【解決手段】吸収式熱源装置1は、第1の液位検知部56Aを有する第1の再生器30Aと、第2の液位検知部56Bを有する第2の再生器30Bと、第1の再生器30Aに溶液Swを送る供給ポンプ19と、吸収器10に向けて合流濃溶液Scを送る戻りポンプ35と、両再生器30A、30Bの差圧を検知する圧力検知部55A、55B、65と、通常運転モードのときは両再生器30A、30B内の溶液Sがそれぞれ高液位と低液位の間を維持するように各ポンプ19、35の吐出流量を調節し、圧力検知部55A、55B、65で検知した値が第1の所定の値よりも小さくなったときに両再生器30A、30B内の溶液Sの液位差が大きくなるように両ポンプ19、35の吐出流量の少なくとも一方を調節する低圧モードに移行させる制御装置60とを備える。
冷媒を吸収した溶液を導入し加熱することで前記溶液から前記冷媒を蒸発させて前記溶液の濃度が上昇した第1の濃溶液を生成する第1の再生器であって、内部の溶液の第1の高液位と前記第1の高液位よりも低位の第1の低液位とを検知する第1の液位検知部を有する第1の再生器と;
冷媒を吸収した溶液を導入し加熱することで前記溶液から前記冷媒を蒸発させて前記溶液の濃度が上昇した第2の濃溶液を生成する第2の再生器であって、前記第1の再生器よりも内部の圧力が低くなるように構成されていると共に、内部の溶液の第2の高液位と前記第2の高液位よりも低位の第2の低液位とを検知する第2の液位検知部を有する第2の再生器と;
前記第1の再生器に前記溶液を送る供給ポンプと;
溶液で冷媒蒸気を吸収して溶液の濃度を低下させる吸収器に向けて、前記第1の濃溶液と前記第2の濃溶液とが合流した合流濃溶液を送る戻りポンプと;
前記第1の再生器の内部圧力と前記第2の再生器の内部圧力との差圧を直接又は間接的に検知する圧力検知部と;
通常運転モードのときは前記第1の再生器内の溶液が前記第1の高液位と前記第1の低液位との間の液位を維持するように前記供給ポンプの吐出流量を調節すると共に前記第2の再生器内の溶液が前記第2の高液位と前記第2の低液位との間の液位を維持するように前記戻りポンプの吐出流量を調節し、前記圧力検知部で検知した値が第1の所定の値よりも小さくなったときに前記第1の再生器内の溶液の液位と前記第2の再生器内の溶液の液位との差が大きくなるように前記供給ポンプの吐出流量及び前記戻りポンプの吐出流量の少なくとも一方を調節する低圧モードに移行させる制御装置とを備える;
吸収式熱源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収冷凍機における溶液の流れに関し、各再生器から吸収器に戻る溶液量は、主として、両者の配置で決まる位置ヘッド及び再生器の圧力と吸収器の圧力との差を駆動源として、高温再生器と低温再生器との配置に起因する位置ヘッド及び内圧の差並びに配管等の抵抗分とバランスした溶液量となる。二重効用吸収冷凍機等の、複数の再生器を有する多重効用吸収冷凍機では、例えば小型のものは各再生器間に高さの差を十分に設けることができず、吸収冷凍機の負荷の低下や冷却水温度の低下等に起因して各再生器間の差圧が小さくなると、高温側の再生器から流出した溶液が低温側の再生器から流出した溶液に阻害されて、溶液が吸収器に戻りにくくなる場合があった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、複数の再生器間の内圧の差が小さくなった場合でも溶液の流動阻害を抑制する吸収式熱源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収式熱源装置は、例えば
図1に示すように、冷媒Veを吸収した溶液Swを導入し加熱することで溶液Swから冷媒Vaを蒸発させて溶液Swの濃度が上昇した第1の濃溶液Saを生成する第1の再生器30Aであって、内部の溶液Sの第1の高液位と第1の高液位よりも低位の第1の低液位とを検知する第1の液位検知部56Aを有する第1の再生器30Aと;冷媒Veを吸収した溶液Swを導入し加熱することで溶液Swから冷媒Vbを蒸発させて溶液Swの濃度が上昇した第2の濃溶液Sbを生成する第2の再生器30Bであって、第1の再生器30Aよりも内部の圧力が低くなるように構成されていると共に、内部の溶液Sの第2の高液位と第2の高液位よりも低位の第2の低液位とを検知する第2の液位検知部56Bを有する第2の再生器30Bと;第1の再生器30Aに溶液Swを送る供給ポンプ19と;溶液Scで冷媒蒸気Veを吸収して溶液Scの濃度を低下させる吸収器10に向けて、第1の濃溶液Saと第2の濃溶液Sbとが合流した合流濃溶液Scを送る戻りポンプ35と;第1の再生器30Aの内部圧力と第2の再生器30Bの内部圧力との差圧を直接又は間接的に検知する圧力検知部55A、55B、65と;通常運転モードのときは第1の再生器30A内の溶液Sが第1の高液位と第1の低液位との間の液位を維持するように供給ポンプ19の吐出流量を調節すると共に第2の再生器30B内の溶液Sが第2の高液位と第2の低液位との間の液位を維持するように戻りポンプ35の吐出流量を調節し、圧力検知部55A、55B、65で検知した値が第1の所定の値よりも小さくなったときに第1の再生器30A内の溶液Sの液位と第2の再生器30B内の溶液Sの液位との差が大きくなるように供給ポンプ19の吐出流量及び戻りポンプ35の吐出流量の少なくとも一方を調節する低圧モードに移行させる制御装置60とを備える。
