(54)【発明の名称】3−シアノ−1−[4−[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−A]ピラジン−4−イル]−1H−ピラゾール−1−イル]シクロブタンアセトニトリルの結晶形態、およびその使用
【課題】(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基および形態2の一水和物の新規の結晶形態、それらを含有する医薬組成物、それらの調製ならびにそれらの使用。
【解決手段】本発明は、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基および形態2の一水和物の新規の結晶形態、それらを含有する医薬組成物、それらの調製ならびにそれらの使用を開示する。
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル、無水遊離塩基の結晶形態。
2θに関して、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
2θに関して、8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
2θに関して、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターン、ならびに60.2および131.4ppm±0.2ppmからなる群から選択される固体13C核磁気共鳴化学シフトにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形態。
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル、一水和物の結晶形態。
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基の局所製剤であって、その結晶形態を経皮投与に適した賦形剤と組み合わせることにより調製される、局所製剤。
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物の局所製剤であって、その結晶形態を経皮投与に適した賦形剤と組み合わせることにより調製される、局所製剤。
【背景技術】
【0002】
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルは、化学式C
20H
17N
9および次の構造式:
【0003】
【化1】
を有する。
【0004】
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの合成は、本願の譲受人に譲渡された米国特許第10,144,738号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基、および形態2の一水和物の結晶形態は、酵素ヤヌスキナーゼ(JAK)などのプロテインキナーゼの阻害剤として有用であり、したがって、臓器移植、異種移植、狼瘡、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬、I型糖尿病および糖尿病に由来する合併症、がん、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫性甲状腺障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、アルツハイマー病、白血病ならびに免疫抑制が望ましいであろう他の適応症のための免疫抑制剤として治療上有用である。本発明は、医薬剤形の製造において使用するために改善された物質特性を持つ(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの無水遊離塩基および一水和物の新規の固体形態に関する。
【0005】
化学構造に基づき、ある化合物が結晶化するのか、どのような条件下で結晶化するのか、化合物に何種の結晶性固体形態、またはそれらの形態のいずれかの固体構造が存在し得るのかを、ある程度の確実性で予測することはできない。任意の結晶薬物の重要な特徴は、そのような物質の多形挙動である。一般に、薬物の結晶形態は、一部では、それらの優れた安定性のために、薬物および薬物中間体の非結晶形態よりも好ましい。例えば、多くの状況において、非結晶薬物は、貯蔵の際に結晶薬物へと変わることが観察される。薬物の非結晶および結晶形態は典型的には、異なる物理的特性および化学的特性を有するので、そのような相互変換は、薬学的利用における安全性の理由で、望ましくないことがある。医薬化合物の異なる固体形態により示される異なる物理的特性は、貯蔵、安定性、圧縮性、密度(製剤および製品製造において重要)、および溶解速度(生物学的利用能の決定において重要)などの重要な薬学的パラメーターに影響を及ぼし得る。安定性の差は、化学的反応性の変化(例えば、ある特定の多形体を含む剤形が、異なる多形体を含む剤形よりも迅速に退色し得るような、示差的加水分解または酸化)、機械的変化(例えば、動態学的に有利な結晶形態が熱力学的により安定な結晶形態に変わるので、錠剤が貯蔵時に崩壊し得る)、またはその両方(例えば、1種の多形体の錠剤が高湿度でより破損しやすい)をもたらし得る。
【0006】
多形体間での溶解性の差は、極端な状況では、効力が欠如した結晶形態への移行をもたらし得るか、または過剰曝露をもたらし得る。加えて、結晶形態の物理的特性も、薬学的加工において重要であり得る。例えば、特定の結晶形態は、他の結晶形態よりも容易に溶媒和物を形成し得るか、または不純物から濾過および洗浄することが困難であり得る(すなわち、粒子形状およびサイズ分布がある1種の結晶形態と他の形態との間で異なり得る)。
【0007】
物理的形態が異なれば提供する利点も異なるので、薬物に、ある1種の理想の物理的形態が存在するわけではない。最も安定な形態の探索は困難であり、結果は予測不可能である。したがって、様々な製剤で使用することができる様々な固有の薬物形態、例えば、塩、多形体、非結晶形態を求めることが重要である。具体的な製剤または治療適用のために薬物形態を選択するには、様々な特性を検討することが必要であり、特定の用途のための最良の形態は、1つの特異的に重要な良好な特性を有するが、他の特性は許容されるか、またはかろうじて許容されればよい形態であり得る。
【0008】
薬物の開発の成功には、それが、患者のために治療上有効な処置であり得るある特定の全般的な要件を満たすことが必要である。これらの要求は、2つのカテゴリーに分類される:(1)剤形を成功裏に製造するための要件、ならびに(2)薬物製剤が患者に投与された後に成功裏に薬物送達および配置するための要件。
【0009】
同じ化合物の異なる結晶性固体形態は多くの場合に、融点、溶解性、溶解速度、吸湿性、紛体流、機械的特性、化学的安定性および物理的安定性などの異なる固体特性を持つ。これらの固体特性は、濾過、乾燥、および剤形製造単位操作において利点を提示し得る。したがって、同じ化合物の種々の結晶性固体形態が同定されたら、任意の所与の加工および製造条件セット下で最適な結晶性固体形態、さらには各結晶性固体形態の異なる固体特性を決定することができる。
【0010】
分子の多形体は、当技術分野で公知のいくつかの方法により得ることができる。そのような方法には、これに限定されないが、溶融再結晶化、溶融冷却、溶媒再結晶化、脱溶媒、急速蒸発、急冷、徐冷、蒸気拡散および昇華が含まれる。これに限定されないが、示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TGA)、X線粉末回折法(XRPD)、単結晶X線回折法、固体核磁気共鳴(NMR)、赤外(IR)分光法、ラマン分光法、および高温光学顕微鏡法(hot−stage optical microscopy)などの周知の技法を使用して多形体を検出する、同定する、分類する、および特徴付けることができる。
【0011】
