【解決手段】受信アンテナ装置(1)は基板(10)と導電性の筐体(20)を備える。基板には、アンテナエレメントが配置されるエレメント領域(11)と、回路領域(12)と、が設けられる。筐体は、回路領域に接続される基部(22)と、アンテナエレメントの配置面に平行であって且つアンテナエレメントに対向する位置に設けられた延伸部(21)と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図である。
図2はアンテナ装置1の側面図である。尚、
図2は、後述のYZ面に直交する方向から見たアンテナ装置1の平面図である。アンテナ装置1は電波の受信を行う受信アンテナ装置である。アンテナ装置1は、基板10と、筐体20と、接続棒30を備えて構成される。アンテナ装置1に設けられる接続棒30の本数は1以上であれば任意であるが、ここでは、4本の接続棒30がアンテナ装置1に設けられているものとする。基板10上には、アンテナエレメントが配置されると共にアンテナエレメントの受信信号の増幅等を行う信号処理回路が実装されるが、
図1及び
図2において、アンテナエレメント及び信号処理回路の図示を省略している。後述の
図3〜
図5等においても、アンテナエレメント及び信号処理回路の図示が必要なき限り、省略されている。
【0016】
説明の具体化のため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を想定し、適宜、X軸、Y軸及びZ軸との関係においてアンテナ装置1の構造を説明する。尚、X軸及びY軸に平行な平面をXY面と称し、Y軸及びZ軸に平行な平面をYZ面と称し、Z軸及びX軸に平行な平面をZX面と称する。
【0017】
基板10は、Z軸方向に厚みを有する板状のプリント基板である。基板10は、互いに対向する2つの面SF1及びSF2を有する(
図2参照)。基板10はXY面に平行であるとする。故に面SF1及びSF2は共にXY面に平行である。基板10はXY面上において矩形の外形を有する。但し、XY面上における基板10の外形形状は任意に変更可能である。基板10は、絶縁性材料から成り、例えばエポキシ樹脂やセラミックスにより形成される。基板20は、面SF1及びSF2の夫々に金属製のパターンを形成可能な両面基板である。但し、基板20は内層をも備えた多層基板であっても良い。
【0018】
筐体20は、Z軸方向に厚みを有する金属製の板(いわゆる板金)である。筐体20としての板の面はXY面に平行である。筐体20はXY面上において矩形の外形を有する。但し、XY面上における筐体20の外形形状は任意に変更可能である。筐体20は、例えばステンレス鋼やアルミニウム合金にて形成される。基板10の面SF1及びSF2の内、面SF2の方が筐体20に近い。面SF2と筐体20との間の距離を距離dで表す。距離dは、Z軸方向における面SF2及び筐体20間の最短距離を表す。尚、筐体20は基板10を支持する機能を有する。このため、筐体20を支持体20と読み替えても良い。
【0019】
各接続棒30は、金属製の棒(即ち金属棒)であり、基板10と筐体20との間に配置されて基板10及び筐体20を結合する。
【0020】
図3及び
図4に示す如く、基板10上の領域はエレメント領域11及び回路領域12に大別され、筐体20は延伸部21と基部22とで構成される。アンテナエレメントがエレメント領域11に形成及び配置され、アンテナエレメントの受信信号の増幅等を行う信号処理回路が回路領域12に実装される。
【0021】
筐体20において基部22と延伸部21とが分離して設けられているわけではなく、筐体20は基部22と延伸部21とが一体とされた金属筐体である。即ち、1つの板状の金属である金属筐体の一部が基部22であり、当該金属筐体の残部が延伸部21である。
【0022】
今、X軸、Y軸及びZ軸が互いに直交して原点Oにて交差するものとし、
図5に示す如く、原点Oが、基板10と筐体20とで挟まれた空間内の所定位置にあるものとして、アンテナ装置1の構成要素の位置関係を説明する。
【0023】
原点Oから見て、Z軸の正側に基板10が位置し、Z軸の負側に筐体20が位置する。原点Oから見て、Y軸の正側にエレメント領域11及び延伸部21が位置し、Y軸の負側に回路領域12及び基部22が位置する。
【0024】
