特開2021-164950(P2021-164950A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2021-164950面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-164950(P2021-164950A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 11/20 20060101AFI20210917BHJP
   B21D 5/01 20060101ALI20210917BHJP
【FI】
   B21D11/20 A
   B21D5/01 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-69982(P2020-69982)
(22)【出願日】2020年4月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 収
(72)【発明者】
【氏名】塩田 正彦
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA01
4E063AA19
4E063BA03
4E063CA01
4E063DA04
4E063LA15
4E063MA18
4E063MA21
(57)【要約】
【課題】帯状の板材を面内で曲げ加工するに際して、曲げ部の内周部においても加工欠陥を発生させないことを課題とする。
【解決手段】一対の支点(支軸11,11)を中心にそれぞれ回転可能な一対のウイング式ダイ10,10と、所望の曲率の押圧面51を備えたパンチ50とを備えたウイング式の面内曲げ加工装置1を用いて、帯状の板材2を面内で曲げ加工する面内曲げ加工方法において、拘束板12を介して板材2が板厚方向両側から挟まれた状態で、一対のウイング式ダイ10,10の支持面15,15上に板材2を掛け渡して設置する板材設置工程と、パンチ50を、一対のウイング式ダイ10,10を押し開くように板材2に押圧する曲げ工程とを備え、板材設置工程では、曲げ工程を行う前の状態で板材2の少なくとも曲げ部3の側面全体を覆うように拘束板12を配置することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支点を中心にそれぞれ回転可能な一対のウイング式ダイと、所望の曲率の押圧面を備えたパンチとを備えたウイング式の面内曲げ加工装置を用いて、帯状の板材を面内で曲げ加工する面内曲げ加工方法において、
拘束板を介して前記板材を板厚方向両側から挟まれた状態で、一対の前記ウイング式ダイの支持面上に前記板材を掛け渡して設置する板材設置工程と、
前記パンチを、一対の前記ウイング式ダイを押し開くように前記板材に押圧する曲げ工程とを備え、
前記板材設置工程では、前記曲げ工程を行う前の状態で前記板材の少なくとも曲げ部の側面全体を覆うように前記拘束板を配置する
ことを特徴とする面内曲げ加工方法。
【請求項2】
帯状の板材を面内で曲げ加工する面内曲げ加工装置において、
一対の支点を中心にそれぞれ回転可能で前記板材の支持面を有する一対のウイング式ダイと、
所望の曲率の押圧面を備えたパンチと、
一対の前記ウイング式ダイにそれぞれ設けられ前記板材を板厚方向両側から挟んだ状態で前記ウイング式ダイに固定する拘束板と、を備えており、
前記拘束板は、曲げ加工を行う前の状態で前記板材の少なくとも曲げ部の側面全体を覆う
ことを特徴とする面内曲げ加工装置。
【請求項3】
前記拘束板は、前記板材の両面側にそれぞれ配置されており、
両面側に配置された前記拘束板の離間距離は、前記板材の板厚寸法より所定のクリアランス分大きく、
前記クリアランスは、前記拘束板間に前記板材を嵌合可能であるとともに、曲げ加工によって板材の板厚が増えた際に前記クリアランス内でそれ以上増肉させずに拘束板から反力を受ける大きさである
ことを特徴とする請求項2に記載の面内曲げ加工装置。
【請求項4】
前記ウイング式ダイの前記支持面は、前記支点よりも下方に位置している
