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特開2021-168622管状体の結束具と魚介類養殖用の浮体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-168622(P2021-168622A)
(43)【公開日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】管状体の結束具と魚介類養殖用の浮体
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/60 20170101AFI20211001BHJP
【FI】
   A01K61/60 323
   A01K61/60 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-73313(P2020-73313)
(22)【出願日】2020年4月16日
(71)【出願人】
【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
(71)【出願人】
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】友國 慶子
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】原 浩二
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CC02
2B104CC17
2B104CC34
2B104CG05
2B104CG07
(57)【要約】
【課題】小口径の管状体を複数束ねることによって必要な浮力を確保し、複数の管状体を荒天時においても、ばらけることなく並列状態で保持して管状体を結束する際の施工性に優れた結束具を提供する
【解決手段】上下に3分割された連結片32a、32b、32cと、連結片32a、32b、32cを連結する凹凸部33、34及び電気融着キャップ継手36よりなり、連結片32a、32b、32cを凹部33と凸部34を嵌合させることにより連結すると共に、上下の各連結片32a、32b、32cには連結片32a、32b、32cを重ねた状態で接合する断面半円形の突部35が横向きに突出し、重なった状態で断面円形をなす上下の突部35を電気融着キャップ継手36により融着する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚介類養殖用の浮体を構成する管状体を複数、適宜の間隔を存して結束するための結束具であって、パイプ状の管状体が通される嵌合穴を横及び縦方向のうち、少なくとも一方向に1ないし複数、適当間隔で形成した複数の連結片と、連結片同士を横向き又は縦向きに連結する連結手段とを有することを特徴とする結束具。
【請求項2】
魚介類養殖用の浮体を構成する管状体を複数、適宜の間隔を存して結束するための結束具であって、管状体を挟み込む受体及び蓋体と、これら受体と蓋体を連結する連結手段を有し、前記受体と蓋体のいずれか一方又は双方に前記管状体の径方向における少なくとも一部が嵌合ないし遊嵌する凹溝を有することを特徴とする結束具。
【請求項3】
凹溝は平溝であり、該平溝には任意の数の管状体が管状体間にスペーサを介し、或いは介さずして取付け可能であることを特徴とする請求項2記載の結束具。
【請求項4】
凹溝はU形溝で、適宜の間隔を存して複数設けられ、しかも管状体の径方向における少なくとも大部分が嵌合ないし遊嵌することを特徴とする請求項2記載の結束具。
【請求項5】
前記連結手段には抜き差し可能に嵌合する凹凸部、前記連結片に互いに向き合って形成される熱可塑性樹脂製の融着部を熱融着又は電気融着する融着手段、連結片同士を止着する止金具のうち、少なくとも1つが用いられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの請求項に記載の結束具。
【請求項6】
前記連結手段の凹凸部は蟻継手であることを特徴とする請求項5に係る発明の結束具。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかの請求項に係る発明の結束具を用い、複数の管状体を適宜の間隔を存した並設状態で結束して構成されることを特徴とする魚介類養殖用の浮体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生け簀や筏等に用いられる管状体を結束するための結束具と、該結束具により適宜の間隔を存して並設された複数の管状体よりなり、海面、湖面、池面等(以下、これらを総称して水面という)に浮設される魚介類養殖用の浮体に関する。
