【解決手段】漏出検出装置100は、照明撮像装置110およびコンピュータ装置130漏出検出支持台120を備えている。照明撮像装置110は、患者の腕Aにおける注入部分Eに対して水における吸光度が高い1450nmの波長の検査用光線を照射する照射部112を備えている。また、照明撮像装置110は、注入部分Eからの反射光を受光してコンピュータ装置130に出力する撮像部113を備えている。この照明撮像装置110は、漏出検出支持台120に可動的に支持されている。コンピュータ装置130は、撮像部113が撮像した画像を表示する表示装置132を備えている。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、生体の表層に存在する血管に注入されるべき薬液の同血管からの漏れを検出する漏出検出装置であって、生体における薬液の注入部分に1450nmの波長の光線を含む検出用光線を照射する光線照射手段と、薬液の注入部分に照射された検出用光線を検出して検出量に応じた検出信号を出力する光線検出手段と、光線検出手段が出力する検出信号を用いて薬液の注入部分における検出用光線の検出結果を出力する検出結果出力手段とを備えることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、漏出検出装置は、1450nmの波長の光線を含む検出用光線を生体における薬液の注入部分に照射するとともに、この照射光の反射光を用いて薬液の漏出状態を検出している。この場合、1450nmの波長の光線は、液相の水における赤外線の吸光スペクトルのうちで吸光度が比較的高い波長の光線である。すなわち、本発明に係る漏出検出装置においては、生体に注入される薬液の主成分が水であることに着目して、この水における吸光度が高い1450nmの波長の光線を用いて薬液の漏出を検出している。これにより、本発明に係る漏出検出装置においては、広範な種類の薬液の血管からの漏れを高精度に検出することができる。
【0008】
ここで、薬液は、生体に対して水を主成分として電解質、糖またはビタミンなど栄養素、抗がん剤などの薬剤、または造影剤などの各種機能成分が混ぜられた液体である。また、水が主成分とは、薬液を構成する成分のうち、水が占める割合が最も高いことを意味する。
【0009】
なお、赤外線は、1450nmの波長以外に1900nm付近の波長および3000nm以上の波長でも水における吸光度が高い。しかしながら、本発明に係る漏出検出装置においては、生体に照射されることも考慮して生体における透過率が良好な波長域(800nm〜1000nm)外の波長域の赤外線の中から透過率が良好な波長域(800nm〜1000nm)に近い波長の赤外線を選択したものである。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記漏出検出装置において、光線照射手段および光線検出手段は、生体から離れた位置に設けられて薬液の注入部分の周囲に照射された検出用光線を検出して検出信号を出力することにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、漏出検出装置は、光線照射手段および光線検出手段が生体から離れた位置に設けられて薬液の注入部分の周囲に照射された検出用光線を検出して薬液の漏出状態を検出しているため、注入部分のみを漏出の検出範囲とする場合に比べて漏出の範囲および程度を正確かつ迅速に把握することができる。
【0012】
なお、漏出検出装置は、光線照射手段および光線検出手段を生体における薬液の注入部分に密着して設けて薬液の漏出状態を検出することもできる。これによれば、漏出検出装置は、生体における薬液の注入部分の状態をスポット的に検出しているため、薬液の漏出の有無自体を早期に発見することができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記漏出検出装置において、光線検出手段は、生体における薬液の注入部分の画像を撮像するものであり、検出結果出力手段は、光線検出手段が撮像した画像を表示する表示装置を備えることにある。
