【解決手段】本発明は、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤を用いて、免疫機能を回復し、かつ病原性B細胞上に存在するBCMAを対象とする治療法の有効性を改善するために、可溶性BCMAに関連する免疫系の機能不全または病態を治療する方法を提供する。様々な実施形態では、本発明は、対象における免疫系の機能不全を治療または予防する方法を企図し、本方法は、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターもしくはその誘導体、またはBCMAシェディングをブロックする他の化合物を投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
A.要約
B細胞成熟抗原(BCMA)は、形質細胞の表面上に発現し、それらの生存を調節する
。BCMAは、いくつかの異なる種類のB細胞悪性腫瘍を有する患者の血清中で検出され
、この血清中のBCMAのレベルは、これらの患者の疾患活性及び全生存と相関性がある
。ガンマセクレターゼは、膜結合BCMAの切断及び血清へのBCMAの細胞外ドメイン
のシェディングに関与する。いかなる特定の理論によって拘束されることも望まないが、
ガンマセクレターゼモジュレーターは、BCMAの切断及びそのシェディングを減少させ
る、防ぐ、またはブロックし、それによって、関連する免疫系の機能不全、例えば、自己
免疫疾患または血液学的悪性腫瘍を予防するであろうことが企図される。さらに、BCM
Aシェディングを防ぐためのガンマセクレターゼ阻害剤の使用もまた、BCMAを発現す
る病理学的B細胞を標的化する、現在、臨床開発中の治療法の有効性を増加するであろう
ことが企図される。
【0032】
理論に拘束されるものではないが、特定の実施形態は、ガンマセクレターゼ活性が対象
における病原性B細胞からのBCMAシェディングを促進し、それが次いで、対象におけ
る免疫系の機能不全の一因となる、モデルを企図する(
図1Aを参照)。このモデルによ
ると、病原性B細胞(例えば、多発性骨髄腫腫瘍細胞)中のガンマセクレターゼ活性が、
B細胞からBCMAの細胞外部分(本明細書において可溶性BCMAまたは血清BCMA
と称される)を放出するBCMAシェディングを促進する。可溶性BCMAは、循環する
BCMAリガンド、例えばBAFFを捕捉することができ、それが次いで、BCMAリガ
ンドと正常な非病原性B細胞上のBCMAとの相互作用を防ぐまたは減少させることがで
きる。このモデルによれば、BCMAリガンド(例えばBAFF)と正常な非病原性B細
胞の表面上に存在するBCMAとの相互作用の減少が、正常なポリクローナル抗体の産生
等の正常な免疫系機能を混乱させる。
【0033】
理論に拘束されるものではないが、ある特定の実施形態は、例えば、ガンマセクレター
ゼ阻害剤の投与を通して、対象におけるガンマセクレターゼ活性を減少させ、病原性B細
胞からのBCMAシェディングを防ぐ、モデルを企図する。これは、可溶性BCMAレベ
ルがこれで低下するため、リガンドBAFF及びAPRILが結合されないままであるこ
とを可能にし、結果として、それらが抗体を産生するようにB細胞を刺激するそれらの正
常な機能を行うことを可能にする。それ故に、ガンマセクレターゼ阻害剤による治療は、
対象における免疫系の機能不全を治療または予防するはずである(
図1Bを参照)。この
モデルによれば、ガンマセクレターゼ活性の減少は、病原性B細胞、例えばMM腫瘍細胞
によるBCMAシェディングを防ぐまたは減少させ、それが次いで、可溶性BCMAの量
を減少させる。ある特定の実施形態は、可溶性BCMAの量の減少が、BCMAリガンド
、例えばBAFFと、正常な非病原性B細胞の表面上に存在するBCMAとの正常な相互
作用を回復させ、それによって、正常な免疫機能、例えば、正常なポリクローナル抗体の
産生を回復させることを企図する(
図1Bを参照)。
【0034】
理論に拘束されるものではないが、いくつかの実施形態は、病原性B細胞(例えば多発
性骨髄腫腫瘍細胞)中のガンマセクレターゼ活性の減少が、病原性B細胞によるBCMA
シェディングの量を減少させ、それによって、病原性B細胞によって発現するBCMAの
量を増加させるであろう、モデルを企図する(
図1Bを参照)。ある特定の実施形態では
、このモデルは、病原性B細胞中のガンマセクレターゼ活性の減少が、B細胞病態または
障害の治療のために投与されるBCMAに結合する及び/またはこの細胞表面を発現する
細胞に結合する治療薬の有効性を増強するかまたは改善することを企図する。BCMA及
び/またはBCMAを発現する細胞に結合する治療薬としては、治療的抗BCMA抗体ま
たはその断片、抗BCMA抗体−薬物複合体、及びBCMAに結合するキメラ抗原受容体
T細胞(CAR−T細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
様々な実施形態では、本発明は、一部分において、1つ以上のガンマセクレターゼモジ
ュレーターまたはBCMAシェディングを防ぐ他の化合物から成る免疫系療法を企図する
。
【0036】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、参照によりそれらの全
体が本明細書に組み込まれる。
【0037】
B.定義
別段定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発
明に属する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記
載されるものと同様または同等の任意の方法及び材料が、本発明の実施または試験におい
て使用され得るが、組成物、方法、及び材料の好ましい実施形態は、本明細書に記載され
る。本発明のために、以下の用語を以下に定義する。
【0038】
「a」、「an」、及び「the」という冠詞は、冠詞の文法的目的物の1つまたは1
よりも多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書に使用される。例として
、「構成要素」は、1つの構成要素、または1つを超える構成要素を意味する。
【0039】
本明細書に使用される、「約」または「およそ」という用語は、参照の分量、レベル、
値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して、30、
25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%程度変動する分
量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを指
す。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、数値の前にある場合、
その値プラスまたはマイナス15%、10%、5%、または1%の範囲を示す。
【0040】
本明細書全体にわたって、文脈上別段必要でない限り、「含む(comprise)」
、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という単語
は、記載されるステップもしくは構成要素またはステップもしくは構成要素の群の包含を
意味するものであり、任意の他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群
の排除を意味するものではないと理解されよう。「から成る」は、「から成る」という語
句に続くものを含み、かつそれらに限定されることを意味する。したがって、「から成る
」という語句は、列挙される構成要素が必要とされるか、必須であること、及び他の構成
要素は存在することができないことを示す。「から本質的に成る」は、この語句の後に列
挙される任意の構成要素を含み、かつ列挙される構成要素について本開示で特定される活
性または作用に干渉または寄与しない他の構成要素に限定されることを意味する。したが
って、「から本質的に成る」という語句は、列挙される構成要素が必要とされるか、必須
であるが、他の構成要素は任意でなく、これらが列挙される構成要素の活性または作用に
影響を及ぼすかどうかに応じて、存在してもしなくてもよいことを示す。
【0041】
「一実施形態」、「実施形態」、「別の実施形態」、「特定の実施形態」、「関連実施
形態」、「ある特定の実施形態」、「追加的な実施形態」もしくは「さらなる実施形態」
またはそれらの組み合わせに対する本明細書全体にわたる言及は、実施形態に関連して記
載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ
ることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での前述の語句の出現
は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及するとは限らない。さらに、特定の特徴、構造
、または特性を、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方式で組み合わせることが
できる。
【0042】
「治療する」、「治療」等の用語は、概して、所望の薬理学的及び/または生理学的効
果を得ることを意味するために、本明細書に使用される。この効果は、疾患を完全または
部分的に予防する点で予防的であり得、及び/または疾患の部分的もしくは完全な治癒の
点で治療的であり得る。本明細書に使用される、「治療」は、哺乳動物における疾患のあ
らゆる治療を網羅し、それには、疾患にかかりやすいかもしれないが、まだその疾患を有
するとは診断されていない対象において疾患が生じるのを防ぐこと;疾患を阻害すること
、即ち、その進行を停止させること;または疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行
を引き起こすこと、を含む。治療剤は、疾患または損傷の兆候の前、その間、またはその
後に投与され得る。持続的な疾患の治療は、この治療が患者の望ましくない臨床的症状を
安定化するかまたは軽減する場合に、特に興味深い。
【0043】
本明細書に使用される、「〜の少なくとも1つの症状を改善する」という語句は、対象
が治療している疾患または病態のうちの1つ以上の症状を減少させることを指す。特定の
実施形態では、治療される疾患または病態は、B細胞病態または障害であり、改善される
1つ以上の症状としては、衰弱、倦怠感、息切れ、あざや出血が生じやすい、頻繁な感染
症、リンパ節膨大、膨満したまたは痛みのある腹部(腹部器官の膨大による)、骨もしく
は関節の痛み、骨折、予想外の体重減少、食欲不振、寝汗、持続的な微熱、及び排尿の減
少(腎臓機能の低下による)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態で
は、治療される疾患または病態は、多発性骨髄腫であり、緩和される1つ以上の症状は、
骨の痛みを含む。
【0044】
本明細書に使用される、「予防する」、及び「予防される」、「予防している」等のよ
うな同様の用語は、疾患または病態の発生または再発を予防する、阻害する、またはその
可能性を減少させるためのアプローチを示す。それはまた、疾患もしくは病態の発症もし
くは再発を遅延させること、または疾患もしくは病態の症状の発生もしくは再発を遅延さ
せることも指す。本明細書に使用される、「予防」及び同様の用語はまた、疾患または病
態の発症または再発の前に、疾患または病態の強度、効果、症状、及び/または負担を減
少させることも含む。
【0045】
本明細書に使用される、「量」という用語は、臨床結果を含む、有利なまたは所望の予
防的もしくは治療的結果を達成するために十分な細胞の「有効な量」または「有効量」を
指す。一実施形態では、有効量は、疾患、例えば、本明細書に企図されるB細胞病態また
は障害を予防する、その1つの症状を緩和する、またはそれを治療するために十分なガン
マセクレターゼ阻害剤またはその誘導体の量を指す。
【0046】
「予防的に有効な量」とは、所望の予防的結果を達成するために有効なガンマセクレタ
ーゼ阻害剤またはその誘導体を指す。必ずしも必要ではないが、典型的に、予防的用量は
、疾患の前または疾患の初期段階で対象に使用されるため、予防的に有効な量は、治療的
に有効な量よりも少ない。
【0047】
ガンマセクレターゼ阻害剤またはその誘導体の「治療的に有効な量」は、個体の疾患状
態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する薬剤のような要
因に従って変化することができる。治療的に有効な量はまた、薬剤の任意の毒性または有
害作用を、治療的に有益な効果が上回るものである。「治療的に有効な量」という用語は
、対象(例えば患者)を「治療する」のに有効である量を含む。
【0048】
本明細書に使用される、「十分な条件」または「十分な条件下」という用語は、本明細
書に企図される1つ以上の薬剤または組成物を用いて、対象を治療するための条件を指す
。一実施形態では、「十分な条件」は、十分な量、例えば、有効な量のガンマセクレター
ゼ阻害剤またはその誘導体を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0049】