本発明において、縦方向とは鉛直線方向をいい、以下に記述する明細書では上下方向ともいう。また横方向とは管状体を正面視したときの水平方向をいう。
【背景技術】
【0002】
この種の浮体として、複数の管状体を組付けてなる矩形又は円形の枠体よりなり、枠体にネットを張設して生け簀を構成するもの(特許文献1−3)、発泡スチロール製の浮子に竹又は樹脂製ないし金属製の管状体を格子状に或いは平行に並べて組付けた養殖筏を構成するもの(特許文献4,5)等が知られ、複数の管状体を結束するためにワイヤーで管状体を縛り付けることが多く行われているが、特許文献1に開示されるように、連結保持体に組付けたものも知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−143458号公報
【特許文献2】実願昭54−091677号(実開昭56−8172号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開2014−113141号公報
【特許文献4】特開2011−217631号公報
【特許文献5】特開2005−155787号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管状体に発泡スチロール製の浮子を取付けた魚介類養殖用の浮体においては、浮体の浮力は主として発泡スチロール製の浮子が担っている。こうした発泡スチロール製の浮子を備えた魚介類養殖用の浮体はコスト的には優位であるものの、台風等の波浪や生物による浸食等によって発泡スチロール製の浮子が大きく破壊されることがあり、破壊に至らずとも管状体より離脱して水面を浮遊するごみとなることが多く発生し、また水面を浮遊する発泡スチロール製浮子に紫外線が当たることにより劣化がもたらされ、マイクロプラスチック化して海中に残存し、環境に悪影響を与えることもある。
【0005】
管状体自体に必要な浮力を持たせることができるようにすれば、発泡スチロール製の浮子を不要にできるが、必要な浮力を持たせるために管状体のサイズ,特に太さを大きくするのは重量が嵩んで持ち運びが容易でないうえ、設置する際の作業性が悪く、また剛性が大であるために管状体を曲げ加工し、曲げ加工後の形状を維持するように施工することは容易でない。
【0006】

また管状体を結束するのに従来行われてきたワイヤーによる縛り付けや、連結保持体への組付けは手間が掛かる。
本発明は、小口径の管状体を複数束ねることによって必要な浮力を確保しようとするもので、複数の管状体を荒天時においても、ばらけることなく、並列状態で保持することができ、しかも管状体を結束する際の施工性に優れた結束具と、該結束具を用いて複数の管状体を適宜の間隔を存して並設してなる浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、魚介類養殖用の浮体を構成する管状体を複数、適宜の間隔を存して結束するための結束具であって、パイプ状の管状体が通される嵌合穴を横及び縦方向のうち、少なくとも一方向に1ないし複数、適当間隔で形成した複数の連結片と、連結片同士を横向き又は縦向きに連結する連結手段とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、魚介類養殖用の浮体を構成する管状体を複数、適宜の間隔を存して結束するための結束具であって、管状体を挟み込む受体及び蓋体と、これら受体と蓋体を連結する連結手段を有し、前記受体と蓋体のいずれか一方又は双方に前記管状体の径方向における少なくとも一部が嵌合ないし遊嵌する凹溝を有することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、凹溝は平溝であり、該平溝には任意の数の管状体が管状体間にスペーサを介し、或いは介さずして取付け可能であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明において、凹溝はU形溝で、適宜の間隔を存して複数設けられ、しかも管状体の径方向における少なくとも大部分が嵌合ないし遊嵌することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかの請求項に係る発明において、前記連結手段には抜き差し可能に嵌合する凹凸部、連結片に互いに向き合って形成される熱可塑性樹脂製の融着部を熱融着又は電気融着する融着手段、連結片同士を止着する止金具のうち、少なくとも1つが用いられることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明における連結手段の凹凸部は蟻継手であることを特徴とし、