本発明は、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基の結晶形態を対象とする。本発明はまた、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物の結晶形態に関する。本発明はまた、結晶性(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基、または形態2の一水和物のいずれかを含有する医薬組成物を含む組成物を対象とする。本発明はさらに、結晶性(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基、および形態2の一水和物を調製するためのプロセスを対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、形態1の無水遊離塩基および形態2の一水和物を含む(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態を対象とする。本発明はまた、各結晶形態を含む医薬組成物、およびそのような形態を調製するための方法を対象とする。本発明はさらに、様々な疾患の処置における上記結晶形態の使用を対象とする。
【0025】
固体化学の当業者が固体形態を分析するために使用することができるいくつかの分析法が存在する。本明細書で使用する場合の「分析する」という用語は、固体形態の固体構造についての情報を得ることを意味する。例えば、粉末X線回折は、非晶質固体形態を結晶性固体形態から区別するため、ならびに化合物の結晶性固体形態を特徴付ける、および同定するために適した技術である。粉末X線回折(PXRD)はまた、混合物中の1種の結晶性固体形態(または複数の形態)の量を定量化するために適している。粉末X線回折では、X線が結晶粉末に当てられ、回折されたX線の強度が、X線供給源と試料により回折されたビームとの間の角度の関数として測定される。これらの回折されたX線の強度を、グラフ上にピークとしてプロットすることができるが、その際、x軸は、X線供給源と回折されたX線との間の角度(これは「2θ」角度として知られている)であり、y軸は、回折されたX線の強度である。このグラフは、粉末X線回折パターンまたは粉末パターンと呼ばれる。異なる結晶性固体形態は異なる粉末パターンを示し、それというのも、x軸上でのピークの場所は、結晶の固体構造の固有性であるためである。
【0026】
そのような粉末パターン、またはその一部を結晶性固体形態のための同定フィンガープリントとして使用することができる。したがって、未知の試料の粉末パターンを取り、その粉末パターンを参照粉末パターンと比較することができるであろう。プラスの一致は、その未知の試料が参照のものと同じ結晶性固体形態のものであることを意味するであろう。既知の化合物の粉末パターンを加えることにより、かつ差し引くことにより、固体形態の混合物を含有する未知の試料を分析することもできるであろう。
【0027】
結晶性固体形態を特徴付けるために粉末パターンにおいてピークを選択する場合、または形態を同定するために参照粉末パターンを使用する場合、1つの形態において、他の固体形態には存在しないピークまたはピークの集合を同定する。
【0028】
本明細書で使用する場合の「特徴付ける」という用語は、1つの固体形態を別のものから区別することができる適切なデータのセットを選択することを意味する。粉末X線回折におけるそのデータのセットは、1つまたは複数のピークの位置である。どの粉末X線回折ピークが特定の形態を定義するかを選択することが、その形態を特徴付けることであると言われている。
【0029】
本明細書で使用する場合の「同定する」という用語は、固体形態について特性データを選択し、そのデータを、その形態が試料中に存在するかどうかを決定するために使用することを意味する。粉末X線回折では、それらのデータは、上記で論述したとおりの目的の形態を特徴付ける1つまたは複数のピークのx軸上の位置である。例えば、X線回折ピークの選択数が特定の固体形態を特徴付けることを決定したら、それらのピークを、その形態が試料中に存在するかどうかを決定するために使用することができる。
【0030】
粉末X線回折を用いて同じ化学化合物の結晶性固体形態を特徴付ける、および/または同定する場合、粉末パターン全体を使用する必要はないことが多い。粉末パターン全体のうちのより小さなサブセットを、特徴付けおよび/または同定を行うために使用すればよいことが多い。化合物の結晶性固体形態を他の結晶性固体形態から区別するピークの集合を選択することにより、形態を特徴付けるためと、例えば、未知の混合物において形態を同定するためとの両方で、それらのピークを信頼することができる。形態を特徴付ける、および/または同定するために、別の分析技法からのものまたは粉末パターンからの追加のピークなどの追加のデータを加えることができ、例えば、追加の多形を後で同定すべきである。
【0031】
機器、試料、および試料の調製の違いにより、ピーク値を時には、ピーク値の前に修飾語句「約」を伴って報告する。これは、ピーク値に固有の変化のため、固体化学分野では一般的な慣例である。粉末パターンにおけるピークの2θx軸値の典型的な精度は、プラスまたはマイナス0.2°2θ程度である。したがって、「約9.2°2θ」にあるような回折ピークは、大抵のX線回折計で大抵の条件下で測定した場合に、そのピークが、9.0°2θと9.4°2θとの間に存在し得るであろうことを意味する。ピーク強度の変動性は、個々の結晶が外部X線供給源に対して試料容器中でどのように配向しているか(「選択配向性(preferred orientation)」として公知)の結果である。この配向作用は、結晶についての構造情報を提供するものではない。
【0032】
粉末X線回折は、結晶性固体形態を特徴付ける、および/または同定するために使用することができるいくつかの分析技法の1つにすぎない。ラマン(顕微ラマンを含む)、赤外、および固体NMR分光法などの分光学的技法を、結晶性固体形態を特徴付ける、および/または同定するために使用することができる。これらの技法も、混合物中の1種または複数の結晶性固体形態の量を定量化するために使用することができ、ピーク値も、ピーク値の前に修飾語句「約」を伴って報告することができる。FT−ラマンおよびFT−赤外測定に関連するピーク値の典型的な変動性は、プラスまたはマイナス2cm
−1程度である。
13Cまたは
19F化学シフトに関連するピーク値の典型的な変動性は、結晶性物質ではプラスまたはマイナス0.2ppm程度である。示差走査熱分析の開始温度に関連する値の典型的な変動性は、プラスまたはマイナス5℃程度である。
【0033】
本明細書で使用する場合の「室温」という用語は、20℃〜23℃の温度範囲を指す。
【0034】
第1の態様では、本発明は、
I)Cu波長放射を使用して測定された次の2θ値:20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θを含む粉末X線回折パターン;
II)Cu波長放射を使用して測定された次の2θ値:18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θを含む粉末X線回折パターン;ならびに
III)Cu波長放射を使用して測定された次の2θ値:8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θを含む粉末X線回折パターン
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基の結晶形態を含む。
【0035】
したがって、本発明は、2θに関して、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態を提供する。本発明はまた、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態を提供する。本発明はさらに、8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態を提供する。
【0036】
加えて、本発明は、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基の結晶形態と;薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0037】
ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。また他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。
【0038】
第2の態様では、本発明は、
I)Cu波長放射を用いて測定された次の2θ値:7.4°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θを含む粉末X線回折パターン;
II)Cu波長放射を用いて測定された次の2θ値:7.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θを含む粉末X線回折パターン;ならびに
III)Cu波長放射を用いて測定された次の2θ値:7.4°、10.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θを含む粉末X線回折パターン
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル一水和物(形態2)の結晶形態を含む。
【0039】
したがって、本発明は、2θに関して、7.4°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル一水和物の結晶形態を提供する。本発明はまた、7.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル一水和物の結晶形態を提供する。本発明はさらに、7.4°、10.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル一水和物の結晶形態を提供する。
【0040】
加えて、本発明は、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル一水和物の結晶形態と;薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が7.4°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が7.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。また他の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が7.4°、10.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記医薬組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、クリーム剤、経皮パッチ、軟膏剤、眼滴剤、ローション剤およびゲル剤から選択される局所製剤を含む、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる前記結晶形態の医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、上記局所製剤が結晶性(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基または形態2の一水和物約0.1%〜約5.0%(w/v)を含有する、前記医薬組成物を提供する。
【0042】
加えて、本発明は、哺乳類において疾患を処置する方法であって、それを必要とする哺乳類に、治療有効量の(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基の結晶形態、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを投与することを含み、上記疾患が、狼瘡、関節リウマチ、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。また他のある特定の実施形態では、本発明は、8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θに関してピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。
【0043】
本発明はまた、哺乳類において疾患を処置する方法であって、それを必要とする哺乳類に、治療有効量の(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物の結晶形態、またその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを投与することを含み、上記疾患が狼瘡、関節リウマチ、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が7.4°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、7.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。また他のある特定の実施形態では、本発明は、7.4°、10.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θに関してピークを含む粉末X線回折パターンを有する前記結晶形態を提供する。
【0044】
本発明はまた、哺乳類において疾患を局所処置する方法であって、局所投与様式により、それを必要とする哺乳類に、治療有効量の(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基の結晶形態、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを投与することを含み、上記疾患が、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、上記結晶形態が18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。また他のある特定の実施形態では、本発明は、上記結晶形態が8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θ±0.2°2θに関してピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。
【0045】
本発明はまた、哺乳類において疾患を局所処置する方法であって、局所投与様式により、それを必要とする哺乳類に、治療有効量の(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物の結晶形態、またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できる担体とを投与することを含み、上記疾患が白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎からなる群から選択される方法を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、前記結晶形態が7.4°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。ある特定の他の実施形態では、本発明は、上記結晶形態が7.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θにピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。また他のある特定の実施形態では、本発明は、上記結晶形態が7.4°、10.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θ±0.2°2θに関してピークを含む粉末X線回折パターンを有する、前記方法を提供する。
【0046】
