特開2021-167052(P2021-167052A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-167052(P2021-167052A)
(43)【公開日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】放電加工機
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/36 20060101AFI20210924BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20210924BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20210924BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20210924BHJP
【FI】
   B23H7/36 C
   B23Q11/00 U
   B23Q11/10 E
   B01D29/10 501Z
   B01D29/10 510C
   B01D29/10 530A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-71503(P2020-71503)
(22)【出願日】2020年4月13日
(11)【特許番号】特許第6932811号(P6932811)
(45)【特許公報発行日】2021年9月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】保坂 昭夫
【テーマコード(参考)】
3C011
3C059
4D116
【Fターム(参考)】
3C011BB31
3C011EE08
3C059AA01
3C059AB01
3C059AB05
3C059EA02
3C059EA03
3C059EB02
3C059EB08
4D116AA07
4D116BB01
4D116BC13
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC46
4D116BC47
4D116BC75
4D116BC76
4D116BC77
4D116DD06
4D116FF15B
4D116FF16B
4D116KK04
4D116QA06D
4D116QA06E
4D116QB03
4D116QB19
4D116QB23
4D116QB25
4D116QB39
4D116VV01
4D116VV07
4D116VV30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放電加工機においては、フィルタの交換にあたり、ナットや当接板等の押圧部材が十分に螺進または螺退される必要がある。より簡易な方法でフィルタを固定できる放電加工機を提供する。
【解決手段】加工槽と、汚液槽と、循環ポンプと、フィルタエレメントとフィルタケースとを含むフィルタと、フィルタを固定する固定機構5と、清液槽と、送液ポンプと、を備え、固定機構5は、所定位置に固定されるブラケット51と、ブラケット51に回動自在に接続される回動部材53と、一端が回動部材53に接続されるリンク61と、リンク61の他端に設けられるナット63と、ナット63と螺合するロッド65と、を有するレバー6と、ブラケット51に固定され、ロッド65と係合する被係止部材55と、一端が回動部材53に接続され、他端がフィルタケースを押圧する押圧部材7と、を含む、放電加工機。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物が収容される加工槽と、
前記加工槽から排出された加工液を貯留する汚液槽と、
前記汚液槽内の前記加工液を汲み上げる循環ポンプと、
前記循環ポンプによって送られた前記加工液を濾過するフィルタエレメントと、前記フィルタエレメントを収容するフィルタケースと、を含むフィルタと、
前記フィルタを固定する固定機構と、
前記フィルタによって濾過された前記加工液を貯留する清液槽と、
前記清液槽内の前記加工液を汲み上げ前記加工槽へ送る送液ポンプと、を備え、
前記固定機構は、
所定位置に固定されるブラケットと、
前記ブラケットに回動自在に接続される回動部材と、
一端が前記回動部材に接続されるリンクと、前記リンクの他端に設けられるナットと、前記ナットと螺合するロッドと、を有するレバーと、
前記ブラケットに固定され、前記ロッドと係合する被係止部材と、
一端が前記回動部材に接続され、他端が前記フィルタケースを押圧する押圧部材と、を含む、放電加工機。
【請求項2】
前記フィルタエレメントは中空円筒形状を有し、
前記フィルタケースは、
前記加工液が流通可能な貫通孔が形成され、前記フィルタエレメントに挿通される中筒と、
前記加工液が流通可能な貫通孔が形成され、前記フィルタエレメントの側面を覆う外筒と、
前記中筒および前記外筒の両端にそれぞれ設けられ、少なくとも前記中筒と前記外筒との間を閉塞する一対の蓋と、を有し、
前記蓋の一方が前記押圧部材によって押圧され、前記蓋の他方から加工液が導入される、請求項1に記載の放電加工機。
