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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-169709(P2021-169709A)
(43)【公開日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】塵芥除去装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20211001BHJP
【FI】
   E02B5/08 101A
   E02B5/08 101C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-72295(P2020-72295)
(22)【出願日】2020年4月14日
(71)【出願人】
【識別番号】592045980
【氏名又は名称】萩浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100201684
【弁理士】
【氏名又は名称】橋爪 慎哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100202957
【弁理士】
【氏名又は名称】金森 毅
(72)【発明者】
【氏名】大貫 富雄
(72)【発明者】
【氏名】白石 徳光
(57)【要約】
【課題】取水口のスクリーンバーに堆積した大量の塵芥を取り除くことができる塵芥除去装置を提供する。
【解決手段】塵芥除去装置は、スクリーンバー12に沿って上下に移動する上下移動部10と、上下移動部10を上下移動させる上下移動部と、上下移動部10を下降時姿勢と上昇時姿勢に変更する姿勢変更部120とを有する。上下移動部10は、第1の先端部、第2の先端部及び積載部を備える。上下移動部10の下降時姿勢は、第1の先端部、積載部及び第2の先端部の表面とスクリーンバー12の表面とが成す角が鋭角あって、スクリーンバー12の上流側に堆積した大量の塵芥を上流側に押しのけて入水する姿勢である。上昇時姿勢は、第2の先端部とスクリーンバー12の表面との成す角が鋭角であることによって、スクリーンバー12の上流側に堆積した塵芥を積載部に積載する姿勢である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンバーの上流側に堆積した塵芥を除去する装置であって、
前記スクリーンバーに沿って前記スクリーンバーの上流側を上下方向に移動する上下移動部と、
前記上下移動部を下降又は上昇させる上下駆動部と、
前記上下移動部を下降させる時に前記上下移動部を下降時姿勢にし、前記上下移動部を上昇させる時に前記上下移動部を上昇時姿勢にさせる姿勢変更部と、
を有し、
前記上下移動部は、塵芥を積載する積載部を有するレーキと、前記レーキの一方側辺部に配置された第1の先端部と、前記レーキの他方側辺部に配置された第2の先端部と、を有し、
前記下降時姿勢の時に、前記第1の先端部が前記スクリーンバーの表面に対向し、前記第1の先端部の表面及び前記積載部の表面及び前記第2の先端部の表面と前記スクリーンバーの表面との間の角度がそれぞれ鋭角であり、
前記上昇時姿勢の時に、前記第2の先端部が前記スクリーンバーの表面に対向し、前記第2の先端部と前記スクリーンバーの表面の間の角度が鋭角であって、前記積載部は、前記第1の先端部側よりも前記第2の先端部側が低い、
塵芥除去装置。
【請求項2】
前記第1の先端部は前記下降時姿勢の時に前記スクリーンバーの隙間に入る部分を有し、
前記第2の先端部は前記上昇時姿勢の時に前記スクリーンバーの隙間に入る部分を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の塵芥除去装置。
【請求項3】
前記上下移動部は、さらに、
前記スクリーンバーの隙間に入るフランジを有する第1のローラを有し、
前記第1のローラの上流側にカバーを有する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の塵芥除去装置。
【請求項4】
前記上下移動部は、さらに、前記下降時姿勢の時に、
前記スクリーンバーの隙間に入るフランジを有する第2のローラを有し、
前記第2のローラの上流側に前記第1の先端部が配される、
ことを特徴とする、請求項3に記載の塵芥除去装置。
【請求項5】
前記上下駆動部は、回転駆動部を有し、
前記回転駆動部に一方の端部が接続され、前記上下移動部に他方の端部が接続された第1の線条体を有し、
前記回転駆動部で前記第1の線条体を巻き取る又は巻き戻すことで前記上下移動部を上下に移動する、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塵芥除去装置。
