(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-166497(P2021-166497A)
(43)【公開日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】豆腐製造用の豆乳分離装置
(51)【国際特許分類】
A23L 11/45 20210101AFI20210924BHJP
【FI】
A23L11/00 104D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-71413(P2020-71413)
(22)【出願日】2020年4月13日
(71)【出願人】
【識別番号】594075260
【氏名又は名称】株式会社川西
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】川西 聡一郎
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB02
4B020LG01
4B020LP12
4B020LP26
4B020LQ05
(57)【要約】
【課題】スクリーンの目詰まりを簡単に解消させることができ、また、目詰まりによるスクリーンの閉塞を未然に回避することができる豆腐製造用の豆乳分離装置を提供する。
【解決手段】移送部4が、豆乳受けタンク41、吸引ポンプ42、豆乳移送管43を有し、豆乳移送管43が、回収室26から豆乳受けタンク41へ豆乳を流下させる主流路と、豆乳受けタンク41から回収室26へ豆乳を逆流させる副流路によって構成され、主流路と副流路の接続位置に配置された流路切換弁44a〜44cにより、主流路による通常運転と副流路による逆流運転とを切り換えることができ、逆流運転時には、吸引ポンプ42により、豆乳を豆乳受けタンク41から副流路を介して回収室26へ逆流させるとともに、回収室26の豆乳をスクリーン22の反対側へ逆流させてスクリーン22の濾過面をリフレッシュすることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煮呉から豆乳を分離する分離機本体と、分離機本体によって分離された豆乳を次工程側へ移送する移送部とを有し、
分離機本体は、スクリーンと、回収室とを有し、スクリーンを通過して煮呉から分離された豆乳を回収室において回収するように構成され、
移送部は、豆乳受けタンクと、吸引ポンプと、豆乳移送管とを有し、
豆乳移送管が、回収室から豆乳受けタンクへ豆乳を流下させる主流路と、豆乳受けタンクから回収室へ豆乳を逆流させる副流路とによって構成され、
主流路と副流路の接続位置に配置された流路切換弁により、主流路による通常運転と、副流路による逆流運転とを切り換えることができるように構成され、
通常運転時において、吸引ポンプにより、豆乳を回収室から主流路を介して豆乳受けタンクへ流下させるとともに、回収室内を減圧して豆乳の分離を促進するように構成され、
逆流運転時において、吸引ポンプにより、豆乳を豆乳受けタンクから副流路を介して回収室へ逆流させるとともに、回収室の豆乳をスクリーンの反対側へ逆流させてスクリーンの濾過面をリフレッシュするように構成されていることを特徴とする豆腐製造用の豆乳分離装置。
【請求項2】
分離機本体に煮呉を供給する供給部を更に有し、
供給部は、煮呉受けタンクと、供給ポンプと、煮呉供給管とを有し、
供給ポンプによって、煮呉を、煮呉受けタンクから煮呉供給管を介して分離機本体へ供給できるように構成され、
煮呉供給管の供給ポンプと分離機本体との間の位置に流路切換弁が配置され、この流路切換弁と、煮呉受けタンクの流入側とが接続され、
逆流運転時において、供給部の流路切換弁を、分離機本体と煮呉受けタンクの流入側が連通する方向に設定することにより、逆流した豆乳に対応する量の煮呉が、分離機本体側から煮呉受けタンクへ戻るように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の豆腐製造用の豆乳分離装置。
【請求項3】
