【解決手段】前記バッテリシステムは、複数のバッテリユニットと、通信バスと、ホスト制御ユニットと、を備える。各バッテリユニットは、複数のセルと、絶縁充電器と、スイッチアレイ回路と、バランススレーブスイッチと、バランススレーブコントローラと、を備える。前記ホスト制御ユニットは、バランスホストコントローラと、バランスホストスイッチと、システム電流測定ユニットと、を備える。各バランススレーブコントローラによって計算されたバランス検出電圧と、前記バランスホストコントローラによって計算されたバランス検出電圧との誤差が所定の値よりも小さいとき、前記バランスホストスイッチと、対応する前記複数のバランススレーブスイッチとは伝導状態にあり、セルバランスを保つ目的のために、バッテリシステムの特定の複数のセルが充電される。
前記複数のバッテリユニットのそれぞれは、前記絶縁充電器と前記スイッチアレイ回路との間に接続され、前記チャネルのそれぞれのバランス電流を測定するバランス電流測定ユニットをさらに備える、請求項3に記載のバッテリシステム。
前記複数のバランススレーブコントローラはそれぞれ、前記バランス電流に従って、前記複数のチャネルヒューズのうちの1つが溶断しているか否かを判定する、請求項4に記載のバッテリシステム。
前記複数のバランススレーブコントローラおよび前記バランスホストコントローラは、前記バッテリシステムが充電されたとき、前記バランス充電容量を計算する、請求項1に記載のバッテリシステム。
前記複数のバランススレーブコントローラおよび前記バランスホストコントローラは、前記バッテリシステムが定常状態にあるとき、前記バランス充電容量を計算する、請求項1に記載のバッテリシステム。
前記セルバランスプロシージャが完了し、前記複数のセルのうちの1つのセル電圧が目標電圧に到達せず、前記セル電圧と前記目標電圧との差が所定の範囲よりも大きいとき、それに対応する前記複数のバランススレーブコントローラのうちの1つは、それに接続された前記バランススレーブスイッチのうちの1つをオフにして非伝導状態にし、修復されるまで前記複数のセルのうちの前記1つを休止バランス状態に保つ、請求項1に記載のバッテリシステム。
温度が前記セルバランスプロシージャ中に温度閾値に達したとき、前記バランスホストコントローラは、前記バランスホストスイッチをオフにして非伝導状態とし、前記バッテリシステムを、修復されるまで休止バランス状態に保つ、請求項1に記載のバッテリシステム。
前記バッテリシステムの衝撃力が事前設定された衝撃値を超えたとき、前記バランスホストコントローラは、前記バランスホストスイッチをオフにして非伝導状態とし、修復されるまで前記バッテリシステムを休止バランス状態に保つ、請求項1に記載のバッテリシステム。
バランス充電容量の計算方法であって、バッテリシステムの複数のセルをバランスさせるために、前記複数のセルのうちの1つに対して前記バランス充電容量が与えられ、前記複数のセルは、最大電圧および最小電圧を有し、前記計算方法は、
前記最大電圧がバランスリセット電圧まで上昇したとき、セルバランスプロシージャにおけるレジスタデータをリセットする工程と、
前記最大電圧がバランストリガ電圧まで上昇したとき、前記最大電圧と前記最小電圧との電圧差を計算する工程と、
前記複数のセルのうちの1つが定電流充電モードから定電圧充電モードまで充電しているときの充電電圧限界である、単セル定電圧充電設定値から、前記電圧差と安全率との積を減じることにより、バランス検出電圧を求める工程と、
前記最大電圧が前記バランス検出電圧まで上昇したときの、前記バッテリシステムのシステム容量を、第1の容量として記録する工程と、
前記複数のセルのうちのいずれか1つの電圧が、前記バランス検出電圧まで上昇したときの、前記バッテリシステムの前記システム容量を、第2の容量として記録する工程と、
前記第1の容量と前記第2の容量との差を計算し、前記バランス充電容量を求める工程と、
を含む、計算方法。
前記複数のバランススレーブコントローラと前記バランスホストコントローラとは、前記バッテリシステムが定常状態にあるとき、前記バランス充電容量を計算する、請求項14に記載の制御方法。
前記バッテリシステムが定常状態にあるとき、前記複数のバランススレーブコントローラと前記バランスホストコントローラとは、容量と開回路電圧との関係を記録したルックアップテーブルに従って、電圧が最大でない前記複数のセルのうちの1つの前記バランス充電容量を計算する、請求項14に記載の制御方法。
前記セルバランスプロシージャが完了し、かつ、前記複数のセルのうちの1つのセル電圧が目標電圧に到達せず、かつ、前記セル電圧と前記目標電圧との差が所定の範囲よりも小さいとき、前記複数のバランススレーブスイッチのうちの1つを、それに接続された前記複数のバランススレーブコントローラによりオフにして非伝導状態とし、修復されるまで前記複数のセルのうちの前記1つを休止バランス状態に保つ工程をさらに含む、請求項14に記載の制御方法。
前記セルバランスプロシージャ中に温度が温度閾値に達したとき、前記バランスホストスイッチを前記バランスホストコントローラによってオフにして非伝導状態とし、修復されるまで前記バッテリシステムを休止バランス状態に保つ工程をさらに含む、請求項14に記載の制御方法。
前記バッテリシステムの衝撃力が事前設定された衝撃値を超えたとき、前記バランスホストスイッチを前記バランスホストコントローラによりオフにして非伝導状態とし、修復されるまで前記バッテリシステムを休止バランス状態に保つ工程をさらに含む、請求項14に記載の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、説明のために、開示された(複数の)実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、これらの特定の詳細なしに、1つ以上の実施形態が実施されてもよいことは明らかであろう。他の例では、図面を簡略化するために、周知の構造およびデバイスが概略的に示されている。
【0011】
図1Aを参照されたい。
図1Aは、非バランス容量の概略図である。
図1Aの斜線陰影領域に示されるように、4つのセルの特性はすべて同じであり、直列に使用される。しかしながら、セルの一様でない残存容量および自己放電のために、バッテリシステムの(複数の)セルの一様でない電圧が生じる。従って、充電プロセスの間、より大きい容量をもつセルの電圧は、他よりも大きい。セルが過充電状態になると、セルの熱暴走または劣化の加速のような、安全と劣化の問題につながる可能性がある。放電プロセスの間、バッテリシステム全体は、最小電圧をもつセルの残存容量に等しい容量しか解放できず、その結果、バッテリシステムのセルに対する容量損失の程度が変化する。
【0012】
図1Bを参照されたい。
図1Bは、複数のセルが直列接続される一実施形態によるセルバランスプロシージャの概略図である。一般に、セルは定電流充電モード(CC充電モード)で充電される。セルの電圧が所定の電圧に達すると、定電流充電モードから定電圧充電モード(CV充電モード)へと切り替わる。この充電方式は、一般にCC−CV充電方式と呼ばれている。単セル定電圧充電設定値CV0は、セルが定電流充電モードから定電圧充電モードまで充電しているときの、充電電圧限界値である。例えば、NCM材料のセルの単セル定電圧充電設定値CV0は、4.1V〜4.2Vの間である。同様に、直列接続された複数のセルから構成されるバッテリシステムについては、バッテリシステム定電圧充電設定値は、一般に、単セル定電圧充電設定値CV0とバッテリシステムのセルの個数との積である。例えば、単セル定電圧充電設定値CV0を4.1V、バッテリシステムの直列接続セル数を100個とすると、バッテリシステム定電圧充電設定値は410Vとなる。
図1Bの上段図に示すように、劣化によってセルの容量が一様でなくなる場合、または、セル間の電圧差が大きい場合には、バッテリシステムの電圧がバッテリシステム定電圧充電設定値に達したときに、セルの電圧がばらつき、単セル定電圧充電設定値CV0に収束しない。
【0013】
図1Bの下段図に示されるように、充電バランス法の場合、バランス充電容量Qab(
図7Aに示される)は、セルバランスプロシージャ中に電圧が最大ではないセルに与えられる。放電バランス法の場合、電圧が最小でないセルはバランス充電容量Qabで放電される。充電バランス法では、(複数の)セルの電圧が(複数の)セルの最大電圧に近づくことができるように、絶縁した充電器は、電圧が最大でないセルにバランス充電容量を与える。放電バランス法では、(複数の)セルの電圧が(複数の)セルの最小電圧に近づくことができるように、抵抗は、電圧が最小でないセルの容量を消費するために使用される。したがって、バッテリシステムをバッテリシステム定電圧充電設定値まで充電する場合には、各セルが単セル定電圧充電設定値CV0に達するとき、(複数の)セル間の電圧差は小さい方が良い。言い換えれば、バッテリシステムの(複数の)単セル定電圧充電設定値CV0が互いに近似している場合、バッテリシステムがCV充電モードで充電しているとき、バッテリシステムのセルは、過充電、熱暴走および劣化の加速のリスクを回避することができ、バッテリシステムは、バッテリシステムの実効容量を改善することができる。
