【解決手段】直動送り軸と、回転送り軸とを有した工作機械11で主軸25に取り付けた回転工具Tと回転テーブル35に固定したワークWとを相対的に移動して加工を行う加工方法において、回転テーブル上に試験用ワーク1を固定し、試験用ワークを複数の姿勢に位置決めして、ワークの本加工時に用いる回転工具2で試験用ワークの表面の所定部分を加工し、試験用ワークの加工した各表面部分を測定し、測定した結果に基づいて、回転送り軸の誤差を機械座標系に対する回転テーブルの回転中心の位置情報および回転工具の工具長の補正量で補正するようにした。
前記回転工具に対面する表面に接続する4つの側面の各々の2つの加工すべき表面部分の一方を前記回転工具の先端で加工し、他方を前記回転工具の側面で加工する請求項3に記載の加工方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
まず、
図1、2を参照して、本発明適用する工作機械の一例を説明する。
図1、2において、工作機械11は、基台となるベッド13と、ベッド13の上面に立設されたコラム15とを備える。ベッド13の上面には、移動体27が配置されている。移動体27は、傾斜旋回台28を介してワークWを回転させる回転テーブル35を支持している。回転テーブル35は、ワークWを固定するワーク取付面35aを有している。
【0011】
コラム15の前面には、サドル17が配置されている。さらに、サドル17の前面には、主軸ヘッド21が配置されている。主軸ヘッド21には主軸25が取り付けられている。主軸25には、ワークWを加工する回転工具Tが取り付けられる。回転工具Tは、主軸25と共に回転しながらワークWを加工する。
【0012】
本実施の形態における工作機械11は、回転工具TとワークWとの相対位置を変更する移動装置を備えている。本実施の形態においては、工作機械における所定の位置を原点とした機械座標系が設定されている。機械座標系について互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が予め定められている。工作機械の設計時において、主軸25の軸線が延びる方向(
図1において上下方向)をZ軸と称する。また、移動体27が移動する水平方向に延びる軸をY軸と称する。また、サドル17が移動する水平方向、すなわちZ軸およびY軸に垂直な方向に延びる軸をX軸と称する。
【0013】
移動装置は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向に回転工具TとワークWとを相対的に移動させることができる。さらに、移動装置は、傾斜旋回台28の軸線52の周りのB軸方向および回転テーブル35の軸線53の周りのC軸方向に、回転工具Tに対してワークWを相対的に回転移動させることができる。
【0014】
移動装置は、ワークWに対して回転工具TをX軸方向に相対移動させるX軸移動装置を含む。X軸移動装置は、コラム15の前面に形成されている一対のX軸レール19a、19bを含む。サドル17は、X軸レール19a、19bに沿って往復移動が可能に形成されている。X軸移動装置は、ボールねじ機構によりサドル17を移動する。X軸移動装置は、ボールねじ機構のねじ軸を回転させるX軸サーボモータ20を含む。X軸移動装置は、X軸サーボモータ20を駆動することにより、サドル17を移動させる。主軸ヘッド21および回転工具Tは、サドル17と共にX軸方向に移動する。
【0015】
移動装置は、ワークWに対して回転工具TをZ軸方向に相対移動させるZ軸移動装置を含む。Z軸移動装置は、サドル17の前面に形成されている一対のZ軸レール23a、23bを含む。主軸ヘッド21は、Z軸レール23a、23bに沿って往復移動が可能に形成されている。Z軸移動装置は、ボールねじ機構により主軸ヘッド21を移動する。Z軸移動装置は、ボールねじ機構のねじ軸を回転させるZ軸サーボモータ24を含む。Z軸移動装置は、Z軸サーボモータ24を駆動することにより、主軸ヘッド21を移動させる。回転工具Tは、主軸ヘッド21と共にZ軸方向に移動する。更に、主軸ヘッド21の内部には、主軸25を軸線周りに回転する駆動モータが配置されている。
【0016】
図3に、本実施の形態の形態におけるY軸移動装置の概略斜視図を示す。
図1から
図3を参照して、移動装置は、ワークWに対して回転工具TをY軸方向に相対移動させるY軸移動装置を含む。Y軸移動装置は、ベッド13の上面に配置されている一対のY軸レール29a、29bを含む。移動体27は、Y軸レール29a、29bに沿って往復移動が可能に形成されている。コラム15には、移動体27がY軸方向に移動可能なように空洞部15aが形成されている。
