特開2021-170225(P2021-170225A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-170225(P2021-170225A)
(43)【公開日】2021年10月28日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20211001BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20211001BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20211001BHJP
【FI】
   G06Q30/02 470
   G08G1/16 C
   B60R16/02 640K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-72963(P2020-72963)
(22)【出願日】2020年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澄川 瑠一
(72)【発明者】
【氏名】金光 翔平
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181CC12
5H181FF05
5H181LL09
5H181LL15
5H181LL20
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】興味を惹く注視対象に遭遇した場合に、乗員に対してより利便性の向上したサービスを提示可能な車両の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態における車両の制御装置は、ドライバーが視認する視認先物体を検出する視認先物体検出手段と、検出された前記視認先物体に対する前記ドライバーの関心度を判定する関心度判定手段と、表示手段に対し、前記関心度が高いと判定された前記視認先物体の情報を表示させるとともに、当該視認先物体に関する取引処理を実行する取引表示制御手段と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーが視認する視認先物体を検出する視認先物体検出手段と、
検出された前記視認先物体に対する前記ドライバーの関心度を判定する関心度判定手段と、
表示手段に対し、前記関心度が高いと判定された前記視認先物体の情報を表示させるとともに、当該視認先物体に関する取引処理を実行する取引表示制御手段と、
を備えた車両の制御装置。
【請求項2】
前記ドライバーの運転負荷を検出する運転負荷検出手段と、をさらに備え、
前記取引表示制御手段は、検出された前記運転負荷に応じて前記取引処理の実行を制限する、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両の走行状況を検出する走行状況検出手段と、をさらに備え、
前記取引表示制御手段は、検出された前記車両の運転状況に応じて前記取引処理の実行を制限する、請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両の駆動制御を行う車両制御部をさらに備え、
前記車両制御部は、前記取引処理が実行されている間の少なくとも一期間に、前記ドライバーによる前記車両の運転操作を制限する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記取引表示制御手段は、前記関心度が高いと判定された前記視認先物体の訂正要否を促す訂正要否入力情報を表示する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の注視対象物の関心を判定した後に取引処理を実行する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動手段としての自動車は利便性に優れており、自動車に乗車して様々な場所に出向くことが可能となっている。このとき乗員は、ドライブ中に興味を惹く物が存在すれば、その注視対象に注視することも多い。
【0003】
このとき、例えばスマートフォンに搭載されたGPSやカメラの向きなどからユーザー(乗員)の位置と見ている方向を推定し、このカメラで撮影した撮影情報(建物など)などに対して広告などを重畳させる発明が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012−527053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献に限らず現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えず以下に述べる課題が存在する。たしかに上記した特許文献1によれば、実際の広告物や看板などが存在しなくとも広告物を乗員に提示することが可能となっている。
