(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-166442(P2021-166442A)
(43)【公開日】2021年10月14日
(54)【発明の名称】バッテリー診断装置、方法、プログラム、及び車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20210917BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20210917BHJP
G01R 31/50 20200101ALI20210917BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20210917BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20210917BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20210917BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20210917BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20210917BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
B60R16/04 W
G01R31/50
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
H02J7/00 P
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-69196(P2020-69196)
(22)【出願日】2020年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洸平
(72)【発明者】
【氏名】赤石 誉幸
(72)【発明者】
【氏名】堀竹 直
(72)【発明者】
【氏名】塩住 祐樹
【テーマコード(参考)】
2G014
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AB24
2G014AB25
2G014AB29
2G014AB61
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125DD01
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE26
(57)【要約】
【課題】バッテリー診断処理の省電力化を図ることができ、駐車中におけるバッテリー蓄電率の低下を抑制できるバッテリー診断装置を提供する。
【解決手段】本バッテリー診断装置であって、電圧、電流、及び温度の少なくとも1つを含むバッテリーの情報を取得する取得部と、バッテリーの情報に基づいてバッテリーが第1状態に該当するか否かを判定し、第1状態の判定結果に基づいてバッテリーに関する第1項目に異常があるか否かを判断する診断部と、を備え、診断部は、車両の駐車中において、診断を開始してから第1時間が経過した時点で第1項目に異常があるか否かを判断する第1判断を実施し、第1判断において第1項目に異常がないと判断した場合、バッテリーの診断を終了し、第1判断において第1項目に異常があると判断した場合、バッテリーの診断を継続して、第1項目に異常があるか否かを第1時間が経過した時点より後に判断する第2判断を実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリーの状態を診断するバッテリー診断装置であって、
電圧、電流、及び温度の少なくとも1つを含む前記バッテリーの情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記バッテリーの情報に基づいて、前記バッテリーが第1状態に該当するか否かを判定し、前記第1状態の判定結果に基づいて、前記バッテリーに関する第1項目に異常があるか否かを判断する診断部と、を備え、
前記診断部は、車両の駐車中において、
診断を開始してから第1時間が経過した時点で、前記第1項目に異常があるか否かを判断する第1判断を実施し、
前記第1判断において前記第1項目に異常がないと判断した場合、前記バッテリーの診断を終了し、
前記第1判断において前記第1項目に異常があると判断した場合、前記バッテリーの診断を継続して、前記第1項目に異常があるか否かを前記第1時間が経過した時点より後に判断する第2判断を実施する、
バッテリー診断装置。
【請求項2】
前記診断部は、前記取得部で取得された前記バッテリーの情報に基づいて、前記バッテリーが前記第1状態から第n状態(nは2以上の整数)に該当するか否かをそれぞれ判定し、前記第1状態から前記第n状態の判定結果に基づいて、前記バッテリーに関する前記第1項目から第n項目に異常があるか否かをそれぞれ判断し、
前記診断部は、車両の駐車中において、
診断を開始してから前記第1時間が経過した時点で、前記第1項目から前記第n項目に異常があるか否かを判断する第1判断を実施し、
前記第1判断で前記第1項目から前記第n項目のいずれにも異常がないと判断した場合、前記バッテリーの診断を終了し、
前記第1判断で前記第1項目から前記第n項目のうち1つ以上の項目に異常があると判断した場合、前記バッテリーの診断を継続して、前記1つ以上の項目に異常があるか否かを前記第1時間が経過した時点より後に判断する第2判断を実施する、
請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項3】
前記診断部は、前記第2判断において、前記第1判断で前記1つ以上の項目に異常があると判断した場合、前記第1項目から前記第n項目の全てについて前記バッテリーの診断を継続し、前記第1項目から前記第n項目の全てについて異常があるか否かを前記第1時間が経過した時点より後に判断する、
請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項4】
前記診断部は、前記第2判断において、前記第1判断で前記1つ以上の項目に異常があると判断した場合、前記1つ以上の項目と、前記1つ以上の項目に対応する状態に自項目に対応する状態が依存する項目と、について前記バッテリーの診断を継続し、前記1つ以上の項目及び前記1つ以上の項目に対応する状態に自項目に対応する状態が依存する項目について異常があるか否かを前記第1時間が経過した時点より後に判断する、
