【解決手段】配線部材10は、伝送線本体21と前記伝送線本体21を覆う被覆層22とを含む線状伝送部材20と、前記線状伝送部材20に接する第1融着層32を含み、前記線状伝送部材20の一方側に設けられた第1シート30と、前記線状伝送部材20に接する第2融着層42を含み、前記線状伝送部材20の他方側に設けられた第2シート40と、を備える。前記被覆層22が前記第1融着層32及び前記第2融着層42のそれぞれに融着されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)伝送線本体と前記伝送線本体を覆う被覆層とを含む線状伝送部材と、前記線状伝送部材に接する第1融着層を含み、前記線状伝送部材の一方側に設けられた第1シートと、前記線状伝送部材に接する第2融着層を含み、前記線状伝送部材の他方側に設けられた第2シートと、を備え、前記被覆層が前記第1融着層及び前記第2融着層のそれぞれに融着されている、配線部材である。被覆層が第1シート及び第2シートのそれぞれに融着されていることによって、線状伝送部材の両側に第1シート及び第2シートが簡易に固定される。これにより、第1シート及び第2シートによって線状伝送部材の両側が簡易に保護される。
【0012】
(2)(1)の配線部材において、前記線状伝送部材の側方で前記第1融着層と前記第2融着層とが融着されていてもよい。これにより、第1シート及び第2シートの間から線状伝送部材が露出することを抑制できる。
【0013】
(3)(1)の配線部材において、前記線状伝送部材の側方で前記第1融着層と前記第2融着層とが融着されていなくてもよい。これにより、配線部材の製造が容易となる。また線状伝送部材の側方に第1シートと第2シートとを融着するための融着代が設けられなくともよくなり、配線部材の幅寸法を小さくできる。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの配線部材において、前記第1シートに全面的に前記第2シートが設けられ、前記被覆層が前記第1融着層及び前記第2融着層に前記線状伝送部材の延在方向に沿って断続的に融着されていてもよい。これにより、広範な領域において線状伝送部材の両側を保護しつつ、融着箇所を少なくできる。
【0015】
(5)(1)から(3)のいずれか1つの配線部材において、前記第1シートに部分的に前記第2シートが設けられていてもよい。これにより、必要な部分に第2シートが設けられることによって、配線部材の質量増加を抑制できる。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線部材において、前記第1シート及び前記第2シートが前記線状伝送部材の交差部を含む領域に設けられ、前記交差部において前記被覆層が前記第1融着層及び前記第2融着層に融着されておらず、前記交差部を避けた位置において前記被覆層が前記第1融着層及び前記第2融着層に融着されていてもよい。これにより、交差部において線状伝送部材がつぶれることが抑制される。
【0017】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの配線部材において、前記第2シートのうち前記線状伝送部材を向く面とは反対側の面に他の線状伝送部材が融着されていてもよい。これにより、線状伝送部材が多層に設けられる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材10を示す平面図である。
図2は
図1のII−II線に沿って切断された断面図である。
【0020】
配線部材10は線状伝送部材20と第1シート30と第2シート40とを備える。
【0021】
線状伝送部材20は、電気又は光等を伝送する線状の部材である。例えば、線状伝送部材20は、芯線と芯線の周囲の被覆とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、電気ケーブル、エナメル線、ニクロム線、光ファイバケーブル等であってもよい。線状伝送部材20は、伝送線本体21と被覆層22とを有する。伝送線本体21は電気又は光を伝送する部分である。伝送線本体21は、電線における導体芯線に相当し、光ファイバケーブルにおけるコア及びクラッドに相当する。被覆層22は伝送線本体21を覆う。被覆層22は樹脂材料等が伝送線本体21の周囲に押出被覆されて形成される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。
【0022】