しかしながら、今後は自動運転化が進むことも想定されており、例えばドライバーなどは乗車中において運転以外に使用できる時間も確保できるようになる。一方でドライブ中に興味を惹く注視対象に遭遇した場合、単に広告を提示するだけではユーザーニーズを満足できない場合もあり得る。
【0006】
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、興味を惹く注視対象に遭遇した場合に、乗員に対してより利便性の向上したサービスを提示可能な車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態における車両の制御装置は、(1)ドライバーが視認する視認先物体を検出する視認先物体検出手段と、検出された前記視認先物体に対する前記ドライバーの関心度を判定する関心度判定手段と、表示手段に対し、前記関心度が高いと判定された前記視認先物体の情報を表示させるとともに、当該視認先物体に関する取引処理を実行する取引表示制御手段と、を備える。
【0008】
なお、上記した(1)に記載の車両の制御装置においては、(2)前記ドライバーの運転負荷を検出する運転負荷検出手段と、をさらに備え、前記取引表示制御手段は、検出された前記運転負荷に応じて前記取引処理の実行を制限することが好ましい。
【0009】
また、上記した(1)又は(2)に記載の車両の制御装置においては、(3)前記車両の運転状況を検出する運転状況検出手段と、をさらに備え、前記取引表示制御手段は、検出された前記車両の運転状況に応じて前記取引処理の実行を制限することが好ましい。
【0010】
また、上記した(1)〜(3)のいずれかに記載の車両の制御装置においては、(4)前記車両の駆動制御を行う車両制御部をさらに備え、前記車両制御部は、前記取引処理が実行されている間の少なくとも一期間に、前記ドライバーによる前記車両の運転操作を制限することが好ましい。
【0011】
また、上記した(1)〜(4)のいずれかに記載の車両の制御装置においては、(5)前記取引表示制御手段は、前記関心度が高いと判定された前記視認先物体の訂正要否を促す訂正要否入力情報を表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、興味を惹く注視対象に遭遇した場合に、乗員に対してより利便性の向上したサービスを提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における車両のシステム構成図である。
図2】第1実施形態における注視イベント処理方法を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態における注視イベント処理方法における取引画面の例である。
図4】第1実施形態における注視イベントを保存したデータベースの構成例である。
図5】第2実施形態における車両のシステム構成図である。
図6】第2実施形態における注視イベント処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための好適な実施形態について説明する。また、以下で詳述する以外の構成については、車載カメラや各種の車両センサを含む公知の車両構造や撮像システムを適宜補完してもよい。例えば乗員の視線検出や注視領域の判定には、本実施形態の趣旨と相反しない限りにおいて、例えば上記した特許文献1や特開2008−018853号公報、特開2013−255168号公報などで例示される公知の検出・判定技術を適用することができる。
【0015】
[第1実施形態]
<車両のシステム構成>
図1に、第1実施形態における制御装置CTLを含む車両のシステム構成図を示す。
本実施形態の制御装置CTLは、車両に搭乗しているドライバーなど乗員の注視対象を検出する機能を有し、例えば二輪駆動または四輪駆動の車両に搭載されて、後述する撮像装置VRによって車外の画像を自動撮影する機能などを有している。
【0016】