【0014】
図2を参照されたい。
図2は、一実施形態による、バッテリシステム1000の概略図である。バッテリシステム1000は、複数のバッテリユニット100と、通信バス200と、ホスト制御ユニット300と、バランス電源400と、を備える。バッテリユニット100の各々は、複数のセル110と、絶縁充電器120と、スイッチアレイ回路130と、バランススレーブスイッチ140と、バランススレーブコントローラ150と、複数のチャネルヒューズ160と、バランス電流測定ユニット170と、を備える。絶縁充電器120、スイッチアレイ回路130、バランススレーブスイッチ140、バランススレーブコントローラ150、チャネルヒューズ160およびバランス電流測定ユニット170は、回路、チップまたは回路基板であってもよい。これらの各素子の機能は、下記の通りに説明される。
【0015】
絶縁充電器120は、セル110のセルバランスプロシージャを実行するように構成される。絶縁充電器120は、バランス充電容量Qab(
図7Aに示される)を(複数の)セル110のうちの1つに与えることができ、(複数の)セル110の全てを電圧バランスへ向かわせることができる。
【0016】
スイッチアレイ回路130は、セル110と絶縁充電器120との間に配置される。スイッチアレイ回路130は、絶縁充電器120の正極および負極を(複数の)セル110のうちの1つに接続するために使用される。スイッチアレイ回路130の詳細構造は、
図3A〜3Bに図示されている。
【0017】
バランススレーブスイッチ140は、絶縁充電器120とバランス電源400との間に接続される。バランススレーブコントローラ150は、絶縁充電器120、スイッチアレイ回路130およびバランススレーブスイッチ140に接続される。バランススレーブスイッチ140は、バランススレーブコントローラ150によって制御される。バランススレーブスイッチ140がオフになり非伝導状態となると、絶縁充電器120はセルバランスプロシージャを実行することができない。
【0018】
バランススレーブコントローラ150は、バランス検出電圧V2を計算するように構成される。バランス検出電圧V2は、バランス充電容量Qabの計算に用いられる(詳細な計算については
図4〜
図6で説明する)。バランススレーブコントローラ150はさらに、スイッチアレイ回路130を制御するように構成され、これにより、絶縁充電器120は、セルバランスプロシージャを実行するために、(複数の)セル110のうちの1つの容量を補うことができる。
【0019】
チャネルヒューズ160は、(複数の)セル110とスイッチアレイ回路130との間に配置される。スイッチアレイ回路130で短絡などの異常が発生すると、チャネルヒューズ160は溶断し、セル110に接続されたチャネルを自動的に遮断する。
【0020】
バランス電流測定ユニット170は、絶縁充電器120とスイッチアレイ回路130との間に接続される。バランス電流測定ユニット170は、セル110の一つのチャネルのバランス電流I1を測定し、バランススレーブコントローラ150が(複数の)セル110のそれぞれのバランス充電容量Qabを計算するのを補助し、各セル110に対するバランス電源のスイッチング動作を制御するために、使用される。
【0021】
通信バス200は、バッテリユニット100のバランススレーブコントローラ150およびホスト制御ユニット300に接続される。通信バス200は、相互保護のために、バッテリユニット100とホスト制御ユニット300との間での双方向通信を可能にするために使用される。
【0022】
ホスト制御ユニット300は、バランスホストコントローラ310と、バランスホストスイッチ320と、プロセッサ330と、システム電流測定ユニット340と、を備える。バランスホストコントローラ310、バランスホストスイッチ320、プロセッサ330およびシステム電流測定ユニット340は、回路、チップまたは回路基板であってもよい。これらの素子の詳細は、下記の通りに示される。
【0023】
システム電流測定ユニット340は、(複数の)バッテリユニット100が直列接続されたバッテリシステム1000の負極と出力との間に接続され、バッテリシステム1000の(複数の)バッテリユニット100を通過する、システム電流を測定するように構成される。システム電流と時間との積は、セルバランスプロシージャ中に、(複数の)セル110の各々の充電(または放電)容量を計算するために使用される、システム容量である。バランスホストコントローラ310は、通信バス200およびバランスホストスイッチ320に接続される。バランスホストコントローラ310およびバランススレーブコントローラ150は、通信バス200を介して、バッテリ情報をインタラクティブに(双方向的に)転送する。また、バランスホストコントローラ310は、バランス検出電圧V2を計算する。それは、(複数の)バランススレーブコントローラ150のそれぞれとバランスホストコントローラ310とが、同時にバランス検出電圧V2を計算することを意味する。一般的な場合には、バランススレーブコントローラ150によって計算されるバランス検出電圧V2と、バランスホストコントローラ310によって計算されるバランス検出電圧V2とは、かなり近いものとなる。
【0024】
バランスホストスイッチ320は、バランス電源400を制御する。詳細には、バランスホストスイッチ320は、バランス電源400とバランススレーブスイッチ140との間に接続され、バランスホストスイッチ320は、バランスホストコントローラ310によって制御される。バランスホストスイッチ320がオフになり非伝導状態となると、セルバランスプロシージャは中止される。
【0025】
バランスホストスイッチ320の遮断機能が故障した場合には、セルバランスプロシージャを中止することができない。その結果、バッテリシステム1000のセル110が熱暴走するまで過充電している、というリスクが生じる可能性がある。この実施形態のバッテリシステム1000は、演算の分散化、ホストおよびスレーブ間の双方向通信を採用することで、ハードウェアおよびソフトウェアの相互保護設計を実装し、セルバランスプロシージャを実行する際にセルが過充電されるリスクおよびダメージを回避する。
【0026】
本実施形態において、全てのバッテリユニット100が起動条件(
図9A〜
図10Dに図示)を満たすと、バランスホストコントローラ310は、バランスホストスイッチ320をオンにして、伝導状態とする。
【0027】
(複数の)バランススレーブコントローラ150のうちの1つによって計算されたバランス検出電圧V2と、バランスホストコントローラ310によって計算されたバランス検出電圧との差が所定値より小さいとき、バランススレーブコントローラ150は、対応するバランススレーブスイッチ140をオンにして、伝導状態とする。バランスホストスイッチ320およびバランススレーブスイッチ140がオンになり伝導状態となった場合に限り、セルバランス電力をバッテリユニット100の対応する絶縁充電器120に供給して、セルバランスプロシージャのためのバランス電流を提供することができる。さらに、バランスホストコントローラ310および(複数の)バランススレーブコントローラ150は、バランス検出電圧V2を個々に計算することに注意されたい。
【0028】
セルバランスプロシージャが実行されており、かつ、バランスホストコントローラ310がデータパケット転送遅延を検出したとき(例えば、ある期間に受信ブロードキャストデータパケットがないとき)、バランスホストコントローラ310は、バランスホストスイッチ320をオフにして非伝導状態となり、バッテリシステム1000を修復されるまで休止バランス状態に保つ。(複数の)バランススレーブコントローラ150のうちの1つがデータパケット転送遅延を検出すると、バランススレーブコントローラ150は、対応するバランススレーブスイッチ140をオフにして非伝導状態にし、バッテリシステム1000を修復されるまで休止バランス状態に保つ。当該休止バランス状態は、通信状態が正常になると解除される。データパケット変換が正常に戻ると、バランスホストコントローラ310およびバランススレーブコントローラ150は実行状態に戻り、バランスホストスイッチ320およびバランススレーブスイッチ140はオンとなって再伝導状態となり、セルバランスプロシージャを継続する。
【0029】