本明細書に使用される、「促進する」、「増強する」、「刺激する」、または「増加さ
せる」という用語は、概して、ビヒクルまたは対照分子/組成物によって引き起こされる
反応と比較して、より大きな生理学的反応(即ち、測定可能な下流効果)を生じるまたは
引き起こすために、本明細書に企図される組成物の能力を指す。かかる測定可能な生理学
的反応としては、正常な、未治療の、または対照で治療した対象と比較して、細胞死滅の
増加及び/または腫瘍の減少、生存率の増加、治療有効性の増加が挙げられるが、これら
に限定されない。生理学的反応は、正常な、未治療の、または対照で治療した対象におい
て測定された反応と比較して、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50
%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、20
0%またはそれ以上増加し得る。「増加した」または「増強した」反応または特性は、典
型的に、「統計学的に有意」であり、正常な、未治療の、または対照で治療した対象によ
って生成された1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15
、20、30倍もしくはそれ以上(例えば、500、1000倍)(間及び1より大きい
すべての整数及び小数点を含む、例えば、1.5、1.6、1.7、1.8等)である増
加を含んでもよい。
【0050】
本明細書に使用される、「減少させる」または「低くなる」または「少なくなる」また
は「低下する」または「軽減する」という用語は、概して、ビヒクルもしくは対照分子/
組成物によって引き起こされる反応と比較して、より少ない生理学的反応(即ち、下流効
果)、例えば、BCMAシェディングの減少を生じるまたは引き起こすために企図される
組成物の能力を指す。生理学的反応、例えば、BCMAシェディングは、正常な、未治療
の、または対照で治療した対象において測定された反応と比較して、少なくとも5%、1
0%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、
125%、150%、175%、200%またはそれ以上減少し得る。「減少」または「
減少した」反応は、典型的に、「統計学的に有意な」反応であり、正常な、未治療の、ま
たは対照で治療した対象によって生成された1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、15、20、30倍もしくはそれ以上(例えば、500、100
0倍)(間及び1より大きいすべての整数及び小数点を含む、例えば、1.5、1.6、
1.7、1.8等)の反応の減少を含んでもよい。
【0051】
「免疫系の機能不全」は、免疫系の任意の障害または病態を意味する。様々な実施形態
では、免疫系の機能不全は、対象の血清または血漿中の異常なまたは病理学的に可溶性B
CMAレベルと関連する免疫系の障害または病態を指す。様々な実施形態では、免疫系の
機能不全は、対象において免疫細胞上の異常なまたは病理学的BCMA発現レベルと関連
する免疫系の障害または病態を指す。免疫系の機能不全には、B細胞及びT細胞の障害の
両方が含まれる。いかなる特定の理論によって拘束されることも望まないが、可溶性BC
MA発現レベルのレベル変化が、B細胞及びT細胞上のそのリガンドBAFF及びAPR
ILの効果を変化させ得るため、本明細書に企図される組成物及び方法で治療することが
できる多くの異なる免疫系の機能不全が存在することが企図される。特定の実施形態では
、免疫系の機能不全は、B細胞病態または障害を有する患者の中で生じる。
【0052】
「血液学的悪性腫瘍」は、血液、骨髄、またはリンパ節に影響を及ぼす癌のタイプであ
る。血液学的悪性腫瘍は、2つの主要な血液細胞系統:骨髄性またはリンパ細胞株のうち
のいずれかに由来し得る。骨髄性細胞株は、通常、顆粒球、赤血球、血小板、マクロファ
ージ、及びマスト細胞を生成し、一方、リンパ細胞株は、B細胞、T細胞、ナチュラルキ
ラー細胞、及び血漿細胞を生成する。リンパ腫、非リンパ球性白血病、及び骨髄腫は、リ
ンパ細胞株からのものである。本明細書に企図される組成物で治療することができる血液
学的悪性腫瘍の例示的な例には、骨髄腫、白血病、及びリンパ腫が含まれる。本明細書に
企図される方法の特定の実施形態での治療に適している血液学的悪性腫瘍の他の例示的な
例には、MM、WM、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性
リンパ性白血病(ALL)、CLL、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、骨髄異形成症候
群(MDS)、または骨髄増殖性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。通常、血
液学的悪性腫瘍は、固形腫瘍を形成しない。
【0053】
本明細書に使用される、「対象」、「治療を必要とする対象」、「それを必要とする対
象」、「個体」、または「患者」は、本明細書に企図される組成物で治療することができ
る疾患、障害、または病態の症状を示す任意の動物を含む。特定の実施形態では、この疾
患、障害、または病態は、血液学的悪性腫瘍、例えば多発性骨髄腫に関する。好適な対象
には、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、またはモルモット等)、家畜(ウマ、ウシ、
ヒツジ、ブタ等)、及び家庭用動物またはペット(イヌまたはネコ等)が挙げられる。特
定の実施形態では、対象は、哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象は、非ヒト
霊長類であり、好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
【0054】
「再発」という用語は、改善または寛解の期間後の、癌の、回帰の診断、または回帰の
兆候及び症状を指す。
【0055】
「臨床的寛解」としても知られている「寛解」は、部分的及び完全な寛解の両方を含む
。部分的な寛解において、癌の一部であるが、すべてではない兆候及び症状が、消失する
。完全な寛解において、癌が依然として体内に存在し得るが、癌のすべての兆候及び症状
が、消失する。
【0056】
「難治性」とは、特定の治療剤による治療法に耐性を示す、または反応を示さない癌を
指す。癌は、治療の開始から(即ち、治療剤に対する初期曝露に対して反応がない)、ま
たは第1の治療期間コースにわたってまたはその後の治療期間中のいずれかで治療剤に対
する耐性を生じる結果として難治性であり得る。
【0057】
「薬剤」という用語は、天然または合成ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、
脂肪酸、化学的化合物、または有機小分子を指す。特定の実施形態では、薬剤は、ガンマ
セクレターゼモジュレーターを含む。
【0058】
C.ガンマセクレターゼモジュレーター
様々な実施形態では、対象に、免疫系の機能不全、B細胞病態または障害のうちの少な
くとも1つの症状を予防、治療、または緩和する、ならびに/またはB細胞上のBCMA
シェディングを防ぐために、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーター、例えば、ガ
ンマセクレターゼ阻害剤またはその誘導体が投与される。
【0059】
「ガンマセクレターゼモジュレーター」とは、ガンマセクレターゼ活性を調節、増加、
または減少する、化合物または薬剤を指す。ガンマセクレターゼモジュレーターは、ガン
マセクレターゼ活性を減少または低下させるガンマセクレターゼ阻害剤を含む。
【0060】
多くのガンマセクレターゼ阻害剤が、記載されている。例えば、米国特許第6,756
,511号、同第6,890,956号、同第6,984,626号、同第7,049,
296号、同第7,101,895号、同第7,138,400号、同第7,144,9
10号、同第7,183,303号、Bihel et al.2004、Best e
t al.2006、Davies et al.2007、El−Gendy and
Adejare 2004、Laras et al.2005、McLendon
et al.2000、Prasad et al.2007、Shearman et
al.2000、及びTomita et al.2004を参照されたく、これらの
それぞれは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
ガンマセクレターゼモジュレーター及び阻害剤の例示的な例としては、セクレターゼ阻
害剤I(GSI I)Z−Leu−Leu−ノルロイシン;γ−セクレターゼ阻害剤II
(GSI II);γ−セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N−ベンジルオ
キシカルボニル−Leu−ロイシナール、N−(2−ナフトイル)−Val−フェニルア
ラニナール;γ−セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ−セクレターゼ阻害剤
III(GSI V)、N−ベンジルオキシカルボニル−Leu−フェニルアラニナール
;γ−セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l−(S)−エンド−N−(1,3
,3)−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−4−フルオロフェニル
スルホンアミド;γ−セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカ
ルボニル−LL−CHO;γ−セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT
)、N−[N−(3,5−ジフルオロフェナセチル−L−アラニル)]−S−フェニルグ
リシンt−ブチルエステル;γ−セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S−ベンジ
ル−4R−[1−(1S−カルバモイル−2−フェネチルカルバモイル)−1S−3−メ
チルブチルカルボ−アモイル]−2R−ヒドロキシ−5−フェニルペンチル}カルバミン
酸tert−ブチルエステル;γ−セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7−アミ
ノ−4−クロロ−3−メトキシイソクマリン;γ−セクレターゼ阻害剤XII(GSI
XII)、Z−Ile−Leu−CHO;γ−セクレターゼ阻害剤XIII(GSI X
III)、Z−Tyr−Ile−Leu−CHO;γ−セクレターゼ阻害剤XIV(GS
I XIV)、Z−Cys(t−Bu)−Ile−Leu−CHO;γ−セクレターゼ阻
害剤XVI(GSI XVI)、N−[N−3,5−ジフルオロフェナセチル]−L−ア
ラニル−S−フェニルグリシンメチルエステル;γ−セクレターゼ阻害剤XVII(GS
I XVII);γ−セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][1
,4]ジアゼピン−3−イル)−ブチルアミド;γ−セクレターゼ阻害剤XX(GSI
XX)、(S,S)−2−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]−N
−(5−メチル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,d]アゼピン−
7−イル)プロピオンアミド;γ−セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S
,S)−2−[2−(3,5−ジフルオロフェニル)−アセチルアミノ]−N−(l−メ
チル−2−オキソ−5−フェニル−2−,3−ジヒドロ−lH−ベンゾ[e][1,4]
ジアゼピン−3−イル)−プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N−ト
ランス−3,5−ジメトキシシンナモイル−Ile−ロイシナール;ガンマ40セクレタ
ーゼ阻害剤II、N−tert−ブチルオキシカルボニル−Gly−Val−バニナール
イソバレリル−V V−Sta−A−Sta−OCH3;MK−0752(Merck)
;MRK−003(Merck);セマガセスタット/LY450139(Eli Li
lly);RO4929097;PF−03084,014;BMS−708163;M
PC−7869(γ−セクレターゼ重合調整剤)、YO−01027(ジベンズアゼピン
)、化合物E([(2S)−2−{[(3,5−ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ
}−N−[(3S)−1−メチル−2−オキソ−5−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H
−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]プロパンアミド]、Alexis Bioch
emicalsから市販)、LY411575(Eli Lilly and Co.)