【0014】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、漏出検出装置は、光線検出手段が生体における薬液の注入部分の画像を撮像するとともに検出結果出力手段が撮像画像を表示する表示装置を備えているため、薬液の漏出を確認する作業者は表示装置を目視で確認することで容易かつ迅速に薬液の漏出を発見することができる。なお、この場合、撮像画像としては、動画でもよいし静止画でもよい。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記漏出検出装置において、さらに、光線検出手段が出力した検出信号を入力する制御装置を備えており、光線検出手段は、生体における薬液の注入部分の画像を経時的に撮像してこれらの各撮像画像を表す検出信号を制御装置に出力するものであり、制御装置は、経時的な各撮像画像を比較して薬液の血管外への漏れを検出することにある。
【0016】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、漏出検出装置は、制御装置が経時的な各撮像画像を比較して薬液の血管外への漏れを検出するため、長時間に亘って人手を介することなく自動的に薬液の漏出を高精度に監視することができる。
【0017】
また、本発明の他の特徴は、前記漏出検出装置において、さらに、光線照射手段を薬液の注入部分に対して任意の位置または向きに変更可能な状態で支持する照射器支持具を備えていることにある。
【0018】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、漏出検出装置は、光線照射手段を薬液の注入部分に対して任意の位置または向きに変更可能な状態で支持する照射器支持具を備えているため、光線照射手段を薬液の漏出の検出精度を向上させることができる位置または向きに設置することができる。
【0019】
また、本発明の他の特徴は、前記漏出検出装置において、さらに、光線検出手段を薬液の注入部分に対して任意の位置または向きに変更可能な状態で支持する受光器支持具を備えていることにある。
【0020】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、漏出検出装置は、光線検出手段を薬液の注入部分に対して任意の位置または向きに変更可能な状態で支持する受光器支持具を備えているため、光線検出手段を薬液の漏出の検出精度を向上させることができる位置または向きに設置することができる。
【0021】
また、本発明の他の特徴は、前記漏出検出装置において、さらに、生体における薬液の注入部分の周囲を支持する生体支持台を備え、生体支持台は、淡色で形成されていることにある。
【0022】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、漏出検出装置は、生体における薬液の注入部分の周囲を支持する生体支持台を備えるとともにこの生体支持台が淡色で形成されているため、生体および1450nmの波長の光線を吸収した薬液とのコントラストを明確にして薬液の漏出の検出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る漏出検出装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る漏出検出装置100の全体構成を模式的に示すブロック図である。また、
図2は、
図1に示す漏出検出装置100の全体構成を模式的に示す側面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。
【0025】
この漏出検出装置100は、薬液(図示せず)の注入が必要な患者の腕Aの血管BVに挿し込んだ注入管90から薬液が漏出することを検出するための装置である。ここで、薬液は、生体に対して水を主成分として電解質、糖またはビタミンなど栄養素、抗がん剤などの薬剤、または造影剤などの各種機能成分が混ぜられた液体である。また、水が主成分とは、薬液を構成する成分のうち、水が占める割合が最も高いことを意味する。この薬液は、図示しないバック、ボトルまたはシリンジからチューブを介して注入管90に供給される。注入管90は、薬液を血管BV内に注入するために血管BVに挿し込まれて一時的に留置される金属製または樹脂製の針または管である。
【0026】
(漏出検出装置100の構成)
漏出検出装置100は、照明撮像装置110を備えている。照明撮像装置110は、腕Aにおける注入管90を挿し込んで薬液(図示せず)を注入する部分である注入部分Eに1450nmの波長の光線を照射するとともに同注入部分Eの状態を撮像してコンピュータ装置130に出力する装置である。この照明撮像装置110は、主として、本体部111、照射部112および撮像部113をそれぞれ備えて構成されている。
【0027】