【0007】
このように構成すると、圧力検知部で検知した値が第1の所定の値よりも小さくなったときに第1の再生器内の溶液と第2の再生器内の溶液との液位差が大きくなるようにするので、第1の再生器の内圧で第1の濃溶液を第2の濃溶液に合流させることが困難な場合でも液位差をつけることで第1の濃溶液を第2の濃溶液に合流させることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る吸収式熱源装置は、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る吸収式熱源装置1において、制御装置60は、低圧モードのときに、第1の再生器30A内の溶液Sが第1の高液位を維持するように供給ポンプ19の吐出流量を調節する。
【0009】
このように構成すると、第1の再生器内の溶液の液位を第1の高液位に維持することで第2の再生器内の溶液の液位と差をつけることができ、第1の濃溶液を第2の濃溶液に合流させることができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る吸収式熱源装置は、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る吸収式熱源装置1において、制御装置60は、低圧モードのときに、第2の再生器30B内の溶液Sが第2の低液位を維持するように戻りポンプ35の吐出流量を調節する。
【0011】
このように構成すると、第2の再生器内の溶液の液位を第2の低液位に維持することで第1の再生器内の溶液の液位と差をつけることができ、第1の濃溶液を第2の濃溶液に合流させることができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る吸収式熱源装置は、例えば
図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収式熱源装置1において、制御装置60は、圧力検知部55A、55B、65で検知した値が第1の所定の値よりも大きい第2の所定の値以上になったときに通常運転モードに移行するように構成されている。
【0013】
このように構成すると、低圧モードと通常モードとの頻繁な切り替えを抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、圧力検知部で検知した値が第1の所定の値よりも小さくなったときに第1の再生器内の溶液と第2の再生器内の溶液との液位差が大きくなるようにするので、第1の再生器の内圧で第1の濃溶液を第2の濃溶液に合流させることが困難な場合でも液位差をつけることで第1の濃溶液を第2の濃溶液に合流させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0017】
本明細書において、「吸収式熱源装置」は、再生器に加熱源を供給することによって、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器などによる吸収サイクルを構成し、温度調節対象流体の冷却又は加熱を行う装置であり、加熱源を再生器に供給して吸収冷凍サイクルを構成し、冷水(冷却された温度調節対象流体)を供給する機械である吸収冷凍機、加熱源を再生器に供給して吸収サイクルを構成し、冷水(冷却された温度調節対象流体)及び/又は温水(加熱された温度調節対象流体)を供給する機械である吸収冷温水機を含むものである。以下、吸収式熱源装置は、その一形態である吸収冷凍機であるとして説明する。
【0018】
まず
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収式熱源装置としての吸収冷凍機1を説明する。
図1は、吸収冷凍機1の模式的系統図である。吸収冷凍機1は、二重効用吸収冷凍機であり、吸収冷凍サイクルを行う主要構成機器として、吸収器10と、蒸発器20と、高温再生器30Aと、低温再生器30Bと、凝縮器40とを備えていると共に、制御装置60を備えている。吸収冷凍機1は、溶液に対して冷媒が相変化をしながら循環することで熱移動を行わせ、温度調節対象流体(冷却対象流体)である冷水Cの温度を低下させる機器である。吸収冷凍機1では、再生器が高温再生器30A及び低温再生器30Bの2つに分割されている。以下の説明において、溶液に関し、吸収冷凍サイクル上における区別を容易にするために、性状や吸収冷凍サイクル上の位置に応じて、「希溶液Sw」、「濃溶液Sa」、「中間濃度溶液Sb」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「溶液S」ということとする。また、冷媒に関し、吸収冷凍サイクル上における区別を容易にするために、性状や吸収冷凍サイクル上の位置に応じて、「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「高温冷媒蒸気Va」、「低温冷媒蒸気Vb」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、溶液S(吸収剤と冷媒との混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H
