【実施例】
【0142】
(実施例1)
CDK4/6媒介性リバウンドリン酸化による、CDK2阻害に対する急速適応の概要
本発明は、CDK2阻害が、基質リン酸化の急速かつ劇的な損失をもたらし、これはその後、数時間以内に回復されることを実証した。この代償性リン酸化現象は、複数の細胞株において、細胞周期の全ての期で観察された。本発明は、細胞株が、G1初期におけるそれらの典型的役割を越えて活性となるCDK4およびCDK6の活性化により、CDK2活性の損失に急速に適応することをさらに実証した。本発明は、CDK2/4/6阻害剤PF3600ならびにCDK2基質の固定細胞および生細胞イメージングを使用して、細胞型依存性様式で、CDK4/6−サイクリンD複合体が、例えば、PF3600等の低分子CDK2阻害剤に応答したCDK2の阻害後に、細胞周期を駆動することができる再配線(rewiring)事象を生じたことをさらに実証した。このCDK4/6依存性活性は、CDK2阻害10時間後までに最大強度となることが示され、一部には、CDK4/6/サイクリンDの上方調節によって駆動され得る。これらの知見の著しい特色は、細胞が、CDK2活性低下に応答してバイパス機構を活性化したスピードであった。
【0143】
注目すべきことに、標的化されたがん治療法の出現以降、このような治療法に対する抵抗性を駆動する分子機構の理解に、顕著な研究努力が費やされてきた。一部のがん薬物抵抗性は、薬物に対する既存の(内在的な)遺伝的抵抗性によって駆動されるが、新たに得られつつある証拠は、バイパス経路のエピジェネティック変化および活性化を含む非遺伝的代償性機構が、細胞に標的化療法を相殺させることを実証した(Hataら、2016;Ramirezら、2016;Shafferら、2017;Sharmaら、2010)。このような適応応答は、細胞が真正な遺伝的薬物抵抗性突然変異を獲得することができるリザーバーとして機能する薬物耐性状態を、細胞が通過することを可能にする。バイパス機構の存在は、種々のがん型において実証されたが、薬物に対する適応の報告されたタイムスケールは、数週間から数カ月間に及ぶ(Hataら、2016;Ramirezら、2016;Sharmaら、2010)。本明細書で実証される分子事象の精細な時間分解能のため、数時間のタイムスケールでのCDK2阻害に対する適応が観察された。細胞の100%が、PF3600に初期に応答したという事実は、薬物に対する内在的な抵抗性と相反し、適応の急速なタイムスケールは、CDK2阻害剤に対する観察された耐性のためのドライバーとしての獲得された遺伝的突然変異と相反する。むしろ、実証される通り、本明細書に提供されるデータは、まとめると、例えばCDK2阻害薬による処置後のCDK2阻害に対する適応のための機構として、急速な上方調節および可能なCDK/サイクリン再複合体形成を支持する。
【0144】
CDK2/サイクリン複合体は、決定的な細胞プロセスに関与する多数の基質をリン酸化する。したがって、CDK2は、細胞周期の決定的な調節因子であると考えられる。しかし、この考えに対しては、CDK2が、発生および増殖に必須ではないことを示すマウスおよび細胞株ノックアウト研究によって、15年前に異議が唱えられた(Berthetら、2003;Ortegaら、2003;Santamariaら、2007;TetsuおよびMcCormick、2003)。これらの研究は、2種の可能な解釈を示唆した:CDK2基質リン酸化が、検査した環境において細胞周期進行に決定的でなかった、または冗長なキナーゼ活性が、CDK2の非存在下でCDK2基質をリン酸化することができた、のいずれかである(Berthetら、2003;GrimおよびClurman、2003)。本明細書に提示されるデータは、CDK2基質の少なくともサブセットが、細胞周期進行に必須であり、CDK2の非存在下で、CDK4/6が、ある特定の細胞環境においてこれらの決定的な機能を実現可能であるという考えを支持する。実際に、本明細書に提供されるデータは、代償性リン酸化を媒介するCDK4/6/サイクリンD複合体が、細胞型特異的であり得ることをさらに指し示す。様々なD型サイクリン、CDK4およびCDK6が、組織特異的発現および機能を有することが知られていることを考慮すると、このことは驚くには当たらない。しかし、PF3600に対する適応に関与するキナーゼ/サイクリンは、所与の細胞型において正常な細胞周期進行に要求されるものと必ずしも同じでなくてもよい。
【0145】
細胞周期の広く受け入れられているモデルにおいて、CDK4/6/サイクリンD複合体は、G1初期において機能し、その後、サイクリンDは分解され、CDK4/6は不活性にされる(Matsushimeら、1992)。しかし、数例の研究が、より後の細胞周期ステージにおけるCDK4/6活性の役割を報告した(Brookesら、2015;Gabrielliら、1999)。その上、いくつかの研究が、サイクリンD1タンパク質が、MCF10A、RPE−hTERTおよびMRC5ヒト線維芽細胞において、細胞周期のG2期で上昇することを報告したが、いかなるキナーゼ活性が関連するかについては不明である(Gookinら、2017;Yangら、2006;Zerjatkeら、2017)。本明細書で、CDK4/6活性は、G1期の後に必須ではないようであるが、CDK4/6は、CDK2阻害後に全ての細胞周期の期で基質リン酸化を媒介することが実証される。一実施形態では、PF3600およびパルボシクリブの同時処置が、ベースラインへのDHBシグナルの即時下落を引き起こさないという事実において、CDK4/6再活性化における見かけ上の遅延を見ることができる。代わりに、DHBシグナルは先ず、およそ5時間上昇し(PF3600単独で処置された細胞のDHBシグナルと並行して)、その後、減退が始まり、これは、ベースラインへと下降するのにさらに5時間を要求する。CDK4/6再活性化における見かけ上の遅延は、代償性キナーゼ活性に関与するタンパク質を上方調節するのに要する時間に起因し得る。
【0146】
CDK2基質のCDK4/6媒介性代償性リン酸化は、直接的または間接的なプロセスにより為され得る。例えば、精製されたCDK/サイクリン複合体および精製されたDHBセンサーを利用したin vitroキナーゼアッセイは、CDK2/サイクリンE1、CDK2/サイクリンA2、CDK1/サイクリンA2およびCDK1/サイクリンE1によるDHBのリン酸化を示したが、CDK1/サイクリンB1、CDK4/サイクリンD1またはCDK6/サイクリンD1によるDHBのリン酸化を示さなかった(Schwarzら、2018;Spencerら、2013)。しかし、これらのアッセイは、正常なCDK2に能力がある(proficient)条件下で発現された、タグ付けおよび精製されたCDK/サイクリン複合体を使用した。したがって、CDK/サイクリン複合体は、CDK2阻害によって誘導され得、CDK4/6/サイクリンDの活性化に必要となり得る、翻訳後修飾または新たなタンパク質−タンパク質相互作用を含有しないであろう。CDK4/6が、他のキナーゼを活性化するもしくはホスファターゼを阻害することによる間接的な効果によりCDK2基質再リン酸化を可能にすること、またはCDK2それ自体が再活性化されるようになることも確実に可能である。
【0147】