請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項5】
前記診断部は、前記第2判断において、前記第1判断で異常があると判断された項目の異常な状態が、前記第1時間が経過する以前から続けて第2時間継続した場合、前記第1判断で異常があると判断された項目が異常であると判断する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバッテリー診断装置。
【請求項6】
前記第2時間は、項目ごとに設定される、
請求項5に記載のバッテリー診断装置。
【請求項7】
前記診断部は、
前記バッテリーの状態の診断を一定の周期で実施し、
前記第2判断において、一定回数連続して前記第1判断で異常があると判断された項目を、異常であるとさらに判断する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバッテリー診断装置。
【請求項8】
前記診断部は、車両が駐車中でない場合、一定の周期で、診断を開始してから前記第1時間より長い時間をかけて前記項目に異常があるか否かを判断する第3判断を実施する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のバッテリー診断装置。
【請求項9】
車両に搭載されたバッテリーの状態を診断するバッテリー診断装置のコンピューターが実行するバッテリー診断方法であって、
電圧、電流、及び温度の少なくとも1つを含む前記バッテリーの情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記バッテリーの情報に基づいて、前記バッテリーが第1状態に該当するか否かを判定し、前記第1状態の判定結果に基づいて、前記バッテリーに関する第1項目に異常があるか否かを判断する診断ステップと、を含み、
前記診断ステップは、車両の駐車中において、
診断を開始してから第1時間が経過した時点で、前記第1項目に異常があるか否かを判断する第1判断ステップと、
前記第1判断ステップにおいて前記第1項目に異常がないと判断した場合、前記バッテリーの診断を終了する終了ステップと、
前記第1判断ステップにおいて前記第1項目に異常があると判断した場合、前記バッテリーの診断を継続して、前記第1項目に異常があるか否かを前記第1時間が経過した時点より後に判断する第2判断ステップと、を含む、
バッテリー診断方法。
【請求項10】
車両に搭載されたバッテリーの状態を診断するバッテリー診断装置のコンピューターに実行させるバッテリー診断プログラムであって、
電圧、電流、及び温度の少なくとも1つを含む前記バッテリーの情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記バッテリーの情報に基づいて、前記バッテリーが第1状態に該当するか否かを判定し、前記第1状態の判定結果に基づいて、前記バッテリーに関する第1項目に異常があるか否かを判断する診断ステップと、を含み、
前記診断ステップは、車両の駐車中において、
診断を開始してから第1時間が経過した時点で、前記第1項目に異常があるか否かを判断する第1判断ステップと、
前記第1判断ステップにおいて前記第1項目に異常がないと判断した場合、前記バッテリーの診断を終了する終了ステップと、
前記第1判断ステップにおいて前記第1項目に異常があると判断した場合、前記バッテリーの診断を継続して、前記第1項目に異常があるか否かを前記第1時間が経過した時点より後に判断する第2判断ステップと、を含む、
バッテリー診断プログラム。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれかに記載のバッテリー診断装置を搭載した車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されたバッテリーの状態を診断するバッテリー診断装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の高機能化や高付加価値化に伴って車載機器で消費される電力が増大している。このため、車載機器の電力供給源である車両に搭載されるバッテリーについては、蓄電率(SOC:State Of Charge)の低下による車両動作などへの影響が生じないように、バッテリーの状態を適切に管理することが求められる。
【0003】
特許文献1には、バッテリーの蓄電率(SOC)を推定するために必要な電流センサーが有するオフセット誤差を計測することによって、バッテリーの状態を好適に管理する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、組バッテリーを構成する個別のバッテリーごとにバッテリー状態検出ユニットを設け、各バッテリー状態検出ユニットによって検出された状態に基づいて、組バッテリーの状態を好適に管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019−100878号公報
【特許文献2】特開平11−355904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バッテリーへの充電が行われない駐車中においては、バッテリーの状態を診断する処理で消費される電力によってバッテリーの蓄電率が低下する一方である。このため、バッテリーの蓄電率低下による車両の起動への影響を極力抑えるために、駐車中におけるバッテリー診断処理の方法をさらに検討する余地がある。
【0007】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、バッテリー診断処理の省電力化を図ることができ、駐車中におけるバッテリー蓄電率の低下を抑制できるバッテリー診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、車両に搭載されたバッテリーの状態を診断するバッテリー診断装置であって、電圧、電流、及び温度の少なくとも1つを含むバッテリーの情報を取得する取得部と、取得部で取得されたバッテリーの情報に基づいて、バッテリーが第1状態に該当するか否かを判定し、第1状態の判定結果に基づいて、バッテリーに関する第1項目に異常があるか否かを判断する診断部と、を備え、診断部は、車両の駐車中において、診断を開始してから第1時間が経過した時点で、第1項目に異常があるか否かを判断する第1判断を実施し、第1判断において第1項目に異常がないと判断した場合、バッテリーの診断を終了し、第1判断において第1項目に異常があると判断した場合、バッテリーの診断を継続して、第1項目に異常があるか否かを第1時間が経過した時点より後に判断する第2判断を実施する。