本体部111は、照射部112および撮像部113をそれぞれ支持する筐体であり、金属製または樹脂製の筒体における両端部が塞がれた内部が空洞の筒状体で構成されている。本実施形態においては、本体部111は、円筒状に形成されている。
【0028】
照射部112は、腕Aにおける注入管90を挿し込む注入部分Eを含む領域に1450nmの波長の光線を含む検出量光線を照射するための光源である。より具体的には、照射部112は、波長が1450nmの光線(赤外線)を発光するLED(発光ダイオード)およびこのLEDを駆動する電気回路(図示せず)などを備えて構成されている。
【0029】
この場合、照射部112は、1450nmの波長の光線を含む光線を出射する光源であればよく、1450nmをピーク波長として他の波長の光線も含めて出射する光源または1450nmの波長の光線のみを出射する光源が好ましいが、1450nmの波長以外の波長成分の光線が1450nmの波長の光線以上の割合で含まれた光線を出射する光源でも用いることができる。
【0030】
この照射部112は、
図3に示すように、本体部111における一方(
図1における下方側)の端部に一部が露出した状態で本体部111内に収容されている。この場合、照射部112は、本体部111における一方の端部に複数設けられている。本実施形態においては、照射部112は、撮像部113の周囲に均等な間隔で4つ設けられている。そして、この照射部112は、有線を介してコンピュータ装置130に電気的に接続されており、このコンピュータ装置130によって点灯、消灯および出射光量がそれぞれ制御される。
【0031】
撮像部113は、腕Aにおける注入管90を挿し込む注入部分Eを含む領域に照射された1450nmの波長の光線の反射光を撮像して撮像画像に対応する電気信号を検出信号として出力する装置である。より具体的には、撮像部113は、1450nmの波長の光線に感度を有するインジウム、アンチモン、カドミウム、ヒ素などの元素を用いた化合物半導体で構成された受光素子およびこの受光素子を駆動する電気回路(図示せず)などを備えて構成されている。
【0032】
この場合、撮像部113は、1450nmの波長の光線を含む光線を受光できればよく、1450nmをピーク波長として他の波長の光線も含めて受光する受光素子、または1450nmの波長の光線のみを受光する受光素子で構成されることが好ましいが、1450nmの波長以外の波長成分の光線が1450nmの波長の光線以上の割合で含まれた光線を受光する受光素子で構成することもできる。
【0033】
この撮像部113は、
図3に示すように、本体部111における一方(
図1における下方側)の端部に一部が露出した状態で本体部111内に収容されている。この場合、撮像部113は、本体部111における一方(
図1における下方側)の端部に前記4つの照射部112の内側の中心部に設けられている。そして、この撮像部113は、有線を介してコンピュータ装置130に電気的に接続されており、このコンピュータ装置130によって作動が制御される。
【0034】
この照明撮像装置110は、漏出検出支持台120に支持されている。漏出検出支持台120は、注入管90が挿し込まれる患者の腕Aおよび照明撮像装置110をそれぞれ支持するための器具であり、主として、生体支持台121、支柱122およびアーム123をそれぞれ備えて構成されている。
【0035】
生体支持台121は、注入管90が挿し込まれる患者の腕Aが載置されるとともに支柱122を支持する部品であり、金属材または樹脂材を板状に形成されて構成されている。この場合、生体支持台121は、腕Aが載置される側の面が白色または灰色などの白色系の淡色で構成されている。また、生体支持台121は、腕Aが載置される側の面が平滑な面よりも照射光を散乱させる梨地面または多孔質な面で構成されるとよい。
【0036】
支柱122は、生体支持台121上で照明撮像装置110を支持するための部品であり、金属製または樹脂製を棒材で構成されている。この支柱122は、生体支持台121から垂直方向に起立した状態で延びており、アーム123を支柱122の長手方向(上下方向)、すなわち、生体支持台121に接近または離隔させる方向に移動な可能な状態で組み付けられている。
【0037】
アーム123は、照明撮像装置110を支持する部品であり、金属製または樹脂製を棒材で構成されている。このアーム123は、支柱122から水平方向に延びており、照明撮像装置110をアーム123の軸線周りの任意の位置で傾倒可能な状態で支持している。
