLMペクチン、並びに
(A)0.0001質量%以上の、サンショウ抽出物、カショウ抽出物、ショウガ抽出物、カルダモン抽出物、トウガラシ抽出物、パプリカ抽出物、ゲッケイジュ抽出物、ケイヒ抽出物、ニンニク抽出物、サラシア抽出物、アシタバ抽出物、トウキ抽出物、サフラン抽出物、ニンジン抽出物、ヨクイニン抽出物、カンゾウ抽出物、トチュウ抽出物、ホップ抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる一種以上の香辛料・生薬抽出物
を含有する水性液体飲料。
【請求項2】
0.01質量%以上のLMペクチン、並びに
(B)0.00006質量%以上のピリミジン誘導体、0.001質量%以上のマグネシウム、0.0001質量%以上のカロテノイド、0.0001質量%以上のクルクミノイド、0.0001質量%以上のコチニール色素、0.0001質量%以上のベニバナ黄色素、0.0001質量%以上のクチナシ青色素、0.0001質量%以上のクチナシ赤色素、0.0001質量%以上のクチナシ黄色素、0.0001質量%以上のベニコウジ色素、0.01質量%以上のプシコース、0.1質量%以上のエリスリトール、0.1質量%以上のアラビノース、及び0.1質量%以上のパラチノースからなる群から選ばれる一種以上
を含有する水性液体飲料。
【請求項3】
ピリミジン誘導体が葉酸、カフェイン及びイノシン酸からなる群から選ばれる一種以上である請求項2に記載の水性液体飲料。
【請求項4】
カロテノイドがアスタキサンチン、リコピン又はルテインである請求項2に記載の水性液体飲料。
【請求項5】
クルクミノイドがクルクミンである請求項2に記載の水性液体飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性の液体飲料に関し、医薬品、医薬部外品及び食品等の分野において利用されうる。
【背景技術】
【0002】
食物繊維は、5大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)とならぶ第6の栄養素として、健康の維持・増進に重要であることが認められており、ダイエット食品や便通改善食品などに多く利用されている(特許文献1、2)。
【0003】
一方、リンゴや柑橘類から抽出されるペクチンは、食物繊維としての機能の他、特定条件下でゲル化する特性をもつためにジャムやゼリーに用いられている。また、飲料への粘度付与、口当たりやフレーバーリリースの改善、また酸性乳飲料では乳タンパクの安定化など様々な用途に用いられている。
【0004】
特に、ペクチンを構成するガラクツロン酸がメチルエステルであるものの比率が50%未満のLMペクチンは酸性領域でゲル化する特性を持つ。その特性を活かした、飲む前は通常の水性液体飲料であるが、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化して腹持ちがよいというダイエットに適した飲料(特許文献3)が提供されており、健康産業上、特に有用な素材といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−147935号公報
【特許文献2】特開平11−32728号公報
【特許文献3】WO2014−103737
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、LMペクチンは健康産業上優れた性質を持っているにも関わらず、特有の不快な臭いや不快な味があり、かつ、経時的に不快な臭いが増強することもあるため飲用に適さないという問題があることがわかった。
【0007】
本発明の目的は、経時的に増強することもあるLMペクチンの不快な臭いや不快な味が抑制された水性液体飲料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水性液体飲料中0.01質量%以上のLMペクチン、並びに、(A)特定のポリフェノール、若しくは香辛料・生薬抽出物、又は、(B)ピリミジン誘導体、マグネシウム、カロテノイド、クルクミノイド、コチニール色素、ベニバナ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、ベニコウジ色素、プシコース、エリスリトール、アラビノース、及びパラチノースからなる群から選ばれる一種以上を含有すると、LMペクチン特有の不快な臭いや不快な味が抑制されることを見出した。また、水性液体飲料中0.01質量%以上のLMペクチン、並びに、(C)多糖類、不飽和脂肪酸、イソプレン構造を有する成分、及びピリジン構造を有する成分から選ばれる一種以上を含有すると、LMペクチンの経時的に増強する不快な臭いや不快な味が抑制されることを見出した。かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
【0009】
(1)0.01質量%以上のLMペクチン、並びに
(A)フラボノール、フラバノン、アントシアニン、フラボン、縮合型タンニン、加水分解型タンニン、クロロゲン酸、レスベラトロール、ロズマリン酸、及びヒドロキシチロソールからなる群から選ばれる一種以上であるポリフェノール、若しくは香辛料・生薬抽出物、
(B)ピリミジン誘導体、マグネシウム、カロテノイド、クルクミノイド、コチニール色素、ベニバナ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、ベニコウジ色素、プシコース、エリスリトール、アラビノース、及びパラチノースからなる群から選ばれる一種以上、又は
(C)多糖類、不飽和脂肪酸、イソプレン構造を有する成分、及びピリジン構造を有する成分から選ばれる一種以上、
を含有する水性液体飲料、
(2)0.01質量%以上のLMペクチン、並びに
(A)フラボノール、フラバノン、アントシアニン、フラボン、縮合型タンニン、加水分解型タンニン、クロロゲン酸、レスベラトロール、ロズマリン酸、及びヒドロキシチロソールからなる群から選ばれる一種以上であるポリフェノールを含有する前記(1)に記載の水性液体飲料、
(3)ポリフェノールが、ソバ抽出物、ボタンボウフウ、糖転移ルチン、糖転移ヘスペリジン、ヘスペリジン、ナリンジン、大豆イソフラボン、ビルベリー抽出物、カシス抽出物、マカ抽出物、アサイー抽出物、エルダーベリー抽出物、レスベラトロール、クロロゲン酸、ブドウ種子抽出物、ローズマリー抽出物、コーンシルク抽出物、クマザサ抽出物、ザクロ抽出物、ブドウ抽出物、ワイン抽出物、アカシソ抽出物、及びオリーブ抽出物からなる群から選ばれる一種以上に含まれるポリフェノールである前記(1)又は(2)に記載の水性液体飲料、
(4)0.000005質量%以上のポリフェノールを含有する前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の水性液体飲料、
(5)0.01質量%以上のLMペクチン、及び香辛料・生薬抽出物を含有する前記(1)に記載の水性液体飲料、
