(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-169830(P2021-169830A)
(43)【公開日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】スチームトラップ
(51)【国際特許分類】
F16T 1/00 20060101AFI20211001BHJP
【FI】
F16T1/00 A
F16T1/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-72307(P2020-72307)
(22)【出願日】2020年4月14日
(11)【特許番号】特許第6886156号(P6886156)
(45)【特許公報発行日】2021年6月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 製造依頼先 有限会社ミツミ製作所 依頼内容開示日 令和1年5月14日 納入先 高砂熱学工業株式会社(株式会社三越伊勢丹・伊勢丹新宿店事業所) 納入日 令和1年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】520102783
【氏名又は名称】伊能 芳彦
(71)【出願人】
【識別番号】520102794
【氏名又は名称】日東礦工商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520101362
【氏名又は名称】株式会社ゼットサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(72)【発明者】
【氏名】伊能 芳彦
(57)【要約】
【課題】大型化を防ぐとともに構造を簡単化することができ、放熱により発生した凝縮水を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができるスチームトラップを提供すること。
【解決手段】スチームトラップ1は、蒸気発生源からの蒸気を蒸気供給対象に搬送する蒸気主搬送管110の途中に配置され、チューブ状の本体部2内に配置されて、蒸気Vと、蒸気主搬送管110の放熱により発生する凝縮水Wを通すための柱状孔7C、9Cを有するオリフィス7,9を備え、柱状孔7C、9Cの軸方向の長さLは、以下の式(1)で定義される
L≧A/B・・・式(1)
ここで、L=柱状孔の軸方向の長さ(mm)
A=柱状孔の径(mm)
B=想定最小負荷率(%)
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生源からの蒸気を蒸気供給対象に搬送する搬送管の途中に配置されるスチームトラップであって、
チューブ状の本体部と、
前記本体部内に配置されて、前記蒸気と、前記搬送管の放熱により発生する凝縮水とを通すための柱状孔を有するオリフィスと、を備え、
前記柱状孔の軸方向の長さLは、以下の式(1)で定義される
L≧A/B・・・式(1)
L=前記柱状孔の軸方向の長さ(mm)
A=前記柱状孔の径(mm)
B=想定最小負荷率(%)
ここで、前記柱状孔の径Aは、前記スチームトラップが設置される前記搬送管の設置部位の前後の差圧により排出される前記凝縮水の量が、必要最大排出量と等しくなるように設計された径、
想定最小負荷率Bは、前記スチームトラップが設置される前記搬送管の設置部位の前後の差圧により排出される前記凝縮水の量の、加熱負荷変動等により想定される、最小負荷の割合である[想定最小負荷(kg/h)/想定最大負荷(kg/h)]
ことを特徴とするスチームトラップ。
【請求項2】
1つまたは複数の前記オリフィスが、前記本体部内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスチームトラップ。
【請求項3】
複数の前記オリフィスが、前記本体部内に直列に配置されており、前記複数の前記オリフィスに対して、前記本体部内の前記蒸気の流れる方向の上流側には、前記蒸気の流れが前記凝縮水の流れを追い越す現象を抑制するための追い越し抑制オリフィスが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスチームトラップ。
【請求項4】
1つの前記オリフィスには、前記本体部の軸方向と平行になるように複数の前記柱状孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチームトラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気搬送設備に設けられている蒸気搬送管の途中に設けられたり、熱交換機等の蒸気加熱機器設備の凝縮水出口に設けられたりして用いられるスチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
スチームトラップは、例えば、蒸気搬送設備において蒸気を搬送する際に、放熱によって発生する凝縮水(復水、ドレンともいう)を速やかに系外に排出し、蒸気を効率的に搬送するため、搬送管の途中に配置される。この種のスチームトラップは、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているスチームトラップは、高温の低圧復水である凝縮水を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩も少なくする。
【0003】
このスチームトラップのトラップケーシングでは、ニードル弁が小径オリフィス側に設けられており、ニードル弁が上下動することで、小径オリフィスの開度を調整できる。また、連通路の入口側には開閉弁が上下動自在に取り付けられている。このため、小径オリフィスと連通路の下端部が、弁室となっており、この弁室やニードル弁と開閉弁等が、トラップケーシングの下部から、斜め下方に向けて突出して形成されている。このため、スチームトラップのサイズが大きくなっている。
【0004】
ニードル弁を引き下げて小径オリフィスを全開状態にして、開閉弁を閉じて連絡路を閉じることにより、トラップケーシングの入口から流入した復水は、弁室に溜まりそして小径オリフィスを通ってトラップケーシングの出口から外部に排出される。これにより、蒸気の漏洩を抑えることができる。また、トラップケーシングの入口から流入する復水の量が少ない場合には、ニードル弁を上方に押し込んで小径オリフィスの通過面積を小さくすることにより、蒸気を漏洩することなく、復水だけを外部に排出できる。
【0005】
蒸気使用機器の初期立ち上げ時のように、蒸気圧力が低くかつ多量の低圧復水が流入してくる場合には、開閉弁を引き下げて連通路を開放することにより、この多量の復水を速やかに外部に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−50488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されたスチームトラップのトラップケーシングは、小径オリフィスと、連通路と、上下動させるニードル弁と、上下動させる開閉弁と、弁室を配置する必要がある。このため、スチームトラップが蒸気管の外に向かって突出した構造部分を有するので大型化する。しかも、蒸気管の放熱により発生した復水(ドレン、凝縮水)を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩を抑制するためには、ニードル弁や開閉弁を動作させなければならず、トラップケーシングの構造が複雑である。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、大型化を防ぐとともに構造を簡単化することができ、放熱により発生した凝縮水を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができるスチームトラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の第1の態様のスチームトラップは、蒸気発生源からの蒸気を蒸気供給対象に搬送する搬送管の途中に配置されるスチームトラップであって、
