特開2021-16754(P2021-16754A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 伊藤 善創の特許一覧

<>
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000003
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000004
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000005
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000006
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000007
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000008
  • 特開2021016754-誤嚥防止のためのトレーニング用器具 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-16754(P2021-16754A)
(43)【公開日】2021年2月15日
(54)【発明の名称】誤嚥防止のためのトレーニング用器具
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/00 20060101AFI20210118BHJP
【FI】
   A61H1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-144040(P2019-144040)
(22)【出願日】2019年7月18日
(71)【出願人】
【識別番号】597127317
【氏名又は名称】伊藤 善創
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 善創
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA07
4C046BB13
4C046DD03
(57)【要約】
【課題】誤嚥防止には、舌、喉、気管、喉頭蓋(弁)、横隔膜を強化する必要があり、そのためのトレーニング用器具を提供する。
【解決手段】エアーボックスの前方には着脱自在の呼吸筒を設け、後方には呼吸筒より息が吐き出される吐出圧によって開閉する開閉蓋と呼吸筒より吸引される時にエアーボックスへ外気を取り入れるための空気孔を設け、着脱式呼吸筒の内部は空洞とし、着脱呼吸筒口からエアーボックスに向かって傾斜した舌を置くための載置部を設け、着脱式呼吸筒の外周には口の中に着脱呼吸筒を挿入した時に口からズレ無いよう突起部を設けた誤嚥防止のためのトレーニング用器具。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)エアーボックスの前方には着脱自在の呼吸筒を設け、
(ロ)エアーボックスの後方には呼吸筒より息が吐き出される吐出圧によって開閉する開閉蓋と呼吸筒より吸引される時にエアーボックスへ外気を取り入れるための空気孔を設け、
(ハ)着脱式呼吸筒の内部は空洞とし、着脱式呼吸筒口からエアーボックスに向かって傾斜した舌を置くための載置部を設ける、
以上のように構成された、誤嚥防止のためのトレーニング用器具。
【請求項2】
着脱式呼吸筒の外周には口の中に着脱呼吸筒を挿入した時に口からズレ無いよう突起部を設け請求項1の誤嚥防止のためのトレーニング用器具。
【請求項3】
本体のエアーボックスの上面と底面に本体を保持するための円弧状の指置き部を設けた請求項1又は請求項2の誤嚥防止のためのトレーニング用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高齢者の誤嚥性肺炎の防止を目的として、その嚥下機能を強化するトレーニング用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、嚥下障害の機能を回復するには言語聴覚士がことばや聞こえ、食物を口から食べることに問題を持つ者の機能を回復や発達促進のためのトレーニングが行われていた。近年、高齢者社会に伴い嚥下力の低下による誤嚥を防ぎ、嚥下力を高めるためのトレーニング器具の商品が出現している。嚥下機能訓練具、嚥下機能訓練キット、及び嚥下機能訓練方法(特許文献1参照)や、嚥下回復訓練用のリハビリ用具(特許文献2)が知られている。
更に舌の力を鍛えるためのトレーニング用具の出現も知られて来ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6333487号公報
【特許文献2】特開2011−172996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