請求項7に係る発明の浮体は、請求項1ないし6のいずれかの請求項に係る発明の結束具を用い、複数の管状体を適宜の間隔を存した並設状態で結束して構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の結束具によると、複数の管状体を連結するのにワイヤーで縛り付けたり、連結保持体に組付ける従来法に比べ、作業性が向上するほか、結束具により支持された管状体を周状に曲げる際、結束具が管状体の動きを拘束するため、曲げ加工が容易に行え、荒天時においても管状体をばらつかせることなく、しっかりと支持できること、結束具を複数の連結片で構成することにより、個々の連結片は小型化して軽量化されるため持ち運びが容易で、作業性が向上し、連結片を金型で製作する場合、金型を小型化できること、結束具は個々の連結片の管嵌合穴に管状体を挿入したのち連結片同士を組付けるか、或いは連結片同士を組付けたのち、個々の連結片の管嵌合穴に管状体を挿入し、又は1つの管状体の各管嵌合穴に管状体を挿入後、該連結片に別の連結片を組付け、次いで該別の連結片の管嵌合穴に管状体を挿入する作業を繰り返すことにより得られるが、個々の連結片の管嵌合穴に管状体を挿入したのち、連結片同士を組付ける前者の方法においては、個々の連結片に挿入される管状体は数が少ないため、挿入時、他の管状体と干渉し難くなり、管状体の挿入が比較的容易になることなどの効果を有する。
【0013】
請求項2に係る発明の結束具によると、管状体の少なくとも一部を凹溝に嵌合ないし遊嵌した状態で受体と蓋体とで両側より挟み込むことにより複数の管状体を同時に固定状態で取付けることができ、施工性に優れるという利点がある。また請求項3に係る発明の結束具においては、平溝に数を異にした管状体を取付けることができる。
【0014】
請求項4に係る発明においては、管状体の少なくとも大部分がU形溝に嵌合することにより、管状体の横方向の動きが拘束され、固定状態が安定する。
【0015】
管状体の径方向における少なくとも大部分が嵌合ないし遊嵌するには、U形溝の溝深さが管状体の半径以上とされる。
その他は請求項2ないし4のいずれの発明においても、請求項1に係る発明と同様の効果を生ずる。
【0016】
請求項5に係る発明によると、請求項1〜3に係る発明の連結片同士又は連結片と蓋とが、凹凸部の嵌合、融着手段による融着又は止金具による止着のいずれかの連結手段を用いることにより簡易に連結することができる。
請求項6に係る発明の連結手段によると、蟻継手のほぞを蟻溝に差し込むことにより容易に離脱しない連結を簡易に行うことができる。
【0017】
請求項7に係る発明においては、前記請求項1ないし6のいずれかの発明における結束具を用いることにより、複数の管状体を適宜の間隔を存して並設した浮体を簡易に得ることができる。また必要とされる浮力は複数の管状体の組合せによって得られるが、個々の管状体は小径であるから持ち運びや曲げ加工する際の加工性、施工時の作業性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る浮体の平面図。
図2図1に示すa部の拡大図。
図3】ポリエチレン管を取付けた結束具の正面図。
図4】同側面図。
図5】結束具の模式図。
図6】別の態様の結束具の模式図。
図7】組付け前の分解した結束具の断面図。
図8図7に示す結束具を用いてポリエチレン管を結束した正面図。
図9図8に示す結束具の一部の拡大断面図。
図10】ポリエチレン管を結束した別の実施形態の結束具を示す図。
図11図10に示す結束具を用いたポリエチレン管の別の結束例を示す図。
図12】ポリエチレン管を結束した更に別の実施形態の結束具の断面図。
図13】ポリエチレン管を結束した更に別の実施形態の結束具の断面図。
図14図13の変形態様を示す断面図。
図15】二枚貝養殖に好適な浮体の平面図。
図16図15に示すb部の拡大図。
図17】二枚貝養殖に好適な別の態様の浮体の平面図。
図18図17に示す浮体におけるポリエチレン管の浮体への取付態様を示す図。
図19】二枚貝養殖に好適な浮体の更に別の態様の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る浮体について図面により説明する。