ホスト制御ユニット300およびバッテリユニット100は、情報を交換し、同じ計算を実行する。(複数の)バッテリユニット100から情報および回答データパケットを受信し、全てのバッテリユニット100が起動条件を満たしていることを確認すると、ホスト制御ユニット300はバランスホストスイッチ320をオンして伝導状態とし、セルバランスプロシージャの開始コマンドを(複数の)バッテリユニット100に送信する。
【0030】
そして、バッテリユニット100によって計算されたバランス検出電圧V2と、ホスト制御ユニット300で計算されたバランス検出電圧V2との差が所定値よりも小さいとき(つまり、(複数の)バッテリユニット100とホスト制御ユニット300との計算結果がほぼ同じであり、かつ、それがバランスホストコントローラ310の情報に対応し、かつ、(複数の)スレーブコントローラ150が同期しているとき)、ホスト制御ユニット300からのバランスプロシージャの開始コマンドを受信すると、(複数の)バランススレーブコントローラ150は、セルバランスプロシージャを起動する。
【0031】
ホスト制御ユニット300は、(複数の)バッテリユニット100からの周期的なブロードキャスト情報を確認し、各バッテリユニット100は、ホスト制御ユニット300からの周期的なブロードキャスト情報を確認する。周期的なブロードキャスト情報が異常であり、タイムアウト設定に達したことを、いずれかのパーティが発見した場合、それは、セルバランスプロシージャの休止コマンドをトリガして、対応するスイッチをオフにして非伝導状態とし、絶縁充電器120へのバランス電力の供給を中断する。従って、バランスホストコントローラ310が故障し、伝導状態のままであるとき、バッテリユニット100のバランススレーブコントローラ150は、なおもセルバランスプロシージャを休止することができる。逆に、バランススレーブコントローラ150が故障し、伝導状態のままであるとき、バランスホストコントローラ310は、なおもセルバランスプロシージャを休止することができる。
【0032】
以上の特性に基づいて、ホスト制御ユニット300および(複数の)バッテリユニット100は、ハードウェアおよびソフトウェアの相互保護機能を有している。
【0033】
ハードウェア相互保護機能は、ホスト制御ユニット300のバランスホストスイッチ320および(複数の)バッテリユニット100の(複数の)バランススレーブスイッチ140によって確立される。バランスホストスイッチ320は、バランスホストコントローラ310によって制御され、バランススレーブスイッチ140は、バランススレーブコントローラ150によって制御される。ホスト制御ユニット300およびバッテリユニット100が、それぞれバランスホストスイッチ320およびバランススレーブスイッチ140をオンにして、同時に伝導状態にする場合に限り、セルバランスプロシージャは正常に実行される。したがって、ホスト制御ユニット300と各バッテリユニット100との間には、ハードウェア相互保護機能がある(ソフトウェア保護が必要である)。
【0034】
スイッチアレイ回路130の詳細な構造については、以下でさらに説明する。
図3Aを参照されたい。
図3Aは、一実施形態によるスイッチアレイ回路130の詳細な構造を示す概略図である。(複数の)スイッチアレイ回路130の各々は、複数の接続スイッチ131と、2つの回路バス132、133と、複数の極性スイッチ134、135、136、137と、を備える。(複数の)セル110のそれぞれの2つの端部(両端)は、2つの接続スイッチ131に接続されて、チャネルを形成する。回路バス132、133は、(複数の)接続スイッチ131に接続される。(複数の)極性スイッチ134、135、136、137は、絶縁充電器120と回路バス132、133との間に接続されており、これにより、セルバランスプロシージャが実行されるセル110の2つの端部と、絶縁充電器120とが対応する極性を有するようになっている。例えば、左から1番目のセル110がセルバランスプロシージャを実行される必要があるとき、左から1番目と2番目の接続スイッチ131をオンして伝導状態とすることができる。このとき、回路バス132は、負に帯電し、回路バス133は正に帯電する。回路バス132は、オンになり伝導状態となった極性スイッチ135を介して、絶縁充電器120の負極に接続される。回路バス133は、オンになり伝導状態となった極性スイッチ136を介して、絶縁充電器120の正極に接続される。その結果、左から1番目のセル110の負極は、絶縁充電器120の負極に接続される。そして、左から2番目のセル110がセルバランスプロシージャを実行される必要があるときには、左から2番目と3番目の接続スイッチ131と、極性スイッチ134、137とがオンになり伝導状態となる。その結果、左から2番目のセル110の正極は、絶縁充電器120の正極に接続され、左から2番目のセル110の負極は、絶縁充電器120の負極に接続される。
【0035】
図3Bを参照されたい。
図3Bは、別の実施形態による、スイッチアレイ回路130´の詳細な構造を示す概略図である。スイッチアレイ回路130´の各々は、複数の接続スイッチ131´と、複数の接続スイッチ132´と、を備える。(複数の)接続スイッチ131´は、(複数の)セル110の負極および絶縁充電器120の負極に接続される。接続スイッチ132´は、(複数の)セル110の正極および絶縁充電器120の正極に接続される。(複数の)セル110のそれぞれの2つの端部は、(複数の)接続スイッチ131´のうちの1つおよび(複数の)接続スイッチ132´のうちの1つに接続され、チャネルを形成する。例えば、左から1番目のセル110がセルバランスプロシージャを実行される必要があるとき、接続スイッチ131´は左から、接続スイッチ132´は左から、オンになり伝導状態となる。その結果、左から1番目のセル110の正極は、絶縁充電器120の正極に接続され、左から1番目のセル110の負極は絶縁充電器120の負極に接続される。そして、左から2番目のセル110がセルバランスプロシージャを実行される必要があるときには、接続スイッチ131´は左から、接続スイッチ132´は左から、オンになり伝導状態となる。その結果、左から2番目のセル110の正極は、絶縁充電器120の正極に接続され、左から2番目のセル110の負極は、絶縁充電器120の負極に接続される。
【0036】
加えて、
図3Aおよび
図3Bに示すように、安全性を向上させるために、本実施形態では、(複数の)チャネルヒューズ160が使用される。
図3Aに示すように、(複数の)チャネルヒューズ160は、(複数の)接続スイッチ131に接続される。対応する接続スイッチ131が異常であるとき(例えば、任意のスイッチアレイ回路130または接続スイッチ131が故障し、伝導状態を維持し切断することができないとき)、(複数の)チャネルヒューズ160のそれぞれは溶断し、バランス電流チャネルを遮断する。
図3Bに示すように、(複数の)チャネルヒューズ160は、(複数の)接続スイッチ131´、132´に接続される。対応する接続スイッチ131´、132´が異常であるとき(例えば、任意の接続スイッチ131´、132´が故障し、伝導状態を維持し切断することができないとき)、(複数の)チャネルヒューズ160のそれぞれは溶断し、バランス電流チャネルを遮断する。各バランススレーブコントローラ150は、(複数の)チャネルヒューズ160が溶断しているか否かを、バランス電流I1によって確認することができる。
【0037】
さらに、
図3Aおよび
図3Bに示すように、セルバランスプロシージャの精度を向上させるために、本実施形態では、バランス電流測定ユニット170が使用される。
図3Aおよび
図3Bに示すように、バランス電流測定ユニット170は、絶縁充電器120とスイッチアレイ回路130との間に接続される。バランス電流測定ユニット170は、各チャネルのバランス電流I1を測定し、(複数の)セル110のそれぞれのバランス電流を求めるために用いられる。バランススレーブコントローラ150の内蔵タイマ機能により、バランス充電容量は、セル110のバランス電流と時間との積として定義され、(複数の)セル110の各々のバランス充電容量(または放電容量)を正確に計算することができる。充電バランスを例にとると、絶縁充電器120は、セル110がバランス充電容量Qabに達するまで、バッテリユニット100のセル110に対して、バランス電流を次々に供給する。バランス充電シーケンスは、最小電圧のセルから最大電圧のセルへと続くものである。
【0038】
バランス充電容量Qabは、セルバランスプロシージャにおいて、より小さな電圧を有する(複数の)セルのうちの1つに補充される容量であり、それにより、バッテリシステム1000の(複数の)セル110の電圧がバランスする。以下、バランス充電容量Qabの計算方法について説明する。この実施形態では、バッテリシステム1000が充電中であり、かつ、対応する条件が満たされる場合に、バランススレーブコントローラ150またはバランスホストコントローラ310は、システム電流測定ユニット340を通して、バランス充電容量Qabを計算する。