【請求項6】
前記姿勢変更部は、前記回転駆動部に一方の端部が接続され、前記上下移動部に他方の端部が接続された第2の線条体を有し、
前記第2の線条体の経路の長さを変更することで、前記下降時姿勢と前記上昇時姿勢とを切り替える、
ことを特徴とする、請求項5に記載の塵芥除去装置。
【請求項7】
前記第2の線条体は、前記上下移動部の一方の端部に接続されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載の塵芥除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥を取り除く塵芥除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所、灌漑設備等において、河川、海等から取水する取水口には、浮遊物等の侵入を防止するためにスクリーンが設けられている。このスクリーンに浮遊物等が堆積すると、取水が正常に行われなくなる。このため、スクリーンに堆積した浮遊物等の塵芥を取り除く必要がある。
【0003】
塵芥を取り除くために、特許文献1に開示された取水口の除塵装置は、スクリーンに挟まった小石や木の枝などを、掻き落とし手段を備えた防塵装置で除去している。特許文献1に開示された防塵装置は、スクリーンから離れた位置に掻き落とし部材を入水させ、水底で掻き落とし部材をスクリーンに挟み込み、スクリーンに堆積したゴミを掻き上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−131930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された発明では、スクリーンに大量の塵芥が堆積した場合には対応できない。例えば、大量の流木等がスクリーンに堆積した場合は、その流木等が水面を埋め尽くすため、掻き落とし手段を入水させることができなくなる。すなわち、特許文献1に開示された発明は、塵芥の量が、掻き落とし部材の入水位置とスクリーンとの間に収まる場合にしか対応できないものである。
そのため、大量の塵芥がスクリーンに堆積した場合でも塵芥を取り除くことができる塵芥除去装置が求められている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、取水口のスクリーンバーに堆積した大量の塵芥を取り除くことができる塵芥除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る塵芥除去装置は、スクリーンバーの上流側に堆積した塵芥を除去する装置であって、前記スクリーンバーに沿って前記スクリーンバーの上流側を上下方向に移動する上下移動部と、前記上下移動部を下降又は上昇させる上下駆動部と、前記上下移動部を下降させる時に前記上下移動部を下降時姿勢にし、前記上下移動部を上昇させる時に前記上下移動部を上昇時姿勢にさせる姿勢変更部と、を有し、前記上下移動部は、塵芥を積載する積載部を有するレーキと、前記レーキの一方側辺部に配置された第1の先端部と、前記レーキの他方側辺部に配置された第2の先端部と、を有し、前記下降時姿勢の時に、前記第1の先端部が前記スクリーンバーの表面に対向し、前記第1の先端部の表面及び前記積載部の表面及び前記第2の先端部の表面と前記スクリーンバーの表面との間の角度がそれぞれ鋭角であり、前記上昇時姿勢の時に、前記第2の先端部が前記スクリーンバーの表面に対向し、前記第2の先端部と前記スクリーンバーの表面の間の角度が鋭角であって、前記積載部は、前記第1の先端部側よりも前記第2の先端部側が低い。
【0008】
例えば、本発明に係る塵芥除去装置は、前記第1の先端部は前記下降時姿勢の時に前記スクリーンバーの隙間に入る部分を有し、前記第2の先端部は前記上昇時姿勢の時に前記スクリーンバーの隙間に入る部分を有する。
【0009】
例えば、本発明に係る塵芥除去装置は、前記上下移動部は、さらに、前記スクリーンバーの隙間に入るフランジを有する第1のローラを有し、前記第1のローラの上流側にカバーを有する。
【0010】
例えば、本発明に係る塵芥除去装置は、前記上下移動部は、さらに、前記下降時姿勢の時に、前記スクリーンバーの隙間に入るフランジを有する第2のローラを有し、前記第2のローラの上流側に前記第1の先端部が配される。
【0011】
例えば、本発明に係る塵芥除去装置は、前記上下駆動部は、回転駆動部を有し、前記回転駆動部に一方の端部が接続され、前記上下移動部に他方の端部が接続された第1の線条体を有し、前記回転駆動部で前記第1の線条体を巻き取る又は巻き戻すことで前記上下移動部を上下に移動する。
【0012】