図1は、同心円状に配置した複数(図においては3個)の円環状をなす管状体1を周方向に一定間隔で連結手段である結束具2により連結してなる浮体3を示すものである。
【0020】
図1に示す円環状の管状体1は、図2に示すように管端同士が継手5により連結されて無端状をなし、該継手5においてシールされて管内は水密にされ、一定の浮力が保持されるようにしてある。施工ミス等により管状体1の長さが足りなくなった場合、必要長さの管状体1が継手5によって継ぎ足される。
【0021】
管状体1は多くの場合、ポリエチレン管のような樹脂管が用いられるが、亜鉛メッキされた鋼管、アルミ管等の金属管を用いることもできる。以下には管状体としてポリエチレン管を用いた例について説明する。
【0022】
ポリエチレン管1は工場から一定長さの真直ぐな直管状態、或いはコイル状態で出荷され、いずれの状態にあっても図1に示すような円環状とするのには、周状に曲げ加工が行われる(コイル状に巻かれて巻き癖の付いたポリエチレン管を拡げたり、真直ぐに延ばす場合も同様である)。
【0023】
ポリエチレン管1を曲げ加工するのは通常、施工現場において人手により行われるためポリエチレン管1は剛性を小さくして曲げ加工が容易に行えるようにする必要があり、ポリエチレン管1の剛性を小さくするために前述するポリエチレン管1は肉厚が薄くされ、肉厚を薄くすることによって浮力も増加する。しかし一方で,肉厚が薄くなりすぎ、且つ一定の曲げ半径以下に曲げてしまうと、パイプが座屈し、周状に形状を維持することができなくなる。
【0024】
使用される継手としては、管端を塞ぐキャップ継手を用いることもできる。この場合管端はフリーで、エンドレスに連結しなくてもよい。
ポリエチレン管の管端を連結し或いは管端を塞ぐための継手5としては、好ましくは熱融着、より好ましくは電気融着用のソケット継手又はキャップ継手が用いられる。
【0025】
図3図14は、管状体としてのポリエチレン管1を結束する結束具2a〜2gを例示するものであり、このうち、図3及び図4に示す結束具2aは、管嵌合穴6を3か所、横向きに定間隔で形成した上下の連結片7を連結手段を構成する蟻継手により連結してなるもので、蟻継手は、連結片7の上下面のうちの一方の上面に断面台形状のほぞ8を、他方の下面にほぞ8が差し込まれる断面台形溝の蟻溝9を形成し、上下の連結片7のうち、一方の連結片7の蟻溝9に他方の連結片7のほぞ8を図4の紙面と直行する方向より差し込むことにより連結されるようになっている。
【0026】
前記ほぞ8の紙面と直交する方向の端部には位置決め及び抜け止め用のストッパー(図示しない)を設け、ほぞ8を蟻溝9に差し込む際、ストッパーが蟻溝端に当たることで、ほぞ8の差し込みが必要量行われたことの確認が容易に行えるようにし、併せて蟻溝9に差し込まれたほぞ8の抜け止めが行われるようにしておくのが望ましい。
【0027】
ポリエチレン管1を周状に曲げ加工するのは通常、ポリエチレン管1を連結片7の管嵌合穴6に通した状態で行われ、周状に曲げたのち、管端を前記継手5によってエンドレスに連結する。
連結片7に通したポリエチレン管1を周状に曲げる際は(ポリエチレン管1がコイル状で出荷される場合、巻き癖が付いているため曲げ加工が容易である)、結束具2aにおいて動きを拘束され、固定状態に支持されるため曲げ加工が支障なく行え、ばらけ難い。
【0028】
次に図3に示すように数分割された結束具2aへのポリエチレン管1の取付方法について例示する。
1つの方法は、結束具2aを構成する1つの連結片7において、各管嵌合穴6にポリエチレン管1を通したのち、この連結片7に別の連結片7を連結し、次いでこの別の連結片7の各管嵌合穴6にポリエチレン管1を通す方法で、結束具2aが3個以上の連結片7で構成される場合は、1つの連結片7にポリエチレン管1を通したのち、ポリエチレン管1が通されない別の連結片7を連結し、ついでこの別の連結片7にポリエチレン管1を通す作業が繰り返される。
【0029】
別の方法は、数分割された個々の連結片7にそれぞれポリエチレン管1を通しておき、ついでポリエチレン管1を通した状態の連結片7同士を連結する方法である。
更に別の方法は、数分割された連結片7を組み付けて連結し一体化した結束具2aにおいて、各連結片7の管嵌合穴6にポリエチレン管1を通す方法である。
【0030】
浮体3は必要な浮力を確保するために必要数のポリエチレン管1が結束具2aに取付けられ、結束具2aも取付けられるポリエチレン管の数に応じて必要数連結され、必用最小限のサイズにされる。