図4を参照されたい。
図4は、バランス充電容量Qabの概略図である。
図4の上段図に示すように、2つのセル110が直列接続されたバッテリシステム1000が示されている。いま、バッテリシステム1000において、Aセル110は最大電圧を有し、その電圧曲線が
図4の曲線B1であり、Bセル110はより小さな電圧を有し、その電圧曲線は
図4の曲線B2であると仮定する。バッテリシステム1000におけるAセル110の電圧がバランス検出電圧V2まで上昇すると、バッテリシステム1000は、システム電流測定ユニット340を通して、充電容量を第1容量Qaとして記録する。充電容量が増加し続けるにつれて、Bセル110の電圧がバランス検出電圧V2まで上昇すると、第2容量Qbが記録される。
【0039】
第2容量Qbと第1容量Qaとの容量差は、セルバランスプロシージャにおいてBセル110が充電する必要がある、バランス充電容量Qabである。
【0040】
図4の下段図に示すように、バランス充電容量Qabが絶縁充電器120を介してBセル110に充電された後、Bセル110の電圧曲線B2は、左にシフトして電圧曲線B2´となり、電圧曲線B2と電圧曲線B1とは、点P1で一致する。それは、Aセル110とBセル110との電圧が、バランス検出電圧V2において重なり合うことを意味する。充電が継続した後、Aセル110およびBセル110の電圧は、非常に小さな差を保ちながら上昇を続け、バッテリシステム1000の各セル110は、定電圧充電設定値CV0にほぼ同時に到達する。
【0041】
上記の説明では、バランス検出電圧V2を使用してバランス充電容量Qabを計算する方法を例示するために、2つのセルをもつ最も単純なバッテリシステムを用いている。(複数の)セル110の個数が2つを超えるときにも、当該方法は2つのセル110の場合と同じである。バッテリシステム1000の中で電圧が最大でないセル110である限り、バランス充電容量Qabを計算することができ、それは、最大電圧のセル110に対する容量差に対応する、ということに注意すべきである。例えば、バッテリシステム1000が、直列接続された100個のセル110を有する場合、99個のバランス充電容量Qabを計算することができる。これらのセル110の電圧差が小さい場合、バランス充電容量Qabは小さいはずであり、バランス充電プロシージャはオフにされる。したがって、セルバランスプロシージャは、バッテリシステム1000の電圧差が所定値を超えたときに限り、実行される。
【0042】
しかしながら、バランス検出電圧V2を大きく設定しすぎたり、小さく設定しすぎたりすることはできない。以下、
図5A〜
図5Cを用いて、その理由を詳細に説明する。
【0043】
図5Aを参照されたい。
図5Aは、低バランス検出電圧V2_Lおよび高バランス検出電圧V2_Hの概略図である。電圧曲線B1がバランス検出電圧V2_Lまで上昇すると、バッテリシステム1000は充電容量を第1容量Qa_Lとして記録する。電圧曲線B1がバランス検出電圧V2_Hまで上昇すると、バッテリシステム1000は充電容量を第1容量Qa_Hとして記録する。電圧曲線B2がバランス検出電圧V2_Lまで上昇すると、バッテリシステム1000は充電容量を第1容量Qb_Lとして記録する。低バランス検出電圧V2_Lと単セル定電圧充電設定値CV0との差は大きく、高バランス検出電圧V2_Hと単セル定電圧充電設定値CV0との差は小さい。
図5Bを参照する。
図5Bは、低バランス検出電圧V2_Lに従って、最小電圧のセル110で実行されるセルバランスプロシージャを示す概略図である。低バランス検出電圧V2_Lと単セル定電圧充電設定値CV0との差が大きすぎるため、最小電圧のセル110の曲線B2は、バランス充電容量Qab´´で補充された後、曲線B2´´に変換される。セル110の最大電圧と最小電圧とは点P2で重なり合っているが、セルが単セル定電圧充電設定値CV0まで充電し続けると、セルステータスにおけるインピーダンス、容量、温度の違いのために、電圧曲線B1およびB2の電圧は、再び発散する。従って、それは、バッテリシステム1000の全てのセル110が単セル定電圧充電設定値CV0に、充電時に同時に到達する、というバランス目標に到達することはできない。
【0044】
図5Cを参照されたい。
図5Cは、セルバランスプロシージャが高バランス検出電圧V2_Hを参照することを示す概略図である。最大電圧のセル110は、バランス検出電圧V2_Hに達し、第1容量Qa_Hを得る。しかし、バッテリシステム1000が定電圧充電モードに入ることによって、充電電流が減少し始める。これにより、最小電圧のセル110は、バランス検出電圧V2_Hに到達できず、第1容量Qb_H(
図5Cに示さず)が得られない。したがって、バランス充電容量Qab(
図5Aに示さず)の計算を完了できず、セルバランスプロシージャ全体を開始することができない。
【0045】
バランス検出電圧V2を低くまたは高く設定しすぎることを避けるために、本実施形態は、バランス検出電圧V2の自動設定戦略を提案し、説明のため、2つのセルを有するバッテリシステムを例にとる。
図6および
図7A〜7Bを参照されたい。
図6は、一実施形態によるバランス充電容量Qabの計算方法のフローチャートである。
図7Aは、バランス充電容量Qabの第1の計算の概略図である。
図7Bは、バランス充電容量Qabの第2の計算の概略図である。まず、バランス充電容量Qabの第1の計算について、
図6および
図7Aを参照されたい。いま、バッテリシステム1000の最大電圧のセル110は、
図7Aにおいて曲線B1をもち、最小電圧のセル110は、
図7Aにおいて曲線B2をもつ、と仮定する。
【0046】
バランス充電容量Qabの計算方法は、以下の通りである。最大電圧のセル110がバランスリセット電圧V0まで上昇した場合、セルバランスプロシージャのレジスタデータはリセットされる(ステップS110、S120)。最大電圧のセル110がバランストリガ電圧V1まで上昇した場合、最大電圧と最小電圧との電圧差dVが計算される(ステップS130、S140)。バランス検出電圧V2は、単セル定電圧充電設定値CV0から、電圧差dVと安全率との積を引くことで得られる。単セル定電圧充電設定値CV0は、セルが定電流充電モードから定電圧充電モードまで充電しているときの、充電電圧限界値である(ステップS150)。最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇した場合、バッテリシステム1000のシステム容量は、第1容量Qaとして記録される(ステップS160、S170)。セルのいずれかの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇した場合、バッテリシステム1000のシステム容量は、第2容量Qbとして記録される(ステップS180、S190)。バランス充電容量Qabは、第1容量Qaと第2容量Qbとの差として定義される(ステップS200)。
【0047】
詳細には、ステップS110では、バッテリシステム1000内の最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇したかどうかが判定される。最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS120に進む。一実施形態では、バランスリセット電圧V0は、リチウムイオン電池のNMCカソード材料に対して、3900mVである。
【0048】
ステップS120では、セルバランスプロシージャがリセットされる。いわゆるリセットは、セルバランスプロシージャが完了したか否かにかかわらず、セルバランスプロシージャが停止され、(複数の)関連する一時レジスタの全ての値が初期状態に設定される、ということを意味する。
【0049】
ステップS130では、最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇したか否かが判定される。最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS140に進む。バランストリガ電圧V1は、バランスリセット電圧V0より大きい。
【0050】
ステップS140では、最大電圧と最小電圧との電圧差dVが計算される。バランストリガ電圧V1は、例えば4000mVである。このとき、バッテリシステム1000における最小電圧は3930mVであるため、バランストリガ電圧V1に達すると、最大電圧と最小電圧との電圧差dVは、70mVとなる。
図7Aに示すように、電圧差dVは、例えば70mVである。
【0051】
ステップS150では、バランス検出電圧V2は、単セル定電圧充電設定値CV0から、電圧差dVと安全率との積を引くことで得られる(すなわち、バランス検出電圧V2=単セル定電圧充電設定値CV0−電圧差dV *安全率f)。一実施形態では、単セル定電圧充電設定値CV0は4150mVであり、安全率fは1.5である。バランス検出電圧V2は、4045mVである(4150mV−(70mV*1.5)=4045mV)。