電気を伝送する線状伝送部材20としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材20の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。また、線状伝送部材20は、単一の線状物であってもよいし、複数の線状物の複合物(ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等)であってもよい。線状伝送部材20がケーブルの場合、シースも被覆層22に含まれる。
【0023】
線状伝送部材20の数は少なくとも1本あればよく、1本であってもよいし、複数本であってもよい。ここでは線状伝送部材20は4本含まれる。4本の線状伝送部材20について区別が必要な場合、線状伝送部材20A、20B、20C、20Dと称されることがある。
【0024】
複数の線状伝送部材20は、車両における部品同士を接続する部材であることが想定される。線状伝送部材20の端部はシート30、40から延出して、シート30、40の外方に位置する。線状伝送部材20において端部を除く中間部がシート30、40上に配置されている。線状伝送部材20の端部には、例えばコネクタCが設けられる。このコネクタCが相手側部品に設けられたコネクタと接続されることで、線状伝送部材20が相手側部品に接続される。つまり、本配線部材10は、車両等において各種部品同士を電気的に(或は光通信可能に)接続する配線部材10として用いられる。線状伝送部材20の端部が、シート30、40上に位置していてもよい。コネクタCが、シート30、40に固定されていてもよい。
【0025】
第1シート30は線状伝送部材20の一方側に設けられている。第1シート30は第1融着層32を含む。第1融着層32は線状伝送部材20に接する。第1融着層32は線状伝送部材20における最も外側の被覆層22に融着される。
【0026】
ここでは第1シート30は第1融着層32と第1付加層34との2層構造を有する。第1シート30は、第1融着層32からなる1層構造を有していてもよいし、3層以上の構造を有していてもよい。
【0027】
第1融着層32の一方の表面が線状伝送部材20に接する面とされる。第1融着層32は樹脂材料、好ましくは熱可塑性樹脂材料を含む。第1融着層32の樹脂材料が軟化して融着相手に融着される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、PVC、PE、PP、PET等を採用することができる。第1融着層32の樹脂材料は被覆層22の樹脂材料と同じであることが好ましい。
【0028】
第1融着層32の構造は特に限定されるものではない。例えば第1融着層32は一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)であってもよい。また例えば、第1融着層32は、発泡シート等であることも考えられる。また例えば、第1融着層32は、編布、織布又は不織布等の繊維材シートであることも考えられる。
【0029】
第1付加層34は第1融着層32とは異なる材料で形成されたり、異なる構造を有したりする。第1付加層34は第1融着層32にある機能を高めたり、第1融着層32にない機能を第1シート30に追加したりする。第1付加層34を構成する材料は、上記第1融着層32で説明された材料のほか、金属等などであってもよい。第1付加層34の構造は、上記第1融着層32で説明された構造のいずれかであってもよい。第1付加層34の一方の表面が第1シート30において線状伝送部材20とは反対側を向く外向きの主面とされる。
【0030】
第1融着層32の他方の表面と第1付加層34の他方の表面とが接触しつつ、第1融着層32と第1付加層34とが固定されている。第1融着層32と第1付加層34との固定態様は特に限定されるものではないが、融着又は接着により固定されているとよい。例えば、第1融着層32及び第1付加層34の少なくとも一方が、繊維材シート又は発泡シートのように表面に空隙があるシートであると、空隙に樹脂材料又は接着剤が入り込んで固定されることができる。これによりいわゆるアンカー効果が発揮されて、第1融着層32及び第1付加層34が強固に固定される。
【0031】
ここでは第1融着層32が樹脂製のソリッドシートであり、第1付加層34が繊維材シートであるものとして説明される。ここでは第1融着層32と第1付加層34とが融着されているものとして説明される。つまり、第1融着層32の樹脂が流動性を有する状態で第1付加層34の繊維の間に入り込んだ後に硬化される。これにより、第1融着層32の樹脂が第1付加層34における繊維の間に入り込んだ状態が維持され、第1融着層32と第1付加層34とが強固に固定される。
【0032】