、L−685,458(Sigma−Aldrich)、BMS−289948(4−ク
ロロ−N−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−((1R)−{4−フルオロ−2−[
3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホン
アミド塩酸塩)、及びBMS−299897(4−[2−((1R)−1−{[(4−ク
ロロフェニル)スルホニル]−2,5−ジフルオロアニリノ}エチル)−5−フルオロフ
ェニル]ブタン酸)(Bristol Myers Squibb)が挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0062】
特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物及び方法で用いるのに適しているガ
ンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤は、ガンマセクレターゼまたはガンマセク
レターゼ活性によってBCMAの切断を直接または間接的に阻害する任意の薬剤を含む。
ある特定の実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ガンマセクレターゼ阻害剤によ
って接触されていない細胞と比較して、細胞中のガンマセクレターゼ活性を約5%、約1
0%、約15%、約20%、約25%、約30%、約20%、約25%、約30%、約3
5%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約7
5%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%減少し得る。ある特定の実
施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤は、ガンマセクレターゼモ
ジュレーターまたは阻害剤によって接触されていない細胞と比較して、細胞中のガンマセ
クレターゼレベルを約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約2
0%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約6
0%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約1
00%減少し得る。
【0063】
特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤は、ガンマセク
レターゼモジュレーターまたは阻害剤によって接触されていない細胞(複数可)中のレベ
ルと比較して、BCMAの切断またはシェディングを約5%、約10%、約15%、約2
0%、約25%、約30%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約4
5%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約8
5%、約90%、約95%、約100%減少し得る。
【0064】
特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤は、1つ以上の
ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤を投与していない対象の血清と比較して
、1つ以上のガンマセクレターゼ阻害剤を投与した対象の血清中に検出されたBCMAを
約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約20%、約25%、約
30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約
70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%減少し得る。
【0065】
特定の実施形態では、対象へのガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤の投与
は、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤を投与されていない対象
の血清と比較して、対象の非病原性B細胞上のBAFFとBCMAとの相互作用を約5%
、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約20%、約25%、約30%
、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%
、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約1.5倍、約2
倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、
約50倍、約100倍、または約100倍以上(間のすべての範囲及び値を含む)増加し
得る。
【0066】
ある特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤は、病原性
B細胞中のBCMAの切断またはシェディングを減少させ得る。「病原性B細胞」は、本
明細書に使用される場合、B細胞病態または障害の少なくとも1つの兆候または症状の一
因となることが周知であるまたは疑われるB細胞を指す。いくつかの実施形態では、病原
性B細胞は、自己抗体を生成する。ある特定の実施形態では、病原性B細胞は、癌細胞の
一種である。いくつかの実施形態では、B細胞は、MM癌細胞、CLL癌細胞、WM癌細
胞、非ホジキンリンパ腫癌細胞、またはホジキンリンパ腫癌細胞である。
【0067】
特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤は、1つ以上の
ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤を投与したことがない対象の血清と比較
して、病原性B細胞において検出されたBCMAの量を約5%、約10%、約15%、約
20%、約25%、約30%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約
45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約
85%、約90%、約95%、約100%、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、
約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、ま
たは100倍以上(間のすべての範囲及び値を含む)増加し得る。
【0068】
D.薬学的組成物及び製剤
本明細書に企図される組成物(即ち、薬剤)としては、薬学的組成物が挙げられるが、
これに限定されない。「薬学的組成物」は、哺乳動物、例えばヒトへの化合物または薬物
の送達のための当該技術分野で一般的に許容される1つ以上の薬学的に許容される担体、
希釈剤、または賦形剤を含む、組成物の製剤を指す。特定の実施形態では、薬学的組成物
は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/または賦形剤で製剤化されるガ
ンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体を含む。必要に応じて、本発明の組成
物が、所望の治療効果が達成される限り、例えば、核酸、タンパク質、小分子、または薬
学的に活性な薬剤、補助療法等の他の薬剤と組み合わせて投与され得ることも理解されよ
う。さらなる試薬が所望の癌療法に悪影響を及ぼさないという条件で、本組成物において
含まれ得る他の試薬は、実質的には限定されない。
【0069】
特定の実施形態では、組成物は、治療上有効量の、ガンマセクレターゼモジュレーター
もしくはその誘導体、または1つ以上の薬学的に許容される担体(添加剤)、他の活性剤
、及び/もしくは希釈剤で製剤化される、ガンマセクレターゼモジュレーターもしくはそ
の誘導体のプロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ化合物を含む、薬学的に許容さ
れる製剤を含む。
【0070】
「薬学的に許容される」という語句は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺
激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、また妥当な利益/リスク比
に合致して、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適する化合物、材料、組成物
、及び/または剤形を指す。本明細書に使用される、「薬学的に許容される担体、希釈剤
、または賦形剤」は、ヒトまたは家畜で用いるのに許容される、米国食品医薬品局によっ
て承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、
保存剤、染料/着色剤、調味料、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤
、溶媒、界面活性剤、または乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な薬
学的に許容される担体としては、糖類、ラクトース、グルコース、及びスクロース等;デ
ンプン、例えば、トウモロコシデンプン、及びジャガイモデンプン等;セルロース及びそ
の誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢
酸セルロース等;トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバター、ろう、動物性及
び植物性脂肪、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛;油、例えば
、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイ
ズ油等;グリコール、例えば、プロピレングリコール等;ポリオール、例えば、グリセリ
ン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール等;エステル、例えば、
オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム
及び水酸化アルミニウム等;アルギン酸;発熱物質不含水;等張性の食塩水;リンゲル液
;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;及び薬学的製剤に用いられる任意の他の適合する
物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
特定の実施形態では、本明細書に企図される化合物は、遊離塩基または酸性の形態で存
在し、当業者によって適切な無機または有機塩基または酸による処理によってそれらの薬
学的に許容される塩に変換され得る。「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩及び塩基性
付加塩の両方を含む。「薬学的に許容される酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的有効性
及び特性を保持し、生物学的にもその他の点でも望ましくないものでなく、塩酸、臭化水
素酸、硫酸、硝酸、リン酸であるが、これらに限定されない、無機酸、ならびに酢酸、2
,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベン
ゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー−1
0−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シ
クラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒ
ドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプ
トン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2−オキソ−グルタル
酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリ
ン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフ
タレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナ
フトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロ
ピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシ
ン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、トリ
フルオロ酢酸、ウンデシレン酸等があるが、これらに限定されない有機酸で形成される、
塩を指す。
【0072】
「薬学的に許容される塩基性付加塩」は、遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、
生物学的にもその他の点でも望ましくないものでない、塩を指す。これらの塩は、無機塩
基または有機塩基を有機酸に付加することから調製される。無機塩基から誘導される塩に
は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩等が挙げられるが、これらに
限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシ
ウム塩、及びマグネシウム塩がある。有機塩基から誘導された塩には、第一級、第二級、
及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性
イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールア
ミン、デアノール、2ジメチルアミノエタノール、2ジエチルアミノエタノール、ジシク
ロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラ
バミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン
、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピ
ペラジン、ピペリジン、Nエチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩が挙げられるが、こ
れらに限定されない。特に好ましい有機塩基には、イソプロピルアミン、ジエチルアミン
、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェ
インがある。
【0073】
本発明の化合物の塩は、標準的な技術によってそれらの遊離塩基または酸の形態に変換
させることができる。
【0074】