数分割された結束具2aの個々の連結片7は、分割されない一体化された結束具2aに比べ、軽量となるため持ち運びが容易で、作業性にも優れる。
【0031】
また個々の連結片7は鋼製等の金属製又はポリエチレン等の樹脂製とされるが、鋳型や金型で製作するときには、鋳型や金型を小型化し、作業の軽減や製作費を安価にすることができる。
【0032】
図5(A)〜図5(C)及び図6(A)、図6(B)はポリエチレン管1を保持する連結片の基本パターンを示すもので、図5(A)に示す連結片11aは半割構成となって、ポリエチレン管1が嵌合する断面半円形の凹溝12を備えた受体13と蓋体14よりなり、ポリエチレン管1を上下より挟み込んで、ポリエチレン管1の下半部と上半部を覆い、管全周を覆うタイプ、図5(B)に示す連結片11bは、断面半円形の凹溝12を備え、ポリエチレン管1の下半部が嵌合する受体13と、溝深さがポリエチレン管1の半径rより小さな凹溝15を備え、高さが前記受体13より低く、、ポリエチレン管上側部に被さる蓋体16よりなり、受体13と蓋体16との間にポリエチレン管1を挟み込んだ状態で、受体13と蓋体16との間に隙間17ができ、該隙間17を通してポリエチレン管1が露出するタイプ、図5(C)に示す連結片11cは、受体18及び蓋体16の凹溝12の溝深さが共にポリエチレン管1の半径rより小さく形成され、ポリエチレン管1の下側部が受体18の凹溝12に、上側部が蓋体16の凹溝12に嵌合し、受体18と蓋体16との間にポリエチレン管1を挟み込んだ状態で、受体18と蓋体16との間の隙間19を通してポリエチレン管1が露出するタイプを示すもので、そのほか図5(B)に示すタイプの連結片11bの受体13及び蓋体16とは上下逆に形成され、受体13の凹溝12の溝深さがポリエチレン管1の半径rより小さく、蓋体16の凹溝15の溝深さがポリエチレン管1の半径rと一致し、凹溝15が半円断面をなすタイプ、図5(C)に示すタイプにおいて、受体18の凹溝12の溝深さと蓋体16の凹溝12の溝深さが異なるタイプのものもある。
【0033】
前述するタイプは、いずれも凹溝12、15が断面半円形又は円弧形をなしており、ポリエチレン管1とはマイルドに接するようになっているが、凹溝の断面形状は、円形以外の例えば四角形等の多角形や楕円形であってもよい。
【0034】
図6(A)に示す連結片21aは、底の断面形状を半円形にし、ポリエチレン管1の全体が嵌合するU字溝22を備えた受体23と、該受体23のU字溝22を塞ぐプレート状の蓋体24とより構成されるタイプ、図6(B)に示す連結片21bは、溝深さポリエチレン管1の半径より大で、直径dより小となり、ポリエチレン管1の大部分が嵌合するU字溝26を備えた受体25と、ポリエチレン管1の上端部に被さり、溝深さが小さな
キヤップ状の蓋体27よりなり、受体25と蓋体27とでポリエチレン管1を挟み込むタイプを示すもので、別のタイプとしては図6(A)とは逆に受体23がプレート状で、蓋体24にポリエチレン管1の全体が嵌合するU字溝22が形成されるタイプ、図6(B)とは逆に受体25の凹溝26の深さが蓋体27と同様に小さく、蓋体27の凹溝28の深さを受体25と同じ大きさにしたタイプのものがある。
【0035】
図6(A)及び図6(B)に示すタイプのに示す受体23、25においても、図示するものよりも溝深さを小さくし、受体23と蓋体24との間に隙間が形成されて該隙間によりポリエチレン管1が露出するようになっていてもよく、またポリエチレン管1と蓋体24又は27との間に隙間が形成されてポリエチレン管1が若干上下動できるようになっていてもよい。
【0036】
図6(A)及びに示すタイプのものにおいても、U形溝22は底の断面が円形でなく、楕円形、四角形等の多角形であってもよい。
図7及び図8に示す結束具2bは、連結片を上下に3分割し、連結片間のポリエチレン管を保持する基本構造が前記図5(A)に示されるタイプの蓋体14に相当するもので、ポリエチレン管1が嵌合可能な断面半円形の凹溝31を備えた連結片32aと、該連結片32aの前記凹溝31に嵌合可能なポリエチレン管1を下側より受ける受体及び下側部にポリエチレン管1が嵌合可能な断面半円形の凹溝31を備えた蓋体を上下に備えた連結片32bと、該連結片32bの凹溝31に嵌合するポリエチレン管1を下側より受ける受体に相当する連結片32cより構成し、図3及び図4に示すように連結片31cと31b及び連結片31bと31aを蟻継手によって連結する代わりに、連結手段としての凹部33と凸部34を嵌合させることにより連結してなるもので、上下の各連結片32a、32b、32cには連結片32a、32b、33cを重ねた状態で互いに接合する断面半円形の突部35が横向きに突出し、重なった状態で断面円形をなす上下の突部35が連結手段の電気融着キャップ継手36により融着されるようになっている。この継手36は別の連結手段である熱融着キャップ継手、或いは管1の材質によって接着剤による接着に代えることもできる。