したがって、本発明は、本明細書に開示の結晶形態を含む医薬組成物、およびそのような形態を調製するための方法、さらには医薬品において使用するための、ならびに狼瘡、関節リウマチ、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬、乾癬性関節炎、およびアトピー性皮膚炎などの疾患の処置において使用するための医薬組成物を提供する。本発明はまた、狼瘡、関節リウマチ、IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、白斑、脱毛症、乾癬およびアトピー性皮膚炎などの疾患を処置するための医薬品の製造におけるそのような医薬組成物の使用を提供する。
【0047】
本発明はさらに、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基を適切な溶媒から再結晶化することにより調製された(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態を提供する。本発明はさらに、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物を適切な溶媒から再結晶化することにより調製された(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態を提供する。
【0048】
本発明はまた、その結晶形態を経皮投与に適した賦形剤と組み合わせることにより調製された(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基、または形態2一水和物の局所製剤を提供する。
【0049】
本明細書に列挙した疾患および症候群を処置する方法は、そのような処置を必要とする個体に、治療有効量の本発明の多形体、またはそれを含有する組成物を投与することを伴うと理解される。本明細書で使用する場合、疾患に言及する際の「処置すること」という用語は、疾患を予防する、阻害する、および/または寛解することを指すことが意図されている。
【0050】
本明細書で使用する場合、互換的に使用される「個体」または「患者」という用語は、哺乳類を含む任意の動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、または霊長類、最も好ましくはヒトを指す。本明細書で使用する場合、「治療有効量」という語句は、次のもの:
(1)疾患の予防;例えば、疾患、状態または障害の素因があり得るが、その疾患の病態または総体的症状をまだ経験していない、または表示していない個体における疾患、状態または障害の予防;
(2)疾患の阻害;例えば、疾患、状態または障害の病態または総体的症状を経験している、または表示している個体における疾患、状態または障害の阻害(すなわち、病態および/または総体的症状のさらなる進展の停止または減速);および
(3)疾患の寛解;例えば、疾患、状態または障害の病態または総体的症状を経験している、または表示している個体における疾患、状態または障害の寛解(すなわち、病態および/または総体的症状の逆転)
のうちの1つまたは複数を含む、研究者、獣医師、医師または他の臨床医により求められている組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬成分の量を指す。
【0051】
投薬量および製剤
本発明はまた、本結晶形態の1種または複数を1種または複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤、ビヒクルなどと共に利用する医薬組成物を含む。
【0052】
本発明の結晶形態を、本明細書に記載の状態を処置するために有効な量で投与し、結晶性化合物自体として、または代替的には、薬学的に許容できる塩として投与することができる。投与および投与目的では、結晶性化合物自体またはその薬学的に許容できる塩を単に、本発明の化合物と称することとする。
【0053】
本発明の化合物を任意の適切な経路により、そのような経路に適合させた医薬組成物の形態で、かつ意図されている処置に有効な用量で投与する。本発明の化合物を経口、直腸、経膣、非経口、または局所投与することができる。
【0054】
本発明の化合物を経口投与することができる。経口投与は、上記化合物が消化管に入るように嚥下することを伴い得るか、または上記化合物が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を使用することができる。
【0055】
別の実施形態では、本発明の化合物を、血流、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与のための適切な手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与のための適切なデバイスには、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および注入技法が含まれる。
【0056】
別の実施形態では、本発明の化合物を皮膚または粘膜に局所的に、すなわち、皮膚に、または経皮投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物を鼻腔内で、または吸入により投与することもできる。別の実施形態では、本発明の化合物を直腸または経膣投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物を眼または耳に直接投与することもできる。
【0057】
本発明の化合物および/または前記化合物を含有する組成物の投与計画は、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的状態;状態の重症度;投与経路;ならびに使用される特定の化合物の活性を含む様々な因子に基づく。したがって、投与計画は幅広く変動し得る。一実施形態では、本発明の化合物の総1日用量は典型的には、本明細書において論述した適応状態の処置では約0.01〜約100mg/kg(すなわち、体重1kgあたりの本発明の化合物mg)である。別の実施形態では、本発明の化合物の総1日用量は、約0.1〜約50mg/kg、別の実施形態では、約0.5〜約30mg/kgである。
【0058】
経口投与では、上記組成物を、患者に対する投与量の対症調整(symptomatic adjustment)のために、上記活性成分0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75.0、100、125、150、175、200、250および500ミリグラムを含有する錠剤の形態で提供することができる。医薬品は典型的には、上記活性成分約0.01mg〜約500mg、または別の実施形態では、活性成分約1mg〜約100mgを含有する。静脈内で、用量は、定速度注入中に約0.01〜約10mg/kg/分の範囲であってよい。
【0059】
本発明による適切な対象には、哺乳類対象が含まれる。本発明による哺乳類には、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、げっ歯類、ウサギ、霊長類などが含まれ、子宮内の哺乳類が包含される。一実施形態では、ヒトが適切な対象である。ヒト対象は、いずれの性別でも、いずれの発生段階にあってもよい。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、薬学的に許容できる担体と共に提供される本発明の化合物を含む。他の薬理学的活性物質も存在してよい。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容できる担体」には、生理学的に適合性であるあらゆるすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容できる担体の例には、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、さらにはそれらの組合せの1種または複数が含まれ、等張化剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはポリアルコール、例えば、マンニトール、またはソルビトールが上記組成物中に含まれてよい。上記抗体もしくは抗体部分の貯蔵寿命もしくは有効性を増強する湿潤剤などの薬学的に許容できる物質、または湿潤もしくは乳化剤、防腐剤もしくは緩衝剤などの少量の補助物質。
