【解決手段】検出領域内におけるアクティブペンの位置を検出するためのICに接続されるセンサパネル5であって、それぞれx方向に延在し、y方向に並べて検出領域内に配設される複数の線状電極5yと、複数の線状電極5yのそれぞれに対応して設けられ、対応する線状電極5yに接続される複数の配線Lyと、複数の配線Lyのそれぞれに対応して設けられ、対応する配線LyとICとを互いに接続する複数の端子とを備え、複数の配線Lyはそれぞれ、y方向に見て、対応する線状電極5yとの接続点よりも上記複数の端子から遠い領域に形成された延長線Ly_eを含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態による電子機器1及びアクティブペン10の構成を示す図である。また、
図2は、
図1に示したA−A線に対応する電子機器1の断面図である。
【0022】
本実施の形態による電子機器1は例えばタブレット型のコンピュータであり、
図1に示すように、ホストコントローラ2、表示パネル3、センサコントローラ4、及びセンサパネル5を有して構成される。
【0023】
ホストコントローラ2は、プロセッサ及びメモリ(ともに図示せず)を有するコンピュータであり、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、図示した表示パネル3及びセンサコントローラ4を含む電子機器1の各部の制御、描画用のアプリを含む各種のアプリの実行などの各種処理を行う。メモリには、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメインメモリと、フラッシュメモリなどの補助記憶装置とが含まれる。
【0024】
表示パネル3は、
図2に示すように、複数の画素及びその駆動回路(ともに図示せず)を含む液晶モジュール21と、液晶モジュール21の側面及び下面を覆うメタルフレーム22とを有する装置である。駆動回路は、ホストコントローラ2の制御を受けて各画素を駆動することによって、表示パネル3上に任意の表示を行う回路である。表示パネル3の具体的な例としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどが挙げられる。
【0025】
表示パネル3の表面には、
図1に示すように、表示領域3a及びベゼル領域3bが設けられる。表示領域3aは液晶モジュール21内の各画素がマトリクス状に配置される矩形の領域である。ベゼル領域3bは、表示領域3aの外側を囲むように配置される領域であり、液晶モジュール21内の駆動回路と、各画素を駆動回路に接続する配線(図示せず)とが配置される。
【0026】
センサコントローラ4及びセンサパネル5は、ホストコントローラ2に対する入力装置である。このうちセンサパネル5は、
図2に示すように、表示パネル3側から順に、OCA(Optical Clear Adhesive) やOCR(Optical Clear Resin)などの透明粘着剤である粘着シート23、フィルム24、OCAである粘着シート23、及びカバーガラス26が積層された構成を有している。
【0027】
フィルム24の上面には、粘着シート25によって、複数の線状電極5xと、各線状電極5xを後述するFPC接続端子Tに接続するための複数の配線Lx(
図2には示していない)と、グランド電位などの特定の電位に接続される1以上のガード配線LGとが固定される。また、フィルム24の下面には、粘着シート23によって、複数の線状電極5yと、各線状電極5yをFPC接続端子Tに接続するための複数の配線Lyと、1以上のガード配線LGとが固定される。必要な場合には、フィルム24の上面に形成された配線と、フィルム24の下面に形成された配線とを、フィルム24を貫通するビア電極によって相互に接続することとしてもよい。
【0028】
カバーガラス26の上面は、アクティブペン10又はユーザの指でタッチするための平面であるタッチ面26aを構成する。このカバーガラス26を含むセンサパネル5の各構成部材は、すくなくとも表示領域3a内においては、ユーザがセンサパネル5を通して表示パネル3の表示領域3aを観ることができるよう、透明材料あるいは光が透過するように配置密度が設計された非透明材料によって構成される。
【0029】
センサパネル5の表面には、
図1及び
図2に示すように、検出領域5a及び配線領域5bが設けられる。検出領域5aは、各複数の線状電極5x,5yを用いた位置検出(詳しくは後述する)が可能となる矩形の領域であり、
図1に示すように、表示領域3aに比べて若干大きな面積となるように構成される。配線領域5bは、検出領域5aの外側を囲むように配置される領域であり、その中に、上述した複数の配線Lx、複数の配線Ly、及び1以上のガード配線LGと、これらをセンサコントローラ4に接続するための複数のFPC接続端子Tとが配置される。複数のFPC接続端子Tは、
図1に示すように、長方形であるセンサパネル5のx方向に平行な一辺に沿って並べて配置される。
【0030】
図1に示すように、複数の線状電極5xはそれぞれy方向(検出領域5a内の方向。第2の方向)に延在しており、x方向(検出領域5a内においてy方向と交差(直交)する方向。第1の方向)に等間隔で配置される。また、複数の線状電極5yはそれぞれx方向に延在しており、y方向に等間隔で配置される。複数の線状電極5x,5yの一方を液晶モジュール21内の共通電極(図示せず)と共用してもよく、そのように構成した電子機器1は「インセル型」と呼ばれる。なお、
