【実施例】
【0026】
次に、本発明の実施例について
図1〜
図24を参照して説明する。なお、実施例の各部の構造、材料、形状及び寸法は例示であり、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0027】
ミシン60は、ミシンヘッド(図示略)と、その下方のベッド61とを備える。ベッド61は機枠62の上に取り付けられ、ベッド61には駆動軸63が通されている。ベッドは、駆動軸63により駆動される釜64と、その上を覆う針板65とを備える。
【0028】
ボビンケース交換装置1は、釜64の手前に設けられている。以下では、ボビンケース交換装置1から見て、釜64の側を「前」、釜64に向かって進むことを「前進」といい、反対の側を「後」、釜64から反対に離れることを「後退」ということにする。
【0029】
図1〜
図6に示すように、ボビンケース交換装置1は、
補充ボビンケースBをセットする補充ボビンケース受け2と、
固定ベース3と、
固定ベース3に対して旋回可能な旋回ベース4と、
空ボビンケースA又は補充ボビンケースBを掴むための開閉可能なツメ10を有するツメ装置6と、
旋回ベース4を、補充ボビンケース受け2を向く方向と釜64を向く方向との間で旋回可能にする旋回機構17と、
ツメ装置6を旋回ベース4に対して前後スライド可能にする前後スライド機構22と、
ツメ10を開閉可能にするツメ開閉機構34と、
旋回機構17と前後スライド機構22とツメ開閉機構34とをすべて駆動する1つの駆動軸16と、
駆動軸16を回転させる1つの駆動モーター14と、
補充ボビンケース受け2への補充ボビンケースセット忘れと、釜64からの空ボビンケース取り出しミスと、補充ボビンケース受け2からの補充ボビンケース取り出しミスと、駆動軸16の原点とを、1つのセンサーで検出するエラー検出装置40と
を含み構成されている。
【0030】
[補充ボビンケース受け2]
補充ボビンケース受け2は、斜めに前傾することにより後面が斜め上後方を向く受け板に、補充ボビンケースBをセットする凹所が形成されてなる。補充ボビンケース受け2は、釜64の直下の機枠にブラケットを介して取り付けられている。
【0031】
[固定ベース3]
固定ベース3は、縦方向と前後方向とに延びる板状体であって、補充ボビンケース受け2の側部に固定されている。ベースには、後述するモーターの旋回を逃がすための逃がし穴が形成されている。
【0032】
[旋回ベース4]
旋回ベース4は、縦方向と前後方向とに延びる板状体であって、その後上部が固定ベース3の上部に対して旋回支持軸5により軸着され、該旋回支持軸5を中心にしてその前部が旋回可能となっている。
【0033】
[ツメ装置6]
ツメ装置6は、スライドベース7と、スライドベース7の上にピン受け8を介して取り付けられた押さえ下板9と、押さえ下板9の上にピン受け8に係入する支点軸11により回動可能に取り付けられたツメ10と、押さえ下板9の上に固定されたツメ受け12と、ツメ10及びツメ受け12を覆う押さえ上板13とからなる。
後述する後側スライドブロック28と共に、スライドベース7、押さえ下板9、ツメ10、ツメ受け12及び押さえ上板13が共に前後スライドしうる。
ツメ10は、ツメ受け12に近付くように回動すると、ツメ受け12とでボビンケースのつまみを掴む「閉」となり、ツメ受け12から離れるように回動すると、ボビンケースA,Bのつまみを離して「開」となる。
【0034】
[駆動モーター14]
駆動モーター14は、旋回ベース4の後部に横向きに取り付けられている。モーター本体15は旋回ベース4の左側にあって固定ベース3の逃がし穴を貫通しており、モーター本体15が回転させる駆動軸16は旋回ベース4の右側に突出している。
【0035】
[旋回機構17]
旋回機構17は、駆動軸16に取り付けられて回転する旋回用カム18と、固定ベース3に基台20及び旋回位相調整板21を介して取り付けられたカムフォロア19とを含み構成されている。
旋回用カム18は特定カムプロフィールのカム縁をもつ板カムであり、回転に伴いカム縁の各位相が、カムフォロア19を押すことにより、旋回用カム18とともに旋回ベース4が旋回するようになっている。また、基台20に対して旋回位相調整板21を位置調整して止めることにより、旋回位相を調整することができる。なお、カムフォロア19を旋回用カム18に当接させる方向に、旋回機構17を付勢するバネ機構(図示略)を備えている。