CDK1は、細胞周期において非冗長機能を果たし、これにより、必須であると考慮される。これと一致して、CDK1ノックアウト胚は、発生することができず(Santamariaら、2007)、細胞培養物におけるCDK1の低分子阻害は、G2停止および有糸分裂遮断をもたらす。CDK1は、マウスが、妊娠中期に至るまでCDK2およびCDK4の非存在下で生存するのに十分であったが、その後、胚は重篤な造血欠損のために死亡した(Santamariaら、2007)。よって、CDK1が、大部分の組織型において、CDK2およびCDK4の非存在下で全ての代償性キナーゼ活性を実行することができることが暗示された。対照的に、本明細書において、本出願人らは、CDK1は依然として、有糸分裂への進入に必須であるが(
図3、右)、CDK2機能的バックグラウンドにおける急性CDK2阻害後に、本明細書で検査される細胞の環境において、CDK2基質のリン酸化において小さな代償性役割しか果たさないことを示す。
【0148】
本明細書に示されている酵素阻害とは対照的に、代償性リン酸化をCDK1が駆動する直接的な証拠は、他の間期CDKが全て完全にアブレーションされた(CDK2/3/4/6四重ノックアウト)マウスにおいてのみ示された。興味深いことに、CDK4/CDK2ダブルノックアウトマウスにおいて、CDK6およびサイクリンD2の間の相互作用の増加が観察され、CDK6/サイクリンDが、CDK4およびCDK2の非存在下で代償性リン酸化を駆動することができることが推測された(Barriereら、2007)。さらに、CDK2またはCDK2とCDK4を欠くMEFは、その野生型対応物と比較して、より低い効率で増殖した(Barriereら、2007;Berthetら、2003;Ortegaら、2003)。これと一致して、本発明において、CDK2活性が、MCF10A、MCF7およびRPE−hTERT細胞においてPF3600を使用して急性的に阻害された場合、より長い有糸分裂間時間が観察された(
図8C)。
【0149】
本明細書に提供されるデータは、増加したサイクリンE発現が原因で臨床CDK4/6阻害剤に対して抵抗性になったがんにおいて、腫瘍細胞増殖のためにCDK2に依存するがんにおいて、または代償性キナーゼの上方調節によって代償することができないがんにおいて、選択的CDK2阻害が、標的化療法として有望な戦略となり得ることを示唆する。この考えに一致して、OVCAR3細胞は、サイクリンE増幅が原因で、パルボシクリブに対して抵抗性であるが、CDK2阻害に対して特に感受性であり、基質の代償性リン酸化を示すことも、またはPF3600に応答して任意のさらなる有糸分裂を起すこともない。さらに、遺伝的に操作された、パルボシクリブ抵抗性マウス肺腫瘍は、PF3600によるCDK2/4/6の阻害と同様に、CDK2損失およびCDK4/6阻害のコンビナトリアル活性を実証した。CDK4/6によりCDK2阻害に適応したこのような腫瘍は、CDK2およびCDK4/6阻害剤による併用処置の候補となることができる。
【0150】
(実施例2)
CDK2活性の阻害は、基質リン酸化の急速損失を引き起こした
PF3600処置によるCDK2阻害のリアルタイム効果は先ず、DHBに基づくCDK2活性センサーを使用して試験した(Spencerら、2013)(
図1A)。DHBセンサーは、リン酸化されていない場合、核に局在化する。リン酸化後に、核局在化シグナルが遮蔽され、核外輸送シグナルが遮蔽を外され、センサーは、増加するCDK2活性に応答して細胞質へと着実に移行する(
図1A)。よって、キナーゼ活性は、DHBセンサーの細胞質蛍光強度の核蛍光強度に対する比(C/N比)によって定量化することができる。本発明において、細胞IC
50値(
図8A)を使用して、PF3600の関連する用量として25nMおよび100nMを選択し、2種の非形質転換上皮細胞株(MCF10AおよびRPE−hTERT)、乳がん細胞株(MCF7)および卵巣がん系統(OVCAR3)においてDHBセンサーのタイムラプスイメージングを行った。非同期的に周期を進める細胞を先ず、薬物の非存在下でおよそ20時間イメージングを行って、各細胞の細胞周期の期を確立した;次に、動画を休止して、薬物を添加し、次いでイメージングをさらに1〜2日間続けた。細胞は、非同期的に周期を進めていたため、1種の薬物処置による全ての細胞周期の期が試料採取された。これにより、本発明者らは、分裂後期の完了から任意の時点で薬物を受けた細胞のトレースを計算的に単離することができた。
【0151】
より高い濃度では、PF3600は、CDK2に加えてCDK4/6を阻害する。PF3600の効果が主にCDK4/6阻害からの干渉を伴わないCDK2の阻害によるものであったことを確実にするために、CDK4/6が不活性であると考えられる細胞周期ステージに解析を制限した。CDK4/6が主に細胞周期のG1期において作用する(Chungら、2019;SherrおよびRoberts、2004)という概念と一致して、分裂後期5時間後またはそれより後のパルボシクリブの添加は、DHBセンサーリン酸化、細胞周期進行または有糸分裂のタイミングに効果がなかった(
図3、左)。本発明者らは、したがって、分裂後期5時間後に始まるPF3600に応答したDHBリン酸化のいかなる変化も、CDK2活性の阻害が原因であろうと判断した。同様に、1時間のパルボシクリブ処置は、2N DNA含量を有する細胞におけるRbの脱リン酸化をもたらしたが、3〜4N DNA含量を有する細胞においてはRbリン酸化に効果がなく(
図8B)、この場合もやはり、Chungら、2019と一致した。したがって、PF3600による処置後のCDK2基質リン酸化を評価する全ての実験に関して、解析を、3〜4N DNA含量を有する細胞または分裂後期≧5時間後に処置した細胞に制限した。
【0152】
予想通り、細胞周期半ば(mid-cell
cycle)のPF3600の添加は、検査した全4種の細胞株においてDHBセンサーのC/N比の急激かつ急速な下落をもたらした(
図1B、
図1D、
図1Fおよび
図1G)。CDK2リン酸化に応答して核から細胞質へと同様に移行する(Petersenら、1999;Sahaら、1998)複製前複合体の構成成分である、別のCDK2基質CDC6のリン酸化におけるPF3600のリアルタイム効果も試験した。PF3600の添加は、CDC6リン酸化の下落をもたらし、核へと戻るその移行を引き起こした(
図1C)。まとめると、DHBおよびCDC6の両方のC/N比の下落は、PF3600による処置後の急速な(1時間以内)CDK2活性の阻害を示唆する。
【0153】
DHBセンサーの特異性の評価において、有糸分裂5時間後またはそれより後の高用量の1μMパルボシクリブによる処置は、DHBセンサーリン酸化、細胞周期進行または有糸分裂のタイミングに即時効果がなかった(
図3、左)。しかし、次の回の有糸分裂の完了後に、このようなパルボシクリブ処置細胞は、CDK2
low G0停止に進入し、CDK4/6の阻害およびその後の細胞周期へのコミットメントの遮断におけるパルボシクリブの有効性を指し示す。9μM RO3306によるCDK1阻害もまた、DHBセンサーリン酸化における即時効果が最小であった(
