(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-165465(P2021-165465A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】開口形成構造物の嵌込蓋
(51)【国際特許分類】
E03F 5/06 20060101AFI20210917BHJP
【FI】
E03F5/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-68253(P2020-68253)
(22)【出願日】2020年4月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大植 宏和
(72)【発明者】
【氏名】阿部 恵一
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CB02
2D063CB06
2D063CB12
2D063CB26
(57)【要約】
【課題】盗難のリスクが軽減される。
【解決手段】グレーチング30は、蓋本体40と、本体固定体42とを備える。本体固定体42は、溝渠200の開口240を覆うように溝渠200に蓋本体40を固定するためのものである。本体固定体42が、接触体と、揺動体と、接続体とを有している。揺動体は、揺動軸を中心とした揺動が可能である。揺動体は接触体と共にその揺動をすることが可能である。揺動体は、接触体のうち揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔とを隔てる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成されている蓋本体と、
内周側面を備え開口を形成する所定の開口形成構造物の前記開口を覆うように前記開口形成構造物に前記蓋本体を固定するための本体固定体とを備え、
前記本体固定体が、
前記蓋本体が前記開口形成構造物の前記開口を覆うとき前記開口形成構造物の前記内周側面に接触可能な位置に配置され所定の揺動軸を中心とした揺動が可能である接触体と、
前記接触体を前記蓋本体に接続する接続体とを有している嵌込蓋であって、
前記本体固定体が、前記接触体と共に前記揺動軸を中心とした揺動が可能であり、かつ、前記接触体のうち前記揺動軸の位置から見た前記蓋本体の外縁側とは反対側の部分と前記蓋本体の前記貫通孔とを隔てる揺動体をさらに有していることを特徴とする嵌込蓋。
【請求項2】
前記揺動体が、
前記揺動軸を中心とした揺動が可能であり、かつ、前記接触体のうち前記揺動軸の位置から見た前記蓋本体の外縁側とは反対側の部分と前記蓋本体の前記貫通孔との間に配置される本体部と、
前記貫通孔を経由して所定の力を受ける前は前記接続体に対する前記本体部の相対位置が所定の位置となり前記所定の力を受けた後は前記本体部が揺動自在となるよう前記接続体に前記本体部を係合する係合部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の嵌込蓋。
【請求項3】
前記係合部が、
前記接続体の所定の箇所に係合するための突起部と、
前記接続体の前記所定の箇所に向かって前記突起部が突出するよう前記突起部が固定され、前記接続体に沿って伸び、かつ、前記本体部に固定される突起基部とを有していることを特徴とする請求項2に記載の嵌込蓋。
【請求項4】
前記突起部が、前記貫通孔に対向するように配置され、かつ、前記所定の力を受けるための受力領域を有していることを特徴とする請求項3に記載の嵌込蓋。
【請求項5】
前記揺動体が、前記突起基部から見た前記突起部の突出方向とは反対側に配置され、前記所定の力を受けて前記突起基部が撓むと前記突起基部を支持する支持部をさらに有していることを特徴とする請求項3に記載の嵌込蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌込蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マンホール用外蓋のための固定装置を開示する。このマンホール用外蓋のための固定装置において、マンホール用の枠管内に嵌め込まれる外蓋の端部付近下面には接触体接続部が設けられる。この接触体接続部には接触体が取り付けられる。この接触体は枠管の内周側面に接したり離したりさせるために形成されるものである。この接触体は、自重による揺動動作可能で枠管の内周側面に対する揺動端が規定されるように取り付けられる。この接触体には操作部材が連なっている。この操作部材は、この接触体の揺動姿勢を変えるために設けられるものである。
【0003】
特許文献1に開示された発明によると、枠管への加工を排除することができる。特許文献1に開示された発明によると、外蓋の固定状態を強化できる。特許文献1に開示された発明によると、接触体を揺動させて枠管の内周側面から離すことにより外蓋の固定状態を解除できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−2205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、盗難に遭いやすいという問題点がある。盗難に遭いやすいのは、操作ボルトが操作されることによって外蓋の施錠が容易に解除されるためである。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するものである。その目的は、盗難のリスクが軽減された嵌込蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面を参照して本発明の嵌込蓋を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、嵌込蓋30は、蓋本体40と、本体固定体42とを備える。蓋本体40には貫通孔58が形成されている。本体固定体42は、開口形成構造物200の開口240を覆うように開口形成構造物200に蓋本体40を固定するためのものである。この開口240は、開口形成構造物200によって形成される。この開口形成構造物200は、内周側面220を備える。本体固定体42が、接触体60と、接続体66とを有している。接触体60は、蓋本体40が開口形成構造物200の開口240を覆うとき開口形成構造物200の内周側面220に接触可能な位置に配置される。接触体60は所定の揺動軸を中心とした揺動が可能である。接続体66は、接触体60を蓋本体40に接続する。本体固定体42が、揺動体64をさらに有している。揺動体64は、揺動軸を中心とした揺動が可能である。揺動体64は接触体60と共にその揺動をすることが可能である。揺動体64は、接触体60のうち揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58とを隔てる。
【0009】
本体部80ごと接触体60を揺動させることが可能である。その際、接触体60のうち揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58とを本体部80が隔てる。本体部80がそれらを隔てるので、接触体60のうち蓋本体40の外縁側とは反対側の部分が貫通孔58からは見えなくなる。その部分が貫通孔58からは見えなくなるので、その部分が貫通孔58から見える場合に比べて、次に述べられることを気づくのに時間を要する。それは、接触体60のうち蓋本体40の外縁側とは反対側の部分を本体部80ごと揺動させれば接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離し得ることである。そのことを気づくのに時間を要すると、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことが結果的にできなくなる可能性は高くなる。その結果、盗難のリスクが軽減される。
【0010】
また、上述された揺動体64が、本体部80と、係合部82とを有していることが望ましい。本体部80は、揺動軸を中心とした揺動が可能である。本体部80は、接触体60のうち揺動軸から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58との間に配置される。係合部82は、接続体66に本体部80を係合する。この係合により、貫通孔58を経由して所定の力を受ける前は接続体66に対する本体部80の相対位置が所定の位置となる。この係合により、所定の力を受けた後の本体部80は揺動自在となる。
