【解決手段】実施形態に係る予測装置は、予測部と、提供部とを備える。予測部は、公共交通機関の運行計画に変更が生じる可能性がある場合に、少なくとも任意の場所における任意の時刻の代替輸送車両の配車可能台数を予測する。提供部は、上記運行計画を決定する装置に対し、予測部によって予測された配車可能台数を含む予測結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する予測装置および予測方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下では、運行計画に緊急の変更が生じる可能性がある公共交通機関が鉄道であり、かかる公共交通機関の代替輸送車両がタクシーであり、実施形態に係る予測装置が、タクシー需給予測装置10である場合を例に挙げて説明を行う。
【0013】
まず、実施形態に係る予測方法の概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る予測方法の一例の概要説明図である。なお、
図1では、実施形態に係る予測方法を適用したタクシー需給予測システム1を例に挙げて説明を行う。
【0014】
図1に示すように、実施形態に係るタクシー需給予測システム1は、タクシー配車システム2と、鉄道運行システム3と、交通情報提供システム4と、気象情報提供システム5と、タクシー需給予測装置10とを含む。
【0015】
タクシー配車システム2は、タクシー会社等により運営されるシステムであり、タクシー配車管理装置20を含む。鉄道運行システム3は、鉄道会社等により運営されるシステムであり、鉄道運行管理装置30を含む。交通情報提供システム4は、公益法人や一般事業者等が運営する交通情報を提供するシステムである。気象情報提供システム5は、気象庁や一般事業者等が運営する気象情報を提供するシステムである。
【0016】
タクシー需給予測装置10は、たとえばインターネットや電話回線網等のネットワークNを介して鉄道運行管理装置30から送信される予測依頼に基づいてタクシーの位置情報を含む各種情報を取得し、特定の駅における特定時刻のタクシーの配車可能台数を予測する装置である。また、タクシー需給予測装置10は、予測した予測結果を鉄道運行管理装置30へ提供する。予測結果は、配車可能台数を含む。
【0017】
かかるタクシー需給予測システム1は、たとえば台風接近時や地震発生時等の非常時に、鉄道の運行計画が緊急に変更される可能性がある場合において、鉄道運行システム3の意思決定を支援するうえで有用となる。
【0018】
具体的には、
図1に示すように、まず鉄道運行システム3において、鉄道の運行計画が変更される可能性がある場合に、鉄道運行管理装置30が、ネットワークNを介して予測依頼をタクシー需給予測装置10へ送信する(ステップS1)。
【0019】
かかる予測依頼は、たとえば運行停止を計画している場合の、1以上の運行停止候補駅と、かかる候補駅において停車する1以上の列車の停車時刻等を含む。かかる予測依頼の具体例については、
図5を用いた説明で後述する。
【0020】
予測依頼を受けたタクシー需給予測装置10は、かかる予測依頼に応じて各種情報を取得する(ステップS2)。各種情報は、たとえばタクシー配車システム2からネットワークNを介して送信されるタクシーの位置情報を含む(ステップS2−1)。かかるタクシーの位置情報は、現在の位置情報および過去の位置情報の少なくともいずれかを含む。
【0021】
また、ステップS2の各種情報は、たとえば交通情報提供システム4からネットワークNを介して送信される、渋滞状況等を示す交通情報を含む(ステップS2−2)。かかる交通情報は、現在の交通情報および過去の交通情報の少なくともいずれかを含む。
【0022】
また、ステップS2の各種情報は、たとえば気象情報提供システム5からネットワークNを介して送信される気象情報を含む(ステップS2−3)。かかる気象情報は、現在の気象情報および今後の気象情報の少なくともいずれかを含む。
【0023】
そして、タクシー需給予測装置10は、これら取得した各種情報に基づいて、特定の駅における特定時刻のタクシーの配車可能台数を予測する(ステップS3)。そのうえで、タクシー需給予測装置10は、予測した配車可能台数を含む、タクシーの配車に関する予測結果を鉄道運行管理装置30へ送信する(ステップS4)。
【0024】
かかる予測結果は、各候補駅における配車可能地点や平均待ち時間、待ち行列の解消時間等を含む。予測結果の具体例については、
図6を用いた説明で後述する。
【0025】