制御手段による制御下において、規定時間毎に逆流運転が自動的に実行されるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の豆腐製造用の豆乳分離装置。
【請求項4】
煮呉から豆乳を分離する分離機本体と、分離機本体によって分離された豆乳を次工程側へ移送する移送部とを有し、
分離機本体は、スクリーンと、回収室とを有し、スクリーンを通過して煮呉から分離された豆乳を回収室において回収するように構成され、
移送部は、豆乳受けタンクと、吸引ポンプと、豆乳移送管とを有し、
吸引ポンプとして、逆回転可能なものが採用され、
通常運転時において、吸引ポンプを正回転させることにより、豆乳を回収室から豆乳受けタンクへ流下させるとともに、回収室内を減圧して豆乳の分離を促進するように構成され、
逆流運転時において、吸引ポンプを逆回転させることにより、豆乳を豆乳受けタンクから回収室へ逆流させるとともに、回収室の豆乳をスクリーンの反対側へ逆流させてスクリーンの濾過面をリフレッシュするように構成されていることを特徴とする豆腐製造用の豆乳分離装置。
【請求項5】
分離機本体に煮呉を供給する供給部を更に有し、
供給部は、煮呉受けタンクと、供給ポンプと、煮呉供給管とを有し、
供給ポンプによって、煮呉を、煮呉受けタンクから煮呉供給管を介して分離機本体へ供給できるように構成され、
煮呉供給管の供給ポンプと分離機本体との間の位置に流路切換弁が配置され、この流路切換弁と、煮呉受けタンクの流入側とが接続され、
逆流運転時において、供給部の流路切換弁を、分離機本体と煮呉受けタンクの流入側が連通する方向に設定することにより、逆流した豆乳に対応する量の煮呉が、分離機本体側から煮呉受けタンクへ戻るように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の豆腐製造用の豆乳分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆腐の製造工程において、煮呉を豆乳とおからとに分離する装置に関し、特に、スクリーンの目詰まりを簡単に解消させ、或いは、回避することができる豆腐製造用の豆乳分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐の製造工程には、煮呉(水に浸漬した大豆を磨砕して得られる生呉を加熱したもの)を豆乳とおからとに分離する工程がある。この分離工程においては、例えば、
図3に示すような分離装置51が使用されている。
図3に示す分離装置51は、供給された煮呉を豆乳とおからとに分離する分離機本体52と、分離機本体52に煮呉を供給する供給部53と、分離機本体52によって分離された豆乳を回収して次工程側へ移送する移送部54とによって構成されている。
【0003】
図3に示す分離装置51による豆乳の分離工程は、次のように実行される。まず、供給ポンプ32を稼働させて、煮呉受けタンク31内に収容された煮呉を、煮呉供給管33を介して分離機本体52へ定量的に供給し、分離機本体52の後端部24(
図3において左側)に設けられた導入口から、スクリーン22の内側の領域へ導入する。導入された煮呉は、回転するスクリュー23によって先端部25(
図3において右側)へ向かって搬送され、次第に増大する圧縮力によって搾られて、豆乳が煮呉から分離する。分離した豆乳は、スクリーン22を通過して、回収室26(外側のケーシング21と、その内側のスクリーン22との間の空間)から豆乳移送管43を介して豆乳受けタンク41へ流下する。一方、煮呉中の固形分は、先端部25から、おからとして機外へ排出される。
【0004】
尚、
図3に示す分離装置51においては、移送部54(豆乳移送管43の経路上)に吸引ポンプ42が配置されており、回収室26から強制的に豆乳を排出させるとともに、回収室26内を減圧することにより、スクリーン22の内側(常圧又は正圧)から外側(回収室26内)(負圧)への豆乳の通過(分離)を促進し、煮呉から豆乳を効率良く分離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−103237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スクリーンを用いた固液分離装置において分離工程を連続的に実行すると、固形分がスクリーンの目に詰まって閉塞してしまうことが知られており、