2O)が用いられているが、これに限らず他の冷媒、溶液(吸収剤)の組み合わせで使用してもよい。
【0019】
吸収器10は、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを合流濃溶液Scで吸収する機器である。吸収器10は、冷却水Dを流す冷却水流路としての冷却管11と、合流濃溶液Scを冷却管11の外面に向けて散布する濃溶液散布ノズル12とを、吸収器缶胴17の内部に有している。濃溶液散布ノズル12は、散布した合流濃溶液Scが冷却管11に降りかかるように、冷却管11の上方に配設されている。吸収器10は、散布された合流濃溶液Scが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収することで濃度の低下した希溶液Swを吸収器缶胴17の下部の貯留部13に貯留すると共に、合流濃溶液Scが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した際に発生した吸収熱を冷却水Dが奪うように構成されている。
【0020】
蒸発器20は、冷水Cの熱で冷媒液Vfを蒸発させて蒸発器冷媒蒸気Veを発生させることにより冷水Cを冷却する機器である。蒸発器20は、冷水Cを流す冷水流路としての蒸発管21と、冷媒液Vfを蒸発管21の外面に向けて散布する冷媒液散布ノズル22とを、蒸発器缶胴27の内部に有している。冷媒液散布ノズル22は、散布した冷媒液Vfが蒸発管21に降りかかるように、蒸発管21の上方に配設されている。蒸発器20は、蒸発器缶胴27の下部の貯留部23に貯留されている冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル22に導く冷媒液管28と、冷媒液管28内の冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル22に送る冷媒ポンプ29とを有している。蒸発器20は、蒸発管21の外面に散布された冷媒液Vfが蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなるための気化熱を、蒸発管21内を流れる冷水Cから奪うことで冷水Cを冷却し、散布された冷媒液Vfのうち蒸発しなかった冷媒液Vfが蒸発器缶胴27の貯留部23に貯留されるように構成されている。
【0021】
本実施の形態では、吸収器10と蒸発器20とは隣接して配置されており、吸収器缶胴17の上部と蒸発器缶胴27の上部とが連通している。このような構成により、蒸発器缶胴27の内部で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器缶胴17の内部に導くことができるようになっている。冷却管11には、冷却水Dを導入する冷却水入口管11aが一端に接続されている。冷却管11の他端には、冷却水連絡管14が接続されている。冷却水入口管11aには、吸収冷凍機1外の冷却塔(不図示)から吸収器10に冷却水Dを導く冷却水往管(不図示)が接続される。蒸発管21には、冷水Cを導入する冷水入口管21aが一端に接続され、冷水Cを流出させる冷水出口管21bが他端に接続されている。冷水入口管21aから蒸発管21を介して冷水出口管21bへと流れる冷水Cは、吸収冷凍機1外に設けられた冷水ポンプ(不図示)の稼働によって流動するように構成されている。
【0022】
高温再生器30Aは、希溶液Swを導入し、加熱することで、希溶液Sw中の冷媒Vを離脱させ、第1の濃溶液としての高温濃溶液Saを生成する機器である。高温再生器30Aにおいて、希溶液Swから離脱した冷媒Vは蒸気の状態であり、この冷媒Vの蒸気を高温冷媒蒸気Vaということとする。高温再生器30Aは、希溶液Swを加熱する加熱部36と、導入した溶液Sを貯留する高温再生器缶胴37Aとを有している。加熱部36は、高温再生器缶胴37Aの内部に配設されている。加熱部36は、典型的には、バーナーの燃焼熱、外部から導入した蒸気や温水等の熱で、溶液Sを加熱することができるように構成されている。高温再生器30Aには、高温再生器缶胴37Aの内部の気相部の圧力を検知する高温再生器圧力計55Aが設けられている。また、高温再生器30Aには、高温再生器缶胴37Aの内部の溶液Sの第1の高液位及び第1の低液位を検知する高温液位計56Aが設けられている。高温再生器缶胴37Aには、希溶液Swを導入する高温希溶液管18Aが底部に、生成された高温濃溶液Saを流出する高温濃溶液管38Aが上部側面に、生成された高温冷媒蒸気Vaを流出する高温冷媒蒸気管39Aが上面に、それぞれ接続されている。高温再生器30Aは、高温再生器缶胴37Aの底部から流入した希溶液Swが、加熱部36で加熱されて上昇しながら徐々に濃縮して高温濃溶液Saとなり、高温濃溶液管38Aの液位に達した高温濃溶液Saが高温再生器缶胴37Aから流出するように構成されている。高温再生器30Aとして、貫流式再生器や煙管型再生器、液管型再生器等を用いることができる。