図1及び後掲の各図では、図面を分かりやすくするために各17本の線状電極5x,5yのみを示しているが、実際にはより多数の線状電極5x,5yが配置される。
【0031】
センサコントローラ4は、プロセッサ及びメモリ(ともに図示せず)を有するICであり、図示しないフレキシブルプリント回路(FPC)基板上に設けられる。このフレキシブルプリント回路基板は、センサパネル5の配線領域5b内に配置された複数のFPC接続端子Tと圧着され、この圧着を通じて、センサコントローラ4とセンサパネル5内の各配線とが電気的に接続される。
【0032】
センサコントローラ4は、機能的には、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、タッチ面26a上におけるアクティブペン10及びユーザの指(図示せず)の指示位置を検出するとともに、アクティブペン10が送信したデータ信号を受信可能に構成される。アクティブペン10の指示位置の検出は、静電容量方式又はアクティブ静電結合方式により実行される。また、ユーザの指の位置の検出は、静電容量方式により実行される。
【0033】
静電容量方式は、複数の線状電極5x,5yと、アクティブペン10のペン先の近傍に設けられたペン電極(図示せず)又はユーザの指との間に生ずる静電容量の変化に基づいて、それぞれの指示位置を取得する方式である。静電容量方式による位置検出を行う場合、センサコントローラ4は、所定の検出用信号を複数の線状電極5xのそれぞれに順次供給し、その都度、複数の線状電極5yそれぞれの電位を測定する。ある線状電極5xと線状電極5yの交点にペン電極又はユーザの指が接近している場合、その線状電極5xからその線状電極5yに向かって流れる電流の一部がユーザの人体に向かって流れ出るため、その線状電極5yについて測定される電位が小さくなる。センサコントローラ4は、この電位の変化を利用して指示位置の検出を行う。
【0034】
アクティブ静電結合方式は、アクティブペン10が送信したペン信号をセンサパネル5により受信し、その結果に基づいてアクティブペン10の指示位置を検出する方式である。ペン信号には、上述したように、無変調のバースト信号である位置信号と、アクティブペン10に関連する各種データを示すデータ信号とが含まれる。各種データには、アクティブペン10のペン先にかかる圧力を示す筆圧データなどが含まれる。
【0035】
アクティブ静電結合方式による指示位置の検出を行う場合、センサコントローラ4は、複数の線状電極5x,5yのそれぞれで位置信号を受信し、その結果に基づいてアクティブペン10の指示位置を検出する。より具体的には、センサコントローラ4は、複数の線状電極5xのそれぞれで受信した位置信号の受信強度を所定の補間法を用いて補間することによって指示位置のx座標を導出し、かつ、複数の線状電極5yのそれぞれで受信した位置信号の受信強度を所定の補間法を用いて補間することによって指示位置のy座標を導出するよう構成される。また、センサコントローラ4は、複数の線状電極5x,5yのうち検出した指示位置に最も近いものを用いて、アクティブペン10が送出したデータ信号の検出を行う。
【0036】
センサコントローラ4による指示位置の検出について、より詳しく説明する。本実施の形態によるセンサコントローラ4は、複数の線状電極5x,5yにほぼ共通に発生するノイズ(例えば、表示パネル3で発生するノイズ)の影響を低減するため、上述した差動増幅器を用いる方法(差動法)により、アクティブペン10及びユーザの指の指示位置を検出するよう構成される。
【0037】
具体的に説明すると、まず静電容量方式による検出を行う場合、センサコントローラ4は、複数の線状電極5xのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5xを含む1以上の互いに隣接する線状電極5xに上記所定の検出用信号を供給し、その状態で、複数の線状電極5yのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5yと、着目した線状電極5yから所定本数(0本を含む)分離れて配置される他の線状電極5yとを、それぞれ差動増幅器の非反転入力端子と反転入力端子とに接続する。そして、差動増幅器の出力信号の電位により、アクティブペン10又はユーザの指の指示位置の検出を行う。
【0038】
次にアクティブ静電結合方式による検出を行う場合、センサコントローラ4は、例えばx座標の検出を行う際には、複数の線状電極5xのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5xと、着目した線状電極5xから所定本数分(0本を含む)離れて配置される他の線状電極5xとを、それぞれ差動増幅器の非反転入力端子と反転入力端子とに接続する。そして、差動増幅器の出力信号の電位により、アクティブペン10の指示位置のx座標の検出を行う。同様に、例えばy座標の検出を行う際には、複数の線状電極5yのそれぞれに順次着目し、着目した線状電極5yと、着目した線状電極5yから所定本数(0本を含む)分離れて配置される他の線状電極5yとを、それぞれ差動増幅器の非反転入力端子と反転入力端子とに接続する。そして、差動増幅器の出力信号の電位により、アクティブペン10の指示位置のy座標の検出を行う。