(6)香辛料・生薬抽出物が、コショウ科、ミカン科、ショウガ科、ナス科、クスノキ科、ヒガンバナ科、ニシキギ科、セリ科、アヤメ科、ウコギ科、イネ科、マメ科、トチュウ科、及びアサ科の植物の抽出物並びに動物由来の抽出物からなる群から選ばれる一種以上である前記(5)に記載の水性液体飲料、
(7)香辛料・生薬抽出物が、ヒハツ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物、ショウガ抽出物、カルダモン抽出物、トウガラシ抽出物、パプリカ抽出物、ゲッケイジュ抽出物、ケイヒ抽出物、ニンニク抽出物、サラシア抽出物、アシタバ抽出物、トウキ抽出物、サフラン抽出物、ニンジン抽出物、ヨクイニン抽出物、カンゾウ抽出物、トチュウ抽出物、ホップ抽出物、及びローヤルゼリーからなる群から選ばれる一種以上である前記(5)に記載の水性液体飲料、
(8)0.0001質量%以上の香辛料・生薬抽出物を含有する前記(5)〜(7)のいずれか一項に記載の水性液体飲料、
(9)0.01質量%以上のLMペクチン、並びに、
(B)ピリミジン誘導体、マグネシウム、カロテノイド、クルクミノイド、コチニール色素、ベニバナ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、ベニコウジ色素、プシコース、エリスリトール、アラビノース、及びパラチノースからなる群から選ばれる一種以上を含む前記(1)に記載の水性液体飲料、
(10)ピリミジン誘導体の含有量が0.00006質量%以上である前記(9)の水性液体飲料、
(11)ピリミジン誘導体が葉酸、カフェイン及びイノシン酸からなる群から選ばれる一種以上である前記(9)又は(10)の水性液体飲料、
(12)マグネシウムの含有量が0.001質量%以上である前記(9)の水性液体飲料、
(13)カロテノイド、クルクミノイド、コチニール色素、ベニバナ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、又はベニコウジ色素の含有量が0.0001質量%以上である前記(9)の水性液体飲料、
(14)カロテノイドがアスタキサンチン、リコピン又はルテインである前記(9)又は(13)の水性液体飲料、
(15)クルクミノイドがクルクミンである前記(9)又は(13)の水性液体飲料、
(16)プシコースの含有量が0.01質量%以上である前記(9)の水性液体飲料、
(17)エリスリトール、アラビノース又はパラチノースの含有量が0.1質量%以上である前記(9)の水性液体飲料、
(18)0.01質量%以上のLMペクチン、並びに、
(C)多糖類、不飽和脂肪酸、イソプレン構造を有する成分、及びピリジン構造を有する成分から選ばれる一種以上を含む前記(1)に記載の水性液体飲料、
(19)0.0003質量%以上の多糖類、不飽和脂肪酸、イソプレン構造を有する成分、及びピリジン構造を有する成分から選ばれる一種以上を含む前記(18)に記載の水性液体飲料、
(20)多糖類がグリコサミノグリカンであり、
グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、プロテオグリカン、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルクロン酸、アガロオリゴ糖、及びキトサンからなる群から選ばれる一種以上である前記(18)又は(19)の水性液体飲料、
(21)多糖類が中性糖であり、
中性糖がグルコマンナン、ポリデキストロース、β−グルカン、ハイアミロースコーンスターチ、イヌリン、及びフコイダンからなる群から選ばれる一種以上である前記(18)又は(19)の水性液体飲料、
(22)不飽和脂肪酸が、DHA、EPA、α−リノレン酸、及びアラキドン酸からなる群から選ばれる一種以上である前記(18)又は(19)の水性液体飲料、
(23)イソプレン構造を有する成分がビタミンE、ビタミンK、コエンザイムQ10、ビタミンA、クワッシン、及び植物ステロールからなる群から選ばれる前記(18)又は(19)の水性液体飲料、
(24)ピリジン構造を有する成分がビタミンB6、ナイアシン、キニーネ、及びベルベリンからなる群から選ばれる一種以上である前記(18)又は(19)の水性液体飲料、
(25)pHが2.0〜7.0である前記(1)〜(24)のいずれか一項に記載の水性液体飲料、
(26)飲む前は通常の水性液体飲料であるが、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化することを特徴とする前記(1)〜(25)のいずれか一項に記載の水性液体飲料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、経時的に増強することもあるLMペクチンの不快な臭いや不快な味が抑制された水性液体飲料を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「ペクチン」とはα−1,4−結合したポリガラクツロン酸が主成分の水溶性多糖類であり、リンゴや柑橘類等から抽出される。本発明のペクチンは、リンゴ由来、柑橘類由来等の何れのものであってもよいが、ペクチンの構成糖であってフリーの酸若しくはメチルエステルとして存在するガラクツロン酸がメチルエステルであるものの比率が50%未満の「LMペクチン」である。因みに、メチルエステルの比率が50%以上のペクチンをHMペクチンというが、不快な風味は少なく、HMペクチンは酸性域でゲル化しない。LMペクチンの含有(配合)量は、飲料中0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。
【0012】
本発明のポリフェノールとは、分子内に複数のフェノール性水酸基をもつ成分のことであり、その構造の違いからフラボン、フラボノール(糖転移ルチンを含む)、フラバノン(ナリンジン、糖転移ヘスペリジンを含む)、イソフラボン、カルコン、アントシアニンなどに分類され、その他に没食子酸、クロロゲン酸、エラグ酸などもあり、更には比較的分子量が大きく分子内水酸基の多い縮合型又は加水分解型のタンニン等もこれに含まれ、プロアントシアニジンもこれに含まれる。なお、大豆イソフラボンはイソフラボンに含まれ、イソフラボンはフラボンに含まれる。
【0013】