【0037】
連結片32a、32b、32cのうち、連結片32a、32b及び連結片32b、33cは前記キャップ継手36を用いないで連結手段の凹部33と凸部34を嵌着させるだけで連結することも可能である。
本実施形態において、連結片によるポリエチレン管1の組付けは通常、次のようにして行われる。
【0038】
上下の連結片32a及び32cを中間の連結片32bより分離した状態で、先ず下側の連結片32cに定間隔で形成される4か所の半円断面の凹溝31にそれぞれポリエチレン管1を嵌合するか、遊嵌して嵌め込んだのち、その上に中間の連結片32bを被せ、連結手段の凸部34を凹部33に嵌着する。次に連結片32b上側の4か所の半円断面の凹溝31にそれぞれポリエチレン管1を嵌合するか、遊嵌して嵌め込んだのち上側の連結片32aを被せ、凸部34を凹部33に嵌着し連結する。
【0039】
図7及び図8に示す実施形態の結束具2bでは、ポリエチレン管1が計8個取付けられているが、受体と蓋体を一体化した中間の連結片11bを増やしてポリエチレン管1を4n個取付けることも可能である。ここでnは3以上の整数で、中間の連結片11bを2個とした例においては、nは3となり、ポリエチレン管1の取付個数は計12個となる。
【0040】
図9は、図8に示す結束具2bの連結片32cの凹溝31の深さhを円形断面のポリエチレン管1の半径rより小さくし、凹溝31にはポリエチレン管1の下半部が嵌合し、ポリエチレン管1の大部分が凹溝31より突出したもので、図示する例においてポリエチレン管1を連結片32b及び32cで挟み込んだとき、連結片間に図5(C)に示されるタイプの基本構造におけるような隙間37が形成されるようになっている。
【0041】
図10に示す実施形態の結束具2cは、受体38に底が平坦な長方形断面の平溝39が形成され、該平溝39にポリエチレン管1が計4個並べて嵌合されるようになっている。そしてその上に蓋体40が被せて取付けられるようになっている。前記平溝39には径の異なるポリエチレン管1を取付けることも可能である。
【0042】
図11に示す結束具2dの受体38には、図10に示す前記ポリエチレン管1より大径のポリエチレン管1が3個装着され、ポリエチレン管1の間にスペーサ42を介在させてポリエチレン管1の横方向の動きを規制している。蓋体43はキャップ状をなして受体38に被せて取付けたとき、ポリエチレン管1を押え、該ポリエチレン管1の上下動を規制するようになっている。ポリエチレン管1が小径である場合、その径によって5個以上のポリエチレン管の取付けが可能となる。この場合もポリエチレン管の間の隙間にはスペーサが装填される。
【0043】
本実施形態の結束具2c及び2dは必要とされる浮力によって縦方向に複数段積み重ねられる。
本実施形態の受体38には上述するように、径の異なる複数のポリエチレン管の取付けが可能である。
【0044】
本実施形態の受体38に形成される前記平溝39は長方形状をなしているが、平溝端の下側部をポリエチレン管1とマイルドに接するように、円弧、好ましくはポリエチレン管1と同径の円弧とされる。
【0045】
図12に示す結束具2eは、上下に半割りにして形成される受体45及び蓋体46の各対向面にポリエチレン管1が嵌合可能な断面半円形をなす凹溝47(この溝47の深さは、ポリエチレン管1の半径より小であってもよい)を3か所、横向きに定間隔で連設して上下対称形をなし、下側の受体45の凹溝47にポリエチレン管1を嵌合させ、その上に円形断面のスペーサ48を介し、更にその上にポリエチレン管1に嵌合可能な凹溝47を備えた蓋体46を前記スペーサ48がポリエチレン管間に介在するようにして被せ、左右両側において横向きに突出して重なる断面円形の突部49を電気融着キャップ継手36により連結してなるものである。
【0046】
本実施形態の結束具においても、ポリエチレン管1の取付けは通常、蓋体46を外した状態で行われ、ポリエチレン管1が周状に曲がった管であっても支障なく取付けることができる。
【0047】
