【解決手段】版を着脱可能な版胴を備える印刷ユニット15A,15B,15C,15Dと、版胴に対して版を着脱するための版着脱装置と、版胴に装着するための版2が収容されるトレー3と、印刷ユニット15B,15Dに設置される第一移送手段6と、を備え、第一移送手段6は、版着脱装置に接近した第一位置と、第一位置よりも版着脱装置に対して離れた第二位置との間でトレー3を移送可能に構成されると共に、第一位置に位置するトレー3に収容される版を版着脱装置に対して移送可能に構成されている。
版を着脱可能な版胴を備える印刷ユニットと、該版胴に対して版を着脱するための版着脱装置と、該版胴に装着するための版が収容されるトレーと、前記印刷ユニットに設置される第一移送手段と、を備え、
該第一移送手段は、前記版着脱装置に接近した第一位置と、該第一位置よりも前記版着脱装置に対して離れた第二位置との間で前記トレーを移送可能に構成されると共に、前記第一位置に位置する前記トレーに収容される版を前記版着脱装置に対して移送可能に構成されていることを特徴とする印刷機の版移送システム。
前記第一移送手段は、ロボットアームと、該ロボットアームに装着されるアタッチメントと、を備えており、該アタッチメントは、版を保持する保持手段と、前記トレーに係合する係合手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の印刷機の版移送システム。
前記トレーを載置する載置台を有する無人搬送車を備え、前記第一移送手段は、前記載置台と前記第二位置との間で前記トレーを移送することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機の版移送システム。
前記印刷ユニットは、前記第一位置と前記第二位置との間の前記トレーの移送を案内する第一レールを備え、前記無人搬送車は、前記載置台と前記第二位置との間の前記トレーの移送を案内する第二レールを備えることを特徴とする請求項3に記載の印刷機の版移送システム。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】印刷機の版移送システムの一部省略の全体側面図である。
【
図2】同版移送システムの一部省略の全体平面図である。
【
図5】トレーを載置台に搭載した無人搬送車の側面図である。
【
図6】無人搬送車の載置台に搭載したトレーを第二位置へ移送する直前の状態を示す要部の正面図である。
【
図7】無人搬送車の載置台に搭載したトレーの被係合部にロボットアームの係合手段を係合させた状態を示す要部の正面図である。
【
図8】無人搬送車の載置台に搭載したトレーを第二位置へロボットアームで移送している状態を示す要部の正面図である。
【
図9】引き続いて第二位置のトレーを第一位置へロボットアームで移送している状態を示す要部の正面図である。
【
図10】ロボットアームの保持手段でトレーから版を保持した状態を示す要部の側面図である。
【
図11】ロボットアームの保持手段でトレーから版を保持して上方へ持ち上げた状態を示す要部の側面図である。
【
図12】ロボットアームの保持手段で保持した版を印刷ユニットへ供給する直前の状態を示す要部の側面図である。
【
図13】ロボットアームの保持手段で保持した版を印刷ユニットへ供給している状態を示す要部の側面図である。
【
図14】ロボットアームの保持手段で保持した版の印刷ユニットへの供給が完了した状態を示す要部の側面図である。
【
図15】版の印刷ユニットへの供給が完了して初期姿勢に復帰したロボットアームを示す要部の側面図である。
【
図16】版が全て取り出されて空になった第一位置のトレーを第二位置へ移動させる直前の状態を示す要部の正面図である。
【
図17】第二位置へ移送されたトレーを無人搬送車の載置台へ移送している状態を示す要部の正面図である。
【
図18】無人搬送車の載置台へのトレー移送が完了した状態を示す要部の正面図である。
【
図19】印刷ユニットから排出された版をロボットアームの保持手段で保持して外部へ取り出す直前の状態を示す要部の側面図である。
【
図20】取り出した版をロボットアームで上方へ移送した状態を示す要部の側面図である。