【0052】
ステップS160では、最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇したか否かが判定される。最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS170に進む。バランス検出電圧V2は、バランストリガ電圧V1よりも大きい。
【0053】
ステップS170では、第1容量Qaが記録される。詳細には、最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇したときの容量が、第1容量Qaとして記録する。
【0054】
ステップS180では、非最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇したか否かが判定される。非最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS190に進む。
【0055】
ステップS190では、第2容量Qbが記録される。詳細には、非最大電圧がバランス検出電圧V2まで上昇したときの容量が、第2容量Qbとして記録される。
【0056】
ステップS200では、バランス充電容量Qabは、第1容量Qaと第2容量Qbとの差として定義される(バランス充電容量Qab=第2容量Qb−第1容量Qa)。
【0057】
以上の手順により、バランス充電容量Qabの第1の計算が完了できる。次に、バランス充電容量Qabの第2の計算については、
図6および
図7Bを参照されたい。ステップS110では、バッテリシステム1000における最大電圧がバランスリセット電圧V0(例えば、3900mV)まで上昇したか否かが判定される。最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇した場合、当該プロセスはステップS120に進む。
【0058】
S120では、セルバランスプロシージャがリセットされる。
【0059】
ステップS130では、最大電圧がバランストリガ電圧V1(例えば4000mV)まで上昇したか否かが判定される。最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS140に進む。
【0060】
ステップS140で、最大電圧と最小電圧との電圧差dV´が計算される。
図7Bに示すように、最小容量のセル110は、バランス充電容量Qabで充電されており、対応する曲線B2は、曲線B2´にシフトされる。したがって、理論上は、最大電圧がバランストリガ電圧V1に達したとき、この時点でのセル110の最小電圧間の電圧差は、その前の時点でのものよりも小さいはずである。一実施形態では、この時点で、バランストリガ電圧V1に達したとき、最大電圧および最小電圧の電圧差dV´は、15mVまで低下する。
【0061】
ステップS150では、バランス検出電圧V2´は、単セル定電圧充電設定値CV0から、電圧差dV´と安全率との積を引くことで得られる(すなわち、バランス検出電圧V2=単セル定電圧充電設定値CV0−電圧差dV´ *安全率f)。一実施形態では、単セル定電圧充電設定値CV0は4150mVに固定され、安全率は1.5に固定される。バランス検出電圧V2´は、4127.5mV(4150mV−(15mV*1.5)=4127.5mV)である。
【0062】
ステップS160では、最大電圧がバランス検出電圧V2´まで上昇したか否かが判定される。最大電圧の曲線B1がバランス検出電圧V2´まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS170に進む。
【0063】
ステップS170では、第1容量Qa´が記録される。詳細には、最大電圧がバランス検出電圧V2´まで上昇したときの充電容量が、第1容量Qa´として記録される。
【0064】
ステップS180では、非最大電圧がバランス検出電圧V2´まで上昇したか否かが判定される。非最大電圧(この実施形態では最小電圧)がバランス検出電圧V2´まで上昇した場合、当該プロセスは、ステップS190に進む。
【0065】
ステップS190では、第2容量Qb´が記録される。詳細には、非最大電圧(この実施形態では最小電圧)がバランス検出電圧V2´まで上昇したときの充電容量が、第2容量Qb´として記録される。
【0066】
ステップS200では、バランス充電容量Qab´は、第1容量Qa´と第2容量Qb´との差として定義される(すなわち、バランス充電容量Qab´=第2容量Qb´−第1容量Qa´)。
【0067】
図7Aおよび
図7Bから、セルバランスプロシージャの実行回数が増加するにつれて、バランス検出電圧V2´は単セル定電圧充電設定値CV0に徐々に近づき、電圧差dV´は徐々に収縮し、バランス充電容量Qab´は徐々に減少する。このようにして、オートチューニング設計のバランス検出電圧V2は、電圧差の大小によらず、セルバランスプロシージャを正しく実行できることを確実にし、単セル定電圧充電設定値CV0の期待電圧に、徐々に収束する。
【0068】
上記のアルゴリズムに加えて、開回路電圧(the open circuit voltage(OCV))を使用して、バランス充電容量を計算することもできる。
図8を参照されたい。セルのOCVと容量との間の関係によれば、異なるOCVは異なる容量に対応する。バランススレーブコントローラ150およびバランスホストコントローラ310が起動されないとき、バッテリシステムは3つのセルによって直列接続され、第1セルは開回路電圧OCV1を、第2セルは開回路電圧OCV2を、第3セルは開回路電圧OCV3を有するものとする。開回路電圧OCV1、OCV2およびOCV3は、対応するセル容量Q1、Q2およびQ3にマッピングされる。このことは
図8に直接見出すことができる。容量差EQ2は、開回路電圧OCV2が開回路電圧OCV1に近い場合、バランス充電容量に対応する。容量差EQ3は、開回路電圧OCV3が開回路電圧OCV1に近い場合、バランス充電容量である。
図8の方法は、当該バッテリシステムが充電または放電をせずに定常状態にあるとき、実行することができる。
【0069】
次に、この実施形態のバッテリシステム1000のセルバランスプロシージャの制御方法について、より詳細に説明する。
図9A〜
図9Dを参照されたい。
図9A〜
図9Dは、一実施形態による、ホスト制御ユニット300のセルバランスプロシージャの制御方法のフローチャートである。
図9Aに示されるように、ステップS300では、バランスホストコントローラ310は、バッテリシステム1000がウェークアップされたか否かを判定する。バッテリシステム1000がウェークアップされた場合、当該プロセスはステップS302に進み、バッテリシステム1000がウェークアップされていない場合、当該プロセスはステップS301に進む。
【0070】
図9Aに示すように、ステップS301では、バランスホストコントローラ310は、セルバランスプロシージャを強制的に中断しなければならない外部異常が発生したか否かを判定する。外部異常が発生した場合、このプロセスは終了し、外部異常が発生していない場合、当該プロセスはステップS303に進む。
【0071】
図9Aに示すように、ステップS302では、バランスホストコントローラ310は、初期化動作を実行し、バランス状態をオフ状態に設定し、バランスホストコントローラ310内の関連するレジスタ動作情報を消去する。
【0072】
図9Aに示すように、ステップS303では、バランスホストコントローラ310は、動作状態が充電状態にあるか否かを判定し、最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇したか否かを判定する。動作状態が充電状態であり、最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇している場合、当該プロセスはステップS304に進む。バランスホストコントローラ310がバッテリシステム1000の充放電の電流値を感知することができるので、バッテリシステム1000は充電状態を識別することができる。
【0073】
図9Aに示すように、ステップS304では、バランスホストコントローラ310は、セルバランスプロシージャを無効化し、バランス状態をバランスリセット状態に設定する。バランスリセット状態は、(複数の)バランス計算および実行レジスタのすべての値を消去することを含む。その目的は、この充電状態に応じて、バランスパラメータを再計算することである。
【0074】