【0039】
このような差動法を用いた検出によれば、静電容量方式及びアクティブ静電結合方式のいずれにおいても、差動増幅器が複数の線状電極5x,5yに共通に発生するノイズをキャンセルする役割を果たすので、センサコントローラ4は、ノイズに影響されることなく正確に、指示位置を検出することが可能になる。
【0040】
センサコントローラ4は、以上のようにして検出したアクティブペン10及びユーザの指の指示位置を示す座標と、アクティブペン10から受信したデータ信号に含まれる各種データとを、ホストコントローラ2に対してレポートするよう構成される。また、センサコントローラ4は、アクティブペン10から受信される筆圧データに基づいて、アクティブペン10がタッチ面に接触したことを示すペンダウン情報と、アクティブペン10がタッチ面から離れたことを示すペンアップ情報との取得を行い、それぞれのタイミングでホストコントローラ2に対してレポートするよう構成される。
【0041】
ホストコントローラ2は、センサコントローラ4から座標が入力されたことを受けて、ポインタの表示及びインクデータの生成の少なくとも一方を行う。このうちポインタの表示は、表示パネル3の表示領域3a上の入力された座標と対応する位置に、所定のポインタ画像を表示することによって行う。
【0042】
インクデータは、センサコントローラ4から順次供給される複数の座標のそれぞれによって構成される制御点と、各制御点の間を所定の補間曲線によって補間してなる曲線データとを含むデータである。ホストコントローラ2は、ユーザの指については、座標の入力が開始されたことを契機としてインクデータの生成を開始し、座標の入力が終了したことを契機としてインクデータの生成を終了する。一方、アクティブペン10については、ペンダウン情報が入力されたことを契機としてインクデータの生成を開始し、ペンアップ情報が入力されたことを契機としてインクデータの生成を終了する。なお、アクティブペン10についてインクデータを生成する際には、ホストコントローラ2は、アクティブペン10から受信される筆圧データなどに基づき、インクデータを構成する曲線データの幅及び/又は透明度の制御も行う。ホストコントローラ2は、生成したインクデータのレンダリングを行って表示パネル3に表示させるとともに、生成したインクデータを自身のメモリに記憶させる。
【0043】
図3は、
図1に示したセンサパネル5の約半分を拡大してなる図である。図示していない部分は、x方向の中心線を対称軸として、図示した部分と線対称な構成を有している。
【0044】
図3に示すように、複数の配線Lx(第2の配線)は複数の線状電極5xのそれぞれに対応して設けられ、対応する線状電極5xのy方向の一端に接続される。また、複数の配線Ly(第1の配線)は複数の線状電極5yのそれぞれに対応して設けられ、対応する線状電極5yのx方向の一端に接続される。なお、
図3の例では1つの線状電極5yに対して2本の配線Lyが設けられており、この2本の配線Lyはそれぞれ、対応する線状電極5yのx方向の一端及び他端に接続される。ただし、配線Lxと同様に、1つの線状電極5yに対して1本の配線Lyを設けることとしてもよい。
【0045】
複数の配線Lx,Lyはそれぞれ、対応する線状電極との接続点の近傍を除き、基本的には等ピッチで平行に延設される。このように平行に延設するのは、隣接する配線間に発生する静電容量を均一にするためである。なお、
図3の例では、配線Lx,Lyのそれぞれにつき、第1のピッチP1(=線幅W1+線間スペースS1)で延設される部分(符号A,Bで示した部分)と、第1のピッチP1より小さい第2のピッチP2(=線幅W2+線間スペースS2)で延設される部分(符号A,Bで示した部分以外の部分)とを設けているが、これは本発明の第2の側面に関わる本発明に特徴的な構成であり、後ほど詳細に説明する。
【0046】
複数のFPC接続端子Tは、複数のFPC接続端子Tx(第2の端子)と、複数のFPC接続端子Ty(第1の端子)と、複数のFPC接続端子TGとを含んで構成される。複数のFPC接続端子Txは、複数の配線Lxのそれぞれに対応して設けられ、対応する配線Lxに接続される。複数のFPC接続端子Tyは、複数の配線Lyのそれぞれに対応して設けられ、対応する配線Lyに接続される。複数のFPC接続端子TGはそれぞれ、いずれかのガード配線LGに接続される。
【0047】
複数のFPC接続端子Txは、
図3に示した領域5by(配線領域5bのうち検出領域5aとy方向に隣接する領域。第2の配線領域)のx方向中央に、等間隔で配置される。また、複数のFPC接続端子Tyは、複数のFPC接続端子Txのx方向両側に、線状電極5yの本数と同じ数ずつ等間隔に配置される。FPC接続端子TGは、一連のFPC接続端子Txのx方向両側、及び、一連のFPC接続端子Tyのx方向両側に、それぞれ1つ以上配置される。複数のFPC接続端子Tがこのように配置されていることから、複数の配線Lxは領域5byのみに延設され、一方で、複数の配線Lyは、
図3に示した領域5bx(配線領域5bのうち検出領域5aとx方向に隣接する領域。第1の配線領域)から領域5byにかけて延設される。
【0048】
以下、本発明の第1〜第3の側面による実施の形態について、順次説明する。
【0049】