【請求項3】
前記リンクの前記一端は、前記回動部材に回動自在に接続される、請求項1または請求項2に記載の放電加工機。
【請求項4】
前記ナットには切欠きが形成され、
前記切欠きは前記被係止部材と係合可能である、請求項3に記載の放電加工機。
【請求項5】
前記押圧部材の前記一端は、前記回動部材に回動自在に接続される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放電加工機。
【請求項6】
前記フィルタおよび前記固定機構を収容し、開口が形成されたフィルタチャンバと、
前記開口に設けられた開閉または着脱可能な扉と、をさらに備え、
前記レバーは前記開口側に延びる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
放電加工機は、加工槽中に被加工物を載置し、工具電極(以下、単に電極という)と電極に対向配置された被加工物とで形成される加工間隙に加工電圧を印加して放電を発生させるとともに、電極と被加工物とを相対移動させて放電エネルギにより被加工物を所望の形状に加工する。
【0003】
電極と被加工物との絶縁回復、被加工物の冷却、加工屑の除去等を目的として、加工間隙を加工液に浸漬したり、加工間隙に加工液を吹き付けたりする等して、放電加工中は加工間隙に絶縁性の加工液が供給される。
【0004】
放電加工によって発生した加工屑を含む加工液は、加工槽から汚液槽へと排出される。汚液槽に貯留された加工液は、フィルタによって加工屑が除去され、清液槽へと送られる。清液槽に貯留された加工液は、再度加工槽へ送られ、加工間隙に供給される。このようにして、加工液が再利用される。
【0005】
フィルタは、加工液を濾過するフィルタエレメントと、フィルタエレメントを収容するフィルタケースとを含む。フィルタは、放電加工機内の所定位置に固定される。例えば、特許文献1に開示されるフィルタは、以下のように固定される。まず、フィルタケースの下部が所定位置に立設されたパイプに嵌合し、パイプから上方向に延びるボルトがフィルタエレメント内部に挿通される。そして、フィルタケースの上面がボルトに螺合するナットで押圧され、フィルタが固定される。他の固定方法としては、例えば、図1に図示される固定機構が公知である。図1に示される固定機構9は、フィルタ8の固定位置の上方に設けられ下方向に延びるねじ軸91と、ねじ軸91と螺合するナット93と、ナット93に固定された当接板95とを備える。ねじ軸91に対してナット93が下方に螺退することで、当接板95がフィルタケース81の上面を押圧してフィルタ8を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平03−079045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィルタの交換に際して、フィルタケースへの押圧が解除される。従来の放電加工機においては、フィルタの交換にあたり、ナットや当接板等の押圧部材が十分に螺進または螺退される必要がある。そのため、フィルタの交換作業が比較的手間であった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、より簡易な方法でフィルタを固定できる放電加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、被加工物が収容される加工槽と、加工槽から排出された加工液を貯留する汚液槽と、汚液槽内の加工液を汲み上げる循環ポンプと、循環ポンプによって送られた加工液を濾過するフィルタエレメントと、フィルタエレメントを収容するフィルタケースと、を含むフィルタと、フィルタを固定する固定機構と、フィルタによって濾過された加工液を貯留する清液槽と、清液槽内の加工液を汲み上げ加工槽へ送る送液ポンプと、を備え、固定機構は、所定位置に固定されるブラケットと、ブラケットに回動自在に接続される回動部材と、一端が回動部材に接続されるリンクと、リンクの他端に設けられるナットと、ナットと螺合するロッドと、を有するレバーと、ブラケットに固定され、ロッドと係合する被係止部材と、一端が回動部材に接続され、他端がフィルタケースを押圧する押圧部材と、を含む、放電加工機が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る放電加工機においては、ロッドをナットに対して螺退させて被係止部との係合を解除し、レバーを回動させることで、フィルタケースと押圧部材とを十分に離間させることができる。ロッドの螺退距離は被係止部材との係合を解除できる範囲で短くてよいため、従来技術と比べてフィルタの交換作業が容易であり、作業者への負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の固定機構の概略構成図である。
図2】本実施形態の放電加工機の加工液の給排出経路を示す回路図である。
図3】本実施形態のフィルタおよび固定機構の断面図である。
図4】本実施形態の固定機構の拡大断面図である。
図5】本実施形態の固定機構の拡大断面図である。