図9Bに示すように、ステップS305では、バランスホストコントローラ310は、最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇したか否かを判定する。最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇した場合、当該プロセスはステップS306に進み、最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇していない場合、ステップS305に戻る。
【0075】
図9Bに示すように、ステップS306では、バランスホストコントローラ310は、最大電圧と最小電圧との電圧差dVを計算し、バランス検出電圧V2を計算する。
【0076】
図9Bに示すように、ステップS307では、バランスホストコントローラ310は、バランス検出電圧V2を、全てのバッテリユニット100にブロードキャストする。
【0077】
図9Bに示すように、ステップS308では、バランスホストコントローラ310は、全てのバッテリユニット100のバランス状態がバランス検出状態にあるか否かを判定する。バランス検出状態とは、バランス充電容量Qabを計算するプロセスである。全てのバッテリユニット100のバランス状態がバランス検出状態である場合、当該プロセスは
図9CのステップS310に進み、バッテリユニット100のうちの1つのバランス状態がバランス検出状態でない場合、当該プロセスはステップS309に進む。
【0078】
図9Bに示すように、ステップS309では、バランスホストコントローラ310は、動作状態が充電状態から定常状態に変化したか否かを判定する。動作状態が充電状態から定常状態に変化した場合、当該プロセスは
図9AのステップS303に進み、動作状態が充電状態から定常状態に変化しなかった場合、当該プロセスはステップS308に戻る。
【0079】
図9Cに示すように、ステップS310では、バランスホストコントローラ310は、各バッテリユニット100のバランス状態が検出完了状態にあるか否かを判定する。各バッテリユニット100のバランス状態が検出完了状態である場合、当該プロセスはステップS311に進み、(複数の)バッテリユニット100のうちの1つのバランス状態が検出完了状態でない場合、当該プロセスはステップS310に戻る。
【0080】
図9Cに示すように、ステップS311では、バランスホストコントローラ310は、バッテリユニット100の動作状態が充電状態から定常状態に変化したか否かを判定する。全バッテリユニット100の動作状態が定常状態に変化した場合、当該プロセスはステップS312に進み、(複数の)バッテリユニット100のうちの1つの動作状態が定常状態に変化しなかった場合、当該プロセスはステップS311に戻る。
【0081】
図9Cに示すように、ステップS312では、バランスホストコントローラ310は、定常時間が時間設定値を超えているか否かを判定する。定常時間が時間設定値を超えていた場合、当該プロセスは
図9DのステップS313に進み、定常時間が時間設定値を超えていない場合、当該プロセスはステップS312に戻る。
【0082】
図9Dに示すように、ステップS313では、バランスホストコントローラ310はバランス実行情報をブロードキャストし、バランスホストスイッチ320をオンにして伝導状態にする。
【0083】
図9Dに示すように、ステップS314では、バランスホストコントローラ310は、(複数の)バッテリユニット100のいずれかが異常であるか否かを判定する。直列接続された(複数の)バッテリユニット100のいずれか1つが異常である場合、当該プロセスはステップS315に進み、バッテリユニット100が異常でない場合、当該プロセスはステップS316に進む。
【0084】
図9Dに示すように、ステップS315では、バランスホストコントローラ310は、セルバランスプロシージャの休止コマンドを全バッテリユニット100にブロードキャストする。このとき、バランススレーブコントローラ150内の全関連データは消去されない。
【0085】
図9Dに示すように、ステップS317では、バランスホストコントローラ310は、このバッテリユニット100が正常に戻るか否かを判定する。このバッテリユニット100が正常に戻る場合、当該プロセスはステップS313に戻り、このバッテリユニット100が正常に戻らない場合、当該プロセスはステップS318に進む。
【0086】
図9Dに示すように、ステップS318では、バランスホストコントローラ310は動作状態が充電状態にあるか否かを判定し、最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇したか否かを判定する。動作状態が充電状態であり、かつ、最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇した場合、当該プロセスは
図9AのステップS303に戻り、動作状態が充電状態でない場合、または、最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇しなかった場合、当該プロセスはステップS315に戻る。
【0087】
図9Dに示すように、ステップS316では、バランスホストコントローラ310は、全バッテリユニット100がセルバランスプロシージャを完了したか否かを判定する。全バッテリユニット100がセルバランスプロシージャを完了した場合、当該プロセスはステップS319に進み、バッテリユニット100の全てがセルバランスプロシージャを完了しているわけではない場合、当該プロセスはステップS313に戻る。
【0088】
ステップS319では、バランスホストコントローラ310は、バランス状態が完了状態であることを示し、バランスホストスイッチ320をオフして非伝導状態にする。
【0089】
ホスト制御ユニット300の制御方法から、ホスト制御ユニット300は、各バッテリユニット100からデータおよびステータスを受信する。各バッテリユニット100のステータスが起動条件を満たすと、バランスホストスイッチ320がオンになって伝導状態になり、セルバランスプロシージャの開始コマンドが各バッテリユニット100に送られる。
【0090】
ホスト制御ユニット300は、各バッテリユニット100の周期的なブロードキャスト情報を確認する。ホスト制御ユニット300は、ブロードキャスト情報が異常であること、または、データパッケージ送信がタイムアウト設定に達したことを発見すると、セルバランスプロシージャの休止コマンドをトリガして、バランスホストスイッチ320を切って非伝導状態にし、セルバランスプロシージャを停止する。
【0091】
図10A〜10Dを参照されたい。
図10A〜10Dは、一実施形態による、バッテリユニット100のセルバランスプロシージャの制御方法のフローチャートである。
図10Aに示すように、ステップS400では、各バランススレーブコントローラ150は、バッテリシステム1000がウェークアップされたか否かを判定する。バッテリシステム1000がウェークアップされた場合、当該プロセスはステップS402に進み、バッテリシステム1000がウェークアップされていない場合、当該プロセスはステップS401に進む。
【0092】
図10Aに示すように、ステップS401では、バランススレーブコントローラ150はセルバランスプロセスを強制的に中断するために、外部異常が発生したか否かを判定する。外部異常が発生した場合、当該プロセスは終了し、セルバランスプロシージャを強制的に中断する。外部異常が発生していない場合、当該プロセスはステップS403に進む。
【0093】
図10Aに示すように、ステップS402では、バランススレーブコントローラ150は初期化動作を実行し、バランス状態をオフ状態に設定し、バランススレーブコントローラ150内のセルバランスプロシージャの(複数の)レジスタの全関連データを消去する。
【0094】
図10Aに示されるように、ステップS403では、バランススレーブコントローラ150は、動作状態が充電状態にあるか否かを判定する。動作状態が充電状態である場合、当該プロセスはステップS404に進み、動作状態が充電状態でない場合、当該プロセスは終了する。バランスホストコントローラ310は、通信バス200を介して全バランススレーブコントローラ150に対して電流測定値をブロードキャストする。これは、ホスト制御ユニット300のみが、バッテリシステム1000のシステム電流測定ユニット340を有するからである。従って、バランススレーブコントローラ150は、バランスホストコントローラ310によって送信されたシステム電流情報のブロードキャストに従って、充電状態を判断できる。
【0095】
