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特開2021-168444移動端末試験装置及び移動端末試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-168444(P2021-168444A)
(43)【公開日】2021年10月21日
(54)【発明の名称】移動端末試験装置及び移動端末試験方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/02 20090101AFI20210924BHJP
   H04W 8/24 20090101ALI20210924BHJP
   H04B 17/16 20150101ALI20210924BHJP
   H04B 17/17 20150101ALI20210924BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20210924BHJP
【FI】
   H04W88/02 150
   H04W8/24
   H04B17/16
   H04B17/17
   H04B17/29 100
   H04B17/29 200
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-70970(P2020-70970)
(22)【出願日】2020年4月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】茅野 峻輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】後藤 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】山本 竜司
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA41
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF02
5K067LL08
(57)【要約】
【課題】5G NRに対応した移動体通信端末の試験のためのテストケースを低コストで漏れなく容易に生成することできる移動端末試験装置を提供する。
【解決手段】移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末2を試験する移動端末試験装置1であって、移動体通信端末との通信により該移動体通信端末の端末能力情報(UE Capability Information)を取得する端末能力情報取得部141と、該端末能力情報から、5G NR通信方式に関連した第1の能力情報を抽出する能力情報抽出部142と、第1の能力情報に基づいて、5G NR通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せとしてテストケースを生成するテストケース生成部144とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末(2)を試験する移動端末試験装置(1)であって、
前記移動体通信端末との通信により該移動体通信端末の能力に関する情報である端末能力情報を取得する取得部(141)と、
前記端末能力情報から、第1の無線通信方式に関連した第1の能力情報を抽出する抽出部(142)と、
前記第1の能力情報に基づいて、前記第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(210)としてテストケースを生成する生成部(144)と、
を備える移動端末試験装置。
【請求項2】
前記抽出部は、第2の無線通信方式に関連した第2の能力情報をさらに抽出し、
前記生成部は、前記第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(210)と、前記第2の能力情報に基づいて、前記第2の無線通信方式における前記試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(220)との組み合わせとしてテストケースを更に生成する、請求項1に記載の移動端末試験装置。
【請求項3】
前記生成部により生成された前記テストケースの実行順のリストを生成するリスト生成部(145)と、前記リストを前記テストケースの実行結果と共に表示する表示部(12)とを更に備える、請求項1又は2に記載の移動端末試験装置。
【請求項4】
前記抽出部により抽出された前記第1の能力情報もしくは前記第2の能力情報のいずれかが所定の基準に適合しているか否かに基づいて、前記移動体通信端末が有する前記端末能力情報の正誤を判断する判断部(143)を更に備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動端末試験装置。
【請求項5】
前記抽出部により抽出される前記第1の能力情報もしくは前記第2の能力情報のいずれかは、スループットに関連する能力情報を含み、前記生成部により生成される前記テストケースは、スループットに関連する試験パラメータに設定されるパラメータ設定値を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動端末試験装置。
【請求項6】
前記抽出部により抽出される前記第1の能力情報もしくは前記第2の能力情報のいずれかは、モビリティに関連する能力情報を含み、前記生成部により生成される前記テストケースは、モビリティに関連する試験パラメータに設定されるパラメータ設定値を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動端末試験装置。
【請求項7】
前記第1の無線通信方式は5G NR(New Radio)通信方式であり、前記第2の無線通信方式はLTE(Long Term Evolution)又はLTE−A(Long Term Evolution Advanced)通信方式である、請求項2〜6のいずれか一項に記載の移動端末試験装置。
【請求項8】