ここで、本実施形態でいう「注視対象」とは、ドライバーなどの車両に搭乗する乗員が注目している車外又は車内における視認先物体(物や人など対象物)を言う。なお本実施形態の「注視対象」には、例えばHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やスマートグラスを介して乗員が視認する仮想空間上の対象物も含まれる。換言すれば、本明細書の「視認先物体」とは、人がその視覚を通じて感知し得る現実の空間又は仮想空間上における物や人などの物体と定義される。また、「注視イベント」とは、上記した注視対象のうち、後述する判定閾値を超える時間だけ上記乗員が注目して興味を有すると推定された視認先物体のことを言う。
【0017】
より具体的に本実施形態の車両は、上記した制御装置CTL、撮像装置VR、提示装置DS、外部通信装置CS、センサ類SR、ナビゲーション装置NSおよび保存装置MRなどを含んで構成されている。なお、以下では本実施形態に適用可能な車両の好適例として、例えば電気自動車やハイブリッド車などの四輪自動車を例にして説明する。
【0018】
撮像装置VRは、本実施形態では車外カメラVRと車内カメラVRを含んでいる。このうち車外カメラVRは、一又は複数個からなる公知の車外撮影用の車載カメラである。かような車外カメラVRは、車外の全方位を撮影できるようにそれぞれパン機構やチルト機構など公知の傾斜機構を有することが望ましい。なお傾斜機構は必ずしも必須ではなく、例えば前後左右をそれぞれ独立で撮像可能なように複数の広角カメラによって撮像装置VRを構成してもよい。
【0019】
また、車内カメラVRは、乗員の顔を撮像するための1又は複数のカメラからなる。各乗員の視線を確実に検出するためには、運転席用、助手席用、左後部座席用、右後部座席用といったように、乗員各人に対応するように複数の車内カメラVRが設置されることが好ましい。かような車外カメラVRは、可視光または赤外線によって個々の乗員の顔画像を取得する公知の車内カメラを適用することができる。
【0020】
提示装置DSは、本実施形態では車載される公知のスピーカSPとディスプレイDPを含んで構成されている。このうちディスプレイDPは、後述するナビゲーション装置NSのモニターと兼用されていてもよい。また、本実施形態の提示装置DSは、乗員の有するスマートフォンなどの携帯機器と近距離無線通信が可能なように構成されていてもよい。
【0021】
これにより、提示装置DSは、乗員のスマートフォンなどを介して後述する注視イベントやその取引処理を提示することも可能となる。
なお本実施形態では、提示装置DSとして、上記に加え又は代えて、乗員が装着可能な公知のヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートグラスあるいはヘッドアップディスプレイ(HUD)を適用してもよい。このように仮想空間を利用する場合には、広告などの視認先物体を任意の場所に表示できることから、例えば当該視認先物体を車内(例えばフロントピラーの内張やルーフの内張など)に提示してもよい。
【0022】
外部通信装置CSは、例えば上記スマートフォンを利用したパケット通信や、コネクテッドのサービスに代表される次世代の自動車無線通信技術を利用して外部との各種の情報通信を行うことができる公知の通信装置が例示できる。これにより、例えばインターネットなどのネットワークNETを介して後述する注視イベントを車外へ送信することも可能となっている。
【0023】
センサ類SRは、それぞれ公知の、車両の速度を検出する速度センサや加速度を検出する加速度センサ、あるいはステアリングの切れ角(操舵角)を検出する操舵角センサなどが含まれる。また、例えばステアリングなど車両装備に搭載可能な公知の生体センサも上記したセンサ類SRに含まれており、かような生体センサの検出結果に基づいて後述する乗員の興味度合いの高低を推定することも可能となっている。
【0024】
ナビゲーション装置NSは、車両の位置情報を取得するためのGPS装置や、地域名称や建物などのマップ情報が内蔵されている。したがって、後述する注視イベントの属性検出においては、例えばこのマップ情報に保存されたジャンル情報(人気スポット、レジャー施設、レストランやコンビニなど)を用いて注視イベントの属性を決定することができる。
保存装置MRは、例えば公知のハードディスクドライブや不揮発性メモリなどが例示でき、注視イベントを必要に応じて一時的に記録することが可能な手段である。
【0025】
次に、車両に搭載されて後述する注視イベント取引処理などを実行可能な制御装置CTLの構成について詳述する。
図1に示されるとおり、第1実施形態における制御装置CTLは、視線検出部10、注視判定部20、関心度判定部30、および取引実行/表示制御部70を含んで構成されている。
【0026】
