【解決手段】2plyのシートが組み合わせられたティシューペーパー製品である。広葉樹晒クラフトパルプの質量%が40%以上90%以下である。針葉樹晒クラフトパルプの質量%が10%以上60%以下である。1plyのシートの坪量が、13g/m
以下である。周波数が1Hz以上3Hz以下である第1領域における第1振動刺激値が、40V/s以上100V/s以下である。周波数が3Hzより大きく40Hz以下である第2領域における第2振動刺激値が、20V/s以上70V/s以下である。周波数が40Hzより大きく1000Hz以下である第3領域における第3振動刺激値が、70V/s以上120V/s以下である。
広葉樹晒クラフトパルプの質量%が40%以上90%以下であり、針葉樹晒クラフトパルプの質量%が10%以上60%以下であり、1plyのシートの坪量が、13g/m2以上19g/m2以下であるティシューペーパー製品の製造方法であって、
抄紙時の抄速は、800m/min以上1600m/min以下であり、
抄紙機において原料スラリーをワイヤー上に噴き出す速度をJとし、抄紙機のワイヤー速度をWとした場合、J/Wが0.94以上0.99以下である
ティシューペーパー製品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0023】
(実施形態)
本実施形態のティシューペーパー製品は、組み合わせられた2plyのシートを備える。ティシューペーパー製品は、衛生薄葉紙とも呼ばれる。ティシューペーパー製品は、例えばフェイシャルティシューである。本実施形態のティシューペーパー製品は、抄紙機を用いて製造される。本実施形態のティシューペーパー製品において、原料としての広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)の質量%は40%以上90%であり、原料としての針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の質量%は10%以上60%以下である。より好ましくは、広葉樹晒クラフトパルプの質量%が50%以上80%であり、針葉樹晒クラフトパルプの質量%が20%以上50%以下である。より好ましくは、広葉樹晒クラフトパルプの質量%が50%以上80%であり、針葉樹晒クラフトパルプの質量%が20%以上50%以下である。より好ましくは、広葉樹晒クラフトパルプの質量%が55%以上75%であり、針葉樹晒クラフトパルプの質量%が25%以上45%以下である。
【0024】
本実施形態のティシューペーパー製品は、原料として古紙パルプを含んでいてもよい。古紙パルプの一例は、ミルクカートン古紙パルプ(Milk Carton Secondary Fiber:MSF)である。例えば、古紙パルプの質量%は、10%以上30%以下であることが好ましい。より好ましくは、古紙パルプの質量%は、10%以上20%以下である。
【0025】
本実施形態のティシューペーパー製品において、1plyのシートの坪量は、13.0g/m
2以上19.0g/m
2以下である。より好ましくは、14.0g/m
2以上18.0g/m
2以下である。より好ましくは、14.5g/m
2以上17.5g/m
2以下である。
【0026】
本実施形態のティシューペーパー製品において、乾燥時の縦方向の引張強さである乾燥縦強度(Dry Machine Direction Tensile strength:DMDT)は、200gf/25mm以上440gf/25mm以下である。縦方向は、抄紙機の流れ方向に沿った方向である。乾燥時の横方向の引張強さである乾燥横強度(Dry Cross Direction Tensile strength:DCDT)は、90gf/25mm以上220gf/25mm以下である。横方向は、抄紙機の流れ方向に対して直交する方向である。乾燥縦強度及び乾燥横強度は、JIS P8113に基づいて測定される。乾燥横強度に対する乾燥縦強度の比である縦横比が、1.4以上3.0以下である。より好ましくは、乾燥縦強度は、230gf/25mm以上410gf/25mm以下である。より好ましくは、乾燥横強度は、110gf/25mm以上200gf/25mm以下である。
【0027】
本実施形態のティシューペーパー製品において、TS750は、8.5dBV
2rms以上13.5dBV
2rms以下である。より好ましくは、TS750は、9.0dBV
2rms以上13.1dBV
2rms以下である。TS750は、例えばEmtec社製のティシューソフトネスアナライザー(Tissue Softness Analyzer:TSA)で測定される指標である。ティシューソフトネスアナライザーは、ティシューソフトネス測定装置とも呼ばれる。ティシューソフトネスアナライザーは、ティシューペーパー製品の触感を測定し、測定結果から人の手触り感を算出することが可能な装置である。
【0028】