移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末(2)を試験する移動端末試験方法であって、
前記移動体通信端末との通信により該移動体通信端末の能力に関する情報である端末能力情報を取得する取得ステップと、
前記端末能力情報から、第1の無線通信方式に関連した第1の能力情報及び第2の無線通信方式に関連した第2の能力情報をそれぞれ抽出する抽出ステップと、
前記第1の能力情報及び前記第2の能力情報に基づいて、前記第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(210)と前記第2の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(220)との組合せとしてテストケースを生成する生成ステップと、
前記テストケースを順次実行する実行ステップと、
を含む移動端末試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信端末の試験を行なう移動端末試験装置及び移動端末試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、データ通信端末、車載通信端末などの移動体通信端末を開発した場合、この開発した移動体通信端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動体通信端末を接続し、試験装置と移動体通信端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
また、無線通信の通信規格を作成している3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、5G NR(New Radio)の通信規格のなかで、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)技術やMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)技術などが導入されている。例えば、このキャリアアグリゲーションは、5Gの複数のキャリアを同時に用いて通信を行なうことで、伝送速度の向上を図るものである。
【0004】
キャリアアグリゲーションにおいては、コンポーネントキャリア(以下、CCともいう)と呼ばれる5G NRのキャリアを複数用いて通信を行なう。キャリアアグリゲーションでは、移動体通信端末が基地局との接続を維持するために必要なCCである1つのプライマリコンポーネントキャリアと、移動体通信端末と基地局との伝送速度を向上させるために使用されるCCである1つ以上のセカンダリコンポーネントキャリアとにより通信が行なわれる。
【0005】
特許文献1には、LTE(Long Term Evolution)通信規格に準拠した移動体通信端末を試験する際、キャリアアグリゲーションの周波数バンドの組合せの一覧を表示し、該一覧からユーザに選択させることにより、周波数バンドの組合せの設定を容易にする移動端末試験装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6576389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
5G NRの高度化により移動体通信端末が対応する周波数バンド、帯域幅、CC数、MIMO次数などのパラメータ(試験パラメータともいう)は増加の一途を辿り、これらパラメータを組合せた動作パターンは数万通りにも達する。
【0008】
ユーザは、移動体通信端末を試験する際、試験パラメータの設定値(パラメータ設定値ともいう)の組合せである「テストケース」を予め用意する必要がある。試験パラメータの増加に伴い、動作パターンと同様に用意すべきテストケースの数も激増している。
【0009】
また、試験の種類も、スループット試験、セルモビリティ試験など複数あり、ユーザは試験の種類に応じて異なる試験パラメータの構成を基にテストケースを用意する必要がある。
【0010】
さらに、5G NRの運用形態には、非スタンドアローン(non-standalone(NSA))モードと、スタンドアローン(standalone(SA))モードとがある。NSAモードは、5G NRの無線通信方式とLTE/LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)の通信方式を組合せて使う運用形態である。SAモードは、5G NR単独で基地局と移動体通信端末間の制御からデータ送受信までを行う運用形態である。運用形態の違いに応じて試験パラメータの構成も変わり、このこともテストケース数の増大の一因になっている。
【0011】
このように運用形態や試験の種類を含めて試験パラメータが増大する状況下、ソフトウェアリグレッションの観点からもこれらの試験パラメータの組合せの全パターンを網羅的に試験・評価する必要があり、ユーザは多大な労力と膨大な開発コストをかけてテストケースを用意していた。また、用意するテストケース数が増加するにつれ、ユーザのミスによりテストケースの抜けや誤りが生じやすくなっている。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、5G NRに対応した移動体通信端末の試験のためのテストケースを低コストで漏れなく容易に生成することできる移動端末試験装置及び移動端末試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る移動端末試験装置は、移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末(2)を試験する移動端末試験装置(1)であって、前記移動体通信端末との通信により該移動体通信端末の能力に関する情報である端末能力情報を取得する取得部(141)と、前記端末能力情報から、第1の無線通信方式に関連した第1の能力情報を抽出する抽出部(142)と、前記第1の能力情報に基づいて、前記第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(210)としてテストケースを生成する生成部(144)と、を備えるものである。
