特開2021-169756(P2021-169756A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-169756(P2021-169756A)
(43)【公開日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】遠隔操作式排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20211001BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20211001BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20211001BHJP
【FI】
   E03C1/22 C
   E03C1/23 Z
   A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2021-39309(P2021-39309)
(22)【出願日】2021年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2020-73603(P2020-73603)
(32)【優先日】2020年4月16日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 聡
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DB01
2D061DB07
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】
遠隔操作式排水栓装置において、槽体の側壁面の下端に排水口を形成し、槽体下方の空間を有効活用するとともに、レリースワイヤの破損や操作性の低下を防止する。
【解決手段】
遠隔操作式排水栓装置は、槽体である浴槽Bの側壁面の下端に備えられた開口である排水口1と、前記排水口1上を進退することで前記排水口1を開閉する弁体2と、レリースワイヤ7を介して前記排水口1の開閉を操作する操作部3と、前記排水口1に接続される継手部材6から構成されている。また、前記継手部材6は側面から前記レリースワイヤ7が案内される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を遠隔操作により開閉する遠隔操作式排水栓装置において、
槽体の側壁面の下端に備えられた開口である排水口と、
前記排水口上を進退することで前記排水口を開閉する弁体と、
レリースワイヤを介して前記排水口の開閉を操作する操作部と、
前記排水口に接続される継手部材と、
からなり、
前記継手部材は側面から前記レリースワイヤが案内されることを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
前記継手部材は、
側面に前記レリースワイヤを挿通するための挿通部を備えることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
前記継手部材は、
垂直方向よりも水平方向が長い形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
排水口を遠隔操作により開閉する遠隔操作式排水栓装置において、
槽体の側壁面の下端に備えられた開口である排水口と、
前記排水口上を進退することで前記排水口を開閉する弁体と、
レリースワイヤを介して前記排水口の開閉を操作する操作部と、
からなり、
排水口は垂直方向よりも水平方向が長い形状であって、
レリースワイヤは水平方向から排水口に案内されることを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
前記操作部は電気信号に基づいて駆動するモータを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作により開閉する遠隔操作式の排水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽や洗面ボウルなどの槽体の内部に生じた排水を処理するため、槽体の底面等に排水口を設け、この排水口から配管部材を介し、下水側に排水を排出する方法が広く知られている。また、排水口を覆うように弁体を配置することで槽体内に水を溜めると共に、弁体を上昇させて排水口から離間させることで排水口を開口する方法があるが、この弁体の昇降による排水口の開閉を、弁体や排水口から離間した位置、例えば槽体の縁部や槽体側面の上方に設けた操作部への操作によって行う遠隔操作式排水栓装置が知られている。
広く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、特許文献1に記載のような、槽体の底面に備えられた排水口と、排水口上を上下動することによって排水口を開閉する弁体と、槽体の近傍に備えられた操作部と、操作部に加えられた操作を排水口に備えられた弁体に伝達するレリースワイヤと、から構成されるものがある。
【0003】
また、槽体の側面に、排水のための開口を設ける構造の遠隔操作式排水栓装置が知られている。
例えば特許文献2に記載の発明では、槽体の側壁面の下端に排水口を設けることで、槽体下方の空間を広く確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018− 91072号