【0038】
コンピュータ装置130は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、キーボードおよびマウスからなる入力装置131からの指示に従って、照明撮像装置110の作動を制御する。また、コンピュータ装置130は、液晶ディスプレイからなる表示装置132を備えており、コンピュータ装置130の作動状態および照明撮像装置110による撮像画像などを適宜表示させる。すなわち、本実施形態においてコンピュータ装置130は、個人向けパーソナルコンピュータ(所謂パソコン)を想定している。なお、
図2においては、コンピュータ装置130の図示を省略している。
【0039】
(漏出検出装置100の作動)
上記のように構成した漏出検出装置100の作動について説明する。まず、医師または看護師などの作業者は、コンピュータ装置130の電源をONにした後、コンピュータ装置130と照明撮像装置110とを電気的に接続する。次に、作業者は、漏出検出支持台120の生体支持台121上に患者の腕Aを載置して注入管90を腕Aの表層に存在する血管BV内に挿し込んで薬液の注入を開始する。
【0040】
次に、作業者、入力装置131を操作してコンピュータ装置130に対して照明撮像装置110の作動開始を指示する。この指示に応答して、コンピュータ装置130は、照明撮像装置110の作動を開始させる。具体的には、照明撮像装置110は、照射部112から1450nmの波長の検査用光線を照射するとともに、撮像部113は照射部112から照射された1450nmの波長の検査用光線の反射光の撮像を開始する。この場合、作業者は、腕Aにおける注入部分Eに1450nmの波長の検査用光線が適切に照射されるとともにこの検査用光線が照射された注入部分Eを含む領域を適切に撮像できるように漏出検出支持台120のアーム123を操作することにより照明撮像装置110の上下方向の位置および向きを調整する。
【0041】
この場合、照明撮像装置110は、生体支持台121上の腕Aに対して注入部分Eを含む注入部分Eの周辺の領域にも1450nmの波長の検査用光線を照射するとともに、この注入部分Eの周辺の領域を撮像した画像データを検出信号としてコンピュータ装置130に出力する。これにより、コンピュータ装置130の表示装置132には、
図4に示すように、1450nmの波長の検査用光線が照射された注入部分Eを含む周辺領域のリアルタイムの映像が表示される。したがって、作業者は、表示装置132を継続的または断続的に監視することで薬液の血管BV外への漏出を認識することができる。
【0042】
すなわち、1450nmの波長の検査用光線は、水に対する吸光度が高いため表示装置132の画面上においては水が存在する部分は光線が吸収されることで水が存在しない部分とは異なる色(例えば、黒色などの濃色)で表示される。このため、表示装置132においては、
図4に示すように、注入管90から供給された薬液が血管BV外に漏出した場合には、注入管90および血管BV以外の部分に濃色の漏出部分Rが広がって表示される。
【0043】
したがって、作業者は、表示装置132に表示される注入部分Eを含む周辺部分を目視で監視することで薬液の漏出の有無を確認することができる。この場合、薬液の漏出は、腕Aの内部での漏出および腕Aの表面上での漏出をそれぞれ確認することができる。すなわち、作業者は、薬液が腕Aの内部で漏出した場合には腕Aの内部で光線の吸収および散乱が生じるため腕Aの表面で薬液が漏出した場合に比べて漏出部分Rの濃色が若干薄く表示されることで薬液の腕Aの内側での漏出したのか外側で漏出したのかを見分けることができる。
【0044】
そして、作業者は、薬液の漏出を確認した場合には、直ちに薬液の注入作業を中断することができる。また、作業者は、薬液の漏出を確認することなく薬液の注入を完了した場合には、腕Aから注入管90を抜いて薬液の注入作業を終了することができる。
【0045】
また、作業者は、薬液の漏出の監視を終了する場合には、入力装置131を操作してコンピュータ装置130に対して照明撮像装置110の作動停止を指示する。この指示に応答して、コンピュータ装置130は、照明撮像装置110の作動を停止させる。具体的には、照明撮像装置110は、照射部112から1450nmの波長の光線の照射を停止させるとともに、撮像部113は照射部112から照射された1450nmの波長の光線の反射光の撮像を停止させる。
【0046】