【0011】
揺動体64が係合部82を有していると、接続体66に対する本体部80の相対位置は、所定の力を受けた後に揺動自在となる。これにより、係合部82に所定の力を加えることに気づかれるまで本体部80は揺動自在にならない。その分、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことに要する時間は長くなる。その時間が長引くと、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことが結果的にできなくなる可能性は高くなる。その結果、盗難のリスクが軽減される。
【0012】
また、上述された係合部82が、突起部100と、突起基部102とを有していることが望ましい。突起部100は、接続体66の所定の箇所142に係合するためのものである。突起基部102には、接続体66の所定の箇所142に向かって突起部100が突出するようその突起部100が固定される。突起基部102は、接続体66に沿って延びる。突起基部102は、本体部80に固定される。
【0013】
接続体66に沿って延びる突起基部102は、所定の力のうち突起部100が接続体66から離れる方向の分力を受けると、突起部100が接続体66から離れるように撓む。突起基部102が撓むことで突起部100が接続体66の所定の箇所142から離れると、本体部80は上述された相対位置の変動が可能な状態となる。これにより、貫通孔58を経由して所定の力を加えることにより本体部80を上述された相対位置の変動が可能な状態とすることができる。
【0014】
もしくは、上述された突起部100が、受力領域120を有していることが望ましい。受力領域120は、貫通孔58に対向するように配置される。受力領域120は、所定の力を受けるためのものである。
【0015】
受力領域120が貫通孔58に対向するように配置されると、その受力領域120が貫通孔58を経由する上述の所定の力を受けやすくなる。一方、突起基部102が撓む方向の力を受けるまで、受力領域120に力がかかっても突起部100は接続体66から離れない。これにより、突起基部102が撓む方向の力が必要なことに気づかれるまで、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことに要する時間は長くなる。その結果、盗難のリスクが軽減される。
【0016】
もしくは、上述された揺動体64が、支持部84をさらに有していることが望ましい。支持部84は、突起基部102から見た突起部100の突出方向とは反対側に配置される。支持部84は、所定の力を受けて突起基部102が撓むと突起基部102を支持する。
【0017】
支持部84が突起基部102を支持すると、突起基部102はその支持がない場合よりも撓み難くなる。撓み難いので、撓み易い場合に比べて、突起基部102が塑性変形するリスクは低下する。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる嵌込蓋によれば、盗難のリスクが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のある実施形態にかかるグレーチングが溝渠に固定されている状況を示す概念図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかるグレーチングの平面図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の正面図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかる接触体の右側面図である。
【
図6】本発明のある実施形態にかかる保持体の正面図である。
【
図7】本発明のある実施形態にかかる保持体の右側面図である。
【
図8】本発明のある実施形態にかかる保持体の背面図である。
【
図9】本発明のある実施形態にかかる保持体の左側面図である。
【
図10】本発明のある実施形態にかかる保持体の平面図である。
【
図11】本発明のある実施形態にかかる係合部および支持部の斜視図である。
【
図12】本発明のある実施形態にかかる接続体の正面図である。
【
図13】本発明のある実施形態にかかる接続体の右側面図である。
【
図14】本発明のある実施形態にかかる接続体の左側面図である。
【
図15】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の動作を示す第1の概念図である。
【
図16】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の動作を示す第2の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0021】
[嵌込蓋の構成]
図1は、本実施形態にかかるグレーチング30が溝渠200に固定されている状況を示す概念図である。
図2は、本実施形態にかかるグレーチング30の平面図である。
図1と
図2とに基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の構成が説明される。
【0022】
本実施形態にかかるグレーチング30は嵌込蓋の一種である。本実施形態にかかるグレーチング30は溝渠200に固定される。本実施形態にかかる溝渠200は開口形成構造物の一種である。本実施形態にかかる溝渠200は内周側面220を備える。本実施形態にかかる溝渠200は開口240を形成する。
【0023】
この溝渠200はあらかじめ定められた規格に基づいて設けられたものである。本実施形態にかかるグレーチング30はその規格に準拠した溝渠200に固定されることを前提に設計されている。したがって、本実施形態にかかるグレーチング30は所定の溝渠200の開口を覆うように固定されるものである。
【0024】
本実施形態にかかるグレーチング30は、1枚の蓋本体40と4個の本体固定体42とを備える。蓋本体40は、溝渠200の開口240を覆う。本体固定体42は、蓋本体40を溝渠200に固定するためのものである。本体固定体42により、蓋本体40は、溝渠200の開口240を覆うように溝渠200に固定されることとなる。
【0025】
蓋本体40は、複数のメインバー50と、複数のクロスバー52と、枠体54の対とを備えている。
【0026】
メインバー50は金属製の部材である。複数のメインバー50は、グレーチング30の長手方向に対して直交する方向に延びるように配置されている。複数のメインバー50は、互いに隙間をあけて配置されている。
【0027】
クロスバー52は金属製の部材である。本実施形態にかかるクロスバー52は、角鋼棒を捩じって形成されたものである。複数のクロスバー52は、グレーチング30の長手方向に沿って延びるように配置されている。複数のクロスバー52は、互いに隙間をあけて配置されている。各クロスバー52は、複数のメインバー50の上端部に固定されている。こうして、複数のクロスバー52が、複数のメインバー50と格子状となるように組まれている。その結果、本実施形態の場合、蓋本体40の形状は長方体状部分を有することとなる。上述されているように、メインバー50とクロスバー52とが格子状となるように組まれている。それらが格子状となるように組まれることで複数の孔が形成される。それらの孔のうち本体固定体42の真上のものが、貫通孔58となる。本実施形態の場合、貫通孔58は、後述される固定解除用部材160を貫通させるための孔とみなされる。
【0028】