そして、鉄道運行管理装置30は、タクシー需給予測装置10から取得した予測結果に基づき、鉄道の運行計画の変更に関する意思決定を行う。たとえば、鉄道運行管理装置30は、予測結果に基づいて最もタクシーの待ち時間が短い候補駅において列車を運行停止させる。なお、かかる意思決定の内容は、タクシー需給予測装置10やタクシー配車管理装置20へ通知され、たとえばタクシー配車管理装置20は、通知の内容に応じてタクシーを配車する。
【0026】
このように、実施形態に係る予測方法では、タクシー需給予測装置10が、鉄道の運行計画に変更が生じる可能性がある場合に、任意の候補駅における任意の時刻のタクシーの配車可能台数を予測し、運行計画を決定する鉄道運行管理装置30に対し、予測した予測結果を提供することとした。
【0027】
したがって、実施形態に係る予測方法によれば、タクシーの需給に関する適切な予測情報を提供することができる。
【0028】
以下、上述した実施形態に係る予測方法を適用したタクシー需給予測システム1の構成例について、より具体的に説明する。
【0029】
図2は、実施形態に係るタクシー需給予測システム1の第1構成例を示すブロック図である。また、
図3は、実施形態に係るタクシー需給予測システム1の第2構成例を示すブロック図である。なお、
図2および
図3では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0030】
換言すれば、
図2および
図3に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0031】
また、
図2および
図3を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0032】
既に述べたが、
図2に示すように、実施形態に係るタクシー需給予測システム1は、タクシー配車システム2と、鉄道運行システム3と、交通情報提供システム4と、気象情報提供システム5と、タクシー需給予測装置10とを含む。
【0033】
まず、タクシー需給予測装置10から説明する。タクシー需給予測装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0034】
通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、各システム2,3,4,5との間で情報の送受信を行う。
【0035】
なお、通信部11は、たとえばタクシー配車システム2に含まれる各タクシーと携帯電話回線網等を介して直接に情報(現在の位置情報等)の送受信を行うことも可能である。
【0036】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、駅情報12aと、履歴情報12bとを記憶する。
【0037】
駅情報12aは、鉄道の各駅に関する情報である。ここで、駅情報12aの一例について
図4を用いて説明しておく。
図4は、駅情報12aの一例を示す図である。
【0038】
図4に示すように、駅情報12aは、たとえば「駅名」項目と、「配車可能地点」項目と、「平均移動時間」項目と、「接続交通機関」項目と、「タクシー乗車率」項目とを含む。
【0039】
「駅名」項目は、駅名といった、駅情報12aにおける各レコードの識別子が格納される。「配車可能地点」項目は、各駅におけるタクシーの配車可能地点が格納される項目であり、「平均移動時間」項目を含む。「平均移動時間」項目は、各配車可能地点への駅ホームからの平均移動時間が格納される。なお、図中の「BT」はバスターミナルであり、たとえばバスが運行していなければかかるバスターミナルもタクシーの配車可能地点となりうることを表している。配車可能地点がBTである場合、「平均移動時間」項目は、各配車可能地点へのバスターミナルの乗降場所からの平均移動時間が格納される。
【0040】
「接続交通機関」は、各駅に接続されている交通機関が格納される。「タクシー乗車率」項目は、各駅におけるタクシー乗車率が格納される。タクシー需給予測装置10は、鉄道運行管理装置30から予測依頼を取得した場合に、後述する予測部13bが、予測依頼に含まれる各候補駅に関する情報についてかかる駅情報12aを参照する。
【0041】
図2の説明に戻る。履歴情報12bは、過去の予測処理に各種情報や、予測結果の履歴に関する情報である。後述する予測部13bは、予測処理を実行する際に、かかる履歴情報12bを参照する。
【0042】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、タクシー需給予測装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0043】
制御部13は、取得部13aと、予測部13bと、提供部13cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0044】