【特許文献2】特開2013−224543号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遠隔操作式排水栓装置はレリースワイヤによって操作部の操作を弁体へと伝達する構造であるが、レリースワイヤは施工の際に過度に曲げ半径が小さくなると、座屈変形による破損や、動作を伝達する際の摩擦増大による操作性の低下などの問題が生じる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、槽体の側壁面の下端に排水口を形成し、槽体下方の空間を有効活用できるとともに、レリースワイヤの破損や操作性の低下を防止する遠隔操作式排水栓装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、排水口を遠隔操作により開閉する遠隔操作式排水栓装置において、
槽体の側壁面の下端に備えられた開口である排水口と、
前記排水口上を進退することで前記排水口を開閉する弁体と、
レリースワイヤを介して前記排水口の開閉を操作する操作部と、
前記排水口に接続される継手部材と、
からなり、
前記継手部材は側面から前記レリースワイヤが案内されることを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記継手部材は、
側面に前記レリースワイヤを挿通するための挿通部を備えることを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記継手部材は、
垂直方向よりも水平方向が長い形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、排水口を遠隔操作により開閉する遠隔操作式排水栓装置において、
槽体の側壁面の下端に備えられた開口である排水口と、
前記排水口上を進退することで前記排水口を開閉する弁体と、
レリースワイヤを介して前記排水口の開閉を操作する操作部と、
からなり、
排水口は垂直方向よりも水平方向が長い形状であって、
レリースワイヤは水平方向から排水口に案内されることを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、前記操作部は電気信号に基づいて駆動するモータを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レリースワイヤを座屈させることなく、且つ操作性を低下させることなく施工を行うことができる。特に、請求項3に記載のように継手部材が垂直方向よりも水平方向が長い形状である場合、水平方向に形成された広い空間を利用して施工を行うことが可能となることから顕著に効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
図2図1の排水口近傍を示す断面である。
図3図2の排水口の、開口状態を示す断面図である。
図4】第一実施例の部材構成を示す参考図である。
図5】第一実施例における排水口の、弁軸の軸方向視を示す参考図である。
図6図5の排水口に弁体を配置した状態を示す参考図である。
図7】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
【0014】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の各実施例への説明においては、レリースワイヤ7のインナーワイヤ7bが弁体2側に移動することを「前進」、操作部3側に移動することを「後退」として記載する。
また、本実施例の説明における「上」「下」は、図1の図示に基づいて記載する。
図1乃至図6に示した、本発明の第一実施例の排水栓装置は、槽体の一種である浴槽Bの排水配管に採用される遠隔操作式の排水栓装置であって、以下に記載する、排水口本体4、支持部材5、継手部材6、操作部3、弁体2、操作伝達部材としてのレリースワイヤ7、ロック機構8、チューブ管9、等の部材より構成される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、一つの側壁面の下端部分に、排水口本体4を取り付けるための、略長方形形状となる取付口B2を、また上縁周縁に操作部3を取り付けるための操作部取付口B3を備えてなる。尚、取付口B2は開口に対して正面から見た状態において、垂直方向よりも水平方向が長い非円形形状を成している。
また、取付口B2の周囲に、後述する弁体2の止水部2aが当接する当接部1aを備えてなる。本実施例では、排水口1の開口に対して、上流に向かって排水口1よりも拡径するような傾斜面を設けて当接面としている。
排水口本体4は、略長方形形状を成す筒体であって、上流側端部の外周側には、側面方向に突出するフランジ部4aを設けてなり、このフランジ部4aの上面に浴槽Bの取付口B2周縁側面を当接させた状態で、ビスなどを利用して、浴槽Bの取付口B2に排水口本体4を取り付けることができる。
尚、本発明における「排水口1」は「槽体に備えられた(排水の為の)開口」であり、排水口本体4の内部だけが「排水口1」ではない。本実施例の場合、浴槽Bの当接部1aよりも下流側の、中心軸が直線状となる部分が「排水口1」である。尚、本実施形態における排水口1は、上記取付口B2と略同一形状であって、垂直方向よりも水平方向が長い非円形形状である略長方形形状を成している。
レリースワイヤ7は、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブ7aと、該アウターチューブ7a内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤ7bと、インナーワイヤ7bの一方の端部に備えられた棒状の硬質の部材である弁軸7cと、レリースワイヤ7内に備えられ、インナーワイヤ7bをアウターチューブ7aに対して弁軸7cとは反対側に付勢する戻りスプリング7dと、から構成されてなる。
支持部材5は、レリースワイヤ7の弁軸7c側端部を排水口1内に配置固定する部材であって、レリースワイヤ7端部を固定する保持部5a、排水口1内側面に当接する枠部5c、保持部5aと枠部5cを連結するアーム部5dを備えてなる。