枠体54は、金属製の部材である。本実施形態の場合、枠体54は周知の山形鋼から構成される。枠体54は、クロスバー52に沿うように蓋本体40の両端に配置される。枠体54は、蓋本体支持部174と、側面形成部176とを有する。蓋本体支持部174は、枠体54のうち山形鋼の辺の一方からなる。蓋本体40が溝渠200の開口240を覆うとき、蓋本体支持部174が溝渠200の開口240の縁に載せられる。蓋本体支持部174は、蓋本体40を支持する。側面形成部176は、枠体54のうち山形鋼の辺の他方からなる。側面形成部176は、蓋本体40のうち溝渠200の延びる方向に沿って配置されるための側面を形成する。この側面は上述された直方体状部分の側面でもある。上述されたように、枠体54は、クロスバー52に沿うように蓋本体40の両端に配置される。これにより、蓋本体40は溝渠200の延びる方向に沿って配置されるための側面を有することとなる。
【0029】
図3は、本実施形態にかかる本体固定体42の正面図である。
図4は、
図3のA−A矢視図である。
図3および
図4に基づいて、本実施形態にかかる本体固定体42の構成が説明される。本実施形態にかかる本体固定体42は、1枚の接触体60と、揺動体64と、接続体66と、中心軸ピン68とを有している。
【0030】
接触体60は、蓋本体40が溝渠200の開口240を覆うとき溝渠200の内周側面220に接触可能な位置に配置される。その結果、本実施形態にかかる本体固定体42は、側面形成部176に形成された切欠部190に対向するように配置される。接触体60は、後述される揺動軸を中心とした揺動が可能である。接触体60の具体的な構成は後述される。揺動体64は、接触体60と共に後述される揺動軸を中心とした揺動が可能である。揺動体64は、接触体60のうち後述される揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58とを隔てる。揺動体64の具体的な構成は後述される。接続体66は、接触体60および揺動体64を蓋本体40に接続する。接続体66の具体的な構成は後述される。中心軸ピン68は、接続体66と揺動体64と接触体60とを貫通する。
【0031】
図5は、本実施形態にかかる接触体60の接触体60である。
図5に基づいて、本実施形態にかかる接触体60の構成が説明される。本実施形態にかかる接触体60は板状の部材である。本実施形態にかかる接触体60は、接触面形成部70と、接触体側軸貫通部72と、揺動体接触部74とを有している。接触面形成部70は、その端部に曲面76を形成する。この曲面76が溝渠200の内周側面220に接触する。本実施形態にかかる接触体60の重心は接触面形成部70内にある。接触体側軸貫通部72は孔を形成する。その結果、接触体60の重心はその孔より蓋本体40の外縁側にあることとなる。上述された中心軸ピン68は、接触体側軸貫通部72が形成する孔を貫通する。揺動体接触部74は、接触体側軸貫通部72が形成する孔から見て接触面形成部70とは反対側に配置される。揺動体接触部74は接触体60の揺動のための力を受ける。この揺動体接触部74が、揺動体64によって蓋本体40の貫通孔58と隔てられる。
【0032】
図6は、本実施形態にかかる揺動体64の正面図である。
図7は、本実施形態にかかる揺動体64の右側面図である。
図8は、本実施形態にかかる揺動体64の背面図である。
図9は、本実施形態にかかる揺動体64の左側面図である。
図10は、本実施形態にかかる揺動体64の平面図である。
図6乃至
図10に基づいて、本実施形態にかかる揺動体64の構成が説明される。本実施形態にかかる揺動体64は、本体部80と、係合部82と、支持部84とを有している。
【0033】
本体部80は、接触体60のうち揺動体接触部74と蓋本体40の貫通孔58との間に配置される。本実施形態にかかる本体部80の具体的な構成は後述される。係合部82は、接続体66に本体部80を係合させる。その係合のための具体的な構成は後述される。支持部84は、接触体60の揺動体接触部74に対向するように配置される。支持部84は、接触体60の揺動体接触部74に後述される力を伝える。支持部84は、係合部82を支持する。支持部84の形態は後述される。
【0034】
本実施形態の場合、本体部80は、本体基部90と、一方本体側壁部92と、他方本体側壁部94とを有する。本体基部90は、蓋本体40の貫通孔58に対向するように配置される。一方本体側壁部92と他方本体側壁部94とは、本体基部90の端から突出する。本実施形態の場合、一方本体側壁部92の端から上述された係合部82が突出している。他方本体側壁部94の端から上述された支持部84が突出している。一方本体側壁部92と他方本体側壁部94とは、上述された接触体60が収容される隙間を形成する。本実施形態の場合、一方本体側壁部92と他方本体側壁部94とは、本体側軸貫通部96をいずれも有する。本実施形態の場合、本体側軸貫通部96は孔を形成する。上述された中心軸ピン68は、それらの本体側軸貫通部96,96が形成した孔を貫通する。本体側軸貫通部96,96の対の間に、上述された接触体60が配置される。中心軸ピン68は、上述された接触体60の接触体側軸貫通部72が形成する孔も貫通する。中心軸ピン68は、本体側軸貫通部96および接触体60に対して固定されていない。ただし中心軸ピン68には抜け止めが取り付けられている。抜け止めが取り付けられているので、中心軸ピン68は本体側軸貫通部96,96が形成する孔および接触体側軸貫通部72が形成する孔から抜けない。これにより、接触体60および揺動体64は揺動可能である。それらの揺動の中心である揺動軸は、中心軸ピン68の中心に存在することとなる。
【0035】
図11は、本実施形態にかかる係合部82および支持部84の斜視図である。
図11に基づいて、本実施形態にかかる係合部82および支持部84の構成が説明される。
【0036】
本実施形態にかかる係合部82は、突起部100と、突起基部102とを有している。本実施形態にかかる突起部100は、接続体66の所定の箇所に係合するためのものである。突起基部102は、貫通孔58を貫通した固定解除用部材160から所定の力を受ける前において突起部100を上述された所定の箇所に配置させる。これにより、接続体66に本体部80が係合されることとなる。この係合により、固定解除用部材160から力を受ける前において、接続体66に対する本体部80の相対位置が所定の位置となる。
【0037】
突起部100は、受力領域120と、接触領域122とを有している。受力領域120は、固定解除用部材160から力を受けるための領域である。本実施形態の場合、受力領域120は貫通孔58に対向するように突起基部102から突出している。受力領域120は、本体固定個所130における本体部80の相対位置の変動方向に対して交差するように配置される。本実施形態における本体固定個所130とは、突起基部102が本体部80に固定される個所を意味する。本実施形態の場合、本体部80は上述された揺動軸を中心に揺動する。したがって、ここでいう本体固定個所130における本体部80の相対位置の変動方向とは、上述された揺動軸を中心とした揺動の接線方向を意味する。接触領域122は、接続体66の上述された所定の箇所に接触するための領域である。本実施形態の場合、接触領域122は、受力領域120に隣接している。
【0038】
上述されたように、本実施形態にかかる突起基部102は、本体固定個所130において本体部80に固定される。本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66に沿って拡がる板状である。本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66の内壁に特に沿っている。よく詳しくは、本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66の内壁のうち後述される係合溝形成部142が形成する溝の縁にあたる部分に沿っている。本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66に沿って本体部80から延びる。突起基部102に、上述された接続体66の所定の箇所に向かって突起部100が突出するよう突起部100が固定される。
【0039】
本実施形態にかかる支持部84は、揺動体64の外部から見て突起基部102の裏側に配置される。すなわち、本実施形態にかかる支持部84は、突起基部102から見た突起部100の突出方向とは反対側に配置される。支持部84は、突起基部102に向かって突出している。本実施形態の場合、支持部84の底面150が接触体60の揺動体接触部74に対向する。支持部84の先端部152が突起基部102に対向する。