取得部13aは、通信部11を介して、鉄道運行管理装置30から送信された予測依頼を取得する。ここで、予測依頼電文の一例について
図5を用いて説明しておく。
図5は、予測依頼電文の一例を示す図である。
【0045】
図5に示すように、鉄道運行管理装置30から送信される予測依頼電文は、たとえば「依頼日時」項目と、「候補駅」項目と、「列車情報」項目とを含む。「依頼日時」項目は、依頼日時が格納される。「候補駅」項目は、たとえば運行停止が検討されている各候補駅の識別子が格納される。
【0046】
「列車情報」項目は、たとえば運行停止が検討されている各列車の列車に関する情報が格納される項目であり、たとえば「番号」項目と、「種別」項目と、「停車時刻」項目と、「現在乗客数」項目と、「過去降車率」項目とを含む。「列車情報」項目は、「現在乗客数」項目の代わりに「現在乗車率」項目を有してもよい。また、「列車情報」項目は、「過去降車率」項目の代わりに「過去降車数」項目を有してもよい。
【0047】
「番号」項目は、各列車の識別番号が格納される。「種別」項目は、「特急」や「快速」、「普通」といった各列車の種別が格納される。なお、図示しないが、「新幹線」等が含まれてもよい。「停車時刻」項目は、各列車の各候補駅における停車予定時刻が格納される。「現在乗客数」項目は、各列車の現在の乗客数の予測値が格納される。かかる予測値は、たとえば始発駅および途中駅におけるIC(Integrated Circuit)カード乗車券の利用状況等に基づいて算出可能である。「過去降車率」は、各列車の各候補駅における過去の降車率が格納される。
【0048】
図2の説明に戻る。また、取得部13aは、予測依頼に応じて、タクシー配車管理装置20、交通情報提供システム4および気象情報提供システム5から送信された各種情報を取得する。
【0049】
取得部13aは、たとえばタクシー配車管理装置20から、タクシーの位置情報を取得する。このとき、取得部13aは、たとえばタクシー配車管理装置20から各タクシーの過去の位置情報および現在の位置情報を取得する。過去の位置情報は、履歴情報12bに照らすことで傾向分析等に用いることができる。また、取得部13aは、たとえば各タクシーから直接、現在の位置情報を取得する。
【0050】
また、取得部13aは、交通情報提供システム4から、予測依頼に含まれる各候補駅周辺および各候補駅への到達ルートの渋滞状況等を含む交通情報を取得する。また、取得部13aは、気象情報提供システム5から、予測依頼に含まれる各候補駅周辺の現在の気象情報および今後の気象情報を取得する。
【0051】
予測部13bは、取得部13aによって取得された各種情報、駅情報12aおよび履歴情報12bに基づいて、各候補駅の各配車可能地点における特定時刻の配車可能台数を予測する。なお、ここに言う「特定時刻」は、たとえば各列車の停車時刻であってもよいし、各列車の停車時刻に対し、上述した駅情報12aの各配車可能地点への平均移動時間を加算した時刻であってもよい。
【0052】
また、予測部13bは、取得部13aによって取得された各種情報のうち、タクシーの位置情報に基づいて配車可能台数を予測する。タクシーの位置情報は、現在分および過去分の少なくともいずれかである。予測部13bは、上述した傾向分析等により、過去の位置情報のみに基づいても、配車可能台数を予測することができる。
【0053】
また、予測部13bは、取得部13aによって取得された各種情報のうち、交通情報および気象情報に基づいて通常の各配車可能地点における配車の可否を予測する。そして、予測部13bは、予測した予測結果を提供部13cへ通知する。
【0054】
提供部13cは、予測部13bにより通知された予測結果に基づいて予測結果電文を生成し、通信部11を介して鉄道運行管理装置30へ送信する。ここで、予測結果電文の一例について
図6を用いて説明する。
図6は、予測結果電文の一例を示す図である。
【0055】
図6に示すように、鉄道運行管理装置30へ送信される予測結果電文は、たとえば「応答日時」項目と、「候補駅」項目と、「列車情報」項目と、「配車予測情報」項目とを含む。「応答日時」項目は、応答日時が格納される。「候補駅」項目は、上述した予測依頼電文の同項目に対応する。「列車情報」項目は、上述した予測依頼電文の「番号」項目、「種別」項目および「停車時刻」項目に対応する。
【0056】
「配車予測情報」項目は、予測部13bによって予測された予測結果が格納される項目であり、たとえば「可能地点」項目と、「可能台数」項目と、「平均待ち時間」項目と、「行列解消時間」項目とを含む。
【0057】