視線検出部10は、乗員(例えばドライバー)が上記した現実の空間や仮想空間で視認する視認先物体(注視対象)を検出する視認先物体検出手段として機能する。より具体的に、上記した現実の空間の場合、視線検出部10は、上述した車内カメラVRを用いて取得した乗員(例えばドライバー)の顔画像から視線の方向を抽出する。かような乗員の視線検出については、公知の視線追跡技術が適用できる。一方で上記した仮想空間の場合には、視線検出部10は、HMDやスマートグラスからの視線情報を受信して乗員が視認する視認先物体を検出することができる。
【0027】
かような視線追跡技術としては、例えば特開2013−255168号公報でも説明されているとおり、「小野泰弘,岡部孝弘,佐藤洋一,“低解像度画像からの視線方向推定”,電子情報通信学会論文誌,Vol.J90-D,No.8,p.2212-2222,2007」などを参照できる他、顔面の特徴点抽出を用いた視線検出など既存の技術を利用することができる。
以下では乗員の一例としてドライバーを例示するが、本発明はドライバーに限られず助手席や後部座席に乗車する乗員に対しても適用が可能である。
【0028】
注視判定部20は、制御装置CTL内の不図示の閾値決定部が決定した判定閾値に基づいて、そのときの注視対象が注視イベントであるかを判定する。例えば後述する関心度判定部によって判定閾値が「t秒」に設定された場合、注視判定部20は、乗員の注視時間がt秒を超えたときに当該注視対象を注視イベントであると判定する。これにより、乗員が興味を示した注視対象を注視イベントとしてより適切に判定することが可能となる。
【0029】
関心度判定部30は、乗員が注視する注視対象に興味を示したか否かを判定する機能を有している。より具体的に本実施形態の関心度判定部30は、乗員が所定時間だけ注視対象を注視した場合に、その注視対象に対して乗員が興味を有していると推定する。かような所定時間を、本実施形態では関心度判定部30が決定する「判定閾値」として定義している。
このように、本実施形態の注視判定部20及び関心度判定部30は、検出された視認先物体(注視対象)に対する乗員の関心度を判定する関心度判定手段として機能している。
【0030】
なお関心度判定部30は、例えば車速センサなどのセンサ類SRからの信号に基づいて、上記した判定閾値を相対的に可変させてもよい。例えば高速道路を走行しているときなど車速が比較的高速のときは判定閾値を短く設定し、一般道を走行しているときなど車速が比較的低速のときは基準値(上記ではt秒)とすることができる。これにより、例えば高速移動時などで、乗員が実際に興味を示した注視対象を漏らしてしまうことなどが抑制できる。
【0031】
取引実行/表示制御部70は、取引表示制御手段として、表示手段としての提示装置DSに対し、前記した関心度が高いと判定された視認先物体(注視イベント)の情報を表示させるとともに、当該視認先物体に関する取引処理を実行する機能を有している。かような「取引処理」としては、例えば注視イベントの種類(興味を有する視認先物体)に応じて種々設定できる。
【0032】
一例として、注視イベントがレストランであれば、取引処理としては予約処理が挙げられる。また、注視イベントが物品の販売店であれば当該物品の購入処理が挙げられる。このように、本実施形態の制御装置CTLは、注視イベントの種類に応じて当該注視イベントに関する決済処理を変更する機能を有している。
【0033】
取引実行/表示制御部70は、前記した注視イベント及びその取引処理を乗員に対して提示装置Pを介して提示する。より具体的に、本実施形態の取引実行/表示制御部70は、上記したHMD、HUD、スピーカSPおよびディスプレイDPの少なくとも1つを介して注視イベントおよびその取引処理を乗員に対して提示することができる。
【0034】
換言すれば、取引実行/表示制御部70は、注視イベントの提示態様として、注視イベントを音声及び画像で表示すること、音声又は画像のいずれかで表示すること、音声及び画像で表示せず保存装置MRに保存すること、のうちのいずれかを選択することができる。かような注視イベントおよびその取引処理の提示態様を、画像も伴って表示する一例として図3に示す。
【0035】
なお、このとき取引実行/表示制御部70は、注視イベントを注視した乗員だけでなく、車両に乗車している他の乗員にも同時に注視イベントを提示してもよい。また、取引実行/表示制御部70は、上記に加え又は代えて、乗員の有するスマートフォンなどの携帯機器に対して近距離無線通信を介して上記した注視イベントを提示してもよい。
【0036】