【発明の効果】
【0009】
上記本開示のバッテリー診断装置によれば、バッテリーに異常が発生していない場合は、車両の駐車中の診断処理を第1判断だけで簡易化することができる。第1判断に必要な時間は第2判断に必要な時間よりも短く、バッテリー診断のためにバッテリー診断装置が起動する時間が短くなるため、バッテリー診断処理の省電力化を図ることができ、駐車中におけるバッテリー蓄電率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るバッテリー診断装置を含む電源システムの概略構成図
【
図2】バッテリー診断装置が駐車中に実行する制御のフローチャート
【
図3】仮診断の詳細な処理手順を示すフローチャート
【
図4】本診断の詳細な処理手順を示すフローチャート
【
図5】仮診断で異常なしと判断された場合のタイミングチャート例
【
図6】仮診断で異常ありかつ本診断で異常なしと判断された場合のタイミングチャート例
【
図7】仮診断で異常ありかつ本診断で異常ありと判断された場合のタイミングチャート例
【
図8】バッテリー診断装置が駐車中以外に実行する制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本開示のバッテリー診断装置は、駐車中にバッテリーの診断処理を行う場合、本診断に必要な時間よりも短い時間で済む仮診断を実施する。仮診断で異常がなければ本診断を行うことなく終了し、仮診断で異常があれば継続して本診断を実施する。以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
[構成]
図1は、本開示の一実施形態に係るバッテリー診断装置を含む電源システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に例示した電源システム1は、第1バッテリー10と、DCDCコンバーター20と、第2バッテリー30と、電池監視部31と、複数の車載機器40と、本実施形態のバッテリー診断装置50と、を備えている。この電源システム1は、動力源として内燃機関を使用する自動車や動力源として電動モーターを使用するハイブリッド自動車(HV)などの車両に搭載される。
【0013】
第1バッテリー10は、図示しない電動モーターやDCDCコンバーター20などに電力を供給するためのバッテリーである。この第1バッテリー10には、充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池が用いられる。
【0014】
DCDCコンバーター20は、第1バッテリー10と第2バッテリー30及び複数の車載機器40とを接続し、第1バッテリー10の電力を第2バッテリー30及び複数の車載機器40に供給する。電力供給の際、DCDCコンバーター20は、入力電圧である第1バッテリー10の電圧を所定の電圧に変換して出力することができる。
【0015】
第2バッテリー30は、DCDCコンバーター20から出力される電力を充電したり、自らの電力を放電したりするバッテリーである。この第2バッテリー30には、例えばリチウムイオン電池などの二次電池が用いられる。
【0016】
電池監視部31は、第2バッテリー30の状態を監視する。具体的には、電池監視部31は、図示しない電圧センサー、電流センサー、及び温度センサーを用いて、第2バッテリー30の電圧、電流、及び温度を検出する。電池監視部31は、検出した第2バッテリー30の情報(電圧、電流、温度の少なくとも1つを含む)をバッテリー診断装置50に伝える。
【0017】
複数の車載機器40は、DCDCコンバーター20から出力される電力や第2バッテリー30の電力で動作する、車両に搭載された様々な装置(補機)である。この複数の車載機器40には、一例としてモーターやソレノイドなどのアクチュエータ類、ヘッドランプや室内灯などの灯火類、ヒーターやクーラーなどの空調類、ステアリング、ブレーキ、及び自動運転や先進運転支援などのECU(Electronic Control Unit)類、などの装置が含まれる。
【0018】
バッテリー診断装置50は、電池監視部31から伝えられる第2バッテリー30の情報などに基づいて、第2バッテリー30に関する各種の状態に異常があるか否かを判断することを行う。また、バッテリー診断装置50は、動作モードとして、全ての機能を動作させる「ウェイクアップモード」と、一部の機能の動作を停止させてウェイクアップモードより消費電力を少なくさせる「スリープモード」とを、切り替えることが可能である。
【0019】
このバッテリー診断装置50は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及び入出力インターフェースなどを含んだECUとして構成され得る。本実施形態のバッテリー診断装置50は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが読み出して実行することによって、以下に説明する取得部51及び診断部52の各機能を実現する。
【0020】
取得部51は、電池監視部31から第2バッテリー30の情報を取得する。診断部52は、取得部51が取得した第2バッテリー30の情報に基づいて、第2バッテリー30の状態を診断するバッテリー診断制御を次のように実施する。
【0021】
なお、上記構成例では、第1バッテリー10を電動モーターなどに電力を供給するためのバッテリー、いわゆる駆動用バッテリーとし、第2バッテリー30を複数の車載機器40に電力を供給するためのバッテリー、いわゆる補機バッテリーとした。しかしながら、この構成以外にも、例えば第1バッテリー10を自動運転用機器に電力を供給するためのメインバッテリーとし、第2バッテリー30をこのメインバッテリーをバックアップするサブバッテリーとして構成することもできる。
【0022】
[制御]
図2乃至
図7をさらに参照して、本実施形態に係るバッテリー診断装置50が行う制御を説明する。
【0023】
(1)駐車中の制御
図2は、バッテリー診断装置50が車両の駐車中に実行するバッテリー診断制御の処理手順を示すフローチャートである。
図3は、
図2のステップS204で実行される仮診断の詳細なフローチャートである。
図4は、
図2のステップS208で実行される本診断の詳細なフローチャートである。
【0024】
図2に示すバッテリー診断制御は、車両が駐車状態に入ると開始される。車両が駐車状態にあるか否かは、イグニッションスイッチがオフ状態にあることなどで判断することができる。