なお、本発明のポリフェノールは合成品だけでなく植物の抽出物に含まれるポリフェノールも使用できる。本発明の植物の抽出物とは、一般的な抽出エキスの他、果汁も使用できる。抽出エキスは抽出溶媒を用いて、適当な温度(低温又は加熱)にて、植物から抽出する方法などにより行う。抽出溶媒は植物に応じて適宜選択できるが、一般的には、水、エタノール等の親水性溶媒及びこれらの混合溶媒が用いられる。なお、植物の抽出部位は根、葉、幹、樹皮、枝、果実、種子、花等のうちいずれの部位を用いてもよい。果汁は、果実を破砕して窄汁又は裏ごし等をし、皮、種子等を除去したものの他、果実の窄汁を濃縮した濃縮果汁、濃縮果汁を清水などで希釈した還元果汁、窄汁を乾燥させた粉末果汁などが使用できる。このような植物の抽出物としてはタデ科、ツツジ科、スグリ科、アブラナ科、ヤシ科、イネ科、ミソハギ科、ブドウ科、シソ科、モクセイ科、セリ科、スイカズラ科に属する植物の抽出物が好ましく、そのような抽出物及び果汁由来のポリフェノールの主な代表例としては、タデ科のソバ(ルチンなどのフラボノール類を含む)や、ツツジ科のビルベリー、スグリ科のカシス、アブラナ科のマカ、ヤシ科のアサイー(シアニジンなどのアントシアニン類を含む)や、イネ科のコーンの雌しべの花柱であるコーンシルク(ゲニステインなどのフラボン類を含む)、クマザサ(プロアントシアニジン類を含む)や、ミソハギ科のザクロ(プニカラジンなどの加水分解型タンニン)や、ブドウ科のブドウ(レスベラトロールなどを含む)やブドウの種子(プロアントシアニジン類などを含む)、シソ科のアカシソやローズマリー(ロズマリン酸などを含む)、モクセイ科のオリーブ(ヒドロキシチロソールなどを含む)、セリ科のボタンボウフウ(ルチンなどのフラボノールやクロロゲン酸を含む)、スイカズラ科のエルダーベリー(シアニジングリコシドやデルフィニジングリコシドなどのアントシアニンを含む)などが挙げられる。また、飲食物からの抽出物の代表例としてはワインポリフェノール(プロアントシアニジン類や二量体レスベラトロール類などを含む)がある他、精製品として糖転移ヘスペリジン、クロロゲン酸などがある。本発明では、これらポリフェノールのうち一種以上を含有することが望ましく、その含有量は、通常0.000005%以上、好ましくは0.00005%以上、より好ましくは0.002%以上、最も好ましくは0.02%以上である。
【0014】
本発明の香辛料・生薬抽出物とは香辛料・生薬を抽出したものであり、香辛料とは植物体の一部で、植物の果実、果皮、花、蕾、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎などであって、特有の香り、辛味、色調を有し、飲食物に香り付け、消臭、調味、着色等の目的で使用し、風味や美観をそえるものの総称であり、スパイス(利用部位として茎と葉と花を除くもの)とハーブ(茎と葉と花を利用するもの)とに分けられる。本発明で用いる香辛料・生薬抽出物は、ショウガ科のショウガ抽出物やカルダモン抽出物、ナス科のトウガラシ抽出物やパプリカ抽出物、クスノキ科のゲッケイジュ抽出物やケイヒ抽出物、コショウ科のヒハツ抽出物やコショウ抽出物、ミカン科のサンショウ抽出物やカショウ抽出物、ヒガンバナ科のニンニク抽出物、ニシキギ科のサラシア抽出物、セリ科のアシタバ抽出物やトウキ抽出物、アヤメ科のサフラン抽出物、ウコギ科のニンジン抽出物、イネ科のヨクイニン抽出物、マメ科のカンゾウ抽出物、トチュウ科のトチュウ抽出物、アサ科のホップ抽出物、ローヤルゼリー(ミツバチのうち、働き蜂の喉頭線から分泌されるミルク状の物質である。一般的に不飽和脂肪酸の1種である10−ヒドロキシ−2−デセン酸が活性成分として認められている)が好ましく、その含有量は、通常0.0001%以上、好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.01%以上である。
【0015】
ピリミジン誘導体は、ベンゼンの1、3位の炭素が窒素に置換された化学構造をもち、チミンやシトシン、ウラシル、アデニン、グアニンなどの核酸塩基や葉酸やカフェイン、テオフィリン、テオブロミン、イノシン酸等が含まれるが、本発明のピリミジン誘導体としては、好ましくは葉酸、カフェイン又はイノシン酸である。ピリミジン誘導体の含有(配合)量は、好ましくは飲料中0.00006質量%以上、より好ましくは飲料中0.0002質量%以上である。
【0016】
マグネシウムは比重が4より軽い軽金属で、すべての細胞や骨に広く分布している必須ミネラルである。細胞核の三次元構造の維持、膜電位の維持、物質の取り込みエネルギー代謝などに関与する。本発明では、マグネシウムの由来は限定されず、例えば、酸化物や水酸化物の他、ミネラル含有酵母、黒酢、大麦黒酢、濃い口醤油、練りからしなどのマグネシウム含有成分の形態で製剤に配合しても良い。マグネシウムの含有(配合)量は、好ましくは飲料中0.001質量%以上である。
【0017】
カロテノイドは天然に存在する色素で、テトラテルペノイドに分類され、黄色や橙色、赤色を示す。カロテノイドにはリコピンなどの他、構造中のイオノン環に酸素が導入された、緑葉野菜、卵黄、動物脂肪、黄体より得られるルテインや甲殻類の殻やそれらを餌とするマダイの体表、またサケ科魚類の筋肉などから得られる赤色色素のアスタキサンチンなどが含まれる。なお、リコピンはトマトの抽出物として用いてもよい。本発明ではいずれのカロテノイドを使用できるが、好ましくはアスタキサンチン、リコピン又はルテインである。
カロテノイドの含有(配合)量は、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上である。
【0018】
クルクミノイドは天然に存在する黄色を呈する色素である。芳香族環が、二つのα、β−不飽和カルボニル基で連結された化学構造を有しており、ウコン(Curcuma longa)より抽出された黄色色素のクルクミンやジメトキシクルクミン、ビスジメトキシクルクミンなどが含まれる。本発明ではいずれのクルクミノイドを使用できるが、好ましくはクルクミンである。クルクミノイドの含有(配合)量は、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上である。
コチニール色素は赤橙から紫色の天然色素で、エンジムシの乾燥体から得られる。本質はカルミン酸であり、カルミン酸のカルシウム又はアルミニウムレーキをカルミンという。
ベニバナ黄色素は黄色の天然色素で、キク科のベニバナの花から得られる。本質はサフラワーイエロー(サフロミン)類である。
クチナシ青色素は青色、クチナシ赤色素は赤から赤紫色の天然色素で、アカネ科のクチナシの果実より得られる。微温時水で抽出して得られたイリドイド配糖体と蛋白質分解物との混合物に、βーグルコシダーゼを作用させて製造する。
クチナシ黄色素は黄色の天然色素で、アカネ科のクチナシの果実から水又は含水エタノール抽出により得られる。本質はクロシンやクロセチンなどである。
ベニコウジ色素は赤色の天然色素で、子のう菌類のベニコウジカビの菌体から得られる。本質はモナスコルブリンやアンカフラビンなどである。
上記6種の色素のそれぞれの含有(配合)量は、好ましくは0.001質量%以上である。
【0019】
プシコースとは、自然界に大量に存在している安価なブドウ糖、又は果糖等に対し、自然界には微量にしか存在していない希少糖のうち、単糖類に属するものである。本発明におけるプシコースの由来は特に問わないが、所定の含有量に調整するためには、プシコースを果糖ブドウ糖液糖に溶解させた市販のプシコース含有シロップ(希少糖含有シロップ)、もしくはプシコース精製品を使用できる。プシコースの含有(配合)量は、好ましくは0.01質量%以上である。
【0020】