チューブ状の本体部と、
前記本体部内に配置されて、前記蒸気と、前記搬送管の放熱により発生する凝縮水を通すための柱状孔を有するオリフィスと、を備え、
前記柱状孔の軸方向の長さLは、以下の式(1)で定義される
L≧A/B・・・式(1)
L=前記柱状孔の軸方向の長さ(mm)
A=前記柱状孔の径(mm)
B=想定最小負荷率(%)
ここで、前記柱状孔の径Aは、前記スチームトラップが設置される前記搬送管の設置部位の前後の差圧により排出される前記凝縮水の量が、必要最大排出量と等しくなるように設計された径、
想定最小負荷率Bは、前記スチームトラップが設置される前記搬送管の設置部位の前後の差圧により排出される前記凝縮水の量の、加熱負荷変動により想定される、最小負荷の割合である[想定最小負荷(kg/h)/想定最大負荷(kg/h)]
ことを特徴とする。
【0010】
前記構成によれば、チューブ状の本体部内にオリフィスを配置する構造を採用すればよいので、スチームトラップの大型化を防ぐとともに、スチームトラップの構造を簡単化することができる。柱状孔の軸方向の長さLは、式(1)で定義されるので、放熱により発生した凝縮水が崩壊することを防いで、凝縮水を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩を少なくすることができることから、蒸気搬送効率および加熱効率を上げることができる。
【0011】
また、本発明の第2の態様のスチームトラップは、1つまたは複数の前記オリフィスが、前記本体部内に配置されていることを特徴とする。
前記構成によれば、必要に応じて、本体部内に配置されるオリフィスの数を任意に設定することができ、設計の自由度が高まる。
【0012】
また、本発明の第3の態様のスチームトラップは、複数の前記オリフィスが、前記本体部内に直列に配置されており、前記複数の前記オリフィスに対して、前記本体部内の前記蒸気の流れる方向の上流側には、前記蒸気の流れが前記凝縮水の流れを追い越す現象を抑制するための追い越し抑制オリフィスが配置されていることを特徴とする。
前記構成によれば、追い越し抑制オリフィスが複数のオリフィスに対して蒸気の流れる方向の上流側に配置されているで、蒸気の流れが凝縮水の流れよりも先に流れることがなく、凝縮水の流れに続いて蒸気の流れが発生することになるので、凝縮水を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明の第4の態様のスチームトラップは、1つの前記オリフィスには、前記本体部の軸方向と平行になるように複数の前記柱状孔が設けられていることを特徴とする。
前記構成によれば、オリフィスは、必要に応じて複数の柱状孔を設定することができ、設計の自由度が高まる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大型化を防ぐとともに構造を簡単化することができ、放熱により発生した凝縮水を速やかに排出しながら、蒸気の漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができるスチームトラップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のスチームトラップの第1実施形態を備える蒸気搬送設備の一例を示す図
【
図2】
図1に示すスチームトラップの好ましい内部構造例を示す軸方向に沿った断面図
【
図3】スチームトラップの構成部品を示す分解断面図
【
図4】
図3に示す円筒状の追い越し抑制オリフィスと、第1流出抑制オリフィスと、スペーサーと、第2流出抑制オリフィスだけを示す図
【
図6】柱状孔の軸方向の長さLが、10mm、5mm、2.5mmの場合の凝縮水と蒸気の動作例を示す図
【
図7】本発明のスチームトラップに用いる流出抑制オリフィスの他の実施形態を示す
図3と同様の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳しく説明する。
(蒸気搬送設備100)
図1は、本発明のスチームトラップの第1実施形態を備える蒸気搬送設備の一例を示している。まず、スチームトラップ1が使用される蒸気搬送設備100を説明する。
図1に示す蒸気搬送設備100は、蒸気ボイラー101と、蒸気Vにより加熱を行う加熱対象(蒸気供給対象)としての加熱機器102と、蒸気Vを搬送する際に発生する凝縮水Wを回収して貯める環水タンク103と、蒸気ボイラー101と加熱機器102とを接続しており、蒸気Vと凝縮水Wを搬送する蒸気主搬送管110と、凝縮水回収管120と、そして凝縮水供給管121と、を有する。
【0017】
蒸気ボイラー101は、加熱機器102に対して、蒸気主搬送管110を通じて蒸気Vを搬送して供給する。これにより、加熱機器102は、蒸気Vにより所定の温度に加熱されるとともに、蒸気Vによる所定の仕事を実行する。加熱機器102の仕事実行の後に加熱機器102において発生した凝縮水Wは、加熱機器102から環水タンク103へ、凝縮水回収管120を通じて、回収される。環水タンク103に貯まった凝縮水Wは、凝縮水供給管121を通じて、蒸気ボイラー101に供給することで、蒸気Vを発生させるために再利用される。蒸気主搬送管110においては、蒸気主搬送管110が放熱することにより、蒸気Vを搬送する際に、蒸気主搬送管110内には凝縮水Wが発生する。この凝縮水Wを蒸気搬送系外へ除いて蒸気Vのみを加熱機器102に搬送させるために、本実施形態のスチームトラップ1が蒸気主搬送管110の途中に配置される。
【0018】
図1に示すように、スチームトラップ1は、蒸気主搬送管110の途中に、着脱自在に交換できるように配置されている。
図1においては、スチームトラップ1の設置位置を象徴的に示している。この種の蒸気搬送設備100では、省エネルギー化を促進するために、例えば蒸気ボイラー101の高効率化等を図るだけでなく、スチームトラップ1を用いて、蒸気Vの搬送効率を高めることが求められる。すなわち、蒸気主搬送管110の途中にスチームトラップ1を配置することにより、蒸気主搬送管110の放熱により発生した凝縮水Wを蒸気搬送系外へ速やかに排出しながら、蒸気主搬送管110を通る蒸気Vの漏洩を少なくして、蒸気搬送効率を上げることが求められる。
【0019】
そこで、本発明の第1実施形態では、このスチームトラップ1は、以下に詳しく説明するように、従来のスチームトラップに比べて大型化を防ぐとともに構造を簡単化することができる。しかも、スチームトラップ1は、蒸気管としての蒸気主搬送管110の放熱により発生した凝縮水Wを速やかに排出しながら、蒸気主搬送管110を通る蒸気Vの漏洩を少なくして搬送できるようにすることで、蒸気搬送効率を上げることができる構造となっている。