「可能地点」項目は、上述した駅情報12aの「配車可能地点」項目に対応する。「可能台数」項目は、予測部13bによって予測された各候補駅の各配車可能地点におけるタクシーの配車可能台数が格納される。「平均待ち時間」項目は、予測部13bによって予測された、タクシーを利用する場合の平均待ち時間が格納される。「行列解消時間」項目は、予測部13bによって予測された、タクシーの待ち行列の解消時間が格納される。
【0058】
なお、平均待ち時間や待ち行列の解消時間は、たとえば上述した予測依頼に含まれる「現在乗客数」や「過去降車率」から各候補駅での降車人数を算出し、かかる降車人数、上述した駅情報12aのタクシー乗車率および予測された配車可能台数に基づいて予測することが可能である。
【0059】
図6の例の場合、「A駅」については、予測依頼で指定のあった各列車につき、「北口」および「南口」にて配車が可能であり、それぞれの配車可能台数、平均待ち時間、行列解消時間等が通知されることが分かる。また、「BT」は、バス運行中につき、現在はタクシーの配車が不可であることが分かる。
【0060】
また、「B駅」については、たとえば交通情報および気象情報に基づき、「駅前浸水中につき、配車困難」であることから、配車可能地点が「なし」であることが分かる。かかる
図6の例の予測結果を受けた場合、鉄道運行管理装置30は、たとえばB駅については候補駅から除外すべきであり、A駅については各列車を運行停止させた場合、少なくとも40分でタクシーの待ち行列が解消できることを把握することができる。すなわち、鉄道運行管理装置30は、かかる予測結果に基づいて、鉄道の運行計画の変更に関する意思決定を行うことができる。
【0061】
次に、タクシー配車管理装置20の構成例について説明する。
図3に示すように、タクシー配車管理装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0062】
通信部21は、通信部11と同様に、たとえば、NIC等によって実現される。通信部21は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、タクシー需給予測装置10および鉄道運行管理装置30との間で通信を行う。
【0063】
なお、通信部21は、たとえば各タクシーとは、タクシー無線を介して音声通話による情報の送受信を行うことも可能である。
【0064】
記憶部22は、記憶部12と同様に、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図3の例では、履歴情報22aを記憶する。
【0065】
履歴情報22aは、過去のタクシーの位置情報や過去のタクシーの配車情報等の履歴に関する情報である。
【0066】
制御部23は、制御部13と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、タクシー配車管理装置20内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部23は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0067】
制御部23は、取得部23aと、提供部23bと、指示部23cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0068】
取得部23aは、タクシー需給予測装置10から、予測依頼に基づく位置情報要求を取得する。また、取得部23aは、タクシー需給予測装置10から、タクシー需給予測装置10によって予測された予測結果を取得する。また、取得部23aは、鉄道運行管理装置30から、鉄道の運行計画の変更に関する決定結果を取得する。
【0069】
提供部23bは、タクシー需給予測装置10からの位置情報要求に基づいて、各タクシーの現在の位置情報および過去の位置情報を、通信部21を介してタクシー需給予測装置10へ送信する。
【0070】
指示部23cは、タクシー需給予測装置10の予測結果に基づいてタクシーの配車指示を準備する。また、指示部23cは、鉄道運行管理装置30からの決定結果に基づいてタクシーの配車を指示する。
【0071】
次に、鉄道運行管理装置30の構成例について説明する。
図3に示すように、鉄道運行管理装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。
【0072】
通信部31は、通信部11,21と同様に、たとえば、NIC等によって実現される。通信部31は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、タクシー需給予測装置10およびタクシー配車管理装置20との間で通信を行う。
【0073】