例えば、本発明に係る塵芥除去装置は、前記姿勢変更部は、前記回転駆動部に一方の端部が接続され、前記上下移動部に他方の端部が接続された第2の線条体を有し、前記第2の線条体の経路の長さを変更することで、前記下降時姿勢と前記上昇時姿勢とを切り替える。
【0013】
例えば、本発明に係る塵芥除去装置は、前記第2の線条体は、前記上下移動部の一方の端部に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上下移動部がスクリーンバーの配置方向に沿って下降するときに、スクリーンバーの上流側に堆積した塵芥を上流側に押しのけて下降し、姿勢を変更して塵芥を上下移動部に積載して上昇するので、取水口のスクリーンバーに堆積した大量の塵芥を取り除くことができる塵芥除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の正面図
図2】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の側面図
図3】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の側面図
図4】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の側面図
図5】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の側面図
図6】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の側面図
図7】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の側面図
図8】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の上下移動部の下降時姿勢の時の部分拡大図
図9】本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置の上下移動部の上昇時姿勢の時の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態に係る塵芥除去装置について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る塵芥除去装置は、図1及び図2に示すように、取水口に設けられたスクリーンバー12に沿って上下に移動可能な上下移動部10と、上下移動部10を上下に移動させる上下駆動部100と、上下移動部10を下降させる時に上下移動部10を下降時姿勢にし、上下移動部10を上昇させる時に上下移動部10を上昇時姿勢にする姿勢変更部120と、上下移動部10に積載した塵芥を排出する排出部70と、を備える。塵芥除去装置は、取水口の上部に配置されたメインフレーム1に配されている。
【0018】
上下移動部10が移動するスクリーンバー12は、取水口に設けられるもので、複数の板材で構成されている。それぞれの板材は上下方向に延在して配置されており、それぞれの板材の間に隙間を有して配置されている。それぞれの板材は、上部よりも下部が上流側であるように斜めに配置されている。板材は、側面視で1列に重なるように配置されている。スクリーンバー12によって、スクリーンバー12同士の隙間よりも大きい塵芥は、スクリーンバー12よりも上流側に堆積して、スクリーンバー12よりも下流側に流れない。
【0019】
上下移動部10は、図1に示すように、下降時に塵芥を押しのけて入水し、上昇時に塵芥を持ち上げるレーキ11と、レーキ11の左右端から所定の間隔を置いて配された2つのローラ部80と、上下移動部10の姿勢を変更するためのレバー30と、を有する。上下移動部10は、塵芥を押しのけて下降する下降時姿勢と、押しのけた塵芥を持ち上げる上昇時姿勢とに変更可能である。
【0020】
図1に示す上下移動部10は、レーキ11と、2つのローラ部80と、を有する。レーキ11は、長手方向の両端辺にブラケット81を、ブラケット81の間の、一方側辺部にブラケット82を、他方側辺部にブラケット83を、中間部に丸鋼84を備える。
ブラケット82には、第1の先端部21が取り付けられており、ブラケット83には、第2の先端部22が取り付けられている。
第1の先端部21は、レーキ11の一方側辺部のほぼ全体に亘って配置されており、下降時姿勢の時に、根元がスクリーンバー12の表面に対向し、先端がスクリーンバー12の隙間に入る櫛歯を有している。
第2の先端部22は、レーキ11の他方側辺部の、ローラ部80を除いた、ほぼ全体に亘って配置されており、上昇時姿勢の時に、根元がスクリーンバー12の表面に対向し、先端がスクリーンバー12の隙間に入る櫛歯を有している。
