【解決手段】本発明に係る自転車用チャイルドシート1は、自転車50のヘッドチューブ51の前に、当該ヘッドチューブ51の上端と前輪53の最高部との間に取り付けられる取付台3と、頭部支持部5、腰・背部支持部4a、臀部支持部4b、脚部支持部4cからなり、取付台3に取付けられたチャイルドシート本体2とを備える。チャイルドシート本体2は、運転者とチャイルドシート1に乗せる乳幼児とが対面するように、取付台3に取付けられる。チャイルドシート本体2は、取付台3に回動軸9を介して前後方向に回動可能に取り付けられている。保持部61とベルト部62からなるスリング60は、乳幼児を包んだままチャイルドシート1に乗せ、ベルト部62をシートベルトとして使用できる。
前記頭部支持部のつば部に、自転車の運転者からチャイルドシートに乗せる乳幼児は見えないが、チャイルドシートに乗せる乳幼児から自転車の運転者を見ることができるスモークシールドのフードが設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の自転車用チャイルドシート。
前記脚部支持部の付け根に、前記ヘッドチューブの前にある前記取付台と自転車の取付金具を覆う前カバーが設けられ、前記前カバーの上部に乳幼児用ハンドルが設けられていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の自転車用チャイルドシート。
【背景技術】
【0002】
近年、乳幼児を前抱きにするためにスリング(子守帯、抱っこ紐ともいう)が使用されている。スリングには、特許文献1に示すようなリュック状や、特許文献2に示すような帯状等種々の形態があるが、いずれも自転車や自動車のチャイルドシートに乳幼児を乗せる場合には、乳幼児をスリングから降ろす必要があった。
【0003】
一方、従来の自転車用チャイルドシートは、前向きに取り付けられている。例えば、特許文献3のチャイルドシートは、自転車の本体フレームの前端部であって、ハンドル軸の後方に前向きに取り付けられている。また、特許文献4のチャイルドシートは、自転車のハンドルポストの上に前向きに取り付けられている。仮に現状のものを対面型にした場合、チャイルドシートの足乗せ部が自転車のフレームに干渉し、ハンドル操作が困難になる。また、自転車の転倒時、乳幼児が飛び出し落下する可能性がある。
【0004】
また、自転車に乳幼児を同乗させる場合、自転車用チャイルドシートが前向きだと、夏の暑い日差しや冬の冷たい風雨が直接乳幼児の顔面に当たり乳幼児にとって辛い状況にさらされ、母子ともにお互いにその表情、状態を確認することが困難である。
【0005】
そこで、自転車にチャイルドシートを後ろ向きに取り付けることが提案されている。特許文献5のチャイルドシートは、自転車のヘッドチューブの前部に後ろ向きに取り付けられているが、取付位置がヘッドチューブの上端より高いので、不安定である。また、チャイルドシートは円弧に沿って後方にスライドさせてリクライニングするので、チャイルドシートがハンドルに接近して、ハンドル操作に支障が生じ、危険である。特許文献6のチャイルドシートは、後ろ向きではあるが、寝かせた状態で取り付けられるため、頭部が前輪より前方に突き出ており、障害物等に衝突する恐れがある。チャイルドシートを後ろ向きに取り付けると、乳幼児がブレーキワイヤや、ハンドル、取付台の取付金具等に触れて、自転車の運転に支障が生じることもある。
【0006】
ところで、乳幼児を自転車に同乗させる場合、ヘルメットの着用が努力義務として推奨されているが、非特許文献1にもあるように、その認知度の低さ及び実行の煩わしさやサイズバリエーションの不足、性能の不十分さからヘルメットの着用を敬遠する例も多く、現状では着用率が低いヘルメットを未着用の場合チャイルド本体は乳幼児の安全性が確保出来ていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題点に鑑み、乳幼児を包んだままチャイルドシートに乗せられるスリング、及び乳幼児を後ろ向きに安定した姿勢で容易に乗せることができる自転車用チャイルドシートを提供することを課題とする。また、乳幼児が自転車のブレーキワイヤや、ハンドル、取付台の取付金具等に触れることがない安全な自転車用チャイルドシートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、本発明のスリングは、