【0023】
低温再生器30Bは、吸収器10から希溶液Swを導入し、高温再生器30Aで発生した高温冷媒蒸気Vaで希溶液Swを加熱し冷媒を蒸発させて濃度が上昇した低温濃溶液Sbを生成する機器である。低温再生器30Bにおいて、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは蒸気の状態であり、この冷媒Vの蒸気を低温冷媒蒸気Vbということとする。低温再生器30Bは、高温冷媒蒸気Vaを内部に流す加熱蒸気管31と、希溶液Swを加熱蒸気管31の外面に向けて散布する希溶液散布ノズル32とを、低温再生器缶胴37Bの内部に有している。希溶液散布ノズル32は、散布した希溶液Swが加熱蒸気管31に降りかかるように、加熱蒸気管31の上方に配設されている。低温再生器30Bは、散布された希溶液Swから低温冷媒蒸気Vbが蒸発して残った低温濃溶液Sbが、低温再生器缶胴37Bの貯留部33に貯留されるように構成されている。低温再生器30Bは、希溶液Swを導入する低温希溶液管18Bが希溶液散布ノズル32に接続されており、生成された低温濃溶液Sbを流出する低温濃溶液管38Bが貯留部33の部分の低温再生器缶胴37Bに接続されている。低温再生器30Bには、低温再生器缶胴37Bの内部の気相部の圧力を検知する低温再生器圧力計55Bが設けられている。また、低温再生器30Bには、低温再生器缶胴37Bの内部の溶液Sの第2の高液位及び第2の低液位を検知する低温液位計56Bが設けられている。
【0024】
凝縮器40は、低温再生器30Bで希溶液Swから蒸発した低温冷媒蒸気Vbを導入し冷却して凝縮させ、蒸発器20に送る冷媒液Vfを生成する機器である。凝縮器40は、冷却水Dの流路を形成する部材である凝縮管41を、凝縮器缶胴47の内部に有している。凝縮器40は、生成した冷媒液Vfを、凝縮器缶胴47の下部の貯留部43に貯留するように構成されている。凝縮管41の一端には、一端が冷却管11に接続されている冷却水連絡管14の他端が接続されている。凝縮管41の他端には、冷却水Dを流出させる冷却水出口管41bが接続されている。冷却水出口管41bには、吸収冷凍機1外の冷却塔(不図示)に冷却水Dを導く冷却水還管(不図示)が接続される。このような構成により、冷却水還管(不図示)を流れる冷却水Dは、冷却塔(不図示)で冷却されて冷却水往管(不図示)に供給されるように構成されている。
【0025】
本実施の形態では、低温再生器30Bと凝縮器40とは隣接して配置されており、低温再生器缶胴37Bの上部と凝縮器缶胴47の上部とが連通している。このような構成により、低温再生器缶胴37Bの内部で発生した低温冷媒蒸気Vbを凝縮器缶胴47に導くことができるようになっている。低温再生器30Bの加熱蒸気管31の一端には、一端が高温再生器缶胴37Aに接続された高温冷媒蒸気管39Aの他端が接続されている。加熱蒸気管31の他端には、凝縮冷媒管59の一端が接続されている。凝縮冷媒管59の他端は凝縮器缶胴47の底部に接続されており、加熱蒸気管31内で高温冷媒蒸気Vaが凝縮した冷媒液Vdを凝縮器缶胴47へと導くことができるように構成されている。高温再生器缶胴37Aは、低温再生器缶胴37Bよりもやや高い位置で、低温再生器缶胴37Bの近傍に配置されている。特に吸収冷凍機1が小型の場合は、高温再生器缶胴37Aと低温再生器缶胴37Bとの高さの差が小さくなる傾向にある。本実施の形態では、凝縮器缶胴47及び低温再生器缶胴37Bは、蒸発器缶胴27及び吸収器缶胴17の上方に配設されている。凝縮器缶胴47の貯留部43と蒸発器缶胴27とは、凝縮冷媒液管48で接続されており、凝縮器缶胴47内の冷媒液Vfを位置ヘッド及び両者の内圧の差で蒸発器缶胴27内に導くことができるように構成されている。
【0026】
吸収器缶胴17の底部には、貯留部13の希溶液Swを高温再生器30A及び低温再生器30Bに導く希溶液管18が接続されている。希溶液管18には、希溶液Swを高温再生器30A及び低温再生器30Bに圧送する希溶液ポンプ19が配設されている。希溶液ポンプ19は供給ポンプに相当する。希溶液ポンプ19は、インバータ19vにより、電動機の回転速度を調節することが可能なように構成されており、冷凍負荷に応じた流量の希溶液Swを圧送することができるように構成されている。すなわち、希溶液ポンプ19は、吐出流量が調節可能に構成されている。希溶液ポンプ19の下流側の希溶液管18には、希溶液Swと合流濃溶液Scとの間で熱交換を行わせる低温溶液熱交換器81Bが配設されている。