図8に、上下移動部10の下降時姿勢の時の側面図を示す。この図に示すように、第1の先端部21は、下降時に、スクリーンバー12の表面との成す角度A1が鋭角になるように、ブラケット82に固定されている。第1の先端部21は、根元がスクリーンバー12の表面に対向し、先端がスクリーンバー12の隙間に入る櫛歯を有している。このため、第1の先端部21は、下降時、スクリーンバー12の表面に付着した塵芥を掻き落とすと共にスクリーンバー12の間の隙間に入っている塵芥を掻き出す。
図9に、上下移動部10の上昇時姿勢の時の側面図を示す。この図に示すように、第2の先端部22は、上昇時に、スクリーンバー12の表面との成す角度A3が鋭角になるようにブラケット83に固定されている。第2の先端部22は、根元がスクリーンバー12の表面に対向し、先端がスクリーンバー12の隙間に入る櫛歯を有している。このため、第2の先端部22は、上昇時、スクリーンバー12の表面に付着した塵芥を掻き上げると共にスクリーンバー12の間の隙間に入っている塵芥を掻き出す。
【0021】
レーキ11の上面を構成する積載部24は、ローラ部80と第1の線条体40の上下移動部10への取り付け部を除いて、ブラケット82とブラケット83の間に互いに隙間を空けて渡された複数の棒材から構成される。積載部24は、上昇時に、スクリーンバー12の上流側にある塵芥を積載する。図8に示すように、下降時、積載部24の表面及び第2の先端部22の表面と、スクリーンバー12の表面の間の角度A2は鋭角である。さらに、その下端に位置する第1の先端部21は、角度A1でスクリーンバー12の表面に対向すると共にスクリーンバー12の間に突出する。このため、レーキ11は、下降時、スクリーンバー12の隙間に入り込んだ塵芥を掻き出しつつ、スクリーンバー12の表面にある塵芥を押しのけて、上下移動部10を下降することができる。
【0022】
各ローラ部80は、上下移動部10を上下に移動させる際に、上下移動部10をスクリーンバー12に沿わせるために配されるものであり、図8及び図9に示すように、第1のローラ25と、第2のローラ27と、カバー29と、第3の先端部23と、を備える。
【0023】
第1のローラ25は、図8に示すように、フランジ26を備え、上下移動部10が下降或いは上昇する際に、スクリーンバー12の上を転動する。第1のローラ25は積載部24の上に突出した状態で配置されている。第1のローラ25の外周面は、スクリーンバー12の上流側表面に当接する。一方、フランジ26は、第1のローラ25と同軸に形成され且つ第1のローラ25に固定され、第1のローラ25と一体に回転し、スクリーンバー12の間の隙間に入る。
第2のローラ27は、フランジ28を備え、上下移動部10が下降する際に、スクリーンバー12の上を転動する。第1のローラ25と第2のローラ27とは、適当な間隔を置いて、レーキ11の両端のブラケット81の間に配された軸に回転自在に固定されている。第2のローラ27は第1のローラ25に比較して小径に形成され、ブラケット82に隠れた状態で配置されている。これにより、下降時に積載部24とスクリーンバー12との間の角度A2を鋭角にしている。また、第2のローラ27は、塵芥から、ブラケット82により保護されている。
第2のローラ27の外周面は、下降時に、スクリーンバー12の上流側表面に当接する。一方、フランジ28は、第2のローラ27と同軸に形成され且つ第2のローラ27に固定され、第2のローラ27と一体に回転し、スクリーンバー12の間の隙間に入る。
カバー29は、積載部24に固定され、第1のローラ25の上流側を覆う。カバー29の末端部には、第3の先端部23が固定されている。
第3の先端部23は、カバー29の末端部に固定されており、図9に示すように、上昇時に、根元がスクリーンバー12の表面に対向し、先端がスクリーンバー12の隙間に入る櫛歯を有している。
【0024】
レバー30は、図1に示すように、レーキ11の右側端部に配置されている。レバー30は、ブラケット81に固定され、図8及び図9に示すように、積載部24の載置面に直角方向に突出している。レバー30の先端部には、第2の線条体41との連結部が形成されている。
【0025】
上下移動部10が有するレバー30は、図8に示す下降時姿勢の時は、上流側に突出した状態にある。第2の線条体41を引っ張り上げて、上下移動部10を第1のローラ25の回転中心を回転軸として回転させ、鉛直方向上向きの上昇時姿勢にした状態が図9である。なお、上下移動部10の両端のブラケット81の間に丸鋼84が固定されていることによって、レバー30がレーキ11の一方の端にのみに形成されているために生じる恐れのある上下移動部10の捻れを防止している。
【0026】
図1に示す上下駆動部100は、スクリーンバー12に沿って上下移動部10を上下に移動させる装置である。