ティシューソフトネスアナライザーにおいて、試料台に測定対象物(ティシューペーパー製品)が設置される。ブレードのついた測定ヘッドの下に測定対象物(ティシューペーパー製品)が固定される。測定ヘッドが所定の圧力でサンプルに押し当てながら回転する。所定の圧力は、100mNである。測定ヘッドの回転数は、2.0/secである。生じた騒音がサンプルの下にある音響センサで録音される。TS750は滑らかさに関する値である。ティシューペーパー製品に押し立てたブレードが表面を動くとき、ティシューペーパー製品が膜のように垂直振動する。騒音が大きい場合、表面がより粗いティシューペーパー製品である。騒音が小さい場合、表面が滑らかなティシューペーパー製品である。測定された振動波形がFFT処理される。約750Hzに生じる振動のピーク値がTS750である。TS750は、ティシューソフトネスアナライザー上のソフトウェアにて自動的に取得される、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度であるともいえる。TS750の値が小さいほど、ティシューペーパー製品は滑らかである。
【0029】
本実施形態のティシューペーパー製品において、シートの厚さは、0.70mm/10ply以上1.30mm/10ply以下である。より好ましくは、シートの厚さは、0.78mm/10ply以上1.20mm/10ply以下である。
【0030】
本実施形態のティシューペーパー製品において、吸水度は、0.8秒以上2.0秒以下である。より好ましくは、吸水度は、0.8秒以上1.7秒以下である。吸水度は、旧JIS S3104に基づいて測定される。2plyのシートで構成される本実施形態のティシューペーパー製品において、吸水度は、温度が23±1℃であり湿度が50±2%の状態で、0.1mlの精製水を滴下した場合に、水滴が1枚のシートに吸収される時間(秒)である。吸水度は、点滴吸水度とも呼ばれる。なお、仮にティシューペーパー製品が1plyのシートで構成される場合、吸水度は、温度が23±1℃であり湿度が50±2%の状態で、0.01mlの精製水を滴下した場合に、水滴が1枚のシートに吸収される時間(秒)である。
【0031】
本実施形態のティシューペーパー製品において、長辺の長さは、200mm以上240以下である。短辺の長さは、196mm以上236mm以下である。
【0032】
本実施形態のティシューペーパー製品において、第1振動刺激値(以下、I
SAIという)は、40V/s以上100V/s以下である。I
SAIは、周波数が1Hz以上3Hz以下である第1領域における振動刺激値である。第2振動刺激値(以下、I
FAIという)は、20V/s以上70V/s以下である。I
FAIは、周波数が3Hzより大きく40Hz以下である第2領域における振動刺激値である。第3振動刺激値(以下、I
FAIIという)は、70V/s以上120V/s以下である。I
FAIIは、周波数が40Hzより大きく1000Hz以下である第3領域における振動刺激値である。I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIは、後述する振動測定装置10を用いて測定されるティシューペーパー製品の振動特性、及び最低振動検出閾値近似線の値に基づき算出される振動刺激値である。
【0033】
具体的には、I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIは、以下で説明する方法で算出される。I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIは、振動測定ステップと、振幅スペクトル算出ステップと、振動刺激値算出ステップと、を経て算出される。振動測定ステップは、ティシューペーパー製品を挟む接触子535及び振動を検出するためのセンサ539を備える振動測定装置10を用いて、ティシューペーパー製品が移動する時の振動情報を測定する工程である。振幅スペクトル算出ステップは、ティシューペーパー製品の振動情報に基づき、周波数ごとの振幅スペクトルを算出する工程である。振動刺激値算出ステップは、振幅スペクトルと最低振動検出閾値近似線の値とに基づき、I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIを算出する工程である。
【0034】
図1は、実施形態の振動測定装置の模式図である。
図2は、振動測定装置の本体及び直動機構の斜視図である。
図3は、直動機構の性能を示す図である。
図4は、振動測定装置の固定機構の斜視図である。
図5は、衛生薄葉紙を支持した状態における振動測定装置の固定機構の斜視図である。
図6は、振動測定装置の挟み機構の斜視図である。
図7は、挟み機構のセンサユニットの斜視図である。
図8は、挟み機構のセンサユニットの分解斜視図である。
図9は、センサユニットの接触子の側面図である。
図10は、センサの性能を示す図である。
図11は、センサユニットの中板の平面図である。
図12は、シリコーンゴムの生成材料を示す図である。
図13は、接触子を成形するために用いられる型の斜視図である。
図14は、中板が嵌められた状態における型の斜視図である。
図15は、挟み機構の挟持ユニットの斜視図である。
図16は、挟み機構の挟持ユニットの分解斜視図である。
図17は、挟み機構の可動板の動きを説明するための模式図である。
図18は、挟み機構の可動板の動きを説明するための模式図である。