また、取引実行/表示制御部70は、上記した注視イベントを、保存装置MRに保存する機能を有していることが好ましい。これにより、乗員が興味をもって注視した注視イベントを、事後的に確認し、あるいは他者と共有することが可能となる。かような注視イベントの保存装置MRへの記録態様の一例を図4に示す。
【0037】
同図に示すとおり、それぞれの注視イベントには、個別の識別ID、発生した日付、注視イベントの内容(注視イベント情報)、および、当該注視イベントを注視した注視人物情報が保存されている。なお、図4に示すデータベースの構成例は一例であって、例えば時刻情報など他の付加情報をさらに加えてもよい。なお、注視人物情報は、例えば上記した車内カメラVRを用いて顔認識を行った後で識別IDを付与するようにしてもよい。これにより、車両に乗車した乗員にそれぞれ人物情報として識別IDを自動的に付与することができる。
【0038】
<注視イベント処理方法>
次に図2〜4もさらに参照しつつ、第1実施形態における注視イベント処理方法について説明する。
本実施形態では、自動車などの車両に乗車する乗員(例えばドライバー)の視線を上記のごとく検出することで、乗員の車内または車外における視認先物体(注視対象)を捕捉する。その後に、上記した判定閾値を用い、乗員が注視する注視対象が興味を有する注視イベントであるとするか否かを決定するとともにその取引処理をも実行することに特徴がある。
以下では、乗員が現実の空間で車外の視認先物体を注視する場合を例にして説明するが、上記したとおりスマートグラスなどを介した仮想空間上における視認先物体のケースにも同様に適用できることは言うまでもない。
【0039】
すなわち、まずステップ1では、上記した視線検出部10(視認先物体検出手段)を用いて、乗員の視線を検出する。より具体的には、上述のとおり車内カメラVRによって乗員の視線を捕捉する。なお本ステップ1において、車両内に乗員が複数存在する場合には、乗員ごとに視線を検出してもよい。以下では、例えば乗員の一例として車両のドライバーを例にして説明を継続する。
【0040】
次いでステップ2では、上記した注視判定部20を用いて、乗員が注視対象を注視しているか判定する。より具体的には、例えば上記した特開2013−255168号公報に開示された手法と同様にして、注視対象を特定する。
【0041】
なお、このときナビゲーション装置NSのマップ情報と車両の位置情報なども参照して、乗員が注視する注視対象の候補を絞り込んでいってもよい。また、このステップ2で、視線が所定範囲に定まらず離散的に動くなど注視対象がないと判定される場合には、ステップ1に戻って視線検出から処理を改めて行う。
【0042】
そしてステップ2で乗員が注視対象を注視していると判定された場合には、続くステップ3で当該注視対象が新たな対象であるかが判定される。例えば本処理を開始した初期の場合には過去の注視対象はないので、ステップ4に進む。
【0043】
一方で、例えば後述するステップ5で判定閾値に到達していないとしてステップ1から再度処理を繰り返した場合には、このステップ3で注視対象が新たな対象に移っていない場合にはステップ4を経ずにステップ5へと進む(ステップ3でNoの場合)。
【0044】
ステップ4では、上記した注視判定部20及び関心度判定部30などを用いて、上記した注視対象を注視イベントとして決定するかが判定される。より具体的に制御装置CTLは、関心度判定部30で決定した判定閾値を用い、乗員が判定閾値を超えて視認先物体を注視したか否かが判定される。
【0045】
そして上記した乗員が注視対象を注視してから判定閾値に到達した場合(ステップ5でYes)には、その注視対象は乗員が興味をもって注視した注視イベントであると決定される。なお、このとき制御装置CTLは、上記したとおり車速情報などから得られる車両の走行状況に応じて判定閾値を可変させてもよい。
【0046】
一方でステップ5において上記した乗員が注視対象を注視してから判定閾値に到達していない場合(ステップ5でNo)には、ステップ1に戻って上記した処理が繰り返される。このとき乗員の注視対象に変化がなければ、ステップ1からステップ3を経由して再びステップ5で判定閾値に到達したかが判定される。
【0047】
そしてステップ5において注視対象が注視イベントであると決定された場合には、続くステップ6において、注視イベントとして決定された興味度合いの高い視認先物体は取引処理が可能かどうか判定される。より具体的には、制御装置CTLは、例えば上記したマップ情報や車外カメラの撮像情報から、視認先物体の情報を検出する。
【0048】