図6】本実施形態の固定機構の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図2から図6を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に説明される各種変形例は、それぞれ任意に組み合わせて実施することができる。
【0013】
本実施形態に係る放電加工機1は、電極Eとしてワイヤ電極を使用するワイヤ放電加工機であるが、型彫放電加工機、細孔放電加工機等、他の放電加工機であってもよい。また、加工液Lとしては、水系加工液または油系加工液等の絶縁性の液体が使用される。加工液Lが純水を主成分とする場合は、加工液Lの給排出経路にイオン交換樹脂を含む純水器が配置されてもよい。
【0014】
図2および図3に示すように、本実施形態の放電加工機1は、加工槽11と、汚液槽13と、循環ポンプ21と、フィルタ3と、固定機構5と、清液槽15と、送液ポンプ23と、を備える。
【0015】
加工槽11には、放電加工の対象となる被加工物Wが収容される。電極Eまたは被加工物Wは相対移動可能に構成され、放電加工中において被加工物Wは所定の加工間隙をもって電極Eと対向配置される。不図示の電源から電極Eおよび被加工物Wにそれぞれ極性が異なる加工電圧が印加され、放電により被加工物Wの一部が除去される。
【0016】
放電加工中は、加工槽11に加工液Lが供給され、加工間隙が加工液Lで満たされる。具体的には、加工槽11に設けた供給口から加工液Lが供給され、加工間隙が加工液Lに浸漬されるよう構成されてもよい。また、ノズル等を介して、加工間隙に対して加工液Lが吹き付けられるよう構成されてもよい。すなわち、放電加工機1は、加工間隙を加工液Lに浸漬させて加工を行う浸漬加工を行うものであってもよいし、加工間隙に加工液Lを吹き付けながら加工を行う吹掛加工を行うものであってもよい。
【0017】
加工槽11に供給された加工液Lは汚液槽13に送られる。放電加工機1が浸漬加工を行う場合、ドレンバルブ25の開度を調整することで、加工槽11内の加工液Lの液位が一定に維持されることが望ましい。
【0018】
汚液槽13は、加工屑を含む使用済の加工液Lを回収して貯留する。汚液槽13内の加工液Lは、循環ポンプ21によって汲み上げられ、フィルタ3へと送られる。フィルタ3およびフィルタ3を固定する固定機構5の詳細については、後述する。なお、汚液槽13は複数の槽に区切られ、段階的に加工液Lを浄化するように構成されてもよい。例えば、汚液槽13は、加工槽11から排出された加工液Lが送られる第1の槽と、フィルタ3を介して清液槽15へ送られる加工液Lを貯留する第2の槽と、を有していてもよい。このとき、第1の槽から第2の槽へ加工液Lを圧送する循環ポンプと、循環ポンプから送られた加工液Lを濾過するフィルタと、フィルタを固定する固定機構と、がさらに設けられる。
【0019】
清液槽15は、フィルタ3によって濾過されて加工屑が除去された加工液Lを貯留する。清液槽15内の加工液Lは、送液ポンプ23によって汲み上げられ、電磁弁27を介して加工槽11へと送られる。前述の通り、加工液Lを加工槽11に供給するにあたっては、加工槽11に設けられた供給口から加工液Lが供給されてもよいし、加工間隙に加工液Lを吹き付けるノズルから加工液Lが供給されてもよい。
【0020】
以上のような構成により、加工液Lは加工槽11、汚液槽13、フィルタ3および清液槽15を循環し、加工屑が除去されて再利用される。
【0021】
ここで、フィルタ3および固定機構5について詳述する。なお、図3に示すように、放電加工機1は、フィルタ3および固定機構5を収容するフィルタチャンバ17をさらに備えることが好ましい。本実施形態においては、フィルタチャンバ17は、汚液槽13および清液槽15の上に設けられている。フィルタチャンバ17には作業用の開口が形成されており、当該開口には開閉または着脱可能な扉171が設けられる。フィルタ3の交換にあたっては、扉171が開かれるまたは取り外され、開口から固定機構5の操作およびフィルタ3の搬入および搬出が行われる。
【0022】
フィルタ3は例えば内圧式フィルタであり、内部に供給された加工液Lを濾過して側面から排出する。図3に示すように、フィルタ3はフィルタエレメント31と、フィルタケース33と、を含む。
【0023】
フィルタエレメント31は、汚液槽13から循環ポンプ21によって送られた加工液Lを濾過し、加工屑を除去した上で清液槽15へと排出する。本実施形態のフィルタエレメント31は、中空円筒形状に形成される。フィルタエレメント31は、例えば、蛇腹状に折り畳んだ濾紙や不織布を筒状に丸めて形成される。
【0024】