【0020】
図2は、
図1に示すスチームトラップ1の好ましい内部構造例を示す軸方向に沿った断面図である。
図2に示すように、蒸気主搬送管110は、一次側ユニオン111と、二次側ユニオン112を有している。一次側ユニオン111と二次側ユニオン112は、スチームトラップ1を着脱可能に取り付けるための一方と他方の接続部である。スチームトラップ1は、これらの一次側ユニオン111と、二次側ユニオン112との間に、着脱可能に接続することで、必要に応じて交換できるようになっている。一次側ユニオン111は、連結部材111Bと、連結ネジ111Cと、パッキン111Dとを有する。同様にして、反対側の二次側ユニオン112は、連結部材112Bと、連結ネジ112Cと、パッキン112Dとを有する。二次側ユニオン112は、連結部材112Bと、連結ネジ112Cを有する。一次側ユニオン111は、
図1に示す蒸気ボイラー101側(一次側)であり、二次側ユニオン112は、蒸気搬送系外(二次側)に配置されている。
【0021】
(スチームトラップ1の構造例)
図2に示すスチームトラップ1の構造例を、
図3を参照して説明する。
図3は、スチームトラップ1の構成部品を示す分解断面図である。
図2と
図3に示すように、スチームトラップ1は、筒状の本体部2(
図2を参照)と、ドレン取入部11と、ドレン排出部12と、内部押えネジ部材3と、スプリングワッシャ4と、平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、そしてパッキン10と、を有する。ドレン取入部11は、
図1の蒸気ボイラー101から蒸気Vと凝縮水Wを取り入れる側である。ドレン排出部12は、蒸気搬送系外へ蒸気Vと凝縮水Wを排出する側である。
【0022】
図2に示すように、第1ユニオン111の連結部材111Bの凸部111Gは、パッキン111Dを挟み込みながら、ドレン取入部11の凹部11Cにはめ込まれて密着される。連結ネジ111Cのメネジ111Fは、ドレン取入部11のオネジ11Bにねじ込まれることで、連結部材111Bとドレン取入部11とは、気密状態で着脱可能に連結される。
同様にして、第2ユニオン112の連結部材112Bの凸部112Gは、パッキン112Dを挟み込みながら、ドレン排出部12の凹部12Cにはめ込まれて密着される。連結ネジ112Cのメネジ112Fは、ドレン排出部12のオネジ12Bにねじ込まれることで、連結部材112Bとドレン排出部12とは、気密状態で着脱可能に連結される。
【0023】
図2と
図3に示すように、ドレン取入部11の内端部11Nは、本体部2の一端部2Bの外周面に対して、例えば溶接や接着剤の塗布による固定部材20により固定されている。内部押えネジ部材3のオネジ部3Nは、ドレン取入部11のメネジ部11Nにねじ込まれることで、内部押えネジ部材3はドレン取入部11に対して固定されている。
図3に示すように、ドレン取入部11は、内部孔11Hを有し、内部押えネジ部材3は、内部孔3H、3Jと、凸部3Kを有している。
図2に示すように、凸部3Kの外周面は、本体部2の一端部2Bの内周面に密着するようにして挿入されている。内部孔11Hの内径は、内部孔3Jの内径よりも大きく、内部孔3Jの内径は、内部孔3Hの内径よりも大きい。
【0024】
また、
図2と
図3に示すように、ドレン排出部12の内端部12Nは、本体部2の他端部2Cの外周面に対して、例えば溶接や接着剤の塗布による固定部材21により固定されている。
図3に示すように、ドレン排出部12は、内部孔12Hを有している。内部孔12Hの内径は、内部孔3Hの内径と同じである。ドレン排出部12の凸部12Kの外周面は、本体部2の他端部2Cの内周面に密着するようにして挿入されている。
【0025】
図2に示すように、
図3に示すスプリングワッシャ4と、平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10は、筒状の本体部2の内部において、一端部2Bから他端部2Cに渡って、順番にしかも直列に配列されている。
図2に示すように、スプリングワッシャ4と平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10の各外周面は、本体部2の内周面に密着されている。これらの各部材は、パッキン10を除いて、例えばSUS等の金属により作られている。
【0026】
図3に示すように、スプリングワッシャ4と平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10の外径は、凸部3Kと凸部12Kの外径と同じである。スプリングワッシャ4と平ワッシャー5は、凸部3Kと追い越し抑制オリフィス6の間に配置されており、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9は、スプリングワッシャ―4により、パッキン10を挟んでドレン排出部12側へ付勢されている。
【0027】
図4は、
図3に示す円筒状の追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9だけを、取り出して示している。
図5は、追い越し抑制オリフィス6の特徴的な形状を示している。
【0028】
(追い越し抑制オリフィス6)
図3と
図4に示すように、追い越し抑制オリフィス6は、入口孔6Bと、オリフィス孔6Cと、出口孔6Dと、凹部6Fを有する。入口孔6Bの内径と出口孔6Dの内径は同じであるが、凹部6Fの内径は出口孔6Dの内径よりも大きい。また、特徴的なのは、オリフィス6Cの内径は、入口孔6Bの内径に比べてかなり小さく、オリフィス6Cの内径は例えば3mm程度であるが、特に限定されない。
【0029】
しかも、
図5に示すように、オリフィス孔6Cの中心軸CL2は、入口孔6Bと出口孔6Dと凹部6Fの中心軸CL1に対して、下方に偏心されている。このように、追い越し抑制オリフィス6では、蒸気の流れが凝縮水の流れを追い越して、あるいは先立って流れる現象を抑制する。すなわち、追い越し抑制オリフィス6のオリフィス孔6Cの口径が小さくなっており、しかも中心軸より下方に偏心されていることで、軽い蒸気Vより重くて下方位置に存在する凝縮水Wを先に通して、その後に蒸気Vを通すことで、凝縮水Wが蒸気Vを追い越して搬送されてしまうのを抑制する。これにより、多量の蒸気Vが、ドレンである凝縮水Wを追い越してしまう現象を抑えることができる。
【0030】
(第1流出抑制オリフィス7)
図4に示すように、第1流出抑制オリフィス7は、凸部7Bと、柱状孔7Cと、凹部7Dを有する。凹部7Dの内径は、凸部7Bの内径よりも大きく、柱状孔7Cの内径は、凸部7Bの内径よりも小さく、上述したオリフィス6Cの内径よりも小さい。第1流出抑制オリフィス7では、凸部7Bと、柱状孔7Cと、凹部7Dの各中心軸の位置は、同じである。
図2に示すように、凸部7Bは、追い越し抑制オリフィス6の凹部6Fに、密着してはめ込まれる。この第1流出抑制オリフィス7は、流出抑制柱状オリフィスともいい、一次側の蒸気Vの流出速度を抑制する。
【0031】
(スペーサー8)
