【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記のようにして合体された顔の領域の画像から不自然さを取り除くべく、鋭意検討を重ねてきた。
その結果、アフィン変換を用いた画像処理により顔の領域の画像を合体させる際に、ソース画像とターゲット画像とを前処理しておくことに気が付いた。そして、ソース画像(第1の画像)とターゲット画像(第2の画像)とをワーピング若しくはモーフィングしてそれらの中間合成画像(第3の画像)を生成し、このように生成された中間合成画像(第3の画像)とターゲット画像から得たレイヤーとを上記アフィン変換を用いた画像処理の対象とする。上記中間合成画像(第3の画像)には、ソース画像(第1の画像)の影響がターゲット画像(第2の画像)のそれより強く反映されるようにする。ここに、ターゲット画像(第2の画像)から形成されたレイヤーにはターゲット画像(第2の画像)の影響のみが反映されているので、当該レイヤーとソース画像(第1の画像)の影響が色濃い中間合成画像(第3の画像)とをアフィン変換を用いた画像処理の対象としたとき、得られた完成画像(第4の画像)の顔の領域にはソース画像及びターゲット画像の影響が融合されて現れ、そこからは不自然さが取り除かれている。
【0006】
以上より、この発明の第1の局面は次のように規定される。
第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第2の画像から所定のルールに基づきレイヤーを形成するレイヤー形成ステップと、
前記第3の画像と前記レイヤーとをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
上記において、第1の画像はヒトを対象とし、第2の画像はゲーム等のキャラクトを対象とすることができる。
第3の画像に現れる前記第1の画像の強度は70〜80%とすることが好ましい。
【0007】
ターゲット画像(第2の画像)としてキャラクを採用するときは、上記のように、アフィン変換を用いた画像処理の対象としてレイヤーと上記中間合成画像(第3の画像)とを採用することにより、たとえ、ターゲット画像の顔の領域を構成する各部位の比率とソース画像の顔の領域のそれとが大きく異なっていても、得られる完成画像(第4の画像)の顔の領域は自然なものとなった。
本発明者の検討によれば、ソース画像(第1の画像)とターゲット画像(第2の画像)として共にヒトの画像を採用したときは、前処理として上記中間合成画像(第3の画像)を作成し、これとターゲット画像(第2の画像)とをアフィン変換を用いた画像処理の対象とすることにより得られた完成画像(第5の画像)の顔の領域が自然なものとなった。
換言すれば、第1の局面と比べて、レイヤーの作成が省略できる。
【0008】
よって、この発明の第2の局面は次のように規定される。
第1の画像に含まれるヒトの顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第3の画像と前記第2の画像とをアフィン変換を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
ここにおいて、第3の画像に現れる前記第2の画像の強度は70〜80%とすることが好ましい。
【0009】
上記各局面では、第1の生成ステップにおいてワーピング若しくはモーフィングの手法を採用して第3の画像を生成していたが、同様の他の方法の採用を妨げるものではない。また、第2の生成ステップにおいてはアフィン変換を用いた画像処理を採用していたが、ソース画像の顔の領域をターゲット画像の顔の領域へ合体させることができるのであれば、他の方法の採用を妨げるものではない。
上記の説明を敷衍すれば、この発明の第3の局面は次のように規定できる。
第1の画像に含まれる顔の領域を第2の画像に含まれる顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第2の画像から所定のルールで形成されるレイヤーを形成するレイヤー形成ステップと、
前記第3の画像と前記レイヤーとを所定の方法を用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
【0010】
同様にこの発明の第4の局面は次のように規定できる。
第1の画像に含まれるヒトの顔の領域を第2の画像に含まれるヒトの顔の領域に合体させる画像処理方法あって、
前記第1の画像と前記第2の画像とを所定の画像合成方法で処理して第3の画像を生成する第1の生成ステップであって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像より大きくし、
前記第3の画像と前記第2の画像とを所定の方法用いて画像処理して、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成ステップと、
を備えてなる画像処理方法。
【0011】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第1〜4の何れか局面に規定の画像処理方法において、前記第2の画像の顔の領域の特徴を表現する第2の指標を所定のルールで特定しておき、
該第2の指標に基づき前記第1の画像を取得する。
このように規定される第5の局面の画像処理方法によれば、第2の画像の顔の領域の特徴に合わせて第1の画像が取得されるので、両者を合体処理が容易になる。
【0012】
上記において、第2の画像をターゲット画像とし、第1の画像をソース画像としてヒトの画像を採用するとき、第2の画像に含まれる顔の領域の特徴に合わせてヒトの顔を撮影することが好ましい。
よって、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第5の局面に規定の画像処理方法において、撮影したヒトの画像を前記所定のルールで処理して、該撮影したヒトの画像の顔の領域の特徴を表現する第1の指標を特定し、
該第1の指標と前記第2の指標とを比較して、両者が近似しているときに、前記撮影したヒトの画像を第1の画像として取得する。
以上、各局面において、第1の画像としてヒトの画像を採用し、第2の画像としてキャラクタの画像を採用することができる(第7の局面)。
【0013】
以下、既述の第1及び第2の局面に規定の処理方法は、画像処理装置として把握することもできる。即ち、この発明の第8の局面は次のように規定される。
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の画像と第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成部であって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする第1の生成部と、
前記第2の画像から所定のルールに基づきレイヤーを形成するレイヤー形成部と、
前記第3の画像と前記レイヤーとをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成する第2の生成部と、
を備えてなる画像処理装置。
【0014】
この発明の第9の局面は次のように規定される。
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の画像と第2の画像とをワーピング若しくはモーフィングして第3の画像を生成する第1の生成部であって、該第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする第1の生成部と、
前記第3の画像と前記第2の画像とをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成する第2の生成部と、
を備えてなる画像処理装置。
【0015】
この発明は、また、コンピュータ用のプログラムとしても把握することができる。即ち、この発明の第10の局面は次のように規定される。
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の生成部と、レイヤー形成部と、第2の生成部とを備えてなる、画像処理装置を動作させるコンピュータ用のプログラムであって、
前記第1の生成部に、前記第1のメモリ部から前記第1の画像を読み込ませ、前記第2のメモリ部から前記第2の画像を読み込ませ、前記第1の画像と第2の画像とをワーピングして第3の画像を生成させ、第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする、
前記レイヤー形成部に、前記第2の画像から所定のルールに基づきレイヤーを形成させ、
前記第2の生成部に、前記第3の画像と前記レイヤーとをアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる顔の領域を前記レイヤーに含まれる顔の領域に合体させて第4の画像を生成させる、
プログラム。
【0016】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第1の画像を保存する第1のメモリ部と、
第2の画像を保存する第2のメモリ部と、
第1の生成部、及び第2の生成部を備えてなる、画像処理装置を動作させるコンピュータ用のプログラムであって、
前記第1の生成部に、前記第1のメモリ部から前記第1の画像を読み込ませ、前記第2のメモリ部から前記第2の画像を読み込ませ、前記第1の画像と第2の画像とをワーピングして第3の画像を生成させ、第3の画像において前記第1の画像の強度を前記第2の画像の強度より大きくする、
前記第2の生成部に、前記第3の画像と前記第2の画像をアフィン変換を用いた画像処理の対象として、前記第3の画像に含まれる第3の顔の領域を前記第2の画像に含まれる顔の領域に合体させて第5の画像を生成させる、
プログラム。