【解決手段】径方向に延びる一対のフォーク部2と、フォーク部2の基部2c同士を連結する連結部3と、フォーク部2の先端側から圧縮方向反対側に突出するリップ部4と、を備える金属ガスケット1であって、リップ部4は、フォーク部2の先端側から基部側に向けて圧縮方向反対側に傾斜する先端面4aと、先端面4aから基部2c側に向けて径方向に延びるシール面4bと、フォーク部2の外面2aからシール面4bに向けて圧縮方向反対側に立ち上がる基端面4cと、を備え、フォーク部2の外面2aから基端面4cが立ち上がる立ち上がり領域41に直交屈曲面142もしくは谷状湾曲面42が形成されている。
径方向に延びる一対のフォーク部と、前記フォーク部の基部同士を連結する連結部と、前記フォーク部の先端側から圧縮方向反対側に突出するリップ部と、を備える金属ガスケットであって、
前記リップ部は、前記フォーク部の先端側から基部側に向けて圧縮方向反対側に傾斜する先端面と、前記先端面から前記基部側に向けて径方向に延びるシール面と、前記フォーク部の外面から前記シール面に向けて圧縮方向反対側に立ち上がる基端面と、を備え、
前記フォーク部の外面から前記基端面が立ち上がる立ち上がり領域に直交屈曲面もしくは谷状湾曲面が形成されている金属ガスケット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の金属ガスケットは、断面略U字状をなし、内縁は略半円弧と該略半円弧に接続された一対の略直線とからなり該直線が開放端に行くにつれ互いに離れる断面略U字形、外縁は連結部を区画する直線と、該直線の両端に接続される直線状の一対の面取り線と、面取り線に接続され互いに平行なフォーク部を区画する直線と、外縁のフォーク部を区画する直線に接続されリップ部を区画する山状屈曲線とからなる断面形状であって、フォーク部の肉厚が先端側にかけて漸次減少するテーパ状に形成されており、被取付部材の変形に対して主にフォーク部を変形させてリップ部を追従させるようになっている。このことから、被取付部材の変形が大きくなるとフォーク部の径方向略中央部に応力が集中して局所的な変形が生じることにより、被取付部材に対するリップ部の接触角度が大きく変化してシール面が移動し、シール性が低下する虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、被取付部材の変形に対してシール性を維持することができる金属ガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の金属ガスケットは、
径方向に延びる一対のフォーク部と、前記フォーク部の基部同士を連結する連結部と、前記フォーク部の先端側から圧縮方向反対側に突出するリップ部と、を備える金属ガスケットであって、
前記リップ部は、前記フォーク部の先端側から基部側に向けて圧縮方向反対側に傾斜する先端面と、前記先端面から前記基部側に向けて径方向に延びるシール面と、前記フォーク部の外面から前記シール面に向けて圧縮方向反対側に立ち上がる基端面と、を備え、
前記フォーク部の外面から前記基端面が立ち上がる立ち上がり領域に直交屈曲面もしくは谷状湾曲面が形成されている。
これによれば、被取付部材が変形すると、リップ部に力が加わり、フォーク部の基部側が変形するとともにフォーク部の先端側においてシール面に近い立ち上がり領域が変形する。このことにより、被取付部材に対するリップ部の接触角度が維持され、シール面の移動が生じにくくリップ部を被取付部材に追従させることができるため、シール性を維持することができる。加えて、リップ部の先端面が傾斜していることにより、シール面のシール幅を狭くできるため、リップ部に力が加わったときにシール面の移動が生じることなく立ち上がり領域を変形させやすい。
【0008】
前記シール面と前記基端面との接続部は、面取りされていてもよい。
これによれば、リップ部に力が加わったときにシール面が移動しても面取りされた接続部が接触することにより、角当たりが防止されるため、シール性を安定して維持できる。
【0009】
前記基端面は、前記シール面側の平面と前記立ち上がり領域側の曲面とから形成されていてもよい。
これによれば、リップ部に力が加わったときに直線面に比べて曲線面に応力が集中しやすくなるため、基端面における平面と曲面との組み合わせによって立ち上がり領域の変形代を制御することができる。
【0010】
前記基端面は、曲面から形成され前記谷状湾曲面に滑らかに連なっていてもよい。
これによれば、リップ部に力が加わったときに立ち上がり領域から基端面にかけて応力が略均一に作用しやすくなるため、被取付部材に対するリップ部の接触角度が維持されやすい。
【0011】
前記フォーク部は、肉厚が先端側にかけて漸次減少するテーパ状に形成されていてもよい。
これによれば、フォーク部の先端側において立ち上がり領域をより変形させやすくすることができる。
【0012】