図3に示すような豆腐製造用の分離装置51においても、5時間程度連続して豆乳の分離工程を実行すると、固形分(おから)がスクリーン22の目に詰まって閉塞し、分離効率が著しく低下してしまうことになる。
【0007】
スクリーン22の目詰まりが発生した場合、分離装置51を一旦停止させて、スクリーン22の洗浄作業を行う必要があるが、この洗浄作業には、1時間程度の時間がかかり、当然のことながら、その間は分離工程を実行することができず、その分だけ処理量が減少することになる。また、洗浄作業には、苛性ソーダ等の薬剤が使用されており、洗浄作業を繰り返し実行すると、スクリーン22の劣化、消耗が進行して短命化することになり、結果的にランニングコストが増加するという問題がある。
【0008】
また、
図3に示す分離装置51において、吸引ポンプ42を稼働させて回収室26内を減圧した状態で分離工程を連続的に実行すると、減圧せずに分離工程を実行する場合と比較して、目詰まりの発生頻度、及び、必要となる洗浄作業の回数が増加してしまうことになり、上記のような問題がより顕著となる。
【0009】
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、スクリーンの目詰まりを簡単に解消させることができ、また、目詰まりによるスクリーンの閉塞を未然に回避することができる豆腐製造用の豆乳分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る豆腐製造用の豆乳分離装置は、煮呉から豆乳を分離する分離機本体と、分離機本体によって分離された豆乳を次工程側へ移送する移送部とを有し、分離機本体は、スクリーンと、回収室とを有し、スクリーンを通過して煮呉から分離された豆乳を回収室において回収するように構成され、移送部は、豆乳受けタンクと、吸引ポンプと、豆乳移送管とを有し、豆乳移送管が、回収室から豆乳受けタンクへ豆乳を流下させる主流路と、豆乳受けタンクから回収室へ豆乳を逆流させる副流路とによって構成され、主流路と副流路の接続位置に配置された流路切換弁により、主流路による通常運転と、副流路による逆流運転とを切り換えることができるように構成され、通常運転時において、吸引ポンプにより、豆乳を回収室から主流路を介して豆乳受けタンクへ流下させるとともに、回収室内を減圧して豆乳の分離を促進するように構成され、逆流運転時において、吸引ポンプにより、豆乳を豆乳受けタンクから副流路を介して回収室へ逆流させるとともに、回収室の豆乳をスクリーンの反対側へ逆流させてスクリーンの濾過面をリフレッシュするように構成されていることを特徴としている。
【0011】
尚、この豆乳分離装置は、分離機本体に煮呉を供給する供給部を更に有していることが好ましく、供給部は、煮呉受けタンクと、供給ポンプと、煮呉供給管とを有し、供給ポンプによって、煮呉を、煮呉受けタンクから煮呉供給管を介して分離機本体へ供給できるように構成され、煮呉供給管の供給ポンプと分離機本体との間の位置に流路切換弁が配置され、この流路切換弁と、煮呉受けタンクの流入側とが接続され、逆流運転時において、供給部の流路切換弁を、分離機本体と煮呉受けタンクの流入側が連通する方向に設定することにより、逆流した豆乳に対応する量の煮呉が、分離機本体側から煮呉受けタンクへ戻るように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、制御手段による制御下において、規定時間毎に逆流運転が自動的に実行されるように構成されていることが更に好ましい。
【0013】