上下駆動部100は、2本の第1の線条体40と、第2の線条体41と、第1の線条体40及び第2の線条体を巻き取り又は巻き戻す回転駆動部50と、プーリ54、61、63、64及び66と、を有する。回転駆動部50は、モータ53と、第1の巻取部51と、第2の巻取部52と、を有する。
第1の線条体40は、図8及び図9に示すように、それぞれ、一方の端が上下移動部10の、第1のローラ25の回転中心軸の位置に接続されている。それぞれの第1の線条体40の他方の端は、図2に示すように、メインフレーム1の上部に、水平軸を中心として回転自在に配されたプーリ54を経由して、第1の巻取部51に接続されている。
【0027】
第2の線条体41は、図8及び図9に示すように、一方の端がレバー30の連結部に接続されている。
【0028】
第2の線条体41の他方の端は、図1に示すように、プーリ66、プーリ64、プーリ63、プーリ62及びプーリ61を、この順序で経由して、第2の巻取部52に接続されている。第2の巻取部52の第2の線条体41を巻き取る部分の外周径は、第1の巻取部51の第1の線条体40を巻き取る部分の外周径と等しい。プーリ66は、メインフレーム1の上部であって、図1の正面視でレバー30の上方に、水平軸を中心として回転自在に固定されている。プーリ64は、メインフレーム1の上部であって図2の側面視でプーリ66の右方に、垂直軸を中心として回転自在に固定されている。プーリ63は、メインフレーム1の上部であって、図1の正面視でプーリ64の左方に、図1の前後方向軸を中心として回転自在に固定されている。プーリ61は、メインフレーム1の上部であって、プーリ63の左方に、プーリ63と所定の間隔を有して、図1の前後方向軸を中心として回転自在に固定されている。プーリ62は、プーリ63と61の間の下方に、一方の端がメインフレーム1に接続された、伸縮するアクチュエータ67の他方の端に、図1の前後方向軸を中心として回転自在に、さらに上下移動可能に配されている。
【0029】
回転駆動部50を構成する第1の巻取部51及び第2の巻取部52は、モータ53が駆動する同一の軸に固定されている。モータ53は、メインフレーム1に固定されている。
【0030】
次に、上下駆動部100による上下移動部10の上下移動について説明する。
モータ53を駆動して、第1の巻取部51及び第2の巻取部52を、巻き取り方向または巻き戻し方向に回転することによって、第1の線条体40及び第2の線条体41が、第1の巻取部51及び第2の巻取部52から繰り出されている量を調節することができる。
第1の巻取部51と第2の巻取部52の回転数と外周径が等しいので、第1の巻取部51及び第2の巻取部52が巻き取る、又は巻き戻す量は一致する。
【0031】
第1の巻取部51及び第2の巻取部52を巻き取り方向に回転すると、第1の線条体40及び第2の線条体41が、第1の巻取部51及び第2の巻取部52から繰り出されている量は短くなる。その結果、第1の線条体40及び第2の線条体41に接続された上下移動部10は、姿勢を変更すること無く、上方に引き上げられる。また、第1の巻取部51及び第2の巻取部52を巻き戻し方向に回転すると、第1の線条体40及び第2の線条体41が、第1の巻取部51及び第2の巻取部52から繰り出されている量が長くなり、上下移動部10は、姿勢を変更すること無く、下方に、自重により移動する。
【0032】
図1に示す姿勢変更部120は、上下移動部10の姿勢を、図8に示す下降時姿勢と図9に示す上昇時姿勢との間で切り替える装置である。下降時姿勢は、塵芥を押しのけて入水を容易にする姿勢であり、上昇時姿勢は、レーキ11で塵芥をすくい上げることを容易にする姿勢である。姿勢変更部120は、プーリ62と伸縮することによりプーリ62の位置を調整するアクチュエータ67とを備える。
アクチュエータ67を伸縮することによって、プーリ62を上下に移動させると、第2の線条体41の、第2の巻取部52からレバー30までの間の経路の長さが変更される。プーリ62を上下に移動することによって、経路の長さが変更されることに伴い、第2の線条体41の、レバー30との接続部の位置のみが上下することになり、上下移動部10の姿勢が変更されることになる。
【0033】
すなわち、プーリ62を下降すると、第2の線条体41の経路が長くなり、レバー30は引き上げられるが、第1のローラ25は上下移動部10の自重によりスクリーンバー12の上流側表面に当接した状態を維持するので、上下移動部10は第1のローラ25の回転中心を回転軸として回転することになる。また、プーリ62を上昇すると、第2の線条体41の経路が短くなり、レバー30は上下移動部10の自重により、第1のローラ25の回転中心を回転軸として下降する。なお、第2のローラ27がスクリーンバー12の上流側表面に当接する位置が、下降の下限位置である。また、前述のように、第1の巻取部51及び第2の巻取部52の巻き取る量及び巻き戻す量が一致しているので、上下移動部10の上下移動中、すなわち第1の巻取部51及び第2の巻取部52の回転中であっても、プーリ62を上下に移動することで、上下移動部10の姿勢を変更することが可能である。