前記シール面は、山状に湾曲していてもよい。
これによれば、被取付部材に対してシール面を周方向に線状に接触させてシール幅をより狭くできるため、リップ部に力が加わったときにシール面を確実に接触させた状態で立ち上がり領域を変形させやすい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る金属ガスケットを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る金属ガスケットにつき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、本実施例においては、
図2の紙面上下を軸方向、
図2の紙面左右をそれぞれ外径、内径として説明する。
【0016】
本発明の金属ガスケット1は、高温、極低温、高圧、高真空等の条件下で使用されるものであって、例えば、
図1に示されるように、容器、機械、機器等の連結部分を構成する被取付部材10,11間に形成される環状のシール溝12内に配置され、被取付部材10,11により挟み込まれることにより軸方向に圧縮された状態で、これら被取付部材10,11間をシールするものである。尚、
図1において、金属ガスケット1は、被取付部材10,11の連結時に使用される図示しないボルト等の締付けによる初期荷重を受けて圧縮された状態となっており、これを金属ガスケット1の初期状態とする。更に尚、金属ガスケット1よりも内径側が被密封流体で満たされているものとする。
【0017】
図2に示されるように、本実施例1の金属ガスケット1は、環状を成し、径方向に延びる一対のフォーク部2と、金属ガスケット1の外径縁において一対のフォーク部2の基部2c同士を連結する連結部3と、フォーク部2の先端側から圧縮方向反対側にそれぞれ突出し環状のシール面4bを有するリップ部4と、から構成されている。尚、
図2に示される金属ガスケット1は、被取付部材10,11によって圧縮される前の状態(以下、自然状態という。)であり、このとき一対のフォーク部2の外面2a同士は略平行をなしている。更に尚、フォーク部2同士が近づく方向を圧縮方向として、すなわち
図2においてフォーク部2同士が軸方向に近づく方向を圧縮方向として説明する。
【0018】
また、
図2に示されるように、金属ガスケット1は、径方向に延びる一対のフォーク部2が断面視において半円環状の連結部3によって連結される断面略U字状をなしている。尚、フォーク部2の径方向長さL1は、連結部3の軸方向の外径長さRよりも長く(L1>R)、好ましくは連結部3の軸方向の外径長さRに対するフォーク部2の径方向長さL1の比率L1/Rが1.1〜1.7であればよい。更に尚、金属ガスケット1の断面は、径線を基準として線対称に形成されており、上下のフォーク部2および上下のリップ部4は略同一構成であるため、上方のフォーク部2およびリップ部4について詳しく説明し、下方のフォーク部2およびリップ部4に関する説明を省略する。
【0019】
また、金属ガスケット1は、ニッケル合金等からなる母材に銀やフッ素樹脂等の表面処理剤により被膜処理を行うことにより形成されている。尚、表面処理剤による被覆は、少なくとも被取付部材10,11に接触するリップ部4が設けられる外面2a側に形成されていればよい。
【0020】
フォーク部2は、軸方向外側に位置する外面2aと、軸方向内側に位置する内面2bと、内径端に位置する端面2dと、を備えている。外面2aは径方向に延びる平面であり、内面2bは外径から径方向略中央まで径方向に延びる平面と、該平面に連なり径方向略中央から内径にかけて上方に傾きながら延びる平面とにより構成されている。すなわち、フォーク部2は、基部2c側において略均一な肉厚をなしており、径方向略中央から内径にかけて肉厚が漸次減少するテーパ状に形成されている。尚、内面2bのテーパ部分の径方向を基準とした傾斜角αは3〜30度程度であり、好ましくは8〜12度であればよい。
【0021】
リップ部4は、端面2dの上端から外径かつ上方に向けて延びる傾斜平面である先端面4aと、先端面4aから外径に向けて径方向に延びる平面であるシール面4bと、フォーク部2の外面2aからシール面4bに向けて上方側に立ち上がる基端面4cと、を備えている。尚、先端面4aとシール面4bとの間に図示しない微小な面取りが設けられている。基端面4cは、シール面4b側の軸方向に延びる平面4dと、後述する立ち上がり領域41側の曲面4eと、を備えている。また、シール面4bと基端面4cとの接続部4fは、R面取りにより形成されている。さらに尚、先端面4aの径方向を基準とした傾斜角βは10〜70度程度であり、好ましくは30〜50度であればよい。
【0022】
フォーク部2の外面2aから基端面4cが立ち上がる立ち上がり領域41が設けられており、該立ち上がり領域41には、金属ガスケット1の外部かつ立ち上がり領域41の上方に曲率中心が位置するような曲面をなす谷状湾曲面42が形成されている。尚、該曲率中心は、金属ガスケット1の外部に位置していればよい。