尚、移送部の吸引ポンプとして、逆回転可能なものを採用することもでき、この場合、通常運転時において、吸引ポンプを正回転させることにより、豆乳を回収室から豆乳受けタンクへ流下させるとともに、回収室内を減圧して豆乳の分離を促進するように構成し、逆流運転時において、吸引ポンプを逆回転させることにより、豆乳を豆乳受けタンクから回収室へ逆流させるとともに、回収室の豆乳をスクリーンの反対側へ逆流させてスクリーンの濾過面をリフレッシュするように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る豆腐製造用の豆乳分離装置は、煮呉中の固形分(おから)がスクリーンの目に詰まって閉塞し、分離効率が低下してしまった場合において、煮呉から分離されて一旦スクリーンを通過した豆乳を、スクリーンの反対側へ逆流させるオペレーション(逆流運転)を実行することができ、スクリーンの目詰まりを簡単に解消させることができる。
【0015】
また、スクリーンの閉塞後ではなく、目詰まりの初期の段階で、或いは、規定時間毎に逆流運転を実行することにより、スクリーンの目詰まりによる閉塞を未然に回避し、分離効率を低下させることなく、分離工程を長時間にわたって継続的に(洗浄作業を実施せずに)実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る豆腐製造用の豆乳分離装置1の構成を模式的に示す図であって、通常運転時の流路切換弁34,44a〜44cの状態(開閉方向)を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る豆腐製造用の豆乳分離装置1の構成を模式的に示す図であって、逆流運転時の流路切換弁34,44a〜44cの状態(開閉方向)を示す図である。
【
図3】
図3は、従来の豆腐製造用の豆乳分離装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に沿って、本発明に係る豆腐製造用の豆乳分離装置の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る豆乳分離装置1の構成を模式的に示す図であり、この分離装置1は、供給された煮呉を豆乳とおからとに分離する分離機本体2と、分離機本体2に煮呉を供給する供給部3と、分離機本体2によって分離された豆乳を次工程側へ移送する移送部4とによって構成されている。
【0018】
分離機本体2は、ケーシング21と、その内側に配置された円錐状又は円筒状のスクリーン22(ワイヤメッシュ或いはパンチングメタル等を円錐状又は円筒状に形成したもの)と、スクリーン22の内側に配置され、モーター(図示せず)の駆動力によって回転するスクリュー23と、スクリーン22を通過して煮呉から分離された豆乳を回収する回収室26とによって構成されている。また、供給部3は、煮呉受けタンク31と、供給ポンプ32と、煮呉供給管33とによって構成され、移送部4は、豆乳受けタンク41と、吸引ポンプ42と、豆乳移送管43とによって構成されている。
【0019】
図1に示す分離装置1を用いて煮呉の分離工程を実施する場合、まず、煮呉受けタンク31に煮呉が収容された状態で供給ポンプ32を稼働させて、煮呉を、煮呉受けタンク31から煮呉供給管33を介して分離機本体2へ定量的に供給する。分離機本体2に供給された煮呉は、分離機本体2の後端部24(
図1において左側)の導入口からスクリーン22の内側に導入され、回転するスクリュー23によって先端部25(
図1において右側)へ向かって搬送される。
【0020】
スクリーン22の目開きは、煮呉中の固形分の粒径よりも小さく設定されているため、導入された煮呉中の固形分は基本的にスクリーン22を通過することができず、液体(豆乳)のみがスクリーン22を通過する。このため、スクリーン22内において煮呉が後端部24側から先端部25側へ向かって進行する際に、煮呉から分離された豆乳がスクリーン22を漸次通過し、進行度に応じて煮呉中の固形分濃度が次第に上昇していくことになる。
【0021】
また、この分離装置1においては、搬送される煮呉が先端部25へ近づくにつれて、より大きな圧縮力が作用するように構成されており、ある程度まで固形分濃度が上昇した煮呉が、先端部25に近い領域において圧縮され、豆乳が搾り出されてスクリーン22を通過することになり、その結果、含水率が十分に低下したおからを、先端部25から機外へ排出できるようになっている。
【0022】
一方、スクリーン22を通過した豆乳は、回収室26(スクリーン22の外側の空間)において回収され、豆乳移送管43を介して豆乳受けタンク41に流入する。