エリスリトールとは構造内のケトン基やアルデヒド基がアルコールに還元された糖アルコールの一種であり、ブドウ糖を醗酵することで生成される。本発明ではエリスリトールを含有したシロップ、もしくはエリスリトール精製品を使用できる。エリスリトールの含有(配合)量は、好ましくは0.2質量%以上である。
アラビノースはアルデヒド基をもつ炭素数5個の単糖類である。天然ではアロエの配糖体に含まれ、工業的にはグルコースやマンニットから合成される。
パラチノースはグルコースの1位とフルクトースの5位が結合した二糖類である。天然では蜂蜜や甘蔗汁中に微量に含まれ、工業的にはショ糖に酵素を作用させて合成される。
アラビノース及びパラチノースのそれぞれの含有(配合)量は、好ましくは0.1質量%以上である。
【0021】
本発明の多糖類は、グリコサミノグリカン及び中性糖を含む。
本発明のグリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸、コンドロイチン、プロテオグリカン、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルクロン酸、アガロオリゴ糖、キトサンを含む。
グリコサミノグリカンとは、アミノ糖とウロン酸を含む基本骨格をもつ動物の粘液から得られた一群の多糖であり、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、キトサン等が挙げられる。グリコサミノグリカンとしては、好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸又はキトサンである。グリコサミノグリカンの含有量は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。なお、好ましくはLMペクチンとグリコサミノグリカンの重量比は1:0.002以上であり、より好ましくは1:0.2以上である。
【0022】
プロテオグリカンは、タンパク質をコアとして、コンドロイチン硫酸等のグリコサミノグリカンが共有結合した分子量数万〜数千万の複合多糖類であり、動物組織、特に軟骨組織に多く存在する。本願発明で使用するプロテオグリカンの動物種や組織の由来に特に限定は無く、プロテオグリカンの含有量は、通常0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。なお、好ましくはLMペクチンとプロテオグリカンの重量比は1:0.2以上である。
【0023】
グルコサミン又はその誘導体とは、軟骨組織の構成成分になるアミノ糖の一種で、グルコサミンの誘導体としてはアミノ基がアセチル化されたN−アセチルグルコサミン等が挙げられる。グルコサミン又はその誘導体の含有量は、通常0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0024】
グルクロン酸とは、肝臓で生成されるブドウ糖の糖酸化物であり、ウロン酸の一種である。グルクロン酸の含有量は、通常0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
構成糖にガラクトース、マンノース又はフルクトースを含む多糖類のうち、アガロオリゴ糖は寒天中のアガロースを酸性化で加熱して得られるオリゴ糖である。アガロースはガラクトースとアンヒドロガラクトースとが交互に直鎖状に並んでおり、アガロオリゴ糖では還元末端がアンヒドロガラクトースになっている。
【0025】
本発明の中性糖はグルコマンナン、ポリデキストロース、β−グルカン、ハイアミロースコーンスターチ、イヌリン、フコイダンを含む。グルコマンナンは針葉樹の細胞壁や蒟蒻芋に多く含まれる水溶性中性多糖で、六炭糖のグルコースとマンノースがおよそ2:3の割合でβ-1,4-結合したものである。イヌリンはキク科・ユリ科植物の根茎等に含まれる貯蔵多糖で、主にフルクトースがβ−2,1結合で連なっており、末端基にグルコースがα結合している。フコイダンはモズクなどの褐藻類に存在し、フコースを中心にガラクトース、マンノース、キシロース、ウロン酸、硫酸基等で構成されるヘテロ硫酸化多糖である。構成糖にガラクトース、マンノース又はフルクトースを含む多糖類の含有量は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0026】
ポリデキストロースとは人工的に合成された水溶性食物繊維で、ヒトの消化酵素では分解されない。グルコース、ソルビトール、クエン酸を混合し、高温で重合させて得られる。ポリデキストロースの含有量は、通常0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0027】
β−グルカンとは植物や菌類、細菌などの細胞壁に広く分布するグルコースがβ1,3−結合で連なった多糖である。β−グルカンの含有量は、通常0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0028】
ハイアミロースコーンスターチとはハイアミロース種のとうもろこしより得られるデンプンで、アミロース含量は50〜90%になり、食物繊維も豊富に含んでいる。ハイアミロースコーンスターチの含有量は、通常0.001質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0029】
不飽和脂肪酸とは分子内に二重結合をもつ脂肪酸であり、飽和脂肪酸に比べて一般に融点が低い。二重結合を複数もつ多価不飽和脂肪酸は二重結合の位置によって、α-リノレン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などのn-3系、リノール酸やγ-リノレン酸、アラキドン酸などのn-6系にさらに分類される。不飽和脂肪酸は、種類によって様々な働きを持ち、一般的には血液中の脂質に影響を与える働きについて多く知られている。不飽和脂肪酸としては、好ましくはDHA、EPA、α−リノレン酸、アラキドン酸である。不飽和脂肪酸の含有量は、通常0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。
【0030】
イソプレン構造を有する成分とは、CH=C(CH)CH=CHの二重結合を2つ持つ炭化水素のイソプレンを基本単位とした構造を有する成分であり、天然に広く存在するテルペンやビタミンE、ビタミンK、コエンザイムQ10、ビタミンA、クワッシン、植物ステロールなどが挙げられる。イソプレン構造を有する成分の含有量は、通常0.002質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、最も好ましくは0.1質量%以上である。ビタミンEの含有量は、LMペクチンとビタミンEの配合比は、好ましくは1:0.004以上、より好ましくは1:0.02以上であるが、1:0.3以上配合するとビタミンEの不快な臭いが目立つため、飲用には適さない。
【0031】