継手部材6は、略筒体形状であって、上流側の端部は排水口本体4の下流側端部に合致するように、垂直方向よりも水平方向が長い非円形形状である略長方形形状を、下流側端部は円形の排水配管が接続可能な円筒形状を備えた排出口6aを備えてなり、更に上記非円形形状部分の側面にはレリースワイヤ7を挿通するための筒状の挿通部6bを備えてなる。即ち、継手部材6の内、非円形形状となっている部分は垂直方向よりも水平方向に幅広となっており、側面から案内されたレリースワイヤ7が弁体2へ向けて屈曲するための空間を水平方向に広く確保している。
操作部3は浴槽Bの操作部取付口B3に取り付けられる部材であって、筒状の操作部本体3aと、操作部本体3a内に配置されて使用者が押し操作を行うボタン部材3bを備えてなる。
また、施工完了時、操作部3内部には、後述するロック機構8が配置される。
ロック機構8は、円筒形状のロック機構本体8aと、該ロック機構本体8a内を貫通するようにして進退自在に挿通配置されるロック軸8bと、から構成され、施工完了時ロック軸8bの端部はボタン部材3bに、下端はレリースワイヤ7に、それぞれ接続される。
施工が完了した状態において、ボタン部材3bに押し操作を行うと、ロック機構8は、押し操作毎に、インナーワイヤ7bがアウターチューブ7aから弁体2側に前進した状態で固定/固定を解除して戻りスプリング7dによりインナーワイヤ7bが操作部3側に後退した状態に移動、を交互に繰り返すように構成されてなる。
弁体2は、排水口1の開口を覆う、板状にして略長方形形状を成す部材であって、その下流側の面の中央部分に、レリースワイヤ7の弁軸7c先端との嵌合部分を備え、また弁体2の下流側の面であって外周周縁に沿うようにして、浴槽Bの当接部1aと当接することで排水口1を水密に閉口する、ゴムなどの弾性素材からなる止水部2aを備えてなる。
また、弁体2の下流側の面であって、排水口1に当接する位置に、リブ片からなるガイド部2bを備えてなる。尚、ガイド部2bは、長方形形状の角部4か所に設けられてなる。
ここで、浴槽Bの取付口B2と排水口本体4、弁体2について詳細に説明する。
取付口B2の開口及び排水口本体4が取り付けられる方向は、図1乃至図3に示したように下流側ほど低くなる若干の下り傾斜を備えてなる。
当接部1aは、図4にあるように、取付口B2の開口の内側面となる部分に、排水口1の開口に対して若干の傾斜を有するように形成され、且つ当接部1aの下端側も僅かながら下流側に向かって下方に向かう傾斜を備えてなる。
このように形成することで、浴槽Bの底面から排水口本体4内部までの流路は上流から下流側に向かう方向に対して、水平乃至下り傾斜となり、浴槽B内に湯水など排水が残ることは無い。
また、弁体2の止水部2aは弁体2の板状形状に対して側面方向を向いて設けられており、弁体2が下流側に移動した際には、排水口1に対して側面方向にある当接部1aに当接することで排水口1を閉口する。
尚、ガイド部2bと排水口1とは、図5及び図6に示したように、弁体2の進退方向視、弁体2の止水部2aが浴槽Bの当接部1aに合致する位置に配置されている時、排水口1の内側面に、ガイド部2bが当接するように構成されている。
即ち、この実施例では、排水口1内側面にガイド部2bが当接することで、弁体2が進退の方向に対して傾いたり、弁軸7cを中心として回転したりすることを防止している。
各図面について説明すると、図5は排水口1近傍の弁体2が無い状態を示すものであり、図6図5の排水口に弁体2を配置した状態を示す図面である。図6においては、排水口1内側面及びガイド部2bの内、弁体2によって隠れる部分を破線で示し、ガイド部2bと排水口1内側面の位置関係が分かるようにしている。
図面から明らかなように、この実施例では、ガイド部2bは排水口1内側面に当接している。そして、ガイド部2bと排水口1内側面の当接により、弁体2が進退方向に対して傾いたり、弁軸7cを中心に回転したりすることを防止している。
チューブ管9は、操作部3から挿通部6bまでを接続する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた軟質塩ビ材であって、操作部3に挿通されたレリースワイヤ7を、挿通部6bから継手部材6内部に案内するように構成されてなる。
【0015】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管は、以下のようにして浴槽Bに施工される。尚、以下の施工においては、浴槽Bは既に浴室上に設置され、設置後も浴槽Bの下側に対して接続等の作業は支障なく行うことができるものとする。実際の作業では、必要に応じて接続の手順を変更したり、一部の接続作業後に浴槽Bを浴室に設置する等、適宜変更を行うものとする。また、各接続箇所は、特に記載しなくても、必要に応じ、接着剤やパッキンなどを利用し、水密的に接続されるものである。
まず、浴槽Bの操作部取付口B3に操作部本体3aを取り付ける。
次に、排水口本体4を浴槽Bの取付口B2に取り付ける。この際には、排水口本体4のフランジ部4aの上流側の面に、浴槽Bの取付口B2周縁の外側側面を当接させた状態で、ビスを利用してネジ締めすることで、浴槽Bの取付口B2に排水口本体4を取り付ける。
次に、チューブ管9の一端を操作部本体3aに、他端を継手部材6の挿通部6bに、それぞれ接続する。
次に、継手部材6の排出口6aを下水側に繋がる床下配管(図示せず)に接続した上で、排水口本体4の下流側端部を、継手部材6の上流側端部に水密に接続する。
次に、レリースワイヤ7の操作部3側端部にロック機構8を接続した上で、操作部本体3aの上方から、レリースワイヤ7の弁軸7c側端部を挿通する。レリースワイヤ7端部が継手部材6内に達した状態で、ロック機構8を操作部本体3a内に弾性嵌合させて固定する。この時、継手部材6は側面からレリースワイヤ7が案内されることから、レリースワイヤ7は継手部材6内において曲げ半径を大きくすることができる。
