(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-165242(P2021-165242A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】液状洗浄剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20210917BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20210917BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20210917BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20210917BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20210917BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20210917BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20210917BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20210917BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20210917BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20210917BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/60
A61Q19/10
A61Q5/02
C11D1/04
C11D1/90
C11D1/68
C11D17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-68840(P2020-68840)
(22)【出願日】2020年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】小根田 大
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB07
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE05
4H003AB02
4H003AB03
4H003AC05
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB05
4H003ED02
4H003FA16
4H003FA17
(57)【要約】
【課題】
低温での保管安定性、低温での泡吐出性、泡質が良好な、液状洗浄剤を提供する。
【解決手段】
(A)〜(D)成分を含有する液状洗浄剤、特に泡吐出タイプの液状洗浄剤。
(A)高級脂肪酸及びその塩
(B)アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤
(C)スルホベタイン型両性界面活性剤
(D)アルキルポリグルコシド
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)〜(D)成分を含有する液状洗浄剤。
(A)高級脂肪酸及びその塩
(B)アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤
(C)スルホベタイン型両性界面活性剤
(D)アルキルポリグルコシド
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料をポンプフォーマー容器に充填した泡吐出タイプの化粧料は、エアゾールのような噴射剤を使用しなくても泡状化粧料を得ることができるため、洗浄剤(特許文献1)、ひげそり用化粧料(特許文献2)、整髪料(特許文献3)、口腔用組成物(特許文献4)、染毛料(特許文献5)等様々な分野で応用されている。
【0003】
特に、高級脂肪酸塩を含有する泡吐出タイプの洗浄剤は、洗い流し後がさっぱりしておりかつ、泡質が均一で、きめが細かく、コクの有る使用感であり、泡持ちが良好であるという優れた使用感を発揮することが知られていた(特許文献6)。しかしながらかかる洗浄剤は、低温で結晶が析出し、低温での泡吐出性が良好ではないという課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−252131号公報
【特許文献2】特開平10−182381号公報
【特許文献3】特表2001−522869号公報
【特許文献4】特開平10−87456号公報
【特許文献5】特開2001−37750号公報
【特許文献6】特開2011−79765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低温での保管安定性、低温での泡吐出性、泡質が良好な、液状洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)〜(D)成分を含有する液状洗浄剤を提供する。
(A)高級脂肪酸及びその塩
(B)アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤
(C)スルホベタイン型両性界面活性剤
(D)アルキルポリグルコシド
【発明の効果】
【0007】
本発明の液状洗浄剤は、低温での保管安定性、低温での泡吐出性、泡質が良好であるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明で用いる(A)高級脂肪酸及びその塩を構成する高級脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、直鎖又は分岐鎖を有してもよい。高級脂肪酸を構成する炭素数は、8〜24、特に10〜22のものが好ましい。これらの脂肪酸は1種を単独で、また2種以上を併用して用いてもよい。直鎖飽和脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、還元ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸などが挙げられる。分岐鎖脂肪酸としては、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、泡立ち、安全性、安定性の面から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましく、ラウリン酸とミリスチン酸とイソステアリン酸を用いることが最も好ましい。これらの高級脂肪酸と塩を形成するアルカリ剤としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン塩、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。これらのうち、特にカリウム、アルギニンが好ましい。
【0010】
また、これらの高級脂肪酸塩は、必ずしも脂肪酸塩として洗浄剤に配合する必要はなく、上記高級脂肪酸とアルカリ剤とをそれぞれ別個に添加し、脂肪酸塩を形成させてもよい。
【0011】
高級脂肪酸をアルカリ剤を用いて中和する場合、その中和率は90%以上100%未満であることが好ましい。中和率が100%以上の場合、皮膚刺激の原因となりうる場合がある。また中和率が90%未満の場合、低温で脂肪酸の結晶が析出する可能性が高まる。
【0012】