湿潤剤、乳化剤、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、
ならびに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、調味料、及び芳香剤、保存剤及び抗
酸化剤もまた、組成中に存在することができる。
【0075】
薬学的に許容される抗酸化剤の例には、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫
酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウム等の水溶性の抗酸化剤、
(2)アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化
ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、及びアルファ−トコフェ
ロール等の油溶性の抗酸化剤、ならびに(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(ED
TA)、ソルビトール、酒石酸、及びリン酸等の金属キレート剤が挙げられる。
【0076】
特定の実施形態では、本明細書に企図される薬学的組成物は、対象への組成物の投与時
に、その中に含有する活性成分が、生物学的に利用可能であるように製剤化される。一実
施形態では、薬学的組成物は、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体を、
適切な薬学的に許容される単愛、希釈剤、または賦形剤と混合することによって調製する
ことができ、固体、半固体、液体、ゲル、及びミクロスフェアにおいて調製物に製剤化さ
れ得る。しかしながら、ある特定の実施形態では、対象となる化合物は、生理食塩水の滅
菌水、リンガー溶液、または0.9%NaCl中に簡単に溶解または懸濁され得る。
【0077】
本明細書に企図される組成物の固体製剤には、任意に、腸溶コーティング及び他のコー
ティング等のコーティング及びシェルで分割または調製された、糖衣錠、カプセル、丸剤
、及び顆粒が含まれる。固体剤形はまた、本化合物の緩徐放出または制御放出が得られる
ように製剤化され得る。それ故に、固体剤形は、様々な割合のヒドロキシプロピルメチル
セルロース、または他のポリマー基質、リポソーム、及び/またはミクロスフェアが含ま
れるが、これらに限定されない、本化合物の所望の放出プロファイルを提供し得る、任意
の材料を含み得る。
【0078】
ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体のコーティングされた、ゲル、ま
たは封入製剤はまた、パルス、持続、または延長放出を送達するために製剤化され得る。
例えば、パルス放出の1つの方法は、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導
体の多重コーティングを層化することによって、または異なる放出時間を有する製剤の異
なる領域内でガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体を組み込むことによっ
て達成され得る。
【0079】
本明細書に企図される液体投与製剤は、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエ
マルション、溶液、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む。加えて、液体投与製
剤は、例えば、水または他の溶媒;溶解剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル
、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール;油(特に、綿実油、ピーナッツ
、コーン、胚、オリーブ、キャスター、及びゴマ油);グリセロール;テトラヒドロフリ
ルアルコール;ポリエチレングリコール;及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれら
の混合物が含まれるが、これらに限定されない、当該技術分野で一般に使用される不活性
希釈剤を含有してよい。
【0080】
懸濁製剤には、エトキシ化イソステアリルアルコール;ポリオキシエチレンソルビトー
ル及びソルビタンエステル;微結晶性セルロース;アルミニウムメタハイドロキサイド;
ベントナイト;アガー−アガー;トラガカント;ならびにこれらの混合物が含まれるが、
これらに限定されない。
【0081】
注射可能なデポー製剤は、生分解性ポリマー中にマイクロカプセル化基質を形成するこ
とによって作製され得る。生分解性ポリマーの例には、ポリラクチド−ポリグリコリド、
ポリ(オルトエステル)、及びポリ(酸無水物)が含まれるが、これらに限定されない。
組成物対ポリマーの比及び利用する特定のポリマーの性質は、本組成物からのガンマセク
レターゼモジュレーターまたはその誘導体の放出速度に影響を及ぼし得る。注射可能なデ
ポー製剤はまた、リポソームまたはマイクロエマルション中に薬物を捕捉することによっ
て調製することができる。
【0082】
化合物の液体、懸濁液、及び他の製剤の適切な流動性は、レシチン等のコーティング材
料の使用によって、分散体の場合には必要な粒径の維持によって、または界面活性剤の使
用によって、維持することができる。
【0083】
製剤はまた、微生物の汚染防止のための抗汚染剤を含んでもよい。抗汚染剤には、抗菌
剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール ソルビン酸、抗生
物質が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0084】
製剤はまた、例えば、細菌を保持するフィルタによる濾過によって、または滅菌水、も
しくは使用直前にいくつかの他の滅菌培地、もしくは製剤に溶解され得る滅菌固体製剤の
形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌してもよい。
【0085】
製剤はまた、内毒素を含まないものであり得る。本明細書に使用される、「内毒素を含
まない」という用語は、最大でも痕跡量(即ち、対象に対して有害な生理学的影響がない
量)の内毒素及び好ましくは検出不可能な量の内毒素を含有する組成物または製剤を指す
。「実質的に内毒素を含まない」とは、生物製剤のためにFDAによって認められるより
も細胞の投与毎により少ない内毒素があることを意味し、それは、1日当たり5EU/k
g体重の総内毒素であり、平均70kgの人に対して、細胞の総投与当たり350EUで
ある。一実施形態では、「内毒素を含まない」という用語は、少なくとも95%、少なく
とも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%
内毒素を含まない組成物または製剤を指す。内毒素は、ある特定の細菌、典型的には、グ
ラム陰性の細菌と関連する毒素であるが、内毒素は、Listeria monocyt
ogenes等のグラム陽性細菌に見出され得る。最も蔓延している内毒素は、様々なグ
ラム陰性細菌の外膜において見出されるリポ多糖類(LPS)またはリポオリゴ糖類(L
OS)であり、これは、これらの細菌の疾患を引き起こす能力において中心となる病原性
の特性を表す。ヒトにおける少量の内毒素は、他の有害な生理学的影響の中で、発熱、血
圧の低下、炎症及び凝固の活性化を生じ得る。したがって、多くの場合、少量でさえヒト
における有害作業が引き起こされ得るため、内毒素のほとんどまたはすべての痕跡を医薬
品容器から除去することが望ましい。
【0086】
薬学的組成物は、本組成物の活性成分のバイオアベイラビリティを増強する1つ以上の
構成成分、例えば、浸透増強剤、安定剤、ならびに組成物、例えば、生体適合性ポリマー
及び/またはゲルにおいてガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体の遅延ま
たは制御放出を提供する1つ以上の構成成分をさらに含み得る。
【0087】
特定の実施形態では、浸透増強剤を含む組成物は、生物学的障壁を横断する組成物の送
達を促進するであろう。「浸透増強剤」または「透過性増強剤」には、ポリエチレングリ
コール(PEG)、グリセロール(グリセリン)、マルチトール、ソルビトール等のポリ
オール;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アゾン、塩化ベンザルコニウム(A
DBAC)、塩化セチルペリジウム、臭化セチルメチルアンモニウム、デキストラン硫酸
塩、ラウリン酸、メントール、メトキシサリチラート、オレイン酸、ホスファチジルコリ
ン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、ナトリウムグリコレート、ラウリル硫酸
ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール
酸ナトリウム、スルホキシド、デオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナ
トリウム、タウロコール酸ナトリウム、ならびに硫酸ラウリルナトリウム、ラウレス−9
、塩化セチルピリジニウム、及びポリオキシエチレンモノアルキルエーテル等の界面活性
剤、サリチル酸ナトリウム及びメトキシサリチラート等の安息香酸、ラウリン酸、オレイ
ン酸、ウンデカン酸、及びオレイン酸メチル等の脂肪酸、オクタノール及びノナノール等
の脂肪アルコール、ラウロカプラム、シクロデキストリン、チモール、リモネン、尿素、
キトサン、ならびに他の天然及び合成ポリマーが含まれる。
【0088】
溶液中の含有のために好適なポリオールには、グリセロール、ならびにソルビトール、
マンニトール、またはキシリトール等の糖アルコール、ポリエチレングリコール、及びこ
れらの誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、本組成物は、保存剤をさらに含む。
塩化ベンザルコニウム及びエデト酸2ナトリウム(EDTA)等の許容される保存剤は、
組成物の重量に基づいて、約0.0001〜0.1%の有効な抗菌作用に十分な濃度で本
発明の組成物中に含まれる。
【0089】
特定の実施形態では、組成物は、インビボで組成物の治療的な存続期間を増加させるた
めに安定剤を含む。例示的な安定剤には、脂肪酸、脂肪アルコール、アルコール、長鎖脂
肪酸エステル、長鎖エーテル、脂肪酸の親水性誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニ
ルエーテル、ポリビニルアルコール、炭化水素、疎水性ポリマー、吸湿性ポリマー、及び
これらの組み合わせが含まれる。さらなる実施形態では、選択された安定剤は、製剤(例
えば、オレイン酸、ワックス)の疎水性を変え、または、製剤(例えば、エタノール)中
の種々の構成成分の混合を改善し、配合物(例えば、PVPまたはポリビニルピロリドン
)中の水分レベルに影響を及ぼし、相(例えば、長鎖脂肪酸、アルコール、エステル、ア
ミド等、またはこれらの混合物の室温よりも高い融点を備える物質;ワックス)の移動に
影響を及ぼし、及び/または、封入材料(例えば、オレイン酸、またはワックス)を有す
る配合物の親和性を改善する。他の実施形態では、安定剤は、組成物中のガンマセクレタ
ーゼモジュレーターまたはその誘導体の分解を阻害するために十分な量で存在する。かか
る安定剤の例としては、(a)約0.5%〜約2%w/vのグリセロール、(b)約0.
1%〜約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%〜約2%w/vのモノチオグリセロ
ール、(d)約1mM〜約10mMのEDTA、(e)約0.01%〜約2%w/vのア
スコルビン酸、(f)0.003%〜約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)
0.001%〜約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘ
パリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサ
ルフェート及び他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛等の2価カチオン、また
は(n)これらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
特定の実施形態では、組成物は、制御放出製剤として製剤化される。全般に、制御放出
製剤は、インビボでの放出部位及び放出時間に関し、薬物の放出に対して制御を付与する
。制御放出は、即時放出、遅延放出、持続放出、延長放出、変動制放出、パルス放出、及
び二峰性放出を含む。制御放出によって提供される利点には、より少ない投与回数、より
効果的な薬物の利用、インビボでの治療部位での送達デバイスまたは製剤を配置すること
による局所的な薬剤送達、及び単一の投与ユニットを用いることによって、それぞれ固有
の放出プロファイルを有する2つ以上の異なる薬物を投与し、放出する機会、または同じ
薬物を異なる速度または異なる継続期間で放出させる機会が含まれる。
【0091】
制御放出製剤は、生体適合性ポリマー、粘性剤、ゲル、塗料、フォーム、キセロゲル、
微粒子、ヒドロゲル、ナノカプセル、及び熱可逆性ゲル、またはこれらの組み合わせを含
む組成物を製剤化することによって作製され得る。特定の実施形態では、このポリマーま
たはゲルは、生体適合性がある。放出特性は、多くの場合、組成物を製剤化するために使
用されるポリマーまたはゲルの特定の組み合わせによって制御される。これらの方法は、
当該技術分野で公知である。
【0092】
本発明の組成物を製剤化するために適している例示的なポリマーとしては、ポリアミド
、ポリカーボネート、ポリアルキレン(ポリエチレングリコール(PEG))、アクリル
酸エステル及びメタクリル酸エステルのポリマー、ポリビニルポリマー、ポリグリコリド
、ポリシロキサン、ポリウレタン、及びこれらのコポリマー、セルロース、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリスチレン、乳酸及びグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ
(オルト)エステル、ポリ(ブチック酸)、ポリ(バレリアン酸)、ポリ(ラクチド−コ
−カプロラクトン)、多糖、タンパク質、ポリヒアルロン酸、ポリシアノアクリレート、
ならびにこれらのブレンド、混合物、またはコポリマーが挙げられるが、これらに限定さ
れない。
【0093】
特定の実施形態では、ポリマーは、ABA型またはBAB型のトリブロックコポリマー
またはこれらの混合物であり、Aブロックは、相対的に疎水性であり、生分解性ポリエス
テルまたはポリ(オルトエステル)を含み、Bブロックは、相対的に親水性であり、ポリ
エチレングリコール(PEG)を含む。生分解性の疎水性Aポリマーブロックは、ポリエ
ステルまたはポリ(オルトエステル)を含み、このポリエステルは、D,L−ラクチド、
D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−乳酸、D−乳酸、L−乳酸、グリコリド、グリコ
ール酸、ε−カプロラクトン、ε−ヒドロキシヘキサン酸、γ−ブチロラクトン、γ−ヒ