本発明の第1の側面は、表示パネル3の狭ベゼル化に伴い、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれる場合が生ずる、という問題を解決するものである。以下、
図3〜
図5を参照しながら、本発明の第1の側面による実施の形態について説明する。
【0050】
初めに、本発明の第1の側面に対応する背景技術の課題について、詳しく説明する。
【0051】
図5は、本発明の背景技術によるセンサパネル5の一部分を拡大した図である。同図に示すように、背景技術によるセンサパネル5に設けられる複数の配線Lyはそれぞれ、対応する線状電極5yに直接接続される基幹線Ly_cに対して0度でない角度(具体的には90度)をなして接続されるルーティング線Ly_rを有して構成される。なお、基幹線Ly_cも配線Lyの一部である。各ルーティング線Ly_rはy方向に平行な直線によって構成され、これにより、複数の配線Lyを等ピッチで平行に延設することが実現されている。
【0052】
背景技術においては、
図5に示すように、各基幹線Ly_cの長さが配線Lyごとに異なっている。より具体的には、接続される線状電極5yが
図2に示した領域5byに近い配線Ly(図示した配線Ly1)から遠い配線Ly(図示した配線Ly7)にかけて、基幹線Ly_cの長さが順に長くなっている。これは、各ルーティング線Ly_rをy方向に平行な直線によって構成しているためである。
【0053】
ここで、表示パネル3の狭ベゼル化が進展してベゼル領域3bが狭くなると、センサパネル5用の配線の一部をベゼル領域3b内に配置される導電性部品と重畳する位置に配置せざるを得ない場合が生じ得る。ここでいう導電性部品には、表示パネル3のメタルフレーム、無線LANのアンテナケーブル、カメラモジュールなど各種の部品が含まれ得る。
図5には、一例として、
図2にも示したメタルフレーム22の位置を破線で示している。
【0054】
センサパネル5用の配線が導電性部品と重畳する位置に配置されると、配線と導電性部品との間に静電容量が発生するため、配線を流れる電流の一部が導電性物質側に流れることになる。したがって、もし仮に配線ごとに導電性部品との重なりの程度が異なるとすると、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれる可能性がある。
【0055】
図5の例で言えば、図示した7本の配線Ly1〜Ly7のうち配線Ly3,Ly4のルーティング線Ly_rはその全体でメタルフレーム22と重畳しているのに対し、配線Ly1,Ly2,Ly5〜Ly7のルーティング線Ly_rはメタルフレーム22と全く重畳していない。このような場合、配線Ly3,Ly4を流れる電流がメタルフレーム22に大きく吸収されるのに対し、配線Ly1,Ly2,Ly5〜Ly7を流れる電流はメタルフレーム22にあまり吸収されない。したがって、配線Ly3,Ly4を通ってセンサコントローラ4に供給されるペン信号と、配線Ly1,Ly2,Ly5〜Ly7を通ってセンサコントローラ4に供給されるペン信号との間で、均一性が損なわれる結果となる。
【0056】
本発明の第1の側面によれば、このような均一性の毀損が防止される。以下、本発明の第1の側面におけるセンサパネル5の構成について、詳しく説明する。
【0057】
図4は、
図1に示したセンサパネル5の一部分(領域5bxの一部及びその近傍)を拡大した図である。ただし、同図は、
図1に示したセンサパネル5の構成要素から本発明の第2及び第3の側面にかかる構成要素を取り除いた模式的なものとなっている。
【0058】
図4に示すように、本実施の形態によるセンサパネル5では、複数の配線Lyそれぞれの基幹線Ly_cの長さが互いに略等しい値に設定される。ここで「略等しい値」というのは、配線Lyの形成時に生じ得る誤差(パターニングのずれなど)の範囲内で等しいことを意味する。また、複数の配線Lyそれぞれの基幹線Ly_cの長さを互いに略等しい値としつつも各配線Lyを互いに交差することなく配置可能とするため、各配線Lyのルーティング線Ly_rに、それぞれy方向に延在し、かつ、x方向の位置が互いに異なる複数の直線部分が設けられる。より具体的に言えば、
図4に示すように、各ルーティング線Ly_rが階段状に延設される。
【0059】
このような構成を採用することで、
図5に示した背景技術や特許文献2の
図1に記載の構成のように複数の配線Lyそれぞれの基幹線Ly_cの長さが互いに大きく異なる場合に比べ、本実施の形態では、複数の配線Lyのそれぞれと、ベゼル領域3b内に配置され得る導電性部品との重なりの程度を均質化することが可能になる。したがって、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれるという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0060】
この効果について、
図4の例を参照しながら具体的に説明すると、
図4の例では、図示した7本の配線Ly1〜Ly7のうち配線Ly3〜Ly7のそれぞれが、一部分ずつメタルフレーム22と重畳している。したがって、
図5の例に比べると、各配線Lyを通ってセンサコントローラ4に供給されるペン信号の分布の均一性が確保されていると言える。
【0061】
ここで、
図4及び
図5には配線Lyのみを示したが、配線Lxについても同様である。すなわち、