【0023】
尚、本実施形態においては、
図1に示すように、移送部4(豆乳移送管43の経路上)に吸引ポンプ42が配置されており、回収室26から豆乳を吸引して強制的に排出させるとともに、回収室26内を減圧する(スクリーン22の内側の領域よりも低い圧力とする)ことにより、スクリーン22の内側(常圧又は正圧)から外側(負圧)(回収室26内)への豆乳の通過が促進され、煮呉から効率良く豆乳を分離することができる。
【0024】
上述したように、この種の分離装置においては、スクリーンの目詰まりが生じやすく、従来、そのような目詰まりを解消するために、苛性ソーダ等の薬剤を用いた洗浄作業(所要時間:1時間程度)が必要となる結果、処理量が減少し、ランニングコストが増加する等の問題があり、また、吸引ポンプを稼働させて、回収室を減圧した状態で分離工程を連続的に実行すると、減圧せずに分離工程を実行する場合と比較して、目詰まりの発生頻度、及び、必要となる洗浄作業の回数が増加してしまうという問題があったが、本実施形態の分離装置1においては、煮呉から分離されて一旦スクリーン22を通過した豆乳を、状況に応じてスクリーン22の反対側へ(スクリーン22の外側の回収室26から、スクリーン22の内側(スクリュー23側)の領域へ)逆流させるオペレーションを実行することができ、これにより、スクリーン22の濾過面をリフレッシュすることができ、目詰まりを簡単に解消させることができる。
【0025】
この点について具体的に説明すると、
図1に示すように、本実施形態の分離装置1においては、移送部4において、分離機本体2と吸引ポンプ42とが配管A1,A2によって接続され、吸引ポンプ42と豆乳受けタンク41(流入側)とが配管B1,B2によって接続され、更に、豆乳受けタンク41(排出側)と次工程側とが配管C1,C2によって接続され、これらによって豆乳移送管43の主流路(回収室26から豆乳受けタンク41乃至は次工程側へ、吸引ポンプ42を介して豆乳を流下させる流路)が構成されている。
【0026】
また、配管C1,C2の接続位置と配管A1,A2の接続位置とが配管Dによって接続され、配管B1,B2の接続位置と分離機本体2の回収室26とが配管Eによって接続されており、これらの配管D,E、及び、配管A2,B1,C1によって豆乳移送管43の副流路(豆乳受けタンク41(排出側)から回収室26へ、吸引ポンプ42を介して豆乳を逆流させる流路)が構成されている。
【0027】
更に、主流路と副流路の接続位置、即ち、配管A1,A2,Dの接続位置、配管B1,B2,Eの接続位置、及び、配管C1,C2,Dの接続位置に、それぞれ流路切換弁44a〜44c(三方弁)が配置されている。
【0028】
一方、供給部3においても、煮呉供給管33の途上(供給ポンプ32と分離機本体2との間の位置)に流路切換弁34が配置され、この流路切換弁34と、煮呉受けタンク31(流入側)とが配管Fによって接続されている。
【0029】
そして、流路切換弁34,44a〜44cの開閉方向(流入/流出方向)を適切に設定し、或いは、切り換えることにより、主流路による通常運転(豆乳の分離工程)を行うか、副流路による逆流運転(豆乳の逆流による濾過面のリフレッシュ)を行うかを選択することができる。
【0030】
例えば、
図1に示すように、供給部3の流路切換弁34を、供給ポンプ32と分離機本体2とが連通する方向に設定するとともに、移送部4において、流路切換弁44aを、配管A1,A2が連通する方向に設定し、更に、流路切換弁44bを、配管B1,B2が連通する方向に設定し、この状態で供給ポンプ32及び吸引ポンプ42をそれぞれ稼働させることにより、煮呉受けタンク31内の煮呉を分離機本体2へ定量的に供給するとともに、分離機本体2において分離された豆乳を、回収室26から配管A1,A2,B1,B2(主流路)を介して豆乳受けタンク41へ流下させることができる(通常運転)。
【0031】
また、豆乳受けタンク41の下流側の流路切換弁44cを、配管C1,C2が連通する方向に設定することにより、豆乳受けタンク41内の豆乳を次工程側へ移送することができる。
【0032】
一方、