図3、右)。細胞周期の終わりに向かって、このようなRO3306処置細胞は、G2停止を示し、DHBリン酸化がプラトーに達し、CDK1の阻害および有糸分裂進入の遮断におけるRO3306の有効性を指し示す。これらの観察は、以前に公開されたin vitroキナーゼデータ(Schwarzら、2018;Spencerら、2013)およびサイクリンE1
−/−E2
−/−A1
−/−A2
−/−MEFが、核DHBセンサーを維持するという事実(Chungら、2019)と共に、DHBセンサーが、正常な成長条件下において、主にCDK2によってリン酸化され、CDK4、CDK6またはCDK1によるリン酸化が最小であることを実証する。
【0154】
(実施例3)
CDK2阻害後のCDK2基質リン酸化における急速リバウンド
PF3600による処置後のDHBセンサーリン酸化の即時下落に加えて、1〜2時間以内に始まるリン酸化の急速リバウンドが、MCF10A、MCF7およびRPE−hTERT細胞において認められた(それぞれ
図1B、
図1Fおよび
図1D)。5時間目までに、DHBセンサーリン酸化は、処置前レベルに戻り、その後上昇し続けた。これと一致して、細胞周期進行は続き、細胞は、有糸分裂を最終的に完了した(
図8C)。MCF7乳がん細胞は、MCF10AおよびRPE−hTERT細胞よりも、PF3600に対して感受性が高かった(
図1F、
図8Aおよび
図8C)。25nM PF3600は、MCF7において下落−リバウンド挙動を示したが、100nM PF3600は、DHBリン酸化の短いリバウンドとそれに続く長続きした抑制および有糸分裂遮断を引き起こした(
図1Fおよび
図8C)。下落−リバウンドは、PF3600で処置したMCF10A細胞におけるCDC6リン酸化によっても観察された(
図1C)。細胞におけるPF3600のほぼ30時間の半減期ならびに薬物動態および薬力学研究は、PF3600処置後のCDK2基質の観察された再リン酸化が、化合物の不安定性または阻害剤結合の損失が原因ではないことを指し示した。
【0155】
センサーリン酸化のリバウンドが観察された3種の細胞株(MCF10A、MCF7およびRPE−hTERT)は全て、細胞周期進入のためにCDK4/6/サイクリンDに依存し、予想通り、パルボシクリブ感受性であった。対照的に、OVCAR3細胞は、サイクリンEの増幅を有し、パルボシクリブに対して抵抗性である。本発明者らは、OVCAR3細胞が、その生存および増殖のためにCDK2活性にさらに依存する場合、この細胞は、DHBセンサーにより可視化される通り、PF3600によるCDK2阻害に対してさらに大きい感受性を示すであろうと仮定した。この考えと一致して、低い方の25nM用量のPF3600によるOVCAR3細胞の処置は、イメージング期間の残りにおいて、細胞増殖を阻害し、さらなる有糸分裂を全て防止した(
図1Gおよび
図8C)。興味深いことに、MCF10A、MCF7またはRPE−hTERT細胞とは異なり、DHBセンサーリン酸化は、PF3600処置後にOVCAR3細胞においてリバウンドしなかったが、その代わりに、下落し、次いで中間レベルにおいてプラトーに達した(
図1G)。
【0156】
直交性様式で下落−リバウンド効果を検査するために、両方のCDK2アレルにF80G突然変異を含有するCDK2アナログ感受性RPE−hTERT細胞(CDK2
F80G/F80G;(Merrickら、2011))へとDHBセンサーを形質導入した。この突然変異は、巨大なATP競合性アナログ、3MB−PP1、1−(tert−ブチル)−3−(3−メチルベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(CAS番号956025−83−5)によって特異的に阻害される、修飾されたATP結合ポケットを生じる。PF3600処置と一致して、3MB−PP1によるCDK2活性の阻害は、迅速にリバウンドするDHBセンサーリン酸化の低下を引き起こした一方で、野生型RPE−hTERT細胞は、3MB−PP1による影響を受けなかった(
図1E、
図9Aおよび
図9B)。3MB−PP1によるCDK2
F80G/F80G細胞におけるDHBリン酸化の下落は、PF3600による野生型RPE−hTERT細胞よりも顕著に劇的でなかったが、CDK2
F80G/F80Gは、Nbs1リン酸化の損失によって実証される通り、実際に阻害された(
図9C)。ゲートキーパー残基の突然変異が、CDK2機能を低下させることが知られている(Merrickら、2011)ことを考慮すると、3MB−PP1によるDHBリン酸化における小さい効果は、CDK2
F80G/F80G細胞が、野生型RPE−hTERT細胞と比較して、よりCDK1活性に頼るという事実が原因の可能性がある。CDK1阻害剤RO3306の添加は、野生型RPE−hTERT細胞と比較して、RPE−hTERT CDK2
F80G/F80G細胞においてDHBリン酸化のはるかにより大幅な下落をもたらした(
図9E)。よって、RPE−hTERT CDK2
F80G/F80G細胞において、CDK1は、細胞周期初期に異常に活性であり、CDK2基質のリン酸化に寄与し、これにより、3MB−PP1により達成可能なDHBリン酸化の阻害を弱める。
【0157】
次に、免疫蛍光およびウエスタンブロッティングを使用して、CDK2阻害が、内因性CDK2基質:Cdc6(Petersenら、1999;Sahaら、1998)、ヌクレオリン(Sarcevicら、1997)およびRb(Akiyamaら、1992)のリン酸化動態に同様の効果を有したかについて調査した。3〜4N DNA含量を有する細胞におけるPF3600の効果を免疫蛍光によって定量化したところ、PF3600処置は、Rbおよびヌクレオリンのリン酸化の一過性低下と、それに続くリバウンドをもたらした(
図4Aおよび
図4B)。Cdc6、Rbおよびヌクレオリンに関して、ウエスタンブロッティングによって同様の結果が得られた(
図4C)。
【0158】
CDK2基質動力学をホスホ−プロテオミクスにより網羅的に評価した。MCF7細胞を25nM PF3600で1時間または24時間処置し、CDK基質リン酸化における効果を質量分析による解析によって評価した(
図9F)。最小CDKコンセンサスリン酸化部位(SPまたはTP)を有するペプチドのみを考慮して、1時間のPF3600処置後にそのリン酸化が有意に低下した(p<0.05)40種のペプチドを同定したところ、これらの大部分が、24時間目までに対照レベルにリバウンドした(
図4D、
図9Fおよび表1)。まとめると、生細胞イメージング、免疫蛍光、ウエスタンブロッティングおよびホスホ−プロテオミクスから得られた観察は、CDK2活性が急性的に阻害された場合、MCF10A、MCF7およびRPE−hTERT細胞等のがん細胞は、代償性キナーゼ(複数可)の活性化によって急速に適応したことを示唆し、その際に、代償性キナーゼはCDK2基質をリン酸化して、細胞周期の最終的完了を容易にする。
【0159】
(実施例4)
代償性キナーゼ活性の調査:CDK1の寄与は小さかった
CDK1は、非正準CDK1−サイクリン複合体の形成により、CDK2/4/6マウスノックアウトにおいて完全な細胞周期を駆動することが示された(Aleemら、2005;Santamariaら、2007)。CDK1が、急性CDK2阻害後にCDK2基質のリン酸化を駆動することができるかについて、CDK1阻害剤であるRO3306で同時処置することにより、MCF10A、RPE−hTERTおよびMCF7細胞におけるタイムラプスイメージングによって調査した(Vassilevら、2006)。予想に反して、CDK2(100nMまたは25nM PF3600)およびCDK1(9μM RO3306)の同時阻害は、それにもかかわらず、DHBセンサーのリン酸化のリバウンドをもたらした(