図4に示すように、スペーサー8は、凸部8Bと、案内孔8Cと、凹部8Dを有する。このスペーサー8は、第1流出抑制オリフィス7と第2流出抑制オリフィス9とを離して配置させるための部材である。凹部8Dの内径は、凸部8Bの内径よりも大きく、案内孔8Cの内径は、凸部7Bの内径と同じである。スペーサー8では、凸部8Bと、案内孔8Cと、凹部8Dの各中心軸の位置は、同じである。
図2に示すように、凸部8Bは、第1流出抑制オリフィス7の凹部7Dに、密着してはめ込まれる。このスペーサー8は、背圧維持スペーサーともいい、スペーサー8内の圧力を、ドレン(凝縮水W)の負荷低減時にドレン開放部(凝縮水の開放部)側の圧力よりも高く維持する。
【0032】
(第2流出抑制オリフィス9)
図4に示すように、第2流出抑制オリフィス9の形状は、第1流出抑制オリフィス7の形状と似ている。第2流出抑制オリフィス9は、凸部9Bと、柱状孔9Cと、凹部9Dを有する。凹部9Dの内径は、凸部9Bの内径とほぼ同じであり、柱状孔9Cの内径は、凸部9Bの内径よりも小さい。第2流出抑制オリフィス9では、凸部9Bと、オリフィス9Cと、凹部9Dの各中心軸の位置は、同じである。柱状孔9Cの直径と柱状孔7Cの直径は同じである。
図2に示すように、凸部9Bは、スペーサー8の凹部8Dに、密着してはめ込まれる。凹部9Dは、ドレン排出部12の内部孔12Hに対して、パッキン10を介して密着して接続される。第2流出抑制オリフィス9は、背圧維持スペーサー圧力維持オリフィスともいい、ドレン(凝縮水W)の負荷低減時に、スペーサー8からの蒸気Wの流出を抑制する。
【0033】
ところで、
図1に示すように、蒸気ボイラー101が発生する蒸気Vが、加熱機器102へ、蒸気主搬送管110を通じて供給される際に、加熱機器102を加熱するための蒸気Vの加熱能力は、「凝縮水Wの滞留」により低下する。この凝縮水Wは、蒸気主搬送管110が放熱することにより蒸気主搬送管110内に発生するが、凝縮水Wは高圧の温水であり、水塊ともいう。
【0034】
「凝縮水Wの滞留」が、
図1に示す蒸気主搬送管110においては発生するのを防止するために、スチームトラップ1が、凝縮水Wの排出能力を持ち、かつ蒸気Vの流出量を抑制することができるように、上述した第1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cと、第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9Cの形状について、特に柱状孔7C、9Cの軸方向の長さLは、以下のように式(1)で定義する。
L≧A/B・・・・・・・式(1)
L=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の軸方向の長さ(mm)
A=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の径(mm)
B=想定最小負荷率(%)
【0035】
ここで、柱状孔7C、9Cの径(オリフィス径)Aは、スチームトラップ1が蒸気主搬送管110に設置される設置部位の前後の差圧により排出される凝縮水Wの量が、必要最大排出量と等しくなるように設計された径である。
また、想定最小負荷率Bは、スチームトラップ1が蒸気主搬送管110に設置される設置部位の前後の差圧により排出される凝縮水Wの量の、加熱負荷変動等により想定される、最小負荷の割合・・・[想定最小負荷(kg/h)/想定最大負荷(kg/h)]・・%
である。
想定最小負荷率Bは、一般的には50%であるが、本発明の実施形態では、例えば20%に設定されている。
このように口径Aで長さL以上の柱状孔7C、9C内には、柱状孔7C、9Cの長さ方向に少なくとも2箇所において凝縮水Wによって柱状孔7C、9Cを塞ぐ水塊が発生して、蒸気Vが多量に流出して送られてしまうことを防ぐことができる。
【0036】
第1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cと第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9Cの軸方向の長さLと、柱状孔7C、9Cの径(オリフィス径)Aとの関係を、式(1)で定義することにより、柱状孔7C、9Cが小さい場合に凝縮水Wだけが送られて、必要とする蒸気Vの搬送量が確保できなかったり、逆に、柱状孔7C、9Cが大きい場合に凝縮水Wが崩壊して、蒸気Vが多量に流出して送られてしまうことを防ぐことができる。
【0037】
すなわち、凝縮水Wの発生量(ドレン発生量)と、蒸気Vの圧力と、排出側の蒸気凝縮水の圧力を正確に把握しながら、柱状孔7C、9Cの径Aを適切に設定することで、
図1に示す蒸気主搬送管110において凝縮水Wの壁ができてしまって必要とする蒸気Vの量が不足して蒸気Vを必要量確保できずに
図1の加熱機器102側へ供給できなかったり、逆に凝縮水Wの壁ができずに凝縮水Wが崩壊して、蒸気Vが
図1の加熱機器102側へ多量に流出してしまう現象を防ぐことができる。柱状孔7C、9Cの長さLは、好ましくは5mm以上、最も好ましくは10mm以上に設定することで、負荷変動による蒸気Vの流出体積および流出速度が予測できるようになる。
【0038】
このようにして、
図2に示す本体部2内では、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10により、凝縮水Wの搬送経路が形成されており、
図1に示す蒸気ボイラー101から発生する凝縮水Wは、凝縮水Wを壊さないようにして蒸気主搬送管110の途中に配置されたスチームトラップ1を通すことで、加熱機器102を加熱するための蒸気Vの供給量の減少を抑制して、加熱機器102へ蒸気Vを効率よく搬送できる構造になっている。
【0039】
(スチームトラップ1の動作例)
次に、図を参照して、スチームトラップ1の動作例を説明する。
図1に示す蒸気ボイラー101からは、蒸気Vが、蒸気主搬送管110に供給される。凝縮水Wは、蒸気主搬送管110の放熱により、蒸気主搬送管110内に発生する。
図2に示すように、この凝縮水Wは、一次側ユニオン111の連結部材111Bの内部孔と、ドレン取入部11の内部孔11Hと、内部押えネジ部材3の内部孔3J、3Hと、スプリングワッシャ4と、平ワッシャー5を通って、追い越し抑制オリフィス6に達する。
【0040】
図5に示すように、追い越し抑制オリフィス6のオリフィス孔6Cの中心軸CL2は、入口孔6Bと出口孔6Dの中心軸CL1に対して、下方に偏心している。このため、凝縮水Wが軽い蒸気Vよりも先にオリフィス孔6C内を流れていき、この凝縮水Wが流れた後に、蒸気Vがオリフィス孔6Cを流れる。すなわち、追い越し抑制オリフィス6では、蒸気Vの流れが凝縮水Wの流れを追い越して、あるいは先立って流れる現象を抑制することで、凝縮水Wを先行させ、凝縮水Wの後に蒸気Vを送る。これにより、多量の蒸気Wが、ドレンである凝縮水Vを追い越して先に送られてしまう現象を抑えることができ、凝縮水Wが流れた後に蒸気Vが流れる。
【0041】
次に、凝縮水Wの流れと、この凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、
図2に示す追い越し抑制オリフィス6から、第1流出抑制オリフィス7の凸部7Bと、柱状孔7Cと、凹部7Dを通ることで、一次側の蒸気Vの流出速度を抑制する。すなわち、第1流出抑制オリフィス7は、流出抑制柱状オリフィスともいい、一次側の蒸気Vの流出速度を抑制することができる。