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の面内曲げ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の板材を面内で曲げ加工する面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の板材を面内で曲げるエッジワイズ曲げを行う加工方法として、例えば特許文献1に示すアルミニウム合金製バスバーの製造方法が知られている。特許文献1の発明は、曲げ部の外周部において割れ(亀裂)や肉厚変動(くびれ)が発生するのを防止することを課題としている。特許文献1の製造方法では、加工前の素材の曲げ加工を行う部分の板幅方向両端縁部の肉厚をコイニング加工によって変化させたことによって、曲げ部における加工性が改善され、その外周部において割れや肉厚変動等の欠陥が生じるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−195827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エッジワイズ曲げを行う場合、曲げ部の内周部では、圧縮力が作用するため、図6に示すように、板材100の曲げ部101の内周部102が座屈して加工欠陥が発生する問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、帯状の板材を面内で曲げ加工するに際して、曲げ部の内周部においても加工欠陥が発生しない面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するための第一の本発明は、一対の支点を中心にそれぞれ回転可能な一対のウイング式ダイと、所望の曲率の押圧面を備えたパンチとを備えたウイング式の面内曲げ加工装置を用いて、帯状の板材を面内で曲げ加工する面内曲げ加工方法である。かかる面内曲げ加工方法は、拘束板を介して前記板材を板厚方向両側から挟んだ状態で、一対の前記ウイング式ダイの支持面上に前記板材を掛け渡して設置する板材設置工程と、前記パンチを、一対の前記ウイング式ダイを押し開くように前記板材に押圧する曲げ工程とを備えている。前記板材設置工程では、前記曲げ工程を行う前の状態で前記板材の少なくとも曲げ部の側面全体を覆うように前記拘束板を配置することを特徴とする。
【0007】
本発明の面内曲げ加工方法によれば、拘束板を介して板材の曲げ部の側面全体を覆っているので、板材の曲げ線近傍を挟んだ状態で曲げ加工が行われるので、曲げ部の内周部において座屈が起こらず加工欠陥の発生を抑制できる。なお、曲げ加工が進むと、板材の曲げ中央部は拘束板から露出するが、露出した部分は曲げ加工が完了した部分であり、曲げモーメントの波及はあるものの、しわのような座屈は発生し難い。また、板材の曲げ状態は、パンチとウイング式ダイにて4点曲げに近いので、局所的な加工欠陥が発生し難い。
【0008】
前記課題を解決するための第二の本発明は、帯状の板材を面内で曲げ加工する面内曲げ加工装置である。かかる面内曲げ加工装置は、一対の支点を中心にそれぞれ回転可能で前記板材の支持面を有する一対のウイング式ダイと、所望の曲率の押圧面を備えたパンチと、一対の前記ウイング式ダイにそれぞれ設けられ前記板材を板厚方向両側から挟んだ状態で前記ウイング式ダイに固定する拘束板とを備えている。前記拘束板は、曲げ加工を行う前の状態で前記板材の少なくとも曲げ部の側面全体を覆うことを特徴とする。
【0009】
本発明の面内曲げ加工装置によれば、板材の曲げ部の側面全体を覆って挟持した状態で曲げ加工を行うことができるので、曲げ部の内周部において座屈が起こらず加工欠陥が発生しない。なお、曲げ加工が進むと、板材の曲げ中央部は拘束板から露出するが、露出した部分は曲げ加工が完了した部分であり、曲げモーメントの波及はあるものの、しわのような座屈は発生し難い。また、板材の曲げ状態は、パンチとウイング式ダイにて4点曲げに近いので、局所的な加工欠陥が発生し難い。
【0010】
本発明の面内曲げ加工装置においては、前記拘束板は、前記板材の両面側にそれぞれ配置されていることが好ましい。この場合、前記拘束板同士の離間距離は、前記板材の板厚寸法より所定のクリアランス分大きく、前記クリアランスは、前記拘束板間に前記板材を嵌合可能であるとともに、曲げ加工によって板材の板厚が増えた際に前記クリアランス内でそれ以上増肉させずに拘束板から反力を受ける大きさであるものが好ましい。このような構成によれば、板材を両面から拘束できるので、板材を挟持し易い。また、拘束板の板厚を変更することで、種々の厚さの板材に対応可能である。
【0011】
また、本発明の面内曲げ加工装置においては、前記ウイング式ダイの前記板材の支持面は、前記支点よりも下方に位置しているものが好ましい。このような構成によれば、曲げ部の内周部において、板材とウイング式ダイ間の摩擦力が軸引張側に作用するため、座屈に対して有利となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状の板材を面内で曲げ加工するに際して、曲げ部の外周部だけでなく内周部においても加工欠陥の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る面内曲げ加工装置の曲げ加工前の状態を示した断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る面内曲げ加工装置の曲げ加工後の状態を示した断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る面内曲げ加工装置を示した斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る面内曲げ加工装置を示した分解斜視図である。