第1融着層32及び第1付加層34は同じ大きさ(同じ平面形状)に形成されている。第1融着層32及び第1付加層34は一方が他方よりも大きく形成されていてもよい。第1融着層32及び第1付加層34は接触する領域が全体的に固定されている。第1融着層32及び第1付加層34は接触する領域の一部のみが固定されていてもよい。
【0033】
第1シート30は柔らかい部材であってもよい。例えば、第1融着層32が軟質PVCなど軟質な樹脂を材料とする一様充実断面を有する樹脂層であり、第1付加層34がPETを材料とする不織布であるなどして、第1シート30が柔らかい部材とされる。例えば、第1シート30は線状伝送部材20の曲げに追従可能な可撓性を有してもよい。配線部材10は第1シート30が設けられた部分において厚み方向への曲げ(折目が第1シート30の主面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。もっとも、第1シート30は厚み方向に湾曲できない部材であってもよい。第1シート30は厚み方向に曲げられた際、割れずに屈曲することが可能な部材であってもよい。第1シート30は厚み方向に曲げられた際、割れずに屈曲することが不可能な部材であってもよい。第1シート30が線状伝送部材20の曲げに追従不可な剛性を有していてもよい。
【0034】
第2シート40は線状伝送部材20の他方側に設けられている。第2シート40は第2融着層42を含む。第2融着層42は線状伝送部材20に接する。第2融着層42は線状伝送部材20における最も外側の被覆層22に融着される。
【0035】
ここでは第2シート40を構成するシート材として第1シート30を構成するシート材と同じ種類のシート材が採用されている。第2シート40は第2融着層42と第2付加層44との2層構造を有する。第2融着層42は第1融着層32と同じ材質、構造を有する層である。第2付加層44は第1付加層34と同じ材質、構造を有する層である。第2シート40を構成するシート材は、第1シート30を構成するシート材とは別の種類のシート材であってもよい。第2シート40は第2融着層42からなる1層構造を有していてもよいし、3層以上の構造を有していてもよい。
【0036】
第1シート30、第2シート40は複数の線状伝送部材20が並んだ状態に保持する。これにより配線部材10は扁平に形成されている。また第1シート30、第2シート40は線状伝送部材20が所定の経路に沿って延びた状態に保持する。線状伝送部材20の経路は配線部材10が組付相手(例えば車両など)に組付けられたときに線状伝送部材20が組付相手に対して延びる経路である。これにより配線部材10が車両等に組付けられる際、線状伝送部材20が車両等における所定の経路に沿った状態となりやすい。
【0037】
ここでは線状伝送部材20の経路は曲がり部23及び分岐部24を含む。曲がり部23は複数の線状伝送部材20A、20B、20C、20Dが並行したまま曲がる部分である。分岐部24は一部の線状伝送部材20A、20Bが他の一部の線状伝送部材20C、20Dと異なる向きに延びるように分岐する部分である。
【0038】
複数の線状伝送部材20が交差する交差部25、26が設けられている。ここでは交差部25、26は配置替え交差部25と分岐交差部26とを含む。配置替え交差部25は並行する線状伝送部材20A、20Bの並び順を変えるために交差する部分である。分岐交差部26は一部の線状伝送部材20Cが他の一部の線状伝送部材20A、20Bと分岐するために交差する部分である。
【0039】
ここでは第1シート30の形状は線状伝送部材20の経路に沿った形状に形成される。具体的には第1シート30は線状伝送部材20の曲がり部23に応じて曲がった部分を有する。また第1シート30は線状伝送部材20の分岐する経路に応じて分岐する部分を有する。第1シート30は1つの大きな方形状などに形成されていてもよい。
【0040】
ここでは第2シート40の平面形状は第1シート30の平面形状とは異なる。第2シート40は第1シート30に部分的に設けられている。具体的にはここでは第2シート40は複数のシート部分41を含む。第1シート30に対して複数のシート部分41が互いに異なる平面領域を覆うように設けられている。複数のシート部分41は間隔をあけて設けられている。
図1に示す例では5つのシート部分41A、41B、41C、41D、41Eが設けられている。各シート部分41は直線部に設けられている。シート部分41は曲がり部23を避けて設けられている。曲がり部23にはシート部分41が設けられていない。シート部分41は交差部25、26を避けて設けられている。交差部25、26にはシート部分41が設けられていない。
【0041】