【0025】
ステップS201:バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。バッテリー診断制御を開始する直前の動作モードがウェイクアップモードであった場合には、動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。バッテリー診断制御を開始する直前の動作モードがスリープモードであった場合には、動作モードとしてスリープモードが維持される。これにより、バッテリー診断装置50の一部の機能が停止して省電力化が図られる。動作モードがスリープモードに設定されると、ステップS202に処理が進む。
【0026】
ステップS202:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30を診断するタイミングになったか否かを判断する。このタイミングは、一例として、前回実施した診断から一定時間が経過した後、典型的にはステップS201で動作モードをスリープモードに設定してから一定の時間が経過した後とすることができる。一定の時間は、予め静的に設定されてもよいし、ユーザーによる車両の使用傾向(駐車時間の長さ、車載機器の利用状況など)に応じて動的に設定されてもよい。第2バッテリー30を診断するタイミングになった場合に(ステップS202、はい)、ステップS203に処理が進む。
【0027】
ステップS203:バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをウェイクアップモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがスリープモードからウェイクアップモードに遷移する。これにより、バッテリー診断装置50の全ての機能が動作することになる。動作モードがウェイクアップモードに設定されると、ステップS204に処理が進む。
【0028】
ステップS204:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目の全てについて仮診断を実施する。ここで、
図3を参照して、ステップS204で実施される仮診断を説明する。
【0029】
ステップS301:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目までの各項目についてそれぞれ設けられた第1カウンターから第nカウンターの全てのカウント値を、クリアして初期化する。その後、ステップS302に処理が進む。
【0030】
ステップS302:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する各種の状態を判定するタイミングになったか否かを判断する。このタイミングは、典型的にはバッテリー診断制御の開始から一定の間隔で設定され、例えばバッテリー診断装置50に用いられる動作クロックの周期(例えば、100ミリ秒)などに基づいて設定することができる。また、判定の対象となる第2バッテリー30に関する各種の状態としては、少なくとも第1状態が予め定められており、好ましくは第n状態までの複数の状態が予め定められている。第1状態から第n状態としては、第2バッテリー30を監視する各センサーの断線が疑われる状態、第2バッテリー30を制御する各構成へ供給される電源の短絡が疑われる状態、第2バッテリー30の出力(電圧、電流)が上限値を超えている状態、第2バッテリー30の出力(電圧、電流)が下限値を下回っている状態、及び第2バッテリー30の充放電パターンが規定パターンから大きく乖離している状態など、を例示できる。第2バッテリー30に関する各種の状態を判定するタイミングになった場合は(ステップS302、はい)、ステップS303に処理が進む。
【0031】
ステップS303:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1状態から第n状態までのうち、該当している状態を判定する。例えば、第2バッテリー30の情報として電圧センサーの電圧値を取得可能であれば、電圧センサーの電圧値が制御範囲を外れた電圧値を示していた場合に、電圧センサーの断線が疑われる状態に該当していると判定することができる。また、第2バッテリー30の情報として電流センサーの電流値を取得可能であれば、電流センサーの電流値が制御範囲を外れた電流値を示していた場合に、電流センサーの断線が疑われる状態に該当していると判定することができる。また、第2バッテリー30の情報として温度センサーの温度値を取得可能であれば、温度センサーの温度値が制御範囲を外れた温度値を示していた場合に、温度センサーの断線が疑われる状態に該当していると判定することができる。第2バッテリー30に関する状態の判定が終わると、ステップS304に処理が進む。
【0032】
ステップS304:バッテリー診断装置50は、該当していると判定された1つ又は複数の状態に対応する1つ又は複数の項目について、項目のカウンターのカウント値を1つインクリメントする。例えば、第1状態に該当していると判定された場合は、この第1状態に対応する第1項目のカウント値を1つインクリメントする。また、第2状態に該当していると判定された場合は、この第2状態に対応する第2項目のカウント値を1つインクリメントする。なお、状態と項目とは1対1で対応している必要はなく、1つの状態と複数の項目とが対応していてもよいし、複数の状態と1つの項目とが対応していてもよい。その後、ステップS305に処理が進む。
【0033】
ステップS305:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30の仮診断を開始してから第1時間が経過したか否かを判断する。この第1時間は、仮診断による判定の結果を確定する時間(以下「仮確定時間」という)であり、第2バッテリー30の電力消費を抑えることを目的として、後述する本診断による判定の結果を確定させるまでの時間よりも短い時間に設定されている。例えば、本確定時間が4000ミリ秒であった場合、仮確定時間を1000ミリ秒とすることができる。第2バッテリー30の仮診断を開始してから仮確定時間が経過していない場合は(ステップS305、いいえ)、ステップS302に処理が進む。一方、第2バッテリー30の仮診断を開始してから仮確定時間が経過した場合は(ステップS305、はい)、ステップS306に処理が進む。
【0034】