乳幼児を包んで保持する保持部と、使用者の肩に掛けられるベルト部とを備えるスリングであって、
前記ベルト部の頭部側端部に前記保持部の頭部側端部と連結する第1連結部が設けられ、
前記ベルト部の足部側端部に前記保持部の足部側端部と連結する第2連結部が設けられ、
前記ベルト部の中間部に第3連結部が設けられ、
前記第1連結部、前記第2連結部及び前記第3連結部は、チャイルドシートに設けられた3箇所の連結部にそれぞれ連結可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る自転車用チャイルドシートは、
乳幼児を包んで保持する保持部と、使用者の肩に掛けられるベルト部とを備えるスリングと、
頭部支持部、腰・背部支持部、臀部支持部、及び脚部支持部を備え、前記スリングの前記保持部が乳幼児を包んだまま載置可能なチャイルドシート本体とを備え、
前記ベルト部の頭部側端部に前記保持部の頭部側端部と連結する第1連結部が設けられ、
前記ベルト部の足部側端部に前記保持部の足部側端部と連結する第2連結部が設けられ、
前記ベルト部の中間部に第3連結部が設けられ、
前記チャイルドシート本体に、前記第1連結部、前記第2連結部及び前記第3連結部とそれぞれ連結可能な3箇所の連結部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る自転車用チャイルドシートは、
自転車のヘッドチューブの前に、当該ヘッドチューブ上端と前輪最高部との間の高さに取り付けられる取付台を備え、
前記チャイルドシート本体は、自転車の運転者とチャイルドシートに乗せる乳幼児とが対面するように、前記取付台に後ろ向きに取付けられ、
前記チャイルドシート本体は、前記取付台に左右方向に軸芯を有する回動軸を介して前後方向に回動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記頭部支持部は、前記腰・背部支持部に高さ調節可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記頭部支持部のつば部に、自転車の運転者からチャイルドシートに乗せる乳幼児は見えないが、チャイルドシートに乗せる乳幼児から自転車の運転者を見ることができるスモークシールドのフードが設けられていることを特徴とする。
【0015】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記脚部支持部の付け根に、前記ヘッドチューブの前にある前記取付台と自転車の取付金具を覆う前カバーが設けられ、前記前カバーの上部に乳幼児用ハンドルが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、保持部に乳幼児を包んだままチャイルドシートに乗せることができるとともに、ベルト部をチャイルドシートのシートベルトとして使用することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、スリングの保持部に包んだまま乳幼児を乗せることができるとともに、ベルト部をシートベルトとして使用することができるので、スリングを取り外したり、チャイルドシート付きのシートシートベルトを締める等の作業が不要となり、チャイルドシートへの乳幼児の乗降が容易になる。
【0018】
請求項3の発明によれば、取付台がヘッドチューブ上端と前輪最高部との間の高さに取り付けられるので、乳幼児を乗せたときの重心が低く、安定するので、自転車をふらつくことなく運転することができる。また、チャイルドシート本体が取付台に回動可能に取り付けられているので、チャイルドシート本体を回動させて自転車の前方に倒した状態で乳幼児を乗せることができ、乳幼児を後ろ向きに安定した姿勢で容易に乗せることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、頭部支持部が高さ調節可能であるので、乳幼児の背丈に応じて高さを調整することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、自転車の運転者はスモークシールドのフードにより乳幼児が見えないので、自転車の運転に集中でき、安全である。チャイルドシートに乗った乳幼児は、スモークシールドのフードを透して自転車を運転する母親を見ることができるで、安心感を抱くことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、前カバーにより、ブレーキワイヤや取付台の取付金具が覆われるので、乳幼児が触ることがなく、安全である。また、乳幼児は前カバーの上部に設けられた乳幼児用ハンドルを自分で握って体を安定させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0024】