記憶部32は、記憶部12,22と同様に、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図3の例では、警報情報32aを記憶する。
【0074】
警報情報32aは、たとえば気象や地震等に関し発令される、災害の警報に関する情報である。かかる警報情報32aは、リアルタイムで更新される。
【0075】
制御部33は、制御部13,23と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、鉄道運行管理装置30内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部33は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0076】
制御部33は、取得部33aと、依頼部33bと、決定部33cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0077】
取得部33aは、図示略の気象情報提供システム5等から災害の警報に関する情報をリアルタイムで取得し、警報情報32aへ格納する。また、取得部33aは、図示略の交通情報提供システム4から交通情報をリアルタイムで取得することもできる。また、取得部33aは、タクシー需給予測装置10へ送信した場合に、かかる予測依頼に応じた予測結果をタクシー需給予測装置10から取得する。
【0078】
依頼部33bは、警報情報32aおよび交通情報等に基づき、上述した予測依頼電文を生成し、通信部31を介してタクシー需給予測装置10へ送信する。
【0079】
決定部33cは、依頼部33bによって送信された予測依頼に応じたタクシー需給予測装置10の予測結果に基づいて、鉄道の運行計画の変更に関する決定を行う。また、決定部33cは、決定内容に応じて鉄道の運行計画を変更する。
【0080】
また、決定部33cは、決定結果を、通信部31を介してタクシー需給予測装置10およびタクシー配車管理装置20へ送信する。
【0081】
次に、実施形態に係るタクシー需給予測システム1が実行する処理手順について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施形態に係るタクシー需給予測システム1が実行する処理シーケンスの一例を示す図である。
【0082】
図7に示すように、まず鉄道運行管理装置30が、タクシー需給予測装置10へ予測依頼を送信する(ステップS11)。すると、タクシー需給予測装置10はこれを受け、タクシー配車システム2へ位置情報要求を送信する(ステップS12)。
【0083】
タクシー配車システム2は、位置情報要求を受け、タクシー需給予測装置10へタクシーの位置情報を応答する(ステップS13)。
【0084】
また、交通情報提供システム4は、タクシー需給予測装置10へ交通情報を随時送信する(ステップS14)。同様に、気象情報提供システム5は、タクシー需給予測装置10へ気象情報を随時送信する(ステップS15)。
【0085】
なお、ステップS14,S15と同様に、ステップS13の位置情報も、ステップS12の位置情報要求をトリガとすることなくタクシー需給予測装置10へ随時送信されてもよい。
【0086】
そして、タクシー需給予測装置10は、各システム2,4,5から取得した各種情報に基づいて各候補駅の特定時刻の配車可能台数を予測し(ステップS16)、予測結果を鉄道運行管理装置30へ送信する(ステップS17)。また、タクシー需給予測装置10は、予測結果をタクシー配車システム2へ送信する(ステップS18)。
【0087】
鉄道運行管理装置30は、取得した予測結果に基づいてたとえば運行停止駅を決定する(ステップS19)。また、タクシー配車システム2は、取得した予測結果に基づいてたとえば配車指示を準備する(ステップS20)。
【0088】
また、鉄道運行管理装置30は、決定した決定結果をタクシー需給予測装置10およびタクシー配車システム2へそれぞれ送信する(ステップS21,S22)。タクシー配車システム2は、鉄道運行管理装置30からの決定結果に基づいて配車指示を行う(ステップS23)。
【0089】
ここで、
図8は、変形例の説明図である。これまでは、公共交通機関として鉄道を例に挙げたが、
図8に示すように、空港と鉄道の駅等を結ぶシャトルバスBに上述してきた実施形態を適用してもよい。
【0090】
かかる場合は、図示略のバス運行管理システムから乗車人数と駅での降車率を取得し、駅での降車人数を予測してもよい。
【0091】