ドロキシ酪酸、δ−バレロラクトン、δ−ヒドロキシバレリアン酸、ヒドロキシ酪酸、リ
ンゴ酸、及びこれらのコポリマーから成る群から選択されるモノマーから合成される。
【0094】
組成物を製剤化するために用いるのに適している例示的な粘性剤としては、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カル
ボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ナトリウムコンドロイチンサルフェー
ト、ヒアルロン酸ナトリウム、アカシア(アラビアゴム)、寒天、アルミニウムケイ酸マ
グネシウム、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒバマタ、ベントナイト
、カルボマー、カラゲーニン、カーボポール、キサンタン、セルロース、微結晶性セルロ
ース(MCC)、セラトニア、キチン、カルボキシメチル化キトサン、ツノマタ、デキス
トロース、ファーセレラン、ゼラチン、ガハッチゴム、グアーガム、ヘクトライト、ラク
トース、蔗糖、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、蜂蜜、トウモロコシ
デンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、カラヤゴム、キ
サンタンガム、トラガカントゴム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロー
ス、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ヒドロキシエチル
メタクリル酸塩)、オキシポリゼラチン、ペクチン、ポリゲリン、ポビドン、炭酸プロピ
レン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(PVM/MA)、ポリ(メト
キシエチルメタクリル酸塩)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリル酸塩)、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース(HPMC)、ナトリ
ウムカルボキシメチル−セルロース(CMC)、二酸化ケイ素、またはポリビニルピロリ
ドン(PVP:ポビドン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
ゲル形成の調製で用いるために適しているゲル化剤としては、セルロース、セルロース
誘導体、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース
、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース)、グアーガム、キサ
ンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩(例えばアルギン酸)、ケイ酸塩、デ
ンプン、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、パラフィン、ペトロ
ラタム、グリセリン系ゲル、グリセリン由来化合物、架橋ゲル、基質、ヒドロゲル、及び
ポリマー、ならびにゼラチン及びそれらの誘導体、ならびに様々な天然及び合成ヒドロゲ
ル及びヒドロゲル由来化合物、ならびにこれらの任意の組み合わせまたは混合物が挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0096】
特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物は、単独でまたは1つ以上の治療薬
もしくはモダリティと併用して、有効量の1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーター
またはその誘導体を含む。それ故に、本組成物は、個々にまたは互いに及び/もしくは放
射線療法、化学療法、移植、免疫療法、ホルモン療法、光力学療法等の他の周知の癌治療
と併用して投与され得る。本組成物はまた、抗生物質と併用して投与され得る。かかる治
療薬は、特定の癌等の本明細書に記載される特定の病態のための標準治療として当該技術
分野で認められ得る。企図される例示的な治療薬は、サイトカイン、成長因子、NSAI
D、DMARD、抗炎症薬、化学療法薬、放射線療法薬、治療抗体、または他の活性及び
補助薬剤を含む。
【0097】
ある特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物は、任意の数の化学療法剤と併
用して投与され得る。化学療法剤の例示的な例としては、チオテパ及びシクロホスファミ
ド(CYTOXAN(商標))等のアルキル化剤;ブスルファン、イムプロスルファン、
及びピポスルファン等のスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ
、及びウレドーパ等のアジリジン;エチレンイミン及びメチルアメラミン(アルトレタミ
ン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルア
ミド、及びトリメチロロメラミンレジュメを含む);クロラムブシル、クロルナファジン
、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロ
レタミン塩酸酸化物、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン
、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;アクラシノマ
イシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノ
マイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチ
ノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシ
ン、ドキソルビシン及びそのペグ化製剤、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、
マルセロマイシン、ミトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン
、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、プロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、
ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン
、ゾルビシン;メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)等の抗代謝物質
;デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート等のギ酸類似
体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似
体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデ
オキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン、5−FU等のピ
リミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール
、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、
トリロスタン等の抗アドレナル;フロリン酸等の葉酸補液;アセグラトン;アルドホスフ
ァミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;
エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢
酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニ
ダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチ
ン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジ
ン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン
酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデ
シン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマ
ン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タ
キソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Mye
rs Squibb Oncology,Princeton,N.J.)及びドセタキ
セル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne−Poulenc Rorer,Ant
ony,France);クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプ
トプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金類似体;ビンブ
ラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトマイシンC;ミト
キサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド
;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸塩;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害
剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);Targretin(商
標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)等のレチノイン
酸誘導体;ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラミシン;カペシ
タビン;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が挙
げられる。抗エストロゲン等の癌に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用
する抗ホルモン剤もこの定義に含まれ、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロ
マターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフ
ェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Far
eston);ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴ
セレリン等の抗アンドロゲン;ならびに上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、
酸、または誘導体が含まれる。
【0098】
様々な他の治療薬は、本明細書に企図される組成物と併せて使用され得る。一実施形態
では、本明細書に企図される組成物は、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、メ
トトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬剤、シクロホスファミド
、及びミコフェノール酸塩を含む、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)と共に投与さ
れる。
【0099】
他の例示的なNSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム
、VIOXX(登録商標)(ロフェコキシブ)及びCELEBREX(登録商標)(セレ
コキシブ)等のCOX−2阻害剤、ならびにシアリレートから成る群から選択される。例
示的な鎮痛剤は、アセトアミノフェン、オキシコドン、塩酸プロポルキシフェンのトラマ
ドールから成る群から選択される。例示的なグルココルチコイドは、コルチゾン、デキサ
メタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、またはプレドニ
ゾンからなる群から選択される。例示的な生体応答調節剤には、細胞表面マーカーに対し
て向けられている分子、TNF拮抗薬等のサイトカイン阻害剤、アダリムマブ(HUMI
RA(登録商標))及びインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ケモカイ
ン阻害剤、及び接着分子阻害剤が含まれる。生体応答調節剤には、モノクローナル抗体、
及び組換えの形態の分子が含まれる。例示的なDMARDには、アザチオプリン、シクロ
ホスファミド、シクロスポリン、メトトレキセート、ペニシラミン、レフルノミド、スル
ファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金(経口(オーラノフィン)及び筋肉内)、なら
びにミノサイクリンが含まれる。本明細書に企図される組成物との併用に適している治療
抗体の例示的な例としては、バビツキシマブ、ベバシズマブ(アバスチン)、ビバツズマ
ブ、ブリナツモマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、デュリゴツマブ、ダセツズマブ、ダ
ロツズマブ、エロツズマブ(HuLuc63)、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、インダ
ツキシマブ、イノツズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、ミラツズマブ、モクセツモ
マブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、シルツキシマブ、テプロツムマ
ブ、及びウブリツキシマブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物は、プロテアソーム阻害剤と共に投
与される。「プロテアソーム阻害剤」という用語は、20S及び/または26Sプロテア
ソームまたはその活性を直接または間接的に阻害する任意の物質を指す。特定の実施形態
では、プロテアソーム阻害剤は、特異的であり、即ち、プロテアソーム阻害剤は、別の無
関係の生物学的効果を引き起こすのに必要とされる阻害剤の濃度よりも低い濃度で、プロ
テアソーム活性を阻害する。本明細書に記載される阻害剤と共に投与することができるプ
ロテアソーム阻害剤の例示的な例としては、ボルテゾミブ(Velcade、PS−34
1)、カーフィルゾミブ(Kyprolis)、オプロゾミブ(ONX0912)、デラ