低温溶液熱交換器81Bには、また、合流濃溶液Scを流す合流濃溶液管38が接続されている。低温溶液熱交換器81Bは、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。希溶液管18は、低温溶液熱交換器81Bの下流側で、高温再生器30Aに接続される高温希溶液管18Aと、低温再生器30Bに接続される低温希溶液管18Bとに分岐している。高温希溶液管18Aには、希溶液Swと高温濃溶液Saとの間で熱交換を行わせる高温溶液熱交換器81Aが配設されている。高温溶液熱交換器81Aには、また、高温濃溶液Saを流す高温濃溶液管38Aが接続されている。高温溶液熱交換器81Aは、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
【0027】
高温再生器缶胴37Aの高温濃溶液Saが流出する部分には高温濃溶液管38Aの一端が接続されている。低温再生器缶胴37Bの低温濃溶液Sbが流出する部分には低温濃溶液管38Bの一端が接続されている。高温濃溶液管38Aの他端は、高温溶液熱交換器81Aの下流側で、低温濃溶液管38Bの他端と共に、合流濃溶液管38の一端に接続されている。このような構成により、高温濃溶液管38Aを流れる高温濃溶液Saと低温濃溶液管38Bを流れる低温濃溶液Sbとは、合流して合流濃溶液Scとなって合流濃溶液管38を流れるようになっている。合流濃溶液管38は、低温溶液熱交換器81Bの下流側で、吸収器10の濃溶液散布ノズル12に接続されている。合流濃溶液管38には、合流濃溶液Scを吸収器10に圧送する濃溶液ポンプ35が配設されている。濃溶液ポンプ35は戻りポンプに相当する。濃溶液ポンプ35は、インバータ35vにより、電動機の回転速度を調節することができるように構成されている。つまり、濃溶液ポンプ35は吐出流量が調節可能に構成されている。
【0028】
上述のように構成された吸収冷凍機1は、典型的には制御装置60によってその動作が制御されるようになっている。制御装置60は、希溶液ポンプ19のインバータ19v及び濃溶液ポンプ35のインバータ35vと、それぞれ有線又は無線で電気的に接続されており、希溶液ポンプ19及び濃溶液ポンプ35の回転速度を調節(発停を含む)することができるように構成されている。また、制御装置60は、冷媒ポンプ29と有線又は無線で電気的に接続されており、発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置60は、高温再生器圧力計55A及び低温再生器圧力計55Bと、それぞれ有線又は無線で電気的に接続されており、検知された圧力を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置60は、高温再生器圧力計55Aで検知された圧力及び低温再生器圧力計55Bで検知された圧力から、両者の差圧を求める差圧検知部65を有している。高温再生器圧力計55A、低温再生器圧力計55B、差圧検知部65を含んで圧力検知部を構成している。なお、説明の便宜上、差圧検知部65を、これ以外の制御装置60の部分と区別しているが、実際は差圧検知部65が制御装置60の一部として制御装置60と渾然一体に構成されていてもよい。また、制御装置60は、高温液位計56A及び低温液位計56Bと、それぞれ有線又は無線で電気的に接続されており、検知された液位を信号として受信することができるように構成されている。
【0029】
また、制御装置60は、吸収冷凍機1の運転状態を、通常運転モードと低圧モードとで切り換えることができるように構成されている。通常運転モードと低圧モードとでは、希溶液ポンプ19及び濃溶液ポンプ35それぞれの吐出流量の制御が、以下のように異なる。通常運転モードにおける希溶液ポンプ19の吐出流量は、高温再生器缶胴37A内の溶液Sの液位が、高温液位計56Aで検知される第1の高液位と第1の低液位との間の液位を維持するように調節する。通常運転モードにおける濃溶液ポンプ35の吐出流量は、低温再生器缶胴37B内の溶液Sの液位が、低温液位計56Bで検知される第2の高液位と第2の低液位との間の液位を維持するように調節する。低圧モードにおける希溶液ポンプ19の吐出流量は、高温再生器缶胴37A内の溶液Sの液位が、高温液位計56Aで検知される第1の高液位の近辺を維持するように調節する。低圧モードにおける濃溶液ポンプ35の吐出流量は、低温再生器缶胴37B内の溶液Sの液位が、低温液位計56Bで検知される第2の低液位の近辺を維持するように調節する。つまり、低圧モードでは、高温再生器缶胴37A内の溶液Sの液位と低温再生器缶胴37B内の溶液Sの液位との差が大きくなるように、希溶液ポンプ19及び濃溶液ポンプ35の吐出流量が制御される。
【0030】
引き続き