エレメント領域11は面SF1上のエレメント領域と面SF2上のエレメント領域から成り、面SF1上のエレメント領域と面SF2上のエレメント領域は共に原点Oから見てY軸の正側に位置する。面SF1上のエレメント領域と面SF2上のエレメント領域の夫々にアンテナエレメントを形成及び配置することができる。回路領域12は面SF1上の回路領域と面SF2上の回路領域から成り、面SF1上の回路領域及び面SF2上の回路領域は共に原点Oから見てY軸の負側に位置する。
【0025】
原点Oから見て、Y軸の負側に各接続棒30が位置する。各接続棒30はZ軸方向に伸びる金属棒である。各接続棒30の一端は基部22内の所定位置に接続及び固定され、各接続棒30の他端は回路領域12内の所定位置に接続及び固定される。これにより、基部22と回路領域12との導通が確保される。
【0026】
このように、基部22は、基部22及び回路領域12間に配置される金属製の接続体を介して回路領域12に電気的に接続される(回路領域12と導通される)。金属製の接続体は、ここでは4本の接続棒30から成るが、1以上の任意の本数の接続棒30にて当該接続体が構成されていても良いし、金属製の接続体の形状は棒状に限定されない。そして、上記接続体と基板10及び筐体20とが結合されることで、基部22と延伸部21を含んで構成される板状の筐体20(金属筐体)が基板10に対し平行に配置及び固定されることになる。
【0027】
筐体20の内、延伸部21は、アンテナエレメントの配置面(面SF1又はSF2)に平行であって、且つ、アンテナエレメントに対向する位置(換言すればエレメント領域11に対向する位置)に設けられる。延伸部21と基板20の面SF2との間には距離dの隙間が存在することになり、当該隙間は空気で満たされる。
【0028】
面SF1上のエレメント領域に形成及び配置されるアンテナエレメントをアンテナエレメントEL1と称し、面SF2上のエレメント領域に形成及び配置されるアンテナエレメントをアンテナエレメントEL2と称する。アンテナエレメントEL1及びEL2は、別個独立した2つのアンテナエレメントであり、夫々に受信波に応じた受信信号を生成する。アンテナエレメントEL1、EL2は、夫々、面SF1、SF2上に形成された特定のアンテナ形状を有した銅配線により構成される。
図6(a)及び(b)にアンテナエレメントEL1及びEL2の形状の例を示す。
図6(a)及び(b)のアンテナエレメントEL1及びEL2は、夫々に、導体の折り曲げ部を有するメアンダラインアンテナを構成するが、アンテナエレメントEL1及びEL2の各形状は任意に設計可能である。
【0029】
図7(a)にアンテナ装置1に設けられる信号処理回路PRを示す。信号処理回路PRは回路領域12に実装される。PR
IN、PR
OUTは、夫々、信号処理回路PRの入力部、出力部を表す。信号処理回路PRはグランド電位を有するグランドGNDに接続され、グランド電位を基準に動作する。アンテナエレメントEL1の両端の内、回路領域12に近い方の端部と、アンテナエレメントEL2の両端の内、回路領域12に近い方の端部とが、入力部PR
INに共通接続される。このため、アンテナエレメントEL1及びEL2による受信信号の合成信号が入力部PR
INに加わる。
【0030】
信号処理回路PRは、入力部PR
INに加わる信号に対し所定の信号処理を施し、当該信号処理後の信号(即ち入力部PR
INに加わる信号に対し当該信号処理を施して得られる信号)を出力部PR
OUTから出力する。上記信号処理はグランド電位を基準として実行され、出力部PR
OUTからの信号はグランド電位を基準として出力される。
【0031】
図7(b)に示す如く、信号処理回路PRは少なくとも増幅器AMPを含み、上記信号処理は少なくとも増幅器AMPによる増幅処理を含む。従って、信号処理回路PRは入力部PR
INに加わる信号の増幅信号を出力部PR
OUTから出力して良い。増幅器AMPはLNA(Low Noise Amplifier)に分類されるものであって良い。信号処理回路PRにおける所定の信号処理は、増幅処理に加えて他の信号処理を含んでいても良い。出力部PR
OUTからの信号はアンテナ装置1の後段装置(チューナ等)に送られる。
【0032】
筐体20が接続棒30を介して回路領域12内のグランドGNDと電気的に接続される(即ち導通される)ことにより、筐体20の電位が上述のグランド電位として機能する。筐体20は、