図5】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係る面内曲げ加工方法の曲げ工程を示した断面図である。
図6】従来の面内曲げ加工方法で曲げ加工した板材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置について図面を参照しながら詳細に説明する。かかる面内曲げ加工方法は、図1乃至図4に示す面内曲げ加工装置1を用いて、帯状の板材2を面内で曲げ加工する(エッジワイズ曲げ)方法である。本実施形態では、板材2は、アルミニウム合金にて形成されている。本発明の面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置1は、たとえば自動車等に用いられるバスバーをアルミニウム合金にて形成するために用いられる。
【0015】
まず、面内曲げ加工装置1の構成を説明する。本実施形態に係る面内曲げ加工装置1は、一対の支軸(支点)11,11を中心にそれぞれ回転可能な一対のウイング式ダイ10,10と、所望の曲率の押圧面51を備えたパンチ50と、板材2を板厚方向両側から拘束する拘束板12とを備えている。板材2は、ウイング式ダイ10上において、長手方向が水平方向に延在し、板幅方向が縦になるように配置される。本実施形態では、面内曲げ加工装置1を側方から見た状態(図1及び図2の状態)での横方向を左右方向とし、縦方向を上下方向とし、紙面表裏方向を前後方向(表側が前、裏側が後)とする。
【0016】
左右のウイング式ダイ10,10は、面内曲げ加工装置1の左右方向の中心線CLに対して左右対称形状となっている。ウイング式ダイ10は、ベース部13と立上部14とを備えている。ベース部13は、左右方向に沿って延在する板状部分である。ベース部13の上面には、中心線CL側から外側に向かって支持面15と載置面16が配置されている。支持面15は、板材2を支持する面であり、ベース部13の幅方向(前後方向)中央部に設けられている。支持面15は、中心線CL側端部から外側端部に向かって所定長さで形成されている。載置面16は、板材2の端部を固定するチャック17(図1にのみ図示)を載置する面であり、支持面15よりも一段低くなっている(図1参照)。載置面16は、支持面15の外側端部位置から外側端部に向かって所定長さで形成されている。
【0017】
立上部14は、前後方向に間隔をあけて一対設けられている。前後一対の立上部14,14、ベース部13の幅方向(前後方向)両端部で支持面15を両側から囲むように立ち上がっている。立上部14は、被押圧面部18と軸受部19とを備えている。被押圧面部18は、上方からパンチ50に押圧される部分であって、その上端面が被押圧面18aとなる。被押圧面18aは、中心線CL側端部から外側端部に向かって所定長さで延在している。被押圧面18aの延在長さ(左右方向長さ)は、支持面15の延在長(左右方向長さ)さより短い。被押圧面部18の高さ寸法は、板材2の幅寸法(ウイング式ダイ10に設置した状態での高さ寸法)と同等である。被押圧面18aには、焼入れが施されている。
【0018】
軸受部19は、ウイング式ダイ10を、支軸11を支点として回転可能に支持する部分であって、被押圧面部18の外側端部位置から外側端部に向かって所定長さで形成されている。軸受部19の外側端部は、支持面15の外側端部と同じ位置になっている。軸受部19の側面は、被押圧面部18の側面と面一になっている。軸受部19の上端部は、被押圧面18aよりも上方に突出している。軸受部19は、支軸11が貫通する貫通孔20を備えている。貫通孔20は、支持面15よりも上方に形成されており、本実施形態のウイング式ダイ10は、上支点型となっている。
【0019】