図19は、振動測定装置によって測定された振動波形を示すグラフである。
【0035】
I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIを算出するに当たって、まず振動測定装置10を用いて、サンプル100(本実施形態のティシューペーパー製品)が移動する時の振動情報が測定される(振動測定ステップ)。
図1に示すように、振動測定装置10は、本体20と、直動機構30と、固定機構40と、挟み機構50と、動ひずみ測定器11と、ポジションコントローラ13と、を備える。振動測定装置10においては、固定機構40によって支持されるサンプル100を挟み機構50が挟んだ状態で、直動機構30によって挟み機構50が移動させられる。振動測定装置10は、挟み機構50が移動する時にサンプル100に生じる振動を取得できる。
【0036】
図1に示すように、本体20は、1つの面に凹部を有する略直方体状の部材である。本体20は、長手方向が鉛直方向に沿うように配置される。直動機構30は、挟み機構50を直動させるための装置である。直動機構30は、挟み機構50を鉛直方向に沿って移動させる。
図2に示すように、直動機構30は、本体20に取り付けられる。直動機構30は、
図3に示す性能を有する。直動機構30は、モータ31と、ボールねじ33と、ステージ35と、を備える。モータ31は、本体20に固定されている。モータ31は、例えばステッピングモータである。ボールねじ33は、ねじ軸及びナットを備える。ボールねじ33のねじ軸は、モータ31によって回転する。ボールねじ33のねじ軸が回転すると、ねじ軸に取り付けられたナットが軸方向に移動する。ステージ35は、ボールねじ33のナットに固定される。このため、モータ31が駆動すると、ステージ35が移動する。
【0037】
固定機構40は、サンプル100を支持するための装置である。
図4に示すように、固定機構40は、本体20に取り付けられる。固定機構40は、土台41と、固定バー43と、滑り止め部材45と、を備える。土台41は、本体20に固定される。固定バー43は、土台41に固定部材によって固定される。固定部材は、例えばネジである。土台41及び固定バー43は、例えばアクリルであって、NC加工機を用いて形成される。滑り止め部材45は、固定バー43に取り付けられる。滑り止め部材45は、例えば接着剤によって固定バー43に固定される。滑り止め部材45は、固定バー43のうち土台41に面する表面に配置される。滑り止め部材45は、例えばゴムである。
図5に示すように、土台41と固定バー43との間にサンプル100が配置される。固定部材が締め付けられることによって、土台41と滑り止め部材45とによって挟まれる。これにより、サンプル100が固定機構40によって吊り下げられる。
【0038】
挟み機構50は、固定機構40によって吊り下げられたサンプル100を挟むための装置である。
図6に示すように、挟み機構50は、固定板51と、可動板52と、センサユニット53と、挟みユニット54と、ガイド棒55と、弾性部材56と、紐57と、プーリ58と、錘59と、を備える。
【0039】
図6に示すように、固定板51は、ステージ35に固定される。可動板52は、固定板51と平行に配置される。固定板51と可動板52との間には隙間が設けられる。ガイド棒55は、固定板51に固定され、可動板52を貫通する。ガイド棒55は、軸受を介して可動板52を支持する。すなわち、ガイド棒55が貫通する可動板52の穴には、軸受が設けられる。軸受は、例えばスライドブッシュ(シングル型スライドブッシュ)である。このため、可動板52は、固定板51から離れる方向、又は固定板51に近付く方向に、滑らかに移動できる。すなわち、可動板52は、固定板51に対して平行移動できる。
【0040】
図6に示すように、センサユニット53は、固定板51に取り付けられる。
図7に示すように、センサユニット53は、土台531と、2つの中板533と、接触子535と、振動板537と、センサ539と、を備える。
【0041】
土台531は、
図6に示すように固定板51に固定される。2つの中板533は、例えばネジによって互いに固定される。2つの中板533は、例えばネジによって土台531に固定される。土台531及び中板533は、例えばアルミニウム合金であって、NC加工機を用いて形成される。
図11に示すように、中板533は、基部533aと、挟み部533bと、を備える。基部533aは、略U字状である。挟み部533bは、基部533aの内側に配置される。一方の中板533の挟み部533bと、他方の中板533の挟み部533bとの間には、隙間Gが設けられる。隙間Gの大きさは、0.05mm以上0.15mm以下であることが望ましい。例えば本実施形態において、隙間Gの大きさは、0.1mmである。2つの挟み部533bは、略H字を描くように配置される。
【0042】
接触子535は、サンプル100に接する部材である。接触子535は、例えばシリコーンゴムで形成される。接触子535は、中板533と一体である。
