(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-167284(P2021-167284A)
(43)【公開日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20210924BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20210924BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20210924BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20210924BHJP
A61Q 19/04 20060101ALI20210924BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/73
A61K8/87
A61Q19/00
A61Q19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2020-70841(P2020-70841)
(22)【出願日】2020年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】尾田 遥
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC542
4C083AC621
4C083AC622
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD351
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】
トラネキサム酸、ジェランガム及び疎水変性ポリエーテルウレタンを併用することにより塗布時のダマの形成、肌なじみ、べたつきを改善する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】
本発明は、下記(A)〜(C)を含有する皮膚外用剤
(A)トラネキサム酸
(B)ジェランガム
(C)疎水変性ポリエーテルウレタン
を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)を含有する皮膚外用剤。
(A)トラネキサム酸
(B)ジェランガム
(C)疎水変性ポリエーテルウレタン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化粧品等には様々な効果を求める声が多く、美白効果もそのうちのひとつである。しかしながら、美白剤はべたついた使用感となりやすく、種々の併用成分が検討されている。トラネキサム酸及び疎水変性ポリエーテルウレタンを含有する美白化粧料が知られている(特許文献1)が、その効果は十分ではなかった。さらに、塗布時にダマになりやすいといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−284664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、トラネキサム酸、ジェランガム及び疎水変性ポリエーテルウレタンを併用することにより塗布時のダマの形成、肌なじみ、べたつきを改善する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(A)〜(C)を含有する皮膚外用剤
(A)トラネキサム酸
(B)ジェランガム
(C)疎水変性ポリエーテルウレタン
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の皮膚外用剤は、トラネキサム酸、ジェランガム及び疎水変性ポリエーテルウレタンを併用することにより塗布時のダマの形成、肌なじみ、べたつきを改善する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品等のいずれの用途にも用いられ得る。
【0009】
本発明におけるトラネキサム酸は、[トランス−4−(アミノメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸]を意味し、第16改正日本薬局方に収載されている。トラネキサム酸としては、フリー体又はトラネキサム酸の塩を用いてもよい。トラネキサム酸の「塩」としては、酸付加塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩やアミン塩、或いはアミノ酸との塩を挙げることができる。
【0010】
本発明におけるトラネキサム酸の塩の具体例としては、例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩類;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩類;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩等の低級アルカンスルホン酸塩類;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のアリールスルホン酸塩類;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩類;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩類;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩類;N−メチルモルホリン塩、トリエチルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジイソプロピルエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチルピペリジン塩、ピリジン塩、4−ピロリジノピリジン塩、ピコリン塩等の有機アミン塩類;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸との塩類;を挙げることができる。本発明におけるトラネキサム酸又はその塩としては、トラネキサム酸が好ましい。市販のトラネキサム酸(日本精化株式会社)等を用いることもできる。
【0011】
本発明の皮膚外用剤へのトラネキサム酸又はその塩の配合量としては、皮膚外用剤全量に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。
【0012】
本発明における疎水変性ポリエーテルウレタンは会合性増粘剤である。会合性増粘剤は、親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分を持つコポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し増粘作用を示すものをいう。このような会合性増粘剤は、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し、親水部がループ状、ブリッジ状をなし、増粘作用を示す。市販のアデカノール GT−700(株式会社ADEKA)(表示名称(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマー)等を用いることもできる。アデカノール GT−700をBGと精製水で希釈したアデカノール GT−730(株式会社ADEKA)を用いてもよい。
【0013】
本発明の皮膚外用剤への疎水変性ポリエーテルウレタンの配合量は、本発明の皮膚外用剤全量に対し0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜8質量%、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。
【0014】
本発明におけるジェランガムは、ブドウ糖を基質として細菌Pseudomonaselodeaの純粋培養によって得られるヘテロポリサッカライドであり、化粧料分野で一般的に使用されているものであれば、ネイティブ型ジェランガムでも、脱アシル型ジェランガムでも特に制限されずに用いることができる。これらの中でもネイティブ型ジェランガムを用いることが好ましい。
【0015】
本発明の皮膚外用剤へのジェランガムの配合量は、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.001〜1質量%が好ましく、0.005〜0.5質量%がより好ましい。配合量が1質量%を超えるとべたつく場合がある。市販のケルコゲル、ケルコゲルHM(いずれもCPケルコ社)等を用いることもできる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤には上述の必須成分の他に、必要に応じて通常皮膚外用剤に配合される、水性成分、油性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防黴剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。また、本発明の皮膚外用剤は、製造方法を問わない。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0019】
調製した皮膚外用剤の使用感評価を行った。
【0020】
[使用感評価方法]
官能評価専門員3名が、実施例及び比較例にかかる皮膚外用剤をそれぞれ独立して使用し、合議により下記の評価を行った。
・塗布時のダマになりにくさ
ダマにならない:〇
少しダマになりやすい:△
ダマになる:×
・肌なじみ
良い:〇
少し悪い:△
悪い:×
・べたつき
べたつきがない:○
少しべたつく:△
非常にべたつく:×
【0021】
以下に示す処方にて、本発明の実施例及び比較例となる皮膚外用剤を常法により調製した。実施例及び比較例は、油性成分を均質に分散させた後、水性成分を添加して乳化することにより調製した。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示した通り、実施例1は比較例1と比較して塗布時にダマにならず、さらに肌なじみが良く、べたつきがない使用感となった。
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示した通り、実施例2は比較例2と比較して塗布時にダマにならず、さらに肌なじみが良く、べたつきがない使用感となった。
【0026】
【表3】
【0027】
表3に示した通り、実施例3は比較例3と比較して塗布時にダマにならず、さらに肌なじみが良く、べたつきがない使用感となった。