次に、レリースワイヤ7の弁軸7c側端部を排水口1から引き上げた上で、支持部材5にレリースワイヤ7端部を接続し、更に排水口1内に支持部材5を配置固定する。
次にロック軸8bの端部にボタン部材3bを嵌合させ、ボタン部材3bに操作を行ってインナーワイヤ7bを弁体2側に前進させたとする。この時、弁軸7cは排水口1から突出した状態となる。
次に、弁体2のガイド部2bを、排水口1内に当接させつつ、排水口1内に配置された弁軸7cの先端に弁体2を嵌合させて取り付けることで、第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。前述の通り弁軸7cは排水口1から突出しているため、弁体2を排水口1側に後退させることで、支障なく弁体2を弁軸7cに嵌合させることができる。
【0016】
以下に、上記実施例の遠隔操作式排水栓装置の使用方法を説明する。
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、図2のように、まず弁体2が後退して排水口1を閉口した状態とする。
この状態からボタン部材3bに押し込み操作を行うと、ロック機構8のロック軸8bが降下し、レリースワイヤ7のインナーワイヤ7bを弁体2側に前進させた状態で固定される。このため、インナーワイヤ7bの排水口1側端部にある弁軸7cが前進して弁体2の止水部2aを取付口B2周縁の当接部1aから離間させて、図3のように排水口1を開口する。
この状態から再びボタン部材3bに押し込み操作を行うと、ロック機構8の固定が解除され、戻りスプリング7dの作用によって、インナーワイヤ7bが操作部3側に後退する。
このため、インナーワイヤ7bの排水口1側端部にある弁軸7cが弁体2と共に後退し、弁体2の止水部2aが排水口1周縁にある浴槽Bの当接部1aに当接して図2に示した排水口1を閉口した状態に戻る。
以降、排水口1から離間した位置にあるボタン部材3bに押し操作を行うことで、遠隔操作により排水口1を開閉することができる。
【0017】
上記実施例においては、継手部材6は側面に挿通部6bを備えており、チューブ管9によって側面からレリースワイヤ7が案内される。ここで、継手部材6は垂直方向よりも水平方向の方が長い非円形形状となっているため、レリースワイヤ7は継手部材6内において屈曲するための空間を広く確保することが可能となることから、レリースワイヤ7の曲げ半径を大きくし、座屈を防止することができる。
又、レリースワイヤ7の曲げ半径を大きくとることが可能となることから、遠隔操作式排水栓装置の作動時におけるレリースワイヤ7の摩擦が低減され、操作に必要な力を低減させることができる。
又、弁体2が排水口1を閉口する際には、弁体2に設けられたリブ片である4つのガイド部2bが、排水口本体4の内側面に設けられた排水口1に当接している。このため、弁体2が、弁体2の進退方向である略水平方向に対して傾いたり、弁軸7cを中心に回転して傾いたりすることが無いため、弁体2の止水部2aが排水口1周縁の当接部1aに合致するように当接し、排水口1を確実に閉口する。
特に本発明においては、弁体2の進退が略水平方向に行われるため、弁体2の自重が下方に作用して弁体2が下方に傾いてしまう恐れのある構造ではあるが、排水口1内に当接するガイド部2bを備えたことで、弁体2が下方に傾くことを防止することができた。
【0018】
本発明の第一実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記第一実施例において、操作部3はボタン部材3bを押動することによって排水口3を開閉させる手動操作機構のみを有していたが、図7に示す第二実施例のように、電気信号に基づいて駆動するモータ10を有し、ボタン部材3dを押動することなく排水口2を開閉させる電動操作機構を有しても良い。電動操作機構は図示しないリモコンに操作が加えられることによってモータ10が駆動するとともに、当該駆動が手動作機構に伝達されることで排水口3を開閉させる。尚、第二実施例における操作部3は手動による操作と電気信号に基づく操作の両方が可能となっており、使用者は適宜どちらの操作によって排水口3を開閉させるかを選択することができる。
また、排水口の形状は上記第一実施例に記載した略長方形形状の他、長円、楕円、台形その他の形状であっても良い。
また、上記実施例では、遠隔操作式排水栓装置が採用される槽体は浴槽Bであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、洗面ボウル、流し台等、どのような槽体に採用しても構わない。
また、上記実施例の遠隔操作式排水栓装置は、ロック機構8を用いることで、操作部3に加える操作を押し操作のみとした遠隔操作式排水栓装置であったが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、操作部3に加える操作を押し引きの操作とし、子の押し引きに対応して排水口1が開閉する遠隔操作式排水栓装置としてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 排水口 1a 当接部
2 弁体 2a 止水部
2b ガイド部 3 操作部
3a 操作部本体 3b ボタン部材
4 排水口本体 4a フランジ部
5 支持部材 5a 保持部
5b ガイド受け部 5c 枠部
5d アーム部 6 継手部材
6a 排出口 6b 挿通部
7 レリースワイヤ 7a アウターチューブ
7b インナーワイヤ 7c 弁軸
7d 戻りスプリング 8 ロック機構
8a ロック機構本体 8b ロック軸
9 チューブ管 10 モータ
B 浴槽
B1 排水溝 B2 取付口
B3 操作部取付口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7