図9に示すように、接触子535は、円柱部535aと、固定部535bと、を備える。円柱部535aは、サンプル100に接する半円柱上の部材である。固定部535bは、中板533に接する略直方体状の部材である。固定部535bは、複数の穴535cを備える。穴535cは、中板533の挟み部533bが嵌まる穴である。
図9は、水平方向であってステージ35と平行な方向から接触子535を見た図である。
図9に示す曲率半径R1は、例えば6mmである。
図9に示すL1は、例えば12mmである。
図9に示すL2は、例えば42mmである。
図9に示すL3は、例えば2mmである。
図9に示すL14は、例えば3mmである。
図9に示すL5は、例えば2mmである。
図9に示すL6は、例えば1mmである。
【0043】
振動板537は、振動する板である。振動板537は、例えばリン青銅で形成される。振動板537の一部は、接触子535の内部に配置される。振動板537の一部は、
図11に示す隙間Gに配置される。振動板537の厚さは、0.05mm以上0.20mm以下であることが望ましい。例えば本実施形態において、振動板537の厚さは、0.1mmである。センサ539は、振動板537に生じる振動を検出する。センサ539は、例えばひずみゲージである。センサ539は、
図10に示す性能を有する。センサ539は、振動板537の両面に配置される。センサ539は、例えば接着剤によって振動板537の表面に固定される。
【0044】
接触子535は、
図13に示す型19を用いて成形される。接触子535を成形する時、まずシリコーンゴムの主剤、硬化剤、シンナーを
図12に示す配分で混ぜて、混合液を作成する。次に、真空脱泡装置を用いて混合液中の気泡が除去される。次に、混合液が
図13に示す型19の半分程度まで流し込まれる。次に、振動板537を挟んだ状態の中板533が、
図14に示すように型19に設置される。次に、混合液が中板533の上面に達するまで型19に流し込まれる。次に、再び真空脱泡装置を用いて混合液の気泡が除去される。次に、型19が高温乾燥器に入れることによって、反応が促進される。シリコーンゴムが固まったら、接触子535が中板533と共に型19から取り外される。このように、中板533と接触子535が一体に形成される。
【0045】
図6に示すように、挟みユニット54は、可動板52に取り付けられる。
図15に示すように、挟みユニット54は、土台541と、中板543と、接触子545と、を備える。挟みユニット54は、センサを備えていない。
【0046】
土台541は、
図6に示すように可動板52に固定される。中板543は、例えばネジによって土台541に固定される。土台541及び中板543は、例えばアルミニウム合金であって、NC加工機を用いて形成される。
【0047】
接触子545は、サンプル100に接する部材である。接触子545は、例えばシリコーンゴムで形成される。接触子545は、中板543と一体である。接触子545は、上述した接触子535と同様の形状を備える。
【0048】
弾性部材56は、固定板51と可動板52との間に配置される。弾性部材56は、例えばコイルばねである。ガイド棒55が弾性部材56を貫通している。弾性部材56は、接触子535と接触子545とで挟まれるサンプル100に加わる力を調整するために設けられる。
【0049】
図6に示すように、紐57は、可動板52及び固定板51に架け渡される。プーリ58は、固定板51に固定される。紐57は、プーリ58に巻きかけられ、鉛直方向下方に延びている。錘59は、紐57の端部に取り付けられ、紐57によって吊り下げられる。
【0050】
図1に示す動ひずみ測定器11は、動ひずみ測定器11は、センサ539のひずみ量を電気信号として取り込み、電圧値として表示する装置である。ポジションコントローラ13は、直動機構30を駆動するための装置である。
【0051】
以下において、振動測定ステップの一例を示す。振動測定ステップにおいて、サンプル100(ティシューペーパー製品)の振動情報を測定する時、まずセンサ539の導線が動ひずみ測定器11に接続される。次に、サンプル100が、
図5に示すように、鉛直方向に吊り下がるように固定機構40に固定される。サンプル100を固定機構40に固定する時、サンプル100の中央部にある折れ目が接触子535及び接触子545に接触しないように、サンプルの100の位置が調整される。そして、弾性部材56及び可動板52がガイド棒55に通される。その後、可動板52に取り付けられた紐57の先端に錘59が取り付けられる。紐57がプーリ58にかけられる。その後、直動機構30を駆動することによって、振動の測定が開始される。
【0052】
サンプル100は、接触子535と接触子545とによって所定の力で挟まれる。所定の力は、0.05N以上0.12N以下であることが望ましい。例えば本実施形態において、所定の力は、0.1Nである。サンプル100に加わる力を0.1Nにするために、各部材の特性は例えば下記のように設定された。錘59の重量は、0.05kgである。錘59は2つ設けられるので、可動板52には合計0.1kgの荷重が作用する。弾性部材56のばね定数は、1.035N/mmである。接触子535と接触子545とが接触する時の弾性部材56の長さは、30.4mmである。上記の条件において、弾性部材56の自然長が31.0mmである場合に、接触子535と接触子545とで挟まれるサンプル100に加わる力が0.1Nとなる。