図1を参照して、吸収冷凍機1の作用を説明する。まず、吸収冷凍機1の通常運転モードの作用を説明する。吸収冷凍機1の通常運転時は、制御装置60からの指令により、希溶液ポンプ19、濃溶液ポンプ35、及び冷媒ポンプ29がそれぞれ稼働している。冷媒V側のサイクルについて見ると、低温再生器30Bから凝縮器40に導入された低温冷媒蒸気Vbは、凝縮管41を流れる冷却水Dに冷却されて凝縮し、冷媒液Vfとなって凝縮器缶胴47の貯留部43に貯留される。低温冷媒蒸気Vbを冷却した冷却水Dは、温度が上昇して冷却水出口管41bから流出し、冷却塔(不図示)に供給される。凝縮器缶胴47内の貯留部43には、低温冷媒蒸気Vbが凝縮した冷媒液Vfのほか、加熱蒸気管31内で高温冷媒蒸気Vaが凝縮した冷媒液Vfも凝縮冷媒管59を介して導入されて貯留される。凝縮器缶胴47内の冷媒液Vfは、凝縮冷媒液管48を介して蒸発器缶胴27内に導入される。
【0031】
凝縮器缶胴47から蒸発器缶胴27に導入された冷媒液Vfは、冷媒液散布ノズル22から散布されて蒸発しなかった冷媒液Vfと混合して蒸発器缶胴27の貯留部23に貯留される。蒸発器缶胴27内の冷媒液Vfは、冷媒ポンプ29により、冷媒液管28を流れて冷媒液散布ノズル22に至る。冷媒液散布ノズル22に至った冷媒液Vfは、蒸発管21に向けて散布され、蒸発管21を流れる冷水Cの熱を得て一部が蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなり、吸収器缶胴17に導入される。散布された冷媒液Vfに熱を奪われた冷水Cは、温度が低下して冷水出口管21bから流出し、空気調和機等の冷水Cの利用場所に供給される。冷媒液散布ノズル22から散布されて蒸発しなかった冷媒液Vfは、凝縮器缶胴47から導入された冷媒液Vfと混合して、蒸発器缶胴27の貯留部23に貯留される。
【0032】
次に吸収冷凍機1の溶液S側のサイクルを見ると、吸収器缶胴17内の貯留部13に貯留されている希溶液Swは、希溶液ポンプ19により、希溶液管18を流れ、低温溶液熱交換器81Bで合流濃溶液Scと熱交換して温度が上昇した後に、高温希溶液管18Aと低温希溶液管18Bとに分流する。高温希溶液管18Aを流れる希溶液Swは、高温溶液熱交換器81Aで高温濃溶液Saと熱交換して温度が上昇した後に、高温再生器缶胴37Aに導入される。他方、低温希溶液管18Bを流れる希溶液Swは、低温再生器30Bの希溶液散布ノズル32に導入される。制御装置60は、高温再生器缶胴37A内に設けられた高温液位計56Aで検知される液位が第1の高液位と第1の低液位との間の液位を維持するように、インバータ19vを介して、希溶液ポンプ19の吐出流量を調節する。高温再生器缶胴37Aに導入された希溶液Swは、加熱部36によって加熱され、冷媒Vが離脱して高温濃溶液Saとなる。希溶液Swから離脱した冷媒Vは、高温冷媒蒸気Vaとして、高温冷媒蒸気管39Aを介して低温再生器30B内の加熱蒸気管31に送られる。高温再生器缶胴37A内で生成された高温濃溶液Saは、高温濃溶液管38Aを流れ、高温溶液熱交換器81Aにおいて希溶液Swと熱交換して温度が低下したうえで合流濃溶液管38に流入する。
【0033】
低温再生器30Bでは、低温希溶液管18Bから低温再生器30B内に流入した希溶液Swが、希溶液散布ノズル32から散布される。希溶液散布ノズル32から散布された希溶液Swは、加熱蒸気管31を流れる高温冷媒蒸気Vaによって加熱され、低温再生器缶胴37B内の希溶液Sw中の冷媒が蒸発して低温濃溶液Sbとなる。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは低温冷媒蒸気Vbとして凝縮器40へと送られる。低温再生器缶胴37B内で生成された低温濃溶液Sbは、低温濃溶液管38Bを流れ、合流濃溶液管38に流入する。なお、加熱蒸気管31を流れる高温冷媒蒸気Vaは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮して冷媒液Vdとなり、凝縮冷媒管59を流れて凝縮器缶胴47に導入される。合流濃溶液管38には、高温濃溶液管38Aを流れてきた高温濃溶液Saと低温濃溶液管38Bを流れてきた低温濃溶液Sbとが合流して流入する。合流した高温濃溶液Saと低温濃溶液Sbとは、合流濃溶液Scとして、濃溶液ポンプ35に圧送され、合流濃溶液管38を流れる。制御装置60は、低温再生器缶胴37B内に設けられた低温液位計56Bで検知される液位が第2の高液位と第2の低液位との間の液位を維持するように、インバータ35vを介して、濃溶液ポンプ35の吐出流量を調節する。合流濃溶液管38を流れる合流濃溶液Scは、低温溶液熱交換器81Bにおいて希溶液Swと熱交換して温度が低下したうえで濃溶液散布ノズル12に至る。
【0034】
濃溶液散布ノズル12に至った合流濃溶液Scは、冷却管11に向けて散布され、蒸発器20から導入された蒸発器冷媒蒸気Veを吸収し濃度が低下して希溶液Swとなる。吸収器缶胴17内において、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際には吸収熱が発生する。この発生した吸収熱は、冷却水入口管11aから導入されて冷却管11を流れる冷却水Dによって除去される。冷却管11を流れる冷却水Dは、吸収熱を奪って温度上昇して冷却水連絡管14に流出し、凝縮器40の凝縮管41に供給される。吸収器缶胴17内で生じた希溶液Swは、吸収器缶胴17内の貯留部13に貯留される。