ピリジン構造を有する成分とは、ベンゼンの炭素の内1個が窒素に置換された化学構造を有する成分であり、ピリジンアルカロイドとして、コーヒーの生豆に含まれるトリゴネリンやビンロウジに含まれるアレコリン、キナに含まれるキニーネ、オウレンに含まれるベルベリン、マタタビの精油に含まれるアクチニジンなどの分子が挙げられる。また、栄養成分の中でも、ビタミンB6やナイアシン等が挙げられる。ビタミンB6やナイアシンの含有量は、通常0.0003質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、最も好ましくは0.01質量%以上である。
【0032】
水性液体飲料のpHは、好ましくは2.0〜7.0、より好ましくは2.0〜4.5、最も好ましくは2.5〜4.0である。pHを上記範囲に保つために、必要に応じて有機酸等のpH調整剤を配合することができる。本発明の効果は、上記pH範囲において特に顕著である。
【0033】
本発明の水性液体飲料は、常法により調製することができ、その方法は特に限定されるものではない。通常、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、pHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過、殺菌処理することにより得られる。
【0034】
また、水性液体飲料にはその他の成分として、上記以外のビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、生薬、生薬抽出物、カフェイン、ローヤルゼリー、デキストリン等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。さらに必要に応じて、抗酸化剤、着色剤、香料、矯味剤、保存剤、甘味料等の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる他、ガス圧が所定の範囲になるように炭酸を封入(カーボネーション)することができる。
【実施例】
【0035】
以下に、参考例、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
参考例A1及びA2
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウムを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチン、HMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、参考例A1及びA2の水性液体飲料を得た。それぞれの処方を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、不快な臭い及び不快な味について、参考例A1及びA2について絶対評価をした。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名で実施し、表2に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表3に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
表3の結果から明らかなように、HMペクチン溶液とは異なり、LMペクチン溶液には特有の不快な臭いと味があることが確認された。
【0042】
参考例A3〜A6
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウムを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、参考例A3〜A6の水性液体飲料を得た。それぞれの処方を表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、不快な臭い及び不快な味について、参考例A3〜A6について絶対評価をした。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名で実施し、表5に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表6に示した。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
表6の結果から明らかなように、LMペクチン溶液には特有の不快な臭いと味があることが確認された。
【0048】
実施例A1〜A14及び比較例A1
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、ソバ抽出物を添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例A1の水性液体飲料を得た。以下の実施例A2〜A14、比較例A1も実施例A1と同様に調製した。それぞれの処方を表7及び表8に示す。
【0049】
【表7】
【0050】
【表8】
【0051】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な臭いと味について、比較例A1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名で実施し、表9に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表10に示した。
【0052】
【表9】
【0053】
【表10】
【0054】
表10から明らかなように、実施例A1〜A14ではLMペクチンの不快な臭いと味が大きく抑えられた。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な臭いや味を特定のポリフェノールを配合することで改善することができた。
【0055】
実施例A15〜A17及び比較例A2
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、ヒハツ抽出物を添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液又は塩酸水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例A15の水性液体飲料を得た。以下の実施例A16〜A17、比較例A2も実施例A15と同様に調製した。それぞれの処方を表11に示す。
【0056】
【表11】
【0057】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な臭いと味について、比較例A1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名で実施し、表9に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表12に示した。
【0058】
【表12】
【0059】
表12から明らかなように、実施例A15〜A17ではLMペクチンの不快な臭いと不快な味が大きく抑えられた。一方、バラ科のローズヒップを配合した比較例A2では同様の効果は認められなかった。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な臭いや味を特定の香辛料・生薬抽出物を配合することで改善することができた。