【0042】
このように、凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、第1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cを通過して凹部7Dにおいて解放されて低圧になっても、上述したように、柱状孔7Cの軸方向の長さLが定義されているので、柱状孔7C内には少なくとも1個の凝縮水W(水塊)が常に存在するので、柱状孔7Cの全長かが全くなくなって凝縮水W(水塊)が崩壊することはない。すなわち、凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れが柱状孔7Cを通過した後に凹部7Dにおいて低圧になっても、柱状孔7Cの上流側(一時側)には少なくとも1箇所の凝縮水W(水塊)が存在するので、凝縮水W(水塊)は崩壊せずに、凝縮水Wの流れにつづき後方の蒸気Vの流れを抑制することができる。
【0043】
凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、
図3のスペーサー8の案内孔8Cをそのままの状態で通過する。このスペーサー8は、背圧維持スペーサーともいい、スペーサー8内の圧力を、ドレン(凝縮水W)の負荷低減時にドレン(凝縮水W)の開放部の圧力よりも高く維持する。そして、凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、
図3の第1流出抑制オリフィス7の凹部7Dから第2流出抑制オリフィス8の凸部8Bと、案内孔8Cと、凹部8Dを順に通る。
【0044】
凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9C内を前記の第1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cの場合と同様にして通過する。これにより第2流出抑制オリフィス9においても凝縮水W(水塊)は崩壊せずに、凝縮水Wの流れにつづき後方の蒸気Vの流れを抑制される。第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9Cおよび凹部9Dを通過した凝縮水Wと蒸気Vは、その状態を維持したままで、ドレン排出部12の内部孔12Hを通過し、その後、二次側ユニオン112を通過して、二次側に送給される。
【0045】
更に、柱状孔7C、9Cにおける動作を具体的に説明する。
前記式(1)において、A=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の径(mm)を1mm、B=想定最小負荷率(%)を20%と仮定して、L=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の軸方向の長さ(mm)を求めると、
L≧A/B=5mm
となる。
このようにしてL、A、Bが決定された柱状孔における凝縮水Wと蒸気Vとの流れ動作を
図6により説明する。
図6(A)から
図6(C)は、柱状孔の軸方向の長さLについて、(A)がLの計算値5mmの2倍の10mm、(B)がLの計算値5mmと等しい5mm、(C)がLの計算値5mmより短い1/2長さの2.5mmの場合の凝縮水Wと蒸気Vの流れ動作例を模式的に示している。
図6(A)および(B)はLの計算値5mm以上の条件を満たしている本実施形態を示しており、
図6(C)はLの計算値5mm以上を満たしていない比較例を示している。口径Aが1mmの柱状孔7C、9Cにおいては、凝縮水Wが表面張力によって膜幅(長さ)が0.5mmの水塊W(
図6において、ハッチング部参照)として形成される。柱状孔の内部には、膜幅が0.5mmの水塊Wは、孔の長さ2.5mmの長さ領域に1個形成されることとなる。従って、同図(A)のLは計算値5mmの2倍の10mmであるので、4個の水塊Wが2.5mm間隔で形成され、同図(B)のLは計算値5mmと等しい5mmであるので、2個の水塊Wが2.5mm間隔で形成され、同図(C)のLは計算値5mmより短い1/2長さの2.5mmであるので、1個の水塊Wが形成される。
図6(A)から同図(C)のそれぞれにおいては、最上段の柱状孔部分において水塊Wが最右側位置の蒸気圧力が作用する最も一時側に位置し、下段側の柱状孔に4回変位するに従って水塊Wが水塊Wと同一幅の0.5mmずつ左の二次側(大気側)に移動している状態を示している。水塊Wは各図の最下段から最上段に戻って同一の移動が順に繰り返される。
特に、各図(A)から(C)の最下段の状態から水塊Wが更に二次側の左側に進むと、柱状孔の最も二次側の最左部に位置していた水塊が二次側に放出されて水塊Wの右側に存在していた蒸気Vが一気に左側の二次側に放出される。その後、各図(A)から(C)の最上段の状態に戻るようにして柱状孔の最も一時側の最右側に新しい水塊Wが形成される。
この水塊Wの移動状態が各図(A)から(C)の最下段の状態から最上段の状態に移行する際に、柱状孔の最左部に位置していた水塊が二次側に放出された瞬間に、各図(A)から(C)の柱状孔内の蒸気Vの移動を低速に抑制することができる能力が発揮されるかが問われるところである。
図6(A)および(B)の本発明の実施形態においては、柱状孔の長さLが前記式(1)を満たす5mm以上であるので、柱状孔の内部に少なくとも2個の水塊Wが存在するので、最左部に位置していた水塊Wが二次側に放出された瞬間においても、放出された水塊Wより上流側(右側)に別の水塊Wが確実に存在するので、柱状孔全体が一瞬でも水塊Wが存在しないで全開通となって蒸気Vが高速に排出されてしまう状態が発生することが確実に防止されて、蒸気Vの漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができる。特に、
図6(A)および(B)の柱状孔の左側の二次側が大気圧(atm)である場合には、最左部の水塊Wは各図(A)(B)の最上段から最下段の各段においても大気側に蒸発して霧散することも予測されるが、蒸発しようとする水塊Wより上流側(右側)に別の水塊Wが確実に存在するので、前記と同様にして蒸気Vの漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができる。
ところが、
図6(C)の比較例においては、柱状孔の内部に水塊Wが1個のみ存在するので、最左部に位置していた水塊が二次側に放出された瞬間に、一瞬ではあるが柱状孔の全体に亘って水塊Wが存在しないで全開通となって蒸気Vが高速に排出されてしまう問題が発生することが予測される。また、同図(C)の柱状孔の左側の二次側が大気圧(atm)である場合には、柱状孔の内部に存在する1個のみの水塊Wが同図(C)の最上段から最下段の各段においても大気側に蒸発することとなり、前記と同様に蒸気Vが高速に排出されてしまう問題が発生することが予測される。
【0046】
このように本実施形態においては、