【0017】
Y軸移動装置は、ボールねじ機構30により移動体27を移動させる。Y軸移動装置は、ボールねじ機構のねじ軸を回転させるY軸サーボモータ32を含む。Y軸移動装置は、Y軸サーボモータ32を駆動することにより、移動体27を移動させる。傾斜旋回台28および回転テーブル35は、移動体27と共にY軸方向に移動する。
【0018】
移動装置は、ワークWに対して回転工具TをB軸方向に相対的に回転させるB軸回転移動装置を含む。本実施の形態におけるB軸の軸線52は、X軸、Y軸およびZ軸のいずれの軸に対しても平行ではない。すなわち、B軸の軸線52は、3つの直動軸のそれぞれの軸に対して傾斜している。B軸回転移動装置は、傾斜旋回台28を含む。移動体27の内部には、傾斜旋回台28を回転させるためのサーボモータが配置されている。傾斜旋回台28のサーボモータを駆動することにより、B軸の軸線52の周りに傾斜旋回台28が回転する。ワークWは、傾斜旋回台28および回転テーブル35と共にB軸方向に回転する。
【0019】
本実施の形態における移動装置は、ワークWに対して回転工具TをC軸方向に相対的に回転させるC軸回転移動装置を含む。傾斜旋回台28がB軸方向の予め定められた角度位置にあるときに、C軸の軸線53がZ軸と平行になるように設計されている。C軸回転移動装置は、回転テーブル35を含む。傾斜旋回台28の内部にはサーボモータが配置されている。このサーボモータを駆動することにより、C軸の軸線53の周りに回転テーブル35が回転する。ワークWは、回転テーブル35と共にC軸方向に回転する。
【0020】
このように、工作機械11は、ワークWに対して主軸25が相対的に移動する3つの直動軸を有する。すなわち、工作機械11は、直動軸としてのX軸、Y軸およびZ軸を有する。本実施の形態では、第1直動軸をY軸、第2直動軸をZ軸、および第3直動軸をX軸として説明する。また、工作機械11は、ワークWに対して主軸25が相対的に回転移動する2つの回転軸を有する。すなわち、工作機械11は、回転軸としてのB軸の軸線52およびC軸の軸線53を有する。本実施の形態では、第1回転方向をC軸方向とし、第2回転方向をB軸方向として説明する。また、第1軸線をC軸の軸線53とし、第2軸線をB軸の軸線52として説明する。
【0021】
本実施の形態における工作機械は、制御装置70を備える。制御装置70は、移動装置のサーボモータや駆動モータに接続されている。制御装置70は、移動装置のサーボモータを制御することによりワークWに対して回転工具Tを相対的に移動させることができる。
【0022】
図1、2を参照して、工作機械11は、それぞれの回転軸に関する回転角度が0°の時に、回転テーブル35の表面が機械座標系のX軸とY軸とを含む平面、すなわちXY平面と厳密に平行になり、かつ、B軸の軸線52とC軸の軸線53とが交差するように製造することが好ましい。しかしながら製造誤差や経年変化等により、回転テーブル35の表面が僅かに傾いたり、軸線52と軸線53とが僅かに離れたりする場合がある。
【0023】
工作機械11は、移動体27の傾きを調整する調整手段として角度調整装置を備える。本実施の形態においては、移動体27のY軸ストロークに渡って、YZ平面に対してB軸の軸線52およびC軸の軸線53が平行に延びるように、移動体27の傾きを調整する。本実施の形態においては、移動体27をY軸方向に移動している期間中に、YZ平面に対してB軸の軸線52およびC軸の軸線53がそれぞれ平行に延びる状態を基準状態と称する。
【0024】
また、工作機械11は、制御装置70を備える。制御装置70は、読取解釈部72、補間演算部73、およびサーボモータ制御部74を含む。読取解釈部72は、入力プログラム71を読取って、プログラムされた移動指令を補間演算部73に送出する。補間演算部73は、補間周期毎の位置指令値を演算し、位置指令値をサーボモータ制御部74に送出する。たとえば、補間演算部73は、移動指令に基づいて設定された時間間隔ごとの移動量を算出する。サーボモータ制御部74は、位置指令値に基づいて各軸サーボモータ75を駆動する。また、制御装置70は、後述する測定装置40に接続された演算部76と、読取解釈部72および演算部76に接続された記憶部77を備えている。
【0025】
以下、
図3〜
図8を参照して、本発明の作用を説明する。
本発明では、ワークWを加工する本加工の前に試験用ワーク1(
図6〜