【0060】
実施例A18〜A33
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、ヘスペリジンを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例A18の水性液体飲料を得た。以下の実施例A19〜A33も実施例A18と同様に調製した。それぞれの処方を表13及び表14に示す。
【0061】
【表13】
【0062】
【表14】
【0063】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な臭いと味について、比較例A1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名で実施し、表9に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表15及び表16に示した。
【0064】
【表15】
【0065】
【表16】
【0066】
表15及び表16から明らかなように、実施例A18〜A25及び実施例A26〜A33ではLMペクチンの不快な臭いと味が大きく抑えられた。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な臭いや味を特定のポリフェノールを配合することで改善することができた。
【0067】
実施例A34〜A81
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、コショウ抽出物を添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液又は塩酸水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例A34の水性液体飲料を得た。以下の実施例A35〜A81も実施例A34と同様に調製した。それぞれの処方を表17〜20に示す。
【0068】
【表17】
【0069】
【表18】
【0070】
【表19】
【0071】
【表20】
【0072】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な臭いと味について、比較例A1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名で実施し、表9に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表21〜表23に示した。
【0073】
【表21】
【0074】
【表22】
【0075】
【表23】
【0076】
表21〜表23から明らかなように、実施例A34〜A53及び実施例A54〜A81ではLMペクチンの不快な臭いと不快な味が大きく抑えられた。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な臭いや味を特定の香辛料・生薬抽出物を配合することで改善することができた。
【0077】
参考例B1及びB2
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウムを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチン、HMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、参考例B1及びB2の水性液体飲料を得た。それぞれの処方を表24に示す。
【0078】
【表24】
【0079】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、不快な臭いと不快な味について、参考例B1及びB2について絶対評価をした。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表25に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表26に示した。
【0080】
【表25】
【0081】
【表26】
【0082】
表26の結果から明らかなように、HMペクチン溶液とは異なり、LMペクチン溶液には特有の不快な臭いと味があることが確認された。
【0083】
実施例B1〜B2及び比較例B1〜B2
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、葉酸を添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例B1の水性液体飲料を得た。以下の実施例B2、比較例B1〜B2も実施例B1と同様に調製した。それぞれの処方を表27に示す。
【0084】
【表27】
【0085】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味について、比較例B1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表28に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表29に示した。
【0086】
【表28】
【0087】
【表29】
【0088】
表29から明らかなように、ピリミジン誘導体である葉酸又はカフェインを含む実施例B1〜B2ではLMペクチンの不快な味が大きく抑えられた。一方、ビタミンB6を含む比較例B2では同様の効果は認められなかった。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な味を、ピリミジン誘導体である葉酸又はカフェインを配合することで改善することができた。
【0089】
実施例B3〜B5及び比較例B3
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、マグネシウムを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例B3の水性液体飲料を得た。マグネシウムを含有する原材料として米黒酢を配合した実施例B4、大麦黒酢を配合した実施例B5、比較例B3も実施例B3と同様に調製した。それぞれの処方を表30に示す。なお、表中のカッコ内の含有量は、各成分に含まれるマグネシウム又は銅の含有量(mg)を示す。
【0090】
【表30】
【0091】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味について、比較例B1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表28に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表31に示した。
【0092】