シート部分41A、41Bは曲がり部23の両隣の位置に設けられている。シート部分41C、41Dは配置替え交差部25の両隣の位置に設けられている。シート部分41B、41C、41Eは分岐部24を挟む位置に設けられている。
【0042】
被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。被覆層22と第1融着層32、第2融着層42とは、線状伝送部材20の延在方向に沿って断続的に融着されている。
図1、
図2には被覆層22と第1融着層32とが融着されている部分が融着部WP1として示され、被覆層22と第2融着層42とが融着されている部分が融着部WP2として示されている。融着部WP1と融着部WP2とは、線状伝送部材20の延在方向に沿って同じ位置に位置する。線状伝送部材20は第1融着層32と融着されている部分の反対側で、第2融着層42と融着されている。各シート部分41の端の位置に融着部WP1、WP2が設けられている。
【0043】
かかる融着状態を形成する手段は特に限定されるものではない。例えば、線状伝送部材20と第1シート30及び第2シート40とは超音波融着されてもよい。超音波融着は例えば
図2に示すように、超音波融着機におけるホーン80及びアンビル82によってワークを挟んだ状態でホーン80からワークに付加された超音波振動による摩擦熱によって樹脂等が溶け融着される。このほか、加熱加圧融着、熱風融着、高周波融着など種々の融着手段を採用することができる。またこれらの手段によって融着の状態が形成されると、線状伝送部材20と第1シート30及び第2シート40は、その手段による融着固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波融着によって線状伝送部材20と第1シート30及び第2シート40とが融着されている場合、融着部WP1、WP2は、超音波融着部となる。
【0044】
線状伝送部材20の側方において第1融着層32と第2融着層42とが融着されていない。線状伝送部材20の側方とは、複数の線状伝送部材20のうち並列方向に沿って最も外側に位置する2つの線状伝送部材20よりも並列方向に沿って外側に位置する部分である。線状伝送部材20の側方において第1融着層32と第2融着層42とが接していない。
【0045】
ここでは複数の線状伝送部材20が並列方向に沿って間隔をあけて設けられている。複数の線状伝送部材20は並列方向に沿って間隔をあけずに、接した状態で並行していてもよい。
【0046】
ここでは線状伝送部材20の間において第1融着層32と第2融着層42とが融着されていない。線状伝送部材20の間において第1融着層32と第2融着層42とが接していない。線状伝送部材20の間において第1融着層32と第2融着層42とが接していてもよい。線状伝送部材20の間において第1融着層32と第2融着層42とが融着されていてもよい。
【0047】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成された配線部材10によると、被覆層22が第1シート30及び第2シート40のそれぞれに融着されていることによって、線状伝送部材20の両側に第1シート30及び第2シート40が簡易に固定される。これにより、第1シート30及び第2シート40によって線状伝送部材20の両側が簡易に保護される。
【0048】
また線状伝送部材20の側方で第1融着層32と第2融着層42とが融着されていない。これにより、配線部材10の製造が容易となる。また線状伝送部材20の側方に第1シート30と第2シート40とを融着するための融着代が設けられなくともよくなり、配線部材10の幅寸法を小さくできる。
【0049】
また第1シート30に部分的に第2シート40が設けられている。これにより、必要な部分に第2シート40が設けられることによって、配線部材10の質量増加を抑制できる。
【0050】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線部材について説明する。
図3は実施形態2にかかる配線部材110を示す平面図である。なお、以下の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
本例の配線部材110において第2シート140が設けられる部分が上記配線部材10において第2シート40が設けられる部分とは異なる。第2シート140はシート部分141を1つ含む。シート部分141は交差部25、26を含む領域に設けられている。このため、第1シート30及び第2シート140が線状伝送部材20の交差部25、26を含む領域に設けられている。
【0052】