【0040】
本実施形態にかかる支持部84が上述のように構成されているので、揺動体64の揺動に伴って支持部84が下がるとその底面150は揺動体接触部74に押し当てられる。その揺動により、揺動体64の支持部84は接触体60の揺動体接触部74を押し下げる。接触体60の揺動体接触部74が押し下げられると、接触体60の接触面形成部70は上がる。これにより、接触体60の接触面形成部70は溝渠200の内周側面220から離れる方向へ移動する。その結果、揺動体接触部74は接触体60の揺動のための力を支持部84から受けることとなる。
【0041】
一方、本実施形態にかかる支持部84が上述のように構成されているので、突起基部102が撓むと突起基部102は支持部84の先端部152に押し当てられることとなる。突起基部102が支持部84の先端部152に押し当てられることで、突起基部102は支持されることとなる。
【0042】
図12は、本実施形態にかかる接続体66の正面図である。
図13は、本実施形態にかかる接続体66の右側面図である。
図14は、本実施形態にかかる接続体66の左側面図である。
図12乃至
図14に基づいて、本実施形態にかかる接続体66の構成が説明される。本実施形態にかかる接続体66は、接続側軸貫通部140,140の対と、係合溝形成部142と、ブラケット部146,146の対と、底部148とを有している。
【0043】
接続側軸貫通部140は、孔を形成する。その孔を上述された中心軸ピン68が貫通する。係合溝形成部142は、溝を形成する。その溝に、上述された突起部100の接触領域122が接触する。その溝にその接触領域122が接触することで、接続体66に本体部80が係合されることとなる。したがって、本実施形態においては、係合溝形成部142が、上述された接続体66の所定の箇所である。ブラケット部146は、蓋本体40のメインバー50に溶接される。底部148は、接続側軸貫通部140,140の対の間に隙間が形成されるようにこれらを接続する。
【0044】
[嵌込蓋の製造手順]
本実施形態にかかるグレーチング30は、次に述べられる手順により製造される。まず、作業者は、蓋本体40を周知の方法により製造する。作業者は、本体固定体42を構成する各部品を周知の方法により製造する。それらが製造されると、作業者は、本体固定体42が有する接続体66のブラケット部146を4個メインバー50に溶接する。それらがメインバー50に溶接されると、作業者は、周知の方法によりそれらと蓋本体40とにドブ漬けメッキを施す。続いて、作業者は、接続体66の接続側軸貫通部140,140の対の間に揺動体64を挿入する。次いで、作業者は、接続体66の係合溝形成部142が形成する溝に本体部80の突起部100を係合させる。それらが係合されると、作業者は、揺動体64の中に接触体60を挿入する。その後、作業者は、接触体60と揺動体64と接続体66とを、中心軸ピン68に貫通させる。作業者は、本体固定体43が有する接触体60と揺動体64と接続体66とを、中心軸ピン68に貫通させる。作業者は最後に中心軸ピン68に抜け止めピンを差し込む。それらが完了すると、本実施形態にかかるグレーチング30が完成する。
【0045】
[使用方法の説明]
図15は、本実施形態にかかる本体固定体42の動作を示す第1の概念図である。
図16は、本実施形態にかかる本体固定体42の動作を示す第2の概念図である。
図15と
図16とに基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の使用時における動作が説明される。
【0046】
本実施形態にかかるグレーチング30は、周知のグレーチングと同様の方法により溝渠200に嵌め込まれる。グレーチング30が溝渠200に嵌め込まれる前、接触体60の接触面形成部70側は自重により蓋本体40の外縁側に倒れている。その際、接触体60の接触面形成部70が接続体66の底部148に接触することにより、接触体60の接触面形成部70の垂れ下がりは防止される。なお、この時点では、接触体60の揺動体接触部74は揺動体64の支持部84から離れている。グレーチング30が溝渠200に嵌め込まれると、その接触面形成部70は溝渠200の縁によって押し上げられる。その後、接触体60の接触面形成部70の曲面76は溝渠200の内周側面220を滑る。枠体54の蓋本体支持部174が溝渠200の開口240の縁に載せられると、本実施形態にかかるグレーチング30の嵌め込みは完了する。
【0047】
その後、グレーチング30に対してこれを引き抜こうとする力がかかるとする。これにより、中心軸ピン68にも引き抜こうとする力がかかる。一方、接触体60の接触面形成部70の曲面76は溝渠200の内周側面220に接触している。溝渠200の内周側面220に接触しているのでその曲面76は摩擦力を受ける。この摩擦力によって接触体60はその場に留まる。その結果、本実施形態にかかるグレーチング30は固定されることとなる。
【0048】
本実施形態にかかるグレーチング30を取り外そうとする場合、作業者は、固定解除用部材160に貫通孔58を貫通させる。作業者は、貫通孔58を貫通した固定解除用部材160によって本体固定体42の係合部82を揺動体64の内側へ向かって押す。続いて作業者はその固定解除用部材160によって係合部82を下げる。これにより係合部82が所定の力を受けると、係合部82の突起基部102は、突起部100が接続体66から離れる方向の力を受ける。その力を受けた突起基部102は撓む。突起基部102が撓むと、支持部84が突起基部102を支持する。支持部84に指示された突起基部102がさらに撓むと、突起部100は接続体66から離れる。これにより、接続体66と本体部80との係合部82による係合は解除される。すなわち、貫通孔58を経由して所定の力を受ける前は接続体66に対する本体部80の相対位置が所定の位置となっている。その所定の力を受けた後は本体部80が揺動自在となる。一方、突起部100の受力領域120は、固定解除用部材160から受ける所定の力のうち、本体部80が揺動する方向の分力を受ける。そのような分力を受けると、本体部80は揺動する。
図15および
図16におけるその揺動の方向は、時計回りの方向である。その揺動により、揺動体64の支持部84は接触体60の揺動体接触部74を押し下げる。接触体60の揺動体接触部74が押し下げられると、接触体60の接触面形成部70は上がる。これにより、接触体60の接触面形成部70は溝渠200の内周側面220から離れる方向へ移動する。その後、作業者は蓋本体40を引き上げる。これにより本実施形態にかかるグレーチング30は取り外される。
【0049】
[効果の説明]
本実施形態にかかるグレーチング30において、接触体60を溝渠200の内周側面220から離し得ることに気づくためには時間を要する。時間を要するので、時間を要さない場合に比べて、本実施形態にかかるグレーチング30を盗もうとする者がそのことに気づくまでの間に第三者によってグレーチング30を盗もうとする行為が発見される可能性は高くなる。あるいは、第三者によってグレーチング30を盗もうとする行為が発見されたのではないかと疑心暗鬼になる可能性が高くなる。あるいは、グレーチング30を盗もうとする行為を遂行する意欲が損なわれるようなその他の事情が生じる可能性が高くなる。これにより、接触体60を溝渠200の内周側面220から離すことが結果的にできなくなる可能性は高くなる。その結果、本実施形態にかかるグレーチング30における盗難のリスクが軽減される。
【0050】
[変形例の説明]
上述したグレーチング30は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。各部材の形状、構造、配置などはこれらの実施形態のものに限定されない。各部材の形状、構造、配置は、種々の変更を加え得るものである。
【0051】
例えば、蓋本体40の具体的な構成は上述したものに限定されない。揺動体64は係合部82を有していなくてもよい。
【0052】
また、本発明にかかるグレーチングが備える本体固定体の間で上述された所定の箇所の位置すなわち突起部100が係合する箇所の位置がどのように異なっているかは特に限定されない。本発明にかかるグレーチングが備える本体固定体の個数も特に限定されない。