【0061】
本発明の組成物は様々な形態で存在し得る。これらには、例えば、液体、半固体および固体剤形、例えば、液体液剤(例えば、注射用および不融性液剤)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム剤および坐剤が含まれる。形態は、意図されている投与様式および治療用途に依存する。
【0062】
典型的な組成物は、一般に抗体でのヒトの受動免疫で使用されるものと同様の組成物などの注射用および不融性液剤の形態である。投与様式の1つは非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。別の実施形態では、上記抗体を静脈内注入または注射により投与する。また別の実施形態では、上記抗体を筋肉内または皮下注射により投与する。
【0063】
固体投与形態の経口投与を例えば、それぞれ所定の量の少なくとも1種の本発明の化合物を含有する硬もしくは軟カプセル剤、丸剤、カシェ剤、ロゼンジ剤、または錠剤などの別個の単位で提供することもできる。別の実施形態では、上記経口投与は、散剤または顆粒剤形態であってよい。別の実施形態では、上記経口投与形態は、例えば、ロゼンジ剤などの舌下である。そのような固体剤形では、上記結晶性化合物を普通は、1種または複数のアジュバントと組み合わせる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有してもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、上記剤形は緩衝剤を含んでもよいか、または腸溶コーティングを用いて調製してもよい。
【0064】
別の実施形態では、経口投与は、液体投与形態であってよい。経口投与用の液体剤形には、例えば、当技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤(例えば、水)を含有する薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。そのような組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または芳香剤などのアジュバントを含んでよい。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、非経口投与形態を含む。「非経口投与」には、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入が含まれる。注射用調製物(すなわち、滅菌注射用水性または油性懸濁剤)は、適切な分散化剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を使用する公知の分野に従って製剤化することができる。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、局所投与形態を含む。「局所投与」には、例えば、経皮パッチもしくはイオン泳動デバイスを介したもの、眼内投与、または鼻腔内もしくは吸入投与などの経皮投与が含まれる。局所投与のための組成物にはまた、例えば、局所ゲル剤、噴霧剤、軟膏剤、およびクリーム剤が含まれる。局所製剤は、皮膚または他の罹患領域を介して上記活性成分の吸収または浸透を増強する結晶性化合物を含み得る。本発明の結晶性化合物を経皮デバイスにより投与する場合、投与を、レザバーおよび多孔膜タイプ、または固体マトリックス変種のいずれかのパッチを使用して達成することとなる。この目的での典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚パッチ、カシェ剤、インプラント剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏およびマイクロエマルジョンが含まれる。リポソームも使用することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。透過促進剤を組み込むことができる−例えば、B.C.FinninおよびT.M.Morgan、J.Pharm.Sci.、vol.88、955〜958頁、1999を参照されたい。
【0067】
したがって、本開示の(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの結晶形態の局所製剤を、経皮、表皮、頬側、肺、眼、鼻腔内、膣および直腸投与様式を含めて、身体の表面ならびに上皮および粘膜組織を含む身体通路の内層を通過しての投与のすべての従来の方法を包含するそのような調製物を使用して投与することができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。そのような局所製剤は、追加の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて調製することができる。臨床有効性に必須であり得る賦形剤は、1種または複数の飽和またはシス−不飽和C10〜C18脂肪族アルコールであるような1種または複数の透過促進剤である。そのような脂肪族アルコールには、C16〜C18脂肪族アルコールが含まれ、最も好ましくは、C18脂肪族アルコールである。シス−不飽和C16〜C18脂肪族アルコールの例には、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、γ−リノレニルアルコールおよびリノレニルアルコールが含まれる。透過促進剤として有用な飽和C10〜C18脂肪族アルコールには、デシルアルコール、ラウイルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールおよびステアリルアルコールが含まれる。代替的には、局所製剤を調製するために使用することができる他の透過促進剤には、飽和の場合は、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸が含まれ得るC10〜C18脂肪酸が含まれる。代替的には、上記透過促進剤は有効に、パルミトレイン酸(シス−9−ヘキサデセン酸)、オレイン酸(シス−9−オクタデセン酸)、シス−バクセン酸(シス−11−オクタデセン酸)、リノール酸(シス−9,12−オクタデカジエン酸)、γ−リノレン酸(シス−6,9,12−オクタデカトリエン酸)、リノレン酸(シス−9,12,15−オクタデカトリエン酸)およびアラキドン酸(シス−5,8,11,14−エイコサテトラエン酸)などのシス−不飽和脂肪酸であり得る。上記透過促進剤、例えば、C10〜C18脂肪族アルコールから選択されるものを約0.1〜約5%(w/v)、より好ましくは、1〜約4%、さらにより好ましくは、1〜約3%(w/v)の範囲の量で使用する。
【0068】
局所製剤は、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルを、必要とする患者に毎日または1日2回投与で与えることができる治療有効量で含有する。これらの量は、約0.1%〜約5.0%(w/v)、より好ましくは約0.1%〜約3.0%(w/v)の範囲である。とりわけ、これらの製剤の安定性を増強する他の賦形剤には、グリセリンおよびプロピレングリコールなどのアルデヒド捕捉剤、ならびにブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、アスコルビン酸(ビタミンC)、ポリフェノール、トコフェロール(ビタミンE)、およびそれらの誘導体などの抗酸化剤が含まれる。
【0069】