旋回用カム18等による旋回ベース4の旋回角度(補充ボビンケース受け2を向く方向と釜64を向く方向との間の角度)は例えば20〜40°(図示例は30°)であり、機構を組み込みやすく且つ旋回時間を短くできる。
【0036】
[前後スライド機構22]
前後スライド機構22は、駆動軸16により旋回用カム18と同期して回転する前後スライド用カム23と、カムフォロア24付きの四節リンク25と、四節リンク25の1つのレバーに取り付けられた前後スライド用レバー26と、旋回ベース4に取り付けられた前後スライド軸27と、前後スライド軸27にスライド可能に係合した後側スライドブロック28及び前側スライドブロック29と、両スライドブロック28,29間の前後長8mmほどの間隙30に介装されたバネ31と、後側スライドブロック28に突設され、前後スライド用レバー26に係合するレバー駆動ピン32とを含み構成され、前側スライドブロック29にツメ装置6のスライドベース7が取り付けられている。
【0037】
前後スライド用カム23は、その孔に旋回用カム18の孔にも差し込まれた複数本の連結ネジ33が差し込まれていることにより、旋回用カム18と同期して回転する。前後スライド用カム23は特定カムプロフィールのカム縁をもつ板カムであり、回転に伴いカム縁の各位相がカムフォロア24を押して、四節リンク25を前後方向に揺動させる。この揺動共に前後スライド用レバー26が揺動してレバー駆動ピン32を押すことにより、後側スライドブロック28がバネ31を介して前側スライドブロック29を押すので、後側スライドブロック28と前側スライドブロック29は同量スライドし、前側スライドブロック29にスライドベース7において取り付けられたツメ装置6が前後スライドするようになっている。なお、カムフォロア24を前後スライド用カム23に当接させる方向に、前後スライド機構22を付勢するバネ機構(図示略)を備えている。
【0038】
詳しくは、後側スライドブロック28及び前側スライドブロック29の前後スライド量が44mmになったときに、後述するように押さえ下板9及び押さえ上板13がボビンケースA,Bを押さえるので、前側スライドブロック29(及びそれに取り付けられたスライドベース7とバー状ドグ46)はそれ以上スライドしなくなる。その後、後側スライドブロック28のみがバネ31を圧縮しながら2mmスライドしてストロークの46mmに達し、間隙30は8mmから6mmに縮まる。
【0039】
しかし、押さえるべきボビンケースA,Bがなかった場合には、後側スライドブロック28及び前側スライドブロック29の前後スライド量が44mmになったときに、押さえ下板9及び押さえ上板13がボビンケースA,Bを押さえないので、前側スライドブロック29はさらにスライド可能である。その後、後側スライドブロック28は、前側スライドブロック29(及びそれに取り付けられたスライドベース7とバー状ドグ46)とともに2mmスライドしてストロークの46mmに達する。
【0040】
[ツメ開閉機構34]
ツメ開閉機構34は、駆動軸16により旋回用カム18と同期して回転するツメ開閉用カム35と、カムフォロア36付きのツメ開閉用レバー37と、四節リンク38と、ツメ10の支点軸11よりも後側から下方へ延び、押さえ下板9のスリットを貫通して、四節リンク38の側縁に当たるツメ駆動ピン39とを含み構成されている。
【0041】
ツメ開閉用カム35は、その孔に旋回用カム18の孔にも差し込まれた複数本の連結ネジ33が差し込まれていることにより、旋回用カム18と同期して回転する。ツメ開閉用カム35は特定カムプロフィールのカム縁をもつ板カムであり、回転に伴いカム縁の各位相がカムフォロア36を押してツメ開閉用レバー37を前後方向に揺動させ、ツメ開閉用レバー37が係合ピンを介して四節リンク38を前後方向に揺動させるとともに四節リンク38の側縁を横方向に変位させ、該側縁がツメ駆動ピン39を押すことにより、ツメ10が回動して開閉するようになっている。なお、カムフォロア36をツメ開閉用カム35に当接させる方向に、ツメ開閉機構34を付勢するバネ機構(図示略)を備えている。
【0042】
[エラー検出装置40]
エラー検出装置40は、駆動軸16により旋回用カム18と同期して回転する円板状ドグ41と、スライドベース7に取り付けられて共に前後スライドするバー状ドグ46と、センサーベース50に取り付けられた1つのフォトセンサー51とからなる。