高級脂肪酸及びその塩の配合量は、高級脂肪酸として液状洗浄剤全量に対し、2〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。2質量%未満の配合では十分な洗浄力を発揮しない場合がある。15質量%を超えて配合すると、洗浄剤の粘度が上昇し、泡吐出できない場合がある。
【0013】
本発明で用いる(B)アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、洗浄剤に配合し得るものであれば特に限定されない。具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ココイルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が例示される。アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤を洗浄剤に配合する場合、そのまま配合することもできるが、予め精製水に溶解した水溶液として用いることが、ハンドリングの点から好ましい。
かかるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤は、市販のものを使用することができる。例えばラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインとして、アノン BL(日油社製、活性剤純分35%水溶液)、アンヒトール 20BS(花王社製、活性剤純分31%水溶液)、アンヒトール 24B(花王社製、活性剤純分24%水溶液)、オバゾリン LB(東邦化学工業社製、活性剤純分33%塩化ナトリウム水溶液)、ニッコール AM−301(日光ケミカルズ社製、活性剤純分35%水溶液)、リカビオン A−100(新日本理化社製、活性剤純分30%塩化ナトリウム水溶液)、レボンLD−36(三洋化成工業社製、活性剤純分36%塩化ナトリウム水溶液)、35% ラウリルジメチルアミノ酢酸溶液(富士フイルムワコーケミカル社製、活性剤純分35%水溶液)等が挙げられる。本発明の液状洗浄剤には、これらアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明で用いるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤の配合量は、低温安定性、泡質、皮膚刺激性の観点から、液状洗浄剤全量に対し、0.5〜5.5質量%が好ましく、1〜3.5質量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明で用いる(C)スルホベタイン型両性界面活性剤としては、洗浄剤に配合し得るものであれば特に限定されない。具体的には、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
かかるスルホベタイン型両性界面活性剤は、市販のものを使用することができる。例えばコカミドプロピルヒドロキシスルタインとして、Colateric CBS−HP(Colonial Chemical社製、活性剤純分50%水溶液)、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタインとして、ソフタゾリンLSB−R、フタゾリンLSB(ともに川研ファインケミカル社製、活性剤純分29%水溶液)、ラウリルヒドロキシスルタインとして、アンヒトール 20HD(花王社製、活性剤純分30%水溶液)等が挙げられる。本発明の液状洗浄剤には、これらスルホベタイン型両性界面活性剤を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
本発明で用いるスルホベタイン型両性界面活性剤の配合量は、低温安定性、泡質、皮膚刺激性の観点から、液状洗浄剤全量に対し、0.5〜5.5質量%が好ましく、1〜3.5質量%がさらに好ましい。
【0017】
本発明で用いる(D)アルキルポリグルコシドとしては、洗浄剤に配合し得るものであれば特に限定されない。具体的には、(カプリリル/カプリル)グルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ココイルグルコシド等が挙げられる。かかるアルキルポリグルコシドは、市販のものを使用することができる。例えばはマイドール10、マイドール12(いずれも花王社製)、プランタケア2000UP、プランタケア1200UP、プランタケア818UP、プランタケア800UP等のプランタケアシリーズ(いずれもBASF社製)、ORAMIX CG 110、ORAMIX NS 10(いずれもSEPIC社製)等が挙げられる。本発明の液状洗浄剤には、これらアルキルポリグルコシドを1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明で用いるアルキルポリグルコシドの配合量は、低温安定性、泡質、皮膚刺激性の観点から、液状洗浄剤全量に対し、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜2質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明の液状洗浄剤は、通常のボトルやポンプタイプの洗浄剤として使用することができるが、特に好ましい実施態様として、泡吐出機構を備えた容器に充填して使用することができる。泡吐出機構を備えた容器とは、噴射剤を使用するエアゾール型の泡吐出容器以外のノンエアゾール(ノンガスともいう)型のものを意味し、吐出容器内に充填された皮膚外用債と、空気とを混合して多孔質膜を通過させることにより泡沫状に吐出することができる容器である。具体的には、ポンプフォーマーやスクイズフォーマー等を例示することができる。
【0020】
また、吐出容器内部の多孔質膜は、一つ又は複数設けられ、その膜の孔数は特に限定されないが、キメ細かな泡質にする観点から、100〜400メッシュが好ましく、150〜300メッシュがより好ましい。
【0021】
本発明の液状洗浄剤は、前記成分以外に、更に、通常の洗浄剤に用いられる成分、例えば、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、増粘剤、塩類、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【実施例】
【0022】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0023】
[評価方法]
(1)安定性
液状洗浄剤を、5℃の恒温槽で1か月保管し、状態を目視で観察した。
〇:結晶の析出や澱の発生がなく透明な液状である
△:澱が少し認められる
×:結晶の析出が認められる
(2)吐出性
泡吐出容器に充填した液状洗浄剤を5℃恒温槽に保管し、恒温槽から取り出した直後の泡吐出性をスキンケア官能評価専門家2名が独立して評価し、合議により下記基準に従い評価した。
〇:非常に良好である
△:あまりよくない
×:良くない
(3)泡質
泡吐出容器に充填した液状洗浄剤をスキンケア官能評価専門家2名が独立して評価し、合議により下記基準に従い評価した。
〇:非常に良好である
△:あまりよくない
×:良くない
【0024】
表1に、本発明の実施例及び比較例にかかる液状洗浄剤の処方を示す。液状洗浄剤は定法に従い調製し、使用評価用泡吐出容器(タケモト製、100メッシュ×200メッシュの2枚)に充填し、評価に供した。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示した通り、本発明の液状洗浄剤は、低温での保管安定性、低温での泡吐出性、泡質に優れたものであった。