眼への局所投与に適した製剤には、例えば、本発明の化合物が適切な担体に溶解または懸濁している点眼剤が含まれる。眼または耳投与に適した典型的な製剤は、等張性のpH調整された滅菌生理食塩水中の超微粉砕懸濁液または溶液の滴剤の形態であってよい。眼および耳投与に適した他の製剤には、軟膏剤、生分解性(すなわち、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(すなわち、シリコーン)インプラント剤、カシェ剤、レンズ剤ならびにニオソームまたはリポソームなどの粒子またはベシクル系が含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲランゴムなどのポリマーを塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤と一緒に組み込むことができる。そのような製剤をイオン泳動により送達することもできる。
【0070】
鼻腔内投与または吸入による投与では、本発明の結晶性化合物を好都合には、患者が絞るか、もしくはポンピングするポンプ型スプレー容器から溶液もしくは懸濁液の形態で、または適切な噴射剤を用いる加圧容器もしくは噴霧器からのエアロゾルスプレー給付として送達する。鼻腔内投与に適した製剤を典型的には、乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態で(単独か、混合物としてのいずれか、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドで、または混合構成成分粒子として、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合して)、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、微細なミストを生じさせるために電機流体力学を使用するアトマイザー)、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を用いるか、もしくは用いないネブライザーからエアロゾルスプレーとして投与する。鼻腔内使用では、上記粉末は、生体用粘着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでよい。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、直腸投与形態を含む。そのような直腸投与形態は、例えば、坐剤の形態であってよい。カカオバターが従来の坐剤基剤であるが、適切であれば様々な代替物を使用することができる。
【0072】
医薬分野で公知の他の担体物質および投与様式も使用することができる。本発明の医薬組成物は、有効な処方および投与手順などの薬学の周知の技法のいずれかにより調製することができる。有効な処方および投与手順に関する上記の検討は当技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。薬物の処方は、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton, Pennsylvania、1975;Libermanら編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York,N.Y.、1980;およびKibbeら編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(第三編)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999に論述されている。
【0073】
本発明の結晶性化合物は単独で、または他の治療薬と組み合わせて使用することができる。本発明は、本明細書の結晶性化合物、または前記化合物の薬学的に許容できる溶媒和物を本明細書に論述する1種または複数の他の治療薬と組み合わせて使用する、本明細書で定義するとおりの使用、方法または組成物のいずれかを提供する。
【0074】
「組合せで」の2種以上の化合物の投与とは、上記化合物のすべてを、ある1種の存在がいずれか他の化合物の生物学的作用を変更するために十分に近接した時間内に投与することを意味する。2種以上の化合物を並行して、同時に、または逐次的に投与することができる。加えて、並行投与を、上記化合物を投与前に混合することにより、または上記化合物を同時点に、しかし、別々の剤形として、同じか、または異なる投与部位に投与することにより実施することができる。
【0075】
「同時投与」、「共投与」、「並行投与」、および「並行して投与する」という語句は、上記化合物を組み合わせて投与することを意味する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、本発明の結晶性化合物を1種または複数の他の医薬成分と組み合わせて投与することを含み、上記1種または複数の他の医薬成分を本明細書に論述した薬剤から選択することができる処置方法を提供する。
【0077】
これらの薬剤および本発明の結晶性化合物を生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液などの薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることができる。特定の投与計画、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、特定の個体およびその個体の病歴に依存することとなる。
【0078】
許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、またはIgなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでよい。
【0079】
これらの薬剤および/または本発明の化合物を含有するリポソームは、米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されているものなど、当技術分野で公知の方法により調製される。循環時間の延長を伴うリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法により生成することができる。リポソームを、規定の空孔サイズのフィルターを通して押し出して、所望の直径を有するリポソームを得る。
【0080】
これらの薬剤および/または本発明の化合物を、例えば、コアセルベーション技法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリラート)マイクロカプセル中に、それぞれ、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル剤)で、またはマクロエマルジョンで封入することもできる。そのような技法は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)に開示されている。
【0081】
持続放出調製物を使用することができる。持続放出調製物の適切な例は、本発明の抗体/化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、そのマトリックスは、成形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリラート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸および7エチル−L−グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射用マイクロスフェア)で使用されているものなどの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、スクロースアセタートイソブチラート、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。
【0082】
静脈内投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは例えば、滅菌濾過膜を通しての濾過により容易に達成される。本発明の結晶性化合物は一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針により貫通され得るストッパーを有する静脈液バッグまたはバイアル内に入れられる。
【0083】