図3に示すように、複数の配線Lxはそれぞれ、対応する線状電極5yに直接接続される基幹線(第2の基幹線)に対して0度でない角度(具体的には90度)をなして接続されるルーティング線(第2のルーティング線)を有して構成される。そして、このルーティング線は、それぞれx方向に延在し、かつ、y方向の位置が互いに異なる複数の直線部分を有して構成され、より具体的には階段状に延設される。これにより、配線Lxに関しても、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれるという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0062】
以上説明したように、本発明の第1の側面によれば、複数の配線Lyそれぞれの基幹線Ly_cの長さが互いに大きく異なる場合に比べ、複数の配線Lyのそれぞれと、ベゼル領域3b内に配置され得る導電性部品との重なりの程度を揃えることが可能になる。配線Lxについても、同様である。したがって、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれるという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0063】
なお、
図3に示すように、領域5by内においても、各配線Lyを領域5bx内と同様の階段状に形成することが好ましい。こうすることで、領域5by内において各配線Lyが導電性部品と重畳して配置された場合においても、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれる可能性を低減することが可能になる。また、領域5by内において、複数の配線Lx、複数の配線Ly、及びガード配線LGを平行に形成することが可能になるので、これらの配線間に発生する静電容量を均一にすることが可能になる。
【0064】
また、上記の効果を得るために必要なルーティング線の形状は、
図3及び
図4に示したような階段状のものに限定されない。
【0065】
例えば、
図6は、本実施の形態の第1の変形例によるセンサパネル5の一部分を拡大した図である。同図に示す例では、各配線Lyのルーティング線のうち領域5bx内に形成される部分はy方向に対して傾斜する直線部分を有して構成され、領域5by内に形成される部分はx方向に対して傾斜する直線部分を有して構成される。また、各配線Lxのルーティング線もx方向に対して傾斜する直線部分を有して構成される。各配線Lx,Lyに対応する基幹線の長さは0に設定されている。具体的な傾斜角は、後述する第2の側面によりピッチを変更する部分と、領域5bxと領域5byの間の領域とを除き、一定である。
【0066】
こうすることによっても、
図3に示した例と同様に、センサコントローラ4に供給されるペン信号の分布から均一性が損なわれるという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。また、領域5by内における各配線Lyのルーティング線のx方向に対する傾斜角を各配線Lxのルーティング線のx方向に対する傾斜角と同じ値とすることにより、領域5bx内において、複数の配線Lx、複数の配線Ly、及びガード配線LGを平行に形成することが可能になるので、これらの配線間に発生する静電容量を均一にすることが可能になる。
【0067】
なお、
図6には基幹線Ly_cの長さを0とした構成を示したが、基幹線Ly_cの長さを0より大きい値に設定してもよいのは勿論である。この点について、
図7を参照して説明する。
【0068】
図7は、本実施の形態の第2の変形例によるセンサパネル5の一部分を拡大した図である。同図に示す例は、基幹線の長さを0より大きくした点に加え、後述する本発明の第3の側面による構成を備える点で、
図6に示した第1の変形例と相違している。各配線Lx,Lyにおける基幹線とルーティング線の接続角度は、ルーティング線の傾斜のために90度よりも大きな値となっている。このように、基幹線の長さを0より大きい値に設定することで、本発明の第1及び第3の側面を組み合わせて利用することが可能になる。
【0069】
例えば、
図8は、
図4に示した構成に本発明の第3の側面による構成を加えてなるセンサパネル5の例を示す図である。この例でも基幹線の長さは0より大きい値に設定されており、したがって、第3の側面を組み合わせることが可能となっている。なお、
図8に示したセンサパネル5の構成は、後ほど説明する
図11に記載の構成と同一である。
【0070】
次に、本発明の第2の側面について、詳しく説明する。第2の側面は、表示パネル3の狭ベゼル化に伴い、配線ピッチが小さくなってセンサパネル5の歩留まりの低下が懸念される、という問題を解決するものである。以下、
図3を参照しながら、本発明の第2の側面について説明する。
【0071】
図3に示すように、本実施の形態による複数の配線Lyは、領域5bx内に、第1のピッチP1で平行に延設された部分(符号Aで示した部分。以下、第1のピッチP1で平行に延設された部分を「大ピッチ部分」と称する)と、第1のピッチP1より小さい第2のピッチP2で平行に延設された部分(符号Aで示した部分以外の部分。以下、第2のピッチP2で平行に延設された部分を「小ピッチ部分」と称する)とを有して構成される。別の言い方をすれば、複数の配線Lyは、y方向に延設された部分に、大ピッチ部分及び小ピッチ部分を有して構成される。小ピッチ部分は、大ピッチ部分に比べて複数のFPC接続端子Tyに近い部分に形成される。また、大ピッチ部分においては、線幅及び線間スペースの両方が小ピッチ部分よりも大きい値に設定される。