図10Aに示すように、ステップS404では、バランススレーブコントローラ150は、バッテリシステム1000の最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇したか否かを判定する。これは、各バランススレーブコントローラ150が、通信により他のバランススレーブコントローラ150からデータパッケージを受信できるからである。最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇した場合、当該プロセスはステップS405に進み、最大電圧がバランスリセット電圧V0まで上昇しなかった場合、ステップS403に戻る。
【0096】
図10Aに示すように、ステップS405では、バランススレーブコントローラ150は、セルバランスプロシージャを終了し、バランス状態をバランスリセット状態に設定する。バランスリセット状態は、バランス計算結果および実行の、全関連レジスタを消去することを含む。その結果、セルバランスプロシージャの(複数の)関連パラメータは、電流充電状態に従って再計算することができる。
【0097】
図10Bに示すように、ステップS406では、バランススレーブコントローラ150は、最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇したか否かを判定する。最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇した場合、当該プロセスはステップS407に進み、最大電圧がバランストリガ電圧V1まで上昇していない場合、当該プロセスはステップS406に進む。
【0098】
図10Bに示すように、ステップS407では、バランススレーブコントローラ150は、バランス状態をバランス検出状態に設定する。
【0099】
図10Bに示すように、ステップS408では、バランススレーブコントローラ150は、バッテリシステム1000の最大電圧と最小電圧との電圧差dVを計算し、バランス検出電圧V2を計算する。全バランススレーブコントローラ150は、通信により、(複数の)バッテリユニット100内の最大電圧および最小電圧を、バランスホストコントローラ310に報告する。全バランススレーブコントローラ150は、他の(複数の)バッテリユニット100の高い電圧および最小電圧を、通信バス200から受信することができる。そのため、バッテリシステム1000の電圧差dVおよびバランス検出電圧V2は、各バランススレーブコントローラ150により計算することができる。このステップは、
図9BのステップS306におけるバランスホストコントローラ310の計算方法と同じである。したがって、理論的には、バランススレーブコントローラ150によって計算されるバランス検出電圧V2と、バランスホストコントローラ310によって計算されるバランス検出電圧V2とは、同じであるか、または、非常に近いはずである。
【0100】
図10Bに示すように、ステップS409では、バランススレーブコントローラ150は、バランススレーブコントローラ150によって計算されたバランス検出電圧V2と、バランスホストコントローラ310によって計算されたバランス検出電圧V2との差を計算する。
【0101】
図10Bに示すように、ステップS410では、バランススレーブコントローラ150は、その差が所定の値よりも小さいか否かを判定する。差が所定値よりも小さい場合、それは、バランススレーブコントローラ150とバランスホストコントローラ310との間のバランスプロシージャの全データが、ほぼ同じであることを意味する。したがって、当該プロセスは
図10CのステップS4101に進む。差が所定値以上である場合、当該プロセスは終了する。このようにして、ホスト制御ユニット300の制御方法は、充電が終了し、バッテリシステム1000が定常状態になるまで、ステップS308〜ステップS309(
図9B参照)間で繰り返され、バランススレーブコントローラ150のバランス状態は検出状態を維持する。そのため、セルバランスプロシージャは起動されない。バッテリシステム1000が再び充電される場合、当該プロセスはステップS303に進み、バランスプロシージャを再開する。
【0102】
ステップS4101では、バランススレーブコントローラ150は、バッテリシステム1000のセル110の最大電圧がバランス検出電圧V2に達したか否かを判定する。NOである場合、当該プロセスはステップS4101に戻り、YESである場合、当該プロセスはステップS4102に進む。対応する一時レジスタに記録される最大電圧セルの容量(すなわち、
図6の第1容量Qaを得る)に対応するシステム充電容量。このステップは、
図6のステップS160およびS170に相当する。
【0103】
図10Cに示すように、ステップS411では、バランススレーブコントローラ150は、バッテリユニット100内の第i番目のセルの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇したか否かを判定する。第i番目のセルの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇していた場合、当該プロセスはステップS412に進み、第i番目のセルの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇していない場合、当該プロセスはステップS411に戻る。
【0104】
図10Cに示すように、ステップS412では、バランススレーブコントローラ150は、第i番目のセル110に対応するバッテリシステムの充電容量を記録し、対応する充電容量レジスタにそれを保存する。例えば、バッテリユニット100は、直列接続された14個のセルから構成することができる。番号が「B[1]〜B[14]」である、14個の充電容量レジスタが設定されている。最初に、第2番目のセルの電圧がバランス検出電圧V2に達すると、バッテリシステムの充電容量は「Qb1」となり、「Qb1」が「B[2]」と番号付けられた充電容量レジスタに記録される。その後、第10番目のセルの電圧がバランス検出電圧V2に達する。このとき、バッテリシステムの充電容量は「Qb2」となり、「Qb2」は「B[10]」と番号付けられた充電容量レジスタに記録される。14個のセルのバッテリシステム充電容量は、(複数の)当該セルの対応する位置に応じて、(複数の)充電容量レジスタに第2容量Qbを完全に格納することになる。このステップは、
図6のステップS180およびステップS190に相当する。
【0105】
図10Cに示すように、ステップS413では、バランススレーブコントローラ150は、バッテリユニット100の全てのセルの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇したか否かを判定する。全てのセルの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇した場合、当該プロセスはステップS414に進み、全てのセルの電圧がバランス検出電圧V2まで上昇しているわけではない場合、ステップS411に戻る。
【0106】
図10Cに示すように、ステップS414では、バランススレーブコントローラ150は、バランス状態を検出完了状態に設定する。
【0107】
図10Cに示すように、ステップS415では、バランススレーブコントローラ150は、このバッテリユニット100のセル110の最小電圧と、バッテリシステム1000内の全バッテリユニット100によってブロードキャストされた最大電圧との電圧差dVを計算する。その目的は、このバッテリユニット100の最大電圧と全バッテリユニット100の電圧との差を評価することである。電圧異常値の重大度は、電圧差によって特定できる。セルバランスプロシージャは、最大の電圧差を有するバッテリユニット100に対して実行される必要がある。逆に、当該電圧差が小さければ小さいほど、バッテリシステム1000のこの(複数の)バッテリユニット100が、最大電圧のセル110に対してより良い電圧一貫性を有している、ということである(すなわち、ステップS417で述べた低電圧差状態)。よって、このバッテリユニット100は、セルバランスプロシージャを実行する必要がない。
【0108】
図10Cに示すように、ステップS416では、バランススレーブコントローラ150は、電圧差dVが電圧差設定値よりも小さい否かを判定する。電圧差dVが電圧差設定値よりも小さい場合、当該プロセスはステップS417に進み、電圧差dVが電圧差設定値以上である場合、当該プロセスは
図10DのステップS418に進む。
【0109】
図10Cに示すように、ステップS417では、バランススレーブコントローラ150は、バランス状態を低電圧差状態に設定する。
【0110】
図10Dに示すように、ステップS418では、バランススレーブコントローラ150は、セルバランスプロシージャの実行順序を整理する。1つのバッテリユニット100内の(複数の)セル110の実行順序:バランススレーブコントローラ150は、初めに、より小さな電圧を有するものについて、セルバランスプロシージャを実行する。バッテリシステム1000における(複数の)バッテリユニット100の実行順序:セルバランスプロシージャは、バッテリシステム1000内の最小電圧をもつバッテリユニット100において、優先的に開始する。従って、バランス電源400の出力が制限されているとき、セル110のバランス充電容量は、バッテリシステム1000の電圧差を急速に減少させ得る最小電圧のセル110に、優先的に与えられる。