【
図21】上方へ移送した版の厚み方向が左右方向に向くように版の向きをロボットアームで変更した状態を示す要部の側面図である。
【
図22】向きを変更した版を取り出した印刷ユニットのノンオペレーションサイドステップの上方でかつ該印刷ユニットの後方位置へロボットアームで移送した状態を示す要部の側面図である。
【
図23】取り出した印刷ユニットのノンオペレーションサイドステップに設けた版収容部へ版をロボットアームで収容した状態を示す要部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の印刷機の版移送システムを、図面を参照しながら説明する。
【0018】
印刷機の版移送システムは、
図1及び
図2に示すように、印刷機(枚葉オフセット印刷機ともいう)1と、版胴(図示せず)に装着するための版2が収容されるトレー3と、トレー3を載置するための載置台5D(
図3参照)を有する無人搬送車(Automatic Guided Vehicle、AGV)5と、印刷機1を構成する印刷ユニットに設置される第一移送手段6と、を備えている。尚、印刷機1の全長が長いため、
図1及び
図2では、印刷機1の排紙部側を省略している。
【0019】
図5に示すように、トレー3は、上端が開放された箱型に構成され、かつ、載置台5Dよりも横方向に長い長方形状のトレー本体9(
図6参照)と、トレー本体9の下端部に連結され、後述する第一レール27又は第二レール28に係合してトレー本体9の移動を案内するための係合部10と、を備えている。前記トレー本体9の短手方向の両側壁の上端部には、長手方向に延びる4個の回転可能なローラ11が短手方向に所定間隔(版2の厚みよりも少し大きな間隔)を置いて貫通装着されて、版2の挿入部を形成している。これらローラ11,11間に形成される挿入部に版2を挿入することによりローラ11,11との接触によりローラ11,11が回転することで版2をトレー本体9の内部へ傷付けることなく、収容することができるようにしている。尚、版2をトレー本体9に収容した状態では、後述するロボットアーム7のアタッチメント8で吸着することができるようにトレー本体9の上端から版2の一部が上方へ突出した状態になるようにトレー本体9の高さ(上下)寸法を設定している。
【0020】
係合部10は、
図5の拡大図に示すように、トレー本体9の下端部に固定される長手方向視にてアーチ(門)型でトレー本体9の長手方向略全長に亘って延びるとともに第二レール28(又は第一レール27)の幅方向両側に位置して幅方向でのトレー3の移動を阻止するための規制部材10Aと、規制部材10Aの天板部10Tの長手方向複数個所から下方に向かって延びる複数組の縦板部10a,10aの内側のそれぞれに回転可能に取り付けられた移動用の回転体10Bと、を備えている。
【0021】
回転体10Bの一対が、トレー3の移動方向両端部と該両端部間に所定間隔を置いて配置され、全部で4対の8個が配置されている。規制部材10Aの両縦板部10a,10aの内面間の距離を、第一レール27のレール部(図示せず)又は第二レール28のレール部30の幅方向の寸法よりも僅かに大きく設定することによって、トレー3が移動時に第二レール28(又は第一レール27)の幅方向へ大きく位置ずれすることがないようにしている。
【0022】
トレー本体9の長手方向一端(印刷ユニット側端)には、ロボットアーム7に備える後述する係合手段20(
図7参照)が係合する被係合部としての取っ手部12を備えている。取っ手部12は、
図24に示すように、トレー本体9の長手方向一端の上部に上下方向に間隔を置いて固定される上下一対の取付部12A,12Aと、これら取付部12A,12Aのトレー本体9から離間する側の端部同士を連結するとともに係合手段20を構成する後述するフック部22が係合する縦長状の連結部12Bと、を備えている。
【0023】
印刷機1は、
図1及び
図2に示すように、紙積み台13から一枚ずつ被印刷物としての枚葉紙を送り出すための給紙部14と、この給紙部14からの枚葉紙に印刷を行うための印刷部15と、印刷部15で印刷された枚葉紙(印刷物)を排紙するための排紙部(図示せず)と、を備えている。なお、一般的に、排紙部の下流側に、印刷物の印刷状態をチェックするための色見台(図示せず)が設けられるが、無くてもよい。