【0072】
また、本実施の形態による複数の配線Lxは、領域5by内に、大ピッチ部分(符号Bで示した部分)及び小ピッチ部分(符号Bで示した部分以外の部分)を有して構成される。この場合の小ピッチ部分は、大ピッチ部分に比べて複数のFPC接続端子Txに近い部分に形成される。
【0073】
配線Lx,Lyを以上のように形成したことにより、本実施の形態によるセンサパネル5では、並行して延設される配線の本数が相対的に多い領域(すなわち、スペースに余裕のない領域)では相対的に狭いピッチで配線を延設し、並行して延設される配線の本数が相対的に少ない領域(すなわち、スペースに余裕のある領域)では相対的に広いピッチで配線を延設することが可能となっている。したがって、歩留まり低下の原因となる狭ピッチでの配線形成を最小限に抑えることが可能になるので、センサパネル5の歩留まりの低下が懸念されるという、表示パネルの狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0074】
なお、領域5byにおいては、
図3に示すように、複数の配線Lyにも大ピッチ部分(符号Bで示した部分)及び小ピッチ部分(符号Bで示した部分以外の部分)を設けることが好ましい。こうすることで、領域5byのうち並行して形成される配線Lxが少ない領域においては、配線Lxだけでなく配線Lyについても、相対的に大きなピッチで形成することが可能になる。したがって、センサパネル5の歩留まりをさらに向上することが可能になる。
【0075】
以上説明したように、本発明の第3の側面によれば、スペースに余裕のある部分では、第2のピッチP2よりも大きい第1のピッチP1で複数の配線Lx,Lyを形成することが可能になる。したがって、センサパネル5の歩留まりの低下が懸念されるという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0076】
ここで、配線ピッチの値は、単位長さ当たりの配線間容量に影響する。したがって、上記のように配線Lx,Lyに大ピッチ部分及び小ピッチ部分を設けることとすると、大ピッチ部分と小ピッチ部分とで、単位長さ当たりの配線間容量が異なることになる可能性がある。このような配線間容量の相違はセンサコントローラ4に供給されるペン信号の品質を一定に保つうえで好ましくないので、本実施の形態によるセンサパネル5ではさらに、大ピッチ部分と小ピッチ部分とで単位長さ当たりの配線間容量が実質的に同じ値になるよう、大ピッチ部分と小ピッチ部分のそれぞれにおける配線Lxの線幅と線間スペースの比率を設定している。なお、ここでいう「実質的に同じ値」には、実用上問題がない程度に配線間容量の値が近くなっている状態を含む。以下、
図9及び
図10を参照しながら詳しく説明する。
【0077】
まず
図9(a)は、第1のピッチP1で延設された配線Lyの断面を示す図であり、
図9(b)は、第2のピッチP2で延設された配線Lyの断面を示す図である。これらの図に矢印付きの破線で示すように、近傍に配置された複数の配線Ly間には配線間容量が形成される。そして、この配線間容量の具体的な値は、配線ピッチが第1のピッチP1である場合と、配線ピッチが第2のピッチP2である場合とで異なり得るが、線幅と線間スペースの比率を適切に選択することにより、配線ピッチが第1のピッチP1である場合と、配線ピッチが第2のピッチP2である場合とで配線間容量の値を揃えることが可能になる。
【0078】
図10は、配線ピッチが第1のピッチP1である場合と、配線ピッチが第2のピッチP2である場合とのそれぞれにつき、線幅Wと線間スペースSの比率(W/S)と、配線間容量の値との関係を示した図である。同図には、第1のピッチP1を60μmとし、第2のピッチP2を40μmとした場合を示している。
【0079】
図10に示すように、配線間容量の値は、配線ピッチが第1のピッチP1である場合と、配線ピッチが第2のピッチP2である場合とのいずれにおいても、線幅Wにほぼ比例して増加する。比例係数はピッチによって異なるが、
図10から、配線間容量の値の範囲は、ピッチによらずほぼ同等になることが理解される。例えば、ピッチが第1のピッチP1であって線幅Wが23μmである場合(すなわち、線幅W1と線間スペースS1の比率が23/37である場合)の配線間容量は53.8fF/mmであり、ピッチが第2のピッチP2であって線幅Wが15μmである場合(すなわち、線幅W2と線間スペースS2の比率が15/25である場合)の配線間容量は53.6fF/mmであり、これらは互いにほぼ等しい値となっている。したがって、例えば、60μmのピッチで配線が形成される大ピッチ部分における線幅W1と線間スペースS1の比率を23/37とし、40μmのピッチで配線が形成される小ピッチ部分における線幅W2と線間スペースS2の比率を15/25とすることにより、大ピッチ部分と小ピッチ部分とで単位長さ当たりの配線間容量の値を実質的に同じ値とすることが可能になる。
【0080】
なお、線幅Wと線間スペースSの比率と配線間容量の値との関係(特に比例係数)、及び、配線間容量の具体的な値は、