<自転車用チャイルドシートの第1実施形態>
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る自転車用チャイルドシート1と、該自転車用チャイルドシート1を取り付ける自転車50の前部を示す。
【0026】
自転車用チャイルドシート1は、チャイルドシート本体2と、取付台3とを備えている。チャイルドシート本体2は、本体部4、頭部支持部5とで構成されている。
【0027】
本体部4は、
図2に示すように、腰・背部支持部4a、臀部支持部4b、及び2つの脚部支持部4cからなり、乳幼児が膝を曲げて座り、身体がすっぽり包み込まれる深さを有している。本体部4は、炭素繊維やガラス繊維で強化された材料で一体に形成されている。2つの脚部支持部4cの付け根には、前カバー4dが上方に突出して設けられている。前カバー4dは、チャイルドシート本体2を取付台3に取り付けたときに、ヘッドチューブ51の前にある取付台3の取付座35やボルトナット39,40等の取付金具を覆うとともに、自転車50のブレーキワイヤ55を収納できるようになっている。前カバー4dの上部には、左右に突出する乳幼児用ハンドル6が取り付けられている。
【0028】
本体部4の内面には、少なくとも腰・背部支持部4aと臀部支持部4bに、乳幼児の腰部、背部、臀部を支えるクッション7と、シートベルト8が設けられている。シートベルト8は、腰・背部支持部4aの上端の両肩部から下方に延びるシートベルト上部8aと、2つの脚部支持部4cの付け根から上方に延びるシートベルト下部8bとからなり、両者は下バックル8cを介して着脱可能に連結される。シートベルト8は、乳幼児のいずれか一方の肩から股まで伸ばして掛けるもの、いずれか一方の肩から反対側の腰まで伸ばして掛けるものでもよい。シートベルト上部8aは、乳幼児の左右肩部の上バックル8dから分離可能にして、後述するスリング60のベルト部62をシートベルトとして使用できるようにしてもよい。
【0029】
本体部4の左右の側面には、それぞれ回動軸9が設けられ、該回動軸9に固定ナット10がねじ込まれている。本体部4の回動軸9を後述する取付台3の受け部37に支持した状態で固定ナット10を締め付けることで本体部4を固定し、固定ナット10を緩めることで、本体部4を回動可能にすることができる。
【0030】
本体部4の前カバー4dには、取付台3の取付座35に取り付けるための取付孔11が形成されている。前カバー4dの内側の上部には、ロック装置12が設けられている。
図3に示すように、ロック装置12は、取付座35に前から当接する当て板13と、取付座35の上縁に後ろから係合するロックロッド14とを備えている。当て板13は、前カバー4dの内面に固定されている。ロックロッド14は、前カバー4dの内面に固定された基板15の2つの支持片16a、16bを貫通して、取付座35と平行に上下方向に移動可能に設けられている。ロックロッド14の下端は、取付座35の上縁に後ろから係合するラッチ17が設けられ、ロックロッド14の上端は、前カバー4dの上部を貫通してノブ18が設けられている。ラッチ17と支持片16aの間には、ばね19がロックロッド14に外挿されている。ロックロッド14は、ノブ18を押し下げることで取付座35の上縁に係合するロック位置と、ノブ18を引き上げることで取付座35の上縁から退避するアンロック位置とに移動可能で、ばね19によりロック位置に付勢されている。
【0031】
図2に戻ると、頭部支持部5は、本体部4に座った乳幼児の頭部をすっぽり覆うヘルメット状の形状を有している。頭部支持部5は、本体部4と同様に、炭素繊維やガラス繊維で強化された材料で一体に形成されている。頭部支持部5の内面には、ソフトな素材でカバーされた発砲スチロールの衝撃吸収装置20が装備されている。
【0032】