【0034】
プーリ62を上昇してレバー30を下げ、図8に示す、第1のローラ25及び第2のローラ27がスクリーンバー12の上流側表面に当接した状態が下降時姿勢である。このとき、上下移動部10のレーキ11の、第1の先端部21の表面とスクリーンバー12の上流側表面がなす角度は、上下移動部10が下降しているときに鋭角となる。第1の先端部21の先端は、スクリーンバー12の隙間に入っている。また、積載部24の表面及び第2の先端部22の表面とスクリーンバー12の上流側表面がなす角度は、上下移動部10が下降しているときに鋭角となる。
【0035】
プーリ62を下降してレバー30を上げ、図9に示す、積載部24の表面が第1の先端部側よりも第2の先端部側が低い状態となった状態が上昇時姿勢である。このとき、上下移動部10の第2の先端部22の表面と、スクリーンバー12の上流側表面がなす角度は、上下移動部10が上昇しているときに鋭角となる。第2の先端部22の先端は、スクリーンバー12の隙間に入っている。
【0036】
図2に示す排出部70は、レーキ11に積載された塵芥を排出する装置であり、排出アクチュエータ71と、排出アーム74と、塵芥受け部73と、を有する。
排出レバー72は、図2に示すように、排出アーム74に連結されている。排出アーム74は、上部側の端部がメインフレーム1に回転自在に固定されて、屈曲部が排出アクチュエータ71の一方の端部に連結されている。排出アクチュエータ71の他方の端部はメインフレーム1に連結されており、排出アクチュエータ71は伸縮する。排出レバー72は、上下移動部10が上昇したときに、2つのローラ部80を下方から支える位置に配されている。排出アクチュエータ71を伸ばした状態が図2乃至図6に示す状態であり、排出レバー72の上流側面は、スクリーンバー12の上流側表面の延長面上にある。排出アクチュエータ71を縮めた状態が図7に示す状態であり、排出レバー72の上流側面は、垂直である。排出レバー72の下方に、塵芥を受ける塵芥受け部73が形成されている。
【0037】
次に、排出部70が、上下移動部10の積載部24に積載された塵芥を排出する動作を説明する。
上下移動部10を上昇時姿勢に維持したまま、すなわちプーリ62を下げた状態で、第1の巻取部51及び第2の巻取部52を巻き取り方向に回転して、上下移動部10を上昇して図6に示す状態になるようにした後に、排出アーム74とメインフレーム1に連結した排出アクチュエータ71を縮める。さらに、プーリ62を上昇して、上下移動部10を下降時姿勢にすると、排出レバー72に支えられていた上下移動部10は、自重により下降し、さらに上下移動部10は下降時姿勢になって、積載部24の表面も垂直となり、積載部24に積載した塵芥が自重により落下する。
【0038】
次に、上記構成を有する塵芥除去装置が、スクリーンバー12に堆積した塵芥を除去する動作について説明する。
塵芥除去装置の動作は、図示せぬコンソールからのモータ53の回転駆動、アクチュエータ67の伸縮、排出アクチュエータ71の伸縮の指示に応答して実行される。
図2に示す状態は、上下移動部10を待機位置から下降して、水面に入れる前の状態である。なお、図示しない塵芥除去装置の待機状態は、図6に示す位置に上下移動部10があり、上下移動部10が下降時姿勢に維持されている状態である。上下移動部10は水面よりも高い位置にあり、下降時姿勢を維持している。このとき、スクリーンバー12の上流側には、塵芥が堆積している。当該塵芥は水流の影響により、スクリーンバー12の表面に密着すると共に、スクリーンバー12付近の水面を埋めているとする。
【0039】
第1の工程として、塵芥を除去するために、図3に示すように、モータ53を駆動し、第1の巻取部51及び第2の巻取部52を巻き戻し方向に回転させ、上下移動部10を自重により下降させる。このとき、プーリ62を上下移動させないので、上下移動部10は下降時姿勢を維持している。そうすると、図8に示すように、第1の先端部21の櫛歯が、スクリーンバー12の隙間につまった塵芥を掻き出す。さらに、第1の先端部21の表面、第2の先端部22の表面及び積載部24の表面は、スクリーンバー12の上流側表面に対して鋭角であるので、スクリーンバー12の上流側表面に堆積した塵芥を、くさび効果によって上流側に移動させる。つまり、上下移動部10は塵芥を押しのけて自重により下降する。これによって、塵芥がスクリーンバー12付近の水面を埋めていても、上下移動部10を水面よりも下へ下降できる。