【0053】
直動機構30のステージ35は、所定の速度で移動する。所定の速度は、1mm/sec以上8mm/sec以下であることが望ましい。例えば本実施形態において、所定の速度は、5mm/secである。ステージ35は、所定の時間移動させられる。所定の時間は、1秒以上であることが望ましい。例えば本実施形態において、所定の時間は、3秒間である。サンプリング周波数は10kHzである。
図19は、振動測定装置10によって測定された10個のサンプル100の振動波形を示すグラフである。
【0054】
なお、振動測定装置10は、必ずしも上述した構成を備えていなくてもよい。例えば、サンプルを挟む所定の力は、必ずしも錘59及び弾性部材56によって調節されなくてもよく、別の方法で調節されてもよい。また、挟みユニット54は、センサユニット53と同様に振動を検出するためのセンサ等を備えていてもよい。また、挟みユニット54が固定板51に固定され、センサユニット53が可動板52に固定されてもよい。
【0055】
振動測定装置10の各構成の材料は、必ずしも上述した材料に限定されない。例えば、接触子535及び接触子545の材料は、シリコーンゴムに限定されず、他の材料であってもよい。振動板537の材料は、リン青銅に限定されず、その他の金属であってもよいし、金属以外の材料であってもよい。
【0056】
振動測定ステップの後、サンプル100の振動情報に基づき、周波数ごとの振幅スペクトルが算出される(振幅スペクトル算出ステップ)。以下において、振幅スペクトル算出ステップの一例を示す。振幅スペクトルは、例えば、フーリエ変換によって算出される。
【0057】
任意の周期信号f(t)は、三角関数の和で表示できる。周期信号は、フーリエ級数展開を行うことで、構成する三角関数に分解できる。これにより、周期信号に含まれる周波数又はスペクトル等の特徴量がわかるようになる。
【0058】
任意の周期信号f(t)に対し、フーリエ級数展開を行うと、式(1)のように表される。ただし、フーリエ係数a
0、a
n、b
nは、それぞれ式(2)、式(3)、式(4)で表される。
【0063】
周期信号f(t)は、オイラーの公式である式(5)を用いることによって、式(6)のように複素関数で表される。ただし、フーリエ係数g
nは、式(7)で表される。
【0067】
デジタル信号の処理には離散的フーリエ変換(DFT)が使用される。離散信号f[n]を用いると式(8)が成り立つ。F[k]は、f[n]の周波数スペクトルと呼ばれる。
【0069】
DFTの計算から得られるF[k]は一般的に複素数である。F[k]の実部をRe{F[k]]}とし、F[k]の虚部をIm{F[k]]}とすると、式(9)、式(10)及び式(11)が成り立つ。|F[k]|を振幅スペクトルという。argF[k]を位相スペクトルという。
【0073】
振幅スペクトル及び位相スペクトルの算出には、N
2回の計算が必要になる。高速フーリエ変換(FFT)は、DFTを2点のDFTの組み合わせに分解することによって、計算回数がNlog
2N回になるため、計算時間を短縮できる。
【0074】
例えば、振動測定ステップで得られた振動情報のうち、直動機構30が駆動した直後の最初の1秒間の情報に対して、数値解析ソフトウェアを用いてFFT処理が行われる。例えば、データ点数は8192点であり、窓関数にはハミング窓が用いられる。
図20は、算出された振幅スペクトルを示す図である。
図20において、縦軸は、振幅スペクトル(Amplitude Spectrum)である。
【0075】
振幅スペクトル算出ステップの後、振幅スペクトルと最低振動検出閾値近似線の値とに基づき、I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIが算出される(振動刺激値算出ステップ)。以下において、振動刺激値算出ステップの一例を示す。
【0076】
I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIは、振幅スペクトルと最低振動検出閾値近似線の値とに基づき算出される。
図21は、振動検出閾値曲線を示す図である。人が物を触った際に皮膚に加わる機械的刺激を知覚するものは、機械受容器である。機械受容器は、人の触感覚に大きく関与する。機械受容器としては、マイスナー小体、パチニ小体、メルケル触盤及びルフィニ終末が存在する。機械受容器は、機械受容器とそれに連なる神経線維を合わせた受容野の形態と、機械的刺激への神経発火特性の性質とから、速順応I形(FAI)、速順応II形(FAII)、遅順応I形(SAI)及び遅順応II形(SAII)に分類される。受容野の大きさは、FAIとSAIは直径数mm程度と小さい。これに対し、FAIIとSAIIは、大きく、且つ境界が不鮮明である。また、FAIは加えられた刺激の速度成分に対して神経発火する。FAIIは加えられた刺激の加速度成分に対し神経発火する。SAIとSAIIは加えられた機械刺激の変位に対して神経発火する。マイスナー小体がFAIに分類されている。パチニ小体がFAIIに分類されている。メルケル触盤がSAIに分類されている。ルフィニ終末がSAIIに分類されている。