【0043】
円板状ドグ41は、その孔に旋回用カム18にも差し込まれた複数本の連結ネジ33が差し込まれていることにより、旋回用カム18と同期して回転する。円板状ドグ41は、カム角度と位相を合わせた開スリットが形成された円板であり、詳しくは、
・駆動軸16の位相0°(原点)に合わせた円板側原点検出スリット42と、
・位相157°に合わせた円板側補充ボビンケース忘れ用スリット43と、
・位相265°に合わせた円板側空ボビンケース用スリット44と、
・位相283°に合わせた円板側補充ボビンケース用スリット45と
が形成されている。
【0044】
バー状ドグ46は、カム角度と位相を合わせた開スリットが形成された前後方向に延びる帯板であり、詳しくは、
・バー側原点検出スリット47と、
・バー側空ボビンケース用スリット48と
が形成されている。
【0045】
円板状ドグ41とバー状ドグ46とは、両者のスリットが重なりうる位置関係で、横方向に近接して並んでいる。
【0046】
センサーベース50は、円板状ドグ41とバー状ドグ46の情報に位置するように、旋回ベース4の上部に取り付けられている。
1つのフォトセンサー51は、センサーベース50に取り付けられた発光体及び受光体からなり、円板状ドグ41のスリットとバー状ドグ46のスリットとが合致したことを検知して、補充ボビンケース受け2への補充ボビンケースセット忘れと、釜64からの空ボビンケース取り出しミスと、補充ボビンケース受け2からの補充ボビンケース取り出しミスと、駆動軸16の原点とを検出する。その詳細は後述する。
【0047】
[基本動作]
以上のように構成された本実施例のボビンケース交換装置1の基本動作を、
図7のタイミングチャートと、
図8〜
図21の動作図を参照して説明する。
【0048】
(1)駆動軸16の位相が0°(原点)のとき、
図8に示すように、ツメ装置6は旋回ベース4と共に、補充ボビンケース受け2を向く方向と釜64を向く方向との中間位置にある。このとき、釜64には空ボビンケースAがあり、補充ボビンケース受け2には補充ボビンケースBがセットされている。
そして、駆動軸16が一方向に回転しはじめると、タイミングチャートのとおり、ツメ装置6は旋回ベース4と共に釜64を向く方向となる側に旋回しはじめるとともに、ツメ装置6は前進しはじめる。
【0049】
(2)駆動軸16が回動して位相30°のとき、
図9に示すように、ツメ装置6は旋回ベース4と共に釜64を向く方向となり、ツメ装置6は空ボビンAのすぐ手前まで前進している。このとき、ツメ10は「開」から閉じはじめる。
【0050】
(3)駆動軸16が回動して位相35°のとき、
図10に示すように、ツメ装置6は前進し終わり、押さえ下板9及び押さえ上板13(同図では図示略)の前端が空ボビンケースAを押さえ、ツメ10は「開」から「閉」に向けて少し回動しているが、まだ空ボビンケースAのつまみを掴んではいない。このように、つまみを掴む前に空ボビンケースAを押さえる理由は、つまみを掴む際に空ボビンケースA全体が連れ動いて傾かないようにするためである(空ボビンケースAの安定化)。
【0051】
(4)駆動軸16が回動して位相60°のとき、
図11に示すように、ツメ10は「閉」となって空ボビンケースAのつまみを掴んでおり、ツメ装置6は後退しはじめる。その後、ツメ装置6は旋回ベース4と共に補充ボビンケース受け2を向く方向となる側に旋回しはじめる。
【0052】
(5)駆動軸16が回動して位相105°のとき、
図12に示すように、ツメ装置6は旋回ベース4と共に、補充ボビンケース受け2を向く方向と釜64を向く方向との中間位置にあり、ツメ装置6は後退し終わっている。その後、ツメ10は「閉」から開きはじめ、つまみを離して空ボビンケースAを落下させる。
【0053】
(6)駆動軸16が回動して位相130°のとき、
図13に示すように、ツメ装置6は旋回ベース4と共に、補充ボビンケース受け2を向く方向となり、(厳密には125°から)ツメ装置6は前進しはじめる。
【0054】
(7)駆動軸16が回動して位相145°のとき、
図14に示すように、ツメ装置6は補充ボビンケースBのすぐ手前まで前進している。
【0055】
(8)駆動軸16が回動して位相155°のとき、