【0023】
次いで、金属ガスケット1による被取付部材10,11間の密封について説明する。
図2に示される自然状態の金属ガスケット1が上下から被取付部材10,11により挟み込まれる際、一対のリップ部4のシール面4bに被取付部材10,11に当接したのちに圧接され、一対のフォーク部2同士が上下方向に近づくように変形し初期状態(
図1参照。)となる。そのため、シール面4bによって被取付部材10,11間が密封されることになる。
【0024】
次に、周囲の温度変化に伴う熱収縮や熱膨張により被取付部材10,11が変形した際の金属ガスケット1による密封について説明する。
図3に示されるように、初期状態から被取付部材10,11の変形によりシール溝12の上下隙間が狭まった場合、初期状態(
図3二点鎖線参照。)に比べ金属ガスケット1の変形量が大きくなって金属ガスケット1に作用する力が大きくなっている。このとき、連結部3の軸方向略中央部分を基点として金属ガスケット1が変形することにより、一対のフォーク部2同士が上下方向に近づくように変形する。これに伴い、内径側においてシール面4bに近い立ち上がり領域41が、外面2aとなす角が狭くなるように変形する。そのため、シール溝12の上下隙間が狭まっても、被取付部材10,11に対するリップ部4の接触角度が維持され、シール面4bの移動が生じにくくリップ部4を被取付部材10,11に追従させることができるため、シール性が維持されるようになっている。
【0025】
また、
図4に示されるように、初期状態から被取付部材10,11の変形によりシール溝12の上下隙間が広くなった場合、初期状態(
図4二点鎖線参照。)に比べ金属ガスケット1の変形量が小さくなって金属ガスケット1に作用する力が小さくなっている。このとき、連結部3の軸方向略中央部分を基点として金属ガスケット1が変形することにより、一対のフォーク部2同士が離れるように変形する。これに伴い、内径側においてシール面4bに近い立ち上がり領域41が、外面2aとなす角が広くなるように変形する。そのため、シール溝12の上下隙間が広くなっても、被取付部材10,11に対するリップ部4の接触角度が維持され、シール面4bの移動が生じにくくリップ部4を被取付部材10,11に追従させることができるため、シール性が維持されるようになっている。
【0026】
また、リップ部4は、フォーク部2の先端側から基部2c側に向けて圧縮方向反対側に傾斜する先端面4aを備えていることから、シール面4bのシール幅を狭くできるため、リップ部4に力が加わったときにシール面4bの移動が生じることなく立ち上がり領域41を変形させやすい。
【0027】
また、基端面4cは、シール面4b側の平面4dと立ち上がり領域41側の曲面4eとから形成されていることから、リップ部4に力が加わったときに平面4dに比べて曲面4eに応力が集中しやすくなるため、基端面4cにおける平面4dと曲面4eとの組み合わせによって立ち上がり領域41の変形代を制御することができる。
【0028】
また、フォーク部2は、肉厚が内径側にかけて漸次減少するテーパ状に形成されているため、内径側において立ち上がり領域41をより変形させやすくすることができる。
【0029】
また、シール面4bは、山状に湾曲していることから、被取付部材10,11に対してシール面4bを周方向に線状に接触させてシール幅をより狭くできるため、リップ部4に力が加わったときにシール面4bを確実に接触させた状態で立ち上がり領域41を変形させやすい。
【0030】
以上説明したように、フォーク部2の外面2aから基端面4cが立ち上がる立ち上がり領域41に谷状湾曲面42が形成されていることから、被取付部材10,11が変形すると、リップ部4に力が加わり、外径側が変形するとともにフォーク部2の内径側においてシール面4bに近い立ち上がり領域41が変形する。このことにより、被取付部材10,11に対するリップ部4の接触角度が維持され、シール面4bの移動が生じにくくリップ部4を被取付部材10,11に追従させることができるため、シール性を維持することができる。
【0031】
また、シール面4bと基端面4cとの接続部4fはR面取りされていることから、リップ部4に力が加わったときにシール面4bが移動してもR面取りされた接続部4fが接触することにより、角当たりが防止されるため、シール性を安定して維持できる。
【0032】
また、金属ガスケット1は断面略U字状をなすことから、被取付部材10,11の変形に追従しやすく応力が分散しやすいため、金属ガスケット1を長寿命化できる。
【0033】
また、金属ガスケット1よりも内径側が被密封流体で満たされているため、内径側から被密封流体の圧力を受けて上下一対のフォーク部2が互いに離れるような力いわゆる自己増圧機能による力が作用し、被取付部材10,11にリップ部4のシール面4bがそれぞれ圧接されてシール性が確保される。