図1の印刷機1において、紙積み台13側を前側とし、排紙部側を後側とし、前後方向と直交する印刷部15の幅方向を左右方向として以下において説明する。
【0024】
印刷部15は、4色の印刷が行えるように4台の印刷ユニット、つまり第1印刷ユニット15A、第2印刷ユニット15B、第3印刷ユニット15C、第4印刷ユニット15Dを枚葉紙搬送方向上流側(前側)から下流側(後側)に等間隔を置いて備えている。ここでは、4色としているが、4色以外の色、つまり1色又は2色又は3色、あるいは5色以上の印刷が行える印刷部であってもよい。又、印刷機を構成する各部の具体的な構成は、
図1に示されるものに限定されるものではない。又、被印刷物としては、いろんなサイズの枚葉紙を用いることができる。又、紙以外のフィルムで構成される被印刷物であってもよい。又、印刷された印刷物としては、ポスター、カレンダー、チラシ、カタログ、郵送用のダイレクトメール等が挙げられる。
【0025】
4つの印刷ユニット15A〜15Dのそれぞれは、インキの色が異なるだけで、機械的な構成が同一構成であるため、1つの印刷ユニット15Bについて説明する。また、印刷ユニット15A〜15Dは、汎用であるため、内部構成は図示していない。前記印刷ユニット15A〜15Dのそれぞれは、版胴(図示せず)にインキを供給する多数のインキローラからなるインキローラ群(図示せず)と、刷版を備える版胴(図示せず)と、版胴からのインキが転写されるゴム胴(図示せず)と、ゴム胴とで枚葉紙を圧接してゴム胴上のインキを枚葉紙に転写する圧胴(図示せず)と、圧胴に給紙部14からの枚葉紙を受け渡すための渡し胴(図示せず)と、を備えている。更に、印刷ユニット15A〜15Dは、前記インキローラ群にインキを供給するインキ送りローラ(図示せず)と、該インキ送りローラにインキツボ(図示せず)に収容されるインキを供給するインキ元ローラ(図示せず)と、を備えている。図示していないが、圧胴及び渡し胴のそれぞれには、送り出される枚葉紙を爪台と爪とで把持するグリッパを、円周方向の2箇所(1箇所又は3箇所以上でもよい)に備えている。
【0026】
また、
図2に示すように、印刷機1の左右方向両側のうちの一方側(前側から後側を見た時の左側)に、オペレータが印刷ユニット15A〜15Dの状態等を確認する時の足場となるオペレーションサイド(OPS)ステップ16が設けられ、印刷部15の左右方向両側のうちの他方側(前側から後側を見た時の右側)に、ノンオペレーションサイド(NOPS)ステップ17が設けられている。オペレーションサイド(OPS)ステップ16の上方に無人搬送車5が移送してくるトレー3を載置する第二レール28の先端部28Bが位置する(
図6参照)。また、印刷ユニット15A〜15Dそれぞれのノンオペレーションサイド(NOPS)ステップ17上に、印刷ユニット15A〜15Dそれぞれからロボットアーム7が取り出した使用済みの版2を立て掛けるためのスタンド18(
図6参照)を設けている。スタンド18は、上端側ほど印刷ユニット側に位置する傾斜姿勢に構成され、版2を傾斜姿勢で立て掛けるようにしている。
【0027】
また、印刷ユニット15A〜15Dのそれぞれには、版胴に巻回されている刷版(画像が形成された版)を自動的に取り外して印刷ユニット15A〜15Dの後面側から斜め上方へ突出するように排出し、かつ、印刷ユニット15A〜15Dの後面側にロボットアーム7がセットした刷版を版胴に自動的に引き込んで巻き付けるべく、版を着脱可能な版着脱装置35(
図10参照)を備えている。この版着脱装置35は、周知のものであるため、詳細な説明を省略している。
【0028】
また、4つの印刷ユニット15A〜15Dのうちの第2印刷ユニット15B及び第4印刷ユニット15Dのそれぞれに、第一移送手段6を設置している。第一移送手段6は、
図2及び