この仮診断では、仮診断を開始してから仮確定時間が経過するまでに、いずれの状態判定タイミングにおいても該当していると判定されなかった状態に対応する項目のカウント値は「0」となり、1つ以上の状態判定タイミングにおいて該当していると判定された状態に対応する項目のカウント値は「1以上」となる。例えば、上記ステップS303及びS304の処理が、仮診断の開始から100ミリ秒の周期で繰り返され、1000ミリ秒(仮確定時間)の時点で終了する場合は、第1状態から第n状態が発生したタイミングに応じて、第1項目から第n項目の各カウント値が0〜10のいずれかの値を取ることになる。
【0035】
ステップS306:バッテリー診断装置50は、仮診断による判定の結果、第1項目から第n項目のうち1つ以上の項目でカウント値のアップがあった、すなわちカウント値が1以上の項目があったか否かを判断する。1つ以上の項目でカウント値のアップがあった場合は(ステップS306、はい)、ステップS307に処理が進む。一方、全ての項目でカウント値のアップがなかった場合は(ステップS306、いいえ)、ステップS308に処理が進む。
【0036】
ステップS307:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30において、カウント値のアップがあった1つ以上の項目に異常があると判定する。これにより、仮診断が終了する。
【0037】
ステップS308:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30において、第1項目から第n項目の全てに異常がなく正常であると判定する。これにより、仮診断が終了する。
【0038】
この仮診断では、仮診断を開始してから仮確定時間が経過するまでのいずれかの状態判定タイミングにおいて、少なくとも1つの状態で1度でも該当していると判定された場合には、第2バッテリー30におけるこの状態に対応する項目が異常であると判断する。
【0039】
再び
図2を参照して、バッテリー診断制御の続きを説明する。
【0040】
ステップS205:バッテリー診断装置50は、仮診断の結果、第1項目から第n項目のうち1つ以上の項目で異常があると判定されたか否かを判断する。1つ以上の項目で異常があると判定された場合は(ステップS205、はい)、ステップS207に処理が進む。一方、全ての項目で異常がないと判断された場合は(ステップS205、いいえ)、ステップS206に処理が進む。
【0041】
ステップS206:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がないと判断して(第1判断)、本診断を実施することなくバッテリー診断制御を終了する。その後、ステップS201に処理が進み、バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。
【0042】
図5は、仮診断において第2バッテリー30に異常がないと判断された各種状態の一例を示すタイミングチャートである。
図5の例では、仮診断を開始してから仮確定時間が経過するまでの間、第2バッテリー30に関する第1項目、第2項目、及び第3項目のいずれもが、一度も異常を示さずに正常であったため、第2バッテリー30に異常がないと判断して仮診断が終了する。
【0043】
ステップS207:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がある可能性があると判断し(第1判断)、仮診断を本診断に切り替えて第2バッテリー30の診断制御を継続することを決定する。
【0044】
ステップS208:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目のうち診断対象となる項目(以下「対象項目」という)について本診断を実施する。対象項目は、典型的には、上記ステップS204の仮診断においてカウント値のアップがあった項目とすることができる。また、上記ステップS204の仮診断においてカウント値のアップがあった主項目に加え、この主項目に対応する状態に自項目に対応する状態が依存する副項目を、対象項目としてもよい。例えば、電圧センサーの断線が疑わしい場合、検出される電圧値は信頼性がないため、電圧センサーの断線の有無が確定されるまで検出電圧の判断を保留すべきである。よって、この場合には、主項目を電圧センサーの断線が疑われる状態とし、副項目を第2バッテリー30の出力電圧の状態とすることができる。なお、第1項目から第n項目の全てを対象項目としても構わない。ここで、
図4を参照して、ステップS208で実施される本診断を説明する。
【0045】
ステップS401:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する各種の状態を判定するタイミングになったか否かを判断する。このタイミングは、上記ステップS302のタイミングと同じであり、典型的にはバッテリー診断制御の開始から一定の間隔で設定され、例えばバッテリー診断装置50に用いられる動作クロックの周期(例えば、100ミリ秒)などに基づいて設定することができる。第2バッテリー30に関する各種の状態を判定するタイミングになった場合は(ステップS401、はい)、ステップS402に処理が進む。
【0046】
ステップS402:バッテリー診断装置50は、対象項目に対応する状態が該当しているか否かを判定する。対象項目が複数ある場合には、各対象項目について対応する状態が該当しているか否かが判定される。少なくとも1つの対象項目に対応する状態が該当していると判定された場合は(ステップS402、はい)、ステップS403に処理が進む。一方、いずれの対象項目に対応する状態も該当していないと判定された場合は(ステップS402、いいえ)、ステップS406に処理が進む。
【0047】
ステップS403:バッテリー診断装置50は、該当していると判定された1つ又は複数の状態に対応する1つ又は複数の対象項目について、対象項目のカウンターのカウント値を1つインクリメントする。この本診断のカウント値は、仮診断のカウント値に加算される。その後、ステップS404に処理が進む。
【0048】
ステップS404:バッテリー診断装置50は、該当していると判定された1つ又は複数の状態が、バッテリー診断制御の開始後かつ仮確定時間(第1時間)が経過する以前から続けて第2時間継続しているか否かを判断する。この第2時間は、本診断による判定の結果を確定する時間(以下「本確定時間」という)である。本確定時間は、全ての対象項目について一律同じ時間が設定されてもよいし、対象項目ごとに異なる時間が設定されてもよい。また、本確定時間の継続は、カウンターのカウント値で判断することができるが、実際の時間の長さで判断してもよい。該当していると判定された1つ又は複数の状態が本確定時間継続している場合は(ステップS404、はい)、ステップS405に処理が進む。一方、該当していると判定された1つ又は複数の状態が本確定時間継続していない場合は(ステップS404、いいえ)、ステップS401に処理が進む。