図15に示すように、ツメ装置6は前進し終わり、押さえ下板9及び押さえ上板13(同図では図示略)の前端が補充ボビンケースBを押さえ、ツメ10は「開」から「閉」に向けて少し回動しているが、まだ補充ボビンケースBのつまみを掴んではいない。このように、つまみを掴む前に補充ボビンケースBを押さえる理由は、つまみを掴む際に補充ボビンケースB全体が連れ動いて傾かないようにするためである(補充ボビンケースBの安定化)。
【0056】
(9)駆動軸16が回動して位相180°のとき、
図16に示すように、ツメ10は「閉」となって補充ボビンケースBのつまみを掴んでおり、ツメ装置6は後退しはじめる。その後、ツメ装置6は旋回ベース4と共に釜64を向く方向となる側に旋回しはじめる。
【0057】
(10)駆動軸16が回動して位相210°のとき、
図17に示すように、ツメ装置6は後退し終わり、(厳密には205°から)ツメ装置6は旋回ベース4と共に釜64を向く方向となる側に旋回しはじめる。
【0058】
(11)駆動軸16が回動して位相260°のとき、
図18に示すように、ツメ装置6は旋回ベース4と共に釜64を向く方向となり、ツメ装置6は釜64のすぐ手前まで前進している。
【0059】
(12)駆動軸16が回動して位相280°のとき、
図19に示すように、ツメ装置6は前進し終わって補充ボビンケースBを釜64に係入させており、ツメ10は「閉」から回動しはじめる。
【0060】
(13)駆動軸16が回動して位相310°のとき、
図20に示すように、ツメは「開」となって補充ボビンケースBを釜64に取り付け終わっており、ツメ装置6は旋回ベース4と共に補充ボビンケース受け2を向く方向となる側に旋回しはじめ、(厳密には305°から)ツメ装置6は後退しはじめる。
【0061】
(14)駆動軸16が回動して位相340°のとき、
図21に示すように、ツメ装置6は旋回ベース4と共に、補充ボビンケース受け2を向く方向となり、ツメ装置6は後退し終わる。その後、駆動軸16は回動して位相0°(原点)となる。
【0062】
以上のように、駆動軸16の一方向の1回転で、ボビンケース交換が完了する。次のボビンケース交換は、同じく駆動軸16の一方向の1回転で行われる。
【0063】
[エラー検出と原点検出]
次に、本実施例のボビンケース交換装置1において、動作上問題となるため検出すべき3点のエラー検出と、駆動軸16の原点検出とを、
図7のタイミングチャートと、
図22〜
図24の動作図を参照して説明する。
【0064】
(ア)補充ボビンケースセット忘れ検出
図22は、駆動軸16が回動して位相157°のとき([基本動作](8)の直後)の動作図であり、補充ボビンケースBを補充ボビンケース受け2から取り出そうとしている。
【0065】
同図(a)は、正常時、すなわち補充ボビンケース受け2に補充ボビンケースBがセットされていた場合を示す。上記[前後スライド機構22]と[基本動作](8)で説明したとおり、後側スライドブロック28及び前側スライドブロック29の前後スライド量が44mmになったときに、押さえ下板9及び押さえ上板13(同図では図示略)が補充ボビンケースBを押さえ、前側スライドブロック29及びバー状ドグ46はそれ以上スライドしなくなり、その後、後側スライドブロック28のみが間隙30のバネ31(
図3参照)を圧縮しながら2mmスライドして、間隙30は8mmから6mmに縮まっている。このとき、フォトセンサー51上を、円板側補充ボビンケース忘れ用スリット43が通過するが、該スリット43をバー状ドグ46の後端部が塞ぐため、フォトセンサー51はエラー検出しない。
なお、前側スライドブロック29の前端からフォトセンサー51までの距離は103mmである。
【0066】
同図(b)は、エラー時、すなわち補充ボビンケース受け2に補充ボビンケースBをセットし忘れていた場合を示す。上記[前後スライド機構22]で説明したとおり、押さえ下板9及び押さえ上板13は補充ボビンケースを押さえないから、後側スライドブロック28は前側スライドブロック29及びバー状ドグ46とともにストロークの46mmまでスライドし、間隙30のバネ31は圧縮しておらず、間隙30は8mmである。すなわち、バー状ドグ46は、上記(a)の正常時よりも2mmだけ前にある。このとき、フォトセンサー51上を、円板側補充ボビンケース忘れ用スリット43が通過し、該スリット43をバー状ドグ46の後端部が塞がないため、フォトセンサー51はエラー検出し、ボビンケース交換装置1は停止する。
【0067】
(イ)空ボビンケース取り出しミス検出