【符号の説明】
【0053】
30…グレーチング
40…蓋本体
42,43…本体固定体
50…メインバー
52…クロスバー
54…枠体
58…貫通孔
60…接触体
64…揺動体
66…接続体
68…中心軸ピン
70…接触面形成部
72…接触体側軸貫通部
74…揺動体接触部
76…側面形成部
80…本体部
82…係合部
84…支持部
90…本体基部
92…一方本体側壁部
94…他方本体側壁部
96…本体側軸貫通部
100…突起部
102…突起基部
120…受力領域
122…接触領域
130…本体固定個所
140…接続側軸貫通部
142…係合溝形成部
146…ブラケット部
150…底面
152…先端部
160…固定解除用部材
174…蓋本体支持部
176…側面形成部
190…切欠部
200…溝渠
220…内周側面
240…開口
【手続補正書】
【提出日】2021年7月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
開口形成構造物の嵌込蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マンホール用外蓋のための固定装置を開示する。このマンホール用外蓋のための固定装置において、マンホール用の枠管内に嵌め込まれる外蓋の端部付近下面には接触体接続部が設けられる。この接触体接続部には接触体が取り付けられる。この接触体は枠管の内周側面に接したり離したりさせるために形成されるものである。この接触体は、自重による揺動動作可能で枠管の内周側面に対する揺動端が規定されるように取り付けられる。この接触体には操作部材が連なっている。この操作部材は、この接触体の揺動姿勢を変えるために設けられるものである。
【0003】
特許文献1に開示された発明によると、枠管への加工を排除することができる。特許文献1に開示された発明によると、外蓋の固定状態を強化できる。特許文献1に開示された発明によると、接触体を揺動させて枠管の内周側面から離すことにより外蓋の固定状態を解除できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−2205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、盗難に遭いやすいという問題点がある。盗難に遭いやすいのは、操作ボルトが操作されることによって外蓋の施錠が容易に解除されるためである。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するものである。その目的は、盗難のリスクが軽減された
開口形成構造物の嵌込蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面を参照して本発明の
開口形成構造物の嵌込蓋を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、
開口形成構造物200の嵌込蓋30は、蓋本体40と、本体固定体42とを備える。蓋本体40には貫通孔58が形成されている。本体固定体42は、開口形成構造物200の開口240を覆うように開口形成構造物200に蓋本体40を固定するためのものである。この開口240は、開口形成構造物200によって形成される。この開口形成構造物200は、内周側面220を備える。本体固定体42が、接触体60と、接続体66とを有している。接触体60は、蓋本体40が開口形成構造物200の開口240を覆うとき開口形成構造物200の内周側面220に接触可能な位置に配置される。接触体60は所定の揺動軸を中心とした揺動が可能である。接続体66は、接触体60を蓋本体40に接続する。本体固定体42が、揺動体64をさらに有している。揺動体64は、揺動軸を中心とした揺動が可能である。揺動体64は接触体60と共にその揺動をすることが可能である。揺動体64は、接触体60のうち揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58とを隔てる。
【0009】
本体部80ごと接触体60を揺動させることが可能である。その際、接触体60のうち揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58とを本体部80が隔てる。本体部80がそれらを隔てるので、接触体60のうち蓋本体40の外縁側とは反対側の部分が貫通孔58からは見えなくなる。その部分が貫通孔58からは見えなくなるので、その部分が貫通孔58から見える場合に比べて、次に述べられることを気づくのに時間を要する。それは、接触体60のうち蓋本体40の外縁側とは反対側の部分を本体部80ごと揺動させれば接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離し得ることである。そのことを気づくのに時間を要すると、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことが結果的にできなくなる可能性は高くなる。その結果、盗難のリスクが軽減される。
【0010】
また、上述された揺動体64が、本体部80と、係合部82とを有してい
る。本体部80は、揺動軸を中心とした揺動が可能である。本体部80は、接触体60のうち揺動軸から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58との間に配置される。係合部82は、接続体66に本体部80を係合する。この係合により、貫通孔58を経由して所定の力を受ける前は接続体66に対する本体部80の相対位置が所定の位置となる。この係合により、所定の力を受けた後の本体部80は揺動自在となる。
【0011】
揺動体64が係合部82を有していると、接続体66に対する本体部80の相対位置は、所定の力を受けた後に揺動自在となる。これにより、係合部82に所定の力を加えることに気づかれるまで本体部80は揺動自在にならない。その分、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことに要する時間は長くなる。その時間が長引くと、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことが結果的にできなくなる可能性は高くなる。その結果、盗難のリスクが軽減される。
【0012】
また、上述された係合部82が、突起部100と、突起基部102とを有していることが望ましい。突起部100は、接続体66の所定の箇所142に係合するためのものである。突起基部102には、接続体66の所定の箇所142に向かって突起部100が突出するようその突起部100が固定される。突起基部102は、接続体66に沿って延びる。突起基部102は、本体部80に固定される。
【0013】
接続体66に沿って延びる突起基部102は、所定の力のうち突起部100が接続体66から離れる方向の分力を受けると、突起部100が接続体66から離れるように撓む。突起基部102が撓むことで突起部100が接続体66の所定の箇所142から離れると、本体部80は上述された相対位置の変動が可能な状態となる。これにより、貫通孔58を経由して所定の力を加えることにより本体部80を上述された相対位置の変動が可能な状態とすることができる。
【0014】
もしくは、上述された突起部100が、受力領域120を有していることが望ましい。受力領域120は、貫通孔58に対向するように配置される。受力領域120は、所定の力を受けるためのものである。
【0015】
受力領域120が貫通孔58に対向するように配置されると、その受力領域120が貫通孔58を経由する上述の所定の力を受けやすくなる。一方、突起基部102が撓む方向の力を受けるまで、受力領域120に力がかかっても突起部100は接続体66から離れない。これにより、突起基部102が撓む方向の力が必要なことに気づかれるまで、接触体60を開口形成構造物200の内周側面220から離すことに要する時間は長くなる。その結果、盗難のリスクが軽減される。
【0016】
もしくは、上述された揺動体64が、支持部84をさらに有していることが望ましい。支持部84は、突起基部102から見た突起部100の突出方向とは反対側に配置される。支持部84は、所定の力を受けて突起基部102が撓むと突起基部102を支持する。