【表31】
【0093】
表31から明らかなように、マグネシウムを含む実施例B3〜B5ではLMペクチンの不快な味が大きく抑えられた。一方、銅を含む比較例B3は調製後にゲル化してしまい、配合できないことがわかった。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な味をマグネシウム又はマグネシウム含有成分を配合することで改善することができた。
【0094】
実施例B6、B7及び比較例B4〜B7
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、アスタキサンチンを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例B6の水性液体飲料を得た。以下の実施例B7、比較例B4〜B7も実施例B6と同様に調製した。それぞれの処方を表32に示す。
【0095】
【表32】
【0096】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な臭いと不快な味について、比較例B1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表28に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表33に示した。
【0097】
【表33】
【0098】
表33から明らかなように、天然色素であるアスタキサンチン又はクルクミンを含む実施例B6及びB7ではLMペクチンの不快な臭いや不快な味が大きく抑えられた。一方、合成色素である食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用黄色5号を含む比較例B4〜B7では同様の効果は認められなかった。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な臭いや不快な味について、天然色素であるカロテノイドやクルクミノイドを配合することで合成色素と比較して顕著に改善することができた。
【0099】
実施例B8、B9及び比較例B8〜B10
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、希少糖含有シロップを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例B8の水性液体飲料を得た。以下の実施例B9、比較例B8〜B10も実施例B8と同様に調製した。それぞれの処方を表34に示す。なお、表中のカッコ内の含有量は、成分に含まれるプシコースの含有量(mg)を示す。
【0100】
【表34】
【0101】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な臭いについて、比較例B1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表28に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表35に示した。
【0102】
【表35】
【0103】
表35から明らかなように、香りに影響を与えない甘味剤であるにもかかわらず、実施例B8及びB9ではLMペクチンの不快な臭いが大きく抑えられた。一方、比較例B8〜B10では同様の効果は認められなかった。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な臭いについて、希少糖含有シロップは果糖ブドウ糖液糖と比較して顕著に改善していたため、プシコースに特異な効果があることが確認できた。なお、その効果は同じ単糖類である果糖と比較して顕著であった。また、エリスリトールは同じ糖アルコールであるソルビトールと比較して顕著にLMペクチン特有の不快な臭いを改善することができた。
【0104】
実施例B10〜B38
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、リコピンを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例B10の水性液体飲料を得た。以下の実施例B11〜B38も実施例B10と同様に調製した。それぞれの処方を表36〜38に示す。なお、表中のカッコ内の含有量は、各成分に含まれるマグネシウムの含有量(mg)を示す。
【0105】
【表36】
【0106】
【表37】
【0107】
【表38】
【0108】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味について、比較例B1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表28に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表39〜41に示した。
【0109】
【表39】
【0110】
【表40】
【0111】
【表41】
【0112】
表39から明らかなように、カロテノイド色素であるリコピン、ルテインを含む実施例B10〜B11、ピリミジン誘導体であるイノシン酸を含む実施例B12、単糖であるアラビノース、パラチノースを含む実施例B13〜B14及びその他天然色素を含む実施例B15〜B20ではLMペクチンの不快な臭いと味が大きく抑えられた。また、表40及び表41から明らかなように、ピリミジン誘導体である葉酸を含む実施例B21〜B24、マグネシウムを含む実施例B25〜B26、カロテノイド色素であるリコピンを含む実施例B27〜B30、クルクミノイドであるクルクミンを含む実施例B31〜B34及び単糖であるエリスリトールを含む実施例B35〜B38ではさまざまな添加量やpHにおいてLMペクチンの不快な臭いと味が大きく抑えられた。以上の結果から、LMペクチン特有の不快な味を、ピリミジン誘導体、マグネシウム、カロテノイド、クルクミノイド及びエリスリトールを配合することで改善することができた。
【0113】
参考例C1及びC2
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウムを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチン、HMペクチンをそれぞれ溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウムでpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、参考例C1及びC2の水性液体飲料を得た。それぞれの処方を表42に示す。
【0114】
【表42】
【0115】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、不快な味と不快な臭いについて、参考例C1及びC2について絶対評価をした。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表43に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表44に示した。