ンゾミブ(CEP−18770)、クエン酸イキサゾミブ(MLN9708)、マリゾミ
ブ(NPI−0052;サリノスポラミドA)、ジヒドロエポネマイシン、エポキソミシ
ン、ONX−914(PR−957)、シリンゴリンA、TMC−95A、アルギリンA
、ジスルフィラム、エピガロカテキン−3−没食子酸塩、MG−132、ラクタシスチン
、HBX41108、MG−262、MG−115、AM114、MLN2238、AM
114、グリオトキシン、P005091、PSI、オムラリド、AdaAhx3L3V
S、8−ヒドロキシキノリンヘミ硫酸塩半水化物、及びクラスト−ラクタシスチンβ−ラ
クトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
ある特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物は、ステロイド、例えば、グル
コルチコイドまたはグルコルチコイド受容体作動薬と共に投与される。本明細書に企図さ
れる組成物及び方法で用いるのに適しているグルココルチコイド及びグルココルチコイド
受容体作動薬の例示的な例としては、メドリソン、アルクロメタゾン、アルクロメタゾン
、ジプロピオン酸塩、アムシノニド、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、
ベタメタゾン、安息香酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド
、クロベタゾール、酪酸クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、
クロコルトロン、クロプレドノール、コルチゾール、コルチゾン、コルチバゾール、デフ
ラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デスオキシコルトン、デスオキシメタゾン
、デキサメタゾン、ジフロラゾン、二酢酸ジフロラゾン、ジフルコルトロン、吉草酸ジフ
ルコルトロン、ジフルオロコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、フルクロ
ロロンアセトニド、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルメタゾン(flumet
hasone)、ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルニソリド半水和物、フルオ
シノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルチ
ンブチル、フルオコルトロン、フルオロコルチゾン、フルオロメトロン、フルペロロン、
フルプレドニデン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルチカゾン、プロピ
オン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン
、酢酸ヒドロコルチゾン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンブテプレート
、酪酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、メプレドニゾン、6a−メチルプレドニゾ
ロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、アセポン酸メチルプレドニゾ
ロン、モメタゾン、フロ酸モメタゾン、フロ酸モメタゾン一水和物、パラメタゾン、プレ
ドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニリデン、リメキソロン、チキ
ソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及びウロベタゾール、
ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物は、1つ以上の免疫調節剤(IMi
D)と共に投与される。例示的なIMiDには、サリドマイド及びその誘導体が含まれる
。「サリドマイド」という用語は、活性サリドマイド化合物2−(2,6−ジオキソピペ
リジン−3−イル)−lH−イソインドール−l,3(2H)−ジオンを含む薬物または
薬学的製剤を指す。そのサリドマイド誘導体は、レナリドマイド(REVLIMID(商
標))ACTIMID(商標)(Celgene Corporation)、及びPO
MALYST(商標)(Celgene Corporation)、ならびにUS57
12291、WO02068414、及びWO2008154252(これらのそれぞれ
は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に開示される化合物等であるが
、これらに限定されない、同様の生物学的活性を有するサリドマイドの構造的バリアント
を指す。本明細書に企図される組成物と共に投与され得るIMiDの例示的な例としては
、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、リノミド、CC−1088、CDC
−501、及びCDC−801が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、1つ以上のサイトカインと
併用して投与される。「サイトカイン」は、細胞間メディエーターとしてもう1つの細胞
に作用する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質を指す。かかるサイトカインの
例示的な例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的ポリペプチドホルモンである。サ
イトカインの中に含まれるのは、ヒト成長ホルモン、肝臓成長因子等の成長ホルモン;腫
瘍壊死因子−アルファ及び−ベータ;ミュラー管抑制物質;インヒビン;アクチビン;エ
リスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン−アリファ、ベータ、及び−
ガンマ等のインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)等のコロニー刺激
因子(CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);及び顆粒球−CS
F(G−CSF);IL−1、IL−1アルファ、IL−2、IL−3、IL−4、IL
−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12
等のインターロイキン(IL);IL−15、TNF−アルファまたはTNF−ベータ等
の腫瘍壊死因子;ならびにLIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因
子である。本明細書に使用される、サイトカインという用語は、天然源または組換え細胞
培養からのタンパク質を含む。天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
【0104】
特定の実施形態では、本明細書に企図される組成物は、組成物の重量で、各活性成分の
、約0.01%〜約90%、約0.01%〜約50%、約0.1%〜約70%、約0.1
%〜約50%、約0.1%〜約40%、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約20%、
約0.1%〜約10%、または約0.1%〜約5%の1つ以上の薬学的に活性な成分(即
ち、ガンマセクレターゼモジュレーターまたは阻害剤またはその誘導体、及び任意にその
薬学的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ化合物、または互
変異性体)の濃度を含む。
【0105】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、組成物の重量で、活性成分
、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ化合
物、または互変異性体の、約1%〜約50%、約5%〜約50%、約10%〜約40%、
または約10%〜約30%の各薬学的活性薬剤の濃度を有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、製剤は、製剤の体積で、活性成分、またはその薬学的に許容
される塩、プロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ化合物、または互変異性体の、
約0.1〜約70mg/mL、約0.5mg/mL〜約70mg/mL、約0.5mg/
mL〜約50mg/mL、約0.5mg/mL〜約20mg/mL、約1mg〜約70m
g/mL、約1mg〜約50mg/mL、約1mg/mL〜約20mg/mL、約1mg
/mL〜約10mg/mL、または約1mg/mL〜約5mg/mLの薬学的活性薬剤の
濃度を有する。
【0107】
一実施形態では、製剤は、組成物から1つ以上の薬学的に活性な成分(即ち、ガンマセ
クレターゼモジュレーターまたは阻害剤またはその誘導体、またはその薬学的に許容され
る塩、プロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ化合物、もしくは互変異性体)の即
時放出、または1分以内に、または5分以内に、または10分以内に、または15分以内
に、または30分以内に、または60分以内に、または90分以内にさらに提供する。
【0108】
別の実施形態では、治療上有効量の少なくとも1つの薬学的に活性な成分は、直ちに、
または1分以内に、または5分以内に、または10分以内に、または15分以内に、また
は30分以内に、または60分以内に、または90分以内に本組成物から放出される。
【0109】
さらに別の実施形態では、組成物は、延長放出製剤として製剤化される。ある特定の実
施形態では、製剤からの少なくとも1つの薬学的に活性な成分の拡散は、5分間、15分
間、30分間、1時間、4時間、6時間、12時間、18時間、1日間、2日間、3日間
、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、14日間、18日間、21日
間、25日間、30日間、45日間、2か月間 3か月間 4か月間 5か月間 6か月
間 9か月間、または1年間を超える期間中生じる。
【0110】
特定の実施形態では、治療上有効量の少なくとも1つの薬学的に活性な成分は、5分間
、15分間、30分間、1時間、4時間、6時間、12時間、18時間、1日間、2日間
、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、14日間、18日間
、21日間、25日間、30日間、45日間、2か月間 3か月間 4か月間 5か月間
6か月間 9か月間、または1年間を超える期間中製剤から放出される。
【0111】
さらなる実施形態では、製剤は、即時放出及び延長放出製剤の両方を提供する。特定の
実施形態では、製剤は、即時放出製剤と延長放出製剤を0.25:1の比、0.5:1の
比、1:1の比、1:2の比、1:3の比、1:4の比、1:5の比、1:7の比、1:
10の比、1:15の比、または1:20の比で含有する。さらなる実施形態では、製剤
は、即時放出の第1の薬学的に活性な成分及び延長放出の第2の薬学的に活性な成分また
は他の治療薬を提供する。
【0112】
追加的な実施形態では、製剤は、即時放出製剤と延長放出製剤の1つ以上の薬学的に活
性な成分を0.25:1の比、0.5:1の比、1:1の比、1:2の比、1:3の比、
1:4の比、1:5の比、1:7の比、1:10の比、1:15の比、または1:20の
比で提供する。
【0113】
即時放出、遅延放出、及び/または延長放出の組成物または製剤の組み合わせは、他の
薬学的薬剤、ならびに賦形剤、希釈剤、安定剤、担体薬剤、及び本明細書の他の箇所に開
示されているその他の構成成分と組み合わせられ得る。したがって、組成物の構成成分、
所望の濃さもしくは粘度、または選択される送達の様式に応じて、本明細書に開示される
実施形態の代替の態様は、適宜に、即時放出、遅延放出、及び/または延長放出の実施形
態と組み合わせられる。
【0114】
組成物を製剤化するさらなる方法は、例えば、Physicians Desk Re
ference,62nd edition.Oradell,NJ:Medical
Economics Co.,2008、Goodman & Gilman’s Th
e Pharmacological Basis of Therapeutics,
Eleventh Edition.McGraw−Hill,2005、Reming
ton:The Science and Practice of Pharmacy
,20th Edition.Baltimore,MD:Lippincott Wi
lliams & Wilkins,2000、及びThe Merck Index,
Fourteenth Edition.Whitehouse Station,NJ
:Merck Research Laboratories,2006(これらのそれ
ぞれは、参照により関連部分で本明細書に組み込まれる)に記載されるように、当業者に
周知である。
【0115】
E.投与
特定の実施形態では、B細胞病態または障害を有する対象を治療する、または対象にお
けるB細胞からのBCMAシェディングを防ぐ方法が、企図され、本方法は、対象に、ガ
ンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体を投与することを含む。本明細書に企
図される組成物は、1つ以上の固体、半固体、ゲル、もしくは液体、またはこれらの組み
合わせとして投与され得る。例えば、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導
体及び他の薬学的に活性な薬剤は、液体剤形で静脈内投与用にまたは単一の錠剤もしくは
カプセルとして、または1つ以上の錠剤、カプセル、または他の剤形の組み合わせとして
経口投与用に個々に製剤化され得る。特定の量/投薬レジメンは、個体の体重、性別、年
齢、及び健康状態;製剤、薬剤の生化学的性質、生物活性、バイオアベイラビリティ、な
らびに副作用、完全な治療レジメンにおける薬剤の数及び同一性に応じて異なるであろう
。
【0116】
本明細書に使用される、「投与している」、「投与する」、または「投与」という用語
は、対象に、1つ以上の化合物または組成物を非経口的、腸内、または局所的に送達する
ことを指す。非経口投与の例示的な例としては、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内
、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、
脊髄内、及び胸骨内注射及び注入が挙げられるが、これらに限定されない。腸内投与の例
示的な例としては、経口、吸入、鼻腔内、舌下、及び直腸投与が挙げられるが、これらに
限定されない。局所的投与の例示的な例としては、経皮及び膣内投与が挙げられるが、こ
れらに限定されない。
【0117】
特定の実施形態では、薬剤または組成物は、非経口的に、任意に、静脈内投与または経
口投与によって、対象に投与される。
【0118】
様々な実施形態では、例えば、経口、非経口、静脈内、鼻腔内、及び筋肉内投与及び製