70歳以上の高齢者の死因の第四位が誤嚥性を含めた肺炎であり、食べたものが完全に食道に行かず、途中で溜まっていたものが、いつの間にか肺へ到達して、それが腐り、細菌が発生して肺炎が起こり重症化すると死に至ります。
病気や老化等により、飲食物をうまく飲み込めなくなり、誤って気管に入った物を吐き出せなくなる障害が嚥下障害と言われています。その初期症状として、食事中によくむせる、食べ物がのどにつかえる感じがする、むせやすい食べ物を避けている、食べ物をお茶や味噌汁などで飲み込むことが多くなっている、飲み込んだ後も口の中に食べ物が残っているなどがある。
【0005】
食べ物がうまく飲み込めない方は舌圧低下が生じ、舌の運動機能と深く関係している。舌圧の低い人は食事の際にむせる等して食べ物をうまく摂取できず、結果として体内に栄養を十分に取り入れることが出来なくなり、低栄養に陥る危険性が考えられる。特に、特養や老人ホームの介護施設では深刻な課題として抱えている。
【0006】
図7では喉頭蓋の位置を示した状態図で、口に取り入れた食べ物はかみ砕かれ、舌(15)、唇、頬の運動により唾液と混ぜ合わされ舌(15)の上で飲み込みやすい塊にまとめられ、この飲み込み易くなった食べ物の塊が食塊(16)です。次に舌(15)を使い、口から咽頭へ食塊(16)を押込み、この時の状態が口を閉じてゴックンとする時で、飲み込もうとして意識して行います。しかし、認知症等の進行に伴いその意識が大きく左右されてしまいます。
そして、軟口蓋(17)は、食塊(16)が逆流しないで正しく食道(18)に送られるように鼻腔(19)へ通じるドアを閉めます。そして、喉頭蓋(19)は気管(20)に通じるドアを閉めます。勿論、口は閉じられているので、食塊(16)は無事に食道(18)へ送り込まれます。これらの一連の運動は夫々の筋肉(筋)の力に大きく影響されるので、特に喉頭蓋(19)の筋力の低下により、食道(18)ではなく気管(21)に入ると誤嚥性肺炎の原因にもなります。そこで、加齢によるこれらの筋肉の衰えを防止し、強化する必要性が求められます。
【0007】
その対策として全身の筋力強化と同様に、舌に対するリハビリ訓練が必要になります。舌の運動機能を最大舌圧として測定する機器として、舌圧測定器があり、その測定器で嚥下障害患者の舌圧を測定すると、最大舌圧含めて舌の運動機能に問題があります。そこで患者の最大舌圧は20kPa未満であることが分かっています。一般的な成人男性は35〜kPa、女性は30kPa、60歳〜69歳は30kPa、70歳以上の高齢者では20kPaの測定値データーがあります。
最大舌圧の低下の原因は加齢により口輪筋、舌筋、頬筋、咀筋が充分に活動することが出来ないためです。その予防や機能回復のため深呼吸をしながらゴックン体操や舌体操を行っていたが根気と努力が必要な体操を繰り返し行う必要があった。
【0008】
誤嚥防止には、舌、喉、気管、喉頭蓋(弁)、横隔膜を強化する必要があり、ゴックン体操以外に近年では特許文献1の訓練具として、ボトルに水等を入れて吸いながら飲む、と云うものであるが実際に水等を口に含んだり飲むことをするため、むせてしまったり安全ではなかった。又、本商品は哺乳瓶を大人用にした、と云う事であり、のどや舌の訓練になるのか、その効果は疑問視されていた。又、舌のトレーニング器具として舌の上にトレーニング器具本体が1.5cm×6.1cmを乗せて、口の中に小さな本体を入れるため、認知症等の方はのどに詰まらせる恐れも生じる可能性があります。
本発明は以上の問題点を解決するためのものです。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(イ)エアーボックスの前方には本体に着脱自在が出来る呼吸筒を設け、
(ロ)エアーボックスの後方には呼吸筒より息が吐き出される吐出圧により開閉する開閉蓋と呼吸筒より吸引される時にエアーボックスへ外気を取り入れるための空気孔を設ける、
(ハ)呼吸筒の内部は空洞で、呼吸筒口からエアーボックスに向かって傾斜した舌を置くための載置部が設けられ、呼吸筒の外周には口の中に呼吸筒を挿入した時に口からズレ無いよう突起部を設けている、
以上のように構成された、誤嚥防止のためのトレーニング用器具。
【発明の効果】
【0010】
エアーボックスを両手で持ち、呼吸口に口をあて、ドッグブレス調に呼吸を繰り返す。舌を舌受け部位に沿わせ丸みを作り、力を入れ負荷をかけ、舌の出し入れも併用する。そしてゴックン、と意識を以ってゴックン体操を取り入れ、やや深く腹式、胸式呼吸をする。これを3〜4分1セットとし、1日3回程度の簡単なトレーニングをすることで誤嚥の改善が出来る。
【0011】