図2に示すように、スチームトラップ1を蒸気搬送設備100の蒸気主搬送管110に適用することで、チューブ状の本体部2内に少なくとも合計して2つの第1流出抑制オリフィス7と第2流出抑制オリフィス9が直列に配置されることになる。このスチームトラップ1は、チューブ状の本体部2内に、スプリングワッシャ4と、平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9とパッキン10の各構成要素を直列に収容する構造を採用している。このため、本実施形態のスチームトラップ1は、本体部2から外部に突出している部分が無いので、従来のスチームトラップに比べて大型化を防ぐとともに構造を簡単化することができる。また、蒸気主搬送管110の放熱により発生した凝縮水Wを速やかに蒸気搬送系外に排出しながら、蒸気主搬送管110を通る蒸気Vの漏洩を少なくして加熱機器102に供給できるので、蒸気搬送効率を上げることができる。
【0047】
図7は、本発明のスチームトラップの流出抑制オリフィスの他の実施形態を示す。
本実施形態の流出抑制オリフィス17は、前記実施形態の流出抑制オリフィス7における1本の柱状孔7Cに変えて2本の柱状孔17C、17Cを設けたものである。この2本の柱状孔17C、17Cは、各柱状孔17C、17Cの面積の合計を1本の柱状孔7Cの面積と同一としたものである。これにより2本の柱状孔17C、17Cは合計で式(1)のL≧A/Bをみたすようにしている。その他の構成である凸部17Bと柱状孔7Cと凹部17Dは、前記実施形態の流出抑制オリフィス7と同一に形成されている。
図2の実施形態の流出抑制オリフィス17によっても、前記実施形態の流出抑制オリフィス7の作用効果と同一の作用効果が発揮されて、蒸気Vの漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができる。
なお、オリフィスの柱状孔の設定数は、
図2の実施形態のように1つの場合と、
図7の実施形態のように2つの場合とを説明したが、さらには、オリフィスの柱状孔の設定数は、3つ以上であっても良い。
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、図示の実施形態では、第1流出抑制オリフィス7と第2流出抑制オリフィス9のような2つの流出抑制オリフィスが、本体部2内に直列に配置されているが、これに限らず、1個もしくは3個以上の流出抑制オリフィスを直列に設けても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 スチームトラップ
2 本体部
3 内部押えネジ部材
4 スプリングワッシャ
5 平ワッシャー
6 追い越し抑制オリフィス
7 第1流出抑制オリフィス
8 スペーサー
9 第2流出抑制オリフィス
10 パッキン
11 ドレン取入部
12 ドレン排出部
17 流出抑制オリフィス
100 蒸気搬送設備
110 蒸気主搬送管(搬送管の例)
101 蒸気ボイラー(蒸気発生源の例)
102 加熱対象としての加熱機器(蒸気供給対象の例)
111 第1ユニオン
112 第2ユニオン
【手続補正書】
【提出日】2021年2月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
【
図1】本発明のスチームトラップの第
1実施形態を備える蒸気搬送設備の一例を示す図
【
図2】
図1に示すスチームトラップの好ましい内部構造例を示す軸方向に沿った断面図
【
図3】スチームトラップの構成部品を示す分解断面図
【
図4】
図3に示す円筒状の追い越し抑制オリフィスと、第
1流出抑制オリフィスと、スペーサーと、第2流出抑制オリフィスだけを示す図
【
図6】柱状孔の軸方向の長さLが、10mm、5mm、2.5mmの場合の凝縮水と蒸気の動作例を示す図
【
図7】本発明のスチームトラップに用いる流出抑制オリフィスの他の実施形態を示す
図3と同様の断面図
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳しく説明する。
(蒸気搬送設備100)
図1は、本発明のスチームトラップの第
1実施形態を備える蒸気搬送設備の一例を示している。まず、スチームトラップ
1が使用される蒸気搬送設備100を説明する。図
1に示す蒸気搬送設備100は、蒸気ボイラー101と、蒸気Vにより加熱を行う加熱対象(蒸気供給対象)としての加熱機器102と、蒸気Vを搬送する際に発生する凝縮水Wを回収して貯める環水タンク103と、蒸気ボイラー101と加熱機器102とを接続しており、蒸気Vと凝縮水Wを搬送する蒸気主搬送管110と、凝縮水回収管120と、そして凝縮水供給管121と、を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
(スチームトラップ1の構造例)
図2に示すスチームトラップ1の構造例を、
図3を参照して説明する。
図3は、スチームトラップ1の構成部品を示す分解断面図である。
図2と
図3に示すように、スチームトラップ1は、筒状の本体部2(
図2を参照)と、ドレン取入部11と、ドレン排出部12と、内部押えネジ部材3と、スプリングワッシャ4と、平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、そしてパッキン10と、を有する。ドレン取入部11は、図
1の蒸気ボイラー101から蒸気Vと凝縮水Wを取り入れる側である。ドレン排出部12は、蒸気搬送系外へ蒸気Vと凝縮水Wを排出する側である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図2に示すように、
図3に示すスプリングワッシャ4と、平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10は、筒状の本体部2の内部において、一端部2Bから他端部2Cに渡って、順番にしかも直列に配列されている。
図2に示すように、スプリングワッシャ4と平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10の各外周面は、本体部2の内周面に密着されている。これらの各部材は、パッキン10を除いて、例えばSUS等の金属により作られている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図3に示すように、スプリングワッシャ4と平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10の外径は、凸部3Kと凸部12Kの外径と同じである。スプリングワッシャ4と平ワッシャー5は、凸部3Kと追い越し抑制オリフィス6の間に配置されており、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9は、スプリングワッシャ―4により、パッキン10を挟んでドレン排出部12側へ付勢されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
図4は、
図3に示す円筒状の追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9だけを、取り出して示している。
図5は、追い越し抑制オリフィス6の特徴的な形状を示している。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
(第
1流出抑制オリフィス7)
図4に示すように、第
1流出抑制オリフィス7は、凸部7Bと、柱状孔7Cと、凹部7Dを有する。凹部7Dの内径は、凸部7Bの内径よりも大きく、柱状孔7Cの内径は、凸部7Bの内径よりも小さく、上述したオリフィス6Cの内径よりも小さい。第
1流出抑制オリフィス7では、凸部7Bと、柱状孔7Cと、凹部7Dの各中心軸の位置は、同じである。