剤を含む、様々な治療レジメンにおいて本明細書に企図される特定の組成物を用いるため
に好適な投与及び治療レジメンの開発が、当該技術分野で公知である。ある特定の実施形
態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、対象に、静脈内投与される。特定の実施
形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、対象に、筋肉内投与される。いくつか
の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、対象に、舌下投与される。特定
の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、対象に、皮下投与される。
【0119】
特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体は、対象に
、経口投与される。薬剤は、対象に、約1〜100mg、約1〜50mg、約50〜10
0mg、約1〜5mg、約5〜10mg、約10〜15mg、約15〜20mg、約20
〜30mg、約30〜40mg、約40〜50mg、約50〜60mg、約60〜70m
g、約70〜80mg、約80〜90mg、または約90〜100mgもしくはそれ以上
の範囲の用量で投与される。ある特定の実施形態では、薬剤は、約1mg、約2mg、約
2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg
、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約50mg、または約100mg
もしくはそれ以上の用量で投与される。本発明のいくつかの実施形態では、薬剤の経口用
量は、対象に、治療周期で少なくとも1回、28日の治療周期で少なくとも1回、少なく
とも1週間に1回、少なくとも隔日に1回、少なくとも1日1回、または少なくとも1日
2回投与される。
【0120】
特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体は、静脈内
投与される。薬剤は、約0〜100mg、約1〜50mg、約50〜100mg、約1〜
10mg、約10〜20mg、約20〜30mg、約30〜40mg、約40〜50mg
、約50〜60mg、約60〜70mg、約70〜80mg、約80〜90mg、または
約90〜100mgもしくはそれ以上の用量で静脈内投与される。ある特定の実施形態で
は、薬剤の静脈内用量は、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6m
g、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg
、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70
mg、約80mg、約90mg、または約100mgもしくはそれ以上の用量である。薬
剤の用量は、当該技術分野で周知の注射または注入のために任意に薬学的に好適なビヒク
ルで静脈内に送達され得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、薬剤は、約0〜100mg/m
2、約1〜50mg/m
2、
約50〜100mg/m
2、約1〜10mg/m
2、約10〜20mg/m
2、約20〜
30mg/m
2、約30〜40mg/m
2、約40〜50mg/m
2、約50〜60mg
/m
2、約60〜70mg/m
2、約70〜80mg/m
2、約80〜90mg/m
2、
または約90〜100mg/m
2もしくはそれ以上の用量で静脈内投与され得る。ある特
定の実施形態では、薬剤の静脈内用量は、約1mg/m
2、約2mg/m
2、約3mg/
m
2、約4mg/m
2、約5mg/m
2、約6mg/m
2、約7mg/m
2、約8mg/
m
2、約9mg/m
2、約10mg/m
2、約15mg/m
2、約20mg/m
2、約2
5mg/m
2、約30mg/m
2、約35mg/m
2、約40mg/m
2、約45mg/
m
2、約50mg/m
2、約60mg/m
2、約70mg/m
2、約80mg/m
2、約
90mg/m
2、または約100mg/m
2もしくはそれ以上である。
【0122】
いくつかの実施形態では、薬剤は、約0〜10mg/kg、約0〜5mg/kg、約5
〜10mg/kg、約0〜1mg/kg、約1〜2mg/kg、約2〜3mg/kg、約
3〜4mg/kg、約4〜5mg/kg、約5〜6mg/kg、約6〜7mg/kg、約
7〜8mg/kg、約8〜9mg/kg、または約9〜10mg/kgもしくはそれ以上
の用量で静脈内投与され得る。ある特定の実施形態では、薬剤の静脈内用量は、約0.0
5mg/kg、約0.1mg/kg、約0.15mg/kg、約0.2mg/kg、約0
.25mg/kg、約0.3mg/kg、約0.35mg/kg、約0.4mg/kg、
約0.45mg/kg、約0.5mg/kg、約0.55mg/kg、約0.6mg/k
g、約0.65mg/kg、約0.7mg/kg、約0.75mg/kg、約0.8mg
/kg、約0.85mg/kg、約0.9mg/kg、約0.95mg/kg、約1mg
/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg
/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、または約10mg/kgも
しくはそれ以上である。
【0123】
いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体は、治
療周期中、少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼモ
ジュレーターまたはその誘導体は、対象に、同じ日に投与される。いくつかの実施形態で
は、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体は、対象に、異なる日に投与さ
れる。いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターまたはその誘導体は
、治療スケジュールに従って、対象に、同じ日及び異なる日に投与される。
【0124】
特定の実施形態では、薬剤は、対象に、1回以上の治療周期にわたって投与される。治
療周期は、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なく
とも6日、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも28日、
少なくとも48日、または少なくとも96日もしくはそれ以上であり得る。一実施形態で
は、治療周期は、28日である。ある特定の実施形態では、薬剤は、同じ治療周期にわた
ってまたは各薬剤に割り当てられた異なる治療周期にわたって投与される。様々な実施形
態では、治療周期は、対象の病態及び必要性に基づいて医療従事者によって決定される。
【0125】
いくつかの実施形態では、薬剤は、28日の治療周期のうちの少なくとも1日、少なく
とも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なく
とも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少
なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、少なくとも21日、または28
日すべてで投与される。特定の実施形態では、薬剤は、対象に、1日1回投与される。他
の特定の実施形態では、薬剤は、1日2回投与される。ある特定の実施形態では、薬剤は
、1日2回より多く投与される。
【0126】
特定の実施形態では、薬剤は、28日の治療周期のうちの1日目、2日目、8日目、9
日目、15日目、及び16日目に投与される。いくつかの実施形態では、ガンマセクレタ
ーゼモジュレーターまたはその誘導体は、28日の治療周期のうちの1日目、2日目、8
日目、9日目、15日目、及び16日目に投与される。
【0127】
組成物の回数は、医療専門家の裁量、障害、障害の重篤度、及び製剤への対象の応答に
応じて、それを必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示
される組成物は、軽度の急性病態を有するそれを必要とする対象に1回投与される。いく
つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、中等度または重度の急性病態を有
するそれを必要とする対象に1回より多く投与される。対象の病態が改善しない場合には
、医師の裁量に応じて、本組成物は、慢性的、つまり、対象の疾患または病態の症状を改
善するかまたはそうでなければ制御もしくは制限するために、対象の生涯を通じることを
含む、延長期間中投与され得る。
【0128】
対象の状態が改善する場合には、医師の裁量に応じて、本組成物は、連続して投与され
得るか、または投与されている薬物の用量が、一時的に減量され得るか、またはある特定
の期間、一時的に中止され得る(即ち、「休薬期間」)。休薬期間の長さは、ほんの例と
して、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日
間、20日間、28日間、35日間、50日間、70日間、100日間、120日間、1
50日間、180日間、200日間、250日間、280日間、300日間、320日間
、350日間、及び365日間を含む、2日〜1年の間で異なる。休薬期間中の減量は、
ほんの例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、
50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、
及び100%を含む、10%〜100%であり得る。
【0129】
F.方法
様々な実施形態では、本発明は、対象に、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレータ
ーを投与することを含む、B細胞療法を企図する。
【0130】
一実施形態では、本明細書に企図される方法は、対象におけるB細胞病態または障害を
治療または予防する方法を含み、本方法は、対象に、1つ以上のガンマセクレターゼモジ
ュレーターまたはその誘導体を投与することを含む。
【0131】
なおさらなる態様では、本発明は、B細胞媒介性病態障害を治療するまたは予防するま
たは遅延させる方法を提供する。本方法は、かかる治療または予防または遅延が所望であ
る対象に、対象における腫瘍形成または免疫調節状態を治療する、予防する、または遅延
させるのに十分な量で本発明の組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、
対象は、ヒトである。他の実施形態では、対象は、非ヒト哺乳動物である。いくつかの実
施形態では、本発明の組成物の投与は、対象におけるBCMAのガンマセクレターゼ媒介
性切断を減少させるかまたは防止し、細胞死、細胞増殖の阻害、減少、または中止のうち
の1つ以上をもたらし得る。
【0132】
本明細書に企図される組成物または方法による治療に適しているB細胞関連の病態また
は障害の例示的な例としては、不適切なB細胞活性及びB細胞リンパ腫を含む自己免疫疾
患が挙げられるが、これらに限定されない。B細胞リンパ腫としては、MM、形質細胞腫
、WM、CLL、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小非切断細胞リンパ腫、風土性バ
ーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜関連リンパ
組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細
胞型リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、原発性縦隔性B細胞リ
ンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、移
植後リンパ球増殖性疾患、原発性もしくは免疫細胞関連アミロイドーシス、及び意義不明
の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)が挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0133】
本明細書に企図される組成物または方法による治療に適しているB細胞関連の病態また
は障害の例示的な例としては、例えば、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎、重
症筋無力症、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少症紫斑病、抗リン脂質症候群、シャ
ーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群
、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連脈管炎、グッ
ドパスチャー症候群、川崎病、重鎖病、及び急速進行性糸球体腎炎等の実際には自己免疫
である障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書に企図される組成物または方法による治療に適している血液学的悪性腫瘍の例
示的な例としては、MM、WM、白血病、またはリンパ腫が挙げられるが、これらに限定
されない。白血病としては、ALL、AML、CLL、CML、急性単球性白血病が挙げ
られるが、これらに限定されない。リンパ腫としては、ホジキンリンパ腫、例えば、結節
硬化型ホジキンリンパ腫、混合細胞型亜型ホジキンリンパ腫、リンパ球豊富型ホジキンリ
ンパ腫、及びリンパ球減少型ホジキンリンパ腫;ならびに非ホジキンリンパ腫、例えば、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔原発性B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、CLL
、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞
性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、T細胞リンパ腫、及びWMが挙げられるが、こ
れらに限定されない。形質細胞悪液質としては、多発性骨髄腫が挙げられるが、これに限
定されない。
【0135】
様々な実施形態では、B細胞からBCMAシェディングを防ぐまたは減少させる方法も
また、企図され、本方法は、対象に、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターまた
はその誘導体を投与することを含む。BCMAのB細胞シェディングを防ぐまたは減少さ
せることにより、B細胞上で検出されたBCMAの量を増加させ、血清中で検出可能であ
るBCMAの量を低下させるまたは減少させる。いかなる特定の理論によって拘束される
ことも望まないが、BCMAが剥がれる場合、B細胞がもはや効果的に標的化されないで
あろうが、シェディングがブロックされるまたは減少する場合、さらにBCMAがB細胞