図23は、駆動軸16が回動して位相266°のとき([基本動作](11)の直後)の動作図であり、補充ボビンケースBを釜64に取り付けようとしている。
【0068】
同図(a)は、正常時、すなわちそれ以前の[基本動作](4)で空ボビンケースAが取り出された釜64に、補充ボビンケースBを取り付ける場合を示す。後側スライドブロック28及び前側スライドブロック29のスライドはストロークの途中であり、補充ボビンケースBは何にも当たっていないから、間隙30のバネ31(
図3参照)は圧縮しておらず、間隙30は8mmである。このとき、フォトセンサー51上を、円板側空ボビンケース用スリット44が通過するが、該スリット44をバー状ドグ46の後部が塞ぐため、フォトセンサー51はエラー検出しない。
なお、前側スライドブロック29の前端からフォトセンサー51までの距離は91mmである。
【0069】
同図(b)は、エラー時、すなわちそれ以前の[基本動作](4)で取り出しミスにより空ボビンケースAが残っている釜64に、補充ボビンケースBを取り付ける場合を示す。後側スライドブロック28及び前側スライドブロック29のスライドはストロークの途中であるが、補充ボビンケースBが空ボビンケースAに当たるから、前側スライドブロック29及びバー状ドグ46はすでにスライドが止まっており、後側スライドブロック28のみが間隙30のバネ31を圧縮しながら4mmスライドして、間隙30は8mmから4mmに縮まっている。すなわち、バー状ドグ46は上記(a)の正常時よりも4mmだけ後ろにある。このとき、フォトセンサー51上を、円板側空ボビンケース用スリット44が通過し、該スリット44にバー側空ボビンケース用スリット48が合致するため、フォトセンサー51はエラー検出し、ボビンケース交換装置1は停止する。
【0070】
(ウ)補充ボビンケース取り出しミス検出
図24は、駆動軸16が回動して位相284°のとき([基本動作](12)の直後)の動作図であり、補充ボビンケースBを釜64に取り付け終わろうとしている。
【0071】
同図(a)は、正常時、すなわちそれ以前の[基本動作](9)で補充ボビンケース受け2から取り出して掴んでいる補充ボビンケースBを釜64に取り付ける場合を示す。上記(ア)(a)と(場所は異なるが)同様に、押さえ下板9及び押さえ上板13が補充ボビンケースBを押さえることから、間隙30は8mmから6mmに縮まっている。このとき、フォトセンサー51上を、円板側補充ボビンケース用スリット45が通過するが、該スリット45をバー状ドグ46の後端部が塞ぐため、フォトセンサー51はエラー検出しない。
【0072】
同図(b)は、エラー時、すなわちそれ以前の[基本動作](9)で補充ボビンケース受け2からの取り出しミスにより掴んでいない補充ボビンケースを釜64に取り付けようとする場合を示す。上記(ア)(b)と(場所は異なるが)同様に、押さえ下板9及び押さえ上板13は補充ボビンケースを押さえないから、間隙30は8mmである。すなわち、バー状ドグ46は、上記(a)の正常時よりも2mmだけ前にある。このとき、フォトセンサー51上を、円板側補充ボビンケース用スリット45が通過し、該スリット45をバー状ドグ46の後端部が塞がないため、フォトセンサー51はエラー検出し、ボビンケース交換装置1は停止する。
【0073】
(エ)駆動軸16の原点検出
駆動軸16が1回転して正しく位相0°(原点)となったとき、フォトセンサー51上で、円板側原点検出スリット42とバー側原点検出スリット47が合致するため、フォトセンサー51は原点検出し、ボビンケース交換装置1は停止する。
【0074】
以上詳述した本実施例のボビンケース交換装置1により、次の作用効果が得られる。
(a)旋回機構17と前後スライド機構22とツメ開閉機構34とをすべて1つの駆動軸16で駆動するので、故障率を下げることができ、修理によるダウンタイムを減らし、ミシンの稼働率を上げることができる。
(b)1つの駆動軸16を1つの駆動モーター14で回転させるため、さらに故障率を下げることができる。
(c)前記駆動モーター14が1方向回転であるため、動作がスムーズで、制御が容易である。
(d)エラー検出用のセンサーも1つなので、故障率を下げることができ、修理によるダウンタイムを減らし、ミシンの稼働率を上げることができる。
【0075】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。