【0111】
各チャネルのバランス充電容量Qabの計算方法は、
図6のステップS200と同じである。第i番目のセル110のバランス充電容量Qabは、「B[i]」と番号付けられた充電容量レジスタに格納された第2容量Qbと、最大電圧に対応する第1容量Qaとの差である。その原理は、
図7で説明したバランス充電容量Qabと同じである。14個のセルを有するバッテリユニット100については、14個のバランス充電容量、すなわち「Qab[1]〜Qab[14]」が生成される。各チャネルは、それ自体のバランス充電容量Qabに従って、容量を供給する。バッテリユニット100内の第14番目のセル110が最大電圧を有する場合、Qab[14]はゼロに等しい。
【0112】
加えて、全バッテリユニット100において、最小電圧のセル110は、追加の容量で充電される(例えば、バランス充電容量Qab+0.5%の完全充電容量)。このようにして、最小電圧のセル110は、次の充電の時に、バッテリシステム1000における、最大電圧のセル110となり得る。したがって、セルバランスプロシージャは、最大電圧のセル110を順番に入れ替えることができ、特定のセル110が最大電圧状態を維持し続け、バッテリ過充電故障または寿命減縮の加速を引き起こす、という問題を回避することができる。
【0113】
図10Dに示すように、ステップS419では、バランススレーブコントローラ150は、バランス状態を中断状態に設定する。中断状態とは、バランスホストコントローラ310によって送られたセルバランスプロシージャの開始コマンドを待つことである。
【0114】
図10Dに示すように、ステップS420では、バランススレーブコントローラ150は、バランスホストコントローラ310によって送信されたセルバランスプロシージャの開始コマンドが受信されたか否かを判定する。バランスホストコントローラ310によってトリガされたセルバランスプロシージャの開始コマンドが受信された場合、当該プロセスはステップS421に進み、バランスホストコントローラ310によってトリガされたセルバランスプロシージャの開始コマンドが受信されていない場合、当該プロセスはステップS419に戻る。
【0115】
図10Dに示すように、ステップS421では、バランススレーブコントローラ150はバランス状態を実行状態に設定し、セルバランスプロシージャの実行を開始する。
【0116】
図10Dに示すように、ステップS422では、バランススレーブコントローラ150は、セルバランスプロシージャが完了したか否かを判定する。セルバランスプロシージャが完了している場合、当該プロセスはステップS423に進み、セルバランスプロシージャが完了していない場合、当該プロセスはステップS424に進む。
【0117】
図10Dに示すように、ステップS423では、バランススレーブコントローラ150は、バランス状態を完了状態に設定し、全セルバランスプロシージャを終結する。
【0118】
図10Dに示すように、ステップS424では、バランススレーブコントローラ150は、バランスホストコントローラ310からトリガされたセルバランスプロシージャの休止コマンドが受信されたか否かを判定する。バランススレーブコントローラ150がバランスホストコントローラ310から休止コマンドを受信した場合、当該バランスプロセスはステップS419に戻り、そうではない場合、当該プロセスはステップS421に戻る。セルバランスプロシージャの休止コマンドの適用タイミングは、演算資源の限界またはユーザの強制中断のため、バランスホストコントローラ310がセルバランスプロシージャの動作を一時的に停止する必要があるときに、主に使用される。
【0119】
以上の処理によれば、ホスト制御ユニット300とバッテリユニット100とは、相互に情報を受信し合い、そのデータに基づき、両パーティは同じ計算を実行する。ホスト制御ユニット300は、そのデータを受信し、各バッテリユニット100の状態を報告し、各バッテリユニット100のステータスが起動条件を満たしていることを判定し、そうして、バランスホストスイッチ320をオンにして伝導状態とし、各バッテリユニット100に対し、セルバランスプロシージャの開始コマンドをトリガする。
【0120】
バッテリユニット100により計算されたバランス検出電圧V2と、ホスト制御ユニット300によりブロードキャストされたバランス検出電圧V2との差が所定の値よりも小さく(これは、バッテリユニット100とホスト制御ユニット300とが同期していることを表す。)、セルバランスプロシージャの開始コマンドがホスト制御ユニット300から受信された場合、バッテリユニット100のセルバランスプロシージャが開始され、バランススレーブスイッチ140がオンになり伝導状態となる。
【0121】
ホスト制御ユニット300は、各バッテリユニット100の周期的なブロードキャスト情報を確認し、各バッテリユニット100もまた、ホスト制御ユニット300の周期的なブロードキャスト情報も確認する。いずれかのパーティが、ブロードキャスト情報が異常であり、タイムアウト条件に達したことを発見した場合、そのパーティは、セルバランスプロシージャの休止コマンドをトリガし、バランスホストコントローラ310は、バランスホストスイッチオフにして非伝導状態にし、バランススレーブコントローラ150はバランススレーブスイッチ140をオフにして非伝導状態にし、そうして、絶縁充電器120を遮断する。
【0122】
以上の(複数の)特徴に基づいて、ホスト制御ユニット300および各バッテリユニット100は、ソフトウェア相互確認保護機能を有している。
【0123】
さらに、セルバランスプロシージャは、上記の制御方法だけでなく、以下のような異常事態も考慮している。
【0124】
バランススレーブコントローラ150がセルバランスプロシージャを完了した後、セル110の電圧が目標電圧に到達せず、許容誤差範囲を超える場合、バランススレーブコントローラ150はその異常バランス状態をブロードキャストする。バランスホストコントローラ310または他の(複数の)バランススレーブコントローラ150が、バランススレーブコントローラ150の何らかの異常バランス状態を受信すると、セルバランスプロシージャの休止コマンドがトリガされる。バランスホストコントローラ310は、バランスホストスイッチ320をオフにして非伝導状態にし、バランススレーブコントローラ150は、対応するバランススレーブスイッチ140をオフにして非伝導状態にし、絶縁充電器120へのバランス電力供給をオフにする。その結果、充電機能は作動を停止し、検査が完了するまで、中断バランス状態を維持し続ける。
【0125】
さらに、バランスホストコントローラ310またはバランススレーブコントローラ150が、温度が温度閾値までセルバランスプロシージャにおいて上昇した、ということを発見すると、バランスホストコントローラ310またはバランススレーブコントローラ150は、セルバランスプロシージャの休止コマンドをトリガする。すなわち、バランスホストコントローラ310は、バランスホストスイッチ320をオフにして非伝導状態にし、検査が完了するまで、中断バランス状態を維持し続ける。
【0126】
あるいは、バランスホストコントローラ310が、衝撃を受けているバッテリシステム1000の衝撃力が、事前設定された衝撃値を超えている、ということを発見すると、バランスホストコントローラ310は、バランスホストスイッチ320をオフにして非伝導状態とし、セルバランスプロシージャの休止コマンドをトリガし、検査が完了するまでバランス中断状態を維持し続ける。
【0127】
要約すると、本開示は、高電圧大型バッテリシステムのための、高安全性、高性能、低コストのバランシング機能を開発した。本開示は、多数のセルのカスケードアプリケーション(cascade application)に適用することができる。本開示は、安全性を向上するため、ハードウェアおよびソフトウェアの相互保護を利用するだけでなく、信頼性を向上するため、バランスされるハードウェアの設計を最適化する。さらに、バランス制御戦略の最適化設計は、性能を向上させる。迅速なオーバーホールができるように、メンテナンス方法および特別な状況の処置方法を提供する。
【0128】
当業者には、開示された実施形態に対して様々な修正および変形を行うことができることは、明らかだろう。本明細書および実施例が、単に例示的なものだとみなされ、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれと同等なものによって示されるものである、ということが意図されている。