図7に示すように、各印刷ユニット15B又は15Dの上端のうちの左右方向略中央部(実際には左右方向中央よりも少し右側(ノンオペレーションサイド(NOPS)ステップ17側に寄った位置)に配設されたロボットアーム7と、ロボットアーム7に装着されるアタッチメント8と、を備えている。この実施形態では、アタッチメント8が、版2を保持する保持手段19と、トレー3を係合する係合手段20と、を備えている。2台のロボットアーム7,7は、同一構成であるが、異なる構成であってもよい。
【0029】
保持手段19は、
図7に示すように、版2を吸引エアにより吸着することにより保持するゴム製の左右一対の吸着パッド19A,19Aと、真空ポンプ(図示せず)と、真空ポンプ(図示せず)からの吸引エアを左右一対の吸着パッド19A,19Aへ案内する一対のホース19B,19Bと、を備えている。左右一対の吸着パッド19A,19Aが、後述する装着部7E(
図8参照)の下端に固定された横長状の板部材21の長手方向一端部に間隔を空けて支持されている。前記板部材21の長手方向他端部に板部材21の短手方向の寸法よりも小さい上下寸法を有するとともに180度折り返されたU字形状に構成されたフック部22を備えている。このフック部22が、トレー3の被係合部である取っ手部12に係合する前記係合手段20を構成する。
【0030】
ロボットアーム7は、多関節型のロボットアームからなり、
図8に示すように、印刷ユニット15B(又は15Dも同様)の上端に固定される固定部7Aと、固定部7Aの上端部に縦軸X1回りで回動自在なベース部7Bと、このベース部7Bの横側部に第1横軸Y1回りで上下に揺動自在な第1アーム部7Cと、第1アーム部7Cの先端部に第2横軸Y2回りで揺動自在な第2アーム部7Dと、第2アーム部7Dの先端部に第3横軸Y3回りで揺動自在でかつ前記アタッチメント8を装着可能な装着部7Eと、を備えている。この実施形態では、縦軸X1、第1横軸Y1、第2横軸Y2、第3横軸Y3の4軸を備える構成のロボットアームとしているが、5軸以上を備えるロボットアームとしてもよい。また、上記実施形態では、版交換を行う時に使用するアタッチメント8を備えているが、インキを印刷ユニットに供給する作業及び印刷ユニット内のインキ元ローラ上のインキを除去する作業並びにインキツボ内のインキを混ぜ合わせる作業のうちの少なくとも1つのインキ作業を行うためのアタッチメントも備えていてもよいし、作業毎にロボットアーム7の装着部7Eに各種のアタッチメントを付け替えるように構成してもよい。第2印刷ユニット15Bに設置されたロボットアーム7が、第1印刷ユニット15A及び第2印刷ユニット15Bの版を取り扱うことになり、第4印刷ユニット15Dに設置されたロボットアーム7が、第3印刷ユニット15C及び第4印刷ユニット15Dの版を取り扱うことになる。
【0031】
第1印刷ユニット15Aと第2印刷ユニット15Bとの間に配置される第1ステップ23上、第2印刷ユニット15Bと第3印刷ユニット15Cとの間に配置される第2ステップ24上、第3印刷ユニット15Cと第4印刷ユニット15Dとの間に配置される第3ステップ25上、第4印刷ユニット15Dと排紙部との間に配置される第4ステップ26上のそれぞれに、印刷ユニット15A〜15Dの左右方向の寸法と略同一寸法の第一レール27(
図6〜
図8参照、
図1及び
図2には図示していない)を備えている。第一レール27は、版着脱装置35に接近した第一位置P1(
図9参照)と第一位置P1よりも版着脱装置35に対して離れた第二位置(オペレーションサイド(OPS)ステップ16側に寄った位置、
図17参照)P2との間に亘ってロボットアーム7により移送されるトレー3を案内する。この第一レール27は、後述する第二レール28のレール部30と同様の構成であるが、第二レール28のレール部30よりも長い寸法、つまり前記したように印刷ユニット15A〜15Dの左右方向の寸法と略同一の長さを有し、ステップ23〜26のそれぞれに1台のみ設置されている点で異なる。
【0032】
無人搬送車(AGV)5は、
図4及び