図11)の所定の表面部分を加工する。このとき、試験用ワーク1を加工するために用いる回転工具2は、本加工するときに用いる回転工具Tと同じ回転工具である。回転工具2は、ボールエンドミルとすることができる。試験用ワーク1は、直方体形状を有している。本発明では、直方体形状は立方体形状を含む。
【0026】
まず、試験用ワーク1の加工に先立ち、回転テーブル35を
図3に示す位置に配置する。この位置において、回転テーブル35のワーク取付面35aは、Z軸に垂直に配置される。回転テーブル35のこの位置を第1の位置と称する。第1の位置から回転テーブル35を矢印105で示すようにB軸方向に180°送ることによって、回転テーブル35は、
図4に示す第2の位置に配置される。このとき、回転テーブル35のワーク取付面35aは第1の位置にある回転テーブル35のワーク取付面35aに対して垂直に配置で、直交3軸の1つであるZ軸に平行で、かつ、他の軸、本実施形態では、Y軸に対して垂直な位置にある。
【0027】
回転テーブル35が第1の位置にあるときB軸は0°(零度)の回転位置にある。B軸が0°で、かつ、C軸が0°の回転位置にあるとき、回転テーブル35は第1の姿勢にあると称する。つまり、回転テーブル35が第1の姿勢にあるときB軸およびC軸の双方が原点位置にある。回転テーブル35を第1の姿勢からC軸を回転させることなく、B軸のみを矢印105で示すように第2の位置へ向けて180°送ると、回転テーブル35は、B軸は180°でC軸が0°の回転位置へ移動する。この回転位置を回転テーブル35の第2の姿勢とする。
【0028】
第2の姿勢から、C軸を90°回転させたときの回転位置を回転テーブル35の第3の姿勢とし、C軸を更に90°回転させたときの回転位置を回転テーブル35の第4の姿勢、C軸を更に90°回転させたときの回転位置を回転テーブル35の第5の姿勢とする。
【0029】
試験用ワーク1は、第1の姿勢にある回転テーブル35のワーク取付面35a上において、対向する2つの側面がX軸に垂直に、他の対向する2つの側面がY軸に垂直になるように配置される。このとき、ワーク取付面35aに取り付けられた試験用ワークの1つの側面(上面)は、直交3軸の1つの軸であるZ軸に垂直となり、かつ、回転工具2に対面する。
【0030】
この回転工具2に対面する上面は、試験加工すべき2つの表面部分1−1、1−2を有している。また、試験用ワーク1において、この2つの表面部分1−1、1−2を有した上面に垂直に接続する4つの側面の各々も、回転工具2により試験加工すべき2つの表面部分1−3、1−7;1−4、1−8;1−5、1−9;1−6、1−10を有している。上面の2つの表面部分1−1、1−2は、矩形、好ましくは正方形とすることができ、好ましくは、直方体形状の試験用ワーク1の1つの稜線(エッジ)を含む矩形状とすることができる。上面に接続する4つの側面の各々の2つの表面部分は、一定幅の長方形または帯状の形状とすることができる。
【0031】
先ず、回転テーブル35を第1の姿勢に配置し、試験用ワーク1の上面の2つの表面部分の一方を、回転テーブル35を直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に直線送りつつ、回転工具2の先端により加工する。次に、試験用ワーク1の上面に垂直に接続する4つの側面の各々において加工すべき2つの表面部分の一方、本実施形態では、上側、つまり試験用ワーク1の上面に隣接する表面部分1−3、1−4、1−5、1−6を、
図7に示すように、回転工具2の側面で加工する。このように、直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の直線送りよる加工モードを3軸加工と称する。
【0032】
回転工具2の側面で4つの側面の表面部分1−3、1−4、1−5、1−6を加工すると、次いで、回転テーブル35をB軸方向に回転送りして第2の位置(
図4)に配置する。このとき、試験用ワーク1の側面の1つが、Z軸に垂直に配置され、かつ、回転工具2に対面する。次いで、回転テーブル35をC軸方向に180°回転し、
図8に示すように、上面において加工すべき2つの表面部分1−1、1−2が上側、つまり回転工具2に近い方に配置する。このとき、回転テーブル35は第4の姿勢に配置される。
【0033】
回転テーブル35を第4の姿勢におけるこの位置に配置した状態で、直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に直線送りして、試験用ワーク1の上面の試験加工すべき2つの表面部分の他方1−2を回転工具2の側面で加工する。このとき、表面部分1−1と表面部分1−2は、加工プログラム上では、段差のない加工面となるように、加工パラメータが設定されている。次に、試験用ワーク1の上面に垂直に接続する4つの側面の各々において加工すべき2つの表面部分の他方の表面部分1−7を、