【0116】
【表43】
【0117】
【表44】
【0118】
表44の結果から明らかなように、HMペクチン溶液とは異なり、LMペクチン溶液には特有の不快な味と不快な臭いがあることが確認された。
【0119】
実施例C1〜C6及び比較例C1〜C2
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、ヒアルロン酸を添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例C1の水性液体飲料を得た。以下の実施例C2〜C6、比較例C1〜C2も実施例C1と同様に調製した。なお、実施例C1〜C6及び比較例C2は65℃で6日間保管したものを評価に用いた。それぞれの処方を表45に示す。
【0120】
【表45】
【0121】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味と不快な臭いについて、比較例C1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表46に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表47に示した。
【0122】
【表46】
【0123】
【表47】
【0124】
表47から明らかなように、LMペクチンのみでは65℃で6日保管後にLMペクチン特有の不快な臭いと味が非常に強くなった。一方、グリコサミノグリカンであるヒアルロン酸やプロテオグリカン、コンドロイチン硫酸を配合したサンプルやグルコサミンやN−アセチルグルコサミン、グルクロン酸を配合したサンプルでは、比較例C2と比較して経時的なLMペクチン特有の不快な臭いと味の増強が抑えられた。
【0125】
実施例C7〜C14
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、アガロオリゴ糖を添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例C7の水性液体飲料を得た。実施例C8〜C14も実施例C7と同様に調製した。なお、実施例C7〜C14は65℃で6日間保管したものを評価に用いた。それぞれの処方を表48に示す。
【0126】
【表48】
【0127】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味と不快な臭いについて、比較例C1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表46に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表49に示した。
【0128】
【表49】
【0129】
表49から明らかなように、比較例C2と比べて、構成糖にガラクトース、マンノース、フルクトースを含む多糖類であるアガロオリゴ糖、イヌリン、グルコマンナン並びにポリデキストロース、β−グルカン、ハイアミロースコーンスターチ、ピリジン構造を有する成分であるビタミンB6、ナイアシンを配合したサンプルでは経時的なLMペクチンの不快な臭いと味の増強が抑えられた。
【0130】
実施例C15〜C17
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、DHA・EPAを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例C15の水性液体飲料を得た。実施例C16〜C17も実施例C15と同様に調製した。なお、実施例C15〜C17は65℃で6日間保管したものを評価に用いた。それぞれの処方を表50に示す。
【0131】
【表50】
【0132】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味と不快な臭いについて、比較例C1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表46に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表51に示した。
【0133】
【表51】
【0134】
表51から明らかなように、比較例C2と比べて、不飽和脂肪酸であるDHA・EPA、α−リノレン酸やイソプレン構造を有する成分であるビタミンEを配合したサンプルでは経時的なLMペクチンの不快な臭いと味の増強が抑えられた。
【0135】
実施例C18〜C59
精製水にクエン酸水和物、安息香酸ナトリウム、キニーネを添加して溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整した。次いで、LMペクチンを溶解させ、該溶液にさらに精製水を加えて全量100mlとし、水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを微調整した。各試験液をガラスビンに充填後殺菌し、実施例C18の水性液体飲料を得た。実施例C19〜C59も実施例C18と同様に調製した。なお、実施例C18〜C59は65℃で6日間保管したものを評価に用いた。それぞれの処方を表52〜表54に示す。
【0136】
【表52】
【0137】
【表53】
【0138】
【表54】
【0139】
試験例(風味確認試験)
風味確認試験では、LMペクチン特有の不快な味と不快な臭いについて、比較例C1をコントロールとして各サンプルを相対的に評価した。なお、サンプルの評価は訓練された官能パネル3名に試飲させ、表46に示す評価基準に従い採点した。採点結果は評価項目ごとに平均点を算出し、表55〜表57に示した。
【0140】
【表55】
【0141】
【表56】
【0142】
【表57】
【0143】
表55から明らかなように、比較例C2と比べて、キニーネ、ベルベリン、キトサン、フコイダン、アラキドン酸、ビタミンK、ビタミンA、植物ステロール(βシトステロール)、クアッシンを配合したサンプルでは経時的なLMペクチンの不快な臭いと味の増強が抑えられた。また、表56〜表57から明らかなように、比較例C2と比べて、ビタミンB6、ヒアルロン酸、グルコマンナン、ポリデキストロース、ハイアミロースコーンスターチ、DHA・EPA、ビタミンE−アセテート及びコエンザイムQ10を配合したサンプルでは経時的なLMペクチンの不快な臭いと味の増強が抑えられた。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明により、経時的に増強することもあるLMペクチンの不快な臭いや不快な味が抑制された水性液体飲料を提供することが可能となった。よって、本発明を食物繊維の効率的な摂取や、肥満予防のためのダイエットを志向した医薬品、医薬部外品及び食品として提供することにより、これらの産業の発達が期待される。