フィルタケース33は、フィルタエレメント31を囲繞し、収容する。具体的には、フィルタケース33は、中筒331と、外筒333と、一対の蓋335,337と、を有する。中筒331はフィルタエレメント31に挿通される。外筒333はフィルタエレメント31の側面を覆う。中筒331および外筒333には、それぞれ加工液が流通可能な貫通孔が形成されている。一対の蓋335,337は、中筒331および外筒333の両端にそれぞれ設けられる。蓋335,337は、少なくとも中筒331および外筒333との間を閉塞する。本実施形態においては、蓋335,337は中筒331および外筒333との間のみを閉塞しており、換言すれば、蓋335,337は中筒331の内側において貫通孔を有している。蓋335,337は、貫通孔の周囲にそれぞれシール部材336,338を有していることが望ましい。中筒331および外筒333の一端側、本実施形態においては上側に位置する蓋335は、後述する固定機構5の押圧部材7と当接可能に構成され、押圧部材7によって押圧される。中筒331および外筒333の他端側、本実施形態においては下側に位置する蓋337から、フィルタ3内部に加工液が導入される。蓋337の貫通孔は、フィルタチャンバ17の底板に立設され循環ポンプ21と接続された供給管41に挿通される。
【0025】
蓋337の貫通孔から中筒331に供給された加工液Lは、中筒331の貫通孔を通りフィルタエレメント31へと送られる。フィルタエレメント31を通過した加工液Lは、外筒333の貫通孔を通り、フィルタ3の側面から排出される。フィルタ3から排出された加工液Lは、フィルタチャンバ17の底板に形成された排出口43から清液槽15へと流出する。
【0026】
なお、本実施形態の放電加工機1は、フィルタ3が鉛直方向に延びるよう配置され、フィルタ3の下方から加工液Lが導入され、フィルタ3の上方が固定機構5に押圧されるよう構成される。これに代えて、フィルタ3の上方から加工液Lが導入され、フィルタ3の下方が固定機構5に押圧されるよう構成されてもよい。また、フィルタ3を水平方向に延びるよう配置してもよい。但し、本実施形態のように、鉛直方向に延びるよう配置されたフィルタ3の上方を固定機構5で固定する方が、作業性がよく好ましい。
【0027】
また、本実施形態においては、蓋335,337は同一の形状を有している。本実施形態では蓋335が上側、蓋337が下側となるようフィルタ3が取り付けられたが、蓋337が上側、蓋335が下側となるようフィルタ3が取り付けられてもよい。蓋335,337を同一の形状とすることで、向きを気にせずにフィルタ3を取り付けることができる。但し、一対の蓋をそれぞれ異なる形状としてもよく、例えば、押圧部材7と当接する側の蓋は、貫通孔を有していなくてもよい。
【0028】
また、図面においては、フィルタ3は1つしか図示されていないが、加工液Lの浄化効率を上げるために複数のフィルタ3が設けられてもよい。その場合、各々のフィルタ3について固定機構5が設けられる。本願発明の固定機構5は容易にフィルタ3の固定・固定解除を行えるので、複数のフィルタ3が設けられていても短時間でフィルタ3の交換を行うことができる。また、放電加工機1が複数のフィルタ3を備える場合は、放電加工機1は、所定のフィルタ3を交換中に当該フィルタ3への加工液Lの供給を停止し、他のフィルタ3のみで加工液Lの濾過を行うように構成されてもよい。このようにすれば、放電加工中であっても加工液Lの浄化を行いながらフィルタ3の交換を行うことができる。
【0029】
固定機構5は、フィルタ3を所定位置に固定する。図4から図6に示すように、固定機構5は、ブラケット51と、回動部材53と、レバー6と、被係止部材55と、押圧部材7と、を含む。
【0030】
ブラケット51は所定位置に固定され、回動部材53および被係止部材55を保持する。被係止部材55には、例えば凹部形状を有する、被係止部551が形成されていてもよい。本実施形態のブラケット51は、天板と、天板から延びる3枚の側板とを有しており、下側と、固定機構5の操作側、すなわち図4から図6における右側において開口している。回動部材53は、ブラケット51の内部に配置される。また、被係止部材55は、ブラケット51の開口側に固定される。ブラケット51の天板と被係止部材55との間には、レバー6の一部が挿入可能なように所定の隙間が設けられる。本実施形態では、ブラケット51は接続部材19を介してフィルタチャンバ17の天板に固定されるが、所定位置に固定されるのであれば別の様態でもよい。
【0031】
回動部材53は、第1の軸531を介してブラケット51に接続され、第1の軸531を中心に回動自在に構成される。レバー6は回動部材53に接続される。好ましくは、レバー6は第2の軸533を介して回動部材53に接続され、第2の軸533を中心に回動自在に構成される。押圧部材7は回動部材53に接続される。好ましくは、押圧部材7は第3の軸535を介して回動部材53に接続され、第3の軸535を中心に回動自在に構成される。本実施形態においては、回動部材53は略直角三角形状の一対の回動板を有しているが、回動板の形状は略L字型等、他の形状であってもよい。また、ブラケット51と回動部材53との接続位置(すなわち第1の軸531の位置)、回動部材53とレバー6との接続位置(すなわち第2の軸533の位置)および回動部材53と押圧部材7との接続位置(すなわち第3の軸535の位置)は、図4から図6に示した位置に限定されない。
【0032】