の表面上に発現し、それにより、B細胞上に発現するBCMAを標的化する療法の有効性
を増加させるため、シェディングの減少が、B細胞上で発現されるBCMAを標的化する
他の療法を増強するであろうと企図される。BCMA及び/またはBCMAを発現する細
胞に結合する治療薬としては、治療的抗BCMA抗体またはその断片、抗BCMA抗体−
薬物複合体、及びBCMAに結合するキメラ抗原受容体T細胞(CAR−T細胞)が挙げ
られるが、これらに限定されない。
【0136】
いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、BCMAを標的化す
る療法を受けている対象に投与される。ある特定の実施形態では、BCMAを標的化する
療法は、BCMAに結合する治療薬を投与することを含む。特定の実施形態では、薬剤は
、B細胞によって発現されるBCMAに結合する。いくつかの実施形態では、B細胞は、
病原性B細胞である。いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、ガ
ンマセクレターゼ阻害剤の不在下で、病原性B細胞への治療薬の結合と比較して、BCM
Aを発現する病原性B細胞への治療薬の結合を約5%、約10%、約15%、約20%、
約25%、約30%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、
約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、
約90%、約95%、約100%、約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、
約5倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約100倍、または10
0倍以上(間のすべての範囲及び値を含む)増加する。
【0137】
特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは、BCMAを標的化する療
法を受けている対象に投与される。いくつかの実施形態では、BCMAを標的化する療法
は、病原性B細胞がBCMAを発現するため、病原性B細胞の数を減少させる薬剤を投与
することを含む。いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、ガンマ
セクレターゼ阻害剤の不在下で、BCMAを標的化する療法によって達成される病原性B
細胞の減少と比較して、病原性B細胞がBCMAを標的化する療法を受けている対象にお
いてBCMAを発現するため、病原性B細胞の量を約5%、約10%、約15%、約20
%、約25%、約30%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45
%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85
%、約90%、約95%、または約100%(間のすべての範囲及び値を含む)さらに減
少させる。
【0138】
様々な実施形態では、本明細書に企図される方法は、B細胞病態または障害のために治
療されている対象における治療法の有効性を増加させることを含み、本方法は、対象に提
供されている既存の治療に加えて、対象に、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレータ
ーまたはその誘導体を投与することを含む。B細胞病態または障害のための療法としては
、放射線療法、化学療法、移植、免疫療法、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、ホルモ
ン療法、または光力学療法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
ある特定の実施形態では、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターは、本来は自
己免疫であるB細胞病態または障害のための療法剤または治療剤の有効性を増加させるた
めに、対象に投与される。本来は自己免疫であるB細胞病態のための療法剤としては、コ
ルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、及びメチルプレドニゾロン
)、疾患修飾性抗炎症薬(DMARD;例えば、メトトレキサート、ヒドロキシコロルキ
ン、スルファサラジン、レフルノミド、シクロホスファミド、及びアザチオプリン)、J
AK阻害剤(例えば、トファシチニブ及びルキソリチニブ)、ならびに生物製剤(例えば
、トシルズマブ、セロリズマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、アナキンラ、アバタセ
プト、インフリキシマブ、リツキシマブ)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID;例え
ば、アスピリン、イブプロフェン、及びナプロキセン)、アセチルコリンエステラーゼ阻
害剤(例えば、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、ピリドスチグミン、アンベノニウム
、デメカリウム、リバスティグミン、フェナントレン、ガランタミン、ドネペジル、タク
リン、及びエドロホニウム)、細胞増殖抑制剤(例えば、メトトレキサート等の葉酸類似
体、アザチオプリン及びメルカプトプリン等のプリン類似体、ならびにフルオロウラシル
等のピリミジン類似体)、イムノフィリンに作用する薬物(例えば、シクロスポリン、タ
クロリムス、及びシロリムス)、ならびにIFN−ベータ等のインターフェロンが挙げら
れるが、これらに限定されない。
【0140】
様々な実施形態では、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターは、血液学的悪性
腫瘍であるB細胞病態または障害のための療法剤または治療剤の有効性を増加させるため
に、対象に投与される。血液学的悪性腫瘍のための療法としては、放射線療法及び化学療
法(例えば、MOPP(Mustargen、Oncovin(ビンクリスチンとしても
知られている)、プレドニゾン及びプロカルバジン(Matulaneとしても知られて
いる)の組み合わせ)、ABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン
、及びダカルバジンの組み合わせ)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、
ビンクリスチン、プレドニゾロン)のような併用化学療法;メルファラン、シクロホスフ
ァミド、ニトロソ尿素、テトラジン、アジリジン、シスプラチン、及び誘導体等のアルキ
ル化剤、ならびにベンダムスチン等の非古典的アルキル化剤による治療;細胞増殖抑制剤
(例えば、メトトレキサート等の葉酸類似体、アザチオプリン及びメルカプトプリン等の
プリン類似体、ならびにフルオロウラシル等のピリミジン類似体);ビンクリスチン及び
ビンブラスチン、タキサン、パシリタキセル、ドセタキセル、及びリガン等の抗微小管剤
による治療;イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、エトポシド、ドキソルビシン
、ミトキサントロン、及びテニポシド等のトポイソメラーゼ阻害剤、ボルテゾミブ、カー
フィルゾミブ、及びイキサゾミブ等のプロテアソーム阻害剤、ならびにサリドマイド、レ
ナリドマイド、及びポマリドマイド等の免疫調節剤による治療が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0141】
ある特定の実施形態は、療法剤の有効性の増加が当業者によって容易に決定及び/また
は特定され得ることを企図する。いくつかの実施形態では、B細胞病態または障害のため
の療法剤の有効性の改善は、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターを用いない療
法と比較して、治療されているB細胞病態または障害の少なくとも1つの兆候または症状
の改善、軽減、緩和、及び/または低減である。いくつかの実施形態では、B細胞病態ま
たは障害に対する療法を受けている対象は、ガンマセクレターゼ阻害剤が投与され、B細
胞病態または障害の少なくとも1つの兆候または症状は、その療法単独による治療と比較
して、療法によってさらに減少する。B細胞病態または障害の症状としては、全身衰弱及
び疲労、貧血、めまい、頻繁なもしくは原因不明の発熱及び感染症、体重減少もしくは食
欲不振、過剰なもしくは原因不明のあざ、息切れ、腫大したリンパ節、肝臓、もしくは脾
臓、圧痕浮腫、関節の炎症、血栓、皮疹、黄疸、皮膚の痒み、関節の痛み、不眠症、熱感
度、筋力低下、振戦、麻酔症、発話困難、呼吸困難が挙げられるが、これらに限定されな
い。
【0142】
特定の実施形態では、療法剤の改善された有効性は、療法の少なくとも1つの望ましく
ない副作用の軽減、減少、緩和、及び/または低減を含む。それ故に、ある特定の実施形
態では、1つ以上のガンマセクレターゼモジュレーターは、療法の少なくとも1つの望ま
しくない副作用を減少させる、軽減する、緩和する、及び/または低減させるために、B
細胞病態または障害に対する療法を受けている対象に投与される。望ましくない副作用の
例は、当業者によって容易に特定され、これには、感染症のリスクまたは発症の増加、発
熱のリスクまたは発症の増加、免疫抑制、免疫機能の低下、及び抗体産生の低下が含まれ
るが、これらに限定されない。
【0143】
いくつかの実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、B細胞病態または障害に対す
る療法を受けている対象に投与され、腫瘍数及び/または腫瘍体積は、その療法単独での
治療と比較して、低減する。特定の実施形態では、ガンマセクレターゼモジュレーターは
、B細胞病態または障害に対する療法を受けている対象に投与され、対象における癌細胞
の数は、その療法単独での治療と比較して低減する。様々な実施形態では、ガンマセクレ
ターゼモジュレーターは、B細胞病態または障害に対する療法を受けている対象に投与さ
れ、B細胞病態または障害の寛解の可能性は、その療法単独での治療と比較して、ガンマ
セクレターゼモジュレーターの添加に伴って増加する。ある特定の実施形態では、ガンマ
セクレターゼモジュレーターは、B細胞病態または障害に対する療法を受けている対象に
投与され、生存の可能性は、その療法単独からの生存の可能性と比較して、増加する。
【実施例】
【0144】
実施例1:ガンマセクレターゼ阻害剤によるLAGκ−1A腫瘍細胞の処理は、上清BC
MAレベルの低下を生じる。
細胞は、重症複合免疫不全(SCID)マウスの後肢から摘出したヒト多発性骨髄腫L
AGκ−1A腫瘍から得た。単一細胞を、腫瘍から解離し、懸濁させ、24ウェルまたは
96ウェル細胞培養プレート中で培養した。BCMA濃度の決定のために、LAGκ−1
A腫瘍細胞を、24ウェルプレート中で5×10
5細胞または2×10
6細胞のいずれか
の細胞数で培養した。
【0145】
2時間後、Lilly Pharmaceuticals(Indianapolis
,Indiana)からのガンマセクレターゼ阻害剤E424354を、細胞培地に添加
した。細胞を、256pM〜20μMの濃度で、E424354を用いずにまたは用いて
培養した。具体的には、256pM、1.28nM、6.4nM、32nM、160nM
、800nM、4μM、及び20μMのE424354を試験した。細胞を、これらの濃
度のE424354で、48時間、72時間、または5日間インキュベートした。インキ
ュベーション後、細胞を遠心分離し、上清を回収した。上清試料を、R&D Syste
ms(Minneapolis,MN,USA)(カタログ番号#DY193E)から得
たBCMA酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって分析した。血清試料を、1
:50で希釈し、BCMA ELISAアッセイを、製造業者のプロトコルに従って行っ
た。ELISAプレートを、KCジュニアソフトウェアを備え、450nmに設定したμ
Quant(Biotek Industries,Winooski,VT,USA)
プレートリーダーを用いて分析した。値は、各標本上の3重の試料の平均を表す。このB
CMA ELISAキットは、組換えヒトAPRILもしくはBAFF、組換えヒトTA
CI/Fcまたは組換えマウスBCMA/FcもしくはマウスBCMAと交差反応しない
。
【0146】
上清BCMAレベルは、ビヒクル対照で処理したLAGκ−1A腫瘍細胞からの試料と
比較して、ガンマセクレターゼ阻害剤で処理した培養したLAGκ−1A腫瘍細胞から回
収した試料において減少した。1ウェル当たり5×10
5細胞の密度で培養したLAGκ
−1A腫瘍細胞を、ガンマセクレターゼ阻害剤で48時間(
図2)または72時間(
図3
)インキュベートしたとき、または1ウェル当たり2×10
6細胞の密度で培養したLA
Gκ−1A腫瘍細胞を、ガンマセクレターゼ阻害剤で48時間(
図4)、72時間(
図5
)、または5日間(
図6)インキュベートしたとき、低レベルの上清BCMAを、対照と
比較して観察した。試験したすべての条件(即ち、細胞密度、E424354濃度、及び
インキュベーション時間)にわたって、低レベルの上清BCMAを、E424354を含
まない細胞(対照)と比較して、E424354で処理した細胞から回収した試料におい
て検出した。ガンマセクレターゼ阻害剤の効果は、非常に低い(ピコモル)濃度のガンマ
セクレターゼ阻害剤でさえ明らかであった。
【0147】
MTSアッセイを行って、細胞成長及び細胞生存におけるE424354の効果を評価
した。LAGκ−1A腫瘍細胞を、96ウェルプレート中で1ウェル当たり5×10
4細
胞で培養した。E424354を添加する前に、細胞は、37℃、5%CO
2で2時間培
養した。細胞を、E424354で、24時間(
図7)、48時間(
図8)、72時間(
図9)、または5日間(
図10)インキュベートした。試験した薬物曝露のすべての濃度
及び長さで、ガンマセクレターゼ阻害剤で処理したLAGκ−1A腫瘍細胞は、MTSア
ッセイ細胞増殖アッセイを用いて評価される、毒性効果を示さず、ガンマセクレターゼ阻
害剤E424354で処理した細胞からの上清液中のBCMAレベルの減少が、細胞死に
よるものではなかったことを示した。総合すれば、これらのデータは、ガンマセクレター
ゼ阻害剤の骨髄腫腫瘍細胞からのBCMAのシェディングを防ぐ能力を支援する。
【0148】
前述の発明が、理解を明確にする目的で、図面及び実施例により詳細に記載されている
が、本発明の教示を考慮すると、本明細書に企図される本発明の精神または範囲から逸脱
せずに、本発明に対してある特定の変更及び改変が可能であることは、当業者には容易に
明らかになるであろう。
【0149】
全般に、以下の特許請求の範囲において使用されている用語は、特許請求の範囲を本出
願及び特許請求の範囲中で開示されている特定の実施形態に制限するものとして解釈すべ
きでなく、そのような特許請求の範囲が関わる等価物の全範囲と共にすべての可能な実施
形態を含むものとして解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によっ
て制限されない。