図9に示すように、回転工具2の先端で加工する。
【0034】
次いで、表面部分1−7の加工が完了したときC軸を90°回転させ、回転テーブル35を第5の姿勢に配置して表面部分1−8を回転工具2の先端で加工し、表面部分1−8の加工が完了したときC軸を更に90°回転させ、回転テーブル35を第2の姿勢に配置して表面部分1−9を回転工具2の先端で加工し、同様に、表面部分1−9の加工が完了したときC軸を更に90°回転させ、回転テーブル35を第3の姿勢に配置して表面部分1−10を回転工具2の先端で加工する。このように、直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の直線送りと、2つの回転送り軸(B軸、C軸)による回転送りによる加工モードを5軸加工と称する。表面部分1−3と表面部分1−7、表面部分1−4と表面部分1−8、表面部分1−5と表面部分1−9、表面部分1−6と表面部分1−10は、加工プログラム上では、段差のない加工面となるように、加工パラメータが設定されている。
【0035】
こうして、全ての加工すべき表面部分の加工が完了した後、回転テーブル35を第1の姿勢に配置する。このとき、試験用ワーク1の上面がZ軸に垂直に配置され、上面に垂直に接続する4つの側面のうち2つの側面、
図9では、表面部分1−3、1−7と表面部分1−5、1−9を有した側面がY軸に垂直に配置され、表面部分1−4、1−8と表面部分1−6、1−10を有した側面がX軸に垂直に配置される。また、これと同時に、回転工具2を主軸25から取り外し、代わりに測定装置40が主軸25に装着される。測定装置40は、測定プローブ40aが測定対象物の表面に接触したときに、信号を出力するタッチセンサとすることができる。
【0036】
次いで、
図10に示すように、測定装置40の測定プローブ40aを試験用ワーク1の上面の2つの表面部分1−1、1−2の各々の上方に配置し、Z軸に沿って試験用ワーク1に接近させることによって、2つの表面部分1−1、1−2の各々のZ座標Z
1-1、Z
1-2が測定される。つまり、測定装置40は、測定プローブ40aが表面部分1−1、1−2の各々に接触した信号を演算部76に送出し、演算部76は、測定プローブ40aが測定球44表面部分1−1、1−2の各々に接触した時のZ座標を検出し、記憶部77に記憶させる。
【0037】
次いで、
図11に示すように、試験用ワーク1の上面に接続された4つの側面の各々の表面部分1−3、1−4、1−5、1−6と、表面部分1−7、1−8、1−9、1−10に対して垂直な方向に直線送りして、測定装置40の測定プローブ40aを該表面部分の各々に接触させる。同様に、演算部76は、その時の座標値を検出し、記憶部77に記憶させる。より詳細には、表面部分1−3、1−5のY座標Y
1-3、Y
1-5と、表面部分1−7、1−9のY座標Y
1-7、Y
1-9と、表面部分1−4、1−6のX座標X
1-4、X
1-6と、表面部分1−8、1−10のX座標X
1-8、X
1-10が測定され、記憶部77に記憶される。
【0038】
測定結果に基づき、演算部76は、3軸加工により加工された表面部分1−3、1−4、1−5、1−6の中心C3の座標(X
C3, Y
C3)=((X
1-4+X
1-6)/2,(Y
1-3+Y
1-5)/2)、および、5軸加工により加工された表面部分1−3、1−4、1−5、1−6の中心C5の座標(X
C5, Y
C5)=((X
1-8+X
1-10)/2,(Y
1-7+Y
1-9)/2)を演算する。次いで、演算部76は、3軸加工による中心C3に対する5軸加工による中心C5のX方向の偏差α=((X
1-4+X
1-6)/2)−((X
1-8+X
1-10)/2)およびY方向の偏差β=((Y
1-3+Y
1-5)/2)−((Y
1-7+Y
1-9)/2)を演算する。演算結果は記憶部77に記憶される。
【0039】
次いで、演算部76は、3軸加工により加工された表面部分1−3、1−4、1−5、1−6のX方向およびY方向の距離、つまり表面部分1−4、1−6間の距離γ3=|X
1-4−X
1-6|および表面部分1−3、1−5間の距離δ3=|Y
1-3−Y
1-5|を演算し、そして5軸加工により加工された表面部分1−7、1−8、1−9、1−10のX方向およびY方向の距離、つまり表面部分1−8、1−10間の距離γ5=|X