そしてこの検出の結果、例えば視認先物体がレストランなど役務の提供がある施設や商品の提供が可能である施設であると判定された場合にはステップ7−Aへ移行する。一方で制御装置CTLは、例えば上記したマップ情報や車外カメラの撮像情報から視認先物体が上記施設以外(例えば人物など)であると判定された場合には、ステップ7へ移行して図4で例示したごとき注視イベントの保存処理を行う(ステップ7−B)。
【0049】
ステップ7−Aでは、取引表示制御手段としての取引実行/表示制御部70は、上記した注視イベントを提示してその取引処理を実行する。より具体的に、例えば注視イベントがレストランである場合には図3に例示する取引画面71を表示してその予約処理が実行される。
【0050】
なお本実施形態の取引画面71には、一例として、注視イベントID72(図4も参照)、注視イベント情報73(図4も参照)、取引処理内容74、予約日時情報75および実行要否情報76が例示されている。しかしながら予約画面の例は上記に限られず、例えば注視イベントの詳細情報など公知の他の付加的情報が提示されていてもよい。
【0051】
ステップ8では、例えば車両が目的地に到達するなどして運転が終了したか否かが判定され、未だOFFとなっていない場合(ステップ8でNo)にはステップ1へと戻って上記した処理を継続するとともに、OFFとなった場合(ステップ8でYes)には処理を終了する。
【0052】
以上説明した本実施形態の注視イベント処理方法によれば、乗員が注視する注視対象が興味を有する注視イベントであると判定されるに留まらず、その注視イベントに関する取引処理も実行されることで、より乗員の利便性が向上された車内サービスが実現できる。
【0053】
なお、本実施形態の取引実行/表示制御部70は、判定された注視イベントを乗員に対して提示装置DSを介して即座に提示した。しかしながら提示態様として、上記したとおり注視イベントを即時提示するに留まらず、例えばステップ8でも保存装置MRに一時的に保存し停車中などにタイムシフトして提示してもよいし、乗員のスマートフォンなどに注視イベントに関する情報を転送して任意の時間で提示してもよい。
【0054】
[第2実施形態]
次に図5及び図6を参照しつつ、第2実施形態における制御装置CTLを含む車両のシステム構成について説明する。本実施形態では、ドライバーの運転負荷を考慮して注視イベントの取引処理が制限され得る点、及び車両の運転状況が考慮されて注視イベントの取引処理が制限され得る点の少なくとも1つをさらに有することに主とした特徴がある。よって、以下では、既述した第1実施形態と同じ機能を有する構成には、同じ参照番号を付して適宜その説明は省略する。
【0055】
まず図5に示すとおり、本実施形態の制御装置CTLは、上記した第1実施形態の構成に加え、運転負荷判定部40、走行状況判定部50および車両制御部60を有している。なお、本実施形態の制御装置CTLは、上記した運転負荷判定部40、走行状況判定部50および車両制御部60をすべて同時に具備する必要はなく、これらのうち少なくとも1つの構成を備えていればよい。
【0056】
運転負荷判定部40は、ドライバーの運転負荷が高いか否かを判定する機能を備える。なおドライバーの運転負荷の検出方法としては、例えば特開2010−079844号公報や特開2016−179164号公報に例示されるごとき公知の検出手法が適用できる。
このように本実施形態の制御装置CTLは、ドライバーの運転負荷を検出する運転負荷検出手段としての運転負荷判定部40をさらに備えていてもよい。そして取引表示制御手段としての取引実行/表示制御部70は、この運転負荷に応じて取引処理の実行を制限するように構成されていてもよい。
【0057】
具体的に取引実行/表示制御部70は、注視イベントの種類によって提示の有無(表示制限)や提示のタイミング、あるいは提示する位置などに制限を加えてもよい。一例として例えば、取引実行/表示制御部70は、交通標識(制限速度など)は常に表示させるが、ドライバーの運転負荷が高いと判定された状態では注視イベントを提示せず運転負荷が下がったときに提示してもよい。
【0058】
走行状況判定部50は、上記したセンサ類SR、ナビゲーション装置NSあるいは外部通信装置CSからの走行状況情報に基づいて、乗員(ドライバーなど)が注視イベントに注視すべきでない運転重視状況であるか否かを判定する。かような運転重視状況としては、例えば見通しの悪いカーブや交差点、人込みの多い地域や時間帯、あるいは豪雨や降雪時などの走行状況情報で得られた状況下にあるときが例示できる。
【0059】
このように本実施形態の制御装置CTLは、車両の走行状況を検出する走行状況検出手段としての走行状況判定部50をさらに備えていてもよい。そして取引表示制御手段としての取引実行/表示制御部70は、この走行状況に応じて例えば運転重視状況である場合には取引処理の実行を制限するように構成されていてもよい。