【0014】
上記のように、本発明に係る移動端末試験装置は、抽出部が、移動体通信端末の端末能力情報から第1の無線通信方式に関連した第1の能力情報を抽出し、生成部が、第1の能力情報に基づいて、第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せとしてテストケースを生成するようになっている。この構成により、第1の無線通信方式単独で基地局と移動体通信端末間の制御からデータ送受信までを行う運用形態(スタンドアローン)において、各種試験に対して全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができる。
【0015】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記抽出部は、第2の無線通信方式に関連した第2の能力情報をさらに抽出し、前記生成部は、前記第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(210)と、前記第2の能力情報に基づいて、前記第2の無線通信方式における前記試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(220)との組合せとしてテストケースを更に生成する構成であってもよい。
【0016】
この構成により、本発明に係る移動端末試験装置は、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とを組合せて使う運用形態(非スタンドアローン)での各種試験に対して、全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができ、各種試験を低コストで迅速かつ確実に実行することができる。
【0017】
また、本発明の移動端末試験装置は、前記生成部により生成された前記テストケースの実行順のリストを生成するリスト生成部(145)と、前記リストを前記テストケースの実行結果と共に表示する表示部(12)とを更に備える構成であってもよい。
【0018】
この構成により、本発明に係る移動端末試験装置は、生成されたテストケース及びその実行結果を実行順にユーザが容易に確認することができる。
【0019】
また、本発明の移動端末試験装置は、前記抽出部により抽出された前記第1の能力情報もしくは前記第2の能力情報のいずれかが所定の基準に適合しているか否かに基づいて、前記移動体通信端末が有する前記端末能力情報の正誤を判断する判断部(143)を更に備える構成であってもよい。
【0020】
この構成により、本発明に係る移動端末試験装置は、移動体通信端末にインストールされている端末能力情報(UE Capability Information)の情報そのものの誤りを発見することができる。
【0021】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記抽出部により抽出される前記第1の能力情報もしくは前記第2の能力情報のいずれかは、スループットに関連する能力情報を含み、前記生成部により生成される前記テストケースは、スループットに関連する試験パラメータに設定されるパラメータ設定値を含む構成であってもよい。
【0022】
この構成により、本発明に係る移動端末試験装置は、移動体通信端末の通信速度をテストするスループット試験に関し、全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができる。
【0023】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記抽出部により抽出される前記第1の能力情報もしくは前記第2の能力情報のいずれかは、モビリティに関連する能力情報を含み、前記生成部により生成される前記テストケースは、モビリティに関連する試験パラメータに設定されるパラメータ設定値を含む構成であってもよい。
【0024】
この構成により、本発明に係る移動端末試験装置は、異周波数ハンドオーバ、異システム間ハンドオーバなど各種ハンドオーバに関するセルモビリティ試験に関し、全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができる。
【0025】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記第1の無線通信方式は5G NR(New Radio)通信方式であり、前記第2の無線通信方式はLTE(Long Term Evolution)又はLTE−A(Long Term Evolution Advanced)通信方式である構成であってもよい。
【0026】
この構成により、本発明に係る移動端末試験装置は、5G NR通信方式とLTE通信方式とを組合せて使う運用形態(非スタンドアローン)での各種試験に対して、全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができる。
【0027】
また、本発明の移動端末試験方法は、移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末(2)を試験する移動端末試験方法であって、前記移動体通信端末との通信により該移動体通信端末の能力に関する情報である端末能力情報を取得する取得ステップと、前記端末能力情報から、第1の無線通信方式に関連した第1の能力情報及び第2の無線通信方式に関連した第2の能力情報をそれぞれ抽出する抽出ステップと、前記第1の能力情報及び前記第2の能力情報に基づいて、前記第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(210)と前記第2の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(220)との組合せとしてテストケースを生成する生成ステップと、前記テストケースを順次実行する実行ステップと、を含むものである。