【0035】
上述のような吸収冷凍機1の通常モードによる運転を行っている際、制御装置60は、随時、高温再生器圧力計55Aで検知された値及び低温再生器圧力計55Bで検知された値を受信し、差圧検知部65において両者の圧力差を演算している。通常は、高温再生器30Aの内部圧力が低温再生器30Bの内部圧力に比べて十分高いため、制御装置60で演算された圧力差が比較的大きな値で維持され、吸収冷凍機1内での溶液Sの循環が適切に行われる。しかし、吸収冷凍機1の負荷が小さい場合や、冷却水Dの温度が低い場合などの状況では、高温再生器30Aの内部圧力が低下して、高温再生器30Aと低温再生器30Bとの内部圧力差が十分確保できず、高温再生器30Aから流出した高温濃溶液Saが合流濃溶液管38に流入しにくくなる場合がある。そこで、吸収冷凍機1では、差圧検知部65で演算された圧力差が第1の所定の値よりも小さくなったときに、低圧モードでの運転に切り換えることとしている。なお、第1の所定の値は、典型的には、高温再生器缶胴37A内の溶液Sの液位と低温再生器缶胴37B内の溶液Sの液位との差が最小となった場合でも高温濃溶液Saを合流濃溶液管38に流入させることができる(両者の内圧の差の)最小値に、必要に応じて余裕分を加算した値である。
【0036】
低圧モードでは、前述のように、制御装置60は、高温再生器缶胴37A内の溶液Sの液位が、高温液位計56Aで検知される第1の高液位の近辺を維持するように、希溶液ポンプ19の吐出流量を制御すると共に、低温再生器缶胴37B内の溶液Sの液位が、低温液位計56Bで検知される第2の低液位の近辺を維持するように、濃溶液ポンプ35の吐出流量を制御する。すると、高温再生器缶胴37A内の溶液Sが第1の高液位近辺になり、低温再生器缶胴37B内の溶液Sが第2の低液位近辺になるため、両者の液位差が大きくなり、この液位差によって、高温再生器缶胴37Aから流出した高温濃溶液Saを合流濃溶液管38に流入させることができ、必要な溶液Sの循環を確保することができる。
【0037】
低圧モードは、制御装置60の差圧検知部65で演算された圧力差が小さいときの暫定的な措置であるため、圧力差が大きくなったら通常運転モードに戻すことが好ましい。そこで、吸収冷凍機1では、低圧モードで運転している状況において、差圧検知部65で演算された圧力差が第2の所定の値以上になったときに、通常運転モードに移行することとしている。第2の所定の値は、第1の所定の値よりも大きい値であって、第1の所定の値との差は、低圧モードと通常運転モードとの頻繁な切り替えを抑制する観点から適宜決定するとよい。
【0038】
図2に、高温再生器30A及び低温再生器30Bにおける溶液Sの液位変化のタイムチャートを示す。
図2では、時刻t1までは、通常運転モードで運転しており、高温再生器30A及び低温再生器30Bが、それぞれ個別に、高液位と低液位との間の液位を維持するように液位が制御されている。通常運転モードでは、各再生器30A、30Bでの液位制御が個別に行われるので、時刻tnに見られるように、高温再生器缶胴37A内の液位が第1の低液位近辺となる一方で低温再生器缶胴37B内の液位が第2の高液位近辺となるような、両再生器30A、30Bにおける液位差が最小となる場合が生じ得る。両再生器30A、30Bにおける液位差が最小となっても、差圧検知部65で演算された圧力差が第1の所定の値以上であれば、高温濃溶液Saは吸収器10に向かって適切に流れる。そして、時刻t1において差圧検知部65で演算された圧力差が第1の所定の値よりも小さくなると、低圧モードに移行している。低圧モード(時刻t1以降)では、
図2に示すように、高温再生器30Aでは、第1の高液位付近を維持するように液位が制御されており、低温再生器30Bでは、第2の低液位付近を維持するように液位が制御されている。このため、低圧モードでは、高温再生器30Aの液位と低温再生器30Bの液位との差が最大付近で維持されることとなる。このように、低圧モードでは、高温濃溶液Saの駆動力となり得る液位差を設けることができ、差圧検知部65で演算された圧力差が第1の所定の値より小さい場合であっても、高温濃溶液Saを吸収器10に向けて適切に流すことができる。
【0039】
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収冷凍機1によれば、差圧検知部65で演算された圧力差が第1の所定の値よりも小さくなったときに、通常運転モードから低圧モードに移行するので、高温再生器30Aと低温再生器30Bとの内部圧力の差が小さい場合であっても、両者の液位差を大きく保つことができ、高温濃溶液Saを適切に流すことができる。また、低圧モードにおいて、制御装置60で演算された圧力差が第2の所定の値以上になったときに通常運転モードに移行するので、低圧モードと通常運転モードとの頻繁な切り替えを抑制することができる。