頭部支持部5のつば部5aには強度補強と雨水の滴りを防ぐためにリブ5bが設けられている。頭部支持部5のつば部5aの上方には、フード30が取り付けられている。フード30は、頭部支持部5の両側に支軸30aにより取り付けられ、下方に下してチャイルドシート本体2に乗せた乳幼児の顔を覆う位置と、上方に上げて乳幼児の顔が見える位置とに回動可能になっている。フード30は、自転車50の運転者からチャイルドシート本体2に乗せた乳幼児は見えないが、チャイルドシート本体2に乗せた乳幼児からは自転車50の運転者を見ることができるスモークシールド型である。
【0033】
頭部支持部5の下端は、本体部4の腰・背支持部4aの幅より広く形成され、腰・背支持部4aに高さ調節装置21を介して取り付けられている。
図4に示すように、高さ調節装置21は、頭部支持部5の背面下端から下方に延びる延長部22が本体部4の背面に形成された1対のガイド23に沿って上下にスライド可能に設けられている。頭部支持部5の延長部22には、上下方向に延びる長孔24と、該長孔24の両側に上下方向に連続する波形の係合部25とが形成されている。本体部4には、頭部支持部5の延長部22の長孔24を貫通する固定軸26が取り付けられ、該固定軸26は、固定板28を貫通して突出し、先端に固定ナット29が螺合されている。固定板28には、係合部25と係合する波形の被係合部27が形成されている。頭部支持部5を持って上下させ、延長部22の係合部25と固定板28の被係合部27を係合して、固定ナット29を締め付けることで、頭部支持部5を乳幼児の背丈に応じて適宜の高さに調節することができる。
【0034】
本体部4及び頭部支持部5は、乳幼児の身体及び頭部を囲んで自転車50に固定し、自転車50の転倒時に乳幼児の脱落を防止するようにしているので、乳幼児の頭部や身体へのダメージを最小限に防止できるメリットがある。
【0035】
チャイルドシート本体2を自転車50に取り付ける取付台3は、
図5に示すように、自転車50のヘッドチューブ51の上方に取付けられてハンドルポスト52と一体に回動する逆L字形のブラケット31と、該ブラケット31と自転車50の前輪53のハブ軸54との間に取付けられるステー32とで構成されている。ブラケット31には、上下方向に延びる受け孔33が形成されている。ステー32は、金属製ロッドを折り曲げて形成され、水平部32aと、該水平部32aの前端から下方に延びる下部32bと、水平部32aの後端から上方に延びる上部32cとからなり、水平部32aには台座34が取り付けられ、上部32cには取付座35が取り付けられている。台座34の両端は水平に延びて上方に立ち上がる受け金具36が設けられ、該受け金具36の上端にはU字形の受け部37が形成されている。取付座35には、ブラケット31の受け孔33と合致する取付孔38が形成されている。
【0036】
取付台3を自転車50に取り付けるには、ステー32の下部32bの下端を前輪53のハブ軸54に固定するとともに、取付座35をブラケット31に当て、該取付座35に図示しないボルトナットで固定する。次に、取付台3にチャイルドシート本体2を取り付けるには、本体部4の回動軸9を台座34の受け部37に係合し、固定ナット10を仮締めする。また、チャイルドシート本体2の前カバー4dを当て板13を介して取付座35に当てる。これにより、ロックロッド14のラッチ17が取付座35の上縁に係合する。この状態で、固定ナット10を締め付けてチャイルドシート本体2を固定する。
【0037】
なお、チャイルドシート本体2をリクライニングせずに固定して使用したい場合は、ボルト39を、取付座35の取付孔38と、ブラケット31の受け孔33と、前カバー4dの取付孔11に通してナット40で固定する。
【0038】
前カバー4dには、自転車50のブレーキワイヤ55を収納することができる。ブラケット31の受け孔33は長孔になっているので、自転車50のヘッドチューブ51の長さの違いにも対応することができる。
【0039】
チャイルドシート本体2の脚部支持部4cがフロントフォーク56の終端部(上端)までに収まる長さにし、またヘッドチューブ51より後方に出る長さをできるだけ小さくすることで、運転者が普通に自転車50を運転する姿勢では、チャイルドシート本体2が運転者の脚の回転動作の邪魔にならないし、ハンドル57の操作の妨げにならない。
【0040】
図6から11は、
図2の状態を正面図とした場合のチャイルドシート本体2の左側面図、平面図、正面図、底面図、右側面図、断面図であり、背面図は、正面図と対称に表れる。ロック装置、高さ調節装置、フードは省略している。
【0041】
次に、以上の構成からなるチャイルドシート本体2に乳幼児を乗せるには、