高齢者が肺炎を引き起こしてしまう誤嚥はうまく呑み込めないことであり、原因は主に老化による喉頭蓋(弁)の衰弱によります。それを解消するための筋肉、ゴックン筋(顎二腹筋、茎突下骨金、顎舌骨筋)を強化しなければいけません。上記を強化すれば自ずと舌圧が上がり、喉と喉頭蓋(弁)の働きが強く正常となり嚥下力が回復し、食べたものが気管に入り込む事はなくなり、むせたりすることもなくなります。
本発明は施設では勿論、自宅にて誤嚥の予防や誤嚥の改善を、手軽にトレーニングが出来る器具である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の使用状態を示した斜視図である。
図2】本発明の着脱式呼吸口の側面図で、一部切り欠き断面図。
図3】本発明の本体を示した開閉蓋を閉じた状態図。
図4】本発明の本体を示した開閉蓋を開放した状態図。
図5】本発明の本体を口の中に挿入した状態図。
図6】舌を巻き舌にした状態を示した図面代用写真
図7】喉頭蓋の位置を示した状態図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)図1で示すように、本発明の本体(1)はエアーボックス(2)の前面に着脱式呼吸筒(3)を設け、着脱式呼吸筒(3)は貫通し空洞に形成されている。又、図3に示されているようにエアーボックス(2)の反対側の後面には開閉蓋(4)と開放口(23)、そして空気孔(5)を設ける。
(ロ)図2に示すように着脱式呼吸筒(3)の内部には滑らかな舌受け載置部(6)を設け、外周にはトレーニングで呼吸する際に口からズレないように小さな突起部(7)を設け、突起部(7)の凹凸によって口に挿入した着脱式呼吸筒(3)の外周と口の周りにわずかな隙間が生じ、そこから空気の出し入れをする事も出来る。
(ハ)エアーボックス上部に両手の人差し指(8)、中指(9)、薬指(10)の3本を円弧状になった指置き部(11)に各指(8)(9)(10)を置くように設け、裏面にも同様に円弧状の両手親指置き部(12)で親指にて押えるように設ける。両手で口の中に着脱式呼吸筒(3)を挿入して、トレーニングするときに本体(1)をしっかりと両手で保持することが出来る。
【0014】
(ニ)図2に示されているように、着脱式呼吸筒(3)の後端にはネジ部を設け、本体(1)に設けられた連結受け部(13)のネジ部にて着脱式呼吸筒(3)が着脱自在に取付けられている。これは本体(1)を用いてトレーニング後、着脱式呼吸筒(3)を洗浄するために用いられる。
(ホ)図3図4に示されているように、本体(1)のエアーボックス(2)の後面に設けられた開閉蓋(4)は着脱式呼吸筒(3)から空洞のエアーボックス(2)に吐き出された息の吐出し圧で、空洞のエアーボックス(2)に設けた開閉蓋(4)は通常は閉じた状態から、図4の状態のように、は吐き出された息が開放口(23)から放出され開閉蓋(4)が開く。開閉蓋(4)の開閉は開閉具(14)に設けたバネで開閉される。
着脱式状呼吸筒(3)で息を吸引すると空気孔(5)から外気が吸引される。
本発明は以上のような構成である。
【0015】
本発明を使用するときは図1に示したように、本体(1)の上部に設けた円弧状の両手3本ずつの指置き部(11)と両手親指置き部(12)に指を置き、エアーボックス(2)を持ち姿勢を正します。
図5に示したように着脱式呼吸筒(3)を口の中に挿入し、舌を載置部(6)に沿わせ巻舌(24)のように舌の先端を内側に折り丸みを作り(図6参照)、舌の先端に力を入れ負荷をかけ、ドッグブレス調の呼吸を繰り返すことで舌、喉、気管、喉頭蓋(弁)、横隔膜を強化し。更に、舌の出し入れ運動を併用することで効果が増します。
【0016】
そして意識を以って「ゴックン」と唾液を少々飲み込む感じでゴックン体操を取り入れ、やや深く腹式、胸式呼吸をする。以上を1セット3〜4分程度とし、1日3回ほど実施することで、筋肉の強化が図られ喉頭蓋(弁)の衰弱の改善が生じ、誤嚥防止の対策が、自宅でも手軽に行うことが可能となった。トレーニングの状態は息を吐き出された息の吐出し圧で、空洞のエアーボックス(2)に取付けられた開閉蓋(4)は開放口(23)から吐き出された息が放出されて開閉蓋(4)を押し上げて開く。吐く力が弱いと開閉蓋(4)は少しだけ開くので可視化でき、自分自身でトレ〜ニングの成果を確認することが出来るので、トレ―ニングをする上で継続意欲も強まり継続は力なりで改善効果を高めることが出来る。
次に息を吸うことで空気孔(5)から外気が吸引されるので、舌、喉、気管、喉頭蓋(弁)、横隔膜に負荷が加わり、ゴックン筋強化することが出来る。
【符号の説明】
【0017】
1 本体
2 エアーボックス
3 着脱式呼吸口
4 開閉蓋
5 空気孔
6 載置部
7 突起部
8 人差し指
9 中指
10 薬指
11 指置き部
12 親指置き部
13 連結受け部
14 開閉具
15 舌
16 食塊
17 軟口蓋
18 食道
19 鼻腔
20 喉頭蓋
21 気管
22 声帯
23 開放口
24 巻き舌
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7