図5に示すように、自動操縦(又は遠隔操縦)により向き変更及び走行可能な複数の車輪5a,5bを下端に備えた平面視が小判形状の本体5Aと、本体5Aの上面に載置される上下方向に長い柱状で平面視矩形状の台座部5Bと、台座部5Bから上方に複数の支持部材5Cを介して連結された板状の載置台5Dと、載置台5Dの上端部に設置される3台の直線状の第二レール28と、を備えている。3台の第二レール28は、同一構成、同一長さであって、それぞれが載置台5D上に載置する載置位置H1(
図6参照)と前記第二位置P2(
図8参照)との間のトレー3の移送を案内可能に構成されている。
【0033】
3台の第二レール28は、載置台5D上に所定間隔を置いて平行に設置され、各第二レール28は、
図3〜
図5に示すように、載置台5Dに固定される筒状の固定部29と、固定部29の上面に固定されるレール部30と、を備えている。尚、各第二レール28は、トレー3の長手方向の寸法よりも長い寸法になっている。固定部29は、
図5の拡大図において、門型形状の上側部材29Aと逆門型形状の下側部材29Bとをボルト止めして角筒状の固定部29に構成している。レール部30は、板状で長方形状の板部材30A(
図4及び
図5参照)と、この板部材30Aを長手方向所定位置で支持する複数(
図3では3個)の支持部材30Bと、を備えている。各支持部材30Bは、
図5の拡大図に示すように、板部材30Aの短手方向中央部のみを支持すべく、板部材30Aの短手方向の幅寸法よりも幅が小さな直方体形状からなっており、支持部材30Bの短手方向両側の下面とこれに対向する固定部29の上面との間に前記回転体10Bが入り込み可能な空間を形成している。
【0034】
また、各第二レール28は、
図3に示すように、載置台5Dから横方向外側に突出する長さを有しており、載置台5D上に位置する載置台側の基端部28Aと、第1ステップ23乃至第4ステップ26それぞれの第一レール27へトレー3を受け渡すことができるように基端部28Aから外側に突出した先端部28Bと、を備えている。したがって、先端部28Bを、オペレーションサイド(OPS)ステップ16の上方に位置させることができる。これにより、第二レール28の先端から第一レール27の受渡側端までの距離を縮めることができ、第二レール28と第一レール27との間のトレー3の受け渡しを良好に行うことができる。尚、第二レール28の基端部28Aから先端部28Bの先端よりも手前の位置までの領域がトレー3を載置する載置位置H1(
図6参照)であり、載置位置H1から第二レール28の先端部28Bの先端までトレー3の移送方向先端が移送された位置が、第一レール27へのトレー3を受け渡し可能な受渡位置H2(
図7の2点鎖線参照)である。この受渡位置H2から更にトレー3が第一レール27側へ移送されることによって、第二レール28に係合していたトレー3の第一レール27側端の回転体10B,10Bが係合解除となった後、第一レール27に係合してトレー3が第一レール27の第二位置P2(
図8参照)に受け渡されることになる。
【0035】
上記のように構成された印刷機の版移送システムを用いて、例えば第2印刷ユニット15B上に設置されたロボットアーム7で第2印刷ユニット15Bの版着脱装置35に対して版2を移送する場合を説明する。
【0036】
まず、
図1に示すように、収容台31上に前記第二レール28と同一構成の第三レール32に載置して収容されている複数(
図1では4個)のトレー3のうちの必要数のトレー3を無人搬送車5に人為的又はトレー載せ替え装置(図示せず)により載せ替える。載せ替えた後は、無人搬送車5を移動させて第2印刷ユニット15Bと第3印刷ユニット15Cとの間の第2ステップ24の横一側のオペレーションサイド(OPS)ステップ16の位置に第二レール28の先端部28Bを位置させる(
図6参照)。
【0037】
続いて、ロボットアーム7を作動させて、ロボットアーム7のフック部22をトレー3の取っ手部12に係合させる(
図7参照)。ロボットアーム7によりトレー3を引っ張ることにより第二レール28の載置位置H1に位置していたトレー3を第二レール28の受渡位置H2(
図7の2点鎖線参照)を通って第一レール27の第二位置P2へ移動させる(
図8参照)。
【0038】
更に、ロボットアーム7によりトレー3を引っ張ることによりトレー3を第一レール27の第一位置P1へ移動させてトレー3の移動が完了する(