上記作動からも理解できるように、上記実施形態によれば、漏出検出装置100は、1450nmの波長の光線を含む検出用光線を腕Aにおける薬液の注入部分Eに照射するとともに、この照射光の反射光を用いて注入部分Eの周辺画像を表示装置132上に表示して薬液の漏出状態を検出できるようにしている。これにより、漏出検出装置100においては、広範な種類の薬液の血管BVからの漏れを高精度に検出することができる。
【0047】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記に示す各変形例においては、上記各実施形態と同様の構成部分には対応する符号を付して、その説明は省略する。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、照明撮像装置110は、照射部112および撮像部113をそれぞれ一体的に備えて構成した。すなわち、照射部112が本発明に係る光線照射手段に相当し、撮像部113が本発明に係る光線検出手段に相当する。しかし、照射部112および撮像部113は、それぞれ別体で構成することができる。
【0049】
具体的には、漏出検出装置100は、
図5に示すように、撮像部113のみを有して構成された撮像装置114と、照射部112として機能する照明装置115とをそれぞれ別体で備えて構成することができる。ここで、撮像装置114は、撮像部113と同様に、1450nmの波長の光線を受光して対応する検出信号として出力する受光素子を備えて構成されている。
【0050】
また、照明装置115は、照射部112と同様に、1450nmの波長の光線を含む検出量光線を照射する光源を備えて構成されている。具体的には、照明装置115は、1450nmの波長を含む光線を発光するLED素子を平面状に多数並べて構成されている。なお、照射部112および照明装置115は、光源を少なくとも1つ備えていればよく、必ずしも複数備えている必要はないとともに、複数備える場合においてもその数は特に限定されるものではない。そして、この照明装置115は、照射器支持具140によって支持されている。なお、
図5においては、撮像装置114による撮像範囲の広がり、および照明装置115における照明範囲の広がりをそれぞれ破線で示している。
【0051】
照射器支持具140は、照明装置115を任意の高さ位置および向きに変更可能な状態で支持する器具であり、金属製または樹脂製の複数の棒材をボールジョイントを介して連結することで屈曲自在なアーム状に構成されている。この照射器支持具140は、漏出検出支持台120における支柱122に上下方向に変位可能な状態で連結されている。
【0052】
なお、撮像装置114および照明装置115は、上記実施形態と同様に、コンピュータ装置130によって作動が制御されてもよいが、それぞれ操作子を備えることで作業者による手動操作によって作動が制御されてもよい。また、撮像装置114および照明装置115は、
図5においては、注入部分Eに対向する側にそれぞれ配置した。すなわち、撮像装置114は、注入部分Eに照射された1450nmの光線の反射光を受光するように構成した。しかし、撮像装置114および照明装置115は、注入部分Eを介して互いに対向するように配置することもできる。これによれば、撮像装置114は、注入部分Eに照射されて透過した1450nmの光線を受光することになる。
【0053】
また、上記実施形態においては、漏出検出支持台120は、照射部112および撮像部113を備えた照明撮像装置110を上下方向の位置および向きを自由に変更可能な状態で支持するように構成した。すなわち、漏出検出支持台120は、本発明に係る照射器支持具および受光器支持具にそれぞれ相当する。しかし、漏出検出支持台120は、照射部112および撮像部113を備えた照明撮像装置110を上下方向の位置および向きを変更不能な固定状態で支持するように構成することもできる。
【0054】
また、漏出検出支持台120は、
図5に示すように、前記撮像装置114および前記照明装置115をそれぞれ可動的または固定的(図示せず)に支持することもできる。さらに、漏出検出支持台120は、前記撮像装置114および前記照明装置115をそれぞれ個別に可動的または固定的に支持することもできる。この場合、撮像装置114のみを支持する漏出検出支持台120が本発明に係る受光器支持具にそれぞれ相当し、照明装置115のみを支持する漏出検出支持台120が本発明に係る照射器支持具に相当する。
【0055】