配置替え交差部25において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されていない。配置替え交差部25を避けた位置において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。分岐交差部26において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されていない。分岐交差部26を避けた位置において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。従って、交差部25、26において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されていない。交差部25、26を避けた位置において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。これにより、交差部25、26において線状伝送部材20がつぶれることが抑制される。
【0053】
なお配線部材110では、第1シート30が設けられつつ第2シート40が設けられない領域に融着部WP1が設けられている。配線部材110における融着部WP1の位置は配線部材10における融着部WP1の位置と同じである。
【0054】
[実施形態3]
実施形態3にかかる配線部材について説明する。
図4は実施形態3にかかる配線部材210を示す平面図である。
【0055】
本例の配線部材210において第2シート240の平面形状が上記配線部材10、110における第2シート40、140の平面形状とは異なる。ここでは第1シート30に全面的に第2シート240が設けられている。第1シート30及び第2シート240が同じ平面形状を有している。この際、線状伝送部材20の延在方向に沿って断続的に被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。これにより、広範な領域において線状伝送部材20の両側が保護されつつ、融着箇所を少なくできる。
【0056】
ここでは第1シート30及び第2シート240が線状伝送部材20の曲がり部23を含む領域に設けられている。曲がり部23において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されていない。曲がり部23を避けた位置において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。曲がり部23の両隣の位置において被覆層22が第1融着層32及び第2融着層42に融着されている。
【0057】
配線部材210における融着部WP1、WP2の位置は、配線部材10における融着部WP1、WP2の位置と同じである。本例でも、交差部25、26に融着部WP1、WP2が設けられておらず、交差部25、26を避けた位置(ここでは直線部の端部)に融着部WP1、WP2が設けられている。
【0058】
[実施形態4]
実施形態4にかかる配線部材について説明する。
図5は実施形態4にかかる配線部材310を示す断面図である。
【0059】
本例の配線部材310は、第1シート330と第2シート340とが融着されている点で上記配線部材10、110、210とは異なる。第1シート330及び第2シート340は線状伝送部材20の側方に突出する部分を有する。この突出部分が融着代とされる。線状伝送部材20の側方で融着代における第1融着層32と第2融着層42とが融着されている。第1融着層32と第2融着層42との融着部WP3が線状伝送部材20の側方に設けられている。これにより、第1シート330及び第2シート340の間から線状伝送部材20が露出することを抑制できる。
図5では融着部WP3が線状伝送部材20の両側方に設けられている。融着部WP3は線状伝送部材20の片側方にのみ設けられていてもよい。
【0060】
融着部WP3は線状伝送部材20の延在方向に沿って全体にわたって連続的に設けられていてもよい。融着部WP3は融着部WP1、WP2と同様に線状伝送部材20の延在方向に沿って断続的に設けられていてもよい。この場合、融着部WP3は融着部WP1、WP2と同じ位置に設けられていてもよいし、異なる位置に設けられていてもよい。
【0061】
線状伝送部材20の間では第1シート330と第2シート340とが融着されていない。線状伝送部材20の間でも第1シート330と第2シート340とが融着されていてもよい。
【0062】
[実施形態5]
実施形態5にかかる配線部材について説明する。
図6は実施形態5にかかる配線部材410を示す断面図である。
【0063】