図9参照)。このようにして、無人搬送車5に載置されているトレー3を第2印刷ユニット15Bへ供給することができる。
【0039】
トレー3の移動が完了すると、
図10に示すように、ロボットアーム7を作動させて、版2の上端部の裏面(画像が描かれていない面)を一対の吸着パッド19A,19Aにより吸着して版2を保持する。この状態から上方(真上)へ版2を持ちあげるように、ロボットアーム7を作動させる(
図11参照)。続いて、版2の下端を版着脱装置35の版案内板33に接触させて版2の揺れを防止する(
図12参照)。この状態から版2を版案内板33と版案内板33との間に隙間を有して配置されたローラ34との間に挿入する(
図13参照)。更に版2を所定位置まで挿入することで(
図14参照)、版着脱装置35に対する版2の移送が完了する。完了後は、版2に対するロボットアーム7の一対の吸着パッド19A,19Aの吸着を解除した後、ロボットアーム7を初期位置に戻す(
図15参照)。こののち、図示していない制御部により第2印刷ユニット15Bに備えている版着脱装置35を作動させて、前記挿入された版2を版胴に自動的に巻き付ける。
【0040】
次に、前記版の版胴への巻き付け作業が全て終了した場合等に、空になったトレー3を第一レール27の第一位置P1から無人搬送車5の載置位置H1まで移送する手順について説明する。すなわち、不要になったトレー3を回収する手順について説明する。
【0041】
まず、ロボットアーム7を作動させて、ロボットアーム7のフック部22を、第一レール27の第一位置P1に位置しているトレー3の取っ手部12に横方向から差し込む(
図16参照)。この状態からフック部22の端面をトレー3に当接(係合)させてトレー3を第二レール28側へ押すことによって、第一レール27の第二位置P2(
図17参照)を通して第二レール28の受渡位置H2へ受け渡す(
図7の2点鎖線参照)。更に、トレー3を押すことによって、無人搬送車5の第二レール28の載置位置H1へトレー3を移送させる(
図18参照)。移送後は、ロボットアーム7のフック部22を取っ手部12との係合を解除してロボットアーム7を初期位置に戻して作業が完了する。こののち、無人搬送車5は、制御部から指示された位置までトレー3を移送する。
【0042】
次に、新たな版を例えば第2印刷ユニット15Bの版胴へ装着する前に、第2印刷ユニット15B内にある印刷済みの版を取り除く手順について説明する。
【0043】
図示していない前記制御部により第2印刷ユニット15Bに備えている版着脱装置35を作動させて、版胴に巻き付けられている版2を排出する。排出された版2は、版着脱装置35から所定量上方へ突出している。排出後に、ロボットアーム7を作動させて、突出している版2の上端部の裏面(画像が描かれていない面)を一対の吸着パッド19A,19Aにより吸着して保持する(
図19参照)。この状態から、上方(略真上)へ版2を持ちあげるように、ロボットアーム7を作動させる(
図20参照)。このとき、版胴に巻き付けられていたため、版2が緩やかな円弧状に湾曲している。
【0044】
図20の状態から版2の裏面がロボットアーム7側を向くように版2を縦軸回りに90度回転させるように、ロボットアーム7を作動させる(
図21参照)。
図21の版2の向きのまま、版2をノンオペレーションサイド(NOPS)ステップ17上で後方かつ少し下方の位置へ移動させるように、ロボットアーム7を作動させる(
図22参照)。続いて、第2印刷ユニット15Bのノンオペレーションサイド(NOPS)ステップ17に設置しているスタンド18(
図7参照)に向かって版2を後方から前方へ移動させて位置させる(
図23参照)。位置すると、版2に対するロボットアーム7の一対の吸着パッド19A,19Aの吸着を解除し版2をスタンド18に放出する。尚、
図6には放出された版2が2点鎖線で示されている。その後、ロボットアーム7を初期位置に戻して作業が終了する。
【0045】