【0017】
支持部84が突起基部102を支持すると、突起基部102はその支持がない場合よりも撓み難くなる。撓み難いので、撓み易い場合に比べて、突起基部102が塑性変形するリスクは低下する。
また、上述された開口形成構造物200が溝渠であることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる嵌込蓋によれば、盗難のリスクが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のある実施形態にかかるグレーチングが溝渠に固定されている状況を示す概念図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかるグレーチングの平面図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の正面図である。
【
図5】本発明のある実施形態にかかる接触体の右側面図である。
【
図6】本発明のある実施形態にかかる保持体の正面図である。
【
図7】本発明のある実施形態にかかる保持体の右側面図である。
【
図8】本発明のある実施形態にかかる保持体の背面図である。
【
図9】本発明のある実施形態にかかる保持体の左側面図である。
【
図10】本発明のある実施形態にかかる保持体の平面図である。
【
図11】本発明のある実施形態にかかる係合部および支持部の斜視図である。
【
図12】本発明のある実施形態にかかる接続体の正面図である。
【
図13】本発明のある実施形態にかかる接続体の右側面図である。
【
図14】本発明のある実施形態にかかる接続体の左側面図である。
【
図15】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の動作を示す第1の概念図である。
【
図16】本発明のある実施形態にかかる本体固定体の動作を示す第2の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0021】
[嵌込蓋の構成]
図1は、本実施形態にかかるグレーチング30が溝渠200に固定されている状況を示す概念図である。
図2は、本実施形態にかかるグレーチング30の平面図である。
図1と
図2とに基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の構成が説明される。
【0022】
本実施形態にかかるグレーチング30は嵌込蓋の一種である。本実施形態にかかるグレーチング30は溝渠200に固定される。本実施形態にかかる溝渠200は開口形成構造物の一種である。本実施形態にかかる溝渠200は内周側面220を備える。本実施形態にかかる溝渠200は開口240を形成する。
【0023】
この溝渠200はあらかじめ定められた規格に基づいて設けられたものである。本実施形態にかかるグレーチング30はその規格に準拠した溝渠200に固定されることを前提に設計されている。したがって、本実施形態にかかるグレーチング30は所定の溝渠200の開口を覆うように固定されるものである。
【0024】
本実施形態にかかるグレーチング30は、1枚の蓋本体40と4個の本体固定体42とを備える。蓋本体40は、溝渠200の開口240を覆う。本体固定体42は、蓋本体40を溝渠200に固定するためのものである。本体固定体42により、蓋本体40は、溝渠200の開口240を覆うように溝渠200に固定されることとなる。
【0025】
蓋本体40は、複数のメインバー50と、複数のクロスバー52と、枠体54の対とを備えている。
【0026】
メインバー50は金属製の部材である。複数のメインバー50は、グレーチング30の長手方向に対して直交する方向に延びるように配置されている。複数のメインバー50は、互いに隙間をあけて配置されている。
【0027】
クロスバー52は金属製の部材である。本実施形態にかかるクロスバー52は、角鋼棒を捩じって形成されたものである。複数のクロスバー52は、グレーチング30の長手方向に沿って延びるように配置されている。複数のクロスバー52は、互いに隙間をあけて配置されている。各クロスバー52は、複数のメインバー50の上端部に固定されている。こうして、複数のクロスバー52が、複数のメインバー50と格子状となるように組まれている。その結果、本実施形態の場合、蓋本体40の形状は長方体状部分を有することとなる。上述されているように、メインバー50とクロスバー52とが格子状となるように組まれている。それらが格子状となるように組まれることで複数の孔が形成される。それらの孔のうち本体固定体42の真上のものが、貫通孔58となる。本実施形態の場合、貫通孔58は、後述される固定解除用部材160を貫通させるための孔とみなされる。
【0028】
枠体54は、金属製の部材である。本実施形態の場合、枠体54は周知の山形鋼から構成される。枠体54は、クロスバー52に沿うように蓋本体40の両端に配置される。枠体54は、蓋本体支持部174と、側面形成部176とを有する。蓋本体支持部174は、枠体54のうち山形鋼の辺の一方からなる。蓋本体40が溝渠200の開口240を覆うとき、蓋本体支持部174が溝渠200の開口240の縁に載せられる。蓋本体支持部174は、蓋本体40を支持する。側面形成部176は、枠体54のうち山形鋼の辺の他方からなる。側面形成部176は、蓋本体40のうち溝渠200の延びる方向に沿って配置されるための側面を形成する。この側面は上述された直方体状部分の側面でもある。上述されたように、枠体54は、クロスバー52に沿うように蓋本体40の両端に配置される。これにより、蓋本体40は溝渠200の延びる方向に沿って配置されるための側面を有することとなる。
【0029】
図3は、本実施形態にかかる本体固定体42の正面図である。
図4は、
図3のA−A矢視図である。
図3および
図4に基づいて、本実施形態にかかる本体固定体42の構成が説明される。本実施形態にかかる本体固定体42は、1枚の接触体60と、揺動体64と、接続体66と、中心軸ピン68とを有している。
【0030】
接触体60は、蓋本体40が溝渠200の開口240を覆うとき溝渠200の内周側面220に接触可能な位置に配置される。その結果、本実施形態にかかる本体固定体42は、側面形成部176に形成された切欠部190に対向するように配置される。接触体60は、後述される揺動軸を中心とした揺動が可能である。接触体60の具体的な構成は後述される。揺動体64は、接触体60と共に後述される揺動軸を中心とした揺動が可能である。揺動体64は、接触体60のうち後述される揺動軸の位置から見た蓋本体40の外縁側とは反対側の部分と蓋本体40の貫通孔58とを隔てる。揺動体64の具体的な構成は後述される。接続体66は、接触体60および揺動体64を蓋本体40に接続する。接続体66の具体的な構成は後述される。中心軸ピン68は、接続体66と揺動体64と接触体60とを貫通する。
【0031】
図5は、本実施形態にかかる接触体60の接触体60である。
図5に基づいて、本実施形態にかかる接触体60の構成が説明される。本実施形態にかかる接触体60は板状の部材である。本実施形態にかかる接触体60は、接触面形成部70と、接触体側軸貫通部72と、揺動体接触部74とを有している。接触面形成部70は、その端部に曲面76を形成する。この曲面76が溝渠200の内周側面220に接触する。本実施形態にかかる接触体60の重心は接触面形成部70内にある。接触体側軸貫通部72は孔を形成する。その結果、接触体60の重心はその孔より蓋本体40の外縁側にあることとなる。上述された中心軸ピン68は、接触体側軸貫通部72が形成する孔を貫通する。揺動体接触部74は、接触体側軸貫通部72が形成する孔から見て接触面形成部70とは反対側に配置される。揺動体接触部74は接触体60の揺動のための力を受ける。この揺動体接触部74が、揺動体64によって蓋本体40の貫通孔58と隔てられる。
【0032】
図6は、本実施形態にかかる揺動体64の正面図である。
図7は、本実施形態にかかる揺動体64の右側面図である。
図8は、本実施形態にかかる揺動体64の背面図である。
図9は、本実施形態にかかる揺動体64の左側面図である。
図10は、本実施形態にかかる揺動体64の平面図である。