【0077】
受容野に対して加わった機械的刺激の大きさによって機械受容器が神経発火する。これにより、人は触感を得る。人が検出できる振動の閾値に関する情報として、振動検出閾値曲線がある。
図21に示すように、SAIに関しては、1Hz以上100Hz以下付近で周波数を変化させても検出閾値は、あまり変動しない。FAIに関しては、10Hz以上40Hz以下で検出閾値が最小になる。FAIIに関しては、100Hz以上1000Hz以下で検出閾値が最小になる。最低振動検出閾値近似線は、各周波数における最小の振動検出閾値を結んだ線である。
図21において、最低振動検出閾値近似線は、太い線で示される。最低振動検出閾値曲線よりも大きい振幅の刺激が加われば、いずれかの受容器が神経発火し、人は触感を認識すると考えられる。また、SAIIの振動検出閾値曲線は、いずれの周波数帯においても他のどの受容器よりも閾値が高く、最低振動検出閾値曲線に影響を与えないため省略されている。
【0078】
図22は、最低振動検出閾値近似線を示す図である。
図21で示す最低振動検出閾値曲線は、
図22に示す最低振動検出閾値近似線で表すことができる。最低振動検出閾値近似線の近似式は、式(12)、式(13)、式(14)及び式(15)で定義される。
【0083】
ただし、SAIは変位のセンサであることから、L
SAIの値は、全てのサンプルにおいて0よりも大きくなる必要がある。3Hz以下の周波数において、最小の振幅スペクトルとなるサンプルの値と一致するようにL
SAIの値が決定される。
【0084】
L
SAI、L
FAI、L
FAII、はそれぞれSAI、FAI、FAIIの振動検出閾値近似線である。fは振動刺激の周波数である。また、L
FAI,40HzとL
FAII,250Hzはそれぞれ40Hz時の閾値、250Hz時の閾値を示す。
【0085】
図23は、振幅スペクトル及び最低振動検出閾値近似線を示す図である。
図23は、最低振動検出閾値近似線と、
図20に示すグラフを両対数表記したものと、を示す図である。
図23において、最低振動検出閾値近似線を超えた部分が振動刺激値である。振動刺激値
Ii(I
SAI、I
FAI、及びI
FAII)は、式(16)、式(17)及び式(18)によって求められる。
【0089】
P
iはピリオドグラムにおけるi番目のデータの振幅スペクトルである。L
iは、最低振動検出閾値近似線のi番目の値である。f
l及びf
hは、各周波数帯の周波数における最小値および最大値である。最低振動検出閾値近似線を示す受容野ごとに分割して、I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIが算出される。
【0090】
式(16)に周波数ごとの測定された振幅スペクトルと最低振動検出閾値近似線の値とが代入される。値が代入された式(16)と式(17)を用いて、周波数領域ごとに合計をしてI
SAI、I
FAI、及びI
FAIIが算出される。
図24は、算出されたI
SAI、I
FAI、及びI
FAIIを示す図である。3Hz以下の周波数において最小の振幅スペクトルを示したものは第6サンプルの測定時であったため、式(12)のconst.の値は0.2272とした。
【0091】
本実施形態のティシューペーパー製品は、例えば、紙製のカートン又はポリフィルム等に収納されて、ボックスティシュー、ボックス型ソフトパック、又はポケットティシュー等として使われる。なお、本実施形態のティシューペーパー製品の包装形態は、特に限定されず、どのような包装形態でも構わない。
【0092】
本実施形態のティシューペーパー製品の製造方法について説明する。本実施形態のティシューペーパー製品は、抄紙機を用いて製造されるティシューペーパー原紙を加工することによって製造される。抄紙機による抄紙時の抄速は、800m/min以上1600m/min以下である。より好ましくは、抄速は、950m/min以上1,500m/min以下である。抄速は、抄紙機において紙が運ばれるスピードである。
【0093】
ティシューペーパー製品の製造に用いられる抄紙機のフォーマー形式としては、円網、ギャップ、クレセント、長網等が挙げられる。抄紙機のフォーマー形式は、特に限定されないが、例えば長網が好ましい。抄紙機は、ヘッドボックスと、ワイヤー(抄紙網)と、を備える。ヘッドボックスは、原料スラリーをワイヤー上に噴き出す。ワイヤーは、原料スラリーを平らにして脱水する。ワイヤーは、一定速度で走行させられる。ワイヤーの走行速度は、ワイヤー速度と呼ばれる。ヘッドボックスが原料スラリーをワイヤー上に噴き出す速度をJとし、抄紙機のワイヤー速度をWとした場合、J/Wは、0.94以上0.99以下である。より好ましくは、0.95以上0.98以下である。
【0094】
上述した原料配合及び坪量を有する本実施形態のティシューペーパー製品においては、J/Wが0.94未満である場合、繊維の縦配向が強くなることによってI
SAI及びI