ウイング式ダイ10は、支柱部材25に支持されている。図3および図4に示すように、支柱部材25は、前後方向に間隔をあけて一対設けられ、ウイング式ダイ10を前後方向両側から囲むように配置されている。支柱部材25は、左右一対の支柱部26,26と、これらを結ぶ連結部27とを備えている。支柱部26は、上方に延出する板状部材からなる。支柱部26の上端部には、支軸11が貫通する貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、ウイング式ダイ10の貫通孔20と同径であり、貫通孔28と貫通孔20は、同軸上に配置される。支軸11は、ピンにて構成されており、支柱部材25の貫通孔28側からウイング式ダイ10の貫通孔20に向けて挿入されている。ピンの軸部の長さは、支柱部材25の厚さ寸法とウイング式ダイ10の立上部14の厚さ寸法とを合わせた長さとなっており、ピンの先端面と立上部14の側面とが面一となっている。連結部27は、支柱部26,26の下端部に連続して、左右方向に延在している。連結部27と支柱部26,26とは一体化されている。連結部27には、ねじ孔(図示せず)が形成されている。このねじ孔を介して、支柱部材25が台座30にねじ止めされている。
【0020】
台座30は、一対の支柱部材25,25を連結させる板状部材であって、支柱部材25,25の下部に設けられている。台座30の幅方向(前後方向)中間部には、上方部突出する凸部31が形成されている。凸部31の幅寸法(前後方向の寸法)は、支柱部材25,25の離間寸法と同等である。凸部31の前後の側面は、支柱部材25,25の位置決めガイドとなっている。凸部31の左右方向中間部には、貫通孔32が形成されている。貫通孔32には、ウイング式ダイ10を下側から支持するダイクッション33が挿通されている。ダイクッション33は、昇降可能に設けられており、ウイング式ダイ10がパンチ50にて押圧された際に、ウイング式ダイ10とともに降下し、このときウイング式ダイ10に反力を与える。
【0021】
拘束板12は、板材2の側面を面外方向から拘束する部材である。拘束板12は、各ウイング式ダイ10に2枚ずつ設けられており、板材2の前後両面側に配置される。拘束板12,12は、同形状の矩形板材からなり、ウイング式ダイ10の支柱部材25,25の間に挿入されている。拘束板12は、支持面15に沿って配置され、立上部14の側面に当接した状態でねじ止めされている。2枚の拘束板12,12は、互いに隙間をあけて配置されている。拘束板12,12の離間寸法は、板材2の板厚より所定のクリアランス分大きい。具体的には、拘束板12と板材2との間には、適度なクリアランスが存在するように拘束板12の板厚が設定されている。前記クリアランスは、拘束板12,12間に板材2を嵌合可能であるとともに、曲げ加工によって板材2の板厚が増えた際に、クリアランス内でそれ以上増肉させずに拘束板12から適切な反力を受ける大きさに設定される。一例として、板材2の厚さが2mm程度の場合は、板材2の両側のクリアランスの合計は0.2mm程度であるのが好ましい。つまり、拘束板12,12の離間寸法は、板材2の板厚寸法の110%程度となっている。これによって、板材2は、立上部14,14の間で2枚の拘束板12,12に挟まれることとなる。
【0022】
拘束板12の高さ寸法は、板材2の幅寸法(ウイング式ダイ10に設置した状態での高さ寸法)および被押圧面部18の高さ寸法と同等である。これによって、板材2を拘束板12,12で挟まれた状態でウイング式ダイ10に設置すると、ウイング式ダイ10の立上部14の被押圧面部18の上面と、拘束板12の上面と、板材2の上面とが面一となる。つまり、曲げ加工直前には、板材2の曲げ部3(曲げ加工が施される部分)のうち、側面全体が拘束板12によって拘束され、下面が支持面15によって拘束されることとなる。
【0023】
パンチ50は、ウイング式ダイ10の上方で、面内曲げ加工装置1の中心線CL上に設けられている。パンチ50は、降下することでウイング式ダイ10の中心側端部を押下げて、ウイング式ダイ10を傾斜させながら、板材2を曲げ加工する。パンチ50の下端部は、所望の曲率の曲面状に形成されており、この曲面が押圧面51となっている。所望の曲率とは、曲げ加工される板材の内周部の曲面の半径である。曲面状の押圧面51には、焼入れが施されている。
【0024】
次に、前記構成の面内曲げ加工装置1を用いた面内曲げ加工方法および本発明の作用効果について説明する。かかる面内曲げ加工方法は、準備工程と、板材設置工程と、曲げ工程とを備えている。
【0025】
準備工程は、ウイング式ダイ10に所望の厚さの拘束板12を設置する工程である。拘束板12の厚さは、2枚の拘束板12,12と加工される板材2とを重ねた厚さが、ウイング式ダイ10の立上部14,14の離間寸法と同等になるように選択される。準備工程では、拘束板12を、立上部14の内側側面にねじ等で固定する。
【0026】