また、上記実施形態においては、漏出検出装置100は、漏出検出支持台120を備えて構成した。しかし、漏出検出装置100は、漏出検出支持台120を省略して構成することもできる。この場合、漏出検出装置100における照明撮像装置110は、例えば、作業者が手で把持することができる。
【0056】
また、照明撮像装置110は、
図6に示すように、箱状に形成された本体部111の底面に照射部112および撮像部113がそれぞれ露出するように設けて構成することができる。この場合、作業者は、照明撮像装置110における本体部111を注入部分Eに粘着テープなどで貼り付けて設けることができる。
【0057】
また、漏出検出装置100は、漏出検出支持台120を備える場合においては、生体支持台121を淡色以外の色、例えば、黒色または紺色などの濃色に構成することもできる。さらに、漏出検出支持台120における生体支持台121は、必ずしも腕Aを載置できる大きさに形成する必要なく、支柱122を支持可能な大きさおよび形状に形成されていればよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、漏出検出装置100は、照明撮像装置110によって取得した撮像画像をコンピュータ装置130を介して表示装置132に表示させるように構成した。すなわち、表示装置132を含むコンピュータ装置130が本発明に係る検出結果出力手段に相当する。しかし、漏出検出装置100は、コンピュータ装置130を用いることなく、照明撮像装置110によって取得した撮像画像を直接液晶表示装置などの表示装置に表示させるように構成することもできる。
【0059】
また、漏出検出装置100は、コンピュータ装置130が注入部分Eを含む領域の画像を表示することで作業者が薬液の漏出を目視で確認するように構成した。しかし、漏出検出装置100は、コンピュータ装置130が薬液の漏出を検出するように構成することもできる。
【0060】
具体的には、コンピュータ装置130は、撮像部113が出力した検出用信号によって表される撮像画像データを所定の閾値を用いて黒色または白色に変換した2値化画像データを用いて薬液の漏出を検出することができる。この場合、2値化画像データは、黒色部分が1450nmの波長の光線が検出されなかった部分であり、水分が存在している可能性がある部分であることを示している。
【0061】
したがって、コンピュータ装置130は、例えば、経時的に取得した2つ以上の2値化画像データを比較して、これらの2値化データにおける黒色部分の面積の増加を検出することで薬液の漏出を検出することができる。この場合、コンピュータ装置130は、2値化画像データの全体を検出対象として黒色部分を検出してもよいし、2値化画像データにおける特定の部分、すなわち、注入部分Eの近傍領域のみを検出対象として黒色部分を検出することもできる。
【0062】
また、コンピュータ装置130は、例えば、経時的に取得した2つ以上の2値化画像データを比較して、当初は白色部分であった部分が黒色に変化した部分の有無を検出することで薬液の漏出を検出することもできる。この場合においても、コンピュータ装置130は、2値化画像データの全体を検出対象としてもよいし、2値化画像データにおける特定の部分、すなわち、注入部分Eの近傍領域のみを検出対象としてもよい。すなわち、コンピュータ装置130は、本発明に係る制御装置に相当する。
【0063】
これによれば、漏出検出装置100は、検出結果出力手段として、表示装置以外に、薬液の漏出を検出したときに音声を発するスピーカなどの発音装置、光を発する発光装置または振動を発するバイブレーション装置を採用することができる。これによれば、漏出検出装置100は、コンピュータ装置130が経時的な各撮像画像を比較して薬液の血管外への漏れを検出するため、長時間に亘って人手を介することなく自動的に薬液の漏出を高精度に監視することができる。
【0064】
なお、表示装置132を含む各種検出結果出力手段は、患者の近傍に配置してもよいが、有線または無線通信を介して患者に対して物理的に離れた場所、例えば、ナースステーション、または医者または看護師などが所持している携帯端末に配置することもできる。
【0065】
また、上記実施形態においては、漏出検出装置100は、患者の腕Aに対して薬液の漏出を検出した。しかし、薬液の検出部分は腕以外の部分、例えば、脚または胸部などであってもよいことは当然である。また、漏出検出装置100は、人間以外の生体、例えば、犬または猫などの愛玩動物のほか、牛、馬または豚などの家畜、すなわち動物に対して使用することもできる。