上記実施形態では、第一移送手段6を構成するロボットアーム7により、載置台5D上の位置である載置位置H1と受渡位置H2との間及び第一位置P1と第二位置P2との間のトレー3の移送と、第一位置P1に位置しているトレー3に収容される版2の移送とを行うだけでなく、版着脱装置35により排出される版2をロボットアーム7により取り除くことで、版交換作業の自動化を図ることができる印刷機の版移送システムを提供する。また、載置位置H1と受渡位置H2との間のトレー3の移送を案内する第二レール28及び第一位置P1と第二位置P2との間のトレー3の移送を案内する第一レール27を設けることによって、トレー3の移送をスムーズに行うことができる。
【0046】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0047】
前記実施形態では、トレー3をロボットアーム7で移送できる位置へ無人搬送車5でトレー3を移送したが、他の移送装置によって移送してもよいし、場合によっては、人手によって移送してもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、印刷部15を構成する4台の印刷ユニット15A,15B,15C,15Dのうちの2台の印刷ユニット15A,15B又は15C,15Dの版2の交換が行えるように2台のロボットアーム7を設置したが、全ての印刷ユニットにロボットアームを設置してもよいし、3台の印刷ユニットの版の交換が行えるようにロボットアームを設置してもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、印刷ユニット15A〜15Dにトレー3の移送を案内する第一レール27を備え、無人搬送車5にトレー3の移送を案内する第二レール28を備えたが、レール以外の案内部材を設けて実施してもよいし、場合によっては、第一レール27及び第二レール28を省略して実施してもよい。この場合、例えば、ロボットアームがトレー3を持ち上げて移送するようにしてもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、第二レール28に無人搬送車5から外側に突出する先端部28Bを備えたが、第二レール28を伸縮可能に構成して、第二レール28上に載置したトレー3を第一レール側へ移送する際に、第二レール28を伸長させるようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、載置台5Dと第二位置P2との間のトレー3の移送及び第二位置P2と第一位置P1との間のトレー3の移送の両方をロボットアーム7で行う構成であったが、載置台5Dと第二位置P2との間のトレー3の移送をロボットアーム7とは異なる他の移送手段を用いて行ってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、ロボットアーム7のアタッチメント8が、版2を吸着により保持可能な一対の吸着パッド19A,19Aから構成したが、版2を厚み方向両側から接触して把持する一対の把持部から構成してもよい。
【0053】
また、前記実施形態の係合手段20は、例えばロボットアーム7に備えた磁石又は電磁石の磁力によってトレー3の金属部分と係合するように構成してもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、無人搬送車5が3台の第二レール28を備えていたことで、3台の第二レール28の内の2台にそれぞれトレー3を載置しておけば、まず、所定の印刷ユニットから不要となったトレー3を空いている(トレー3が載置されていない)第二レール28に回収し、引き続き、載置している2つのトレー3の内の1つを当該所定の印刷ユニットに供給し、さらに続けて別の印刷ユニットから不要となったトレー3を新たに空になった第二レール28に回収し、引き続き予め載置していた最後のトレー3を当該別の印刷ユニットへ供給することができる。したがって、2つの印刷ユニットでのトレー3の回収と供給を効率良く行うことができる構成であったが、第二レール28の数は3台に限定されない。例えば、2台でもよいし、4台以上でもよい。すなわち、無人搬送車5の第二レール28の台数は、印刷機の構成や使用形態等に応じて適宜設定すればよい。