図1等では示されていない他の金属ブラケット等を適宜介して、筐体20よりも十分に大きな導電体に電気的に接続され、当該導電体の電位がグランド電位となる。
【0033】
以下、複数の実施例の中で、アンテナ装置1に関する具体的な適用例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用され、各実施例において、上述した事項と矛盾する事項については各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0034】
<<第1実施例>>
アンテナ装置1の第1実施例を説明する。第1実施例に係るアンテナ装置1は車両CRに設置される。
図8に車両CRの概略的な外観図を示す。ここでは、車両CRとして路面上を走行可能な車両(自動車等)を主として想定するが、車両CRは任意の種類の車両であって良い。車両CRの運転席からステアリングホイールに向かう向きを「前方」と定義し、車両CRのステアリングホイールから運転席に向かう向きを「後方」と定義する。前後方向に直交し且つ路面に平行な方向を左右方向と定義する。
【0035】
車両CRは、金属製の車体BDYと、車体BDYに取り付けられた複数のタイヤTRを備えると共に、図示されない多数の部品(エンジン、運転操作用の部品、ワイパ、カメラ等)を備える。
図8において、SPは、車体BDYの後端に取り付けられたリアスポイラを表す。リアスポイラSPは樹脂にて形成される。
【0036】
アンテナ装置1は車両CRの所定位置に設置される。例えば、アンテナ装置1は車体BDYの上面に設置される。或いは例えば、アンテナ装置1はリアスポイラSP内に設置される。何れにせよ、アンテナ装置1の筐体20における基部22と金属製の車体BDYとが導通するよう、基部22が図示されない金属ブラケット等を介し車体BDYに電気的及び機械的に接続され、且つ、車体BDYに固定される。これにより、車体BDYの電位が上記グランド電位としてアンテナ装置1に与えられる。
【0037】
アンテナ装置1における信号処理回路PRの出力部PR
OUTからの信号は、車両ケーブル(不図示)を介し車両CRに設置されたチューナ等(不図示)に与えられる。
【0038】
アンテナ装置1は、筐体20の金属部をエレメント領域11に向けて延伸させたかのような構造を有する点に特徴を有する。この特徴の優位性を検討するために、
図9の参考アンテナ装置1refを参照する。参考アンテナ装置1refは、
図4のアンテナ装置1から延伸部21を削除した構成を有する。参考アンテナ装置1refにおける筐体は、基部22のみから成る筐体20refである。
【0039】
図10は、参考アンテナ装置1refにおけるアンテナ感度の周波数特性を表している。ここでは、アンテナ装置1及び参考アンテナ装置1refにおいて、76MHzから108MHzまでの帯域が受信必要帯域に設定され、受信必要帯域内の電波を相応の感度で受信することが要求されているものとする。受信必要帯域内におけるアンテナ感度の最大値と最小値との差を、帯域内感度差と称する。
【0040】
参考アンテナ装置1refを車体BDYの所定位置に設置した状態で、送信アンテナ(不図示)より76MHzから108MHzまでの送信波を放射し、このときの参考アンテナ装置1refのアンテナパターン(各方位におけるアンテナ感度)を取得する。そして、各周波数において、アンテナパターンの感度を全方位に亘って平均化することで、
図10の周波数特性が得られる(後述の
図11の周波数特性も同様であり、この場合、参考アンテナ装置1refに代えてアンテナ装置1が用いられる)。尚、76MHzから108MHzまでの帯域は例示に過ぎず、アンテナ装置1及び参考アンテナ装置1refの受信必要帯域は任意に設定される。
【0041】
参考アンテナ装置1refでは帯域内感度差が相応に大きくなっている。帯域内感度差が大きすぎると、アンテナ感度が相対的に高い周波数において増幅器AMPの出力が歪む、アンテナ感度が相対的に低い周波数において必要なS/N比が得られない、といった懸念が生じうる。このため、帯域内感度差はなるだけ小さい方が良い。
【0042】
図11は、アンテナ装置1におけるアンテナ感度の周波数特性を表している。アンテナ装置1における帯域内感度差は、参考アンテナ装置1refのそれよりも随分と小さくなっていることが分かる。これは、筐体20の金属部をエレメント領域11に向けて延伸させたことによる効果(即ち延伸部21を筐体20に設けたことによる効果)である。