FAIが望ましい範囲から外れると共に、横強度が低下することによって破れやすくなる。J/Wが0.99より高い場合(押引き分岐点付近に対してJがさらに高い領域にある場合)、パルプ繊維の配向がランダム化することによってI
FAIIが望ましい範囲から外れる。例えば、パルプ繊維が紙の厚さ方向(Z方向)に飛び出す場合もある。なお、I
SAI、I
FAI、及びI
FAIIが望ましい範囲から外れることは、表面性が劣る、と表現される場合がある。
【0095】
抄紙機によって製造されたティシューペーパー原紙は、2ply重ねられた状態で所定の大きさに切断される。これにより、単一のシート(所定の大きさを有するティシューペーパー原紙)が2ply重なった状態が形成される。その後、1組のシート(2ply組み合わせられたシート)が連続して取り出せるよう積層される。積層された複数組のシートが、紙製のカートン又はポリフィルム等に収納される。このようにして、本実施形態のティシューペーパー製品が製造される。
【0096】
ティシューペーパー製品の強度を調節するために、湿潤紙力剤及び乾燥紙力剤を用いてもよい。また、ダブルディスクリファイナー(DDR)等を用いてティシューペーパー製品の強度を調整してもよい。
【0097】
表1は、本実施形態のティシューペーパー製品の一例である実施例に対する官能評価を示す表である。表2は、比較例に対する官能評価を示す表である。実施例及び比較例について、官能評価が行われた。具体的には、柔らかさ、滑らかさ、及び破れづらさについて、官能評価が行われた。官能評価は、40名を対象にして行われた。各実施例及び各比較例の柔らかさ、滑らかさ、及び破れづらさについて、40名が1点から5点で評価した。表1及び表2の柔らかさ、滑らかさ、及び破れづらさの欄において、「優」は40名の評価の平均点が4.5点以上であることを示し、「良」は平均点が3.5点以上4.5点未満であることを示し、「可」は平均点が2.5点以上3.5点未満であることを示し、「不可」は平均点が2.5点未満であることを示している。柔らかさ、滑らかさ、及び破れづらさの官能評価がすべて「可」以上であることが、使い心地が良好であるティシューペーパー製品が満たすべき条件である。
【0100】
柔らかさは、使用時(鼻をかむ時)に感じるティシューペーパー製品の柔らかさである。柔らかさに関する官能評価において、特に柔らかく感じる場合を5点とし、柔らかく感じる場合を4点とし、問題ない柔らかさを有すると感じる場合を3点とし、固く感じる場合を2点とし、特に固く感じる場合を1点とした。
【0101】
滑らかさは、使用時(鼻をかむ時)に感じるティシューペーパー製品の滑らかさである。滑らかさに関する官能評価において、特に滑らかと感じる場合を5点とし、滑らかであると感じる場合を4点とし、問題ない滑らかさを有すると感じる場合を3点とし、滑らかさが足りず鼻が痛いと感じる場合を2点とし、特に滑らかさが足りず鼻が痛いと感じる場合を1点とした。
【0102】
破れづらさは、使用時(液体等をふき取る時)のティシューペーパー製品の破れづらさである。破れづらさに関する官能評価において、特に丈夫であると感じる場合を5点とし、丈夫であると感じる場合を4点とし、破れづらくて問題なく使用可能であると感じる場合を3点とし、破れることがあり使いづらいと感じる場合を2点とし、特に破れやすく使いづらいと感じる場合を1点とした。
【0103】
表1に示すように、本実施形態のティシューペーパー製品の一例である第1実施例から第9実施例においては、広葉樹晒クラフトパルプの質量%が40%以上90%以下であり、針葉樹晒クラフトパルプの質量%が10%以上60%以下であり、1plyのシートの坪量が13g/m
2以上19g/m
2以下であり、I
SAIが40V/s以上100V/s以下であり、I
FAIが20V/s以上70V/s以下であり、I
FAIIが70V/s以上120V/s以下である。第1実施例から第9実施例においては、柔らかさ、滑らかさ、及び破れづらさの官能評価がすべて「可」以上である。第1実施例から第9実施例は、使い心地が良好なティシューペーパー製品である。
【0104】
表2に示すように、第1比較例においては、I
SAIが100V/sより大きく(40V/s以上100V/s以下の範囲外である)、I
FAIが70V/sより大きく(20V/s以上70V/s以下の範囲外である)、I
FAIIが70V/s未満である(70V/s以上120V/s以下の範囲外である)。第1比較例においては、滑らかさ及び破れづらさの官能評価が「不可」である。
【0105】
表2に示すように、第2比較例においては、I
SAIが40V/s未満であり(40V/s以上100V/s以下の範囲外である)、I
FAIが20V/s未満であり(20V/s以上70V/s以下の範囲外である)、I
FAIIが120V/sよりも大きい(70V/s以上120V/s以下の範囲外である)。第2比較例においては、柔らかさの官能評価が「不可」である。
【0106】
表2に示すように、第3比較例においては、I
SAIが100V/sより大きく(40V/s以上100V/s以下の範囲外である)、I
FAIが70V/sよりも大きく(20V/s以上70V/s以下の範囲外である)、I