1-8−X
1-10|および表面部分1−7、1−9間の距離δ5=|Y
1-7−Y
1-9|を演算し、演算結果は記憶部77に記憶される。
【0040】
次いで、演算部76は、3軸加工によるX方向の表面部分間の距離γ3と、5軸加工によるX方向の表面部分間の距離γ5との差分γ=γ3−γ5と、5軸加工によるY方向の表面部分間の距離δ3と、5軸加工によるX方向の表面部分間の距離δ5との差分δ=δ3−δ5とを演算し、演算結果を記憶部77に記憶する。更に、演算部76は、X方向の表面部分間の距離およびY方向の表面部分間の距離に関して3軸加工と5軸加工の差分の平均値λ=(γ+δ)/4を演算し、演算結果を記憶部77に記憶する。
【0041】
次いで、演算部76は、試験用ワーク1の3軸加工により加工された表面部分1−1のZ方向の目標値Hzと測定値であるZ座標Z
1-1との差分ε=Z
1-1−Hz、および、試験用ワーク1の5軸加工により加工された表面部分1−2のZ方向の目標値Hzと測定値であるZ座標Z
1-2との差分ζ=Z
1-2−Hzを演算し、演算結果は記憶部77に記憶される。
【0042】
更に、演算部76は、試験用ワーク1のX方向の目標値Lxと、3軸加工によるX方向の表面部分間の距離γ3との差分Dx=Lx−γ3、および、Y方向の目標値Lyと、Y方向の表面部分間の距離δ3との差分Dy=Ly−δ3を演算する。演算部76は、は、更に、その平均値η=(Dx+Dy)/4を演算して、演算結果を記憶部77に記憶する。
【0043】
上記演算結果に基づき、演算部76は、以下のように補正量CVを決定する。
CV1=α
CV2=β
CV3=−(ζ+η)/2
CV4=λ+CV3
CV5=((ζ+CV3))+(ε+CV4))/2
【0044】
ここで、CV1は回転テーブル35の回転中心のX方向補正量、CV2は回転テーブル35の回転中心のY方向補正量、CV3はZ軸補正量、CV4は回転工具2の工具長さ方向への工具測定装置の補正量、CV5はワーク座標系におけるZ座標の補正量(測定装置40のZ方向のキャリブレーション値)である。
【0045】
既述の試験用ワーク1の測定は、制御装置70に入力プログラム71として、自動測定プログラムを入力することによって、自動的に行うことができる。制御装置70が自動測定プログラムを実行すると、例えば、工作機械11の制御盤(図示せず)に取り付けてあるタッチパネルのような表示装置に
図13に示す入力画面が表示される。
【0046】
入力画面100は、試験用ワーク1のサイズとしてX方向、Y方向、Z方向の寸法および切込み量(試験用ワーク1の表面からの深さ)等の加工パラメータを入力する領域102、104、106、108を備えている。この領域102、104、106、108の1つをアクティブにして、キーボード等の入力装置(図示せず)を用いて各領域102、104、106、108に数値を入力する。入力された試験用ワーク1の加工パラメータは記憶部77に記憶される。なお、入力画面100には、ワーク原点チェックのような試験用ワーク1の加工工程、使用する工具の種類等を表示する領域120を含むことができる。更に、試験用ワーク1の概略形状130を表示するようにしてもよい。
【0047】
入力が完了した後に進むボタン110をタップことによって、
図14に示す工具情報入力画面200を表示するようにできる。工具情報入力画面200は、工具径のような工具パラメータを入力する領域、加工条件としてピックフィード量、主軸回転速度および送り速度を入力する領域202、204、206、208を備えている。入力された工具パラメータや加工条件は記憶部77に記憶される。なお、入力画面100には、ワーク原点チェックのような試験用ワーク1の加工工程、使用する工具の種類等を表示する領域220を含むことができる。更に、試験用ワーク1を加工するために使用される工具の概略形状230を表示するようにしてもよい。
【0048】
入力が完了した後に進むボタン210をタップことによって、既述した試験用ワーク1の加工および測定が行われ、補正量の演算結果を
図15に示す補正量表示画面300に表示するようにできる。オペレーターは補正量を確認して、適用ボタン310をタップすることによって、本加工に際して補正量を適用した加工が行われる。
前記試験用ワークの加工した各表面部分を測定し、前記測定した結果に基づいて、前記回転送り軸の誤差を機械座標系に対する前記回転テーブルの回転中心の位置情報および前記回転工具の工具長の補正量で補正し、前記ワークを加工するようにした加工方法が提供される。