【0028】
上記のように、本発明に係る移動端末試験方法は、抽出ステップにおいて、移動体通信端末の端末能力情報から第1の無線通信方式に関連した第1の能力情報及び第2の無線通信方式に関連した第2の能力情報をそれぞれ抽出し、生成ステップにおいて、第1の能力情報及び第2の能力情報に基づいて、第1の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せと第2の無線通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せとの組合せとしてテストケースを生成するようになっている。この構成により、第1の無線通信方式と第2の無線通信方式とを組合せて使う運用形態(非スタンドアローン)での各種試験に対して、全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができ、各種試験を低コストで迅速かつ確実に実行することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、5G NRに対応した移動体通信端末の試験のためのテストケースを低コストで漏れなく容易に生成することができる移動端末試験装置及び移動端末試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置の処理フローを説明する図である。
図3】本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置によるスループット試験におけるパラメータ設定値の組合せ(テストケース)の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置によるセルモビリティ試験におけるパラメータ設定値の例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置によるスループット試験時の表示部の表示画像の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る移動端末試験方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る移動端末試験装置1の構成を示すブロック図である。移動端末試験装置1は、テストケースに従って移動体通信の基地局を擬似して移動体通信端末2を試験するものである。図1に示すように、移動端末試験装置1は、操作部11と、表示部12と、制御部13と、準備部14と、基地局シミュレータ15と、記憶部16とを備えている。以下、各構成要素について説明する。
【0033】
操作部11は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力機器を備え、例えば、ユーザにより操作入力された移動端末試験装置1への指示情報を制御部13に出力する。例えば、ユーザが操作部11を操作して、実施する試験の種類(スループット試験、セルモビリティ試験など)を選択するようにしてもよい。
【0034】
表示部12は、液晶ディスプレイなどの画像表示機器を備え、準備部14により生成されたテストケースの実行順のリストや、テストケースの試験結果や、試験中の各種状態などを表示するようになっている。また、表示部12は、後で説明する判断部143により判断された、移動体通信端末2の端末能力情報の正誤の情報を表示してもよい。
【0035】
制御部13は、テストケースの実行及びその結果の評価などを行うものであり、試験制御部131と、実行部132と、結果取得部133とを備えている。
【0036】
試験制御部131は、準備部14により生成されたテストケース及びその実行順のリスト(テストケース実行順リスト)に基づき、テストケースの実行を制御し、テストケースの実行結果を評価するものである。評価は、テストケースごとに設けられた評価基準に基づいて行われる。
【0037】
試験制御部131は、テストケースの情報に基づいて、実行部132を介して第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152から送信する送信情報を生成する送信情報生成部134を備えている。具体的には、送信情報生成部134は、テストケースの情報に基づいて第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152の報知情報や位置登録処理における送信情報などを生成する。例えば、送信情報生成部134は、個別に設定された第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152のそれぞれが擬似する基地局の動作の設定情報に基づいて、報知情報を生成する。
【0038】
実行部132は、試験制御部131の制御下で記憶部16に格納されたテストケース及びテストケース実行順リストの情報に基づいて基地局シミュレータ15に送信情報や設定情報などの指示情報を送り、基地局シミュレータ15と移動体通信端末2との通信を行わせて試験を実行するようになっている。
【0039】
結果取得部133は、基地局シミュレータ15と移動体通信端末2との通信の結果の情報を基地局シミュレータ15から取得し、その情報を試験制御部131に送るようになっている。
【0040】
実行部132は、試験制御部131からの指示により、記憶部16に格納されているテストケースやテストケース実行順リストなど必要な情報(シナリオ)を読み出して、その情報に基づいて第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152に、報知情報を送信させたり、移動体通信端末2との間で通信シーケンスを実行させたりする。
【0041】