図2に示すように、凸部7Bは、追い越し抑制オリフィス6の凹部6Fに、密着してはめ込まれる。この第
1流出抑制オリフィス7は、流出抑制柱状オリフィスともいい、一次側の蒸気Vの流出速度を抑制する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
(スペーサー8)
図4に示すように、スペーサー8は、凸部8Bと、案内孔8Cと、凹部8Dを有する。このスペーサー8は、第
1流出抑制オリフィス7と第2流出抑制オリフィス9とを離して配置させるための部材である。凹部8Dの内径は、凸部8Bの内径よりも大きく、案内孔8Cの内径は、凸部7Bの内径と同じである。スペーサー8では、凸部8Bと、案内孔8Cと、凹部8Dの各中心軸の位置は、同じである。
図2に示すように、凸部8Bは、第
1流出抑制オリフィス7の凹部7Dに、密着してはめ込まれる。このスペーサー8は、背圧維持スペーサーともいい、スペーサー8内の圧力を、ドレン(凝縮水W)の負荷低減時にドレン開放部(凝縮水の開放部)側の圧力よりも高く維持する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
(第2流出抑制オリフィス9)
図4に示すように、第2流出抑制オリフィス9の形状は、第
1流出抑制オリフィス7の形状と似ている。第2流出抑制オリフィス9は、凸部9Bと、柱状孔9Cと、凹部9Dを有する。凹部9Dの内径は、凸部9Bの内径とほぼ同じであり、柱状孔9Cの内径は、凸部9Bの内径よりも小さい。第2流出抑制オリフィス9では、凸部9Bと、オリフィス9Cと、凹部9Dの各中心軸の位置は、同じである。柱状孔9Cの直径と柱状孔7Cの直径は同じである。
図2に示すように、凸部9Bは、スペーサー8の凹部8Dに、密着してはめ込まれる。凹部9Dは、ドレン排出部12の内部孔12Hに対して、パッキン10を介して密着して接続される。第2流出抑制オリフィス9は、背圧維持スペーサー圧力維持オリフィスともいい、ドレン(凝縮水W)の負荷低減時に、スペーサー8からの蒸気Wの流出を抑制する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
ところで、図
1に示すように、蒸気ボイラー101が発生する蒸気Vが、加熱機器102へ、蒸気主搬送管110を通じて供給される際に、加熱機器102を加熱するための蒸気Vの加熱能力は、「凝縮水Wの滞留」により低下する。この凝縮水Wは、蒸気主搬送管110が放熱することにより蒸気主搬送管110内に発生するが、凝縮水Wは高圧の温水であり、水塊ともいう。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
「凝縮水Wの滞留」が、
図1に示す蒸気主搬送管110においては発生するのを防止するために、スチームトラップ1が、凝縮水Wの排出能力を持ち、かつ蒸気Vの流出量を抑制することができるように、上述した第
1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cと、第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9Cの形状について、特に柱状孔7C、9Cの軸方向の長さLは、以下のように式(1)で定義する。
L≧A/B・・・・・・・式(1)
L=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の軸方向の長さ(mm)
A=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の径(mm)
B=想定最小負荷率(%)
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
第
1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cと第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9Cの軸方向の長さLと、柱状孔7C、9Cの径(オリフィス径)Aとの関係を、式(1)で定義することにより、柱状孔7C、9Cが小さい場合に凝縮水Wだけが送られて、必要とする蒸気Vの搬送量が確保できなかったり、逆に、柱状孔7C、9Cが大きい場合に凝縮水Wが崩壊して、蒸気Vが多量に流出して送られてしまうことを防ぐことができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
このようにして、
図2に示す本体部2内では、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9と、パッキン10により、凝縮水Wの搬送経路が形成されており、
図1に示す蒸気ボイラー101から発生する凝縮水Wは、凝縮水Wを壊さないようにして蒸気主搬送管110の途中に配置されたスチームトラップ1を通すことで、加熱機器102を加熱するための蒸気Vの供給量の減少を抑制して、加熱機器102へ蒸気Vを効率よく搬送できる構造になっている。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
次に、凝縮水Wの流れと、この凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、
図2に示す追い越し抑制オリフィス6から、第
1流出抑制オリフィス7の凸部7Bと、柱状孔7Cと、凹部7Dを通ることで、一次側の蒸気Vの流出速度を抑制する。すなわち、第
1流出抑制オリフィス7は、流出抑制柱状オリフィスともいい、一次側の蒸気Vの流出速度を抑制することができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
このように、凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、第
1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cを通過して凹部7Dにおいて解放されて低圧になっても、上述したように、柱状孔7Cの軸方向の長さLが定義されているので、柱状孔7C内には少なくとも1個の凝縮水W(水塊)が常に存在するので、柱状孔7Cの全長
が全くなくなって凝縮水W(水塊)が崩壊することはない。すなわち、凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れが柱状孔7Cを通過した後に凹部7Dにおいて低圧になっても、柱状孔7Cの上流側(
一次側)には少なくとも1箇所の凝縮水W(水塊)が存在するので、凝縮水W(水塊)は崩壊せずに、凝縮水Wの流れにつづき後方の蒸気Vの流れを抑制することができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、
図3のスペーサー8の案内孔8Cをそのままの状態で通過する。このスペーサー8は、背圧維持スペーサーともいい、スペーサー8内の圧力を、ドレン(凝縮水W)の負荷低減時にドレン(凝縮水W)の開放部の圧力よりも高く維持する。そして、凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、
図3の第