図13に示す結束具2fは、U形溝51の深さをポリエチレン管1の直径より大とした他は、ポリエチレン管を保持する基本構造が前記図6(A)に示す結束具21aと同じタイプのもので、深さがポリエチレン管1の直径より大である断面U形溝51を横方向に定間隔で3個形成した受体52を3段に重ね、計9個のポリエチレン管1を横方向に3列、縦方向に3列取付け、上下の各受体52は左右互い違いに断面半円形をなす突部53を横向きに突出し、受体52を上下に重ねた状態で上下の互いに接合する円形断面の突部53を電気融着キャップ継手36により連結し、これにより3段に重ねた受体52が電気融着継手36により左右で互い違いに連結されている。図中、54は最上段の受体52に被さって取付けられる蓋体である。
【0048】
本実施形態の結束具においても、ポリエチレン管1の取付けは通常、上側の受体52及び蓋体54を外した状態で行われ、ポリエチレン管1が周状に曲がった管であっても支障なく取付けることができる。
【0049】
図14に示す結束具2gは、図13に示す結束具2fの変形態様を示すもので、図13に示す結束具2fと異なる点は、図13に示す受体52のU形溝51の深さがポリエチレン管の直径より大で、かつ蓋体54がプレート状であるのに対し、図14に示す受体55のU形溝56の深さがポリエチレン管1の直径より小で、かつ受体55及び蓋体57の両端に脚部58を有し、受体55より突出するポリエチレン管1に被さるようにした点である。
【0050】
前述する図1に示す実施形態の浮体3は、円環状をなしているが、円環以外の枠状、例えば楕円形や矩形以外の多角形に変更することができる。
図15は、、浮体61が矩形をなす例を示すもので、ポリエチレン管よりなる長短の直管62、63がエルボ継手64により矩形に連結されている(図16)。そして各直管62、63は前記結束具2a〜2gを用い、前記と同様な方法により連結される。
【0051】
図17は、図15に示す矩形枠状の浮体61に管状体である直管状のポリエチレン管66を横方向に定間隔で図の前後方向に掛け渡した浮体65を示すもので、ポリエチレン管66を浮体61に連結するためには、例えばポリエチレン管66の両端に取付けた図18に示すようなサドル継手68により、すなわち浮体65を構成する直管63に宛がわれる円弧断面のサドル部69を前記直管63に連結手段である熱又は電気融着サドル継手により融着するとよい。熱又は電気融着サドル継手68に代えてサドル部69を接着剤で接着することも可能である。
【0052】
図1図15及び図17に示される浮体3、61、65の使用例としては、有底の生簀網の上縁部が取付けられ、水中に垂らして生け簀として用いられるが、牡蠣や帆立貝などの二枚貝の養殖のためにも用いられ、この場合には、養殖カゴ等の収容容器やロープ等の養殖資材の上端部が周方向に適当間隔で取付けられる。具体的には生簀網や養殖カゴの上縁部がポリエチレン管1、62,63に例えばワイヤーやロープで縛り付けることにより取付けられる。
図19は、定間隔で並ぶ一定長さの直管状のポリエチレン管73を並べて長さ方向に適当間隔で結束具72、好ましくは図5図6図10図11に示すような基本形態の分割型の結束具2c、2d、11a、21aにより結束してなる養殖筏71を示すもので、ポリエチレン管73の長さが足りない場合、ソケット継手(図示しない)により連結して必要な長さとされる。
【0053】
図19に示す養殖筏71よりなる浮体は、主として牡蠣やホタテ貝等二枚貝の養殖用のワイヤーやロープを吊るすのに用いられる。
前記各実施形態の浮体3、61、65、71は形状が円形又は矩形となっているが、必要な浮力を確保するうえでポリエチレン管1の個数と共に、浮体の全体形状やサイズが変えられる。
【符号の説明】
【0054】
1、62、63、66、73・・管状体(ポリエチレン管)
2、2a〜2g、72・・結束具
3、61、65、71・・浮体
5・・継手
6・・管嵌合穴
7、11a、11b、11c、21a、21b、32a、32b、32c・・連結片
8・・ほぞ
9・・蟻溝
12、15、28、31、47・・凹溝
13、18、23、25、38、45、52、55・・受体
14、16、24、27,40、43、46、54・・蓋体
17、19、37・・隙間
22、26、51、56・・U形溝
33・・凹部
34・・凸部
35、49、53・・突部
36・・電気融着キャップ継手
39・・平溝
42、48・・スペーサ
64・・エルボ継手
68・・サドル継手
69・・サドル部
図1
図2
図3
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