基地局シミュレータ15は、実行部132からの指示を受け、基地局を擬似して移動体通信端末2との間で通信を行うものであり、第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152を備えている。第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152は、5G NR通信規格又は4G(LTE又はLTE−A)通信規格に従って動作する基地局を擬似するようになっている。以下、「5G NR」を単にNRと記載することもあり、「LTE又はLTE−A」を単にLTEと記載するものとする。本実施形態の基地局シミュレータ15は、2個の擬似基地局部を有しているが、試験の内容に依っては1個あるいは3個以上であってもよい。
【0042】
第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152の送信する信号は、不図示の結合器により結合されて移動体通信端末2に送信される。また、移動体通信端末2から受信した信号は、該結合器を介して第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152それぞれに送信される。
【0043】
記憶部16は、ハードディスク装置やフラッシュメモリなどで構成され、準備部14により生成されたテストケースの情報、テストケース実行順リストの情報、各テストケースの試験結果の情報などを格納する。
【0044】
次に、準備部14について説明する。
以下では、移動体通信端末2が5G NR通信方式に対応しているものとして説明するが、通信方式はこれに限定されない。
【0045】
図1に示すように、準備部14は、試験を行うために必要とされるデータや情報を生成するものであり、端末能力情報取得部141と、能力情報抽出部142と、判断部143と、テストケース生成部144と、テストケース実行順リスト生成部145とを備えている。
【0046】
端末能力情報取得部141は、移動体通信端末2との通信により、該移動体通信端末2が対応している能力、性能あるいは機能を示す端末能力情報を取得するようになっている。具体的には、端末能力情報取得部141は、例えば、移動体通信端末2にインストールされているUE Capability Informationを取得する。なお、端末能力情報取得部141は、本発明の取得部に対応する。
【0047】
能力情報抽出部142は、端末能力情報から、5G NR通信方式に関連した第1の能力情報及びLTE通信方式に関連した第2の能力情報をそれぞれ抽出するようになっている。具体的には、能力情報抽出部142は、UE Capability Informationから、例えば、5G NR及びLTEそれぞれにおけるキャリアアグリゲーション構成、周波数バンド、帯域幅、MIMOなどの試験パラメータに設定可能な設定値(パラメータ設定値)に関する能力情報を抽出する。なお、能力情報抽出部142は、本発明の抽出部に対応する。
【0048】
判断部143は、能力情報抽出部142により抽出された第1の能力情報及び第2の能力情報の少なくとも一方が所定の基準に適合しているか否かに基づいて、移動体通信端末2が有する端末能力情報の正誤を判断するようになっている。具体的には、判断部143は、能力情報抽出部142により抽出された第1の能力情報及び第2の能力情報に対して、5G NR及びLTEの通信規格(基準)に適合しているか否かを観点に分析し、基準に適合していない部分が有れば、その部分の端末能力情報が誤っていると判断する。例えば、試験パラメータの取り得る値やその範囲など、通信規格上、満たすべき条件を予め設定しておき、判断の基準として用いてもよい。
【0049】
テストケース生成部144は、第1の能力情報及び第2の能力情報に基づいて、5G NR通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ210と、LTE通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ220と、を組合せたものとして、テストケースを自動で生成するようになっている。なお、テストケース生成部144は、本発明の生成部に対応する。
【0050】
また、テストケース生成部144は、第1の能力情報に基づいて、5G NR通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ210としてテストケースを生成する。
【0051】
具体的には、テストケース生成部144は、5G NR通信方式に関連した周波数バンド、帯域幅、キャリアアグリゲーション構成、MIMOなどの主要な試験パラメータの情報(第1の能力情報)に基づいて、5G NR通信方式におけるパラメータ設定値の組合せ210としてテストケースを更に生成する。このテストケースは、5G NRスタンドアローンでの試験に用いることができる。
【0052】
テストケース実行順リスト生成部145は、テストケース生成部144により生成されたテストケースの実行順のリストを生成するようになっている。なお、テストケース実行順リスト生成部145は、本発明のリスト生成部に対応する。
【0053】
ここで、移動端末試験装置1は、移動体通信端末2と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0054】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0055】
このように、本実施形態において、記憶部16は、RAM又はハードディスク装置によって構成され、制御部13、準備部14は、CPUによって構成され、基地局シミュレータ15は、通信モジュールによって構成される。基地局シミュレータ15は、制御部13や準備部14などを構成するコンピュータ装置とは別機器として構成されていてもよい。
【0056】
次に、移動端末試験装置1の処理動作について、スループット試験を例に説明する。
【0057】
スループット試験は、通信速度の試験であり、具体的には、移動体通信端末2が通信速度の仕様値を満たしているか否かを調べる試験である。
【0058】
図2は、本実施形態に係る移動端末試験装置1の処理フローを説明する図である。図2に示すように、準備部14の端末能力情報取得部141は、制御部13の制御下で基地局シミュレータ15を介して移動体通信端末2から受信したUE Capability Information(端末能力情報)を取得する。取得したUE Capability Informationは、コンピュータ装置のRAM又は記憶部16に格納される。