1流出抑制オリフィス7の凹部7Dから第2流出抑制オリフィス8の凸部8Bと、案内孔8Cと、凹部8Dを順に通る。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
凝縮水Wの流れにつづく後方の蒸気Vの流れは、第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9C内を前記の第
1流出抑制オリフィス7の柱状孔7Cの場合と同様にして通過する。これにより第2流出抑制オリフィス9においても凝縮水W(水塊)は崩壊せずに、凝縮水Wの流れにつづき後方の蒸気Vの流れを抑制される。第2流出抑制オリフィス9の柱状孔9Cおよび凹部9Dを通過した凝縮水Wと蒸気Vは、その状態を維持したままで、ドレン排出部12の内部孔12Hを通過し、その後、二次側ユニオン112を通過して、二次側に送給される。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
更に、柱状孔7C、9Cにおける動作を具体的に説明する。
前記式(1)において、A=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の径(mm)を1mm、B=想定最小負荷率(%)を20%と仮定して、L=柱状孔7C、9C(オリフィス孔)の軸方向の長さ(mm)を求めると、
L≧A/B=5mm
となる。
このようにしてL、A、Bが決定された柱状孔における凝縮水Wと蒸気Vとの流れ動作を
図6により説明する。
図6(A)から
図6(C)は、柱状孔の軸方向の長さLについて、(A)がLの計算値5mmの2倍の10mm、(B)がLの計算値5mmと等しい5mm、(C)がLの計算値5mmより短い1/2長さの2.5mmの場合の凝縮水Wと蒸気Vの流れ動作例を模式的に示している。
図6(A)および(B)はLの計算値5mm以上の条件を満たしている本実施形態を示しており、
図6(C)はLの計算値5mm以上を満たしていない比較例を示している。口径Aが1mmの柱状孔7C、9Cにおいては、凝縮水Wが表面張力によって膜幅(長さ)が0.5mmの水塊W(
図6において、ハッチング部参照)として形成される。柱状孔の内部には、膜幅が0.5mmの水塊Wは、孔の長さ2.5mmの長さ領域に
1個形成されることとなる。従って、同図(A)のLは計算値5mmの2倍の10mmであるので、4個の水塊Wが2.5mm間隔で形成され、同図(B)のLは計算値5mmと等しい5mmであるので、2個の水塊Wが2.5mm間隔で形成され、同図(C)のLは計算値5mmより短い1/2長さの2.5mmであるので、1個の水塊Wが形成される。
図6(A)から同図(C)のそれぞれにおいては、最上段の柱状孔部分において水塊Wが最右側位置の蒸気圧力が作用する最も
一次側に位置し、下段側の柱状孔に4回変位するに従って水塊Wが水塊Wと同一幅の0.5mmずつ左の二次側(大気側)に移動している状態を示している。水塊Wは各図の最下段から最上段に戻って同一の移動が順に繰り返される。
特に、各図(A)から(C)の最下段の状態から水塊Wが更に二次側の左側に進むと、柱状孔の最も二次側の最左部に位置していた水塊が二次側に放出されて水塊Wの右側に存在していた蒸気Vが一気に左側の二次側に放出される。その後、各図(A)から(C)の最上段の状態に戻るようにして柱状孔の最も一時側の最右側に新しい水塊Wが形成される。
この水塊Wの移動状態が各図(A)から(C)の最下段の状態から最上段の状態に移行する際に、柱状孔の最左部に位置していた水塊が二次側に放出された瞬間に、各図(A)から(C)の柱状孔内の蒸気Vの移動を低速に抑制することができる能力が発揮されるかが問われるところである。
図6(A)および(B)の本発明の実施形態においては、柱状孔の長さLが前記式(1)を満たす5mm以上であるので、柱状孔の内部に少なくとも2個の水塊Wが存在するので、最左部に位置していた水塊Wが二次側に放出された瞬間においても、放出された水塊Wより上流側(右側)に別の水塊Wが確実に存在するので、柱状孔全体が一瞬でも水塊Wが存在しないで全開通となって蒸気Vが高速に排出されてしまう状態が発生することが確実に防止されて、蒸気Vの漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができる。特に、
図6(A)および(B)の柱状孔の左側の二次側が大気圧(atm)である場合には、最左部の水塊Wは各図(A)(B)の最上段から最下段の各段においても大気側に蒸発して霧散することも予測されるが、蒸発しようとする水塊Wより上流側(右側)に別の水塊Wが確実に存在するので、前記と同様にして蒸気Vの漏洩を少なくして蒸気搬送効率を上げることができる。
ところが、
図6(C)の比較例においては、柱状孔の内部に水塊Wが1個のみ存在するので、最左部に位置していた水塊が二次側に放出された瞬間に、一瞬ではあるが柱状孔の全体に亘って水塊Wが存在しないで全開通となって蒸気Vが高速に排出されてしまう問題が発生することが予測される。また、同図(C)の柱状孔の左側の二次側が大気圧(atm)である場合には、柱状孔の内部に存在する1個のみの水塊Wが同図(C)の最上段から最下段の各段においても大気側に蒸発することとなり、前記と同様に蒸気Vが高速に排出されてしまう問題が発生することが予測される。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
このように本実施形態においては、
図2に示すように、スチームトラップ1を蒸気搬送設備100の蒸気主搬送管110に適用することで、チューブ状の本体部2内に少なくとも合計して2つの第
1流出抑制オリフィス7と第2流出抑制オリフィス9が直列に配置されることになる。このスチームトラップ1は、チューブ状の本体部2内に、スプリングワッシャ4と、平ワッシャー5と、追い越し抑制オリフィス6と、第
1流出抑制オリフィス7と、スペーサー8と、第2流出抑制オリフィス9とパッキン10の各構成要素を直列に収容する構造を採用している。このため、本実施形態のスチームトラップ1は、本体部2から外部に突出している部分が無いので、従来のスチームトラップに比べて大型化を防ぐとともに構造を簡単化することができる。また、蒸気主搬送管110の放熱により発生した凝縮水Wを速やかに蒸気搬送系外に排出しながら、蒸気主搬送管110を通る蒸気Vの漏洩を少なくして加熱機器102に供給できるので、蒸気搬送効率を上げることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、図示の実施形態では、第
1流出抑制オリフィス7と第2流出抑制オリフィス9のような2つの流出抑制オリフィスが、本体部2内に直列に配置されているが、これに限らず、1個もしくは3個以上の流出抑制オリフィスを直列に設けても良い。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
1 スチームトラップ
2 本体部
3 内部押えネジ部材
4 スプリングワッシャ
5 平ワッシャー
6 追い越し抑制オリフィス
7 第
1流出抑制オリフィス
8 スペーサー
9 第2流出抑制オリフィス
10 パッキン
11 ドレン取入部
12 ドレン排出部
17 流出抑制オリフィス
100 蒸気搬送設備
110 蒸気主搬送管(搬送管の例)
101 蒸気ボイラー(蒸気発生源の例)
102 加熱対象としての加熱機器(蒸気供給対象の例)
111 第1ユニオン
112 第2ユニオン