図2に示すように、移送部4の流路切換弁44cを、配管C1,Dが連通する方向に設定し、流路切換弁44aを、配管D,A2が連通する方向に設定し、更に、流路切換弁44bを、配管B1,Eが連通する方向に設定し、この状態で吸引ポンプ42を稼働させることにより、豆乳受けタンク41内の豆乳を、配管C1,D,A2,B1,E(副流路)を介して回収室26へ逆流させ、更に、回収室26からスクリーン22の反対側(スクリュー23側)へ豆乳を逆流させることができる。このとき、スクリーン22の目に詰まった(或いは、詰まりかけた)煮呉中の固形分を、スクリーン22の内側の領域へ押し戻すことができ、スクリーン22の目詰まりを解消させて、濾過面をリフレッシュすることができる(逆流運転)。
【0033】
尚、逆流運転を実行する場合、供給部3の流路切換弁34を、分離機本体2と煮呉受けタンク31(流入側)とが配管Fを介して連通する方向に設定し、供給部3の供給ポンプ32を停止させる。これにより、分離機本体2側から、煮呉(回収室26側からスクリーン22の内側へ逆流した豆乳に対応する量(同量)の煮呉)を、配管Fを介して煮呉受けタンク31へ戻すことができ、回収室26側からスクリーン22の内側へ豆乳を逆流させる際の背圧抵抗を低減することができ、逆流運転を円滑に実行することができる。
【0034】
以上に説明したように、本実施形態の分離装置1は、豆乳の分離工程を連続して実行することにより、煮呉中の固形分(おから)がスクリーン22の目に詰まって閉塞し、分離効率が低下してしまった場合、流路切換弁34,44a〜44cの開閉方向を変更することにより、煮呉から分離されて一旦スクリーン22を通過した豆乳を、スクリーン22の外側の領域(回収室26内)から内側の領域へ逆流させるオペレーション(逆流運転)を実行することができ、これにより、スクリーン22の目詰まりを簡単に解消させることができる。
【0035】
また、スクリーン22の閉塞後ではなく、目詰まりの初期の段階で、或いは、規定時間毎に(例えば20分毎に2分間程度)逆流運転を実行することにより、スクリーン22の目詰まりによる閉塞を未然に回避し、分離効率を低下させることなく、分離工程を長時間にわたって(例えば12時間程度)にわたって継続的に(洗浄作業を実行せずに)実行することができる。
【0036】
尚、上記実施形態においては、分離機本体2として、単一のスクリュー23によって煮呉乃至おからがスクリーン22の内側の領域を搬送され、圧縮されるもの(一軸型)が使用されているが、本発明を適用することができる豆乳分離装置における分離機本体の構成は、上記実施形態に示されるものには限定されず、例えば、二本のスクリューが噛み合った状態で回転する二軸型のものや、スクリュー以外の要素によって、煮呉乃至おからがスクリーンに面した領域を搬送され、圧縮されるタイプのものを分離機本体として採用することもできる。
【0037】
また、上記実施形態においては、回収室26から移送部4に流下させた豆乳を、回収室26内に逆流させるための手段として、流路切換弁44a〜44cを使用した配管システムを採用しているが、吸引ポンプ42として、逆回転が可能なポンプを採用し、正回転時に豆乳の分離工程が実行され、逆回転時に豆乳受けタンク41から回収室26内へ豆乳が逆流するように構成してもよい。更に、豆乳受けタンク41と吸引ポンプ42との間に、豆乳受けタンク41よりも容量が小さいもう一つの豆乳受けタンク(逆流させるための豆乳を一時的に貯留するタンク)を配置して、このタンクから回収室26内へ豆乳を逆流させるように構成してもよい。
【0038】
更に、制御手段による制御下において、規定時間毎に逆流運転が自動的に実行されるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1,51:分離装置、
2,52:分離機本体、
3,53:供給部、
4,54:移送部、
21:ケーシング、
22:スクリーン、
23:スクリュー、
24:後端部、
25:先端部、
26:回収室、
31:煮呉受けタンク、
32:供給ポンプ、
33:煮呉供給管、
34:流路切換弁、
41:豆乳受けタンク、
42:吸引ポンプ、
43:豆乳移送管、
44a〜44c:流路切換弁、