【0059】
UE Capability Informationは、UE-NR-CapabilityとUE-MRDC-Capabilityとを含む。UE-NR-Capabilityは、5G NRスタンドアローンモードにおけるUE Capabilityである。UE-MRDC-Capabilityは、5G NR非スタンドアローンモードにおけるUE Capabilityであり、LTE搬送波及び5G NR搬送波のsupportedBandListなどが定義されている。これらは、TS 38.306、TS 38.331などに規定されている。
【0060】
制御部13及び準備部14の諸機能は、基地局シミュレータ制御ソフトウェア3をコンピュータ装置のCPUで実行することにより実現することができる。
【0061】
準備部14の能力情報抽出部142は、5G NR及びLTEそれぞれについて、RAM又は記憶部16に格納されたUE Capability Informationからスループット試験に関連する情報(能力情報)を抽出する。抽出した能力情報は、コンピュータ装置のRAM又は記憶部16に格納される。
【0062】
能力情報としては、例えば、supportedBandListEUTRA、supportedBandListNR、ca-BandwidthClassDL-EUTRA、ca-BandwidthClassUL-EUTRA、ca-BandwidthClassDL-NR、ca-BandwidthClassUL-NR、MIMO-ParametersPerBand、channelBWs-DL、及びchannel BWs-ULなどが挙げられる。なお、同様の情報がこれらとは異なる名称で定義されている場合もある。
【0063】
supportedBandListNR、及びMIMO-ParametersPerBandは、移動体通信端末2がサポートしている周波数バンドの情報、及び各周波数バンドのMIMO次数に関する情報である。これらは、TS 38.101-1、TS 38.101-2などに規定されている。
【0064】
supportedBandListEUTRAは、移動体通信端末2がサポートしているNSA時に使用する4G周波数バンドの情報である。また、モビリティに関連した、移動体通信端末2がサポートしているMeasurement情報としてMeasAndMobParametersが得られる。これらは、TS 38.306などに規定されている。
【0065】
ca-BandwidthClassDL-EUTRA、ca-BandwidthClassUL-EUTRA、ca-BandwidthClassDL-NR、ca-BandwidthClassUL-NRは、移動体通信端末2がサポートしているSAモード及びNSAモードにおける周波数バンドの組合せ、並びに各搬送波の帯域幅に関する情報である。これらは、TS 38.101-1、TS 38.101-2などに規定されている。
【0066】
channelBWs-DL、channelBWs-ULは、移動体通信端末2がサポートしているSAモードにおける搬送波のサブキャリア間隔に関する情報である。これらは、TS 38.101-1、TS 38.101-2などに規定されている。
【0067】
次いで、準備部14のテストケース生成部144は、能力情報抽出部142により抽出された能力情報を基に、スループットに関連する試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せであるテストケースを生成する。パラメータ設定値とは、試験の条件(セルあるいは擬似基地局部の動作条件)を与える試験パラメータ(例えば、周波数バンド、帯域幅、キャリアアグリゲーション構成、MIMOアンテナ構成など)の設定値をいう。生成されたテストケースは、記憶部16に格納される。
【0068】
テストケース実行順リスト生成部145は、生成されたテストケースを基に、テストケースを実行順に並べたリスト(テストケース実行順リスト)を生成する。テストケース実行順リストは、記憶部16に格納される。
【0069】
実行部132は、試験制御部131の制御下でテストケース実行順リストに従ってテストケースを順に実行していく。具体的には、実行部132は、各テストケースに基づいて基地局シミュレータ15の第1擬似基地局部151及び第2擬似基地局部152の機能を設定し、擬似基地局部151、152に移動体通信端末2との通信を行わせる。
【0070】
結果取得部133は、基地局シミュレータ15と移動体通信端末2との通信の結果を取得し、試験制御部131に送る。試験制御部131では、結果取得部133から送られた通信結果を分析し、スループット試験の結果を予め定められた基準に基づいて評価する。例えば、移動体通信端末2の通信速度が所定の基準通信速度に達しているか否かにより評価する。
【0071】
図5は、スループット試験時の表示部12の表示画像の例を示す。図5に示すように、表示部12は、テストケース310を実行順に並べたテストケース実行順リスト320を表示するとともに、各テストケースの実行結果340をテストケース310と並べてリアルタイムで表示する。テストケース実行順リスト320の各行が1つのテストケースに対応する。各テストケース310には識別番号330が付与され、この識別番号330が、テストケース310に隣接して表示される。また、表示部12は、測定されたスループットのグラフ350や、基準に基づくスループットの評価360などの情報も表示する。
【0072】
図3は、移動端末試験装置1によるスループット試験において、試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ(テストケース)の例を示す。図3には、5G NRにおける試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ210と、LTEにおける試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ220との組合せ230として、テストケースが示されている。別言すれば、パラメータ設定値の組合せ210は、5G NRセルの動作条件を規定するものであり、パラメータ設定値の組合せ220は、LTEセルの動作条件を規定するものである。すなわち、図3は、5G NR非スタンドアローンモードの場合のスループット試験のテストケースを示している。図3の各行が1つのテストケースに対応する。