【0060】
車両制御部60は、車両の駆動制御を行う機能を有している。より具体的に車両制御部60は、車両を自動運転制御とするか運転者による手動運転にするかを切り換える機能を有している。したがって、例えば上記した運転負荷判定部40又は走行状況判定部50の判定結果に基づいて、車両制御部60は、車両の駆動制御を異ならせることができる。
【0061】
一例として、例えば運転負荷判定部40によってドライバーの運転負荷が高いと判定される場合に、車両制御部60は、例えばハンドル操作のアシストを実行するなどして車両の駆動制御の少なくとも一部を自動運転に切り替える駆動制御を行ってもよい。
【0062】
次に図6もさらに参照しつつ第2実施形態における注視イベント処理方法について説明する。なお、本実施形態の注視イベント処理方法のうちステップ1〜ステップ6までは上記第1実施形態と同様であるのでその説明は省略する。
【0063】
そして本実施形態の注視イベント処理方法では、上記したように注視イベント(興味のある視認先物体)の取引処理が可能である場合に、以下の少なくとも1つの処理を行う。
すなわちまずステップαでは、制御装置CTLの運転負荷判定部40は、ドライバーの運転負荷が所定値以上であるかを判定する。そしてドライバーの運転負荷が所定値以上の場合(ステップαでYes)、すなわちドライバーが疲労していると推定される場合には注視イベントの取引処理は行わずに注視イベントの保存処理だけ実行する(ステップ7−B)。
【0064】
そしてステップαでドライバーの運転負荷が所定値以上でない場合には、続くステップβで運転状況が上記した運転重視状況であるか否かが判定される。そして、例えば見通しの悪い交差点などに車両が差し掛かっている場合などの運転重視状況である場合(ステップβでNo)には、注視イベントの取引処理は行わずに注視イベントの保存処理だけ実行する(ステップ7−B)。
【0065】
一方でステップβにおいて運転状況が上記した運転重視状況でないと判定される場合には、続くステップ7−Bに移行して上記第1実施形態で説明した注視イベントの取引処理が引き続いて実行される。
【0066】
なお上記の説明では、車両制御部60は、ドライバーの運転負荷が高い場合や運転重視状況である場合などに車両の駆動制御の少なくとも一部を自動運転に切り替える駆動制御を行っていた。しかしながら本発明は、上記形態に限定されず、例えばドライバーの運転負荷が高くないときや運転重視状況でない場合にも上記した少なくとも一部を自動運転に切り替える駆動制御を行ってもよい。
【0067】
すなわち本実施形態の制御装置CTLは、前記した車両の制御を行う車両制御手段としての車両制御部60を備えていてもよい。そしてこの車両制御部60は、前記した取引実行/表示制御部70によって取引処理が実行されている間の少なくとも一期間に、ドライバーによる車両の運転操作の少なくとも一部を制限してもよい。
【0068】
以上説明した第2実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の効果を得ることができ、さらにはドライバーの運転負荷や車両の走行状況に応じて柔軟な注視イベントの取引処理が実行できる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば上記した各実施形態に対して更なる修正を試みることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
例えば上記した第1実施形態や第2実施形態では、上記した関心度判定手段によって乗員(ドライバーなど)の関心度の高い視認先物体を注視イベントと見做して判定していた。しかしながら本発明は、この形態に限られず、取引実行/表示制御部70(取引表示制御手段)は、いったん注視イベント(関心度が高いと判定された視認先物体)の訂正要否を促す訂正要否入力情報を提示装置DSに表示するように構成されていてもよい。これにより、判定された注視イベントが乗員にとって真に関心度が高いものであるかの訂正処理を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
CTL 制御装置
10 視線検出部
20 注視判定部
30 関心度判定部
40 運転負荷判定部
50 走行状況判定部
60 車両制御部
70 取引処理/表示制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6