レバー6は、リンク61と、ナット63と、ロッド65と、を有する。リンク61は、例えば、一対の側板と、一対の側板を接続する上板とを有する。リンク61の一対の側板は、被係止部材55と干渉しない程度に互いに離間している。リンク61の一端は、回動部材53の一対の回動板に挟持され、第2の軸533を介して回動部材53に回動自在に接続される。リンク61の他端には、ナット63が設けられる。ナット63の少なくとも一部には、切欠き631が形成される。ロッド65は、ねじ軸651と、ハンドル653と、係止部材655と、を有する。ねじ軸651の一端には係止部材655が設けられ、ねじ軸651の他端にはハンドル653が設けられている。ねじ軸651は、少なくとも一部において雄ねじ部を有し、ナット63と螺合可能に構成される。ハンドル653はねじ軸651よりも大きく形成され、作業者がねじ軸651を回転させることを容易にする。以上のような構成により、ねじ軸651を回転させてナット63に対して螺進させることで、ロッド65の係止部材655と被係止部材55の被係止部551とが係合する。以下、このような状態を係合状態という。また、ねじ軸651を回転させてナット63に対して螺退させることで、ロッド65の係止部材655と被係止部材55の被係止部551との係合が解除される。以下、このような状態を非係合状態という。なお、係合状態であるときに、被係止部材55がリンク61と回動部材53との接続部(すなわち第2の軸533)およびナット63に挟まれるよう、リンク61は十分な長さに形成される。
【0033】
なお、レバー6はフィルタチャンバ17の開口側に延びることが望ましい。このようにすれば、作業者がより容易に固定機構5の操作を行うことができる。
【0034】
押圧部材7は、一端が回動部材53に接続され、他端がフィルタケース33を押圧する。具体的には、押圧部材7は、当接板71と、立設部材73と、を有する。当接板71は、係合状態において、フィルタケース33の蓋335と当接して押圧し、フィルタ3を所定位置に固定する。このとき、本実施形態のように蓋335が貫通孔を有している場合は、当接板71は蓋335の貫通孔を塞ぐ役割も果たす。また、当接板71は、非係合状態においてレバー6を回動させることで、フィルタケース33の蓋335から離間し、フィルタ3の固定を解除する。立設部材73は、当接板71に立設され、先端において回動部材53の一対の回動板に挟持され、第3の軸535を介して回動部材53に回動自在に接続される。
【0035】
ここで、以上のような固定機構5による、フィルタ3の固定解除の手順を説明する。図4には、レバー6が係合状態にあり、フィルタ3が所定位置に固定されている状態が示される。フィルタ3の固定を解除して取り外す際は、まずは、作業者がねじ軸651を回転させ、ねじ軸651をナット63に対して螺退させる。ねじ軸651の螺退距離は被係止部材55との係合を解除できる範囲で短くてよい。このようにして、図5に示すように、係止部材655と被係止部551とが離間する。そして、図6に示すように、作業者がレバー6を回動させる。そうすると、押圧部材7が回動部材53を介してレバー6と連動して回動し、フィルタ3の固定が解除される。フィルタ3を固定する際は、以上に説明した手順を逆の順番で行えばよい。すなわち、作業者が、フィルタ3を所定位置に載置した後に、レバー6を回動させて押圧部材7をフィルタケース33に当接させる。そして、作業者は、ねじ軸651を回転させてナット63に対して螺進させ、係止部材655と被係止部551とを係合させる。このようにして、フィルタ3が所定位置に固定される。
【0036】
なお、本実施形態の固定機構5においては、レバー6のリンクおよび押圧部材7の立設部材73とは、それぞれ第2の軸533および第3の軸535を介してブラケット51に回動自在に接続されている。このような構成によれば、フィルタ3の固定を解除するにあたり、レバー6の回動角度を小さくすることができ、固定機構5をよりコンパクトに構成できる。また、フィルタ3の固定を解除する際、作業者がレバー6をブラケット51内に押し込み、被係止部材55上に載置することができる。このようにすれば、フィルタ3の交換作業中にレバー6が下がり、作業の妨げとなることが防止される。このとき、ナット63の切欠き631が、被係止部材55に係合するので、より好適にレバー6の脱落が防止される。本実施形態では、切欠き631は被係止部材55の角部と係合するが、切欠き631と係合する突起部等が被係止部材55に設けられてもよい。
【0037】
本発明は、既にいくつかの例が具体的に示されているように、図面に示される実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 放電加工機
3 フィルタ
5 固定機構
6 レバー
7 押圧部材
11 加工槽
13 汚液槽
15 清液槽
17 フィルタチャンバ
21 循環ポンプ
23 送液ポンプ
31 フィルタエレメント
33 フィルタケース
51 ブラケット
53 回動部材
55 被係止部材
61 リンク
63 ナット
65 ロッド
171 扉
331 中筒
333 外筒
335 蓋
337 蓋
631 切欠き
L 加工液
W 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6