図5A)が、このような同時処置条件下で達成されたDHBリン酸化のレベルは、若干低かった。同様に、CDK2(100nM PF3600)およびCDK1(9μM RO3306)の同時阻害は、CDK2のみの阻害(100nM PF3600)と比較して、Rbまたはヌクレオリンのリン酸化に追加的な効果がなかった(
図10A)。まとめると、これらのデータは、CDK2の阻害後に、DHBおよび他のCDK2基質は、十分に機能的なCDK2を有する細胞において、CDK1によってごく弱くリン酸化されることを示唆する。CDK2およびCDK1の同時阻害は、基質リン酸化のリバウンドを消失させなかったため、本発明者らは、CDK2活性の非存在下でのCDK2基質リン酸化を可能にし得る代替キナーゼ(複数可)の存在を仮定した。
【0160】
(実施例5)
代償性キナーゼ活性の調査:活性はCDK4/6阻害により消失した
HCT116結腸がん細胞における以前の研究は、CDK2が、遺伝的アプローチにより(though)アブレーションされた場合、Rbはやはり、細胞においてリン酸化されたことを示した。増大されたCDK4活性は、このリン酸化の原因であると推測された(TetsuおよびMcCormick、2003)が、このことは、RbがCDK4/6基質でもあるという事実によって説明することができる。同様に、HCT116細胞は一般に、パルボシクリブに対して非感受性であるが、CDK2の遺伝的アブレーションは、この細胞をCDK4/6阻害に対して脆弱性にする。これらの観察は、CDK4のせいで、このような細胞においてCDK2活性が冗長になっている可能性を暗示するが、CDK2特異的基質のリン酸化は試験されなかった。DHBセンサーは、正常ではCDK4/6基質ではないため(
図3および(Spencerら、2013))、本発明者らは、DHBセンサーを使用して、CDK4/6/サイクリンDによる代償を経たPF3600に対する可能な適応を調査した。
【0161】
パルボシクリブ(1μM)およびPF3600による、MCF10A(100nM PF3600)、RPE−hTERT(100nM PF3600)およびMCF7(25nM PF3600)細胞におけるCDK4/6およびCDK2の同時阻害は、リン酸化の持続性よりはむしろ一過性のリバウンドを明らかにし、これはその後、イメージング期間の残りにおいてベースラインレベルに降下した(
図5B)。これらの細胞は、任意のさらなる有糸分裂を起こさず、細胞周期完了に決定的な基質リン酸化が遮断されたことを示唆する(
図10Bおよび
図10C)。Rb、Cdc6およびヌクレオリンのリン酸化は、CDK4/6およびCDK2の同時阻害後に急速に失われ、処置24時間後になっても回復は観察されなかったため、この現象は、DHBセンサーに制限されなかった(
図5Cおよび
図5D)。直交性システムにおいてこの効果を検査するために、RPE−hTERT CDK2
F80G/F80G細胞において、10μM 3MB−PP1、1μMパルボシクリブまたは10μM 3MB−PP1+1μMパルボシクリブにより、指し示されている時間でCDK2およびCDK4/6を同時阻害した。3MB−PP1単独により以前に見られた持続したリバウンドリン酸化(
図9A)は、3MB−PP1およびパルボシクリブによる同時処置後に消失した(
図2A)。単細胞トレースの数:DMSO(133)、10μM 3MB−PP1(104)、1μMパルボシクリブ(146)、10μM 3MB−PP1+1μMパルボシクリブ(160)。DMSOおよび10μM 3MB−PP1メジアントレースは、
図1Dから再現された。これらの結果は、複数のCDK2基質が、CDK2活性の急性阻害後に、CDK4/6依存性様式でリン酸化されるという概念を支持する。CDK2およびCDK4/6は、MCF10A細胞において、100nM PF3600、5μMリボシクリブ、100nM PF3600+5μMリボシクリブにより同時阻害された(
図2B)。単細胞トレースの数:DMSO(55)、100nM PF3600(53)、5μMリボシクリブ(23)、100nM PF3600+5μMリボシクリブ(26)(
図2B)。CDK2およびCDK4/6は、MCF10A細胞において、100nM PF3600、1μMアベマシクリブまたは100nM PF3600+1μMアベマシクリブにより同時阻害された(
図2C)。単細胞トレースの数、右:DMSO(197)、100nM PF3600(242)、1μMアベマシクリブ(390)、100nM PF3600+1μMアベマシクリブ(270)(
図2C)。
【0162】
(実施例6)
CDK4/6−サイクリンD複合体は、CDK2基質のリバウンドリン酸化において重大な役割を果たす
CDK4およびCDK6は、重複する細胞機能および特有の細胞機能の両方を有するため、CDK2の阻害後に見られる基質リン酸化のリバウンドに対するそれらの個々の寄与の決定に興味を持った。周期を進めるMCF10AおよびMCF7細胞におけるCDK4またはCDK6のsiRNA媒介性ノックダウン(
図11A)は、MCF7細胞が、正常な細胞周期進行のためにCDK4に主に頼ることを明らかにした一方で、CDK4およびCDK6の同時ノックダウンが、MCF10Aにおける増殖の遮断に必要とされた(
図11B)。
【0163】
PF3600処置MCF10A細胞において、CDK4ノックダウンは、DHBのリバウンドリン酸化の遮断において非常に有効であり(
図6A、左)、単細胞トレースの大部分は、有糸分裂の阻害と共にDHBセンサーの核局在化を示した(
図6B、上)。対照的に、MCF7細胞において、CDK4およびCDK6の両方の同時ノックダウンが、DHBのリバウンドリン酸化の有効な遮断に必要とされた(
図6A、右および
図6B、下)。よって、CDK4/6ノックダウンは、PF3600およびパルボシクリブ同時処置により為された観察を表現型コピーする(
図5B)。
【0164】
CDK4およびCDK6は一般的には、D型サイクリンと対になるため、siRNA媒介性ノックダウン(
図11C)を使用して、いずれのD型サイクリンが、代償性キナーゼ活性に寄与するか調査した。周期を進めるMCF10A細胞において、トリプルノックダウンのみが細胞周期進行に強い効果を有したため、全3種のサイクリンD1、D2およびD3が、細胞周期進入に寄与した(
図11D、上)。MCF7細胞は、サイクリンD2を発現しないため(Evronら、2001)、本発明者らは、サイクリンD1およびD3に焦点を合わせた。MCF7細胞において、サイクリンD1のノックダウンは、細胞周期進行を有効に遮断したが、サイクリンD3は必須ではなかった(
図11D、下)。
【0165】
PF3600で処置したMCF10A細胞において、DHBリン酸化のリバウンドは、サイクリンD1、D2またはD3単独をノックダウンすることにより部分的に遮断された一方で、D型サイクリンのトリプルノックダウンは、持続したリバウンドを抑止した(
図6C、左および