適切な乳剤は、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)などの市販の脂肪乳剤を使用して調製することができる。上記活性成分を事前混合されたエマルジョン組成物に溶解することができるか、または代替的には、油(例えば、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油または扁桃油)ならびにリン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質またはダイズレシチン)および水と混合すると形成するエマルジョンに溶解することができる。エマルジョンの張性を調整するために、他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースを添加することができることは分かるであろう。適切なエマルジョンは典型的には、最大20%、例えば、5〜20%の油を含有するはずである。脂肪乳剤は0.1〜1.0μm、特に0.1〜0.5μmの脂肪滴を含み、5.5〜8.0の範囲のpHを有し得る。
【0084】
これらの教示の化合物は、当技術分野で公知の方法により調製することができる。これらの教示の化合物の調製において使用される試薬は、商業的に入手することができるか、または文献に記載の標準的な手順により調製することができる。例えば、本発明の化合物を、次の実施例に例示の方法に従って調製することができる。
【0085】
本発明の記載では、当業者に周知の様々な略語を利用し、それらには次が含まれる:
aq.:水性
CH
3CN:アセトニトリル
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
FT−IR:フーリエ変換赤外
HOAc:酢酸
MeOH:メタノール
PXRD:粉末X線回折
ss
13C NMR:固体
13C核磁気共鳴
THF:テトラヒドロフラン
TLC:薄層クロマトグラフィー
【実施例】
【0086】
次の非限定的実施例は、単に本発明を例示するために提供するものである。当業者は、例示されていないが、本教示の一部をさらに形成する多数の均等物および変形形態が存在することを理解するであろう。
【0087】
(実施例1)
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2一水和物の調製
再結晶化を、20〜30℃で無水(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1(20g)をTHF(595mL)、メタノール(70mL)および水(35mL)に懸濁することにより行った。混合物を30分間、還流下で加熱した。得られた溶液を、HALAR(登録商標)フィルターを介して予熱(65℃)しておいた容器に移し、続いて、予熱しておいたTHF−メタノール−水(85−10−05%v/v/v)混合物で洗浄した(仕様外操作(spec free operation))。試料を30分間撹拌し、その後、混合物を5℃に4.5時間冷却し、その後、フィルター乾燥機に移し、冷(5℃)THF−水混合物95−05%v/vで洗浄した。沈澱物を、THF残渣が≦0.02%になるまで室温で乾燥して(加湿条件下)、形態2一水和物を白色の流動性粉末として得た。
【0088】
(実施例2)
無水遊離塩基(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の調製
再結晶化を、20〜30℃で無水(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2一水和物(20g)をTHF(595mL)、メタノール(70mL)および水(35mL)に懸濁することにより行った。混合物を30分間、還流下で加熱した。得られた溶液を、HALAR(登録商標)フィルターを介して予熱(65℃)しておいた容器に移し、続いて、予熱しておいたTHF−メタノール−水(85−10−05%v/v/v)混合物で洗浄した(仕様外操作)。試料を30分間撹拌し、その後、50℃に冷却し戻した。次いで、試料を部分真空下で、ジャケット温度を50℃〜70℃に制御することにより蒸留した。約15mL/gの最終体積を蒸留により達成した。試料に、酢酸エチル(300mL)15mL/gを添加した。試料を再び蒸留して、蒸留後に、最終体積を15mL/gに合わせた。同じ操作を2回繰り返して、THF、メタノールおよび水(限度:THF2重量%以下およびメタノールおよび水0.5重量%以下)を除去した。試料を30分間撹拌し、その後、混合物を4.5時間、20℃に冷却し、その後、フィルター乾燥機に移し、酢酸エチル3mL/gで洗浄した。沈澱物を、酢酸エチル残渣が≦0.02%になるまで温度50℃で乾燥して、形態1の無水遊離塩基を白色の流動性粉末として得た。
【0089】
(実施例3)
(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物の調製
4−クロロ−6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン(2.0g、8.6mmol、100質量%)および(1r,3r)−3−(シアノメチル)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリル(2.8g、9.0mmol、100質量%)を炭酸水素ナトリウム(1.40g、16.7mmol、100質量%)の存在下で、THF(22mL)および水(24mL)中で合わせた。混合物を5分間、35℃に加熱した。別の容器に、クロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II)(14mg、0.01744mmol、98質量%)を装入し、窒素を用いて脱気し、続いて、THF中で触媒を装入した。次いで、触媒溶液を反応混合物に35℃で添加し、次いでこれを、2時間、65℃に加熱した。テトラヒドロフラン1mL中の1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(20mg、0.05020mmol、100質量%)を添加し、反応混合物を60分間、65℃で撹拌した。次いで、試料を20℃に冷却し、90分間撹拌した。固体を濾過し、次いで、濾過ケーキを再び反応器に入れ、水中で再スラリー化した。スラリーをフィルター乾燥機に移し、水で洗浄した。上記固体を、THF残渣が≦0.02%になるまで室温で(加湿条件下で)乾燥して、形態2の一水和物を白色の流動性粉末として得た。
【0090】
機器および分析方法:
粉末X線回折(PXRD)
APIのPXRDパターンを、自動試料チェンジャー、シータ−2シータゴニオメーターおよび4.00°のPSDウィンドウサイズを伴うLynxeye XE−T検出器を備えたBruker D8 Endeavour粉末X線回折計で収集した。一次電動スリットは11.0mmの連続照明に設定し、抗散乱スリットは2.20mmの一定距離に設定した。X線管電圧およびアンペアはそれぞれ40kVおよび40mAに設定した。データを、Cu波長で、0.019度のステップサイズおよび2.0から55.0度2θまで10分でスキャンするスキャン時間を用いて収集した。試料を、粉末をSi低バックグラウンドキャビティーホルダーに入れることにより準備した。試料粉末をガラススライドにより圧縮して、適正な試料高さが達成されることを確実にした。データを、Bruker DIFFRACソフトウェアを使用して収集し、分析をDIFFRAC EVAソフトウェアにより行った。収集されたPXRDパターンをBruker DIFFRAC EVAソフトウェアにインポートした。ピーク選択を、上記ソフトウェアの「peak search function」を利用して実施し、次いで、慎重にチェックし、修正して、すべてのピーク位置が正確に割り当てられていることを確実にした。ピークを2〜32°2θの間に分類した。ピーク位置の±0.2°2θの典型的な誤差がこのデータには当てはまる。(a)試料の準備(例えば、試料高さ)、(b)機器、(c)校正、(d)操作者(ピークの場所を決定するときに存在するエラーを含む)、および(e)物質の性質(例えば、選択配向性および透明度誤差)を含む様々な因子により、この測定に関連するわずかな誤差が生じ得る。したがって、ピークは、±0.2°2θの典型的な関連誤差を有すると判断される。リスト中で2つのピークが重複していると判断される場合、低い方の強度ピークをリストから除外している。より高い強度の隣接するピーク上にショルダーとして存在するピークも、ピークリストから除外している。ショルダーは隣接ピークの位置から>0.2°2θであることがあるが、それらは、隣接ピークから識別可能とは判断されない。絶対ピーク位置を得るためには、粉末パターンを参照に対してアラインさせるべきである。これは、室温で解析された同じ形態の結晶構造からシミュレートされた粉末パターン、または内部標準、例えば、シリカまたはコランダムであり得るであろう。(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1および形態2のシミュレートされた粉末パターンを単結晶構造から得た。単結晶構造からシミュレートされた粉末パターンは、CCDC 5.40 Software Suiteの一部であるMercury 4.1.0を用いての計算を介して得た。