【0049】
ステップS405:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30において、本確定時間継続している状態に対応する対象項目に異常があると判定する。これにより、本診断が終了する。
【0050】
ステップS406:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30において、対象項目の全てに異常がなく正常であると判定する。これにより、本診断が終了する。
【0051】
この本診断では、仮診断の段階で該当していると判定された状態に対応する項目などに診断対象を絞り、その状態が仮診断から本診断にかけて本確定時間(第2時間)ずっと継続している場合には、この状態に対応する項目(対象項目)を異常であると判断する。
【0052】
再び
図2を参照して、バッテリー診断制御の続きを説明する。
【0053】
ステップS209:バッテリー診断装置50は、本診断の結果、対象項目のうち1つ以上の対象項目で異常があると判定されたか否かを判断する。1つ以上の対象項目で異常があると判定された場合は(ステップS209、はい)、ステップS211に処理が進む。一方、全ての対象項目で異常ないと判断された場合は(ステップS209、いいえ)、ステップS210に処理が進む。
【0054】
ステップS210:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がないと判断して(第2判断)、バッテリー診断制御を終了する。また、バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目までの各項目についてそれぞれ設けられた第1カウンターから第nカウンターの全てのカウント値を、クリアして初期化する。その後、ステップS201に処理が進み、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。
【0055】
図6は、仮診断において第2バッテリー30に異常があると判断され、かつ、本診断において第2バッテリー30に異常がないと判断された、各種状態の一例を示すタイミングチャートである。
図6の例では、仮診断を開始してから仮確定時間が経過するまでの間に、第2バッテリー30に関する第2項目及び第3項目に異常が示されたため本診断に移ったが、本診断において第2項目も第3項目も本確定時間が経過する前に正常に戻ったため、第2バッテリー30に異常がないと判断して本診断が終了する。
【0056】
ステップS211:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常があると判断して(第2判断)、バッテリー診断制御を終了する。なお、この判断の場合、バッテリー診断装置50は、必要に応じて電源システム1の自己診断(ダイアグ)を実施して異常ログを記録してもよいし、第2バッテリー30を電源システム1から切り離すなどの処置を行ってもよいし、車両の乗員に対して表示や音声などを介して第2バッテリー30に異常があることを通知するようにしてもよい。また、この判断の場合、第2バッテリー30の異常が、バッテリー診断装置50をスリープモードに設定することが可能な内容であれば、バッテリー診断装置50の動作モードをウェイクアップモードからスリープモードに遷移させてもよい。
【0057】
図7は、仮診断において第2バッテリー30に異常があると判断され、かつ、本診断において第2バッテリー30に異常があると判断された、各種状態の一例を示すタイミングチャートである。
図7の例では、仮診断を開始してから仮確定時間が経過するまでの間に、第2バッテリー30に関する第2項目及び第3項目に異常が示されたため本診断に移り、本診断において第2項目は本確定時間が経過する前に正常に戻ったが、第3項目は本確定時間継続して異常を示していたため、第2バッテリー30に異常があると判断して本診断が終了する。
【0058】
上記実施形態では、最も長い本確定時間に合わせて本診断が終了する場合を説明した。すなわち、
図6及び
図7に示す例では、第3項目の本確定時間に合わせて本診断が終了する。しかしながら、本診断において第2バッテリー30に異常がないと判断されるような場合には、全ての項目が異常ではなくなった時点で直ちに本診断を終了させてもよい。例えば
図6では、第3項目の本確定時間の経過を待つことなく、第3項目が正常になった時点で本診断を終了させる。これにより、バッテリー診断装置50を素早くスリープモードに移行することができるため、低電力化が図れる。
【0059】
なお、本診断において異常を示していた項目が、ノイズなどの影響によって一時的に正常に戻った後、再び異常を示すような場合もあり得る。このような場合の対策としては、項目が正常に戻った後もその項目の本確定時間の経過を待ってから本診断を終了させてもよいし、項目が正常に戻った後に所定のタイムアウト時間で本診断を終了させてもよい。タイムアウト時間は、本確定時間までの残り時間よりも短くすることが考えられる。
【0060】
また、本実施形態の仮診断は、一定の周期で(第2バッテリー30を診断するタイミングが来るたびに)繰り返し実施される。そこで、バッテリー診断装置50は、各タイミングで実施される仮診断の結果を累積的に記録しておき、一定回数連続して仮判断において異常があると判断された項目を、直ちに異常であると判断するようにしてもよい。本診断の判断に加えてこのような仮診断での判断をさらに行うことで、異常診断の精度を向上させることができる。
【0061】
(2)駐車中以外の制御
図8は、バッテリー診断装置50が車両の駐車中以外に実行するバッテリー診断制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0062】
図8に示すバッテリー診断制御は、車両が駐車状態ではなくなると開始される。車両が駐車状態にあるか否かは、イグニッションスイッチがオフ状態にあることなどで判断することができる。
【0063】