【実施例2】
【0034】
実施例2に係る金属ガスケットにつき、
図5を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0035】
本実施例2の金属ガスケット101において、
図5に示されるように、リップ部104は先端面4aとシール面4bと基端面104cとを備え、該基端面104cは、上下方向に延びる平面104dのみから形成されている。また、フォーク部2の外面2aから基端面104cが立ち上がる立ち上がり領域141が設けられており、該立ち上がり領域141に外面2aから上方側に直角に延びる直交屈曲面142が形成されている。これによれば、被取付部材10,11が変形すると、リップ部104に力が加わり、外径側が変形するとともにフォーク部2の内径側においてシール面4bに近い立ち上がり領域41が変形する。このことにより、被取付部材10,11に対するリップ部4の接触角度が維持され、シール面4bの移動が生じにくくリップ部4を被取付部材10,11に追従させることができるため、シール性を維持することができる。
【実施例3】
【0036】
実施例3に係る金属ガスケットにつき、
図6を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0037】
本実施例3の金属ガスケット201において、
図6に示されるように、リップ部204は先端面4aとシール面4bと基端面204cとを備え、該基端面204cは、曲面204eのみから形成されている。また、フォーク部2の外面2aから基端面204cが立ち上がる立ち上がり領域241が設けられており、該立ち上がり領域241に外面2aから上方側に湾曲しながら延びる谷状湾曲面242が形成されている。また、基端面204cは、谷状湾曲面242と同じ曲率の曲面から形成され谷状湾曲面242に滑らかに連なっていることから、リップ部204に力が加わったときに立ち上がり領域241から基端面204cにかけて応力が略均一に作用しやすくなるため、被取付部材10,11(
図6には図示せず。)に対するリップ部204の接触角度が維持されやすい。
【0038】
また、連結部203の内面側は、断面視半円状を成しており、連結部203の外面側は、外径側において上下に延びる平面である背面203aと、該背面203aの上下端からフォーク部2の外面2aの外径側端にかけて圧縮方向反対に延びる傾斜平面である傾斜面203bと、を備えている。これによれば、連結部203の加工形成が容易となる。尚、連結部203はこの形状に限らず、背面203aの上下端がフォーク部2の外面2aの外径側端と直接接続した形状であってもよい。
【実施例4】
【0039】
実施例4に係る金属ガスケットにつき、
図7を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。本実施例4の金属ガスケット301は、実施例1の金属ガスケット1と略同一な断面形状を径方向に反転させた断面形状をなしており、すなわち連結部303が内径側に配置され、リップ部304が外径側に配置されている。このような金属ガスケット301は、金属ガスケット301よりも外径側が被密封流体で満たされている場合に有効であり、外径側から被密封流体の圧力を受けて上下一対のフォーク部302が互いに離れるような力いわゆる自己増圧機能による力が作用し、被取付部材10,11(
図7には図示せず。)にリップ部304のシール面304bがそれぞれ圧接されてシール性が確保される。
【実施例5】
【0040】
実施例5に係る金属ガスケットにつき、
図8を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0041】
本実施例5の金属ガスケット401は、
図8に示されるように、実施例1における金属ガスケット1と比較してリップ部404の軸方向外側への突出量が多くなっている。
【0042】
詳しくは、リップ部404は、基端面404cを構成する平面404dの軸方向寸法が実施例1に比較し長く、先端面404aとフォーク部402の端面402dとの角部が基端面404cを構成する立ち上がり領域41における谷状湾曲面42よりも軸方向外側に形成されている。すなわち、リップ部404は、シール面404bがフォーク部402の外面402aよりも軸方向外側に大きく離れた形状となっている。尚、実施例1においては、先端面404aと端面402dとの角部と、谷状湾曲面42とは、軸方向位置が略同一に形成されている。
【0043】
これによれば、初期状態から被取付部材10,11の変形によりシール溝12の上下隙間が狭まり金属ガスケット401が圧縮方向に変形した場合、被取付部材10,11(
図8には図示せず。)に対してフォーク部402の基部402c側において外面402aが当接しにくくなっており、リップ部404のみを当接させることができるため、リップ部404のシール面404bの接触角度が維持され、シール面404bの移動が生じにくくなっている。