本例の配線部材410は他の線状伝送部材50をさらに備える点で、上記配線部材10、110、210、310とは異なる。
【0064】
他の線状伝送部材50は、第2シート440のうち線状伝送部材20を向く面とは反対側の面に融着されている。これにより、線状伝送部材20、50が多層に設けられる。具体的には他の線状伝送部材50は線状伝送部材20と同様に伝送線本体51及び被覆層52を含む。また第2シート440において他の線状伝送部材50と接する面に融着層が設けられている。
図6に示す例では、第2シート440は、第2融着層42、第2付加層44及び第3融着層46の3層構造である。第3融着層46に他の線状伝送部材50の被覆層52が融着されている。第2シート440は、第2融着層42からなる1層構造であり、第2融着層42の両面に線状伝送部材20、50が融着されていてもよい。
【0065】
第2シート440は上記第2シート40、140と同様に第1シート30の一部を覆っていてもよいし、上記第2シート240と同様に第1シート30の全面を覆っていてもよい。
【0066】
図6に示す例では他の線状伝送部材50は線状伝送部材20と重ならないように線状伝送部材20の間又は側方に位置する。他の線状伝送部材50の被覆層52と第3融着層46との融着部WP4は、融着部WP1、WP2と線状伝送部材20の並列方向に沿ってずれている。他の線状伝送部材50は線状伝送部材20と重なるように位置していてもよい。融着部WP4は、融着部WP1、WP2と線状伝送部材20の並列方向に沿って同じ位置にあってもよい。
【0067】
他の線状伝送部材50の数は線状伝送部材20の数よりも少ない。他の線状伝送部材50の数は線状伝送部材20の数と同じかそれよりも多くてもよい。
【0068】
線状伝送部材20の経路と他の線状伝送部材50の経路とは適宜設定可能である。他の線状伝送部材50は線状伝送部材20と同じ経路に沿って延びるものであってもよい。他の線状伝送部材50は線状伝送部材20とは異なる経路に沿って延びるものであってもよい。例えば他の線状伝送部材50は一部の区間で線状伝送部材20と同じ経路に沿って延び、他の一部の区間で線状伝送部材20とは異なる経路に沿って延びるものであってもよい。線状伝送部材20と他の線状伝送部材50は少なくとも同じ経路に沿って延びる区間で第2シート440に融着されていてもよい。
【0069】
他の線状伝送部材50の一端部及び他端部は線状伝送部材20の一端部及び他端部と同じコネクタCに接続されていてもよい。他の線状伝送部材50の一端部及び他端部は線状伝送部材20の一端部及び他端部とは異なるコネクタに接続されていてもよい。他の線状伝送部材50の一端部は線状伝送部材20の一端部と同じコネクタCに接続されつつ、他の線状伝送部材50の他端部は線状伝送部材20の他端部とは異なるコネクタに接続されていてもよい。
【0070】
図6に示す例では他の線状伝送部材50のうち第2シート440とは反対側が露出している。第2シート440とは反対側から他の線状伝送部材50を覆う第3シートが設けられていてもよい。第3シートが他の線状伝送部材50と融着されていてもよい。
【0071】
[変形例]
これまで融着部WP1、WP2が線状伝送部材20の延在方向に沿って断続的に設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。融着部WP1、WP2は線状伝送部材20の延在方向に沿って全体にわたって連続的に設けられていてもよい。
【0072】
上記配線部材10が側方に複数連結されて配線モジュールとされていてもよい。例えば複数の配線部材10の第1シート30又は第2シート40同士が融着されてもよい。連結される複数の配線部材のうち一つの配線部材と他の一つの配線部材とで、線状伝送部材の種類が異なっていてもよい。例えば、一つの配線部材に複数の細い線状伝送部材が配置され、他の一つの配線部材に複数の太い線状伝送部材が配置されていてもよい。これにより、各配線部材によって線状伝送部材の太さが揃えられることによって、第1融着層32及び第2融着層42が良好に線状伝送部材に接触できる。また例えば、一つの配線部材にPVC製の被覆層を有する線状伝送部材が配置され、他の一つの配線部材にポリオレフィン製の被覆層を有する線状伝送部材が配置されていてもよい。これにより、各配線部材によって線状伝送部材の被覆層の材料が揃えられる。そして各配線部材において第1融着層32及び第2融着層42が被覆層に応じた材料によって形成されることによって、良好に線状伝送部材に融着できる。
【0073】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。