図2に示した粘着シート23,25の誘電率などによって変化する。したがって、大ピッチ部分と小ピッチ部分とで単位長さ当たりの配線間容量の値を実質的に同じ値とするために必要となる具体的な線幅Wと線間スペースSの比率は、使用する材料などに応じて製品ごとに検討すべきものである。
【0081】
次に、本発明の第3の側面について、詳しく説明する。第3の側面は、表示パネル3の狭ベゼル化に伴ってベゼル領域3b内に電極を延設することが困難になる結果として、表示領域3aの外縁近傍におけるアクティブペン10の位置検出精度が低下する、という問題を解決するものである。以下、
図3、
図11、及び
図12を参照しながら、本発明の第3の側面について説明する。
【0082】
初めに、本発明の第3の側面に対応する背景技術の課題について、詳しく説明する。
【0083】
図12(a)は、
図4にも示した本発明の実施の形態の第1の側面によるセンサパネル5の一部分(領域5bxの一部及びその近傍)を拡大した図であり、
図12(b)は、
図12(a)のセンサパネル5における電極間信号強度分布を示す図である。
図12(a)から理解されるように、本発明の第3の側面においては、本発明の第1の側面による構成が背景技術の一例となる。
【0084】
図12(a)に示すように、背景技術によるセンサパネル5では、複数の配線Lyはそれぞれ、対応する線状電極5yのx方向の一端を構成する表面5yaの中央で、該線状電極5yに接続される。そして、そこから上述した基幹線Ly_c及びルーティング線Ly_rを経て、
図3に示したFPC接続端子Tyに接続される。基幹線Ly_cは、x方向に平行に延設される。以下、並べて配置される4つの線状電極5yである線状電極5y1〜5y4と、それぞれに対応する配線Lyである配線Ly1〜Ly4とに着目して説明を続ける。
【0085】
図12(b)には、アクティブペン10のペン先が
図12(a)に示したように線状電極5y2のx方向一端部のy方向中央部に接近している場合における電極間信号強度分布を示している。同図に示すように、この場合の各線状電極5y1〜5y4におけるペン信号の強度は、線状電極5y2,5y3,5y1,5y4の順で弱くなる。
【0086】
ここで、センサコントローラ4は、例えばアクティブペン10のy座標を検出する場合、上述したように、1つだけでなく複数の線状電極5yのそれぞれでペン信号(より具体的には、ペン信号に含まれる位置信号)を受信し、その結果に基づいてアクティブペン10の指示位置を検出するよう構成される。これは、隣接する線状電極5y間のy座標をも検出できるようにするためで、具体的には、複数の線状電極5yのそれぞれで受信したペン信号の受信強度を所定の補間法を用いて補間することによって、y座標を導出するよう構成される。したがって、
図12(a)に示したようにアクティブペン10のペン先が線状電極5y2のx方向一端部のy方向中央部に接近している場合であれば、アクティブペン10の位置を精度良く導出するためには、線状電極5y1,5y3におけるペン信号の受信強度が等しくなっている必要がある。
【0087】
しかしながら、
図12(b)を見ると明らかなように、線状電極5y1,5y3におけるペン信号の受信強度は等しくなっていない。したがって、センサコントローラ4は、
図12(a)の例によるアクティブペン10の位置を精度良く導出できないことになる。このような結果となるのは、表示パネル3を狭ベゼル化した結果、ベゼル領域3b内に線状電極5yの延設スペースを確保することが困難になり、その結果として、配線Lyにおけるペン信号の受信分が信号強度に含まれてしまっているからである。
【0088】
本発明の第3の側面によれば、このような位置検出精度の低下が防止される。以下、本発明の第3の側面におけるセンサパネル5の構成について、詳しく説明する。
【0089】
図11(a)は、
図1に示したセンサパネル5の一部分(領域5bxの一部及びその近傍)を拡大した図であり、
図11(b)は、
図11(a)のセンサパネル5における電極間信号強度分布を示す図である。ただし、
図11(a)は、
図1に示したセンサパネル5の構成要素から本発明の第2の側面にかかる構成要素を取り除いた模式的なものとなっている。
【0090】
図11(a)に示すように、本実施の形態による配線Lyの基幹線Ly_cは、対応する線状電極5yのx方向の一端を構成する表面5yaのうちFPC接続端子Tyから遠い側の端部において、該線状電極5yに接続されている。そして、本実施の形態による配線Lyは、y方向に見て、対応する線状電極5yとの接続点よりもFPC接続端子Tyから遠い領域に、延長線Ly_eを有している。各延長線Ly_eは、y方向に延在する直線形状で形成されており、対応する基幹線Ly_cの中央部から突出する形となっている。各延長線Ly_eの長さは、対応する線状電極5yに隣接する他の線状電極5yとx方向から見て重なるように設定される。なお、
図11(a)にも示すように、FPC接続端子Tyから最も遠い配線Lyには、延長線Ly_eを設けなくてもよい。
【0091】
図11(b)に示した電極間信号強度分布は、