【0044】
また、フォーク部402の径方向長さL2が径方向長さL1(
図2参照。)よりも短く(L2<L1)、連結部403は外径長さRを維持したまま実施例1と比較して薄肉となっており、フォーク部402の基部402c側も同様に薄肉となっている。そして、金属ガスケット401の剛性は、フォーク部402の径方向長さL2が短い程高く、また連結部403及びフォーク部402の基部402c側が薄肉である程低く、さらにフォーク部402が短いことからフォーク部402から直接的にフォーク部402の端部に設けられたリップ部404に作用する変形量が小さくなる。一方、リップ部404の軸方向外側への突出量が多いことから、リップ部404の立ち上がり領域41による変形許容量が大きい。そのため、金属ガスケット401が被取付部材10,11により軸方向内側に圧縮された際に、リップ部404は実施例1と同等に変形し、被取付部材10,11に追従することでき、被取付部材10,11に当接した状態を維持することができる。
【実施例6】
【0045】
実施例6に係る金属ガスケットにつき、
図9を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0046】
本実施例6の金属ガスケット501は、
図9に示されるように、実施例1における金属ガスケット1と比較してリップ部504の軸方向外側への突出量が少なくなっている。
【0047】
詳しくは、リップ部504は、基端面504cを構成する平面504dの軸方向寸法が実施例1に比較し短く、先端面504aとフォーク部502の端面502dとの角部が基端面504cを構成する立ち上がり領域41における谷状湾曲面42よりも軸方向内側に形成されている。すなわち、リップ部504の先端側、言い換えればフォーク部502の先端側の厚みが最も薄い形状となっている。
【0048】
これによれば、被取付部材10,11が変形すると、リップ部504に力が加わり、フォーク部502の内径側においてシール面504bに近い立ち上がり領域41から基端面504cにかけて応力が作用することによりリップ部504が形成されるフォーク部502の先端部が変形しやすくなるため、被取付部材10,11(
図9には図示せず。)に対するリップ部504の接触角度が維持され、シール面504bの移動が生じにくくなっている。
【0049】
また、フォーク部502の径方向長さL3が径方向長さL1(
図2参照。)よりも長く(L3>L1)、連結部503は外径長さRを維持したまま実施例1と比較して厚肉となっており、フォーク部502の基部502c側も同様に厚肉となっている。そして、金属ガスケット501の剛性は、フォーク部502の径方向長さL3が長い程低く、また連結部503及びフォーク部502の基部502c側が厚肉である程高く、さらにフォーク部502が長いことからフォーク部502から直接的にフォーク部502の端部に設けられたリップ部504に作用する変形量が大きくなる。一方、リップ部504の軸方向外側への突出量が少ないことから、リップ部504の立ち上がり領域41による変形許容量が小さい。そのため、金属ガスケット501が被取付部材10,11により軸方向内側に圧縮された際に、リップ部504は実施例1と同等に変形し、被取付部材10,11に追従することでき、被取付部材10,11に当接した状態を維持することができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0051】
例えば、金属ガスケットは、被取付部材10,11により上下方向から挟み込まれて固定されると説明したが、これに限らず例えば実施例1〜3,5,6において金属ガスケットの連結部から外径側に延びる被固定部を設け、該非固定部をボルト固定してもよいし、実施例4において金属ガスケットの連結部から内径側に延びる被固定部を設け、該非固定部をボルト固定してもよい。
【0052】
また、フォーク部の肉厚が径方向略中央から内径(実施例4では外径)にかけて漸次減少するテーパ状に形成されていると説明したが、これに限らずテーパ状に形成されていなくてもよい。
【0053】
また、フォーク部のテーパ部分は、フォーク部の径方向略中央から先端側にかけて形成されているが、これに限らずフォーク部の基部側から先端側にかけてテーパ部分が形成されていてもよい。
【0054】
また、シール面と基端面との接続部4fは、R面取りされていると説明したが、これに限らずC面取りされていてもよい。
【0055】
また、先端面は端面の上端から外径(実施例4では内径)に向けて上方に傾斜しながら延びる平面であると説明したが、これに限らず、先端面と端面との間に径方向に延びる介在面を備えていてもよい、言い換えるとリップ部をフォーク部に設ける径方向の位置は先端ではなく中間であってもよい。