図11E、上)。PF3600で処置したMCF7細胞において、サイクリンD3のノックダウンは、最小の効果を有した一方で、サイクリンD1の標的化は、DHBリン酸化のリバウンドを大部分は遮断し、サイクリンD1およびD3の同時ノックダウンは、このリバウンドの防止においてさらにより有効であった(
図6C、右および
図11E、下)。よって、サイクリンD1、D2およびD3(MCF10A)またはサイクリンD1(MCF7)のノックダウンは、
図5Bに示すPF3600およびパルボシクリブ同時処置により為される観察を表現型コピーする。要約すると、MCF10A細胞は、正常な細胞周期進入のためにCDK4、CDK6、サイクリンD1、サイクリンD2およびサイクリンD3を使用することができるが、急性CDK2阻害後のリバウンドリン酸化のためにCDK4/サイクリンD2およびD3に僅かにより大きく頼る。対照的に、MCF7細胞は、正常な細胞周期進行のためにCDK4/サイクリンD1を使用するが、急性CDK2阻害後のリバウンドリン酸化のためにサイクリンD1と共にCDK4およびCDK6の両方に頼る。
【0166】
(実施例7)
サイクリンD1およびD3レベルは、CDK2阻害後に上方調節された
CDK2阻害後にリバウンドキナーゼ活性を駆動する機構を調査した。MCF10A細胞において、PF3600(100nM)処置24時間以内にサイクリンD1およびD3タンパク質レベルの増加が観察されたが、CDK2、CDK4およびCDK6タンパク質レベルは安定を維持した(
図6D)。対照的に、MCF7細胞において、サイクリンD1、サイクリンD3、CDK2、CDK4およびCDK6タンパク質レベルは全て、PF3600(25nM)処置24時間以内に様々な程度増加した。上方調節が転写レベルで起こったか決定するために、mRNA FISHを行って、CDK4、CDK6ならびにサイクリンD1、D2およびD3の発現を測定した。ウエスタンブロット結果に一致して、PF3600処置に応答して、サイクリンD1およびD3のmRNA発現の増加が、MCF10Aにおいて観察され、サイクリンD1の特に強い増加が、MCF7細胞において観察された(
図6E〜
図6F)。これらの知見は、増加したタンパク質レベルを少なくとも部分的に説明する。
【0167】
上方調節されたサイクリンDタンパク質レベルが、MCF10A細胞における増加したCDK−サイクリンD3複合体に繋がったか決定するために、DMSOまたはPF3600のいずれかで24時間処置したMCF10A細胞においてCDK4およびCDK6の免疫沈降を行って、サイクリンD3について調べた。実際に、CDK4およびCDK6の両方に結合した、より多い量のサイクリンD3が、CDK2阻害後に観察された(
図11F)。まとめると、これらのデータは、CDK2の急性阻害が、細胞型特異的CDK4/6/サイクリンD複合体の上方調節を誘発し、この複合体のサブセットが、CDK2基質のリバウンドリン酸化を促進し得ることを実証する。
【0168】
(実施例8)
CDK4/6およびCDK2は、in vivoで互いを代償する
in vivoにおけるCDK2およびCDK4/6の間の潜在的な代償性の関係性を検査するために、KRAS
G12VおよびTRP53突然変異によって駆動される確立されたマウス肺腫瘍モデルを使用した。Creリコンビナーゼをコードするアデノウイルス粒子を鼻腔内感染させたKras
+/LSLG12V、Trp53
L/Lマウスは、5カ月間の潜伏期により肺腫瘍を発生した。CTスキャンによって腫瘍発生が検出されたら、媒体またはパルボシクリブ(70mg/kg QD)のいずれかで動物を28日間処置し、その後、処置期間の終わりにCTスキャンによって腫瘍体積を測定した。媒体およびパルボシクリブ処置マウスの間の腫瘍体積倍率変化の比較は、パルボシクリブ処置後に腫瘍負荷の有意な低下を示さなかった(
図7A)。しかし、CDK2 T−ループリン酸化およびサイクリンE1の上方調節が、パルボシクリブ処置肺腫瘍において、ウエスタンブロットにより検出された。CDK阻害剤p21の有意な下方調節(
図7B)と共に、これらのデータは、CDK2活性の上方調節が、パルボシクリブに対する非感受性を説明することができることを指し示す。
【0169】
CDK2が、パルボシクリブ抵抗性腫瘍における役割を果たすか検査するために、Kras
+/LSLG12V;Trp53
L/L;Cdk2
−/−マウスを作製した。このようなマウスは、Kras
+/LSLG12V;Trp53
L/L;Cdk2
+/+対照動物と同様のサイズの肺腫瘍を発生した(
図7C)。注目すべきことに、Cdk2ヌル肺腺癌を有するマウスのパルボシクリブ処置は、有意に低下した腫瘍サイズをもたらした(p=0.037)(
図7C)。よって、この腫瘍設定において、CDK4/6阻害は、CDK2の非存在下での腫瘍成長の抑制に十分であった。
【0170】
CDK2およびCDK4/6の両方が、腫瘍成長に寄与するという考えをさらに支持するために、50mg/kg BID(CDK2、CDK4およびCDK6を網羅する、現在までに発表された細胞研究において使用されるよりも高い用量)のPF3600で処置することにより、Kras
+/LSLG12V;Trp53
L/L肺腫瘍を有するマウスにおけるCDK2、CDK4およびCDK6活性を阻害した。Cdk2ヌル腫瘍のパルボシクリブ感受性と一致して、PF3600によるCDK2/4/6の阻害は、有意に低下した腫瘍体積をもたらした(
図7C)。まとめると、in vivoデータは、CDK2およびCDK4/6キナーゼが、重複する機能を果たし、互いを代償することができるという仮説を支持する。
【0171】
(実施例9)
材料と方法
実験モデル詳細:
Icahn School of MedicineのRobert Fisher研究室の厚意により得られたRPE−hTERT野生型およびCDK2アナログ感受性細胞を例外として、本研究で使用した細胞株は、ATCCから得た。MCF10A(ヒト乳房上皮)細胞は、5%ウマ血清(Invitrogen)、20ng/mL上皮成長因子(Sigma−Aldrich)、0.5mg/mLヒドロコルチゾン(Sigma−Aldrich)、100ng/mLコレラ毒素(Sigma−Aldrich)および10μg/mLインスリン(Invitrogen)を補充したDMEM/F12において培養した。RPE−hTERT細胞は、10%FBSを有するDMEMにおいて育成した。MCF7およびOVCAR3細胞は、10%FBSを補充したRPMI−1640を使用して育成した。siRNAトランスフェクション中を除いて、全ての完全成長培地に、ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した。全ての細胞は、37℃で5%CO
2により培養した。
【0172】
レンチウイルスベクターを使用した安定した細胞株作製:
CDK2センサー(DHB−mVenusまたはDHB−mCherry)、およびmTurquoiseをタグ付けしたH2Bを安定して発現する細胞を、レンチウイルス形質導入によって作製した。ウイルス作製のため、Fugene−HD試薬(Promega E2311)を使用して、HEK293T細胞に、CSII−EFプラスミド(CSII−EF DHB−mVenus、CSII−EF DHB−mCherry、CSII−EF CDC6−YFPまたはCSII−EF H2B−mTurquoise)を、ヘルパーパッケージングおよびエンベローププラスミド(pMDLg、pRSV−Rev、pCMV−VSV−G)と共にトランスフェクトした。トランスフェクション48時間後にレンチウイルスを収集し、0.45μmフィルター(Millipore)を通して濾過し、5μg/mlポリブレン(EMD Millipore#TR−1003)の存在下で標的細胞と共に6〜10時間インキュベートした。安定した組込みを有する細胞をAria Fusionフローサイトメーターにおいて選別して、全ての細胞が所望のセンサーを発現する集団を確立した。
【0173】
siRNAトランスフェクション
Dharmafect1試薬(Dharmacon)により、製造業者のプロトコールを使用して、siRNAトランスフェクションを実行した。標的毎に、遺伝子の3種の異なる領域を標的とするsiRNAのプールを使用した。細胞を、抗生物質を欠く完全成長培地においてトランスフェクション複合体と共に6〜7時間インキュベートした。本研究に使用したsiRNA配列は次の通りであった:CCND1(Dharmacon#MU−003210−05−0002)、CCND2(Dharmacon#MU−003210−05−0002)、CCND3(Dharmacon#J−003212−10−0002、J−003212−11−0002、J−003212−12−0002)、CDK4(IDT製品#198569326、198569329、198569332)、CDK6(IDT製品#200925870、200925873、200925876)。
【0174】
タイムラプスイメージング:
イメージングの少なくとも24時間前に、播種前にコラーゲンでコーティングしたガラス底96ウェルプレート(CellVis P96−1.5H−N)におけるフェノールレッドを含まない完全成長培地に、細胞を播種した。細胞が、イメージング期間の終わりまでサブコンフルエントを維持するように、播種密度を選んだ。細胞は先ず、薬物なしで完全成長培地において16〜20時間イメージングした。次に、動画を短時間休止し、完全成長培地を、所望の濃度で薬物を含有する完全成長培地に置き換えた。次に、プレートを顕微鏡に再度挿入し、その以前の位置へと整列し、さらに24〜48時間イメージングを続けた。5%CO2で加湿した37℃チャンバーにおいて、10×0.45NA対物レンズを備えるNikon Eclipse TiまたはTi2顕微鏡において12分毎(MCF10AまたはRPE−hTERTについて)または20分毎に(MCF7またはOVCAR3について)画像を獲得した。全チャネルの全動画の露光時間は、1時点当たり500ミリ秒未満に維持して、光毒性を最小化した。公開されたMATLABスクリプト(Cappellら、2016)を使用して、以前に記載された通りに(Aroraら、2017)、細胞トラッキングを行った。https://github.com/scappell/Cell_trackingにおけるダウンロードからトラッキングコードを利用できる。動画の各フレームにおける分割された核の数を計数することにより、経時的な細胞計数を得た。
【0175】
免疫蛍光:
細胞は、新鮮に調製した4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで2回洗浄し、ブロッキングバッファー(PBS中3%BSA)と共に1時間室温でインキュベートした。0.2%Triton−X 100を使用して、15分間4℃で透過処理を実行した。一次抗体をブロッキングバッファーに希釈し、細胞と共に一晩4℃でインキュベートし、続いて1×PBSで3回洗浄した。Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546またはAlexa Fluor 647にコンジュゲートした二次抗体を細胞と共に1時間インキュベートし、続いて1×PBSで3回洗浄した。1:10000でヘキスト33342色素を使用してDNAを10分間染色した(ThermoFisher H3570)。10×0.45NA対物レンズを備えるNikon Eclipse TiまたはTi2顕微鏡において画像を獲得した。各細胞のヘキストシグナルの積分強度を得ることにより、DNA含量を決定した。DNA含量のヒストグラムをプロットし、閾値および2Nピークの終わりを導くことにより、細胞を3〜4N DNA含量として描写した。
【0176】
抗体および試薬:
本研究で使用した抗体は、ホスホ−Rb(Ser807/811)(CST 8516)、ホスホ−ヌクレオリン(Thr84)(Abcam ab196338)、ホスホ−NBS1(Ser432)(Abcam ab12297)、ホスホ−CDC6(Ser54)(Abcam ab75809)、GAPDH(
図4ではCST 5174、
図5ではInvitrogen ZG003)、β−チューブリン(CST 86298)、ヒストンH3(CST)、CDK2(Abcam ab32147)、CDK4(Abcam ab108357)、CDK6(Abcam ab151247およびab124821)、サイクリンD1(サイクリンD1クローンSP4(Thermo Scientific RM−9140−S0)、サイクリンD2(CST 3741)、サイクリンD3(CST 2936)、ホスホ−CDK2 T160(Cell Signaling 2561)、CDK2(Abcam 32147)、p21(Santa Cruz 6246)、サイクリンE(Santa Cruz 481)、ビンキュリン(Sigma V9131)、Alexa 488ヤギ抗マウス(Thermo Fisher Scientific、A−11001)、Alexa Fluor 546ヤギ抗ウサギ(Thermo Fisher Scientific、A−11035)およびAlexa Fluor 647ヤギ抗ウサギ(Thermo Fisher Scientific、A−21245)であった。
【0177】
パルボシクリブおよびPF3600は、無水DMSO(Sigma−Aldrichカタログ番号:276855)に溶解した;パルボシクリブは、1μMの最終濃度となるように添加し、P3600は、指し示される通り、25nM、100nMまたは500nMの最終濃度となるように添加した。アベマシクリブ(カタログ番号:HY−16297A)およびリボシクリブ(カタログ番号:HY−15777)は、MedChemExpressから購入し、無水DMSOに溶解した。アベマシクリブは、1μMの最終濃度となるように添加し、リボシクリブは、5μMの最終濃度となるように添加した。3MB−PP1(Cayman Chemicalカタログ番号:17860)は、無水DMSOに溶解し、10μMの最終濃度となるように添加した。RO3306(#SML0569)は、Sigma Aldrichから購入した。
【0178】
共免疫沈降:
DMSOまたは100nM PF3600で24時間処置したMCF10A細胞は、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ホスファターゼ阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤(Sigma−Aldrich P8340の1:1000希釈)を補充した1×細胞溶解バッファー(CST 9803)を使用して溶解した。ライセートにおける総タンパク質濃度は、Bradfordアッセイを使用して測定し、等しい含量のタンパク質を5μgの抗体と共に一晩4℃でインキュベートした。プロテインG Dynabeads(ThermoFisher 10003D)とインキュベートすることにより、抗原−抗体複合体をプルダウンし、1×溶解バッファーで3回洗浄した。ビーズに結合したタンパク質は、1×LDS試料バッファー(ThermoFisher NP0007)を使用して溶出し、ウエスタンブロッティングによって解析した。
【0179】
ホスホ−セリン807/811 Rb ELISA:
MCF10AまたはMCF7細胞を、96ウェル細胞培養プレート内の成長培地に25,000細胞/ウェルで播種し、37℃で5%CO
2により一晩接着させた。翌日、10mMストックから11ポイント3倍希釈曲線のためにDMSO(Sigma)において化合物を系列希釈した。細胞における0.1%DMSOにおける最終濃度10μMトップ用量のための細胞における1:5希釈に先立ち、化合物を成長培地へ中間的に1:200希釈した。細胞を1時間37℃で5%CO
2において処置した。プロテアーゼ阻害剤カクテル(Cell Signaling Technologies、5872)、SDSおよびPMSFを含有する溶解バッファー(Cell Signaling Technologies、9803)に細胞を氷上で溶解し、4℃での一晩インキュベーションのために、予めコーティングされブロッキングされた抗ホスホ−Ser807/811 Rb(Cell Signaling Technologies、8516)ELISAプレートに移した。プレートをリン酸緩衝溶液で洗浄して、残渣非結合細胞タンパク質を除去し、総Rb検出抗体(Cell Signaling Technologies、9309)を90分間37℃で添加した。非結合総Rb抗体を除去するための洗浄後に、HRPをタグ付けされた抗体(Cell Signaling Technologies、7076)を30分間37℃で結合させた。非結合HRP抗体を除去するための洗浄後に、Glo基質試薬(R&D Systems、DY993)を添加し、光から保護しつつ5〜10分間インキュベートした。Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)において発光モードでプレートを読み取り、GraphPad Prismバージョン8.0.2を使用してIC50値を計算した。
【0180】
ウエスタンブロッティング:
等しい数の細胞を使用した、1×LDS試料バッファー(ThermoFisher NP007)を使用して、ライセートを調製した。NuPAGEプレキャストポリアクリルアミドゲル(ThermoFisher NP0301)を使用して、タンパク質を分離した。総タンパク質は、Azure Red色素(Azure Biosystems AC2124)を使用して定量化し、目的の抗体のシグナルの正規化に使用した。使用した一次抗体は、「抗体」セクションにて指定されている。HRPコンジュゲートまたはIR700およびIR800標識蛍光二次抗体を可視化のために使用した(Cell Signaling Technology 7074および7076)。
【0181】
図7Bにおけるウエスタンブロットのため、プロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤のカクテル(complete Mini、Roche、11836153001;ホスファターゼ阻害剤カクテル2および3、Sigma、P5726およびP0044)を補充したタンパク質溶解バッファー(50mM Tris−HCl pH7.4、150mM NaCl、0.5%NP−40)においてタンパク質抽出を行った。Bradford(Bio−Rad)法を使用してタンパク質濃度を測定した。腫瘍組織から得た25gのタンパク質抽出物を、NUPAGE TM 4〜12% Bis−Tris Midiゲル(Invitrogen)において分離し、ニトロセルロース膜(GE Healthcare)に転写し、一次抗体によりブロットした。マウスまたはウサギIgGに対するヤギ二次抗体(HRP、DakoおよびAlexa Fluor 680、Invitrogen)により一次抗体を検出し、ECLウエスタンブロット検出溶液(GE Healthcare)により可視化した。
【0182】
mRNA FISH:
ThermoFisherから標的特異的mRNAプローブを得て、ViewRNA ISHキット(QVC001)を製造業者のプロトコールと共に使用して、単細胞における標的mRNA発現を検出した。本研究で使用したプローブは、CCND1(VA6−16943−VC)、CCND2(VA4−3083615−VC)、CCND3(VA6−17696−VC)、CDK4(VA6−18880)およびCDK6(VA6−3169253)である。mRNA FISHシグナルの定量化のため、ヘキストを使用して核マスクを得て、これは、細胞当たりのメジアン細胞質シグナル強度を得るために1ピクセルにより拡張された。
【0183】
単細胞CDK2活性解析:
イメージング期間中に分裂して薬物処置を受けた、非同期的に周期を進める細胞は、薬物添加時点に対する相対的な細胞の分裂後期の時間に基づきカテゴリーへと最初に分割した。次に、このような細胞はその上、有糸分裂事象後のそのDHB細胞質/核(C/N)比に基づきサブカテゴリー化した。C/N比は、細胞質の核に対する平均DHB蛍光の比を定量化することにより計算し、細胞質構成成分は、核マスクの外側のピクセルのリングの上位50パーセンタイルの平均として計算した。
【0184】
分裂後期3時間後にDHB C/N比が、0.5単位を上回る場合、細胞は、CDK2
incとして分類し、それ以外の場合は、CDK2
lowとして分類した。図の説明文は、CDK2
inc細胞のみがプロットされたか、または全ての細胞がプロットされたかを指し示す。次に、サブカテゴリーにおける単細胞トレースのメジアンを使用して、特定のサブカテゴリーを代表する95%信頼区間によるメジアントレースを作成した。カスタムMATLABスクリプトを使用して、全ての細胞トレース解析を行った。要求に応じてコードを利用できる。
【0185】
ホスホ−プロテオミクス:
以前に記載された通りに(Lapekら、2017b)、ホスホ−ペプチド濃縮を行った。次に、以前に記載された通りに(EdwardsおよびHaas、2016)、凍結乾燥したホスホ−ペプチドをTMT標識し、逆相塩基性pH分画によって分画し、画分を組み合わせた。画分を凍結乾燥し、MS解析まで80℃で貯蔵した。LC−MS2/MS3解析のため、10μLの5%ギ酸中5%アセトニトリルにおいて試料を復元し、各画分のうち8μLを解析のためにOrbitrap Fusion Lumosに注射した。
【0186】
60℃に加熱したPepMap RSLC C18カラム(2μm、100Å、75μm×50cm)において、300nL/分で7〜32%溶媒B(0.1%ギ酸中80%アセトニトリル)の165分間勾配においてペプチドを溶出した。5秒間サイクルによるトップスピードモードでスペクトルを獲得した。500〜1500m/zの範囲にわたる60000分解能でOrbitrapにおいて、MS1データを収集した。2×10