【0040】
以上の説明では、高温再生器圧力計55Aで高温再生器30Aの内部圧力を検知し、低温再生器圧力計55Bで低温再生器30Bの内部圧力を検知して、高温再生器30Aの内部圧力と低温再生器30Bの内部圧力との差圧を直接検知することとしたが、高温再生器30A及び低温再生器30Bそれぞれの内部圧力は概ね同様の割合で変化するため、内部圧力を実際に検知するのは一方の再生器とし、他方の再生器の内部圧力は当該一方の再生器の内部圧力から推定することとして、両再生器の内部圧力の差を間接的に検知することとしてもよい。典型的には、高温再生器圧力計55Aで高温再生器30Aの内部圧力を検知し、この検知した値から低温再生器30Bの内部圧力を推定して、高温再生器30Aの内部圧力と低温再生器30Bの内部圧力との差圧を間接的に検知することとしてもよい。あるいは、低温再生器圧力計55Bで低温再生器30Bの内部圧力を検知し、この検知した値から高温再生器30Aの内部圧力を推定して、高温再生器30Aの内部圧力と低温再生器30Bの内部圧力との差圧を間接的に検知することとしてもよい。この、一方の再生器の内部圧力を実測して他方の再生器の内部圧力を推定することで間接的に両者の差圧を検知することは、両方を実測した場合の結果に対する誤差を許容できる場合に特に有用である。なお、一方の再生器の内部圧力を実測して他方の再生器の内部圧力を推定することで間接的に両者の差圧を検知する場合において、上述のように、推定する内部圧力は実測した内部圧力に対して概ね同様の割合で変化するので、実質的に実測した内部圧力のみから第1の所定の値を検知することとしてもよく、このような場合も両再生器の内部圧力の差を間接的に検知することに含まれることとする。
【0041】
以上の説明では、高温再生器圧力計55Aで高温再生器30Aの内部圧力を検知し及び/又は低温再生器圧力計55Bで低温再生器30Bの内部圧力を検知することとしたが、各再生器30A、30Bの内部圧力を直接検知することに代えて、各再生器30A、30Bの内部圧力に関連する物理量を検知することとして、高温再生器30Aの内部圧力と低温再生器30Bの内部圧力との差圧を間接的に検知することとしてもよい。高温再生器30A(低温再生器30B)の内部圧力に関連する物理量として、例えば、冷媒Vの露点温度に相当する高温冷媒蒸気Va(低温冷媒蒸気Vb)の温度、高温濃溶液Sa(低温濃溶液)の温度や濃度、などが挙げられる。各流体の温度や濃度を検知するには、温度や濃度を直接検知する計器(温度計や濃度計)を適宜設置することとしてもよく、検知したい物理量とは別の1又は2以上の物理量を計測した値から演算によって間接的に求めることとしてもよい。
【0042】
以上の説明では、低圧モードのときに、高温再生器缶胴37A内の溶液Sの液位が第1の高液位の近辺を維持するように、希溶液ポンプ19の吐出流量を制御すると共に、低温再生器缶胴37B内の溶液Sの液位が第2の低液位の近辺を維持するように濃溶液ポンプ35の吐出流量を制御することとしたが、高温再生器缶胴37A内の液位が第1の高液位の近辺を維持すること、及び、低温再生器缶胴37B内の液位が第2の低液位の近辺を維持することのいずれか一方を実行すれば足りる場合は、いずれか一方を液位差が大きくなる制御とし、他方は高液位と低液位との間の液位を維持するように制御することとしてもよい。
【0043】
以上の説明では、吸収器10から流出した希溶液Swが分流して高温再生器30Aと低温再生器30Bとに並列に供給されること(パラレルフロー)としたが、吸収器10から流出した希溶液Swを低温再生器30Bに供給して低温再生器30Bで生成された低温濃溶液Sbの一部(吸収器10に戻る分以外の部分)を高温再生器30Aに供給すること(リバースフロー)としてもよく、吸収器10から流出した希溶液Swを高温再生器30Aに供給して高温再生器30Aで生成された高温濃溶液Saの一部(吸収器10に戻る分以外の部分)を低温再生器30Bに供給すること(シリーズフロー)としてもよい。
【0044】
以上の説明では、冷却水Dが、吸収器11に導入された後に凝縮器40に導入される構成を例示したが、凝縮器40に導入された後に吸収器11に導入される構成であってもよく、吸収器10と凝縮器40とに並列に導入される構成であってもよい。
【0045】
以上の説明では、吸収冷凍機1の吸収サイクルがいわゆる二重効用であるとしたが、三重効用以上の多重効用の吸収サイクルとしてもよい。例えば、三重効用の吸収サイクルとする場合は、高温再生器30Aの作動温度と低温再生器30Bの作動温度との間の温度で作動する中温再生器であって、導入した溶液を高温冷媒蒸気Vaの熱で加熱して、加熱された溶液から離脱した冷媒蒸気を低温再生器30Bの加熱蒸気管31に供給するように構成された中温再生器を設けることで実現することができる。中温再生器を設ける場合は、中温再生器で溶液が濃縮されて生成された中温濃溶液が合流濃溶液Scに含まれることとしてもよい。なお、多重効用の吸収サイクルは、動作圧力の異なる複数の蒸発器/吸収器を有する吸収冷凍機にも適用することができる。