上述してきたように、実施形態に係るタクシー需給予測装置10(「予測装置」の一例に相当)は、予測部13bと、提供部13cとを備える。予測部13bは、鉄道(「公共交通機関」の一例に相当)の運行計画に変更が生じる可能性がある場合に、少なくとも任意の場所における任意の時刻のタクシー(「代替輸送車両」の一例に相当)の配車可能台数を予測する。提供部13cは、鉄道運行管理装置30(「運行計画を決定する装置」の一例に相当)に対し、予測部13bによって予測された配車可能台数を含む予測結果を提供する。
【0092】
したがって、実施形態に係るタクシー需給予測装置10によれば、タクシーの需給に関する適切な予測情報を提供することができる。
【0093】
また、予測部13bは、タクシーの現在の位置情報および過去の位置情報の少なくともいずれかに基づいて配車可能台数を予測する。
【0094】
したがって、実施形態に係るタクシー需給予測装置10によれば、タクシーの現在の位置情報、および、過去の位置情報の傾向分析等に基づいて、精度よく配車可能台数を予測することが可能となる。
【0095】
また、予測部13bは、鉄道運行管理装置30から指定される特定の候補駅における特定の時刻でのタクシーの配車可能地点および配車可能地点ごとの配車可能台数を予測する。
【0096】
したがって、実施形態に係るタクシー需給予測装置10によれば、鉄道運行管理装置30が決定する運行計画の変更内容につき、多様なパターンをシミュレートできるとともに、配車可能台数を候補駅の配車可能地点ごとに詳細に把握することが可能となる。
【0097】
また、予測部13bは、特定の候補駅またはバスターミナルにおける特定の列車またはバスの停車時刻に対し、当該特定の候補駅のホームまたはバスターミナルの乗降場所から配車可能地点までの平均移動時間を加算した時刻を上記特定の時刻とした配車可能地点ごとの配車可能台数を予測する。
【0098】
したがって、実施形態に係るタクシー需給予測装置10によれば、候補駅またはバスターミナルごとの配車可能地点までの平均移動時間を加味した高精度な予測情報を提供することができる。
【0099】
また、予測部13bは、特定の候補駅またはバスターミナルの周辺に関する交通情報、および、気象情報の少なくともいずれかに基づいて、配車可能地点における配車の可否および配車可能台数を予測する。
【0100】
したがって、実施形態に係るタクシー需給予測装置10によれば、候補駅またはバスターミナルごとに、周辺の交通状況および気象状況までも加味した詳細で高精度な予測情報を提供することができる。
【0101】
また、上記予測結果は、タクシーの平均待ち時間および待ち行列の解消時間の少なくともいずれかを含み、予測部13bは、鉄道運行管理装置30から通知される列車の乗客数および降車率に基づいて上記平均待ち時間および上記解消時間を予測する。
【0102】
したがって、実施形態に係るタクシー需給予測装置10によれば、候補駅またはバスターミナルごとに、待ち時間および行列解消時間までも加味した詳細で高精度な予測情報を提供することができる。言い換えれば、鉄道運行管理装置30が運行計画の変更の意思決定を行うに際し、利用価値の高い予測情報を提供することができる。
【0103】
なお、上述した実施形態では、代替輸送車両がタクシーである場合を例に挙げたが、これに限られるものではなく、宿泊可能な装備を有するキャビンモジュールの配車に関する情報を予測することとしてもよい。これは、たとえばタクシーの待ち時間が1時間を超える長時間にわたりそうな場合に、終電も終わり、宿泊を希望する者にとっては有用となる。かかる場合、実施形態に係る予測装置は、宿泊案内装置として機能することとなる。
【0104】
宿泊案内装置として機能するという意味では、同じく待ち時間が長時間にわたりそうな場合に、候補駅の近隣の宿泊施設の空室率等を予測して、かかる予測結果に基づき、宿泊施設の案内情報を提供するようにしてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態では、代替輸送車両がタクシーである場合を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、台風接近時であっても、地下鉄の運行には影響が殆どない場合も考えられる。この場合、地下鉄を代替輸送車両としてもよい。かかる地下鉄を代替輸送車両とする場合で、運行計画に緊急の変更が生じる可能性がある公共交通機関は、たとえば、陸上を走行する鉄道である。
【0106】
また、タクシー需給予測装置10、タクシー配車管理装置20、鉄道運行管理装置30のうちの少なくとも一つは、クラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成してもよい。
【0107】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。