5の自動利得制御(AGC)標的を、100ミリ秒の最大注射時間により使用した。急速スキャン速度、70ミリ秒の最大注射時間および2×10
4のAGC標的によるイオントラップにおいて、MS2データを獲得した。0.5m/zの単離ウィンドウにより、四重極を単離のために使用した。10ミリ秒の活性化時間および0.25の活性化Qにより、30%正規化衝突エネルギーにおけるCIDによりペプチドを断片化した。MS3スペクトルのため、最大10イオンが同期的前駆物質選択のために選択され、Orbitrapにおける60000分解能でデータを収集した。55%のエネルギーにおけるHCDによりイオンを断片化した。250ミリ秒の最大注射時間および110m/zの第1の質量により、MS3 AGCを1×10
5に設定した。全ステージにおけるデータは、質量中心(centroided)であった。
【0187】
その結果得られる未加工のファイルをIP2GPUサーバー(Integrated Proteomics Applications、Inc.)で処理した。現在の夾雑物(contaminant)データベースおよびリバース(reverse)データベースに連結されたUniprotヒトデータベース(2018年1月29日にダウンロード)に対して、ProLuCIDアルゴリズム(Xuら、2015)によりデータを検索した。システイン残基のカルバミドメチル化(Carbamidomethylation)(+57.02146)ならびにペプチドn末端およびリジン残基のTMT−11修飾(+229.162932)が、静的修飾として含まれた。メチオニンの酸化(+15.9949)ならびにセリン、スレオニンおよびチロシンのリン酸化(+79.966331)が、可変的修飾として含まれた。最大4個の可変的修飾および2個の見逃された切断が許される。ペプチドは、考慮されるために最小で6アミノ酸の長さを有する必要があった。50ppm MS1許容値(Huttlinら、2010)および800ppm MS2許容値によりデータを検索した。1%タンパク質レベル偽発見率へと最終データにフィルターをかけた。
【0188】
以前に記載された通りに(Lapekら、2017a)、多段階プロセスでデータを正規化した。手短に説明すると、最初のデータは、プールされたブリッジチャネルに対して正規化して、ラン間の(run-to-run)機器性能差を補償し、次いで、メジアンを磨いて(scrub)、任意の混合エラーを補償した。全ホスホデータを処理し、ペプチドレベルで解析した。
【0189】
実験モデル詳細:
Icahn School of MedicineのRobert Fisher研究室の厚意により得られたRPE−hTERT野生型およびCDK2アナログ感受性細胞を例外として、本研究で使用した細胞株は、ATCCから得た。MCF10A(ヒト乳房上皮)細胞は、5%ウマ血清(Invitrogen)、20ng/mL上皮成長因子(Sigma−Aldrich)、0.5mg/mLヒドロコルチゾン(Sigma−Aldrich)、100ng/mLコレラ毒素(Sigma−Aldrich)および10μg/mLインスリン(Invitrogen)を補充したDMEM/F12において培養した。RPE−hTERT細胞は、10%FBSを有するDMEMにおいて育成した。MCF7およびOVCAR3細胞は、10%FBSを補充したRPMI−1640を使用して育成した。siRNAトランスフェクション中を除いて、全ての完全成長培地に、ペニシリン/ストレプトマイシンを補充した。全ての細胞は、37℃で5%CO2により培養した。
【0190】
マウス研究:
マウス:Kras
+/LSLG12VTrp53
L/LおよびCdk2
−/−マウスは、以前に記載された(Guerraら、2003;Jonkersら、2001;Ortegaら、2003)。次の導入遺伝子:Kras
+/LSLG12V(Guerraら、2003);Trp53
L/L(Leeら、2012)およびCdk2
−/−(Ortegaら、2003)を使用した複合マウスを本研究のために作製した。全動物実験は、Ethical Committees of the Spanish National Cancer Research Centre(CNIO)、Carlos III Health InstituteおよびAutonomous Community of Madrid(PROEX 270/14)によって承認され、Council for International Organizations of Medical Sciences(CIOMS)によって開発されたInternational Guiding Principles for Biomedical Research Involving Animalsに記されたガイドラインに従って実施された。マウスは、CNIOのAnimal Facility(AAALAC、JRS:dpR 001659)において特定病原体を含まない条件下で収容した。雌および雄マウスを実験に使用した。全マウスは、CNIOのGenomic Unitにおいて遺伝子型決定した。
【0191】
肺腫瘍誘導:麻酔した(ケタミン75mg/kg、キシラジン12mg/kg)8週齢マウスにおいて、Creリコンビナーゼをコードするアデノウイルス(Ad−Cre)の10
6pfu/マウスの単一用量の鼻腔内滴下注入によって、肺腺癌の誘導を実行した。全アデノウイルス調製物は、University of Iowa(Iowa City、USA)から購入した。
【0192】
マイクロCTイメージング:画像研究は、CNIOのMolecular Imaging Core Unitによって行われた。1%〜3%イソフルラン/酸素混合物の連続流(0.5L/分)によりマウスを麻酔し、CompaCTスキャナー(SEDECAL Madrid SpainGE)により行われる三次元マイクロコンピュータ処理断層撮影によって胸部区域をイメージングした。360度スキャンによる720投射、3フレームによる100ミリ秒の積分時間、50KeVの光子エネルギーおよび100uAの電流により、データを獲得した。GE MicroViewソフトウェアv2.2により腫瘍測定値を得た。次の通りに腫瘍体積を計算した:(短軸×短軸×長軸/2)。
【0193】
マウスにおける薬理学的処置:Kras
+/LSLG12V;Trp53
L/L;Cdk2
−/−およびKras
+/LSLG12V;Trp53
L/L;Cdk2
+/+マウスを、10
6pfuのAd−Creに感染させた。CTによって腫瘍が検出されたら、3mm
3よりも大きい少なくとも1個の腫瘍を有するマウスを異なる処置群に登録した。パルボシクリブは、70mg/kg QDで4週間投薬し、PF3600は、50mg/kg BIDで4週間投薬した。薬物有効性は、CT測定によってモニターした。
【0194】
【表1-1】
【0195】
【表1-2】
【0196】
【表1-3】
【0197】
【表1-4】
【0198】
【表1-5】
【0199】
【表1-6】
【0200】
【表1-7】
【0201】
【表1-8】
【0202】
参考文献
次の参考文献は、それらの全体を参照により本明細書に組み込む:
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