【0043】
図12を参照して延伸部21の作用を説明する。
図12において、矢印付き実線は、アンテナエレメントEL1又はEL2にて受信波が受信されることでアンテナエレメントEL1又はEL2に流れる高周波電流Iaを模式的に表したものである。
【0044】
アンテナエレメントEL1又はEL2の配置面(SF1又はSF2)に対向且つ近接したグランド電位の延伸部21が存在するため、アンテナエレメントEL1又はEL2に高周波電流Iaが流れたとき、高周波電流Iaを打ち消す向きの誘導電流Ibが延伸部21に流れる。高周波電流Iaを打ち消す向きの誘導電流Ibは、信号処理回路PRの入力部PR
INの信号強度を低下させるよう作用するため、誘導電流Ibの発生によりアンテナ装置1のアンテナ感度が低下する。
【0045】
この際、アンテナ感度が高いほど高周波電流Iaが大きくなってグランド側に流れる誘導電流Ibも増加するため、打ち消しによるアンテナ感度の低下度合いも増加する。つまり、
図10の周波数特性を基準として、アンテナ感度が相対的に高い周波数では延伸部21を設けることによりアンテナ感度が大きく低下し(アンテナ感度の低下量が相対的に大きくなり)、アンテナ感度が相対的に低い周波数では延伸部21を設けてもアンテナ感度があまり低下しない(アンテナ感度の低下量が相対的に小さくなる)。結果、延伸部21の設置により帯域内感度差の低減が図られる。
図13に、延伸部21を設けることによるアンテナ感度の低下の様子を概念的に示す。
【0046】
誘導電流Ibの大きさは距離d(
図2参照)に依存する。このため、アンテナエレメントEL1及びEL2の特性と受信必要帯域とを考慮して、距離dを最適化することで、必要なアンテナ感度を確保しつつ帯域内感度差を極力低減することが可能となる。
【0047】
また、延伸部21の設置はノイズ低減にも寄与する。例えば、アンテナ装置1がリアスポイラSP内に設けられる場合(
図8参照)、アンテナ装置1の下方に位置するリアガラスのワイパや車両CRに後端に設置されうるリアカメラがノイズ源となり、ノイズ源からの輻射ノイズがアンテナ装置1の受信信号に重畳するおそれがある。このとき、ノイズ源とエレメント領域11との間に延伸部21が位置するようアンテナ装置1を設置しておけば、延伸部21が電磁シールドとして働いて輻射ノイズの影響が低減される。
【0048】
また、延伸部21は放熱対策としても有益である。即ち、延伸部21の設置により、信号処理回路PRが発する熱の放出が促進される。
【0049】
このように、アンテナ装置1は、アンテナエレメントが配置されるエレメント領域11及び信号処理回路PRが実装される回路領域12を有する基板10と、導電性の筐体20(ここでは金属製の筐体20)と、を備える。そして、筐体20は、回路領域12に電気的に接続される基部22と、アンテナエレメントの配置面(SF1、SF2)に平行であって且つアンテナエレメントに対向する位置に設けられた延伸部21と、を有する。
【0050】
これにより、アンテナエレメントに流れる高周波電流(Ia)を打ち消す向きの誘導電流(Ib)が延伸部21に流れることを通じて、帯域内感度差の低減が図られる。
【0051】
具体的には、アンテナ装置1において、アンテナエレメントの受信信号を増幅する増幅器AMPを含んだ信号処理回路PRが回路領域12に実装され、筐体20は、信号処理回路PRのグランド電位を有する。
【0052】
帯域内感度差が大きいとき、アンテナ感度が相対的に高い周波数において増幅器AMPの出力が歪むことがあり、歪みの抑制を優先すれば、アンテナ感度が相対的に低い周波数において必要なS/N比が得られない、といった懸念が生じうる。上記構成に伴う帯域内感度差の低減により、これらの懸念が解消される。
【0053】
第1実施例に係るアンテナ装置1は、金属製の車体BDYを有する車両CRに搭載される。そして、筐体20が金属製の車体BDYに電気的に接続されることで、金属製の車体BDYの電位がグランド電位として受信アンテナ装置1に与えられる。
【0054】
<<第2実施例>>
アンテナ装置1の第2実施例を説明する。第2実施例では、アンテナエレメントとの関係において、延伸部21の望ましい大きさ等を説明する。
【0055】