図12(b)の例と同様、アクティブペン10のペン先が線状電極5y2のx方向一端部のy方向中央部に接近している場合のものである。同図に示すように、本実施の形態によるセンサパネル5においては、この場合における線状電極5y1,5y3でのペン信号の受信強度が、略同じ値となっている。これは、配線Lyを上記のように構成したことにより、配線Ly1での受信分が増加する一方、配線Ly3での受信分が減少したことによるものである。このように線状電極5y1,5y3におけるペン信号の受信強度が等しくなった結果として、本実施の形態によれば、
図12に示した背景技術に比べて、表示領域3aの外縁近傍におけるアクティブペン10の位置検出精度が向上する。したがって、表示領域3aの外縁近傍におけるアクティブペン10の位置検出精度が低下するという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0092】
ここで、
図11及び
図12には配線Lyのみを示したが、配線Lxについても同様である。すなわち、
図3に示すように、本実施の形態による配線Lxの基幹線は、対応する線状電極5xのy方向の一端を構成する表面のうちFPC接続端子Txから遠い側の端部において、該線状電極5xに接続されている。そして、本実施の形態による配線Lxは、x方向に見て、対応する線状電極5xとの接続点よりもFPC接続端子Txから遠い領域に、延長線を有している。各延長線は、x方向に延在する直線形状で形成されており、対応する基幹線の中央部から突出する形となっている。各延長線の長さは、対応する線状電極5xに隣接する他の線状電極5xとy方向から見て重なるように設定される。なお、
図3にも示すように、FPC接続端子Txから遠い配線Lxには、延長線を設けなくてもよい。
【0093】
配線Lxをこのように構成することで、アクティブペン10のペン先が線状電極5xのy方向一端部のx方向中央部に接近している場合に関しても、上記同様に、表示領域3aの外縁近傍におけるアクティブペン10の位置検出精度を向上することが可能になる。
【0094】
以上説明したように、本発明の第3の側面によれば、アクティブペン10が表示領域3aの外縁近傍にあり、線状電極5x,5yだけでなく配線Lx,Lyで受信されたペン信号をも位置検出に使用する場合であっても、線状電極5x,5yのみでペン信号を受信する場合と同等の電極間信号強度分布を得ることが可能になる。したがって、表示領域3aの外縁近傍におけるアクティブペン10の位置検出精度が低下するという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。
【0095】
なお、
図11では、本発明の第1の側面によるセンサパネル5に本発明の第3の側面による構成を加えたものを説明したが、第1の側面の構成を有しないセンサパネル5に延長線を加えることによって本発明の第3の側面を構成することも勿論可能である。
【0096】
例えば、
図13は、
図5に示した本発明の背景技術に本発明の第3の側面による構成を加えることによって構成したセンサパネル5の一部分を拡大した図である。同図に示すように、本発明の第3の側面は、基幹線Ly_cの長さが一定でない背景技術にかかるセンサパネル5にも適用することが可能である。
【0097】
また、上記の効果を得るために必要な配線Lx,Lyの具体的な形状は、
図3、
図11、及び
図13に示した形状に限定されない。
【0098】
例えば、
図14は、本実施の形態の第3の変形例によるセンサパネル5の一部分を拡大した図である。同図に示す例では、各延長線Ly_eは、対応する線状電極5yから見て2つ隣に隣接する他の線状電極5y(例えば、線状電極5y2に対して線状電極5y4)とx方向から見て重なるように形成される。より具体的には、各配線Lyのルーティング線Ly_rが基幹線Ly_cよりもFPC接続端子Tyから離れた領域内にまで迂回して形成されており、各延長線Ly_eは、こうして迂回したルーティング線Ly_rよりもFPC接続端子Tyからさらに離れた領域に延設されている。延長線Ly_eと配線Lyのその他の部分との接続点は、ルーティング線Ly_rのうちFPC接続端子Tyからy方向に最も離れた位置に設けられる。こうすることによっても、
図3に示した例と同様に、表示領域3aの外縁近傍におけるアクティブペン10の位置検出精度が低下するという、表示パネル3の狭ベゼル化に伴って発生し得る問題を、解決ないし軽減することが可能になる。なお、
図14の構成を配線Lxにも適用してよいのは、勿論である。
【0099】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0100】
例えば、上記実施の形態でもいくつか触れたが、本発明によるセンサパネルは本発明の第1〜第3の側面のうちの1つ、2つ、又はすべてを満たすように構成することが可能であり、いずれのセンサパネルも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0101】
また、ルーティング線は必ずしも対応する線状電極と同じ平面にあることを要せず、ベゼルの形状に沿って曲面上に構成されていたり、所定の角度をなす方向に設けられていたりしてもよい。
【0102】
さらに、ベゼルや液晶パネル等の構造に基づいて、発明に例外部分を含み得ることはいうまでもない。例えば、本発明の第1の側面に関して、全ての線状電極において基幹線の長さが等しいことは必須ではなく、構造上あるいは電気的な制約のため、他の基幹線の長さと異なる基幹線が一部に含まれていてもよい。