【0073】
5G NRスタンドアローンモードの場合のスループット試験では、5G NRにおける試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ210が、テストケースとして使用される。
【0074】
LTEセルの場合のスループット試験では、LTEにおける試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ220が、テストケースとして使用される。
【0075】
テストケースを構成する試験パラメータとしては、5G NRに関して、CCの個数、周波数バンドの数、キャリアアグリゲーション構成、帯域幅、全帯域幅、MIMO、サブキャリア間隔(SCS)が用いられている。また、LTE(E−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access))に関しては、CCの個数、周波数バンドの数、キャリアアグリゲーション構成、帯域幅、全帯域幅、周波数バンド、MIMO構成が、試験パラメータとして用いられている。各試験パラメータは、ダウンリンク(DL)及びアップリング(UL)それぞれについてパラメータ設定値が設定されている。
【0076】
次に、セルモビリティ(Cell Mobility)試験について説明する。
【0077】
セルモビリティ試験は、基地局の切り替え(ハンドオーバ)を適切に行うことができるか否かを確認する試験である。
【0078】
セルモビリティ試験での移動端末試験装置1の処理動作は、上述したスループット試験での移動端末試験装置1の処理動作と次の点で異なる。まず、能力情報の抽出処理において、能力情報抽出部142は、モビリティに関連する能力情報を抽出する。また、テストケースの生成処理において、テストケース生成部144は、能力情報抽出部142により抽出された能力情報を基に、セルモビリティに関連する試験パラメータのパラメータ設定値の組合せであるテストケースを生成する。これらの点を除いて、セルモビリティ試験での移動端末試験装置1の基本的な処理動作は、スループット試験と同じである。
【0079】
図4は、セルモビリティ試験において用いられるパラメータ設定値の例を示しており、図4(a)は、試験の対象となるモビリティ(ハンドオーバ)動作を示し、図4(b)は、Measurementを契機とするintra-frequency、inter-frequency、及びinter-RATモビリティ動作を示している。
【0080】
具体的には、図4(a)に示すように、セルモビリティ試験において確認すべき対象となるモビリティ動作として、例えば、以下の種類のハンドオーバが挙げられる。
(1)NR基地局からNR基地局へのinter gNBハンドオーバ[SAモード]、
(2)NR基地局から別システム(2G/3G/4G)基地局へのハンドオーバ[SAモード、NSAモード]、
(3)E-UTRA-NR Dual ConnectivityにおけるNR基地局からNR基地局へのハンドオーバ[NSAモード]。
【0081】
また、図4(b)に示すように、Measurementを契機として行われるモビリティ動作として、intra-frequencyハンドオーバ、inter-frequencyハンドオーバ、及びinter-RATハンドオーバがある。これらのモビリティ動作は、例えば、同図の各Eventの後の括弧内に記載の測定結果が得られた時に発生する各Eventを契機として実行される。
【0082】
図4に列挙された項目は、セルモビリティ試験の試験パラメータであり、そのうち移動体通信端末2によりサポートされている項目が、セルモビリティ試験のパラメータ設定値として用いられる。
【0083】
セルモビリティ試験の試験パラメータは、該試験パラメータ以外にも、上述したスループット試験の試験パラメータ(周波数バンド、帯域幅、キャリアアグリゲーション構成、MIMO構成など)も含んでいる。すなわち、セルモビリティ試験のパラメータ設定値の組合せ(テストケース)は、図3に示すスループット試験のパラメータ設定値の組合せと、図4に示すモビリティ関連のパラメータ設定値の組合せと、を組合せたものとして構成される。
【0084】
なお、以上の説明ではスループット試験、セルモビリティ試験など各試験をそれぞれ個別に実行するものとしていたが、複数の試験を順に連続して実行するようにしてもよい。
【0085】
次に、移動端末試験方法について、図6を参照してスループット試験を例に説明する。図6は、移動端末試験方法の手順を示すフローチャートである。
【0086】
まず、ユーザは、移動端末試験装置1と移動体通信端末2とを有線又は無線で接続し、移動体通信端末2の電源を入れるなどして移動体通信端末2に位置登録を行なわせる。
【0087】
結果取得部133は、位置登録のシーケンス中にUE Capabilityを移動体通信端末2から受信すると、その内容を試験制御部131に送信する。なお、位置登録時の情報に限らず、試験制御部131からの要求により実行部132が、基地局シミュレータ15を介して移動体通信端末2にUE Capabilityの送信を要求し、結果取得部133が、受信したUE Capabilityを試験制御部131に送信するようにしてもよい。
【0088】
試験制御部131がUE Capabilityを結果取得部133から受信すると、端末能力情報取得部141は、試験制御部131から移動体通信端末2のUE Capability Informationを取得する(ステップS1)。
【0089】