図12に示すように、固定ナット10を緩めて、ノブ18を引き上げてロック装置12を解除し頭部支持部5が自転車50の前方になるようにチャイルドシート本体2を寝かせ、フード30を開いておく。チャイルドシート本体2は、臀部支持部4bの後端外面が台座34に当たって寝た状態で支持される。このように寝かせたチャイルドシート本体2に乳幼児を乗せる。この時、乳幼児の両脚は前カバー4dを挟むようにそれぞれの脚部支持部4cに乗せる。乳幼児をチャイルドシート本体2にしっかり座らせ、頭部を頭部支持部5内に収めてシートベルト8で固定する。次に、
図13に示すように、チャイルドシート本体2を起こすと、ロック装置12により前カバー4dが取付座35にロックされる。フード30は必要に応じて下して、乳幼児の顔を覆っておく。
【0042】
本実施形態の自転車用チャイルドシート1によれば、
図13に示すように、取付台3がヘッドチューブ51の上端と前輪53の最高部との間の高さに取り付けられ、乳幼児を乗せたときの重心が低く、安定するので、自転車50をふらつくことなく運転することができる。また、チャイルドシート本体2が取付台3に回動可能に取り付けられているので、チャイルドシート本体2を回動させて自転車50の前方に倒した状態で乳幼児を乗せることができ、乳幼児を後ろ向きに安定した姿勢で容易に乗せることができる。
【0043】
また、頭部支持部5が高さ調節可能であるので、乳幼児の背丈に応じて高さを調整することができる。
【0044】
さらに、自転車50の運転者はスモークシールドのフード30により乳幼児が見えないので、自転車50の運転に集中でき、安全である。チャイルドシート本体2に乗った乳幼児は、スモークシールドのフード30を透して自転車50を運転する母親を見ることができるで、安心感を抱くことができる。
【0045】
さらに、前カバー4dにより、ブレーキワイヤ55や取付台3のボルトナット39,40等の取付金具が覆われるので、乳幼児が触ることがなく、安全である。また、乳幼児は前カバー4dの上部に設けられた乳幼児用ハンドル6を握るので、自転車50のハンドル57やブレーキレバー58に触れることがなくなり、安全である。
【0046】
<自転車用チャイルドシートの第2実施形態>
図14は、本発明の第2実施形態に係る自転車用チャイルドシート1を自転車50に取り付けた状態を示す。
【0047】
第2実施形態に係る自転車用チャイルドシート1は、取付台41の構造が第1実施形態の取付台3と異なる。
図15に示すように、取付台41は、金属製ロッドを折り曲げて形成されたステー42からなる。ステー42は、水平部42aと、該水平部42aの前端から後方に延びる下部42bと、水平部42aの後端から上方に延びる上部42cとからなっている。水平部42aには台座43が取り付けられ、上部42cには取付座44が取り付けられている。下部42bは取付金具45を介して自転車50のヘッドチューブ51の下部に取付けられ、上部42cも取付金具46を介して自転車50のヘッドチューブ51の上部に取付けられている。台座43と取付座44へのチャイルドシート本体2の取り付けは、前記第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
第2実施形態に係る自転車用チャイルドシート1は、取付台41が自転車50のヘッドチューブ51に取り付けられ、ハンドル57を操作してもチャイルドシート本体2が動かないので、ハンドル57及び前輪53の回る角度はチャイルドシート本体2に対して自由となり、ハンドル操作の邪魔にならない。
【0049】
本発明は前記実施形態に限るものではなく、種々変更することができる。例えば、取付台3、41のステー32、42の形状又は構造は、自転車のタイプ、大きさに応じて変更することができる。
【0050】
<スリングの実施形態>
図16(a)は、乳幼児を包んだまま前記実施形態の自転車用チャイルドシート1に乗せるのに適した本発明に係るスリング60を示す。スリング60は、乳幼児を包んで保持する保持部61と、使用者の肩に掛けられるベルト部62とを備えている。
【0051】
保持部61は、綿(コットン)、麻、又は綿とポリエステルの混紡生地等、柔軟性を有し、吸水性、通気性に優れた布製素材からなっている。保持部60の中央部は乳幼児を包み込める大きさを有し、両端部はプリーツが縫製されて絞られている。保持部60の頭部側端部には、ベルト部62の頭部側端部を通すための第1通し孔63aが形成され、足側端部にはベルト部62の足部側端部を通すための第2通し孔63bが形成されている。第1通し孔63aは、第2通し孔63bより横長になっている。