【0091】
PXRD反射の割り当て:ピーク値を、所与の反射の最大強度に割り当てた。
(1R,3R)−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基でのPXRDプロファイルが
図1に示されている。ピークリストは表1に含まれている。いくつかのピークを(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水遊離塩基での特徴的ピークとして選択した。(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物でのPXRDプロファイルが
図2に示されている。ピークリストは表2に含まれている。いくつかのピークを、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態2の一水和物に特徴的として選択した。
【0092】
【表1】
【0093】
8.1°、18.0°、20.6°、22.8°および27.0°2θにある5つの特徴的ピークが、(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水物での診断ピークとして推奨される。
【0094】
【表2】
【0095】
7.4°、10.4°、15.7°、26.2°、28.5°2θにある5つの特徴的ピークが、形態2の一水和物での診断ピークとして推奨される。
【0096】
固体NMR:固体NMR(ssNMR)分析を、Bruker−BioSpin Avance III(商標)500MHz(
1H周波数)NMR分光計に配置されたCPMASプローブで行った。物質を、標準ドライブキャップで密閉される4mmローターに充填した。15.0kHzのマジック角回転速度を使用した。スペクトル取得中に、80〜90kHzの位相変調プロトンデカップリング界を適用した。
13C ssNMRスペクトルを、プロトンデカップリング交差分極マジック角回転(CPMAS)実験を使用して収集した。交差分極接触時間を3msに設定し、リサイクルディレイを60秒に設定した。スキャン回数を調整して、適切なシグナル対ノイズ比を得たが、その際、768のスキャンをAPIのために収集し、さらなる、典型的には≧4096のスキャンを薬物生成物のために収集した。結晶性アダマンタンの外部標準での
13C CPMAS実験を使用し、そのアップフィールド共鳴を29.5ppmに設定して、
13C化学シフトスケールを基準とした。
【0097】
自動ピークピッキングを、Bruker−BioSpin TopSpin(商標)version3.5ソフトウェアを使用して行った。一般に、予備ピーク選択のために、相対強度5%の閾値を使用した。自動ピークピッキングのアウトプットを視覚的に確認して、有効性を保証し、必要な場合には、調整を手動で行った。具体的な固体NMRピーク値を本明細書では報告しているが、機器、試料、および試料の調製の違いにより、これらのピーク値には幅がある。本明細書において報告している固体NMRピーク高は相対強度である。固体NMR強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて変化し得る。強度は、CPMAS実験パラメーターの実際の設定および試料の熱履歴に応じて変化し得る。CPMAS強度は必ずしも定量的ではない。
【0098】
結晶形態(1R,3R)−3−(シアノメチル)−3−(4−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−イル)−1H−ピラゾール−1−イル)シクロブタン−1−カルボニトリルの形態1の無水物および形態2の一水和物での
13C固体NMRピークリストをそれぞれ、表3および4に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
131.4、60.2、143.5、121.2および120.5ppmでの共鳴が、形態1の無水物での特徴的ピークである。
【0101】
【表4】
【0102】
130.9、120.8、142.8、40.0および61.8ppmでの共鳴が、形態2の一水和物での特徴的ピークである。
【0103】
FT−ラマン分光法
ラマンスペクトルを、Vertex 70 FTIR分光計(Bruker Optik GmbH)に取り付けられたRAM II FT−ラマンモジュールを使用して収集した。上記機器に、1064nm固体(Nd:YAG)レーザーおよび液体窒素冷却ゲルマニウム検出器を装備する。データ取得前に、白色光供給源、ならびにポリスチレンおよびナフタレン基準を使用して、機器性能および校正検証を行った。上記結晶形態でのラマンスペクトルピークを表2に示す。試料を準備し、短縮NMR管内で分析した。試料回転機器(Ventacon、UK)を測定中に使用して、データ収集中にレーザーに曝露される物質の体積を最大化した。試料からの後方散乱ラマンシグナルを最適化し、データを、500mWのレーザー出力を使用しての2cm
−1のスペクトル解析で収集した。Blackmann−Harris4項アポディゼイション関数を適用して、スペクトル収差を最小化した。スペクトルを、調整されたスキャン数で3500〜50cm
−1の間で生成して、それにより、適切なシグナル対ノイズを保証した。スペクトルを、最大強度ピークの強度を2.00に設定することにより正規化した。次いで、ピークを、OPUS v8.2ソフトウェア(Bruker Optik GmbH)の自動ピークピッキング機能を用いて同定し、その際、感度を2%に設定した。ピーク位置および相対ピーク強度を抽出し、作表した。この実験構成でのピーク位置の変動は±2cm
−1以内である。FT−ラマンおよび分散ラマンは同様の技法であるので、FT−ラマンスペクトルについてこの文献に報告されているピーク位置は、適切な機器校正を仮定すれば、分散ラマン測定を使用して観察されるであろうものと一致するであろうことが予測される。
【0104】
【表5】
【0105】
1498、2923、1246、1443および2971cm
−1が、形態1の無水物での特徴的ピークとして選択された。
【0106】
【表6-1】
【0107】
【表6-2】
【0108】
1507、3122、2934、1330および1255cm
−1が、形態2の一水和物での特徴的ピークとして選択された。
【0109】
本明細書に記載のものの変形形態、変更形態、および他の実施態様が、本教示の趣旨および必須の特徴から逸脱することなく、当業者には想起されるであろう。したがって、本教示の範囲は、先行する例示的な説明によってではなく、むしろ下記の特許請求の範囲により定義されるべきであり、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に該当するすべての変化が、その中に包含されることが意図されている。
【0110】
これに限定されないが、本明細書において記載されている、または参照されている特許、特許出願、書籍、技術書、業者向け刊行物および雑誌論文を含む印刷された刊行物のそれぞれが、あらゆる目的のために、その全体が本明細書に援用される。