なお、ローラ部80の下方にも第1の先端部21が存在するので、第1の先端部21で上流側に押しのけられた塵芥は、カバー29によってさらに上流側に押しのけられる。その結果、その塵芥がスクリーンバー12と第1のローラ25との間に入り込むことを防止する。すなわち、第1のローラ25が塵芥によってスクリーンバー12から浮き上がり、フランジ26がスクリーンバー12の隙間から外れることを防止する。
【0040】
第2の工程として、上下移動部10を、図3に示すように、上下移動の下限である取水口の底へ到達させたら、モータ53を停止して、上下移動部10の上下移動を停止する。次に、プーリ62を下降して、第2の線条体41の経路を長くすることで、レバー30を所定量引き上げて、図4及び図9に示すように、上下移動部10を上昇時姿勢にする。このとき、取水口を流れる水流は停止していないため、第1の工程でスクリーンバー12の上流側表面から押しのけた塵芥が、再度スクリーンバー12の上流側表面に移動している。
【0041】
第3の工程として、図5に示すように、プーリ62を移動させず、上下移動部10を上昇時姿勢にしたまま、モータ53を駆動し、第1の巻取部51及び第2の巻取部52を巻き取り方向に回転させる。そうすると、図9に示すように、第2の先端部22の櫛歯が、スクリーンバー12の隙間につまった塵芥を掻き出す。さらに、第2の先端部22の表面は、スクリーンバー12の上流側表面に対して鋭角であるので、スクリーンバー12の上流側表面に堆積した塵芥を、再度くさび効果によって上流側に移動させる。移動した塵芥は、積載部24、即ち、レーキ11にすくい上げられて、載置面に載ることになる。積載部24の表面が第1の先端部21の側の方が高く、積載部24の載置面に載った塵芥は、こぼれにくい状態になっている。
【0042】
さらに、ローラ部80の上方に配された第3の先端部23は、スクリーンバー12の上流側表面に堆積した塵芥を押しのけ、カバー29の上に載せるか、上流側に押し流すことによって、塵芥がスクリーンバー12の上流側表面と第1のローラ25の間に入ることを防止して、第1のローラ25が塵芥によってスクリーンバー12から浮き上がり、フランジ26がスクリーンバー12の隙間から外れることを防止する。
【0043】
ここでもし、第2の線条体41が、上下移動部10の長手方向に中心部にあったとすると、塵芥の長さがレーキ11の長手方向の長さに近いものであった場合、第2の線条体41によって、その塵芥を積載部24に積載することができなくなる。しかし、第2の線条体41は、上下移動部10の端部に連結されているので、その塵芥を積載部24に積載することができる。従って長い塵芥であっても除去することが可能となる。
【0044】
第4の工程として、上下移動部10をさらに上昇させて、図6に示す状態にする。このとき、上下移動部10は、排出レバー72に下から支えられている状態となる。
【0045】
第5の工程として、排出アクチュエータ71を縮めて、図7に示すように、排出アーム74を移動して、排出レバー72の上流側表面が垂直となる位置にする。排出レバー72に載っていた上下移動部10も下方に移動する。さらに、プーリ62を上昇して、上下移動部10を下降時姿勢にすると、積載部24が垂直となる。その結果、垂直移動部に載っていた塵芥が自重により落下する。落下した塵芥は、その下部に配された塵芥受け部73に入る。塵芥受け部73に入った塵芥は、図示しないコンベヤ等によって、外部に排出される。
【0046】
以上によって、スクリーンバー12の上流側表面に堆積した塵芥を除去する工程は完了するが、その堆積した塵芥が大量であれば、第3の工程で取り除くことができなかった、水面及び水中の塵芥が、水流によってスクリーンバー12の上流側表面に堆積することになる。従って、これらの塵芥が無くなるまで、第1の工程から第5の工程を繰り返すことで、スクリーンバー12の上流側に堆積する大量の塵芥を取り除くことが可能となる。
【0047】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 メインフレーム
10 上下移動部
11 レーキ
12 スクリーンバー
21 第1の先端部
22 第2の先端部
23 第3の先端部
24 積載部
25 第1のローラ
26、28 フランジ
27 第2のローラ
29 カバー
30 レバー
40 第1の線条体
41 第2の線条体
51 第1の巻取部
52 第2の巻取部
61、62、63、64、66 プーリ
70 排出部
71 排出アクチュエータ
72 排出レバー
73 塵芥受け部
74 排出アーム
80 ローラ部
81、82、83 ブラケット
100 上下駆動部
120 姿勢変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9