ステップS801:バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。バッテリー診断制御を開始する直前の動作モードがウェイクアップモードであった場合には、動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。バッテリー診断制御を開始する直前の動作モードがスリープモードであった場合には、動作モードとしてスリープモードが維持される。これにより、バッテリー診断装置50の一部の機能が停止して省電力化が図られる。動作モードがスリープモードに設定されると、ステップS802に処理が進む。
【0064】
ステップS802:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30を診断するタイミングになったか否かを判断する。このタイミングは、一例として、前回実施した診断から一定時間が経過した後、典型的にはステップS801で動作モードをスリープモードに設定してから一定の時間が経過した後とすることができる。第2バッテリー30を診断するタイミングになった場合に(ステップS802、はい)、ステップS803に処理が進む。
【0065】
ステップS803:バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをウェイクアップモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがスリープモードからウェイクアップモードに遷移する。これにより、バッテリー診断装置50の全ての機能が動作することになる。動作モードがウェイクアップモードに設定されると、ステップS804に処理が進む。
【0066】
ステップS804:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目の全てについて本診断を実施する。ここで実施される本診断は、
図4に準ずる。
図4において、診断対象となる項目は第1項目から第n項目の全ての項目となる。
【0067】
ステップS805:バッテリー診断装置50は、本診断の結果、第1項目から第n項目のうち1つ以上の項目で異常があると判定されたか否かを判断する。1つ以上の項目で異常があると判定された場合は(ステップS805、はい)、ステップS807に処理が進む。一方、全ての項目で異常がないと判断された場合は(ステップS805、いいえ)、ステップS806に処理が進む。
【0068】
ステップS806:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がないと判断して(第3判断)、バッテリー診断制御を終了する。また、バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目までの各項目についてそれぞれ設けられた第1カウンターから第nカウンターの全てのカウント値を、クリアして初期化する。その後、ステップS801に処理が進み、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。
【0069】
ステップS807:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常があると判断して(第3判断)、バッテリー診断制御を終了する。なお、この判断の場合、バッテリー診断装置50は、必要に応じて電源システム1の自己診断(ダイアグ)を実施して異常ログを記録してもよいし、第2バッテリー30を電源システム1から切り離すなどの処置を行ってもよいし、車両の乗員に対して表示や音声などを介して第2バッテリー30に異常があることを通知するようにしてもよい。また、この判断の場合、第2バッテリー30の異常が、バッテリー診断装置50をスリープモードに設定することが可能な内容であれば、バッテリー診断装置50の動作モードをウェイクアップモードからスリープモードに遷移させてもよい。
【0070】
[作用・効果]
以上のように、本開示の一実施形態に係るバッテリー診断装置では、車両の駐車中にバッテリーの状態を診断する場合、診断を開始してから仮確定時間が経過した段階でバッテリーに関する項目に異常があるか否かを判断する「仮診断」を実施する。そして、仮診断において項目に異常があると判断した場合には、さらに時間をかけて「本診断」を実施する。この制御によって、バッテリーに異常が発生していない場合は、車両の駐車中の診断処理を仮診断だけで簡易化することができる。仮診断に必要な時間は本診断に必要な時間よりも短く、バッテリー診断のためにバッテリー診断装置が起動する(ウェイクアップモードになる)時間が短くなる。よって、バッテリー診断処理の省電力化を図ることができ、駐車中におけるバッテリー蓄電率の低下を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態に係るバッテリー診断装置では、バッテリーに関する項目が複数ある場合には、複数の項目について並行して診断を実施する。これによって、バッテリー診断を効率よく実施することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るバッテリー診断装置では、仮診断においてバッテリーに関する項目(主項目)に異常があると判断した場合、その主項目に加えて、その主項目に対応する状態に自項目に対応する状態が依存する副項目も対象として本診断を実施する。これによって、仮診断において主項目が異常と判断された場合には、仮判断における副項目の正常/異常の判定が保留されるため、誤った副項目の判断が行われることを防ぐことができる。
【0073】
さらに、本実施形態に係るバッテリー診断装置では、一定の周期で実施されるバッテリーの状態診断の結果を累積的に記録しておき、一定回数連続して仮判断において異常があると判断された項目を、異常であるとさらに判断する。これによって、本診断によるバッテリーの異常判断だけでなく、仮診断においてもバッテリーの異常を判断することができるため、異常診断の精度を向上させることができる。
【0074】
以上、本開示技術の一実施形態を説明したが、本開示は、バッテリー診断装置だけでなく、プロセッサとメモリを備えたバッテリー診断装置が実行するバッテリー診断方法、その方法の制御プログラム、その制御プログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な非一時的な記録媒体、あるいはバッテリー診断装置を含む電源システムを搭載した車両などとして捉えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、車両に搭載されたバッテリーの状態を診断するバッテリー診断装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電源システム