【0052】
ベルト部62は、ポリエステル、皮等の柔軟であるが、引っ張りに強い素材からなっている。ベルト部62の頭部側端部に、雄型バックル64aが取り付けられ、頭部側端部から所定距離離れた位置に短いベルト片65を介して雌型バックル64bが取り付けられている。ベルト部62の頭部側端部は、雄型バックル64aを第1通し孔63aに通して雌型バックル64bに連結することで、保持部61の頭部側端部に連結されている。ベルト部62の頭部側端部の雄型バックル64aと雌型バックル64bは、本発明の第1連結部を構成している。
【0053】
同様に、ベルト部62の足部側端部に、雄型バックル66aが取り付けられ、足部側端部から所定距離離れた位置に短いベルト片67を介して雌型バックル77bが取り付けられている。ベルト部62の足部側端部は、雄型バック77aルを第2通し孔63bに通して雌型バックル66bに連結することで、保持部61の足部側端部に連結されている。ベルト部62の足部側端部の雄型バックル66aと雌型バックル66bは、本発明の第2連結部を構成している。
【0054】
ベルト部62の中間部には、長さ調整部68が設けられるとともに、雄型バックル69がベルト部62の長手方向に沿って移動可能に挿通されている。この雄型バックル69は、本発明の第3連結部を構成している。また、ベルト部62の中間部より頭部側には、幅広に形成された肩当て部70が設けられている。
【0055】
ベルト部62の雄型バックル64a、雄型バックル66a及び雄型バックル69は、それぞれ、
図17に示すように、乳幼児から見て肩部左側の雌型の上バックル8d、肩部右側の雌型の上バックル8d、下バックル8cにそれぞれ連結可能である。
【0056】
本実施形態のスリング60は、保持部61に乳幼児を包み、ベルト部62を肩に掛けて、乳幼児を使用者の体の前で横抱き又は斜め抱きすることができる。
【0057】
また、本実施形態のスリング60は、前記実施形態の自転車用チャイルドシート1に乳幼児を保持したまま乗せることができ、ベルト部62はシートベルトとして使用することができる。
【0058】
すなわち、本実施形態のスリング60を使用して乳幼児を抱いた使用者は、ベルト部62を肩から降ろし、乳幼児を包んだまま保持部61をチャイルドシート本体2の腰・背部支持部4a、臀部支持部4bに乗せる。
【0059】
ベルト部62をシートベルトにするには、
図16(b)に示すように、ベルト部62の頭部側の雄型バックル64aを雌型バックル64bから外して、保持部61の第1通し孔63aに通すとともに、ベルト部62の足部側の雄型バックル66aを雌型バックル66bから外し、ベルト部62を半分に折るようにして保持部61の第1通し孔63aに通し、さらに、ベルト部62の中間部の雄型バックル69を第2通し孔63bに通す。そして、雄型バックル64aを肩部左側の上バックル8dに連結し、雄型バックル66aを肩部右側の上バックル8dに連結し、雄型バックル69を下バックル8cに連結する。シートベルトの長さは、長さ調節部68によりを調節することができる。
【0060】
また、逆の動作により、ベルト部62の各連連結部を外して、保持部12の両端部に連結することで、乳幼児を保持部61に包んだまま抱き上げ、ベルト部62を肩に掛けることで、乳幼児をチャイルドシートから降ろすことができる。
【0061】
前記実施形態のスリング60は、前記実施形態の自転車用チャイルドシート1だけでなく、従来の前向きの自転車用チャイルドシートや自動車のチャイルドシートにも乳幼児を包んだまま乗せることができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、雄型バックル64aと、肩部右側の雌型の上バックル8dを連結し、雄型バックル66aと肩部左側の雌型の上バックル8dを連結するようにしてもよい。
また、チャイルドシートの左右の肩部のいずれかと左右の腰部に雌型バックルをそれぞれ設けて、雄型バックル64aを肩部の雌型バックルに連結し、雄型バックル66aと雄型バックル69を左右の腰部の雌型バックルに連結してもよい。要するに、本発明の第1連結部、第2連結部、第3連結部は、チャイルドシートの3箇所に設けた連結部に連結可能であればよい。
さらに、各連結部の雄型バックルと雌型バックルは逆であってもよい。