板材設置工程は、一対のウイング式ダイ10,10の支持面15,15上に、板材2を掛け渡して設置する工程である。板材設置工程では、板材2を拘束板12,12の間に嵌めて、支持面15上に設置する。板材2は、曲げ加工する曲げ部3の中心が、一対のウイング式ダイ10,10の突合せ部に位置するように配置する。そして、板材2に軸力を加えて曲げる必要がある場合には、板材2の両端部をチャック17(図1参照)にて固定することが可能である。このとき、板材2の曲げ部3は、拘束板12,12によって側面全体が拘束され、支持面15によって底面が拘束されることとなる。
【0027】
曲げ工程は、パンチ50を板材2に押し付けて、板材2を面内で曲げ加工する工程である。曲げ加工では、パンチ50を降下させ、一対のウイング式ダイ10,10を押し開くように板材2を押圧させる。パンチ50の押圧面51は、ウイング式ダイ10の被押圧面部18a、拘束板12,12の上面および板材2の曲げ部3の上面に当接して、下方に押圧する。図5の(a)〜(c)に示すように、曲げ加工においては、パンチ50の降下に伴って、ウイング式ダイ10,10の中心線CL側の端部が押し下げられて、ウイング式ダイ10,10が傾斜する。このとき、板材2が支持面15から受ける反力は、常に板材2の未変形部分に面で作用するため、3点曲げでみられるようなダイ(支点)から作用する支点反力によって、未変形部に局所的に圧痕を付けることがない。さらに、曲げ部3の曲げ線近傍をパンチ50の押圧面51に常時押し付けることができる。したがって、板材2は、パンチ50への良好ななじみ性が得られる。なお、パンチ50は、下死点まで下がってプレス曲げが完了すると、上昇して元の位置に戻る。ウイング式ダイ10は、ダイクッション33が上昇することで元の水平位置に戻される。
【0028】
ところで、ウイング式の面内曲げ加工装置においては、曲げ部3の内周部(上縁部)で、加工初期の段階で被加工材の曲げ中央部が屈曲しパンチから離れてしまう場合や、曲げの圧縮側(内周部)において周期的にうねる「しわ」と、横断面が曲げの面外に倒れる「横座屈」と呼ばれる面外変形が生じる場合が加工限界となる。本実施形態の面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置1においては、板材2を拘束板12,12で挟むことで、曲げ部3の面外変形を抑制している。特に、拘束板12,12は板材2の曲げ線から外側端部に亘る領域を板厚方向に挟持し、さらに、曲げ部3の内周部で板材2の板厚が増えて板材2が拘束板12に密着する際に、板材2が拘束板12,12から適切な力を受けるので、座屈を抑制できる。したがって、曲げ部3の面外変形をさらに抑制することができる。
【0029】
また、図5の(b)〜(c)に示すように、ウイング式ダイ10が傾斜すると、板材2は、パンチ50とウイング式ダイ10にて4点支持に近い状態での曲げ加工となるので、曲げ部3のうち、既に曲げ加工が完了している曲げ中央部には、曲げモーメントの波及はあるものの、局所的な変形は発生しない。したがって、曲げ部3の中間部において、加工欠陥が発生し難い。
【0030】
なお、ウイング式ダイ10が傾斜すると、板材2の曲げ中央部は、拘束板12,12から露出するが、拘束板12,12から露出するのは曲げ加工が完了した加工済み部分であり、塑性変形中の部分は拘束板12,12にて挟まれているので、「しわ」のような面外変形を抑制することができる。
【0031】
さらに、本実施形態のウイング式ダイ10は、支軸11が貫通する貫通孔20が支持面15よりも上方に形成された上支点型であるため、板材2の端部をチャック17で拘束すれば、曲げ変形初期から板材2に軸引張側の力が作用し、曲げが進行するに従って増加する。そのため、圧縮応力が低減できるので、座屈に対して有利となる。よって、板材2の面外変形をより一層抑制することができる。
一方、圧縮側の座屈より引張側の割れが問題となる板材であれば、ウイング式ダイを上支点型ではなく、たとえば下支点型にして、板材に生じる引張応力を低減する方法も取り得る。
【0032】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、2枚の拘束板12,12で板材2を挟むようにしているが、これに限定されるものではない。1枚の拘束板とウイング式ダイの立上部の側面とで板材を挟むようにしてもよい。また、荷重制御によって、拘束板を板材に押し付ける方法も取り得る。
【0033】
また、前記実施形態では、アルミニウム合金製の板材2を曲げ加工しているが、板材2の材質は、アルミニウム合金に限定されるものではない。かかる面内曲げ加工方法および面内曲げ加工装置1は、他の金属からなる板材であっても、加工可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 面内曲げ加工装置
2 板材
3 曲げ部
10 ウイング式ダイ
11 支軸(支点)
12 拘束板
15 支持面
50 パンチ
51 押圧面
図1
図2
図3
図4
図5
図6