10 第1バッテリー
20 DCDCコンバーター
30 第2バッテリー
31 電池監視部
40 車載機器
50 バッテリー診断装置
51 取得部
52 診断部
【手続補正書】
【提出日】2021年1月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
図2に示すバッテリー診断制御は、車両が駐車状態に入ると開始される。車両が駐車状態にあるか否かは、イグニッションスイッチがオフ状態
(IG−OFF)にあることなどで判断することができる。
この図2のバッテリー診断制御は、IG−OFF中に繰り返し実施される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
ステップS206:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がないと判断
する(第1判断
)。その後、ステップS
212に処理が進
む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ステップS208:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目のうち診断対象となる項目(以下「対象項目」という)について本診断を実施する。対象項目は、典型的には、上記ステップS204の仮診断においてカウント値のアップがあった項目とすることができる。また、上記ステップS204の仮診断においてカウント値のアップがあった主項目に加え、この主項目に対応する状態に自項目に対応する状態が依存する副項目を、対象項目としてもよい。例えば、電圧センサーの断線が疑わしい場合、検出される電圧値は信頼性がないため、電圧センサーの断線の有無が確定されるまで検出電圧の判断を保留すべきである。よって、この場合には、主項目を電圧センサー
の状態とし、副項目を第2バッテリー30の出力電圧の状態とすることができる。
主項目の電圧センサーが異常と判定される状態の一例は、電圧センサーの断線が疑われる状態である。なお、第1項目から第n項目の全てを対象項目としても構わない。ここで、
図4を参照して、ステップS208で実施される本診断を説明する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
ステップS210:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がないと判断
する(第2判断
)。また、バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目までの各項目についてそれぞれ設けられた第1カウンターから第nカウンターの全てのカウント値を、クリアして初期化する。その後、ステップS
212に処理が進
む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
ステップS211:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常があると判断して(第2判断)、バッテリー診断制御を終了する。なお、この判断の場合、バッテリー診断装置50は、必要に応じて電源システム1の自己診断(ダイアグ)を実施して異常ログを記録してもよいし、第2バッテリー30を電源システム1から切り離すなどの処置を行ってもよいし、車両の乗員に対して表示や音声などを介して第2バッテリー30に異常があることを通知するようにしてもよい。また、この判断の場合、第2バッテリー30の異常が、バッテリー診断装置50をスリープモードに設定することが可能な内容であれば、バッテリー診断装置50の動作モードをウェイクアップモードからスリープモードに遷移させてもよい。
ステップS212:バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。その後、バッテリー診断装置50は、本バッテリー診断制御を終了する。なお、この場合、バッテリー診断装置50は、上述のとおり定期的にバッテリー診断制御を繰り返す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
図8に示すバッテリー診断制御は、車両が駐車状態ではなくなると開始される。車両が駐車状態にあるか否かは、イグニッションスイッチがオフ状態
(IG−OFF)にあることなどで判断することができる。
この図8のバッテリー診断制御は、IG−OFF中に繰り返し実施される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
ステップS806:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常がないと判断
する(第3判断
)。また、バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に関する第1項目から第n項目までの各項目についてそれぞれ設けられた第1カウンターから第nカウンターの全てのカウント値を、クリアして初期化する。その後、ステップS
808に処理が進
む。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
ステップS807:バッテリー診断装置50は、第2バッテリー30に異常があると判断して(第3判断)、バッテリー診断制御を終了する。なお、この判断の場合、バッテリー診断装置50は、必要に応じて電源システム1の自己診断(ダイアグ)を実施して異常ログを記録してもよいし、第2バッテリー30を電源システム1から切り離すなどの処置を行ってもよいし、車両の乗員に対して表示や音声などを介して第2バッテリー30に異常があることを通知するようにしてもよい。また、この判断の場合、第2バッテリー30の異常が、バッテリー診断装置50をスリープモードに設定することが可能な内容であれば、バッテリー診断装置50の動作モードをウェイクアップモードからスリープモードに遷移させてもよい。
ステップS808:バッテリー診断装置50は、自装置の動作モードをスリープモードに設定する。すなわち、バッテリー診断装置50の動作モードがウェイクアップモードからスリープモードに遷移する。その後、バッテリー診断装置50は、本バッテリー診断制御を終了する。なお、この場合、バッテリー診断装置50は、上述のとおり定期的にバッテリー診断制御を繰り返す。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】