図6乃至
図10に基づいて、本実施形態にかかる揺動体64の構成が説明される。本実施形態にかかる揺動体64は、本体部80と、係合部82と、支持部84とを有している。
【0033】
本体部80は、接触体60のうち揺動体接触部74と蓋本体40の貫通孔58との間に配置される。本実施形態にかかる本体部80の具体的な構成は後述される。係合部82は、接続体66に本体部80を係合させる。その係合のための具体的な構成は後述される。支持部84は、接触体60の揺動体接触部74に対向するように配置される。支持部84は、接触体60の揺動体接触部74に後述される力を伝える。支持部84は、係合部82を支持する。支持部84の形態は後述される。
【0034】
本実施形態の場合、本体部80は、本体基部90と、一方本体側壁部92と、他方本体側壁部94とを有する。本体基部90は、蓋本体40の貫通孔58に対向するように配置される。一方本体側壁部92と他方本体側壁部94とは、本体基部90の端から突出する。本実施形態の場合、一方本体側壁部92の端から上述された係合部82が突出している。他方本体側壁部94の端から上述された支持部84が突出している。一方本体側壁部92と他方本体側壁部94とは、上述された接触体60が収容される隙間を形成する。本実施形態の場合、一方本体側壁部92と他方本体側壁部94とは、本体側軸貫通部96をいずれも有する。本実施形態の場合、本体側軸貫通部96は孔を形成する。上述された中心軸ピン68は、それらの本体側軸貫通部96,96が形成した孔を貫通する。本体側軸貫通部96,96の対の間に、上述された接触体60が配置される。中心軸ピン68は、上述された接触体60の接触体側軸貫通部72が形成する孔も貫通する。中心軸ピン68は、本体側軸貫通部96および接触体60に対して固定されていない。ただし中心軸ピン68には抜け止めが取り付けられている。抜け止めが取り付けられているので、中心軸ピン68は本体側軸貫通部96,96が形成する孔および接触体側軸貫通部72が形成する孔から抜けない。これにより、接触体60および揺動体64は揺動可能である。それらの揺動の中心である揺動軸は、中心軸ピン68の中心に存在することとなる。
【0035】
図11は、本実施形態にかかる係合部82および支持部84の斜視図である。
図11に基づいて、本実施形態にかかる係合部82および支持部84の構成が説明される。
【0036】
本実施形態にかかる係合部82は、突起部100と、突起基部102とを有している。本実施形態にかかる突起部100は、接続体66の所定の箇所に係合するためのものである。突起基部102は、貫通孔58を貫通した固定解除用部材160から所定の力を受ける前において突起部100を上述された所定の箇所に配置させる。これにより、接続体66に本体部80が係合されることとなる。この係合により、固定解除用部材160から力を受ける前において、接続体66に対する本体部80の相対位置が所定の位置となる。
【0037】
突起部100は、受力領域120と、接触領域122とを有している。受力領域120は、固定解除用部材160から力を受けるための領域である。本実施形態の場合、受力領域120は貫通孔58に対向するように突起基部102から突出している。受力領域120は、本体固定個所130における本体部80の相対位置の変動方向に対して交差するように配置される。本実施形態における本体固定個所130とは、突起基部102が本体部80に固定される個所を意味する。本実施形態の場合、本体部80は上述された揺動軸を中心に揺動する。したがって、ここでいう本体固定個所130における本体部80の相対位置の変動方向とは、上述された揺動軸を中心とした揺動の接線方向を意味する。接触領域122は、接続体66の上述された所定の箇所に接触するための領域である。本実施形態の場合、接触領域122は、受力領域120に隣接している。
【0038】
上述されたように、本実施形態にかかる突起基部102は、本体固定個所130において本体部80に固定される。本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66に沿って拡がる板状である。本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66の内壁に特に沿っている。よく詳しくは、本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66の内壁のうち後述される係合溝形成部142が形成する溝の縁にあたる部分に沿っている。本実施形態にかかる突起基部102は、接続体66に沿って本体部80から延びる。突起基部102に、上述された接続体66の所定の箇所に向かって突起部100が突出するよう突起部100が固定される。
【0039】
本実施形態にかかる支持部84は、揺動体64の外部から見て突起基部102の裏側に配置される。すなわち、本実施形態にかかる支持部84は、突起基部102から見た突起部100の突出方向とは反対側に配置される。支持部84は、突起基部102に向かって突出している。本実施形態の場合、支持部84の底面150が接触体60の揺動体接触部74に対向する。支持部84の先端部152が突起基部102に対向する。
【0040】
本実施形態にかかる支持部84が上述のように構成されているので、揺動体64の揺動に伴って支持部84が下がるとその底面150は揺動体接触部74に押し当てられる。その揺動により、揺動体64の支持部84は接触体60の揺動体接触部74を押し下げる。接触体60の揺動体接触部74が押し下げられると、接触体60の接触面形成部70は上がる。これにより、接触体60の接触面形成部70は溝渠200の内周側面220から離れる方向へ移動する。その結果、揺動体接触部74は接触体60の揺動のための力を支持部84から受けることとなる。
【0041】
一方、本実施形態にかかる支持部84が上述のように構成されているので、突起基部102が撓むと突起基部102は支持部84の先端部152に押し当てられることとなる。突起基部102が支持部84の先端部152に押し当てられることで、突起基部102は支持されることとなる。
【0042】
図12は、本実施形態にかかる接続体66の正面図である。
図13は、本実施形態にかかる接続体66の右側面図である。
図14は、本実施形態にかかる接続体66の左側面図である。
図12乃至
図14に基づいて、本実施形態にかかる接続体66の構成が説明される。本実施形態にかかる接続体66は、接続側軸貫通部140,140の対と、係合溝形成部142と、ブラケット部146,146の対と、底部148とを有している。
【0043】
接続側軸貫通部140は、孔を形成する。その孔を上述された中心軸ピン68が貫通する。係合溝形成部142は、溝を形成する。その溝に、上述された突起部100の接触領域122が接触する。その溝にその接触領域122が接触することで、接続体66に本体部80が係合されることとなる。したがって、本実施形態においては、係合溝形成部142が、上述された接続体66の所定の箇所である。ブラケット部146は、蓋本体40のメインバー50に溶接される。底部148は、接続側軸貫通部140,140の対の間に隙間が形成されるようにこれらを接続する。
【0044】
[嵌込蓋の製造手順]
本実施形態にかかるグレーチング30は、次に述べられる手順により製造される。まず、作業者は、蓋本体40を周知の方法により製造する。作業者は、本体固定体42を構成する各部品を周知の方法により製造する。それらが製造されると、作業者は、本体固定体42が有する接続体66のブラケット部146を4個メインバー50に溶接する。それらがメインバー50に溶接されると、作業者は、周知の方法によりそれらと蓋本体40とにドブ漬けメッキを施す。続いて、作業者は、接続体66の接続側軸貫通部140,140の対の間に揺動体64を挿入する。次いで、作業者は、接続体66の係合溝形成部142が形成する溝に本体部80の突起部100を係合させる。それらが係合されると、作業者は、揺動体64の中に接触体60を挿入する。その後、作業者は、接触体60と揺動体64と接続体66とを、中心軸ピン68に貫通させる。作業者は、本体固定体43が有する接触体60と揺動体64と接続体66とを、中心軸ピン68に貫通させる。作業者は最後に中心軸ピン68に抜け止めピンを差し込む。それらが完了すると、本実施形態にかかるグレーチング30が完成する。