図14(a)に示す如く、基板10に平行な方向において(換言すれば面SF1に平行な方向において)アンテナエレメントEL1の外形を囲む最小の矩形(長方形)を矩形110と称する。同様に、
図14(b)に示す如く、基板10に平行な方向において(換言すれば面SF2に平行な方向において)アンテナエレメントEL2の外形を囲む最小の矩形(長方形)を矩形120と称する。そうすると、基板10に平行な方向において(換言すれば面SF1又はSF2に平行な方向において)、
図15(a)及び(b)に示す如く、延伸部21の大きさは、矩形110の大きさ以上であって且つ矩形120の大きさ以上であると良い。ここで、延伸部21の大きさは基板10に平行な方向における延伸部21の面積を表し、矩形110及び120の大きさは基板10に平行な方向における矩形110及び120の面積を表す。尚、後述の他の実施例で示す如く、アンテナエレメントEL2が基板10に設けられない場合にあっては延伸部21の大きさを矩形110の大きさ以上とすれば良く、アンテナエレメントEL1が基板10に設けられない場合にあっては延伸部21の大きさを矩形120の大きさ以上とすれば良い。
【0056】
より具体的には、アンテナエレメントEL1が基板10に設けられる場合において、矩形110を延伸部21に投影したとき、矩形110は延伸部21に内包されると良い。即ち、XY面に平行な延伸部21の面に対し矩形110を投影したとき、
図16(a)に示す如く、投影された矩形110である矩形110’は延伸部21の面に内包されると良い。矩形110’が延伸部21の面に内包されるとは、矩形110’が延伸部21の面の外形と一致することも含む概念である。同様に、アンテナエレメントEL2が基板10に設けられる場合において、矩形120を延伸部21に投影したとき、矩形120は延伸部21に内包されると良い。即ち、XY面に平行な延伸部21の面に対し矩形120を投影したとき、
図16(b)に示す如く、投影された矩形120である矩形120’は延伸部21の面に内包されると良い。矩形120’が延伸部21の面に内包されるとは、矩形120’が延伸部21の面の外形と一致することも含む概念である。尚、上記投影における矩形110及び120の投影方向は基板10の面SF1及びSF2に直交する(即ちZ軸に平行である)。
【0057】
これにより、上記高周波電流Iaを打ち消す誘導電流Ibが効果的に延伸部21に流れることが期待され、帯域内感度差が適切に低減される。
【0058】
尚、延伸部21の大きさを矩形110又は120の大きさより多少小さくすることも可能である。例えば、アンテナエレメントEL1が基板10に設けられる場合には延伸部21の大きさを矩形110の大きさの80%以上で任意とし、アンテナエレメントEL2が基板10に設けられる場合には延伸部21の大きさを矩形120の大きさの80%以上で任意とすることも可能である。延伸部21の大きさの低減に伴い誘導電流Ibの大きさが低減してゆくことになるが、要求される帯域内感度差が得られる限りにおいて、延伸部21の大きさ及び形状を任意に設計できる。
【0059】
<<第3実施例>>
アンテナ装置1の第3実施例を説明する。
【0060】
基板10の面SF1及びSF2の夫々にアンテナエレメントを設けることで、アンテナ装置1の受信帯域を広げることが可能となる。例えば、アンテナエレメントEL1による共振周波数とアンテナエレメントEL2による共振周波数とを互いにずらしておけば、前者の共振周波数と後者の共振周波数を包含する広い帯域で必要なアンテナ感度を得ることができる。
【0061】
但し、面SF1及びSF2の一方にのみアンテナエレメントを設けるようにしても良い。即ち、上述のアンテナエレメントEL1及びEL2の内、任意の一方を基板10から削除するようにしても良い。
【0062】
筐体20が導電性の筐体である限り、筐体20の材質は金属でなくても良い。十分に低い抵抗率を持つ材料にて筐体20を形成すれば良い。但し、効果的な誘導電流Ibを得るという観点からすれば、金属にて筐体20を形成することが望ましい。
【0063】
アンテナ装置1に係る発明を車載用途とは異なる任意の用途に適用することも可能である。即ち、アンテナ装置1を車両以外の任意の機器に搭載することも可能である。
【0064】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。