FAIIが70V/s未満である(70V/s以上120V/s以下の範囲外である)。第3比較例においては、滑らかさ及び破れづらさの官能評価が「不可」である。
【0107】
表2に示すように、第4比較例においては、I
SAIが40V/s未満であり(40V/s以上100V/s以下の範囲外である)、I
FAIが20V/s未満であり(20V/s以上70V/s以下の範囲外である)、I
FAIIが120V/sよりも大きい(70V/s以上120V/s以下の範囲外である)。第4比較例においては、柔らかさの官能評価が「不可」である。
【0108】
以上で説明したように、本実施形態のティシューペーパー製品においては、2plyのシートが重ねられている。広葉樹晒クラフトパルプの質量%が40%以上90%以下である。針葉樹晒クラフトパルプの質量%が10%以上60%以下である。1plyのシートの坪量が、13g/m
2以上19g/m
2以下である。振動測定装置を10用いて測定されるティシューペーパー製品の振動特性、及び最低振動検出閾値近似線の値に基づき算出される振動刺激値のうち、周波数が1Hz以上3Hz以下である第1領域における第1振動刺激値(I
SAI)が、40V/s以上100V/s以下である。振動刺激値のうち、周波数が3Hzより大きく40Hz以下である第2領域における第2振動刺激値(I
FAI)が、20V/s以上70V/s以下である。振動刺激値のうち、周波数が40Hzより大きく1000Hz以下である第3領域における第3振動刺激値(I
FAII)が、70V/s以上120V/s以下である。
【0109】
上述した原料配合及び坪量を有することによって、ティシューペーパー製品が吸水しやすくなり且つ破れづらくなる。さらに、第1振動刺激値(I
SAI)、第2振動刺激値(I
FAI)及び第3振動刺激値(I
FAII)がそれぞれ上述した範囲内であることによって、高い吸水性と破れづらさを保ちながら、触感が柔らかく且つ表面が滑らかであるティシューペーパー製品が実現される。したがって、本実施形態のティシューペーパー製品は、吸水性が良く且つ破れづらい上に、柔らかさ及び表面の滑らかを向上させることができる。
【0110】
本実施形態のティシューペーパー製品においては、乾燥時の縦方向の引張強さである乾燥縦強度が200gf/25mm以上440gf/25mm以下である。乾燥時の横方向の引張強さである乾燥横強度が90gf/25mm以上220gf/25mm以下である。前記乾燥横強度に対する前記乾燥縦強度の比である縦横比が、1.4以上3.0以下である。
【0111】
これにより、本実施形態のティシューペーパー製品は、破れづらさ、触感の柔らかさ及び表面の滑らかに関する官能評価の水準を向上させることができる。
【0112】
本実施形態のティシューペーパー製品においては、ティシューソフトネスアナライザーで測定される指標であるTS750が、8.5dBV
2rms以上13.5dBV
2rms以下である。
【0113】
これにより、本実施形態のティシューペーパー製品は、破れづらさ、触感の柔らかさ及び表面の滑らかに関する官能評価の水準を向上させることができる。
【0114】
本実施形態のティシューペーパー製品においては、前記シートの厚さが、0.7mm/10ply以上1.3mm/10ply以下である。
【0115】
これにより、本実施形態のティシューペーパー製品は、高い吸水性を有すると共に、破れづらさ、触感の柔らかさ及び表面の滑らかに関する官能評価の水準を向上させることができる。
【0116】
本実施形態のティシューペーパー製品においては、吸水度が0.8秒以上2.0秒以下である。
【0117】
これにより、本実施形態のティシューペーパー製品は、高い吸水性を有すると共に、破れづらさ、触感の柔らかさ及び表面の滑らかに関する官能評価の水準を向上させることができる。
【0118】
本実施形態のティシューペーパー製品においては、長辺の長さが、200mm以上240以下である。短辺の長さが、196mm以上236mm以下である。
【0119】
これにより、本実施形態のティシューペーパー製品は、鼻をかむ時、又は液体等をふき取る時等に使い易い大きさを有するので、使い心地を向上させることができる。
【0120】
本実施形態のティシューペーパー製品の製造方法は、広葉樹晒クラフトパルプの質量%が40%以上90%以下であり、針葉樹晒クラフトパルプの質量%が10%以上60%以下であり、1plyのシートの坪量が、13g/m
2以上19g/m
2以下であるティシューペーパー製品の製造方法である。抄紙時の抄速は、800m/min以上1600m/min以下である。抄紙機において原料スラリーをワイヤー上に噴き出す速度をJとし、抄紙機のワイヤー速度をWとした場合、J/Wが0.94以上0.99以下である。
【0121】
ティシューペーパー製品の原料配合及び坪量に応じて、適切なJ/Wの範囲は変化する。上述した原料配合及び坪量を有するティシューペーパー製品を製造する時に、抄紙時の抄速を800m/min以上1600m/min以下とし且つJ/Wを0.94以上0.99以下とすることによって、高い吸水性と破れづらさを保ちながら、触感が柔らかく且つ表面が滑らかであるティシューペーパー製品を実現できる。