【0045】
[使用方法の説明]
図15は、本実施形態にかかる本体固定体42の動作を示す第1の概念図である。
図16は、本実施形態にかかる本体固定体42の動作を示す第2の概念図である。
図15と
図16とに基づいて、本実施形態にかかるグレーチング30の使用時における動作が説明される。
【0046】
本実施形態にかかるグレーチング30は、周知のグレーチングと同様の方法により溝渠200に嵌め込まれる。グレーチング30が溝渠200に嵌め込まれる前、接触体60の接触面形成部70側は自重により蓋本体40の外縁側に倒れている。その際、接触体60の接触面形成部70が接続体66の底部148に接触することにより、接触体60の接触面形成部70の垂れ下がりは防止される。なお、この時点では、接触体60の揺動体接触部74は揺動体64の支持部84から離れている。グレーチング30が溝渠200に嵌め込まれると、その接触面形成部70は溝渠200の縁によって押し上げられる。その後、接触体60の接触面形成部70の曲面76は溝渠200の内周側面220を滑る。枠体54の蓋本体支持部174が溝渠200の開口240の縁に載せられると、本実施形態にかかるグレーチング30の嵌め込みは完了する。
【0047】
その後、グレーチング30に対してこれを引き抜こうとする力がかかるとする。これにより、中心軸ピン68にも引き抜こうとする力がかかる。一方、接触体60の接触面形成部70の曲面76は溝渠200の内周側面220に接触している。溝渠200の内周側面220に接触しているのでその曲面76は摩擦力を受ける。この摩擦力によって接触体60はその場に留まる。その結果、本実施形態にかかるグレーチング30は固定されることとなる。
【0048】
本実施形態にかかるグレーチング30を取り外そうとする場合、作業者は、固定解除用部材160に貫通孔58を貫通させる。作業者は、貫通孔58を貫通した固定解除用部材160によって本体固定体42の係合部82を揺動体64の内側へ向かって押す。続いて作業者はその固定解除用部材160によって係合部82を下げる。これにより係合部82が所定の力を受けると、係合部82の突起基部102は、突起部100が接続体66から離れる方向の力を受ける。その力を受けた突起基部102は撓む。突起基部102が撓むと、支持部84が突起基部102を支持する。支持部84に指示された突起基部102がさらに撓むと、突起部100は接続体66から離れる。これにより、接続体66と本体部80との係合部82による係合は解除される。すなわち、貫通孔58を経由して所定の力を受ける前は接続体66に対する本体部80の相対位置が所定の位置となっている。その所定の力を受けた後は本体部80が揺動自在となる。一方、突起部100の受力領域120は、固定解除用部材160から受ける所定の力のうち、本体部80が揺動する方向の分力を受ける。そのような分力を受けると、本体部80は揺動する。
図15および
図16におけるその揺動の方向は、時計回りの方向である。その揺動により、揺動体64の支持部84は接触体60の揺動体接触部74を押し下げる。接触体60の揺動体接触部74が押し下げられると、接触体60の接触面形成部70は上がる。これにより、接触体60の接触面形成部70は溝渠200の内周側面220から離れる方向へ移動する。その後、作業者は蓋本体40を引き上げる。これにより本実施形態にかかるグレーチング30は取り外される。
【0049】
[効果の説明]
本実施形態にかかるグレーチング30において、接触体60を溝渠200の内周側面220から離し得ることに気づくためには時間を要する。時間を要するので、時間を要さない場合に比べて、本実施形態にかかるグレーチング30を盗もうとする者がそのことに気づくまでの間に第三者によってグレーチング30を盗もうとする行為が発見される可能性は高くなる。あるいは、第三者によってグレーチング30を盗もうとする行為が発見されたのではないかと疑心暗鬼になる可能性が高くなる。あるいは、グレーチング30を盗もうとする行為を遂行する意欲が損なわれるようなその他の事情が生じる可能性が高くなる。これにより、接触体60を溝渠200の内周側面220から離すことが結果的にできなくなる可能性は高くなる。その結果、本実施形態にかかるグレーチング30における盗難のリスクが軽減される。
【0050】
[変形例の説明]
上述したグレーチング30は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。各部材の形状、構造、配置などはこれらの実施形態のものに限定されない。各部材の形状、構造、配置は、種々の変更を加え得るものである。
【0051】
例えば、蓋本体40の具体的な構成は上述したものに限定されない。揺動体64は係合部82を有していなくてもよい。
【0052】
また、本発明にかかるグレーチングが備える本体固定体の間で上述された所定の箇所の位置すなわち突起部100が係合する箇所の位置がどのように異なっているかは特に限定されない。本発明にかかるグレーチングが備える本体固定体の個数も特に限定されない。
【符号の説明】
【0053】
30…グレーチング
40…蓋本体
42,43…本体固定体
50…メインバー
52…クロスバー
54…枠体
58…貫通孔
60…接触体
64…揺動体
66…接続体
68…中心軸ピン
70…接触面形成部
72…接触体側軸貫通部
74…揺動体接触部
76…側面形成部
80…本体部
82…係合部
84…支持部
90…本体基部
92…一方本体側壁部
94…他方本体側壁部
96…本体側軸貫通部
100…突起部
102…突起基部
120…受力領域
122…接触領域
130…本体固定個所
140…接続側軸貫通部
142…係合溝形成部
146…ブラケット部
150…底面
152…先端部
160…固定解除用部材
174…蓋本体支持部
176…側面形成部
190…切欠部
200…溝渠
220…内周側面
240…開口
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成されている蓋本体と、
内周側面を備え開口を形成する所定の開口形成構造物の前記開口を覆うように前記開口形成構造物に前記蓋本体を固定するための本体固定体とを備え、
前記本体固定体が、
前記蓋本体が前記開口形成構造物の前記開口を覆うとき前記開口形成構造物の前記内周側面に接触可能な位置に配置され所定の揺動軸を中心とした揺動が可能である接触体と、
前記接触体を前記蓋本体に接続する接続体とを有している開口形成構造物の嵌込蓋であって、
前記本体固定体が、前記接触体と共に前記揺動軸を中心とした揺動が可能であり、かつ、前記接触体のうち前記揺動軸の位置から見た前記蓋本体の外縁側とは反対側の部分と前記蓋本体の前記貫通孔とを隔てる揺動体をさらに有しており、
前記揺動体が、
前記揺動軸を中心とした揺動が可能であり、かつ、前記接触体のうち前記揺動軸の位置から見た前記蓋本体の外縁側とは反対側の部分と前記蓋本体の前記貫通孔との間に配置される本体部と、
前記貫通孔を経由して所定の力を受ける前は前記接続体に対する前記本体部の相対位置が所定の位置となり前記所定の力を受けた後は前記本体部が揺動自在となるよう前記接続体に前記本体部を係合する係合部とを有していることを特徴とする開口形成構造物の嵌込蓋。
【請求項2】
前記係合部が、
前記接続体の所定の箇所に係合するための突起部と、
前記接続体の前記所定の箇所に向かって前記突起部が突出するよう前記突起部が固定され、前記接続体に沿って伸び、かつ、前記本体部に固定される突起基部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の開口形成構造物の嵌込蓋。
【請求項3】
前記突起部が、前記貫通孔に対向するように配置され、かつ、前記所定の力を受けるための受力領域を有していることを特徴とする請求項2に記載の開口形成構造物の嵌込蓋。
【請求項4】
前記揺動体が、前記突起基部から見た前記突起部の突出方向とは反対側に配置され、前記所定の力を受けて前記突起基部が撓むと前記突起基部を支持する支持部をさらに有していることを特徴とする請求項2に記載の開口形成構造物の嵌込蓋。
【請求項5】
前記開口形成構造物が溝渠であることを特徴とする請求項1に記載の開口形成構造物の嵌込蓋。