次いで、能力情報抽出部142は、UE Capability Informationからスループットに関連した能力情報である、supportedBandListEUTRA、supportedBandListNR、ca-BandwidthClassDL-EUTRA、ca-BandwidthClassUL-EUTRA、ca-BandwidthClassDL-NR、ca-BandwidthClassUL-NR、MIMO-ParametersPerBand、channelBWs-DL、及びchannel BWs-ULを抽出する(ステップS2)。
【0090】
具体的には、能力情報抽出部142は、UE Capability Informationから5G NR無線通信方式に関連した第1の能力情報と、LTE無線通信方式に関連した第2の能力情報とをそれぞれ抽出する。より具体的には、能力情報抽出部142は、5G NR無線通信方式及びLTE無線通信方式のそれぞれについて、キャリアアグリゲーション、周波数バンド、帯域幅、MIMOなどの試験パラメータの取り得るパラメータ設定値に関する情報を抽出する。
【0091】
別言すれば、能力情報抽出部142により抽出された第1の能力情報は、5G NR無線通信方式がスタンドアローンで運用される場合に取り得るパラメータ設定値に関する情報であり、第1の能力情報及び第2の能力情報は、5G NR無線通信方式が非スタンドアローンで運用される場合に取り得るパラメータ設定値に関する情報である。
【0092】
次いで、テストケース生成部144は、ステップS2で抽出した第1の能力情報及び第2の能力情報を基に、5G NR無線通信方式が非スタンドアローンで運用される場合あるいはEN−DC(LTE/NR dual connectivity)の場合のテストケース、及び5G NR無線通信方式がスタンドアローンで運用される場合のテストケースを自動で生成する(ステップS3)。
【0093】
テストケースを構成する試験パラメータの組合せは、試験の種類によって変わる。例えば、セルモビリティ試験では、移動体通信端末2がサポートしているハンドオーバのタイプや、ハンドオーバの契機となるEventなども試験パラメータとなり得る。また、テストケースを構成する試験パラメータの組合せは、5G NR無線通信方式の運用モードによって変わる。例えば、図3において、スタンドアローンの場合は、5G NRに関連した試験パラメータの組合せ210によりテストケースが構成され、非スタンドアローンの場合は、5G NRに関連した試験パラメータの組合せ210とLTEに関連した試験パラメータの組合せ220との組合せ230によりテストケースが構成されている。
【0094】
試験の種類は、ユーザが操作部11を操作して選択する。
【0095】
次いで、テストケース実行順リスト生成部145は、ステップS3で生成されたテストケースを基に、テストケース実行順リストを生成する(ステップS4)。
【0096】
次いで、実行部132は、テストケース実行順リストに従って、テストケースを順に実行する(ステップS5)。
【0097】
結果取得部133は、基地局シミュレータ15から各テストケースの実行結果を受け取り、試験制御部131に出力する。試験制御部131は、各テストケースの実行結果を予め設定された基準を基に評価し、評価結果を表示部12に表示するとともに、記憶部16に格納しておく(ステップS6)。
【0098】
上記説明したように、本実施形態に係る移動端末試験装置1は、能力情報抽出部142が、移動体通信端末2の端末能力情報から5G NRに関連した第1の能力情報及びLTEに関連した第2の能力情報をそれぞれ抽出し、テストケース生成部144が、第1の能力情報及び第2の能力情報に基づいて、5G NR通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ210とLTE通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ220との組合せ230としてテストケースを生成するようになっている。この構成により、5G NR通信方式とLTE通信方式とを組合せて使う運用形態(非スタンドアローン)での各種試験に対して、全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができ、各種試験を低コストで迅速かつ確実に実行することができる。
【0099】
また、本実施形態に係る移動端末試験装置1において、テストケース生成部144は、第1の能力情報に基づいて、5G NR通信方式における試験パラメータに設定されるパラメータ設定値の組合せ210としてテストケースを生成するようになっている。この構成により、本実施形態に係る移動端末試験装置1は、5G NR通信方式単独で基地局と移動体通信端末間の制御からデータ送受信までを行う運用形態(スタンドアローン)においても、各種試験に対して全てのテストケースを漏れなく容易に生成することができる。
【0100】
以上述べたように、本発明は、5G NRに対応した移動体通信端末の試験のためのテストケースを漏れなく容易に生成することでき、各種動作試験を低コストで迅速かつ確実に実行することができるという効果を有し、移動端末試験装置及び移動端末試験方法の全般に有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 移動端末試験装置
2 移動体通信端末(試験対象)
3 基地局シミュレータ制御ソフトウェア
11 操作部
12 表示部
13 制御部
131 試験制御部
132 実行部
133 結果取得部
134 送信情報生成部
14 準備部
141 端末能力情報取得部(取得部)
142 能力情報抽出部(抽出部)
143 判断部
144 テストケース生成部(生成部)
145 テストケース実行順リスト生成部(リスト生成部)
15 基地局シミュレータ
151 第1擬似基地局部
152 第2擬似基地局部
16 記憶部
210 パラメータ設定値の組合せ(5G NRスタンドアローン)
220 パラメータ設定値の組合せ(LTE)
230 パラメータ設定値の組合せ(5G NR非スタンドアローン)
310 テストケース
320 テストケース実行順リスト
330 識別番号
340 テストケースの実行結果
350 スループットのグラフ
360 スループットの評価
図1
図2
図3
図4
図5
図6